(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ケイ素含有膜の高温原子層堆積
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
H01L21/316 X
(21)【出願番号】P 2021518556
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 US2019054650
(87)【国際公開番号】W WO2020072874
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】メイリャン ワン
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-051864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0033614(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0111272(US,A1)
【文献】特開2017-130665(JP,A)
【文献】特開2013-236073(JP,A)
【文献】特表2018-506185(JP,A)
【文献】特表2018-523917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ケイ素膜を堆積する方法であって、
a.表面を備える基材を反応器中に提供して、前記反応器
を600℃
~1000℃の温度に加熱する工程;
b.以下の式I及びII:
I R
3-nX
nSi-R
1-SiX
mR
2
3-m
II R
3-nX
nSi-R
1-SiX
qR
3
p-R
1-SiX
mR
2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR
2が水素原子及びC
1~C
3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R
1が2つのケイ素原子に結合されたC
1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R
3が水素及びC
1~C
3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を前記反応器中に導入して、前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、前記基材の前記表面の少なくとも一部で反応して、化学吸着された層を提供する工程;
c.第一のパージガスを用いて、工程bに基づく任意の未消費の前駆体及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程;
d.酸素含有源を前記反応器中に導入して、前記化学吸着された膜と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程;並びに
e.前記第一のパージガスと同じか、又は前記第一のパージガスとは異なる第二のパージガスを用いて、工程dに基づく任意の未消費の酸素含有源及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの前記酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返され
、前記酸化ケイ素膜が、SIMSによって測定した場合に2×10
19
原子/cm
3
以下の炭素含有量を有する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-1,3-ジシラブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-2-メチル-1,3-ジシラブタン、2,2,4,4-テトラクロロ-2,4-ジシラペンタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラプロパン、2,4-ジクロロ-2,4-ジメチル-2,4-ジシラペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、2,2,4,6,6-ペンタクロロ-4-メチル-2,4,6-トリシラヘプタン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一のパージガス及び第二のパージガスのそれぞれが、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素含有源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、二酸化炭素及び酸素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、窒素及び酸素を含む組成物、水蒸気、水蒸気プラズマ、水及びオゾンを含む組成物、過酸化水素、オゾン源並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
酸化ケイ素膜を堆積する方法であって、
a.基材を反応器中に提供して、前記反応器
を600℃
~1000℃の温度に加熱する工程;
b.以下の式I及びII:
I R
3-nX
nSi-R
1-SiX
mR
2
3-m
II R
3-nX
nSi-R
1-SiX
qR
3
p-R
1-SiX
mR
2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR
2が水素原子及びC
1~C
3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R
1が2つのケイ素原子に結合されたC
1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R
3が水素及びC
1~C
3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を前記反応器中に導入して、前記基材に層を形成する工程;
c.第一のパージガスを用いて、工程bに基づく任意の未消費の前駆体及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程;
d.酸素含有源を前記反応器中に導入して、前記層と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程;
e.前記第一のパージガスと同じか、又は前記第一のパージガスとは異なる第二のパージガスを用いて、工程dに基づく任意の未消費の酸素含有源及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程;
f.ヒドロキシル含有源を前記反応器中に導入して、前記酸化ケイ素膜と反応させる工程;
g.パージガスを用いて前記反応器をパージして、任意の未反応のヒドロキシル含有源及び/又は任意の反応副生成物を除去する工程
を含み、工程b~gが、所望の厚さの前記酸化ケイ素膜が形成されるまで繰り返され
、前記酸化ケイ素膜が、SIMSによって測定した場合に2×10
19
原子/cm
3
以下の炭素含有量を有する、方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-1,3-ジシラブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-2-メチル-1,3-ジシラブタン、2,2,4,4-テトラクロロ-2,4-ジシラペンタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラプロパン、2,4-ジクロロ-2,4-ジメチル-2,4-ジシラペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、2,2,4,6,6-ペンタクロロ-4-メチル-2,4,6-トリシラヘプタン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第一のパージガス及び第二のパージガスのそれぞれが、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記酸素含有源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、二酸化炭素及び酸素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、窒素及び酸素を含む組成物、水蒸気、水蒸気プラズマ、水及びオゾンを含む組成物、過酸化水素、オゾン源並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
工程bが、前記反応器を50ミリTorr(mTorr)~760Torrの圧力にする工程をさらに含み、前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、Si-Me若しくはSi-Cl基、又はSi-MeとSi-Clとの両方を含む少なくとも1つの固定官能基及び不動態化官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応器の温度が700~850℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応器の圧力が50ミリTorr(mTorr)~100Torrである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
SIMSによって測定した場合に2×10
19
原子/cm
3
以下の炭素含有量を有するケイ素含有膜の堆積における使用のための組成物であって、以下の式I及びII:
I R
3-nX
nSi-R
1-SiX
mR
2
3-m
II R
3-nX
nSi-R
1-SiX
qR
3
p-R
1-SiX
mR
2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR
2が水素原子及びC
1~C
3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R
1が2つのケイ素原子に結合されたC
1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R
3が水素及びC
1~C
3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を含む、組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-1,3-ジシラブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-1,3-ジシラブタン、2,2,4,4-テトラクロロ-2,4-ジシラペンタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラプロパン、2,4-ジクロロ-2,4-ジメチル-2,4-ジシラペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、2,2,4,6,6-ペンタクロロ-4-メチル-2,4,6-トリシラヘプタン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記酸化ケイ素膜が、2.1g/cm
3以上の密度;
及び熱酸化物に対し
て4以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER
)を有する、請求項1に記載の方
法。
【請求項15】
前記酸化ケイ素膜が、熱酸化物に対し
て3以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER)を有する、請求項
14に記載の
方法。
【請求項16】
前記酸化ケイ素膜が、2.1g/cm
3以上の密度;
及び熱酸化物に対し
て4以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER
)を有する、請求項5に記載の方
法。
【請求項17】
前記酸化ケイ素膜の0.5wt%dHFにおける前記湿式エッチング速度(WER)が、熱酸化物に対し
て3以下である、請求項
16に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月5日に提出された米国仮出願62/742056号に基づく優先権を主張する。本出願はさらに、2018年10月10日に提出された米国仮出願62/743887号に基づく優先権を主張する。
【0002】
ケイ素含有膜の形成のための組成物及び方法が本明細書において説明される。より具体的には、約600℃以上の1つ又は複数の堆積温度で、原子層堆積(ALD)プロセスを使用して酸化ケイ素膜を形成するための組成物及び方法が本明細書において説明される。
【背景技術】
【0003】
熱酸化は、半導体用途において、高純度であり、かつ高いコンフォーマル性を有する酸化ケイ素膜、例えば二酸化ケイ素(SiO2)を堆積するのに一般に使用されるプロセスである。しかし、熱酸化プロセスは、非常に低い堆積速度、例えば700℃で0.0007Å/sより低い堆積速度を有し(B.E.Deal及びA.S.Groveの「General Relationship for the Thermal Oxidation of Silicon」、Journal of Applied Physics Vol 36、ページ3770(1965)を参照せよ)、このことは大量製造プロセスのために商業的に用いられることを実際的でないものとしている。
【0004】
原子層堆積(ALD)及びプラズマ強化原子層堆積(PEALD)は、低温(<500℃)で二酸化ケイ素(SiO2)のコンフォーマルな膜を堆積するのに使用されるプロセスである。ALD及びPEALDプロセスの両方において、前駆体と反応性ガス(例えば酸素又はオゾン)とは、特定のサイクル数で分離してパルス化されて、それぞれのサイクルで二酸化ケイ素(SiO2)のモノレイヤーを形成する。しかし、これらのプロセスを使用して低温で堆積された二酸化ケイ素(SiO2)は、半導体用途に対して有害な、不純物、例えば水素(H)、炭素(C)、窒素(N)又はそれらの組み合わせのレベルを含有する場合がある。これを改善するために、1つの可能な解決策は、堆積温度を500℃より高い温度に上昇させることである。しかし、これらのより高い温度では、半導体産業に用いられる従来の前駆体は、自己反応し、熱的に分解し、ALD方式というよりはむしろ化学気相堆積(CVD)方式で堆積する傾向がある。とりわけ、高いアスペクト比の構造を有する半導体用途、例えばNAND及びV-NANDについて、CVD方式の堆積は、ALD堆積と比較して減少したコンフォーマル性を有する。加えて、CVD方式の堆積プロセスは、ALD方式の堆積より低い、膜又は材料の厚さの制御性をもたらす。
【0005】
米国特許出願公開第2014/0170858号明細書は、所定の元素と、酸素と、窒素、炭素及びホウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素とを含む膜を、サイクルを所定の回数行うことによって基材に形成する方法であって、サイクルが、前記所定の元素、塩素及び酸素を含有する、前記所定の元素と酸素とが化学結合している供給源ガスを基材に供給する工程、並びに窒素、炭素及びホウ素からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する反応性ガスを基材に供給する工程を含む方法を説明している。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0111545号明細書は、半導体装置製造において、堆積速度を増加させ、ステップカバレッジを改善するために、ALDを使用して二酸化ケイ素層を形成する方法を説明している。
【0007】
米国特許第7498273号明細書は、PECVDにおいてシロキサンを使用して、基材に形成されたギャップ中にlow-k誘電体層を堆積する方法を説明していて、この方法は低い空隙率、高いエッチング選択性及びより少ないクラックを有する膜を与える。方法は、有機Si前駆体及びO前駆体を堆積チャンバーに導入する工程を含む。有機Si前駆体は、<8のC:Si原子比を有し、O前駆体は堆積チャンバーの外部で生成されたO原子を含む。
【0008】
米国特許第7084076号明細書は、原子層堆積(ALD)を使用して二酸化ケイ素膜を形成するための方法を説明していて、ハロゲン-又はNCO-置換されたシロキサンがSi源として使用される。
【0009】
米国出願公開第2013/0295779号明細書は、約500℃以上の1つ又は複数の堆積温度で、酸化ケイ素含有膜を形成するための組成物及びALDを説明している。
【0010】
先に特定された特許及び特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、Vertical NAND(V-NAND)メモリ技術のための600℃より高い温度における熱ベースの堆積プロセスを置き換えるために、原子層堆積(ALD)プロセス又はALDに類似のプロセスを、例えば、以下に限定するものではないが、サイクリック化学気相堆積プロセスを使用して、高品質の、低不純物の、高いコンフォーマル性の酸化ケイ素膜を形成するためのプロセスを開発する要求がある。さらに、V-NANDメモリの製造のためのALD又はALDに類似のプロセスにおいて、高温堆積(例えば600℃以上の1つ又は複数の温度における堆積)を開発して、1つ又は複数の膜特性、例えば純度及び/又は密度を改善することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
原子層堆積(ALD)又はALDに類似のプロセスにおける、高温で、例えば約600℃以上の1つ又は複数の温度での、酸化ケイ素材料又は膜の堆積のための方法が本明細書において説明される。本明細書において説明される組成物又は方法を使用して堆積される酸化ケイ素膜は以下の特性:約2.1g/cm3以上の密度;熱酸化物に対して約6以下、好ましくは約4以下、最も好ましくは約3以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER);二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定して2×1019原子/cm3以下の炭素含有量のうち少なくとも1つ又は複数を備える。
【0013】
1つの態様において、酸化ケイ素膜又は材料を堆積するプロセスであって、
a.基材を反応器中に提供して、基材を所望の温度に加熱する工程;
b.以下の式I及びII:
I R3-nXnSi-R1-SiXmR2
3-m
II R3-nXnSi-R1-SiXqR3
p-R1-SiXmR2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR2が水素原子及びC1~C3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R1が2つのケイ素原子に結合されたC1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R3が水素及びC1~C3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程;並びに
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの酸化ケイ素が堆積されるまで繰り返され、約600~850℃の1つ又は複数の温度で行われるプロセスが提供される。この又は他の実施態様において、方法は、約50ミリTorr(mTorr)~約760Torrの1つ又は複数の圧力で行われる。この又は他の実施態様において、酸素含有源は、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、二酸化炭素及び酸素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、窒素及び酸素を含む組成物(すなわち亜酸化窒素N2O又は一酸化窒素NO)、水蒸気、水蒸気プラズマ、水及びオゾンを含む組成物、過酸化水素、オゾン源並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素である。
【0014】
別の態様において、酸化ケイ素膜又は材料を堆積するプロセスであって、
a.基材を反応器中に提供して、基材を所望の温度に加熱する工程;
b.以下の式I及びII:
I R3-nXnSi-R1-SiXmR2
3-m
II R3-nXnSi-R1-SiXqR3
p-R1-SiXmR2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR2が水素原子及びC1~C3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R1が2つのケイ素原子に結合されたC1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R3が水素及びC1~C3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.水蒸気又はヒドロキシル源を反応器中に導入する工程;並びに
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~gが、所望の厚さの酸化ケイ素が堆積されるまで繰り返され、600~850℃の1つ又は複数の温度で行われるプロセスが提供される。
【0015】
上で説明されるプロセスの1つ又は複数の実施態様において、プロセスは、約50ミリTorr(mTorr)~約760Torrの1つ又は複数の圧力で行われる。
【0016】
上で説明されるプロセスの1つ又は複数の実施態様において、パージガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
上で説明されるプロセスの1つ又は複数の実施態様において、酸素含有源は、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、二酸化炭素及び酸素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、窒素及び酸素を含む組成物(すなわち亜酸化窒素N2O又は一酸化窒素NO)、水蒸気、水蒸気プラズマ、水及びオゾンを含む組成物、過酸化水素、オゾン源並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む。
【0018】
さらなる態様において、以下の式I及びII:
I R
3-nX
nSi-R
1-SiX
mR
2
3-m
II R
3-nX
nSi-R
1-SiX
qR
3
p-R
1-SiX
mR
2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR
2が水素原子及びC
1~C
3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R
1が2つのケイ素原子に結合されたC
1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R
3が水素及びC
1~C
3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を含む酸化ケイ素膜を堆積するための組成物が提供される。これらのハライドカルボシラン前駆体の例が以下の表Iに示される。
表I:
【表1】
【0019】
本発明の1つの実施態様は、以下の式I及びII:
I R3-nXnSi-R1-SiXmR2
3-m
II R3-nXnSi-R1-SiXqR3
p-R1-SiXmR2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR2が水素原子及びC1~C3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R1が2つのケイ素原子に結合されたC1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R3が水素及びC1~C3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を含むケイ素含有膜の堆積における使用のための組成物に関する。
【0020】
本発明の別の実施態様は、先の方法のいずれかによって製造されるケイ素含有膜に関する。本発明のさらなる実施態様は、約2.1g/cm3以上の密度;熱酸化物に対して約6以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER);2×1019原子/cm3以下の炭素含有量を有するケイ素含有膜に関する。
【0021】
本発明の種々の態様及び実施態様は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
酸化ケイ素膜を形成するための方法及び組成物が本明細書において説明されている。用語酸化ケイ素膜又は材料は、化学量論的な又は化学量論的でない酸化窒素膜、酸窒化ケイ素膜、オキシ炭化ケイ素膜、炭酸窒化ケイ素膜及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。1つの特定の実施態様において、酸化ケイ素膜は、原子層堆積(ALD)又はALDに類似の堆積プロセス、例えば、以下に限定するものではないが、サイクリック化学気相堆積プロセス(CCVD)において、約600℃以上の1つ又は複数の温度で堆積される。本明細書を通じて、用語「ALD又はALDに類似」は、以下のプロセス:a)ハライドシラン前駆体及び反応性ガスを含むそれぞれの反応体が、反応器中に、例えばシングルウエハALD反応器、セミバッチALD反応器又はバッチ炉ALD反応器中に連続的に導入される工程;b)ハライドシラン前駆体及び反応性ガスを含むそれぞれの反応体が、反応器の異なる区画に基材を移動または回転させることによって基材に暴露される工程であって、それぞれの区画が不活性ガスカーテンによって分離されている、すなわち空間的ALD反応器又はロール・ツー・ロールALD反応器である工程を含むが、それらに限定されないプロセスを意味する。本明細書を通じて、用語「C1リンカー」は、2つのケイ素原子に結合された1つの炭素原子、例えばSi-CH2-Si(すなわちC1リンカーはメチレンである)、Si-CH(Me)-Si(すなわちC1リンカーは(メチル)メチレンである)、Si-CMe2-Si(すなわちC1リンカーは(ジメチル)メチレンである)又はSi-CH(Et)-Si(すなわちC1リンカーは(エチル)メチレンである)をいう。
【0023】
本明細書において説明される方法は、約600℃~約950℃、約650℃~約750℃又は約700~約850℃の1つ又は複数の堆積温度で、サイクリックプロセスにおいて、少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体及び酸素含有源を使用して、酸化ケイ素膜を提供する。本明細書において説明される堆積プロセスの1つの実施態様において、プロセスは、
a.基材を反応器中に提供して、基材を所望の温度に加熱する工程;
b.以下の式I及びII:
I R3-nXnSi-R1-SiXmR2
3-m
II R3-nXnSi-R1-SiXqR3
p-R1-SiXmR2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR2が水素原子及びC1~C3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R1が2つのケイ素原子に結合されたC1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R3が水素及びC1~C3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程;並びに
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの酸化ケイ素膜が少なくとも基材の表面に堆積されるまで繰り返される。
【0024】
理論又は説明によって拘束されることを望むものではないが、本明細書において説明される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体は、少なくとも1つの固定官能基、並びに予め存在するSi-C-Si結合(すなわちC1リンカー)を有するべきであり、基材表面において特定の反応性サイトと反応してSi-C-Si種のモノレイヤーを固定し、Si-C-Si種のモノレイヤーは、とりわけ酸化ケイ素の最初の幾つかの層の形成の間に、1つのケイ素原子のみを有する従来のケイ素前駆体、例えば四塩化ケイ素又はジメチルアミノトリメチルシランと比較して、酸素含有源と基材との間の任意の望まれない相互作用を妨げるバリア層として機能することができると考えられる。固定官能基は、ハライド(Cl、Br、I)基から選択することができる。不動態化官能基は、アルキルから選択され、好ましくはメチルである。次いで、表面の残基が酸化されて、さらなるSi-O-Si結合並びにヒドロキシル基を形成することができる。加えて、ヒドロキシル源、例えばH2O又は水プラズマもまた反応器中に導入されて、次のALDサイクルのための反応性サイトとしてのさらなるヒドロキシル基を形成することができる。
【0025】
先に記載されるように、以下の式I及びII:
I R3-nXnSi-R1-SiXmR2
3-m
II R3-nXnSi-R1-SiXqR3
p-R1-SiXmR2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR2が水素原子及びC1~C3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R1が2つのケイ素原子に結合されたC1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R3が水素及びC1~C3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を含む酸化ケイ素膜を堆積するための組成物が提供される。式I又はIIを有する前駆体の例は、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-1,3-ジシラブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-2-メチル-1,3-ジシラブタン、2,2,4,4-テトラクロロ-2,4-ジシラペンタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラプロパン、2,4-ジクロロ-2,4-ジメチル-2,4-ジシラペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、2,2,4,6,6-ペンタクロロ-2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリシラヘプタン及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0026】
1つの特定の実施態様において、ハライドカルボシラン前駆体は、少なくとも1つの固定官能基(例えばSi-Cl)及び少なくとも1つの不動態化官能基(例えばSi-Me、Meはメチル基である)から構成される。このような前駆体の例が、以下の表IIに提供される。
表II:
【表2】
【0027】
特定の実施態様において、本明細書において説明される方法を使用して堆積される酸化ケイ素膜は、酸素含有源、酸素を含む試剤又は前駆体を使用して、酸素の存在の下で形成される。酸素含有源は、少なくとも1つの酸素含有源ガスの形態で反応器中に導入されるか、及び/又は堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付加的に存在してよい。適した酸素含有源ガスは、例えば酸素、過酸化物、酸素プラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、二酸化炭素及び酸素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、窒素及び酸素を含む組成物(すなわち亜酸化窒素N2O又は一酸化窒素NO)、水蒸気、水蒸気プラズマ、水及びオゾンを含む組成物、過酸化水素、オゾン源並びにそれらの組み合わせを含んでよい。特定の実施態様において、酸素含有源は、約1~約10000標準立方センチメートル(sccm)、約1~約2000標準立方センチメートル(sccm)又は約1~約1000sccmの流速で反応器中に導入される酸素含有源ガスを含む。酸素含有源ガスは、約0.1~約100sの範囲である時間で導入することができる。1つの特定の実施態様において、酸素含有源は、10℃以上の温度を有する水を含む。ALD又はサイクリックCVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは0.01sより長いパルス継続時間を有してよく、酸素含有源は0.01sより短いパルス継続時間を有してよく、一方で、水パルス継続時間は0.01sより短いパルス継続時間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ継続時間は0s近くであってよいか、又は間にパージが無く連続的にパルスされる。
【0028】
特定の実施態様において、酸化ケイ素膜は窒素をさらに含む。これらの実施態様において、膜は、本明細書において説明される方法を使用して堆積され、窒素含有源の存在の下で形成される。窒素含有源は、少なくとも1つの窒素源ガスの形態で反応器中に導入されるか、及び/又は堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付加的に存在してよい。適した窒素含有源ガスは、例えばアンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ及びそれらの混合物を含んでよい。特定の実施態様において、窒素含有源は、約1~約2000平方立方センチメートル(sccm)若しくは約1~約1000sccmの流速で反応器中に導入されるアンモニアプラズマ又は水素/窒素プラズマ供給源ガスを含む。窒素含有源は、約0.1~約100sの範囲である時間で導入することができる。ALD又はサイクリックCVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは0.01sより長いパルス継続時間を有してよく、窒素含有源は0.01sより短いパルス継続時間を有してよく、一方で、水パルス継続時間は0.01sより短いパルス継続時間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ継続時間は0s近くであってよいか、又は間にパージが無く連続的にパルス化される。
【0029】
本明細書において説明される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを含んでよい。未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージするのに使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示的なパージガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン、水素(H2)及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、パージガス、例えばArは、約10~約6000sccmの流速で、約0.1~1000sの間に反応器中に供給され、それによって、反応器中に残存している場合がある未反応の材料及び任意の副生成物をパージする。
【0030】
前駆体、酸素含有源、窒素含有源及び/又は他の前駆体、供給源ガス及び/又は試剤を供給するそれぞれの工程は、得られる誘電体膜の化学量論的な組成を変えるように、それらを供給するための時間を変えることによって行うことができる。
【0031】
パージガスは、先の工程からの残余のガスと組み合わせて組成物を形成することができる。例えば、組成物は、パージガスと、本発明の前駆体のうち少なくとも1つとを含んでよい。パージガスは、この組成物の約1%~約95%を構成する。
【0032】
ハライドカルボシラン前駆体、酸素含有源、窒素含有源又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つにエネルギーが適用されて、反応を誘起して、基材にケイ素含有膜又はコーティングを形成する。このようなエネルギーは、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子線、フォトン、遠隔プラズマ法及びそれらの組み合わせによって供給することができるが、それらに限定されない。特定の実施態様において、二次無線周波数(secondary RF Frequency)源を使用して、基材表面におけるプラズマ特徴を変更することができる。堆積がプラズマを含む実施態様において、プラズマ発生プロセスは、プラズマが反応器中で直接発生する直接プラズマ発生プロセス、又は代わりにプラズマが反応器の外部で発生して反応器中に供給される遠隔プラズマ発生プロセスを含んでよい。
【0033】
少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体は、反応チャンバーに、例えばサイクリックCVD又はALD反応器に様々な方法で輸送することができる。1つの実施態様において、液体輸送システムを利用することができる。代わりの実施態様において、液体輸送及びフラッシュ蒸発プロセスを組み合わせた装置、例えばMSP Corporation of Shoreview,MNによって製造されたターボ蒸発器を用いることができ、低揮発性材料が容積的に輸送されることを可能とし、このことは前駆体の熱分解を伴わない再現性のある輸送及び堆積をもたらす。液体輸送配合物において、本明細書において説明される前駆体は、原液で輸送されるか、又は代わりに前駆体を含む溶媒配合物若しくは組成物で用いることができる。従って、特定の実施態様において、前駆体配合物は、基材に膜を形成する所与の最終使用用途において所望され、かつ有利である場合がある適した特徴の少なくとも1つの溶媒成分を含んでよい。
【0034】
本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、サイクリック堆積プロセス、例えばALDに類似のもの、ALD又はPEALDを使用することができ、少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体及び酸素含有源を使用して堆積が行われる。ALDに類似のプロセスはサイクリックCVDプロセスと定義されるが、高いコンフォーマル性の酸化ケイ素膜をさらに提供する。
【0035】
特定の実施態様において、前駆体キャニスターから反応チャンバーへと接続するガスラインは、プロセス要求に応じて1つ又は複数の温度に加熱され、少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体のコンテナは、バブリングのために1つ又は複数の温度に保持される。他の実施態様において、少なくとも1つのハライドカルボシランを含む溶液が、直接液体注入のために1つ又は複数の温度に保持された気化器中に注入される。
【0036】
アルゴン及び/又は他のガスの流れをキャリアガスとして用いて、前駆体のパルスの間の、少なくとも1つのハライドカルボシランの蒸気の、反応チャンバーへの輸送を促進することができる。特定の実施態様において、反応チャンバープロセスの圧力は約1Torrである。
【0037】
典型的なALD又はALDに類似のプロセス、例えばCCVDプロセスにおいて、基材、例えば酸化ケイ素基材は、初めに、ケイ素前駆体に暴露される反応チャンバー中の加熱器ステージで加熱されて、複合体を基材の表面に化学的に吸着させる。
【0038】
パージガス、例えばアルゴンは、未吸収の過剰の複合体をプロセスチャンバーからパージする。十分なパージの後、酸素含有源が反応チャンバー中に導入されて、吸収された表面と反応して、次いで別のガスパージをしてチャンバーから反応副生成物を除去することができる。プロセスサイクルを繰り返して、所望の膜厚を達成することができる。幾つかの場合において、ポンピングは不活性ガスを用いたパージを置き換えることができるか、又はその両方が用いられて未反応のケイ素前駆体を除去することができる。
【0039】
本発明のALDプロセスは、約0.5Å/サイクル~約4Å/サイクル、約0.8Å/サイクル~約3.5Å/サイクル、幾つかの好ましい場合には約1Å/サイクル~約3.5Å/サイクルであることができる膜成長速度を達成することができる。堆積された膜の屈折率(RI)は、約1.35~約1.55、約1.40~約1.50、幾つかの場合には約1.44~約1.48であってよい。熱酸化物に対する、堆積された膜の希釈HF(脱イオン水中の約0.5wt%HF)の相対的なエッチング速度は、約0.5~約8.0、約1.0~約6.0、幾つかの好ましい場合には約1.0~約4.0であることができる。
【0040】
この又は他の実施態様において、本明細書において説明される方法の工程は、種々の順序で行うことができ、順次行うことができ、同時に(例えば別の工程の少なくとも一部の間に)行うことができ、それらの任意の組み合わせで実施することができると理解される。前駆体及び酸素含有源ガスを供給するそれぞれの工程を、それらを供給するための期間を変えて実施して、得られる誘電体膜の化学量論的な組成を変えることができる。堆積された膜の誘電率(k)は、約3.0~約6.0、約3.5~約5.0、幾つかの好ましい場合には約3.8~約4.2であることができる。
【0041】
約600以上の1つ又は複数の堆積温度で基材に酸化ケイ素膜を堆積する、本明細書において説明されるプロセスの1つの特定の実施態様は、
a.基材を反応器中に提供して、基材を所望の温度に加熱する工程;
b.式I及びII:
I R3-nXnSi-R1-SiXmR2
3-m
II R3-nXnSi-R1-SiXqR3
p-R1-SiXmR2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR2が水素原子及びC1~C3アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R1が2つのケイ素原子に結合されたC1リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R3が水素及びC1~C3アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程;並びに
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eは、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返される。
【0042】
本明細書において説明されるプロセスの別の実施態様は、酸素含有源が反応器中に導入された後に、ヒドロキシル(例えば、堆積プロセスの間に形成されるOHフラグメント)を含む酸素含有源、例えばH2O蒸気又はH2Oプラズマを導入する。この実施態様において、ヒドロキシル基が表面に再配置して、表面に定着するハライドカルボシラン前駆体のための反応性サイトを作り、モノレイヤーを形成すると考えられる。堆積工程は、
a.基材を反応器中に提供して、基材を所望の温度に加熱する工程;
b.上で説明された式I又はIIを有する少なくとも1つのハライドカルボシランを反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.水と、過酸化水素と、水を含むプラズマとから選択される少なくとも1つを含む酸素含有源を反応器中に導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.酸素含有源を反応器中に導入する工程;並びに
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
から構成され、工程b~gは、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返される。
【0043】
本明細書において説明されるプロセスの代わりの実施態様において、堆積工程は、
a.基材を反応器中に提供して、基材を所望の温度に加熱する工程;
b.本明細書において説明される式I又はIIを有する少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素含有源を反応器中に導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.OH-含有源を反応器中に導入する工程;及び
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
から構成され、工程b~gは、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返される。
【0044】
さらに別の実施態様は、過酸化水素、オゾン、水素と酸素とを含む組成物、又は酸素プラズマを用いて、不動態化官能基又は基、例えばメチル若しくは塩素を除去する。堆積工程は以下:
a.基材を反応器中に提供して、基材を所望の温度に加熱する工程;
b.本明細書において説明される式I又はIIを有する少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.オゾンと、過酸化水素と、水素及び酸素を含む組成物と、酸素プラズマとから選択される少なくとも1つを含む供給源を反応器中に導入する工程;並びに
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
の通りであり、工程b~eは、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返される。
【0045】
本明細書において説明されるプロセスにおいて、1つ又は複数の堆積温度は、以下の端点:600、650、675、600、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975又は1000℃のうち任意の1つ又は複数からの範囲である。特定の実施態様において、少なくとも1つの堆積温度は、約600℃~約1000℃;約600℃~約750℃;約700℃~約850℃;又は約750℃~約850℃である。
【0046】
本明細書を通じて、本明細書において使用される用語「ステップカバレッジ」は、ビア若しくはトレンチのいずれか又は両方を有する、構造基材又は特徴基材において、堆積されたケイ素含有膜の2つの厚さの割合として定義され、底部ステップカバレッジは、特徴の底部における厚さを特徴の頂部における厚さで割った比(%)であり、中間ステップカバレッジは、特徴の側壁における厚さを特徴の頂部における厚さで割った比(%)である。本明細書において説明されるプロセスを使用して堆積された膜は、約60%以上、約70%以上、約80%以上又は約90%以上のステップカバレッジを示し、このことは膜がコンフォーマルであることを意味する。
【0047】
本明細書を通じて、本明細書において使用される用語「ヒドロキシル含有源」は、ヒドロキシル基を有する酸素含有源をいう。その例は、水、水プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、水及び酸素を含む組成物、水及び二酸化炭素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、水及びオゾンを含む組成物、水及び亜酸化窒素を含む組成物、水及び一酸化窒素を含む組成物、過酸化水素(H2O2)、水素と酸素とから発生したプラズマ並びにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0048】
堆積圧力は、50ミリTorr(mT)~760Torr又は500mT~100Torrの1つ又は複数の圧力である。
【0049】
1つの特定の実施態様において、本明細書において説明されるプロセスは、触媒、例えば有機アミン(例えばピリジン、トリメチルアミン、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7084076号明細書を参照せよ)を実質的に有さずに行われる。この又は別の実施態様において、本明細書において説明されるプロセスは、1つ又は複数のアニール工程を必要とせずに行われる。
【0050】
以下の実施例は、本発明の特定の実施態様を例示するために提供されていて、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0051】
比較例1a:四塩化ケイ素を用いる酸化ケイ素膜の原子層堆積
酸化ケイ素膜の原子層堆積を、前駆体四塩化ケイ素(SiCl
4)を使用して行った。実験室スケールのALD堆積ツールにおいて堆積を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。堆積チャンバーに入れる前に、全てのガス(例えばパージ及び反応体ガス、又は前駆体及び酸素含有源)を100℃に予熱した。ガス及び前駆体の流速を、ALDダイヤフラムバルブを用いて高速作動で制御した。堆積において使用される基材は、12インチ長さのケイ素ストリップであった。熱電対をサンプルホルダーに取り付けて基材温度を確認した。オゾンを酸素含有源ガスとして使用して堆積を行った。堆積パラメータを表IIIに提供していて、用語パルス又は投与(dose)は互換的であり、ケイ素前駆体又は酸素含有源を反応器中に導入する工程を意味する。
表III:SiCl
4を使用し、酸素源を用いる酸化ケイ素膜の原子層堆積のためのプロセス
【表3】
【0052】
所望の厚さに到達するまで、工程b~eを繰り返した。膜の厚さ及び屈折率(RI)を、FilmTek 2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを、予め設定された物理モデル(例えばローレンツオシレータモデル)に合わせることによって測定した。湿式エッチング速度を、脱イオン水中の49%フッ化水素(HF)酸の1%溶液(約0.5wt%HF)を使用して行った。それぞれのバッチについて、熱酸化物ウエハを参照として使用して溶液濃度を確認した。脱イオン水中の0.5wt%HF溶液についての典型的な熱酸化物ウエハ湿式エッチング速度(WER)は0.5Å/sである。エッチングの前及び後の膜厚を使用して湿式エッチング速度を計算した。表IVは、800℃のウエハ温度で、酸素含有源としてオゾンを用いて、SiCl4前駆体の12sの前駆体暴露によって堆積されたSiO2膜特性を要約している。成長速度又はサイクル毎の成長(growth per cycle、GPC)を、サイクルの数で割った、オングストローム(Å)での酸化ケイ素の厚さとして定義する。
【0053】
表IV:SiCl
4及び酸素源としてのオゾンを用いて堆積された酸化ケイ素膜の特性
【表4】
【0054】
比較例1b:600℃より高い基材温度における、ヘキサクロロジシロキサンを用いる酸化ケイ素膜の原子層堆積
酸化ケイ素膜の原子層堆積を、ケイ素ヘキサクロロジシロキサン(HCDSO)を用いて、酸素含有源ガスとしてオゾンを用いて、比較例1aの表IIIに記載した工程を使用して行った。表Vは、700℃~800℃の温度において堆積された酸化ケイ素の堆積条件及び物理的特性を要約していて、HCDSOが、同様のALD条件の下で、SiCl4より非常に高い成長速度を有することを示している。
【0055】
表V:HCDSO及びオゾンプロセスを用いて堆積された酸化ケイ素膜の堆積速度及び膜特性
【表5】
【0056】
例2:600℃より高い基材温度における、ケイ素1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパンを用いる酸化ケイ素膜の原子層堆積
酸化ケイ素膜の原子層堆積を、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパンを用いて、酸素含有源としてオゾンを用いて、比較例1aの表IIIに記載した工程を使用して行った。表VIは、700℃~800℃の温度で堆積された酸化ケイ素の堆積条件及び物理的特性を要約していて、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパンが、同様のALD条件の下で、SiCl4及びHCDSOより非常に高い成長速度を有することを示している。表VIは、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン及びオゾンを用いて、種々の基材温度で堆積された酸化ケイ素膜について、熱酸化物に対する相対的WERをさらに示していて、温度が高いほど、WERが低いことを示している。
【0057】
表VI:1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン及びオゾンを用いて堆積された酸化ケイ素膜の堆積速度及び膜特性
【表6】
【0058】
二次イオン質量分析法(SIMS)によって膜不純物を分析し、膜不純物を表VIIに示す。膜は低度のC、N及び塩素不純物を示す。
【0059】
表VII:1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン及びオゾンを用いて堆積された酸化ケイ素膜の膜不純物
【表7】
【0060】
特定の好ましい実施態様を参照して本発明が説明されたが、当分野における当業者によって、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更をすることができ、本発明の要素を均等物で置換することが可能であると理解される。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの修正をして、特定のシチュエーション又は材料を本発明の教示に適合させることができる。従って、本発明は特定の実施態様に限定されず、本発明は添付の特許請求の範囲にある全ての実施態様を含むことが意図される。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)酸化ケイ素膜を堆積する方法であって、
a.表面を備える基材を反応器中に提供して、前記反応器を約600℃~約1000℃の温度に加熱する工程;
b.以下の式I及びII:
I R
3-n
X
n
Si-R
1
-SiX
m
R
2
3-m
II R
3-n
X
n
Si-R
1
-SiX
q
R
3
p
-R
1
-SiX
m
R
2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR
2
が水素原子及びC
1
~C
3
アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R
1
が2つのケイ素原子に結合されたC
1
リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R
3
が水素及びC
1
~C
3
アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を前記反応器中に導入して、前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、前記基材の前記表面の少なくとも一部で反応して、化学吸着された層を提供する工程;
c.第一のパージガスを用いて、工程bに基づく任意の未消費の前駆体及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程;
d.酸素含有源を前記反応器中に導入して、前記化学吸着された膜と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程;並びに
e.前記第一のパージガスと同じか、又は前記第一のパージガスとは異なる第二のパージガスを用いて、工程dに基づく任意の未消費の酸素含有源及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの前記酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返される、方法。
(付記2)前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-1,3-ジシラブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-2-メチル-1,3-ジシラブタン、2,2,4,4-テトラクロロ-2,4-ジシラペンタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラプロパン、2,4-ジクロロ-2,4-ジメチル-2,4-ジシラペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、2,2,4,6,6-ペンタクロロ-4-メチル-2,4,6-トリシラヘプタン及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載の方法。
(付記3)前記第一のパージガス及び第二のパージガスのそれぞれが、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記1に記載の方法。
(付記4)前記酸素含有源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、二酸化炭素及び酸素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、窒素及び酸素を含む組成物、水蒸気、水蒸気プラズマ、水及びオゾンを含む組成物、過酸化水素、オゾン源並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、付記1に記載の方法。
(付記5)酸化ケイ素膜を堆積する方法であって、
a.基材を反応器中に提供して、前記反応器を約600℃~約1000℃の温度に加熱する工程;
b.以下の式I及びII:
I R
3-n
X
n
Si-R
1
-SiX
m
R
2
3-m
II R
3-n
X
n
Si-R
1
-SiX
q
R
3
p
-R
1
-SiX
m
R
2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR
2
が水素原子及びC
1
~C
3
アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R
1
が2つのケイ素原子に結合されたC
1
リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R
3
が水素及びC
1
~C
3
アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を前記反応器中に導入して、前記基材に層を形成する工程;
c.第一のパージガスを用いて、工程bに基づく任意の未消費の前駆体及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程;
d.酸素含有源を前記反応器中に導入して、前記層と反応させて、酸化ケイ素膜を形成する工程;
e.前記第一のパージガスと同じか、又は前記第一のパージガスとは異なる第二のパージガスを用いて、工程dに基づく任意の未消費の酸素含有源及び/又は反応副生成物を前記反応器からパージする工程;
f.ヒドロキシル含有源を前記反応器中に導入して、前記酸化ケイ素膜と反応させる工程;
g.パージガスを用いて前記反応器をパージして、任意の未反応のヒドロキシル含有源及び/又は任意の反応副生成物を除去する工程
を含み、工程b~gが、所望の厚さの前記酸化ケイ素膜が形成されるまで繰り返される、方法。
(付記6)前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-1,3-ジシラブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-2-メチル-1,3-ジシラブタン、2,2,4,4-テトラクロロ-2,4-ジシラペンタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラプロパン、2,4-ジクロロ-2,4-ジメチル-2,4-ジシラペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、2,2,4,6,6-ペンタクロロ-4-メチル-2,4,6-トリシラヘプタン及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記5に記載の方法。
(付記7)前記第一のパージガス及び第二のパージガスのそれぞれが、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記5に記載の方法。
(付記8)前記酸素含有源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、水素及び酸素を含む組成物、水素及びオゾンを含む組成物、二酸化炭素及び酸素を含む組成物、水及び酸素を含む組成物、窒素及び酸素を含む組成物、水蒸気、水蒸気プラズマ、水及びオゾンを含む組成物、過酸化水素、オゾン源並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、付記5に記載の方法。
(付記9)工程bが、前記反応器を50ミリTorr(mTorr)~760Torrの圧力にする工程をさらに含み、前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、Si-Me若しくはSi-Cl基、又はSi-MeとSi-Clとの両方を含む少なくとも1つの固定官能基及び不動態化官能基を含む、付記1に記載の方法。
(付記10)前記反応器の温度が700~850℃である、付記9に記載の方法。
(付記11)前記反応器の圧力が50ミリTorr(mTorr)~100Torrである、付記9に記載の方法。
(付記12)ケイ素含有膜の堆積における使用のための組成物であって、以下の式I及びII:
I R
3-n
X
n
Si-R
1
-SiX
m
R
2
3-m
II R
3-n
X
n
Si-R
1
-SiX
q
R
3
p
-R
1
-SiX
m
R
2
3-m
を有し、式中、X=Cl、Br又はIであり;R及びR
2
が水素原子及びC
1
~C
3
アルキル基からそれぞれ独立に選択され;R
1
が2つのケイ素原子に結合されたC
1
リンカーであり、メチレン、(メチル)メチレン、(ジメチル)メチレン及び(エチル)メチレンから選択され;R
3
が水素及びC
1
~C
3
アルキル基から選択され;n=1、2又は3であり;m=0、1、2又は3であり;p=0、1又は2であり、q=0、1又は2であり、p+q=2である化合物の群から選択される少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体を含む、組成物。
(付記13)少なくとも1つのパージガスをさらに含む、付記12に記載の組成物。
(付記14)前記少なくとも1つのハライドカルボシラン前駆体が、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタハライド-1,3-ジシラブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2-メチル-1,3-ジシラブタン、2,2,4,4-テトラクロロ-2,4-ジシラペンタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラプロパン、2,4-ジクロロ-2,4-ジメチル-2,4-ジシラペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、2,2,4,6,6-ペンタクロロ-4-メチル-2,4,6-トリシラヘプタン及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記12に記載の組成物。
(付記15)付記1に記載の方法によって形成された酸化ケイ素膜。
(付記16)付記5に記載の方法によって形成された酸化ケイ素膜。
(付記17)約2.1g/cm
3
以上の密度;熱酸化物に対して約4以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER);及びSIMSによって測定した場合に2×10
19
原子/cm
3
以下の炭素含有量を有する、付記1に記載の方法によって形成された酸化ケイ素膜。
(付記18)熱酸化物に対して約3以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER)を有する、付記17に記載の酸化ケイ素膜。
(付記19)X線光電子分光法(XPS)によって測定した場合に、炭素が存在していて、5at%より少ない量である、付記17に記載の酸化ケイ素膜。
(付記20)約2.1g/cm
3
以上の密度;熱酸化物に対して約4以下の、0.5wt%dHFにおける湿式エッチング速度(WER);及びSIMSによって測定した場合に2×10
19
原子/cm
3
以下の炭素含有量を有する、付記5に記載の方法によって形成された酸化ケイ素膜。
(付記21)X線光電子分光法(XPS)によって測定した場合に、炭素が存在していて、5at%より少ない量である、付記20に記載の酸化ケイ素膜。
(付記22)0.5wt%dHFにおける前記湿式エッチング速度(WER)が、熱酸化物に対して約3以下である、付記20に記載の酸化ケイ素膜。