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特許7256065ハードマスク形成用組成物及び電子部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ハードマスク形成用組成物及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20230404BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20230404BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230404BHJP
   C08L 61/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
G03F7/26 511
G03F7/20 521
G03F7/20 501
C08L61/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019081253
(22)【出願日】2019-04-22
(65)【公開番号】P2019194693
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2018088421
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】衣幡 慶一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 良司
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-021329(JP,A)
【文献】特開2017-102420(JP,A)
【文献】特開2017-125890(JP,A)
【文献】特表2010-524224(JP,A)
【文献】国際公開第2010/147155(WO,A1)
【文献】特開2010-271654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0004531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
G03F 7/26
G03F 7/20
C08L 61/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィーで用いられるハードマスクを形成するハードマスク形成用組成物であって、
第1の樹脂と、第2の樹脂とを含有し、
前記第1の樹脂に含まれる炭素量は、当該第1の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して85質量%以上であり、
前記第2の樹脂に含まれる炭素量は、当該第2の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して70質量%以上であり、前記第1の樹脂に含まれる炭素量未満であり、
前記第1の樹脂は、下記一般式(u11-1)で表される構成単位(u11)と、下記一般式(u12-1)で表される構成単位(u12)と、を有する樹脂を含み、
前記第2の樹脂は、下記一般式(u21-1)で表される構成単位(u21)と、下記一般式(u22-1)で表される構成単位(u22)と、を有するフェノール樹脂を含む、
ハードマスク形成用組成物。
【化1】
[式中、R11は、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基又は水素原子である。R12は、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。]
【化2】
[式中、R21は、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するフェノール化合物に由来する有機基である。R22は、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。]
【請求項2】
前記第1の樹脂は、下記一般式(u13-1)で表される構成単位(u13)をさらに含む、請求項1に記載のハードマスク形成用組成物。
【化3】
[式中、R13は、置換基を有してもよい炭素数10~30の多環式炭化水素基である。]
【請求項3】
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂との比率(質量比)は、
第1の樹脂:第2の樹脂=50/50~95/5
である、請求項1又は2に記載のハードマスク形成用組成物。
【請求項4】
支持体上に、請求項1~3のいずれか一項に記載のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、
前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程、
前記ハードマスク層(m2)上にレジスト膜を形成する工程、
前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターンを形成する工程、
前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターンを形成する工程、
前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターンを形成する工程、及び
前記樹脂パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程
を有する、電子部品の製造方法。
【請求項5】
支持体上に、請求項1~3のいずれか一項に記載のハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、
前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターンを形成する工程、
前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターンを形成する工程、及び
前記樹脂パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程
を有する、電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク形成用組成物及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造に際しては、シリコンウェーハ等の基板上にレジスト膜を形成した積層体に、ドライエッチングを含む処理、たとえばレジスト膜に選択的露光を施すことにより該レジスト膜にレジストパターンを形成し、これをマスクとしてドライエッチングを行い、基板上にパターンを形成する等の処理が行われている。
【0003】
レジスト膜を用いたパターン形成方法としては、3層レジスト法が知られている(たとえば特許文献1参照)。3層レジスト法は、まず、支持体上に、有機材料を用いて有機ハードマスク層を形成し、その上に無機材料を用いて無機ハードマスク層を形成した後、さらにその上にレジスト膜を形成する。次いで、通常のリソグラフィー技術によりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして無機ハードマスク層をエッチングすることにより無機ハードマスクパターンを形成し、次いで無機ハードマスク層パターンをマスクとして、有機ハードマスク層をエッチングすることにより、有機ハードマスクパターンを形成する。そして、該有機ハードマスクパターンをマスクとして支持体のエッチングを行い、支持体を加工する。
また、3層レジスト法よりも工程数が少ない2層レジスト法も提案されている(たとえば特許文献2、3参照)。2層レジスト法では、支持体上に、3層レジスト法と同様にして有機ハードマスク層を設けた後、その上にレジスト膜を設ける。次いで、通常のリソグラフィー技術によりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、有機ハードマスク層をエッチングすることにより、有機ハードマスクパターンを形成する。そして、該有機ハードマスクパターンをマスクとして支持体のエッチングを行い、支持体を加工する。
【0004】
有機ハードマスク層を形成する方法としては、従来、化学気相成長法(以下、CVD法ということがある)が知られている。CVD法では、ハードマスク形成材料としてアモルファスカーボンが用いられるが、スループットが遅い、高額な設備投資が必要である等の問題がある。
そのため、近年、スピンオンコーティング(spin-on-coating)法による成膜が導入されており(例えば、特許文献4)、該方法に適用可能な有機ハードマスク形成材料が提案されている。スピンオンコーティング法は、CVD法と比較して、スループットが高く、かつ既存のスピンコーターを使用可能であるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-51422号公報
【文献】特開昭61-239243号公報
【文献】特開昭62-25744号公報
【文献】特開2015-91775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機ハードマスク形成材料は、基板加工のマスクとしての機能を果たすために、高エッチング耐性の材料が求められる。また、無機ハードマスク層形成時の高温に耐える必要があるため、耐熱性も要求される。
一方、基板の深掘加工を行う場合、有機ハードマスク層も深掘加工に充分な膜厚を有する必要がある。そのため、有機ハードマスク形成材料は、有機ハードマスク層の厚膜化が可能な材料であることが求められる。しかしながら、高エッチング耐性で耐熱性の有機材料の場合、膜厚の上昇に伴ってクラック等が発生し、厚膜化を妨げる懸念がある。そのため、高エッチング耐性及び耐熱性を有し、かつ厚膜化に適した有機ハードマスク形成材料の開拓が求められている。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、高エッチング耐性及び耐熱性を有し、かつ厚膜化に適したハードマスク形成用組成物及び前記ハードマスク形成用組成物を用いた電子部品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、リソグラフィーで用いられるハードマスクを形成するハードマスク形成用組成物であって、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含有し、前記第1の樹脂に含まれる炭素量は、当該第1の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して85質量%以上であり、前記第2の樹脂に含まれる炭素量は、当該第2の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して70質量%以上であり、前記第1の樹脂に含まれる炭素量未満である、ハードマスク形成用組成物である。
【0009】
本発明の第2の態様は、支持体上に、第1の態様にかかるハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程、前記ハードマスク層(m2)上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターンを形成する工程、前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターンを形成する工程、及び前記樹脂パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程を有する、電子部品の製造方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、支持体上に、第1の態様にかかるハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターンを形成する工程、前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターンを形成する工程、及び前記樹脂パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程を有する、電子部品の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高エッチング耐性及び耐熱性を有し、かつ厚膜化に適したハードマスク形成用組成物及び前記ハードマスク形成用組成物を用いた電子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法に用いる支持体の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法におけるハードマスク層(m1)を形成する工程の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法におけるハードマスク層(m2)を形成する工程の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法におけるレジスト膜を形成する工程の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法におけるレジストパターンを形成する工程の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法における無機パターンを形成する工程の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法における樹脂パターンを形成する工程の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態にかかる電子部品を製造する方法における支持体を加工する工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0014】
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0015】
<ハードマスク形成用組成物>
本発明の第1の態様に係るハードマスク形成用組成物は、リソグラフィーで用いられるハードマスクを形成するための組成物である。本実施形態のハードマスク形成用組成物は、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含有し、前記第1の樹脂に含まれる炭素量は、当該第1の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して85質量%以上であり、前記第2の樹脂に含まれる炭素量は、当該第2の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して70質量%以上であり、前記第1の樹脂に含まれる炭素量未満である。
【0016】
≪第1の樹脂≫
第1の樹脂は、当該樹脂に含まれる炭素量が、当該第1の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して85質量%以上であることを特徴とする。かかる炭素含有量の高い第1の樹脂を用いることにより、エッチング耐性が高く、かつ耐熱性を備えたハードマスク形成用組成物を調製することができる。
【0017】
樹脂を構成する全元素の合計質量に対する当該樹脂の炭素量(質量%)は、構成単位毎の炭素量(質量%)に該構成単位のモル比を乗じて算出された値の合計値として求めることができる。より具体的には、構成単位(uA)と構成単位(uB)との共重合体である樹脂(R)における炭素量(質量%)は、下記式(1)により求めることができる。なお、3種以上の構成単位を有する樹脂も、同様に、樹脂の炭素量(質量%)を算出することができる。
【0018】
【数1】
【0019】
第1の樹脂の炭素量は、85質量%以上であれば、特に限定されないが、87質量%以上であることが好ましく、88質量%以上であることがより好ましく、89質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。第1の樹脂の炭素量の範囲としては、例えば、85~96質量%が例示され、87~95質量%が好ましく、88~94質量%がより好ましく、89~93質量%がさらに好ましく、90~92質量%が特に好ましい。第1の樹脂の炭素量が、前記範囲の下限値以上であると、エッチング耐性が高く、かつ耐熱性の高いハードマスクを形成することができる。また、第1の樹脂の炭素量が、前記範囲の上限値以下であると、他の元素とのバランスがとりやすくなる。
【0020】
第1の樹脂が有する構成単位としては、例えば、下記一般式(u11-1)で表される構成単位(u11)、下記一般式(u12-1)で表される構成単位(u12)、及び下記一般式(u13-1)で表される構成単位(u13)が挙げられる。
【0021】
【化1】
[式中、R11は、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基又は水素原子である。R12は、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。]
【0022】
【化2】
[式中、R13は、置換基を有してもよい炭素数10~30の多環式炭化水素基である。]
【0023】
〔構成単位(u11)〕
構成単位(u11)は、前記一般式(u11-1)で表される構成単位である。前記一般式(u11-1)中、R11は、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基又は水素原子である。なお、該炭素数には、置換基が含む炭素原子は含まないものとする。以下、同様に、特に言及しない限り、炭素数には、置換基が含む炭素原子は含まないものとする。
【0024】
11における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0025】
直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~5がより好ましく、1~3がさらに好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3~10であることが好ましく、3~5がより好ましい。
直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基などの直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基などの分岐鎖状アルキル基;ビニル基、プロペニル基(アリル基)、2-ブテニル基などの直鎖状アルケニル基:1-メチルビニル基、2-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基などの分岐鎖状アルケニル基;エチニル基、プロパルギル基、3-ペンチニル基などの直鎖状アルキニル基;1-メチルプロパルギル基などの分岐鎖状アルキニル基が挙げられる。
【0026】
11における直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0027】
11における構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子1個を除いた基)、脂肪族炭化水素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基等が挙げられる。前記アルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素環は、炭素数が3~10であることが好ましく、3~6であることがより好ましい。
【0028】
前記脂肪族炭化水素環は、多環であってもよく、単環であってもよい。
単環の脂肪族炭化水素環としては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環の脂肪族炭化水素環としては、炭素数7~10のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン等が挙げられる。
【0029】
11における環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。前記置換基におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1~5のものが好ましく、炭素数1~3がより好ましい。
【0030】
11における炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5~20であることが好ましく、5~18がより好ましく、6~16がさらに好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピロリジン環、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
11における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0031】
11における芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。前記置換基におけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基として、炭素数1~5のものが好ましく、炭素数1~3がより好ましい。
【0032】
上記の中でも、R11における炭化水素基としては、樹脂の炭素量を高くできることから、芳香族炭化水素基が好ましく、多環芳香族炭化水素基がより好ましい。中でも、置換基を有しないものがさらに好ましい。
【0033】
11の具体例を以下に示す。下記式中、「*」は、一般式(u11-1)中の窒素原子に結合する結合手を示す。
【0034】
【化3】
【0035】
構成単位(u11)の具体例を以下に示す。
【0036】
【化4】
【0037】
第1の樹脂が有する構成単位(u11)は、1種でもよく2種以上でもよい。
第1の樹脂中の構成単位(u11)の割合は、第1の樹脂を構成する全構成単位の合計に対して1~60モル%が好ましく、3~50モル%がより好ましい。
構成単位(u11)の割合を前記好ましい範囲の下限値以上とすると、エッチング耐性及び耐熱性が向上する。また、構成単位(u11)の割合を前記好ましい範囲の上限値以下とすると、他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0038】
〔構成単位u12〕
構成単位(u12)は、前記一般式(u12-1)で表される構成単位である。前記一般式(u12-1)中、R12は、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。該芳香族炭化水素基は、炭素数6~25が好ましい。
【0039】
12における芳香族炭化水素基としては、前記一般式(u11-1)中のR11における芳香族炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0040】
12における芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、R11における芳香族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。好ましい置換基としては、炭素数1~3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。樹脂の炭素量を高める観点から、R12における芳香族炭化水素基は、置換基を有しないものが好ましい。
【0041】
12の具体例を以下に示す。下記式中、「*」は、一般式(u12-1)中の炭素原子に結合する結合手を示す。
【0042】
【化5】
【0043】
構成単位(u12)の具体例を以下に示す。
【0044】
【化6】
【0045】
第1の樹脂が有する構成単位(u12)は、1種でもよく2種以上でもよい。
第1の樹脂中の構成単位(u12)の割合は、第1の樹脂を構成する全構成単位の合計に対して30~70モル%が好ましく、40~60モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましい。
構成単位(u12)の割合を前記好ましい範囲の下限値以上とすると、エッチング耐性及び耐熱性が向上する。また、構成単位(u12)の割合を前記好ましい範囲の上限値以下とすると、他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0046】
〔構成単位(u13)〕
構成単位(u13)は、前記一般式(u13-1)で表される構成単位である。前記一般式(u13-1)中、R13は、置換基を有してもよい炭素数10~30の多環式炭化水素基である。該多環芳香族炭化水素基は、炭素数10~25が好ましい。
【0047】
13における多環芳香族炭化水素基は、芳香環を2個以上含む芳香族炭化水素基である。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピロリジン環、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
13における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン、ペリレン等)から水素原子を2つ除いた基等が挙げられる。
【0048】
13における芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、R11における芳香族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。好ましい置換基としては、炭素数1~3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。樹脂の炭素量を高める観点から、R13における芳香族炭化水素基は、置換基を有しないものが好ましい。
【0049】
13の具体例を以下に示す。下記式中、「*」は、一般式(u13-1)中の酸素原子に結合する結合手を示す。
【0050】
【化7】
【0051】
構成単位(u13)の具体例を以下に示す。
【0052】
【化8】
【0053】
第1の樹脂が有する構成単位(u13)は、1種でもよく2種以上でもよい。
第1の樹脂中の構成単位(u13)の割合は、第1の樹脂を構成する全構成単位の合計に対して1~60モル%が好ましく、3~50モル%がより好ましい。
構成単位(u13)の割合を前記好ましい範囲の下限値以上とすると、エッチング耐性及び耐熱性が向上する。また、構成単位(u13)の割合を前記好ましい範囲の上限値以下とすると、他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0054】
第1の樹脂は、上記構成単位(u11)、構成単位(u12)及び構成単位(u13)に加えて、他の構成単位を含んでいてもよい。他の構成単位としては、炭素量の高い構成単位であることが好ましい。例えば、芳香族炭化水素基を含む構成単位等が例示される。
【0055】
第1の樹脂としては、構成単位(u11)及び構成単位(u12)を有する樹脂;構成単位(u12)及び構成単位(u13)を有する樹脂;構成単位(u11)、構成単位(u12)及び構成単位(u13)を有する樹脂;等が挙げられる。
そのような樹脂としては、構成単位(u11)を誘導するモノマーと構成単位(u12)を誘導するモノマーとの共重合体;構成単位(u12)を誘導するモノマーと構成単位(u13)を誘導するモノマーとの共重合体;構成単位(u11)を誘導するモノマーと、構成単位(u12)を誘導するモノマーと、構成単位(u13)を誘導するモノマーと、の共重合体;等が挙げられる。
【0056】
第1の樹脂の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000~500000程度が好ましく、3000~50000程度がより好ましい。第1の樹脂のMwが、前記好ましい範囲内であると、エッチング耐性及び耐熱性が良好である。
第1の樹脂の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0~4.0程度が好ましく、1.0~3.0程度がより好ましく、1.0~2.5程度が特に好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0057】
第1の樹脂の大西パラメータは、3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。第1の樹脂の大西パラメータとして、1.0~3.0の範囲が例示され、1.0~2.0が好ましい。大西パラメータは、一般的に樹脂のエッチング耐性の指標とされる(J.Electrochem Soc,143,130(1983),H.Gokan,S.Esho and Y.Ohnishi)。大西パラメータは、炭素密度を表すのに一般に用いられるパラメータであり、具体的には「[C,H,Oの全原子数]/([C原子数]-[O原子数])」で求められる。大西パラメータが低いほど、エッチング耐性が向上する。
【0058】
第1の樹脂の熱分解温度は、400℃以上であることが好ましく、410℃以上であることがより好ましい。第1の樹脂の熱分解温度としては、例えば、400~500℃の範囲が例示され、410~450℃の範囲が好ましい。前記熱分解温度は、熱重量分析(TGA)により、240℃における樹脂の質量を基準として、質量が5%減少するときの温度である。
【0059】
第1の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハードマスク形成用組成物中の第1の樹脂の割合は、ハードマスク形成用組成物に含まれる全ての樹脂の総質量に対し、50~95質量%以上が好ましく、60~90質量%がより好ましく、65~85質量%がさらに好ましい。該割合が前記好ましい範囲の下限値以上であると、ハードマスク形成用組成物のエッチング耐性及び耐熱性が向上する。該割合が前記好ましい範囲の上限値以下であると、ハードマスク層を厚膜化した際にクラック等が生じにくい。
【0060】
第1の樹脂は、例えば、構成単位(u12)を誘導するモノマーと、構成単位(u11)を誘導するモノマー及び構成単位(u13)を誘導するモノマーのいずれか又は両方と、を酸触媒の存在下で縮合させることにより製造することができる。構成単位(u11)を誘導するモノマー及び構成単位(u13)を誘導するモノマーとしては、通常、フェノール化合物を用いることができる。また、構成単位(u12)を誘導するモノマーとしては、通常、アルデヒド化合物を用いることができる。
【0061】
第1の樹脂の具体例を以下に示す。
【0062】
【化9】
【0063】
【化10】
【0064】
≪第2の樹脂≫
第2の樹脂は、当該樹脂に含まれる炭素量が、当該第2の樹脂を構成する全元素の合計質量に対して70質量%以上、前記第1の樹脂に含まれる炭素量未満であることを特徴とする。かかる炭素含有量の第2の樹脂を、第1の樹脂と併用することにより、優れたエッチング耐性及び耐熱性を維持しながら、ハードマスク層にクラック等が生じにくくなり、ハードマスク層の厚膜化(例えば、1μm以上)を実現できる。
【0065】
第2の樹脂の炭素量は、70質量%以上であり、且つ前記第1の樹脂の炭素量未満であれば、特に限定されない。第2の樹脂の炭素量は、73質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、78質量%以上であることがさらに好ましい。第2の樹脂の炭素量の上限値は、第1の樹脂の炭素量未満であり、第1の樹脂の炭素量に応じて変動する。第2の樹脂の炭素量は、例えば、第1の樹脂の炭素量よりも2質量%以上低いことが好ましく、5質量%以上低いことがより好ましく、8質量%以上低いことがさらに好ましい。第2の樹脂の炭素量は、第1の樹脂の炭素量よりも、2~20質量%低いことが好ましく、5~15質量%低いことがより好ましく、8~13質量%低いことがさらに好ましい。
【0066】
第2の樹脂が有する構成単位としては、例えば、下記一般式(u21-1)で表される構成単位(u21)、下記一般式(u22-1)で表される構成単位(u22)が挙げられる。
【0067】
【化11】
[式中、R21は、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するフェノール化合物に由来する有機基である。R22は、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。]
【0068】
〔構成単位(u21)〕
構成単位(u21)は、前記一般式(u21-1)で表される構成単位である。前記一般式(u21-1)中、R21は、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するフェノール化合物に由来する有機基である。
【0069】
21における有機基が由来するフェノール化合物は、アルデヒドと縮合して、ノボラック樹脂又はレゾール樹脂を形成できるものが好ましい。そのようなフェノール化合物としては、例えば、フェノール;m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,5-キシレノール、3,4-キシレノール等のキシレノール類;m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,5-トリエチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p-メトキシフェノール、m-メトキシフェノール、p-エトキシフェノール、m-エトキシフェノール、p-プロポキシフェノール、m-プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o-イソプロペニルフェノール、p-イソプロペニルフェノール、2-メチル-4-イソプロペニルフェノール、2-エチル-4-イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン等のポリヒドロキシフェノール類等が挙げられる。
【0070】
構成単位(u21)の具体例を以下に示す。
【0071】
【化12】
[式(u21-1)中、nは0~3の整数である。]
【0072】
第2の樹脂が有する構成単位(u21)は、1種でもよく2種以上でもよい。
第2の樹脂中の構成単位(u21)の割合は、第2の樹脂を構成する全構成単位の合計に対して30~70モル%が好ましい。
【0073】
〔構成単位(u22)〕
構成単位(u22)は、前記一般式(u22-1)で表される構成単位である。前記一般式(u22-1)中、R22は、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は水素原子である。該芳香族炭化水素基は、炭素数6~25が好ましく、炭素数6~20がより好ましく、炭素数6~15がさらに好ましい。
【0074】
22における芳香族炭化水素基としては、前記一般式(u11-1)中のR11における芳香族炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0075】
22における芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、R11における芳香族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。好ましい置換基としては、炭素数1~5の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0076】
より具体的には、構成単位(u22)は、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を含むアルデヒド化合物から誘導される構成単位が好ましい。アルデヒド化合物の具体例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒド、p-クロロベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、4-イソブチルベンズアルデヒド、4-フェニルベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0077】
構成単位(u22)の具体例を以下に示す。
【0078】
【化13】
【0079】
第2の樹脂が有する構成単位(u22)は、1種でもよく2種以上でもよい。
第2の樹脂中の構成単位(u22)の割合は、第2の樹脂を構成する全構成単位の合計に対して30~70モル%が好ましい。
【0080】
第2の樹脂は、上記構成単位(u21)及び構成単位(u22)に加えて、他の構成単位を含んでいてもよい。他の構成単位としては、例えば、炭化水素基を含む構成単位等が例示される。
【0081】
第2の樹脂としては、構成単位(u21)及び構成単位(u22)を有する樹脂等が挙げられる。そのような樹脂としては、構成単位(u21)を誘導するモノマーと構成単位(u22)を誘導するモノマーとの共重合体等が挙げられる。
より具体的には、第2の樹脂は、ノボラック樹脂又はレゾール樹脂であることが好ましく、ノボラック樹脂であることがより好ましい。
【0082】
第2の樹脂の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000~100000程度が好ましい。
第2の樹脂の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1~50程度が好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0083】
第2の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハードマスク形成用組成物中の第2の樹脂の割合は、ハードマスク形成用組成物に含まれる全ての樹脂の総質量に対し、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、15~35質量%がさらに好ましい。
第1の樹脂と第2の樹脂との比率(質量比)は、第1の樹脂/第2の樹脂=50/50~95/5であることが好ましく、60/40~90/10がより好ましく、65/35~80/20がさらに好ましい。該比率が前記好ましい範囲内であると、良好なエッチング耐性及び耐熱性を維持しつつ、ハードマスク層を厚膜化した際にクラック等が生じにくくなる。
【0084】
第2の樹脂は、例えば、構成単位(u21)を誘導するモノマーと、構成単位(u22)を誘導するモノマーと、を酸触媒又はアルカリ触媒の存在下で縮合させることにより製造することができる。構成単位(u21)を誘導するモノマーとしては、通常、フェノール化合物を用いることができる。また、構成単位(u22)を誘導するモノマーとしては、通常、アルデヒド化合物を用いることができる。酸触媒としては、特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸等が例示される。
【0085】
第2の樹脂は、市販のノボラック樹脂又はレゾール樹脂等を用いてもよい。市販のノボラック樹脂及びレゾール樹脂としては、例えば、住友ベークライト製のPR-53364、PR-53365等が挙げられる。
【0086】
第2の樹脂の具体例を以下に示す。
【0087】
【化14】
【0088】
【化15】
【0089】
≪任意成分≫
本実施形態のハードマスク形成用組成物は、前記第1の樹脂及び第2の樹脂に加えて、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、架橋剤、架橋促進触媒、光酸発生剤、吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤、溶剤等が挙げられる。
【0090】
架橋剤としては、メチロール基もしくはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、及びメラミン系架橋剤等が挙げられる。具体例としては、例えば、(株)三和ケミカルのニカラック〔登録商標〕シリーズ(ニカラックMX270など)が挙げられる。架橋剤の配合量は、ハードマスク形成用組成物中の全樹脂成分100質量部に対して1~50質量部であることが好ましく、1~40質量部であることがより好ましい。架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
架橋促進触媒としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、及びナフタレンカルボン酸等の酸性化合物;2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、及びその他有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤が挙げられる。架橋促進触媒の配合量は、ハードマスク形成用組成物中の全樹脂成分100質量部に対して、0.0001~20質量部であることが好ましく、0.0005~10質量部がより好ましく、0.01~3質量部がさらに好ましい。架橋促進触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0092】
光酸発生剤としては、例えば、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、並びにベンゾイントシレート、及びN-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類等が挙げられる。光酸発生剤の配合量は、ハードマスク形成用組成物中の全樹脂成分100質量部に対して、0.2~10質量部であることが好ましく、0.4~5質量部であることが好ましい。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】
吸光剤としては、例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.Disperse Yellow 1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.D isperse Orange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.Disperse Red 1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.Disperse Violet 43;C.I.Disperse Blue 96;C.I.Fluorescent Brightening Agent 112,135及び163;C.I.Solvent Orange2及び45;C.I.Solvent Red 1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.Pigment Green 10;C.I.Pigment Brown2等が挙げられる。吸光剤の配合量は、ハードマスク形成用組成物中の全樹脂成分100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。吸光剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0094】
レオロジー調整剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、及びブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、及びオクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、及びジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、及びテトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート及びグリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体が挙げられる。レオロジー調整剤の配合量は、ハードマスク形成用組成物中の全樹脂成分100質量部に対して、30質量部未満が好ましい。レオロジー調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0095】
接着補助剤としては、例えばmトリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、及びクロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、及びフェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、及びトリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、及びメルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1-ジメチルウレア及び1,3-ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物が挙げられる。接着補助剤の配合量は、ハードマスク形成用組成物中の全樹脂成分100質量部に対して、5質量部未満であることが好ましく、2質量部未満であることがより好ましい。接着補助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0096】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、及びソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、並びにエフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352[三菱マテリアル電子化成(株)(旧(株)トーケムプロダクツ)製、商品名]、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30[DIC(株)(旧大日本インキ(株))製、商品名]、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製、商品名)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製、商品名)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。界面活性剤の配合量は、ハードマスク形成用組成物中の全樹脂成分100質量部に対して、2.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0097】
溶剤は、前記第1の樹脂、第2の樹脂、及び前記任意成分を溶解するために用いられる。溶剤としては、例えば、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらの中でも、レベリング性をより向上させる観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等が好ましい。
【0098】
溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤としてもよい。
溶剤の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。例えば、ハードマスク形成用組成物中の樹脂成分濃度が1~50質量%、好ましくは15~35質量%の範囲内となるように、溶剤を配合することができる。
【0099】
本実施形態のハードマスク形成用組成物は、85質量%以上の高い炭素量を有する第1の樹脂と、前記第1の樹脂の炭素量より若干低い炭素量を有する第2の樹脂と、を併用するため、良好なエッチング耐性及び耐熱性を有し、かつクラックの発生が低減されたハードマスク層を形成することができる。これにより、ハードマスク層を厚膜化(例えば、1μm以上)できることから、深掘加工用のハードマスク形成用組成物として好適に用いることができる。
【0100】
<電子部品の製造方法>
≪第1実施形態≫
本発明の第2の態様に係る電子部品の製造方法は、
支持体上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程(以下「工程(i)」という。)、
前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程(以下、「工程(ii)」という。)、
前記ハードマスク層(m2)上に、レジスト膜を形成する工程(以下、「工程(iii)」)、
前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターンを形成する工程(以下、「工程(iv)」という。)、
前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターンを形成する工程(以下、「工程(v)」という)、
前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターンを形成する工程(以下、「工程(vi)」という)、及び
前記樹脂パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程(以下、「工程(vii)」という。)
を有する。
以下、本実施形態の電子部品の製造方法について、図1図8を参照しながら具体例を説明する。ただし、本実施形態に係る製造法は、これに限定されるものではない。
【0101】
図1は、基板11及び加工層12からなる支持体10を示す。
まず、支持体10上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する(図2;工程(i))。
次に、ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する(図3;工程(ii))。また、必要に応じて、ハードマスク層(m2)上に反射防止膜(BARC)20を成膜する。
次に、ハードマスク層(m2)上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜30を形成する(図4;工程(iii))。
次に、レジスト膜を露光し、現像することにより、ハードマスク層(m2)上にレジストパターン30pを形成する(図5;工程(iv))。
次に、レジストパターン30pをマスクとしてハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターン(m2p)を形成する(図6;工程(v))。
次に、無機パターン(m2p)をマスクとしてハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターン(m1p)を形成する(図7;工程(vi))。
次に、樹脂パターン(m1p)をマスクとして支持体10を加工し、パターン12pを形成する(図8;工程(vii))。
このようにして、基板11上にパターン12pを備えた電子部品100を製造することができる。
【0102】
[工程(i)]
工程(i)は、支持体10上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程である。
【0103】
支持体10としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体10は、前記基板11上に加工層12が成膜されたものであってもよい。加工層12としては、Si、SiO、SiON、SiN、p-Si、α-Si、W、W-Si、Al、Cu、Al-Si等種々のLow-k膜及びそのストッパー膜等が挙げられる。加工層12の厚さは、通常、50~10,000nmとすることができる。また、深掘加工を行なう場合、加工層12の厚さは、1,000~10,000nmとすることができる。なお、加工層12を成膜する場合、基板11と加工層12とは、通常、異なる材質のものが用いられる。
【0104】
ハードマスク層(m1)の形成には、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いる。具体的には、支持体10上に、第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を、スピンコート法等で塗布する。次いで、ベークして硬化させることにより、ハードマスク層(m1)を形成する。ベークは、通常、100℃~500℃、好ましくは200℃~450℃、より好ましくは300℃~400℃の範囲で行う。ベーク温度を前記範囲の上限値以下とすることにより、樹脂の酸化反応によるエッチング耐性の低下を抑制することができる。また、ベーク温度を前記範囲の下限値以上とすることにより、後述の工程(ii)での成膜時の高温による変質を抑制することができる。ベーク時間は、通常、10~600秒、好ましくは30~300秒、より好ましくは50~200秒とすることができる。
【0105】
ハードマスク層(m1)の膜厚は、特に限定されず、加工層12の厚さに応じて適宜設定可能である。ハードマスク層(m1)の膜厚は、例えば、30~20,000nmとすることができる。また、深掘加工を行なう場合、ハードマスク層(m1)の膜厚は、1,000nm以上とすることが好ましい。この場合、ハードマスク層(m1)の膜厚としては、1,000~20,000nmが好ましく、1,000~15,000nmがより好ましい。
【0106】
[工程(ii)]
工程(ii)は、ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなるハードマスク層(m2)を形成する工程である。
【0107】
ハードマスク層(m2)を形成するための無機材料は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。無機材料としては、例えば、ケイ素酸化膜(SiO膜)、ケイ素窒化膜(Si膜)、及びケイ素酸化窒化膜(SiON膜)等が挙げられる。中でも、反射防止膜としての効果が高いSiON膜が好ましい。ハードマスク層(m2)の形成には、CVD法やALD法等を用いることができる。
ハードマスク層(m2)の膜厚としては、5~200nm程度が例示され、10~100nm程度が好ましい。
【0108】
ハードマスク層(m2)の形成にCVD法やALD法を用いる場合、温度が高温(400℃程度)となるため、ハードマスク層(m1)には高温耐性が求められる。前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物は、耐熱性に優れ、400℃程度の高温に曝露されてもシュリンク等が生じにくい。そのため、CVD法やALD法で成膜される無機ハードマスク層と組み合わせて、好適に用いることができる。
【0109】
ハードマスク層(m2)を形成後、必要に応じて、ハードマスク層(m2)上に、反射防止膜(BARC)20を形成してもよい。BARC20は、有機BARCであってもよく、無機BARCであってもよい。BARCは、従来公知の方法を用いて形成することができる。
【0110】
[工程(iii)]
工程(iii)は、ハードマスク層(m2)上に、レジスト組成物を用いてレジスト膜30を形成する工程である。
【0111】
レジスト組成物は、特に限定されず、一般に、露光工程を用いた方法に好適なレジスト材料として提案されているものを使用することができる。レジスト組成物は、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。レジスト組成物としては、例えば、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有するもの等が例示される。
【0112】
レジスト膜30の形成は、特に限定されず、レジスト膜の形成に一般的に用いられる方法を用いればよい。例えば、ハードマスク層(m2)上に(BARC20を形成した場合はハードマスク層(m2)上のBARC20上に)、レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施してレジスト膜30を形成することができる。
レジスト膜30の膜厚は、特に限定されないが、一般的に、30~500nm程度が例示される。
【0113】
[工程(iv)]
工程(iv)は、レジスト膜30を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m2)上にレジストパターン30pを形成する工程である。
【0114】
レジスト膜30の露光は、ArF露光装置、KrF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて行なうことができる。露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、並びにX線及び軟X線等の放射線等を用いて行うことができる。レジスト膜30の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
【0115】
例えば、レジスト膜30に対して、所定のパターンが形成されたフォトマスク(マスクパターン)を介した露光、又はフォトマスクを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的露光を行う。その後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施す。
【0116】
次に、前記レジスト膜30を現像処理する。現像処理に用いる現像液は、レジスト組成物の種類、現像方法に応じて、一般的に使用される現像液から適宜選択することができる。例えば、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0117】
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0118】
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を、超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
【0119】
このようにして、ハードマスク層(m2)上に、レジストパターン30pを形成することができる。
【0120】
[工程(v)]
工程(v)は、前記レジストパターン30pをマスクとして前記ハードマスク層(m2)にエッチング処理を施して、無機パターン(m2p)を形成する工程である。
【0121】
ハードマスク層(m2)のエッチング処理の方法は、特に限定されず、一般的なドライエッチング法等を用いることができる。エッチングの方法としては、例えば、ダウンフローエッチングやケミカルドライエッチング等の化学的エッチング;スパッタエッチングやイオンビームエッチング等の物理的エッチング;RIE(リアクティブイオンエッチング)等の化学的・物理的エッチングが例示される。
例えば、平行平板型RIEでは、RIE装置のチャンバーに多層積層体を入れ、必要なエッチングガスを導入する。チャンバー内の、上部電極と平行に置かれた多層積層体のホルダーに高周波電圧を加えると、エッチングガスがプラズマ化される。プラズマ中では正・負のイオンや電子などの電荷粒子、中性活性種などのエッチング種が存在している。これらのエッチング種が下部レジスト層に吸着すると、化学反応が生じ、反応生成物が表面から離脱して外部へ排気され、エッチングが進行する。
【0122】
ハードマスク層(m2)をエッチングするために用いられるエッチングガスとしては、例えば、ハロゲン系のガスが挙げられる。ハロゲン系のガスとしては、水素原子の一部または全部がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子で置換された炭化水素ガスが例示される。より具体的には、テトラフルオロメタン(CF)ガス、トリフルオロメタン(CHF)ガス等のフッ化炭素系ガス;テトラクロロメタン(CCl)ガス等の塩化炭素系ガス等が挙げられる。
【0123】
[工程(vi)]
工程(vi)は、前記無機パターン(m2p)をマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターン(m1p)を形成する工程である。
【0124】
エッチング処理の方法は、特に限定されず、上記工程(v)と同様に、一般的なドライエッチング方法等を用いることができる。ハードマスク層(m1)をエッチングするために用いられるエッチングガスとしては、例えば、酸素ガス、二酸化硫黄ガス、ハロゲン系ガス等が挙げられる。例えば、エッチングガスとして酸素ガスを用いた酸素プラズマエッチング等が好ましく例示される。
【0125】
[工程(vii)]
工程(vii)は、前記樹脂パターン(m1p)をマスクとして前記支持体10を加工する工程である。
【0126】
支持体10の加工は、例えば、樹脂パターン(m1p)をマスクとして加工層12にエッチング処理を施すことにより行うことができる。エッチング処理の方法は、特に限定されず、上記工程(v)と同様に、一般的なドライエッチング方法等を用いることができる。加工層12をエッチングするために用いられるエッチングガスとしては、例えば、ハロゲン系ガスが挙げられる。
【0127】
本実施形態の電子部品の製造方法においては、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いて、ハードマスク層(m1)を形成するため、ハードマスク層(m1)の厚膜化(1μm以上)が可能である。そのため、ハードマスク層(m1)から形成される樹脂パターンを、深掘加工のマスクとして好適に用いることができる。
【0128】
なお、上記では、3層レジスト法により電子部品を製造する方法を説明したが、2層レジスト法により電子部品を製造してもよい。その場合、ハードマスク層(m1)上には、ハードマスク層(m2)ではなく、レジスト膜30を形成する。
そして、前記工程(iv)と同様に、レジスト膜30を露光し、現像することにより、ハードマスク層(m1)上にレジストパターン30pを形成する。
次に、前記工程(vi)と同様に、レジストパターン30pをマスクとしてハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターン(m1p)を形成する。
その後は、前記工程(vii)と同様に、樹脂パターン(m1p)をマスクとして支持体10を加工し、パターン12pを形成する。
このようにして、2層レジスト法によっても電子部品を製造することができる。
【0129】
したがって、本発明は、
支持体上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程、
前記ハードマスク層(m1)上にレジスト膜を形成する工程、
前記レジスト膜を露光し、現像することにより、前記ハードマスク層(m1)上にレジストパターンを形成する工程、
前記レジストパターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターンを形成する工程、及び
前記樹脂パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程
を有する、電子部品の製造方法、もまた提供する。
【0130】
≪第2実施形態≫
本発明の第3の態様に係る電子部品の製造方法は、
支持体上に、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する工程(以下、「工程(i)’」という。)、
前記ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターンを形成する工程、(以下、「工程(v)’」という。)
前記無機パターンをマスクとして前記ハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターンを形成する工程(以下、「工程(vi)’」という。)、及び
前記樹脂パターンをマスクとして前記支持体を加工する工程(以下、「工程(vii)’」という。)
を有する。
【0131】
第3の態様に係る電子部品の製造方法は、レジスト膜の形成を行わず、無機材料からなる無機パターンを直接ハードマスク層(m1)上に形成することを除いて、前記第2の態様に係る電子部品の製造方法と同様である。
以下、本実施形態の電子部品の製造方法について、図1図2及び図6~8を参照しながら具体例を説明する。ただし、本実施形態に係る製造方法は、これに限定されるものではない。
【0132】
まず、支持体10上、前記第1の態様に係るハードマスク形成用組成物を用いてハードマスク層(m1)を形成する(図1図2;工程(i)’)。本工程は、前記第2の態様に係る電子部品の製造方法における工程(i)と同様である。
【0133】
次に、ハードマスク層(m1)上に、無機材料からなる無機パターン(m2p)を形成する(図6;工程(v)’)。無機パターン(m2p)を形成するための無機材料としては、前記第2の態様に係る電子部品の製造方法における工程(ii)で例示した無機材料と同様のもの、及び前記無機材料を含有するレジスト組成物等が挙げられる。無機パターン(m2p)の形成方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ハードマスク層(m1)上に、無機材料を含有するレジスト組成物を用いて、無機レジスト膜を形成し、露光及び現像を行なうことで、ハードマスク層(m1)上に無機パターン(m2p)を形成することができる。
【0134】
次に、無機パターン(m2p)をマスクとしてハードマスク層(m1)にエッチング処理を施して、樹脂パターン(m1p)を形成する(図7;工程(vi)’)。本工程は、前記第2の態様に係る電子部品の製造方法における工程(vi)と同様である。
次に、樹脂パターン(m1p)をマスクとして支持体10を加工し、パターン12pを形成する(図8;工程(vii)’)。本工程は、前記第2の態様に係る電子部品の製造方法における工程(vii)と同様である。
このようにしても、基板11上にパターン12pを備えた電子部品100を製造することができる。
【0135】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0136】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0137】
<第1の樹脂の製造例>
9-ナフチルカルバゾール10.00g(34.09mmol)、ベンズアルデヒド36.17g(340.9mmol)、及び1-ピレノール66.96g(306.8mmol)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)75.42gに溶解した後、パラトルエンスルホン酸10%PGMEA溶液87.53gを添加した。反応温度を約120℃程度に維持しながら重合を進行させた。
約10時間程度反応させた後、反応物に過剰量のメタノール/水(9:1)共溶媒を添加し、生成された固体を適量のPGMEAに溶解した。これを、過剰量のエタノール/水(9:1)共溶媒に対して滴下し、沈殿を採取した。前記沈殿を65℃程度の真空オーブンで約20時間程度乾燥させた。その結果、下記樹脂(1-1)を得た。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は4,000、分子量分散度(Mw/Mn)は2.1。
【0138】
【化16】
【0139】
<第2の樹脂の製造例>
≪樹脂(2-1)、樹脂(2-2)≫
定法により、m-クレゾール及びp-クレゾールと、ホルムアルデヒドとを酸触媒下で付加縮合させることにより、下記の樹脂(2-1)を得た。
【0140】
【化17】
【0141】
定法により、m-クレゾール及び2,3,5-トリメチルフェノールと、ホルムアルデヒドとを酸触媒下で付加縮合させることにより、下記の樹脂(2-2)を得た。
【0142】
【化18】
【0143】
≪樹脂(2-3)≫
攪拌機、温度計を備えた100mLの3つ口フラスコに、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン15.0g(39.7mmol)、ベンズアルデヒド4.21g(39.7mmol)、PGMEA15.7g、p-トルエンスルホン酸の10%PGMEA溶液10.2gを仕込み、120℃で10時間反応させた。得られた溶液にPGMEA45.7gを加え、室温に戻した後、過剰量の貧溶媒(メタノール:水=6:4)に対して滴下し、沈殿を濾過した。得られた沈殿を60℃の真空オーブンで終夜乾燥させ、下記の樹脂(2-3)10.5gを得た。重量平均分子量(Mw)は2100、多分散度(Mw/Mn)は1.58であった。
【0144】
【化19】
【0145】
≪樹脂(2-4)≫
攪拌機、温度計を備えた200mLの3つ口フラスコに、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン30.0g(79.3mmol)、4-イソプロピルベンズアルデヒド11.8g(79.3mmol)、PGMEA27.8g、p-トルエンスルホン酸の10%PGMEA溶液20.4gを仕込み、120℃で16時間反応させた。得られた溶液にPGMEA51.3gを加え、室温に戻した後、過剰量の貧溶媒(メタノール:水=8:2)に対して滴下し、沈殿を濾過した。得られた沈殿を60℃の真空オーブンで終夜乾燥させ、下記の樹脂(2-4)10.5gを得た。重量平均分子量(Mw)は1900、多分散度(Mw/Mn)は1.32であった。
【0146】
【化20】
【0147】
≪樹脂(2-5)≫
攪拌機、温度計を備えた200mLの3つ口フラスコに、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン30.0g(79.3mmol)、4-イソブチルベンズアルデヒド12.9g(79.3mmol)、PGMEA28.5g、p-トルエンスルホン酸の10%PGMEA溶液20.4gを仕込み、120℃で14時間反応させた。得られた溶液にPGMEA51.3gを加え、室温に戻した後、過剰量の貧溶媒(メタノール:水=8:2)に対して滴下し、沈殿を濾過した。得られた沈殿を60℃の真空オーブンで終夜乾燥させ、下記の樹脂(2-5)10.5gを得た。重量平均分子量(Mw)は2000、多分散度(Mw/Mn)は1.29であった。
【0148】
【化21】
【0149】
≪樹脂(2-6)≫
攪拌機、温度計を備えた100mLの3つ口フラスコに、ビスフェノールZ(本州化学工業)30.0g(111.79mmol)、4-フェニルベンズアルデヒド20.37g(111.79mmol)、PGMEA33.58g、p-トルエンスルホン酸の10%PGMEA溶液28.70gを仕込み、120℃で5時間反応させた。得られた溶液にPGMEA58.1gを加え、室温に戻した後、過剰量の貧溶媒(メタノール:水=80:20)に対して滴下し、沈殿を濾過した。得られた沈殿を60℃の真空オーブンで終夜乾燥させ、上記(2-6)の樹脂37gを得た。重量平均分子量(Mw)は2700、多分散度(Mw/Mn)は2.32であった。
【0150】
【化22】
【0151】
(実施例1~6、比較例1~3)
<ハードマスク形成用組成物の調製>
表1に示す各成分を混合して溶解し、各例のハードマスク形成用組成物をそれぞれ調製した。
【0152】
【表1】
【0153】
表1中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。下記樹脂(3-1)及び樹脂(3-2)は、定法により、各構成単位を誘導するモノマーをラジカル重合することにより合成した。
(1)-1:上記の樹脂(1-1)。
(2)-1:上記の樹脂(2-1)。
(2)-2:上記の樹脂(2-2)。
(2)-3:上記の樹脂(2-3)。
(2)-4:上記の樹脂(2-4)。
(2)-5:上記の樹脂(2-5)。
(2)-6:上記の樹脂(2-6)。
(3)-1:下記の樹脂(3-1)。
(3)-2:下記の樹脂(3-2)。
(S)-1:PGMEA/シクロヘキサノン=75/25(混合比)の混合溶剤。
【0154】
【化23】
【0155】
<クラックの評価>
シリコンウェーハ上に、実施例1~6及び比較例1~3の各ハードマスク形成用組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、温度350℃で60秒間のベーク処理を行うことにより乾燥して、膜厚2~4μmのハードマスク層を形成した。
オプトデジタルマイクロスコープ DSX500により、ハードマスク層を観察し、下記評価基準に基づき、クラックの発生を評価した。その結果を表2に示した。
評価基準
0:クラックなし
1:ウェーハ上まばらに数本のクラック
2:ウェーハ全面に数10本程度のクラック
3:ウェーハ全面に数100本のクラック
4:ウェーハ全面に非常に多数のクラック、ハードマスク層が崩れるほど脆い
【0156】
<シュリンク率の評価>
シリコンウェーハ上に、実施例1~6及び比較例1~4の各ハードマスク形成用組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、温度240℃又は350℃で60秒間のベーク処理を行うことにより乾燥して、膜厚2~4μmのハードマスク層を形成した。
温度240℃でベークしたサンプルと350℃でベークしたサンプルにおいて、ハードマスク層の膜厚をそれぞれ測定し、下記式によりシュリンク率を算出した。その結果を表2に示した。
【0157】
【数2】
【0158】
【表2】
【0159】
表2に示す結果から、実施例1~6のハードマスク形成用組成物では、クラックの発生が抑制され、シュリンク率の劣化も確認されなかった。
一方、比較例1では、ウェーハ全面に多数のクラックが確認された。また、比較例2及び3では、クラックの改善は認められたものの、シュリンク率が劣化した。
【0160】
(実施例7~11、比較例4)
<ハードマスク形成用組成物の調製>
表3に示す各成分を混合して溶解し、各例のハードマスク形成用組成物をそれぞれ調製した。
【0161】
【表3】
【0162】
表3中、各略号はそれぞれ表1と同様である。
【0163】
<クラックの評価>
表3の各例のハードマスク形成用組成物をそれぞれ用いたこと以外は、上記と同様の方法で、クラックの評価を行った。結果を表4に示した。
評価基準
0:クラックなし
1:ウェーハ上まばらに数本のクラック
2:ウェーハ全面に数10本程度のクラック
3:ウェーハ全面に数100本のクラック
4:ウェーハ全面に非常に多数のクラック、ハードマスク層が崩れるほど脆い
【0164】
【表4】
【0165】
表4に示す結果から、実施例7~11のハードマスク形成用組成物では、比較例4と比較して、クラックの発生が抑制された。
【符号の説明】
【0166】
10 支持体
11 基板
12 加工層
12p パターン
20 BARC層
30 レジスト膜
30p レジストパターン
m1、m2 ハードマスク層
m1p 樹脂パターン
m2p 無機パターン
100 電子部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8