(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】水精製および分注システム、およびかかるシステムの稼働方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20230405BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20230405BHJP
B01D 61/42 20060101ALI20230405BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20230405BHJP
C02F 1/42 20230101ALI20230405BHJP
C02F 9/00 20230101ALI20230405BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230405BHJP
【FI】
C02F1/00 B
B01D61/08
B01D61/42
C02F1/44 J
C02F1/42 B
C02F1/42 A
C02F9/00
C02F1/32
(21)【出願番号】P 2020532769
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2018084274
(87)【国際公開番号】W WO2019115490
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】モロー, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】加納 一郎
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ロイテル,パスカル
【審査官】柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0126430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
C02F 1/20- 1/26
C02F 1/30- 1/38
C02F 1/42- 1/44
C02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水精製および分注システム(100)であって、
水を第1の水精製等級にまで精製する第1の精製ステージ(1)と;
水を第1の精製等級よりも高度な第2の水精製等級まで精製する第2の精製ステージ(3)と該第2の精製ステージよりも循環流方向(D)で下流にある精製された水のための1つ以上の出口(6)を包含する分注部(5)とを包含する、水再循環ループ(2)と;および、
第1の精製ステージ(1)において精製された水を、第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)へ水を供給するための第1の接続流路(7a)を通じて受領して一時的に貯蔵し、貯蔵した水を第2の接続流路(7b)を通じて水再循環ループ(2)へ
第2の精製ステージ(3)より上流の位置に供給するように構成された貯蔵容器(4)とを含み、
ここにおいて、第1のバルブ構造(8)が、第1の精製ステージ(1)と貯蔵容器(4)との間の
第1の接続流路(7a)に設けられ、該バルブ構造は第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)への精製された水の流れを選択的に
制御し、また、第1の精製ステージ(1)から精製された水を排出するように構成されており、
ここにおいて、第1の精製ステージ(1)は、水を精製するための少なくとも1つの電気脱イオンモジュール(9)を含み、前記第1のバルブ構造(8)は前記脱イオンモジュール(9)の出口の下流に設けられており、
ここにおいて、前記第1のバルブ構造(8)は3ウェイバルブであり、
ここにおいて、UV放射処理装置(11)が、水を精製するために前記第1の接続流路(7a)内であって第1のバルブ構造(8)の下流で貯蔵容器(4)の上流に配置されており、そして
ここにおいて、第3の接続流路(15)が、前記水再循環ループ(2)の前記分注部(5)から、1つ以上の出口(6)の循環流方向(D)で下流の位置で枝分かれし、第1の接続流路(7a)とUV放射処理装置(11)の上流に接続している、前記水精製および分注システム(100)。
【請求項2】
第2の精製ステージ(3)が、水を精製するための、少なくともポリッシングフィルター装置(12)および放射処理装置(13)を含む、請求項1に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項3】
放射処理装置(13)がキセノン二量体Xe2を使用して波長172nmの励起主放射を与えるものである、請求項2に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項4】
UV放射処理装置(11)が、UV-C放射処理装置であり
、ここにおいてUV―C放射処理装置のUV放射パワー
がUV-C放射処理装置を通って流れる水の流速に従って調節可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項5】
UV放射処理装置(11)が、UV-C LED放射処理装置であり、ここにおいてUV―C放射処理装置のUV放射パワーがUV-C LED放射処理装置を通って流れる水の流速に従って調節可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項6】
UV-C LED放射処理装置が、260nm~290nmの波長領域の光を発生させるように構成されている、請求項4に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項7】
第3の接続流路(15)を通る流れを選択的に制
御するように構成された第2のバルブ構成(16)をさらに含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項8】
第3の接続流路(15)を通る流れを選択的に許容または遮断、するように構成された第2のバルブ構成(16)をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項9】
システムを、第1の精製ステージ(1)中のポンプ(19)が第1の精製ステージ(1)中の水を駆動するように運転される間、第1のバルブ構成(8)が精製された水の第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)への流れは遮断し、精製された水を第1の精製ステージ(1)から排出するようにセットされたモードで、システムを動作させるように構成された制御装置をさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項10】
水再循環ループ(2)中にある循環ポンプ(18)が、水が水再循環ループ(2)および貯蔵容器(4)を通って循環するように動作されている間、第1のバルブ構造(8)が、精製された水の第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)への流れは遮断するようにセットされ、第2のバルブ構造(16)が第3の接続流路(15)を通る流れを許容するようにセットされる再循環モードにおいてシステムを動作させるように構成された制御装置をさらに含む、請求項
7または8に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項11】
制御装置が、検知された分注部(5)からの水の分注の休止時間、および/または検知された分注量、および/または検知された汚染に依存して、自動的にシステムを再循環モードで動作させるように構成されている、請求項
10に記載の水精製および分注システム(100)。
【請求項12】
水精製および分注システム(100)を動作させる方法であって、前記水精製および分注システムは、
水を第1の水精製等級にまで精製する第1の精製ステージ(1)と;
水を第1の精製等級よりも高度な第2の水精製等級まで精製する第2の精製ステージ(3)と該第2の精製ステージよりも循環流方向(D)で下流にある精製された水のための1つ以上の出口(6)を包含する分注部(5)とを包含する、水再循環ループ(2)と;および、
第1の精製ステージ(1)において精製された水を、第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)へ水を供給するための第1の接続流路(7a)を通じて受領して一時的に貯蔵し、貯蔵した水を第2の接続流路(7b)を通じて水再循環ループ(2)へ
第2の精製ステージ(3)より上流の位置に供給するように構成された貯蔵容器(4)とを含み、
前記方法は、
精製された水を第1の精製ステージ(1)から排出するように第1の精製ステージ(1)を通って水を駆動する間、精製された水の第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)への流れは遮断することを含むものである、前記方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の、水精製および分注システム(100)を動作させる方法であって、精製された水を第1の精製ステージ(1)から排出することを停止することおよび第1の精製ステージ(1)内のポンプ(19)の運転を停止すること;および
水を水再循環ループ(2)、UV放射処理装置(11)および貯蔵容器(4)を通って循環させるために水再循環ループ(2)内の循環ポンプ(18)を作動させる間に、前記水再循環ループ(2)の分注部(5)から、前記1つ以上の出口(6)の循環流方向(D)で下流の位置において、水を分岐させ、その分岐した水を第1の接続流路(7a)の貯蔵容器(4)の上流に設けたUV放射処理装置(11)の上流で第1の接続流路(7a)に供給することをさらに含む、前記方法。
【請求項14】
水精製および分注システム(100)を動作させる方法であって、前記水精製および分注システムは、
水を第1の水精製等級にまで精製する第1の精製ステージ(1)と;
水を第1の精製等級よりも高度な第2の水精製等級まで精製する第2の精製ステージ(3)と該第2の精製ステージよりも循環流方向(D)で下流にある精製された水のための1つ以上の出口(6)を包含する分注部(5)とを包含する、水再循環ループ(2)と;および、
第1の精製ステージ(1)において精製された水を、第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)へ水を供給するための第1の接続流路(7a)を通じて受領して一時的に貯蔵し、貯蔵した水を第2の接続流路(7b)を通じて水再循環ループ(2)へ
第2の精製ステージ(3)より上流の位置に供給するように構成された貯蔵容器(4)とを含み、
前記方法は、
精製された水の第1の精製ステージ(1)から貯蔵容器(4)への流れを遮断すること、
水を水再循環ループ(2)、UV放射処理装置(11)および貯蔵容器(4)を通って循環させるために水再循環ループ(2)内の循環ポンプ(18)を作動させる間に、前記水再循環ループ(2)の分注部(5)から、前記1つ以上の出口(6)の循環流方向(D)で下流の位置において、水を分岐させ、その分岐した水を第1の接続流路(7a)の貯蔵容器(4)の上流に設けたUV放射処理装置(11)の上流で第1の接続流路(7a)に供給することを含む、前記方法。
【請求項15】
請求項
13または
14に記載の水精製および分注システム(100)を動作させる方法であって、分岐した水を貯蔵容器(4)の上流のUV放射処理装置(11)内でUV-C放
射によって処理することをさらに含む、前記方法。
【請求項16】
請求項13または14に記載の水精製および分注システム(100)を動作させる方法であって、分岐した水を貯蔵容器(4)の上流のUV放射処理装置(11)内で260nm~290nmの波長領域によって処理することをさらに含む、前記方法。
【請求項17】
請求項
13~
16のいずれか一項に記載の水精製および分注システム(100)を動作させる方法であって、水再循環ループ(2)および貯蔵容器(4)を通る水の循環が、分注部(5)からの水の分注の休止時間、および/または分注分量、および/または汚染の検知に依存して実行される、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水精製および分注システム、好ましくは超純水を製造するための、そして、その精製水を一か所以上の分注箇所で所望の体積分を提供するための、システム、およびかかるシステムの稼働方法に関する.
【背景技術】
【0002】
本発明が関係するタイプの水生成システムは、水道水から、好ましくは超純水を製造すること、その精製水を一か所以上の分注箇所で所望の体積分を提供することを目的としている。超純水、は、ASTM D1193タイプI標準を上回り、25℃における比抵抗値として18.0MΩcm以上を有し、総有機炭素(TOC)含有量が5ppbよりも少ない、最も高品質の試薬等級の水(ASTM D5127)として定義される。
【0003】
多くの適用において、とりわけ生物学的なおよび化学的な分析を行う実験室において超純水の使用が必要である。かかるシステムにおける、水を精製するための所望の精製レベルに応じた構成要素は、そのようなものとして公知である。水道からの水を精製するために設計された、完全一式形の水精製システムは、前置フィルター(沈殿フィルター、活性炭)、逆浸透、電気脱イオン化、UV放射処理などの、各種の水精製手段を組み合わせて含んでいる。水道水を、超純水等級まで精製することを達成するために、システムは、水道水等級からASTM D1193type2またはそれ以下の第1の精製等級まで精製するように設計された第1の水浄化ステージと、この精製前置水を、第1の精製度等級よりも典型的に高い第2の精製度等級、即ちタイプ1水(超純水)等級へとさらに精製するように設計された第2の水精製ステージとからなる。
【0004】
第1の水精製ステージを通る際の流速は、典型的には 小さく、それゆえに、精製された水は、その後第2の水精製ステージへと要求に応じてより高い流速で分注されるように通常一旦リザーバまたはタンクに蓄積される。第2の水精製ステージは、第2のステージで精製された水が、使用者による使用のために第1のステージの精製流速よりも速い流速で分注できるようにするために、第1のステージより高い流速で稼働できる。
【0005】
それぞれの応用または使用者の必要とする水の量に応じて、精製システムは精製した水を、第2のステージの最大またはそれに近い処理能力およびスループット、それは例えば、毎分2から3リットルにもなりうるものから、最大処理能力より低い一滴ずつの滴下の分注速度にまでにもなり得るものまで、によって配給する必要がある。
【0006】
水精製は、超純水のレベルとなると、困難な挑戦である。したがって、第1のステージは、汚染源が水槽内に解放されないように、とりわけ適切に洗浄されなければならない。もし汚染が発生してしまうと、それは、超純水ステージにおける要求されている高い水の品質を、大量の水を第2のまたは超純水ステージを通して分注することによって、または、再循環ループ内の超純水ステージ精製手段を通して水を再循環させることによって回復するために、膨大な時間を必要とする。
【0007】
図2は、本発明が関する、典型的な完全一式型水精製システムおよび回路を示し、それは第1の精製ステージA1と第2の精製ステージA2とから形成され、第2の精製ステージA2は、ループを通る循環水流方向でみて第2の精製ステージA2の下流に、精製された水のための1つ以上の出口Eを有する分注部を包含する水再循環および分注ループBに含まれている。このシステム例は、第1の精製ステージ1において精製された水を、第1の精製ステージから貯蔵容器に供給するための第1の流路を通じて受け入れて一時的に貯蔵し、また、貯蔵した水を第2の接続流路を通して水循環および分注ループBに配給する貯蔵容器、を含む貯蔵セクションCをも含んでいる。
【0008】
図2に示す例においては、逆浸透(RO)モジュールおよび電気脱イオン(EDI)モジュールが第1の精製または前置処理ステージ(RO/EDIステージ)に提供されている。逆浸透は、半透膜を使用する精製技術である。典型的な水道水の水質導電率は、5~25μS/cmである。正常な運転方法では、精製水はROモジュールからEDIモジュールへ、そしてさらに貯蔵容器へと流れる。
【0009】
EDIモジュールとPO膜とを包含する通常の前置処理は、新しい場合「汚れた」ものとして知られている。ROおよびEDIモジュールは長期間のシステム寿命中においては、取り換えられることもあるであろう。
【0010】
如何なる汚染物質も、除去は非常に困難なのであるから再循環および分注ループBの中に解放してはならないので、第1のバルブV1が、RO膜の上流側の汚染物質を、フラッシュ過程においてドレインに排出することを可能にするために、設けられている。第2のバルブV2が、RO膜の下流側の汚染物質を、洗浄過程(rinsing sequence)においてドレインに排出することを可能にするために、設けられている。これらの過程の後で、第1の精製ステージが実行準備完了となる。通常の動作中は、スタンバイ期間の後に、貯蔵容器充填過程が一般に必要である。このスタンバイ期間中には、RO膜の下流側のよどんだ水が(イオンによって、または、有機物によって)汚されるかもしれない。洗浄過程は貯蔵容器充填過程に先立って、汚された水を第2のバルブV2を通ってドレインに排出するために、実行される。
【0011】
しかしながら、システム内の第2のバルブV2より下流の如何なる水もドレインに排出することはできない。回路内のこの側の汚染物質は、貯蔵容器内に解放されるであろう。
【0012】
さらに、水精製システムが頻繁に、すなわち、毎日の頻度で、そして十分な分注体積で、使用されない限り、水が分注場所を通って配水(ユーザーの使用)されず、水精製過程の第1のステージが、「lab close」アクセサリーのような追加的アクセサリーが設けられ、第2のまたは超純水ステージの出口に接続されて製造した水をドレインに排出することなしに稼働することがないならば、水精製過程の第1のステージが水は貯蔵容器内で更新されることが無いので、或る程度の時間の準備期間の後でなければ最大限に高度の水質が保証されることはできない。よどんだ水は汚染されるかもしれず、再び水の消費が開始された際に貯蔵容器内に解放されることになる。他方、任意選択的な 「lab close」 キットは、追加的であって自動的に備わる構成ではなく、使用は不便であって単に失念されるかもしれない。
【0013】
さらに、システムは、典型的には、システムの液密性を使用者に引き渡す前に検査する現場担当技術者(FSE)によって設置される。第1の精製ステージのRO膜を洗浄することは、長時間(数時間)を必要とする工程である。この工程中は、第2のバルブV2よりも下流の部分の液密性は検査できない。時間を節約するために、洗浄工程はしばしば液密性の検査のために中断されるが、その際汚染された水がいずれ貯蔵容器内に解放される。
【0014】
再循環および放出ループBに含まれる第2の精製ステージA2は、時々、「ポリッシングステージ(polishing stage)」と称される。例において、このステージは、イオンを保持するものであり、大抵は消耗品である、イオン交換材料(ビーズ、繊維、ポリマー等)によって作られている脱イオン化(D1)モジュールと、紫外線放射処理モジュールとからなる。紫外線放射処理モジュールは、170nmから190nmまでの波長を使用し、全有機炭素(total organic carbon(TOC))の削減の目的で使用される。
【0015】
水銀紫外線技術はTOC削減に有効な波長を発生することができる。しかしながら、水銀に基づく紫外線源を既存の反応器のためには、反応器の取扱、製造、補修および廃棄が、厳しい要求と環境への懸念の対象であるので、紫外線放射処理モジュールにおいてはエキシマー技術を用いた紫外線光源を使用することが、より好適であるとされる。さらに、超純水分注システムにおいては、精製水の出口E(すなわち、分注位置)がベースユニットから隔たった位置にあり、分注および給水ループがより長くなり、水の質が微生物的観点からみて保証困難になるという傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
発明の目的
それ故に、本発明の目的は、上述した問題点および欠点の少なくとも幾つかに関して、解決するか緩和することのできる、また、システムから分注される超純水の安定した品質を確実にする、水精製および分注システム、および、水精製および分注システムを運転する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
解決手段
この課題を解決するために、本発明は請求項1の技術事項を有する水精製および分注システム、および請求項10または12の技術事項を包含する水精製および分注システムの運転方法を提供する。
【0018】
本発明は、それゆえ、水を第1の水精製等級にまで精製する第1の精製ステージと;水を第1の精製等級よりも高度な第2の水精製等級まで精製する第2の精製ステージと該第2の精製ステージよりも循環フロー方向で下流にある精製された水のための1つ以上の出口を包含する分注部とを包含する、水再循環ループと;および、第1の精製ステージにおいて精製された水を、第1の精製ステージから貯蔵容器へ水を供給するための第1の接続流路を通じて受領して一時的に貯蔵する貯蔵容器とを含み、 ここにおいて、第1のバルブ構造が第1の精製ステージと貯蔵容器との間の流路中に提供され、バルブは第1の精製ステージと(から)貯蔵容器と(まで)の精製された水の流れを選択的に阻止し、また、第1の精製ステージから精製された水を排出するように構成されている。
【0019】
第1の精製ステージは、少なくともひとつの水を精製するための電気脱イオンモジュールを含み、第1のバルブ構造は電気脱イオンモジュールの出口の下流に設けられている。第1のバルブ構造は、3ウェイバルブであり、紫外線放射処理装置が第1のバルブ構造の下流であって貯蔵容器の上流の水を精製するために第1の接続流路に設けられている。第3の接続流路が、前記水再循環ループの前記分注部の1つ以上の出口の、循環流の方向で下流の地点から分枝しており、紫外線放射処理装置の上流位置で、第1の接続流路に接続している。
【0020】
第1のバルブ構造は、第1の精製ステージと貯蔵容器との間の第1の流路、好ましくはEDIモジュールの出口よりも下流、に設けられた3ウェイバルブであり、このバルブの上流の第1の精製ステージにおける水精製手段が、再循環および分注ループにおける実際の分注需要からは独立して精製水を生産、好ましくは自動的に、することおよびそれを直接ドレインに放出することによって稼働することを可能にしている。そのようにして、第2の精製(超純水)ステージの組み込み周期的再循環が完全に稼働状態を維持しつつ、例えば第1の精製ステージを「リフレッシュ」するために、生産した水をドレインに流し、システム全体としては超純水を分注するために使用されない或る期間の間、水精製システム(第1の精製ステージの水道蛇口からドレインまで)は独立に運転されることができる。
【0021】
とりわけ、このバルブ構造は、第1の精製ステージのドレインまでの洗浄操作、すなわち貯蔵容器を充填する段階に先立って(RO/EDI)装置内のよどんだ水の故に)の、および/またはRO装置またはEDIモジュールのような精製手段の初めての設置および/またはメンテナンスにおける交換時の洗浄操作、を再循環および分注ループの稼働および/または作業とは独立に、かつ、汚染物質が貯蔵容器に侵入すること無しに実施することを可能にするために、第1の精製ステージと貯蔵容器との間の連通を選択的に遮断するために使用することもできる。
【0022】
第1の精製ステージの下流に設けた第1のバルブ構造が、上述したように、汚染源を貯蔵容器に持ち込む可能性につながるいくつかの問題点を解決するとはいえ、貯蔵容器に貯蔵された水は更新されるわけではなく、長時間たった後および/または分注地点が遠くである場合には問題となるであろう。
【0023】
貯蔵容器内に貯蔵された水を再循環および分注ループへと放出する接続流路に加えて、また、第1のバルブ構造のさらに上流の第1の精製ステージへの流れを阻止する能力と相俟って、第1の接続流路(第1の精製ステージを貯蔵容器に接続する)における、貯蔵容器の上流、UV放射処理装置の上流、そして第1のバルブ構造の下流の位置での第3の接続流路の設置が、貯蔵容器の上流のUV放射処理装置を通りまた第2の精製ステージにおける再循環ループの放射処理装置を包含するポリッシング装置を通る再循環によって、たとえば、分注頻度および/または分量がシステムおよび/または貯蔵容器内の精製された水の汚染を防ぐには十分でないような時に、時々タンクの内容物の「リフレッシング」をすることを可能とする。
【0024】
この循環が-それだけで、または第1の精製ステージが水をドレインへと産生することと協働して-水質を、たとえシステムが毎日使用されなくても、イオン/有機物およびバクテリア含有率に関して、その最高のレベルに保つことを可能とする。この2つの異なった動作は、システム自体によってそれぞれのバルブがシステム全体の所望の流路パターンを構成するように、必要な場合に自動的におこなわれることが可能である。
【0025】
UV放射処理装置は、好ましくは水銀不使用UV-C LED放射処理デバイスとして、第3の接続流路が第1の接続流路に接続する位置よりも下流において第1の接続流路に提供されるのであるから、貯蔵容器からの水および再循環および分注ループ内の水の循環は、選択的にこのUV放射処理装置に導くことができる。それゆえに、分注位置が遠いところにあることによる、生物学的汚染の潜在的可能性は、バランスが取られる。
【0026】
上述の通りに第3の接続流路と第1のバルブ構造とを備えることによって、全体の精製システム(第1のステージ(浄化)/貯蔵容器/第2のステージ(超純水))が、頻繁に使用されなくても、好ましくは自動的に、完全に稼働可能に保たれることを可能にする2つの効果が実現可能である。この2つの効果は、対応する構成をシステムに一緒に組み込むことによって、組み合わせることができる。本システムの設置とメンテナンスの間に、現場作業エンジニア(FSE)は、同時に以下のことを行うことによって、より効率的に洗浄っ工程を中断することなく、システム全体の液水戸征を検査し評価することが可能である。
-第1の精製ステージ中の電気脱イオン洗浄(すなわち、バルブ構造を貯蔵容器へ行く水流を遮断しドレインへ行く水流を開き、水道蛇口からドレインまでの水流を形成する);および
-再循環および分注ループにおける再循環(この検査を実行するために第1のまたは浄水ステージの洗浄を中断する必要は無い)。
【0027】
第1のバルブ構造の下流で第3の接続流路と第1の接続流路との接続よりも下流においてUV放射処理を適用することによって、そのUV放射処理装置は3つの異なった処理フェーズで動作することができる。
-浄化水の製造(水道蛇口から貯蔵容器まで-例えば3から15l/h);
-超純水再循環(貯蔵容器から来て第2の精製ステージを通る第2の接続流路と第3の接続流路との接続から貯蔵容器まで-例えば約40l/h);
-浄化水の製造と超純水再循環との組み合わせ(例えば訳43から55l/h)。
【0028】
殆どの利点は上述の2つの効果を同じシステムに実現させることによって得られるけれども、2つの効果は、対応する構成を必要に従って実現することによって、システム中に独立してかつ部分的に使用することが出来る。水精製および分注システムは、UV放射処理装置として、好ましくは水銀不使用UV-C放射処理装置、より好ましくはUV-C LED放射処理装置であって波長領域として260~290nmの彦理を放射するように構成されたものを、第1のバルブ構造の下流であって貯蔵容器の上流に有している。UV-C放射処理装置のUV放射強度は好ましくはUV-C放射処理装置を通って流れる水の流速に応じて調節可能である。
【0029】
この構成によって、LED光源に印加された電流は、システムの工程、すなわち製造または再循環/製造および再循環、に従って、調節され、UV放射処理装置内を通過する流速に適合させることが可能である。このことは、UV光源(LED)の寿命を最大化しつつ最適なUVが水に適用されることを可能にするが、それは何故かといえば、紫外線UV放射パワーはUV LEDに印加される電流に直接的に結びついており、UV LEDの寿命は光子放出の表面の温度に直接的に相関しており、この表面温度はUV LEDに印加される電流に直接的に結びついているので、流速に結び付き、また、浄化度に結び付くからである。
【0030】
第2の精製ステージは、好ましくは、水を精製するために、少なくともポリッシングフィルター装置および放射処理装置を含んでおり、放射処理装置は好ましくはキセノン二量体Xe2を使用して波長172nmの励起主放射を与える放射処理装置である。
【0031】
好ましくは、第2のバルブ構造が、第3の接続流路を、好ましくは許容または遮断の制御をするように、配置される。
【0032】
第1のバルブ構造によって実現される第1の効果の自動動作を提供するために、本水精製および分注システムは、第1の精製ステージ中のポンプが第1の精製ステージ中の水を駆動するように運転される間、第1のバルブ構成が精製された水の第1の精製ステージから貯蔵容器への流れは遮断し、第1の精製ステージから精製された水を排出するようにセットされたモードで、システムを動作させるように構成された制御装置をさらに含んでもよい。
【0033】
第3の接続流路の設置によって実現される、第2の効果の自動動作を提供するために、本水精製および分注システムは、水再循環ループ中の循環ポンプが、水が水再循環ループおよび貯蔵容器を通って循環するように動作されている間、第1のバルブ構造(3ウェイバルブ)が精製水の第1の精製ステージから貯蔵容器への流れは遮断するようにセットされ、第2のバルブ構造が第3の接続流路を通る流れを許容するようにセットされる再循環モードにおいてシステムを動作させるように構成された、制御装置を含んでもよい。
【0034】
動作を自動化するために、検知された分注部からの水の分注の休止時間、および/または検知された分注量、および/または検知された汚染に依存して、制御装置が自動的にシステムを再循環モードで動作させるように構成されることができる。対応する検知器および/またはタイマー回路は、適切なパラメーターを検知して制御装置で評価し、システムの要素(バルブ/ポンプ)をそれに従って起動するようにシステム中に実装することが出来る。
【0035】
上述した第1の効果を実現するために、本発明は、水精製および分注システムの運転方法をも提供し、該水精製および分注システムは、水を第1の精製等級まで精製する第1の精製ステージと;水を第1の精製等級よりも高度な第2の精製等級まで精製するための第2の精製ステージと循環流方向で第2の精製ステージより下流にある1つ以上の精製水のための出口を包含する分注部とを包含する水再循環ループと;そして第1の精製ステージで精製された水を、第1の精製ステージから貯蔵容器へ水を供給する第1の接続流路を通して受領して一時的に貯蔵し、貯蔵された水を水再循環ループへ第2の接続流路を通して供給するように構成されている貯蔵容器と を含むものであって、ここにおいて前記方法は、第1の精製ステージにおいてポンプが第1の精製ステージを通して水を駆動している間、第1の精製ステージから貯蔵容器へ精製された水の流れを阻止すること、を含むものである。
【0036】
水精製および分注システムの運転を行う本方法は、精製水を第1の精製ステージから排出することを停止することおよび第1の精製ステージにおけるポンプの運転を停止すること;水を水再循環ループ、UV放射処理装置および貯蔵容器を通って循環させるために水再循環ループの循環ポンプを作動させる間に、前記水再循環ループの分注部から、前記1つ以上の出口の循環流方向で下流の位置において、水を分岐させ、その分岐した水を第1の接続流路の貯蔵容器の上流に設けたUV放射処理装置の上流で第1の接続流路に供給することをさらに含んでもよい。
【0037】
上述した第2の効果を実現するために、本発明は、独立した水精製および分注システム、そのシステムは水を第1の精製等級まで精製する第1の精製ステージと;水を第1の精製等級より高度な第2の精製等級まで精製するための第2の精製ステージおよび第2の精製ステージより循環流の方向で下流にある1つ以上の精製水の出口を包含する水再循環ループと;および、第1の精製ステージで精製された水を、第1の精製ステージから貯蔵容器へ水を供給するための第1の接続流路を通って受領して一時的に貯蔵し、そして貯蔵した水を第2の接続流路を通って水再循環ループに供給するように設計された貯蔵容器とを含ものであって、ここにおいて前記方法は、第1の精製ステージにおいてポンプが第1の精製ステージを通して水を駆動している間、第1の精製ステージから貯蔵容器へ精製された水の流れを阻止し、水を水再循環ループ、UV放射処理装置および貯蔵容器を通って循環させるために水再循環ループの循環ポンプを作動させる間に、前記水再循環ループの分注部から、前記1つ以上の出口の、循環流方向で下流の位置において、水を分岐させ、その分岐した水を第1の接続流路の貯蔵容器の上流に設けたUV放射処理装置の上流で第1の接続流路に供給することを含むものである。
【0038】
貯蔵容器の上流のUV放射処理装置における分岐した水の処理は、好ましくは、UV-C放射により、好ましくは260~290nmの波長範囲で行われる。
動作を自動化するために、水再循環ループおよび貯蔵容器を通る水の循環は分注部からの水の分注の休止時間および/または分注分量、および/または汚染の検知に依存して実行することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下において、本発明が、添付の図面を参照して、1つの実施態様に基づいて説明される。
【
図1】
図1は、本発明の水精製および分注システムの好適な実施例を示す図である。
【
図2】
図2は、従来技術において公知の典型的な水精製および分注システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図2に開示された発明の水精製および分注システム100は、水を第1の精製等級まで生成する第1の精製ステージ1と、第1の精製等級より高度な第2の精製等級まで水を生成する第2の精製ステージ3と純還流D方向でみて精製ステージ3の下流に精製水のための1つ以上の出口6を包含する分注部5とを含む水再循環および分注ループ2とを有する。再循環および分注ループ2は、以下にさらに詳述されるであろう。
【0041】
貯蔵容器4が、第1の精製ステージ1で精製された水を、第1の精製ステージから貯蔵容器4に供給するための第1の接続流路7aを通して受領し一時的に貯蔵するように、そして、貯蔵した水を第2の接続流路7bを通して水再循環ループ2に供給するように設置されている。
【0042】
第1の精製ステージ1は少なくとも電気脱イオン(EDI)モジュール9と、EDIモジュールの上流のROモジュール19とを含む。もし第1の精製ステージへ水道水が供給され、所望の精製等級を達成するために必要な場合は、更なる精製手段、例えばプレフィルター装置17を含むことが出来る。第1の精製ステージ1において水を第1の精製ステージを通して移動させるためにポンプAが設けられている。
【0043】
電気脱イオンモジュール9の出口の下流の、第1の精製ステージ1と貯蔵容器4との間に第1のバルブ構造8が提供されており、第1の精製ステージ1(から)と貯蔵容器4(まで)との間の精製水の流れを選択的に遮断し、また、精製水を第1の精製ステージからドレイン(図示せず)へ排出するように構成されている。
【0044】
第1のバルブ構造8は、後述するように、好ましくは、遠隔的に制御装置の作用で起動される、3ウェイバルブである。第1のバルブ構造8は、3ウェイバルブと同じ又は類似の機能性を提供する異なったバルブ構造によっても実現可能である。
【0045】
水精製および分注システム100は、さらに微生物レベルを低下させるためのUV放射処理装置11、好ましくは260~290nmUV放射を発生する水銀不使用UV-LED放射処理装置を、水を生成するために第1のバルブ構造8の下流で貯蔵容器4の上流の第1の接続流路7aにおいて含む。
【0046】
UV-LED放射処理装置のUV放射強度は、好ましくはUV-LED放射処理装置を通る水の流速に従って、調節可能である。システムは、検出したまたは設定した流速に従ってUV-LEDに印加した電流を自動的に制御することによってUV放射パワーを制御するように構成された制御装置を含んでも良く、水の流速に応じて、放射の低いエネルギーレベルが、エネルギー節約のため、およびUV-LED放射処理装置の寿命拡大のために水が製造されないとき、すなわち循環されないまたは分注されないときに選ばれ、放射の高いエネルギーレベルが、製造および分配ときに選ばれる。
【0047】
図1に示される水精製および分注システム100の、再循環および分注ループ2は、その基本配置および要素において、EP 1814007 A1 に開示された発明に類似している。
【0048】
再循環および分注ループ2は、従って、精製すべき水をループ2に導入する水導入口21と、水再循環ループ2を通って水をポンピングし、これによりループ内に好ましい流れ方向Dを生成するためのポンピング手段またはポンプ18、好ましくは、例えば容積型ポンプの形式の、駆動型ポンプと、および、水導入口の下流の水を精製するための第2の水精製ステージ3を形成する水精製手段とを含む。
図1に示される、第2の水精製ステージ3は、少なくともポリッシングフィルター装置12および放射処理装置13、好ましくはTOCレベルを減少させることができる172nm波長の励起放射を与えることが出来るキセノンの二量体Xe2を用いた放射処理装置を含む。
【0049】
水再循環ループ2の分注部5は、第2の水精製ステージにおける水精製手段の下流において水再循環ループ2からそれぞれ枝分かれして(すなわちその分注部5から)出てくる精製水のための1つ以上の出口6を含み、それぞれの出口には、それぞれの分注バルブを操作することによって、精製水を再循環ループからそれぞれの出口6を通って制御された分注をおこなうために、分注バルブ22がそれぞれの出口6と水再循環ループ2との間に設けられている。出口6の構造は、好ましくは文献EP1814007A1に開示されているものと類似のものであることが出来る。分注バルブ22は、常閉(NC)流路を有する形式のソレノイドバルブである。
【0050】
図1に示される水再循環ループ2は、それゆえに、EP1814007 A1に開示されるものとは、とりわけ、水再循環ループ2から枝分かれし、水再循環ループの分注バルブ22を包含する分注部5をバイパスするバイパス路23の構成において異なっている。バイパス路23は、バイパス路23を通る流れの流量調節のため、および、水再循環ループの分注部5への流量調節のための、好ましくはこれら流量は一つの起動によって互いに反対方向に同時に制御され、すなわち、バイパス路23を通る流量が増加されると分注部5への流量は、好ましくは同じ量で、減少するように制御される、3ウェイバルブの形でのバルブ19を含んでもいる。かかる構造のこの3ウェイバルブ19は、好ましくは制御装置による正確なセッティングおよび遠隔操作が可能なように、モーター駆動される。そのようにして、再循環ループ2の第2の水精製ステージ3の下流の流入流れは、二つの流れに分割され、一つはバイパス路23を通りもう一つは分注部5を通り、その分割比はバルブ19により選択的に設定される。
【0051】
図1に示される水精製および分注システム100は、水再循環ループ2から第2の接続流路7bが再循環ループ2と接続する位置よりも循環流方向で上流の位置において枝分かれする第3の接続流路15をさらに含んでいる。より正確には、第3の接続流路15は水再循環ループ2の分注部5から1つ以上の出口6の純還流方向Dで下流の位置で枝分かれし、第1の接続流路7aと貯蔵容器4の上流で第1のバルブ構造8よりも下流の位置15aにおいて、またより正確には第1の接続流路7aの第3の接続流路15が第1の接続流路7aと接続する位置よりも下流のUV放射処理装置11の上流に、接続を提供している。
【0052】
第2のバルブ構造16、好ましくは制御装置と共同して遠隔操作で操作されることができる、たとえば常時閉(normally closed:NC)流路を有するソレノイドバルブの様な、バルブ構造が第3の接続流路15を通る流れを選択的に制御、好ましくは許容または遮断、するように設置されている。第2のバルブ構造16が、循環ループ2から第3のバイパス流路15を通って第1の接続流路7aへ流れる水流を許容するように制御され、他方第1のバルブ構造8は精製水が第1の精製ステージ1から貯蔵容器4への水流を遮断している場合は、第2の精製ステージ3を通る、貯蔵容器4に貯蔵された精製された水の循環および再循環及び分注ループ2中に包含されている精製水/超純水の循環を可能にする、閉じた循環流路が出口6からの水の分注の必要無しに形成される。
【0053】
このシステムは、それぞれのバルブとポンプ手段とを制御するための制御装置(図示せず)を含み、制御装置はあらかじめ作られたプログラミングに基づいた様々な制御セッティングを実現するように構成されている。
【0054】
かかる制御装置は、第1の精製ステージ1内のポンプ19が水を第1の精製ステージ1を通るように駆動し、第1のバルブ構造8が精製水の第1の精製ステージ1から貯蔵容器4への流れを遮断し、精製水を第1の精製ステージから排水するというモードでシステムを制御するように構成されることができる。
【0055】
かかる制御装置は、水再循環ループ2内の循環ポンプ18が水再循環および分注ループ2および貯蔵容器4を通って循環するように駆動される間、第1のバルブ構造8が精製された水の第1の精製ステージ1から貯蔵容器4への流れを遮断し、第2のバルブ構造16が第3の接続流路15を通る流れを許容するようにセットされる、という再循環モードでシステムを制御するように構成することもまた可能である。制御装置は、分注部(5)からの水の分注の検知された休止時間,および/または検知された分注量、および/または検知された汚染、に依存して、再循環モードでのシステムの運転を自動的に行うように構成されることも可能である。対応する検出器および/またはタイマーは、パラメーターを検知し情報を制御装置に入力として供給するためにシステムに設けることが出来る。
【0056】
より一般的な観点から、本発明は、水を第1の精製等級まで精製するための第1の精製ステージ1と、第1の精製等級よりも高度な第2の精製等級まで水を精製するための第2の精製ステージ3および前記第2の精製ステージ3の循環流方向Dで下流にある精製された水の1つ以上の出口6を包含する分注部5を包含する水再循環ループ2と、第1の精製ステージ1において精製された水を、水を第1の精製ステージ1から貯蔵容器4へ供給するための第1の接続流路7aを通して受領し一時的に貯蔵するように、また、貯蔵された水を第2の接続流路7bを通して水再循環ループ2に供給するように構成された貯蔵容器4とを含む、いかなる水精製および分注システム100に対しても適用可能であり、ここにおいて本発明は、かかる水精製および分注システムの運転方法をも含むものである。
【0057】
本方法は、第1の精製ステージから貯蔵容器への汚染物資の放出は防止し、第1の精製ステージの洗浄と密封性試験とを設置の後および/またはシステムのメンテナンス時に同時に実施することによって、上に述べた効果を得てシステムによって生産された水の質を改善するために、第1の精製ステージ1中のポンプ19を運転して第1の精製ステージ1を通して水を駆動する間、第1の精製ステージから貯蔵容器4への精製された水の流れの遮断および第1の精製ステージからの精製された水の廃棄を含む。
【0058】
システムの休止時間が延長された場合、および/または分注量が少ない場合、および/または配水配管のまたは分注部5のチュービングの長さが長い場合(すなわち、使用する地点が精製ステージ3の要素が収容されている主ユニットから遠い場合)に水質を向上させるために、本方法は、精製された水が第1の精製ステージ1からの排水および第1の精製ステージ1のポンプ19の運転を停止すること、水再循環ループ2の分注部5から1つ以上の出口6または使用地点の循環流方向Dで下流の位置において水を分岐させること、そして、水循環ループ2内の循環ポンプ18を作動させて、水再循環ループ2(放射処理装置13を含む)、UV放射処理装置11および貯蔵容器4を通して水を循環させている間、分岐した水を、第1のバルブ構造8の下流であってUV放射処理装置11(これは貯蔵容器4の上流に設けられる)の上流において第1の接続流路7aに供給すること、をさらに含む。この方法の態様は、第1の精製ステージの洗浄と共に、または、それと独立に、利用することができる。
【0059】
水精製および分注システムの運転を行う本方法においては、水再循環ループ2および貯蔵容器4を通る水の循環は、分注部5からの水の分注の休止時間、および/または分注分量、および/または精製された水または超純水内の汚染の検知に依存して実行されることが出来る。