(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-05
(45)【発行日】2023-04-13
(54)【発明の名称】映像監視装置および映像監視プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 17/00 20060101AFI20230406BHJP
H04N 21/24 20110101ALI20230406BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230406BHJP
H04H 20/12 20080101ALI20230406BHJP
【FI】
H04N17/00 A
H04N21/24
H04N7/18 D
H04H20/12
H04N7/18 K
(21)【出願番号】P 2019084287
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴正
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167345(JP,A)
【文献】特開2013-197927(JP,A)
【文献】特開平09-102970(JP,A)
【文献】米国特許第8619850(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00-17/06
H04N 7/18
H04N 21/00
H04H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリソース映像を1画面に表示するマルチ画面における、各前記リソース映像を監視する映像監視装置であって、
前記マルチ画面における画面位置それぞれに対応付けて、前記リソース映像のリソース名、および、当該リソース映像の種類に応じた解析処理の内容を示す解析パターンが格納される設定ファイルが記憶される記憶手段と、
前記マルチ画面において前記リソース映像それぞれに当該リソース映像のリソース名が表示された入力画像を読み込む映像読込手段と、
前記入力画像を前記リソース映像ごとの子画面に分割し、前記子画面に表示された前記リソース名を文字認識して抽出し、前記設定ファイルを参照して、抽出したリソース名に対応する解析パターンを選択する解析パターン選択手段と、
前記リソース映像ごとに、選択された前記解析パターンで示される解析処理を実行する解析処理手段と、
前記解析処理により検知された各前記リソース映像の状態変化に関する結果情報を出力する監視結果出力手段と、
を備えることを特徴とする映像監視装置。
【請求項2】
前記解析パターンにより示される解析処理の内容は、前記リソース映像の画像切替の検知、前記リソース映像のフリーズの検知、前記リソース映像の白飛びの検知、前記リソース映像のデフォルト位置からの位置ずれの検知、前記リソース映像の無音の検知、のうち1つ以上を用いて規定されること
を特徴とする請求項1に記載の映像監視装置。
【請求項3】
前記監視結果出力手段は、前記解析処理により前記リソース映像の状態変化が検知されると、当該状態変化を示す音声情報を出力すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の映像監視装置。
【請求項4】
前記監視結果出力手段は、前記解析処理により前記リソース映像の状態変化が検知されると、当該状態変化が検知されたリソース映像の前記マルチ画面における画面位置に、タリー映像を含めて表示させる出力画像を出力すること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の映像監視装置。
【請求項5】
前記監視結果出力手段は、前記解析処理により前記リソース映像の状態変化が検知されると、前記タリー映像を含むマルチ画面を表示するマルチ画面領域と、前記解析処理により状態変化が検知されたリソース映像のリソース名、および、当該リソース映像の状態変化に関する結果情報を表示する画像変化表示領域と、を含む監視画面を生成して出力すること
を特徴とする請求項4に記載の映像監視装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の映像監視装置として機能させるための映像監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ画面に表示される各リソース映像を監視する、映像監視装置および映像監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビ放送局等において、その放送局外から、天気カメラ映像や中継、ニュース素材などの複数のリソース映像が、CS(Communication Satellites)、IP(Internet Protocol)ネットワーク、FPU(Field Pickup Unit)等の伝送路を介して放送局に送られてくる。局外伝送は、常に安定運用(回線の安定、映像の安定)が求められ、通常、これらの複数のリソース映像をマルチ画面で表示し、運用者が目視で各リソース映像の状態を監視している。
【0003】
一方、複数のリソース映像と現在放送中にオンエアされている映像を比較し、リソース映像と放送利用の映像の一致性を判定する技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、複数のリソース映像を表示するマルチ画面において、いずれかのリソース映像と放送中にオンエアされている映像(放送利用映像)とが一致する場合に、オンエアしているそのリソース映像をタリー表示(リソース映像を囲むように枠で表示)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在行われている、複数のリソース映像をマルチ画面で表示し、運用者が目視する方式では、以下に示すように、改善の余地がある。
IP回線による伝送では運用者が気付かないうちに運用(伝送)が始まってしまう。また、IP回線では、回線障害が発生してフリーズになってもアラームがあがらないため異常に気付きにくい。天気カメラ映像などは、映像の白飛びやデフォルトポジションからの位置ずれがあっても、運用者が注意深く見ておかないと気付かないことが多い。その他、スポーツ中継時は、本線と予備のFPU回線を常時監視することが難しい。
【0006】
本発明は、以上のような点を鑑みてなされたものであり、マルチ画面の状態変化を検出し、運用者に知らせることができる、映像監視装置および映像監視プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の映像監視装置は、複数のリソース映像を1画面に表示するマルチ画面における、各リソース映像を監視する映像監視装置であって、記憶手段と、映像読込手段と、解析パターン選択手段と、解析処理手段と、監視結果出力手段と、を備える構成とした。
【0008】
かかる構成によれば、映像監視装置は、映像読込手段によって、マルチ画面においてリソース映像それぞれに当該リソース映像のリソース名が表示された入力画像を読み込み、解析パターン選択手段が、入力画像をリソース映像ごとの子画面に分割し、子画面に表示されたリソース名を文字認識して抽出し、リソース映像の種類に応じた解析処理の内容を示す解析パターンが記憶された記憶手段を参照して、抽出したリソース名に対応する解析パターンを選択することができる。
これにより、映像監視装置は、マルチ画面に表示されたリソース映像をリソース名により特定し、その特定したリソース名のリソース映像の種類に応じた解析パターンを選択することができる。よって、映像監視装置は、リソース映像の種類に応じた最適な解析パターンの内容で、各リソース映像の解析処理を実行させることができる。
【0009】
また、映像監視装置は、解析処理手段によって、リソース映像ごとに、選択された解析パターンで示される解析処理を実行し、監視結果出力手段が、解析処理により検知された各リソース映像の状態変化に関する結果情報を出力することができる。
これにより、映像監視装置は、リソース映像ごとの解析処理で検知された当該リソース映像の状態変化に関する結果情報を出力し、運用者等に知らせることができる。
【0010】
このように、本発明の映像監視装置は、マルチ画面におけるリソース映像ごとに、そのリソース映像の状態変化を自動で出力するため、例えば、運用者等が素材伝送の開始や終了を確実に認識することができる。また、例えばフリーズや白飛び等の映像の異常によりリソース映像が状態変化した場合であっても、そのリソース映像の状態変化(異常)を確実に運用者等に知らせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マルチ画面の状態変化を検出し、運用者に知らせる、映像監視装置および映像監視プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る映像監視装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る入力画像(マルチ画面)に付された文字情報を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る解析処理手段の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る監視結果出力手段の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る監視画面を例示する図である。
【
図6】本実施形態に係る監視画面を例示する図である。
【
図7】本実施形態に係る設定ファイルに保存される初期設定情報のデータ構成を例示する図である。
【
図8】本実施形態に係る設定ファイルに保存される解析パターン設定情報のデータ構成を例示する図である。
【
図9】本実施形態に係る映像監視装置の全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る解析パターン1の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態に係る解析パターン2の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態に係る解析パターン3の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】解析パターン3におけるフリーズ検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】解析パターン3における白飛び検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
【
図15】解析パターン3における位置ずれ検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】本実施形態に係る解析パターン4の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】解析パターン4におけるフリーズ検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
【
図18】解析パターン4における無音検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について図面を参照して説明する。
≪映像監視装置の構成≫
まず、
図1を参照して、映像監視装置1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る映像監視装置1の構成を示す機能ブロック図である。
映像監視装置1は、天気カメラ映像や中継、ニュース素材などの複数のリソース映像を表示するマルチ画面を入力画像1000として取り込む。そして、映像監視装置1は、その入力画像1000をリソース毎に分割した上で、子画面に表示されているリソース名(文字情報)を文字認識する。映像監視装置1は、その文字認識の結果から解析パターンを選択し、各リソースに適合した解析処理を実行する。そして、映像監視装置1は、各リソース映像について、状態変化を検出したり、異常を検出した場合に、運用者に知らせるため、出力画像2000にタリー表示を行ったり、音声アラームを出力したり等の監視結果の出力処理を実行する。
【0014】
この映像監視装置1は、例えば、HD-SDI(High Definition-Serial Digital Interface)入出力ボードによりマルチ画面で表示された複数のリソース映像を取り込む。また、映像監視装置1は、監視結果として、状態変化したリソースや異常を検知したリソースの画面をタリー表示した出力画像2000を、HD-SDI入出力ボードにより出力する。また、映像監視装置1には、スピーカ6が接続されており、状態変化や異常を示す音声情報をスピーカ6に出力する。
【0015】
また、映像監視装置1には、モニタ5が接続されており、状態変化や異常を示す監視結果を監視画面3000(後記する、
図5,
図6参照)として表示する。
なお、この映像監視装置1は、例えば放送局において、伝送回線を監視する設備に追加されて設置される。
この映像監視装置1は、
図1に示すように、制御手段10と、記憶手段20と、入出力手段30とを備える。
【0016】
入出力手段30は、情報の送受信を行うための通信インタフェース、および、キーボード等の入力装置や、モニタ5やスピーカ6等の出力装置との間で情報の送受信を行うための入出力インタフェースからなる。
具体的には、入出力手段30は、例えば上記したHD-SDI入出力ボードを備え、リソース映像を表示するマルチ画面を入力画像1000として取り込む。また、HD-SDI入出力ボードを介して、状態変化や異常が検知されたリソース映像についてタリー表示したマルチ画面を出力画像2000として出力する。
【0017】
図1に示す入力画像1000(および出力画像2000)は、天気カメラ映像や中継、ニュース素材などの複数のリソース映像を1画面に表示する映像であり、
図1の入力画像1000においては、1画面を5×5分割した25個のリソース映像を表示するマルチ画面を例示している。なお、このマルチ画面の分割数は、25(5×5)画面に限定されず、例えば9(3×3)画面や、16(4×4)画面等であってもよい。
【0018】
このマルチ画面の入力画像1000について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る入力画像1000に付された文字情報を説明するための図である。本実施形態に係る入力画像1000には、各リソース映像の画像ごとに、その画像のリソースの内容を示すリソース名として文字情報が付されている。なお、25分割されたマルチ画面上の位置を、
図2で示すように、「Pic1」~「pic25」として説明する。
【0019】
図2に示す25面のマルチ画面の場合、例えば、「Pic4」の画面位置にあるリソースの文字情報「HD-CS1」、「Pic6」の画面位置にあるリソースの文字情報「下関1」、「Pic9」の画面位置にあるリソースの文字情報「N41」、「Pic16」の画面位置にあるリソースの文字情報「報道IP1」等のように、各リソース映像にリソース名が文字情報として付されている。
また、リソース映像に音声情報が付されている場合には、各リソース映像の画面の例えば左下に音声レベルメータが表示される(図示省略)。音声レベルメータは、音の大きさをレベルメータとして画面表示するものである。
【0020】
図1に戻り、記憶手段20は、フラッシュメモリやハードディスク、RAM(Random Access Memory)等により構成される。また、この記憶手段20には、マルチ画面の画面位置に対応付けて、リソース映像のリソース名や、リソース名を識別するための文字認識情報、各文字認識情報に対応付けた解析パターンの情報等が設定ファイル200として記憶される(詳細は、後記する
図7,
図8参照)。さらに、この設定ファイル200には、各リソース画像に対応付けて、解析処理を実行する際の各種パラメータが予め設定される。
また、この記憶手段20には、制御手段10の各機能を実行させるためのプログラム(映像監視プログラム)や、制御手段10の処理に必要な情報が一時的に記憶される。
【0021】
制御手段10は、映像監視装置1の制御全般を司り、
図1に示すように、映像読込手段11、解析パターン選択手段12、解析処理手段13、監視結果出力手段14、処理設定手段15を含んで構成される。
この制御手段10は、例えば、記憶手段20に記憶されたプログラム(映像監視プログラム)を不図示のCPU(Central Processing Unit)が、RAMに展開し実行することにより実現される。
【0022】
映像読込手段11は、入出力手段30に備わる、例えばHD-SDI入出力ボードを介して、マルチ画面で示される複数のリソース映像を入力画像1000として読み込む。そして、映像読込手段11は、読み込んだ入力画像1000を、解析パターン選択手段12に出力する。
【0023】
解析パターン選択手段12は、入力画像1000をリソース単位の子画面に分割し、子画面に表示されている文字情報(リソース名)を文字認識する。解析パターン選択手段12は、子画面から文字認識した文字列に一致する(部分一致も含む)文字情報を、予め設定ファイル200(後記する初期設定情報210)に入力しておいた文字認識情報(
図7参照)で示される文字列を参照して特定する。なお、子画面から文字認識した文字列と、設定ファイル200に入力しておいた文字認識情報とのマッチングは、既存の文字認識技術の1つであるNCC(Normalized Cross Correlation)を利用して、類似度を評価することにより行ってもよい。
解析パターン選択手段12は、特定した文字列(
図7の文字認識情報)に対応する解析パターンを、設定ファイル200(初期設定情報210)を用いて選択する。
この解析パターンの情報は、後記する解析処理手段13の具体的な解析内容が示される情報であり、解析処理手段13は、この解析パターンに沿って、各解析処理を実行する。
【0024】
解析処理手段13は、解析パターン選択手段12によって選択された解析パターンごとに、画像切替検知、フリーズ検知、白飛び検知、無音検知、位置ずれ検知のうち、1つ以上を用いた解析処理を実行する。
ここで、
図3を参照して、解析処理手段13の構成について、さらに詳細に説明する。
図3に示すように、解析処理手段13は、画像切替検知手段131と、フリーズ検知手段132と、白飛び検知手段133と、無音検知手段134と、位置ずれ検知手段135とを備える。
【0025】
画像切替検知手段131は、デフォルト画像の種類に合わせて、そのデフォルト画像が切り替わったことを検知する。なお、デフォルト画像が何であるかは、予め記憶手段20内の設定ファイル200(具体的には、
図7の初期設定情報210)に記憶しておく。
(1)画像切替検知手段131は、デフォルト画像が無信号(フリーズ画像)である場合に、前フレームと現フレームの画素ごとの輝度レベルの演算処理を行い、変化があれば映像が切り替わったと検知する。
【0026】
(2)画像切替検知手段131は、デフォルト画像が天気カメラ画像である場合に、その画像の特徴量に基づき画像切替を検知する。具体的には、画像中の特徴点として、例えばエッジのような輝度変化が大きい位置を抽出し、その特徴点周辺領域の輝度勾配の情報から勾配方向のヒストグラム(特徴量)を算出する。そして2画面の特徴量のマッチング処理を行い、マッチングにより得られたマッチングコストの値が所定の閾値未満のときに、画像切替検知手段131が、その2画面が異なると判定する。これにより、画像切替検知手段131は、画面が切り替わったことを検知することができる。
また、画像切替検知手段131は、テンプレートマッチングの技術であるNCC(Normalized Cross Correlation:正規化相互相関)を用いて画像切替を検知してもよい。NCCでは、予め登録しておいたテンプレート画像と、対象とする入力画像とで類似度を評価することにより、画像切替を検知することができる。
【0027】
(3)画像切替検知手段131は、デフォルト画像が、カラーバー、グリーン画像、青縞画像等の特徴的な色を持つ画像である場合に、色のヒストグラムを取得し、色情報をもとに画像の切り替わりを検知する。
【0028】
フリーズ検知手段132は、前フレームと現フレームの画素ごとの輝度レベルの演算処理を行い、前後の画像が所定フレーム以上一致した場合にフリーズであると検知する。
また、白飛び検知手段133は、画像の輝度レベルを算出し、設定した閾値を上回った場合に白飛びであると検知する。
【0029】
無音検知手段134は、分割された子画面のリソース映像に表示される音声レベルメータと、無音時の音声レベルメータと比較し、これらの画像が所定フレーム以上一致した場合に、無音であると検知する。
【0030】
位置ずれ検知手段135は、デフォルト位置の画像と現時点の画像とで、位置ずれが生じているかについて特徴量を検出することにより判定する。位置ずれ検知手段135は、予め設定しておいた所定の閾値を超えて位置がずれている場合に、位置ずれが発生していると検知する。
【0031】
図1に戻り、監視結果出力手段14は、解析処理手段13で検知されたリソース映像の状態変化や異常に関する結果情報を出力する。
ここで、
図4を参照して、監視結果出力手段14の構成について、さらに詳細に説明する。
図4に示すように、監視結果出力手段14は、タリー出力手段141と、音声出力手段142と、監視画面表示手段143と、ログ出力手段144とを備える。
【0032】
タリー出力手段141は、解析処理手段13の画像切替検知手段131が、あるリソース画像でカラーバーから伝送中の画像に切り替わったことを検知した場合に、マルチ画面のうち、伝送中のリソース画像について、例えば緑枠のタリー映像を出力する。また、画像切替検知手段131は、伝送の終了を検知した場合に、所定の時間、例えば黄枠のタリー映像を出力する。
また、タリー出力手段141は、解析処理手段13のフリーズ検知手段132、白飛び検知手段133、無音検知手段134および位置ずれ検知手段135が、異常を検知した場合に、マルチ画面のうち、その異常を検知したリソース画像について、例えば赤枠のタリー映像を出力する。
【0033】
図1の出力画像2000は、画面位置が「Pic17」および「Pic25」のリソース映像において、異常が検知されたため赤枠のタリーの映像を出力した例を示している。このように、画像の状態変化や、異常が複数のリソース画面で同時に検出された場合には、タリー出力手段141は、複数のタリー映像を同時に出力するようにする。
【0034】
図4に戻り、音声出力手段142は、解析処理手段13が、画像の切り替わりや、異常を検知した場合に、予め設定しておいた音声情報を、音声アラームとしてスピーカ6に出力する。
例えば、解析処理手段13の画像切替検知手段131が、リソース映像の状態変化として、伝送開始を検知した場合に、「伝送開始しました。」等を音声アラームとして出力させる。
また、音声出力手段142は、フリーズ検知手段132、白飛び検知手段133、無音検知手段134および位置ずれ検知手段135が異常を検知した場合には、運用者に注意を促す警報音を音声情報としてスピーカ6に出力する。
なお、これらの音声アラームを出力するための音声情報は、予め記憶手段20に格納しておく。
【0035】
監視画面表示手段143は、解析処理手段13がリソース映像の状態変化や異常を検知した場合に、映像監視装置1に接続するモニタ5に表示された監視画面において、その状態変化や異常検知を表示する。
図5は、本実施形態に係る状態変化検出時の監視画面3000を例示する図である。
この監視画面3000は、タリー出力手段141が出力するタリー映像を含むマルチ画面を表示する領域(以下「マルチ画面領域3100」と称する。)と、状態変化や異常の検知を表示する領域(以下、「画像変化表示領域3200」と称する。)と、最新のログを表示する領域(以下、「ログ表示領域3300」と称する。)とを含んで画面構成される。
【0036】
監視画面表示手段143は、解析処理手段13の画像切替検知手段131が、リソース映像の状態が変化して、伝送開始を検知した場合、画像変化表示領域3200に、例えば、緑色の背景でそのリソース名と状態(例えば、「HD-CS1 伝送中」)を表示する。
また、監視画面表示手段143は、
図5の監視画面3000(「HD-CS1 伝送中」)の後に、「下関IP」のフリーズ検知のアラームを検出した場合には、
図6の監視画面3000に示すように、画像変化表示領域3200に、赤色の背景でそのリソース名と状態を、例えば、「下関IP フリーズ検知」のように表示させる。なお、このとき、「HD-CS1 伝送中」は、
図6のタブ3201として表示するようにしてもよい。
【0037】
図4に戻り、ログ出力手段144は、解析処理手段13が検知したリソース映像の状態変化や異常に関する情報を、ログ情報として、記憶手段20に記憶する。
また、ログ出力手段144は、記憶手段20に記憶されたログ情報を、上記した監視画面表示手段143を介して監視画面3000のログ表示領域3300に表示させる。
【0038】
なお、監視結果出力手段14が備える、タリー出力手段141、音声出力手段142、監視画面表示手段143およびログ出力手段144については、解析処理手段13の各解析処理により、画像切替や異常が検知されると、その解析結果の出力処理を即時に実行する。また、このタリー出力手段141、音声出力手段142、監視画面表示手段143、ログ出力手段144のうち、1つ以上の任意の機能を選択して予め設定しておくことにより、所望の機能を選択して解析結果を出力するようにしてもよい。
【0039】
図1に戻り、処理設定手段15は、各リソース映像を解析する際の初期設定の情報や、解析パターンの情報、各解析処理を実行するためのパラメータ等を、設定ファイル200として記憶手段20に記憶する。
【0040】
図7は、本実施形態に係る設定ファイル200に保存される初期設定情報210のデータ構成を例示する図である。
初期設定情報210には、マルチ画面の画面位置211に対応付けて、リソース名212、文字認識情報213、解析パターン214およびデフォルト画像215が記憶される。
【0041】
リソース名212は、その画面位置211に表示されるリソース映像の名称である。
文字認識情報213は、解析パターン選択手段12がマルチ画面を分割した子画面に表示されている文字情報(リソース名)と比較して、文字認識するための情報である。
例えば、リソース名212が「局外1」の文字認識情報213として「局外1」が登録される。リソース名212が「HD-CS1」「HD-CS2」の文字認識情報213として「HD-CS」が登録される。リソース名212が「錦帯橋カメラ」の文字認識情報213として「錦帯橋カメラ」が登録される。なお、例えば、リソース名212が「報道IP1」「報道IP2」・・・「報道IP8」のように、解析パターン214やデフォルト画像215が同じである場合には、文字認識情報213として、数字を除いた共通する文字部分である「報道IP」を文字認識情報213として登録することができる。
【0042】
解析パターン214には、文字認識情報213に対応付けて解析処理手段13が実行する各種の解析処理(画像切替検知、フリーズ検知、白飛び検知、無音検知、位置ずれ検知等)の1つ以上を用いて規定される解析パターンの識別情報が格納される。
【0043】
デフォルト画像215には、各リソース映像の解析処理前の初期画像が格納される。
例えば、リソース名212が「局外1」や「HD-CS1」であればデフォルト画像215として「グリーン画像」が登録される。リソース名212が「錦帯橋カメラ」であればデフォルト画像215として「天気カメラ画像」が登録される。リソース名212が「報道IP1」であればデフォルト画像215として「フリーズ画像」が登録される。なお、このデフォルト画像215として、複数の画像が登録されてもよい。その場合、例えば、位置ずれ検知手段135(
図3)は、複数枚のデフォルト画像のうちのいずれか1枚と類似度が高ければデフォルト位置(位置ずれが生じていない)と判定することができる。
【0044】
図8は、本実施形態に係る設定ファイル200に保存される解析パターン設定情報220のデータ構成を例示する図である。
解析パターン設定情報220は、画像切替検知、フリーズ検知、白飛び検知、無音検知、位置ずれ検知等のうち、いずれの解析処理を解析処理手段13に実行させるかについて、リソース映像の種類に応じて解析処理の内容(処理のシナリオ)を設定(パターン化)しておくものである。
【0045】
例えば、「解析パターン1」は、デフォルト画像としての「グリーン画像」の画像切替検知を行い、切り替わった画像であるカラーバーに(点滅)表示されている文字の文字認識を行い、伝送中と伝送終了の状態変化を画像切替に基づき検知するという処理内容を規定している。「解析パターン2」は、デフォルト画像からの伝送開始を画像切替検知により行い、また、伝送終了の検知を画像のフリーズ検知で行うことにより、伝送中と伝送終了の状態変化を解析するという処理内容を規定している。「解析パターン3」は、デフォルト映像(例えば、天気カメラ画像)のフリーズ検知、白飛び検知、位置ずれ検知を行うという処理内容を規定している。「解析パターン4」は、デフォルト画像からの画像切替検知を行い、伝送中の画像のフリーズ検知、無音検知を行うという処理内容を規定している。
以下、解析処理の組み合わせを例えば、「解析パターン5」~「解析パターン9」のように、リソース映像の種類に対応させて、その処理内容を規定しておく。
【0046】
また、この設定ファイル200には、リソース映像毎に、解析パターンで示される解析処理で必要となる各種パラメータが設定される。
例えば、フリーズ検知において、画像がフリーズしたことを判定する閾値や、白飛び検知において、画像の白飛びを判定する所定の輝度の値や、位置づけ検知において、デフォルト位置からの位置ずれの所定値等が、各種パラメータとして設定される。また、各種の検知を確定するための所定の経過時間についての閾値(後記する、所定時間「k」「m」「p」等)も予めこの設定ファイル200に登録される。
【0047】
処理設定手段15は、上記した初期設定情報210や各種パラメータの情報の入力画面を、入出力手段30を介してモニタ5に表示させ、運用者等に入力させることにより、記憶手段20に記憶する。例えば、
図5の監視画面3000の「設定」タグ3001を選択(クリック)することにより、初期設定情報210や各種パラメータの情報の入力画面を表示させ、運用者等に入力させてもよい。その他にも、処理設定手段15は、初期設定情報210や各種パラメータの情報を、外部装置等から取り込んで記憶手段20に記憶するようにしてもよい。
なお、処理設定手段15は、解析処理を実行しない設定に変更するモード(保守モード)がリソース映像ごとに選択できる画面をモニタ5に表示させ、運用者等にその保守モードを選択させることにより、解析処理が不要な特定のリソース映像についての解析処理を実行させないようにしてもよい。
【0048】
≪映像監視装置の動作≫
次に、
図9~
図18を参照して、映像監視装置1の動作について説明する。
まず、映像監視装置1の全体の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、設定ファイル200の情報として、初期設定情報210(
図7)、解析パターン設定情報220(
図8)、各種パラメータの情報が記憶手段20に予め登録され、制御手段10が処理可能な状態として読み込んであるものとして説明する。
【0049】
図9は、本実施形態に係る映像監視装置1の全体の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、映像監視装置1の映像読込手段11は、入出力手段30(例えばHD-SDI入出力ボード)を介して、マルチ画面で示される複数のリソース映像を入力画像1000として読み込む(ステップS1)。
【0050】
続いて、解析パターン選択手段12が、入力画像1000をリソース単位の子画面に分割し、子画面に表示されている文字情報を既存の文字認識の手法を用いて抽出する(ステップS2)。そして、解析パターン選択手段12は、記憶手段20に記憶された設定ファイル200の初期設定情報210(
図7)を参照し、抽出した文字情報と、初期設定情報210の文字認識情報213とを比較して、一致する文字列を特定し、その特定した文字列に対応する解析パターンを、リソース映像(子画面)毎に選択する(ステップS3)。このステップS1~S3までの処理が、映像監視装置1が初期設定で実行する処理である。
【0051】
続いて、解析処理手段13が、リソース映像それぞれについて、選択した解析パターンでの解析処理を実行する(ステップS4)。なお、解析処理手段13は、分割した子画面(リソース映像)について所定の順(例えば、「Pic1」,「Pic2」,…,「Pic25」の順)に解析処理を実行する。
そして、監視結果出力手段14が、各リソース映像について、解析処理手段13で検知されたリソース映像の状態変化や異常に関する結果情報を出力する(ステップS5)。
【0052】
次に、映像監視装置1(解析処理手段13および監視結果出力手段14)は、システム終了の指示情報を受信したか否かを判定する(ステップS6)。そして、システム終了の指示情報を受信していなければ(ステップS6→No)、ステップS4に戻り、ステップS4~ステップS5の処理を繰り返す。つまり、分割した子画面(リソース映像)についての解析処理を繰り返す。一方、システム終了の指示情報を受信した場合には(ステップS6→Yes)、映像監視装置1は、処理を終了する。
【0053】
なお、入力画像1000のマルチ画面において、リソース映像の配置や名称の変更があった場合には、映像監視装置1は、処理を中止し、Initialize(初期化)して、設定ファイル200を再度読み込んだ上で、ステップS1からの処理を実行する。
【0054】
次に、各解析パターンの具体例として、解析パターン1~解析パターン4について説明する。
図8に示した、その他の解析パターン5~解析パターン9については、解析パターン1~解析パターン4において実行される個々の解析処理と同様の処理の組み合わせであるため説明を省略する。
なお、以下、
図9のステップS4~ステップS5にかけて、分割された子画面のリソース映像における解析パターンによる処理が実行されるものとして説明する。
【0055】
<解析パターン1>
図10は、解析パターン1の処理の流れを示すフローチャートである。画面位置が「Pic4」でありリソース名が「HD-CS1」のリソース映像を解析処理する例「解析パターン1」について説明する。
【0056】
ここでは、
図9のステップS1~S3の初期設定において、映像監視装置1の解析パターン選択手段12が、「Pic4」の子画面に表示されている文字情報として「HD-CS1」を抽出し、設定ファイル200内の初期設定情報210を参照して、文字認識情報213のうち「HD-CS」を特定することにより、解析パターン1を選択しているものとする。
【0057】
映像監視装置1の解析処理手段13は、解析処理が開始されると、設定ファイル200の解析パターン設定情報220(
図8)の「解析パターン1」で示される処理内容(シナリオ)を実行する。
【0058】
具体的には、まず、画像切替検知手段131がデフォルト画像である「グリーン画像」からの画像切替を監視する。そして、画像切替検知手段131が、HD-CS1のデフォルト画像「グリーン画像」がカラーバーの映像に切り替わったことを検知する(ステップS101)。続いて、画像切替検知手段131は、カラーバーに点滅表示されている文字列を文字認識し(ステップS102)、予め登録しておいた文字(ここでは、「FH-46カラーバー」とする。)であると判定する。すると、監視結果出力手段14のタリー出力手段141が、当該リソース画像について、緑枠のタリー映像を出力し(ステップS103-1)、音声出力手段142が「HD-CS1でFH-46カラーバー受信開始しました。」という音声をスピーカ6から出力する(ステップS103-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000の画像変化表示領域3200(
図5)に「HD-CS1 伝送中」を表示する(ステップS103-3)。
なお、このステップS103-1,S103-2,S103-3の各処理は、並列に実行される。このステップ番号に枝番を付している処理は、以下に示すフローチャートにおいても、並列に実行される処理である。
【0059】
次に、画像切替検知手段131が、「HD-CS1」の画像について、素材伝送後に、デフォルト画像(グリーン画像)に切り替わったことを検知する(ステップS104)。すると、監視結果出力手段14のタリー出力手段141が、緑枠のタリー映像の出力を止め(緑枠のタリーを消灯)(ステップS105-1)、音声出力手段142が「HD-CS1で伝送終了しました。」という音声をスピーカ6から出力する(ステップS105-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000の画像変化表示領域3200に「HD-CS1 伝送終了」を表示する(ステップS105-3)。
【0060】
なお、図示は省略しているが、監視結果出力手段14のログ出力手段144は、ステップS103およびステップS105において、「HD-CS1 伝送開始」、「HD-CS1 伝送終了」の情報それぞれをその日時とともに、ログ情報として記憶手段20に記憶するとともに、監視画面3000(
図5)のログ表示領域3300に表示させる。
【0061】
このようにすることで、解析パターン1の処理により、映像監視装置1は、HD-CS1の伝送開始と伝送終了を、運用者に確実に認識させることができる。
【0062】
<解析パターン2>
図11は、解析パターン2の処理の流れを示すフローチャートである。画面位置が「Pic16」でありリソース名が「報道IP1」のリソース映像を解析処理する例「解析パターン2」について説明する。
【0063】
ここでは、
図9のステップS1~S3の初期設定において、映像監視装置1の解析パターン選択手段12が、「Pic16」の子画面に表示されている文字情報として「報道IP1」を抽出し、設定ファイル200内の初期設定情報210を参照して、文字認識情報213のうち「報道IP」を特定することにより、解析パターン2を選択しているものとする。
【0064】
映像監視装置1の解析処理手段13は、解析処理が開始されると、設定ファイル200の解析パターン設定情報220(
図8)の「解析パターン2」で示される処理内容(シナリオ)を実行する。
【0065】
具体的には、まず、画像切替検知手段131が、「報道IP1」に画面表示されている画像をキャプチャし、前後比較することにより、画像が切り替わったか否かを判定する(ステップS201)。なお、「報道IP1」のデフォルト画像は、「フリーズ画像」である。画像切替検知手段131は、画像が切り替わっていないと判定した場合には(ステップS201→No)、処理を終了し、次の順の子画面の解析処理に移る。一方、画像が切り替わったと判定(検知)した場合には(ステップS201→Yes)、監視結果出力手段14のタリー出力手段141が、当該リソース画像について、緑枠のタリー映像を出力し(ステップS202-1)、音声出力手段142が「報道IP1で伝送開始しました。」という音声をスピーカ6から出力する(ステップS202-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000(
図5)の画像変化表示領域3200に「報道IP1 伝送中」を表示する(ステップS202-3)。
【0066】
続いて、フリーズ検知手段132が、「報道IP1」に画面表示されている画像をキャプチャし、前後比較することにより、前後画像が同じであるかを判定する(ステップS203)。そして、フリーズ検知手段132が、前後画像が同じではないと判定した場合には(ステップS203→No)、処理を終了する(次ステップの経過時間のカウント(n)=0とする)。
【0067】
一方、ステップS203において、フリーズ検知手段132が、前後画像が同じであると判定した場合(ステップS203→Yes)、つまり、「フリーズ画像」であることを検知した場合には、検知した時点からの経過時間をカウント(n)する(ステップS204)。
【0068】
そして、タリー出力手段141は、「カウント(n)≦k」(例えば、k=10秒)の場合に、緑枠のタリー映像の出力を続け(ステップS205)、処理を終了する。また、タリー出力手段141は、「カウント(n)>k」の場合に、黄枠のタリー映像を出力し(ステップS206)、処理を終了する。そして、タリー出力手段141は、「カウント(n)>m」(m>k、例えば、m=60秒)の場合に、黄枠のタリー映像の出力を止め(消灯し)(ステップS207)、処理を終了する。
【0069】
なお、図示は省略しているが、監視結果出力手段14のログ出力手段144は、ステップS202およびステップS207において、「報道IP1 伝送開始」、「報道IP1 伝送終了」の情報それぞれをその日時とともに、ログ情報として記憶手段20に記憶するとともに、監視画面3000(
図5)のログ表示領域3300に表示させる。
【0070】
このようにすることで、解析パターン2の処理により、運用者は、報道IP1の伝送開始と伝送終了を確実に認識することができる。
【0071】
<解析パターン3>
図12は、解析パターン3の処理の流れを示すフローチャートである。画面位置が「Pic13」でありリソース名が「錦帯橋カメラ」のリソース映像を解析処理する例「解析パターン3」について説明する。
【0072】
ここでは、
図9のステップS1~S3の初期設定において、映像監視装置1の解析パターン選択手段12が、「Pic13」の子画面に表示されている文字情報として「錦帯橋カメラ」を抽出し、設定ファイル200内の初期設定情報210を参照して、文字認識情報213のうち「錦帯橋カメラ」を特定することにより、解析パターン3を選択しているものとする。
【0073】
映像監視装置1の解析処理手段13は、設定ファイル200の解析パターン設定情報220(
図8)の「解析パターン3」で示される処理内容(シナリオ)として、フリーズ検知(ステップS310:
図13参照)、白飛び検知(ステップS320:
図14参照)、位置ずれ検知(ステップS330:
図15参照)を実行する。なお、「錦帯橋カメラ」のデフォルト画像は、天気カメラ画像である。
【0074】
(フリーズ検知)
図13は、解析パターン3におけるフリーズ検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
まず、フリーズ検知手段132は、「錦帯橋カメラ」のリソース映像に表示されている画像をキャプチャし、前後比較することにより、前後画像が同じであるかを判定する(ステップS311)。そして、フリーズ検知手段132が、前後画像が同じではないと判定した場合には(ステップS311→No)、処理を終了する(次ステップの経過時間のカウント(n)=0とする)。このとき、その以前にフリーズ検知されており、その後フリーズ検知が解消したときには、赤枠のタリーを消灯して(ステップS312)、処理を終了する。一方、フリーズ検知手段132が、前後画像が同じであると判定した場合(ステップS311→Yes)、つまり、「フリーズ画像」であることを検知した場合には、検知した時点からの経過時間をカウント(n)する(ステップS313)。
【0075】
そして、フリーズ検知手段132は、「カウント(n)>k」(例えば、k=30分)となっているか、つまり、経過時間のカウント(n)が所定時間kを超えているかを判定する(ステップS314)。フリーズ検知手段132は、カウント(n)が所定時間kを超えていなければ(ステップS314→No)、処理を終了する。一方、フリーズ検知手段132は、カウント(n)が所定時間kを超えていると判定すると(ステップS314→Yes)、監視結果出力手段14が、次の処理を実行する。
【0076】
タリー出力手段141は、当該リソース画像について、赤枠のタリー映像を出力し(ステップS315-1)、音声出力手段142がアラーム音(異常を知らせる警報音)をスピーカ6から出力する(ステップS315-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000(
図5)の画像変化表示領域3200に「錦帯橋カメラ フリーズ検知」を表示する(ステップS315-3)。
【0077】
(白飛び検知)
図14は、解析パターン3における白飛び検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
まず、白飛び検知手段133は、「錦帯橋カメラ」に表示されている画像について、輝度レベルを算出し、設定した所定の閾値を上回っているか、つまり、白飛びしているか否かを判定する(ステップS321)。そして、白飛び検知手段133が、画像の輝度が所定の閾値を上回っていない、つまり、白飛びしていないと判定した場合には(ステップS321→No)、処理を終了する(次ステップの経過時間のカウント(n)=0とする)。このとき、その以前に白飛び検知されており、その後白飛び検知が解消したときには、赤枠のタリーを消灯して(ステップS322)、処理を終了する。一方、白飛び検知手段133が、画像の輝度が所定の閾値を上回っている、つまり、白飛びしていると判定(検知)した場合には(ステップS321→Yes)、検知した時点からの経過時間をカウント(n)する(ステップS323)。
【0078】
そして、白飛び検知手段133は、「カウント(n)>p」(例えば、p=15分)となっているか、つまり、経過時間のカウント(n)が所定時間pを超えているかを判定する(ステップS324)。白飛び検知手段133は、カウント(n)が所定時間pを超えていなければ(ステップS324→No)、処理を終了する。一方、白飛び検知手段133が、カウント(n)が所定時間pを超えていると判定すると(ステップS324→Yes)、監視結果出力手段14が次の処理を実行する。
【0079】
タリー出力手段141は、当該リソース画像について、赤枠のタリー映像を出力し(ステップS325-1)、音声出力手段142がアラーム音(異常を知らせる警報音)をスピーカ6から出力する(ステップS325-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000(
図5)の画像変化表示領域3200に「錦帯橋カメラ 白飛び検知」を表示する(ステップS325-3)。
【0080】
(位置ずれ検知)
図15は、解析パターン3における位置ずれ検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
まず、位置ずれ検知手段135は、「錦帯橋カメラ」に表示されている画像について、デフォルト位置の画像と現時点の画像とで、位置ずれが生じているかについて特徴量を検出することにより判定する(ステップS331)。なお、位置ずれ検知手段135は、デフォルト画像として、昼の画像、夜の画像、その他の所定の時の画像(例えば、選挙期間中の特定のデフォルト画像等)の複数枚の画像を予め登録しておく。そして、位置ずれ検知手段135は、複数枚の画像のうちのいずれか1枚と類似度が高ければ、デフォルト位置であると判定するようにしてもよい。
ステップS331において、位置ずれ検知手段135がデフォルト位置から所定量を超えてずれていない、つまり、位置ずれしていないと判定した場合には(ステップS331→No)、処理を終了する(次ステップの経過時間のカウント(n)=0とする)。このとき、その以前に位置ずれ検知されており、その後位置ずれ検知が解消したときには、赤枠のタリーを消灯して(ステップS332)、処理を終了する。一方、位置ずれ検知手段135が、デフォルト位置から所定量を超えて位置ずれしていると判定(検知)した場合には(ステップS331→Yes)、検知した時点からの経過時間をカウント(n)する(ステップS333)。
【0081】
そして、位置ずれ検知手段135は、「カウント(n)>m」(例えば、m=30分)となっているか、つまり、経過時間のカウント(n)が所定時間mを超えているかを判定する(ステップS334)。位置ずれ検知手段135は、カウント(n)が所定時間mを超えていなければ(ステップS334→No)、処理を終了する。一方、位置ずれ検知手段135が、カウント(n)が所定時間mを超えていると判定すると(ステップS334→Yes)、監視結果出力手段14が次の処理を実行する。
【0082】
タリー出力手段141は、当該リソース画像について、赤枠のタリー映像を出力し(ステップS335-1)、音声出力手段142がアラーム音(異常を知らせる警報音)をスピーカ6から出力する(ステップS335-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000(
図5)の画像変化表示領域3200に「錦帯橋カメラ 位置ずれ検知」を表示する(ステップS335-3)。
【0083】
なお、図示は省略しているが、監視結果出力手段14のログ出力手段144は、
図13のステップS315、
図14のステップS325、および、
図15のステップS335のそれぞれにおいて、「錦帯橋カメラ フリーズ検知」、「錦帯橋カメラ 白飛び検知」、「錦帯橋カメラ 位置ずれ検知」の情報をその日時とともに、ログ情報として記憶手段20に記憶するとともに、監視画面3000(
図5)のログ表示領域3300に表示させる。
【0084】
このようにすることで、解析パターン3の処理により、運用者は、「錦帯橋カメラ」の画像のフリーズ、白飛び、位置ずれを確実に認識することができる。
【0085】
<解析パターン4>
図16は、解析パターン4の処理の流れを示すフローチャートである。画面位置が「Pic1」でありリソース名が「局外1」のリソース映像を解析処理する例「解析パターン4」について説明する。
【0086】
ここでは、
図9のステップS1~S3の初期設定において、映像監視装置1の解析パターン選択手段12が、「Pic1」の子画面に表示されている文字情報として「局外1」を抽出し、設定ファイル200内の初期設定情報210を参照して、文字認識情報213のうち「局外1」を検出することにより、解析パターン4を選択しているものとする。
【0087】
映像監視装置1の解析処理手段13は、解析処理が開始されると、設定ファイル200の解析パターン設定情報220(
図8)の「解析パターン4」で示される処理内容(シナリオ)を実行する。
【0088】
具体的には、まず、画像切替検知手段131が、「局外1」に画面表示されている画像をキャプチャし、前後比較することにより、画像が切り替わったか否かを判定する(ステップS401)。なお、「局外1」のデフォルト画像は、「グリーン画像」である。画像切替検知手段131は、画像が切り替わっていないと判定した場合には(ステップS401→No)、処理を終了し、次の順の子画面の解析処理に移る。一方、画像が切り替わったと判定した場合には(ステップS401→Yes)、解析処理手段13が、モニタ5に表示された監視画面3000(
図5)において配置された「処理開始」ボタン(例えば、
図5の符号3002)を点滅させる。これにより、運用者に「処理開始」ボタンの選択(クリック)を促す。そして、解析処理手段13は、「処理開始」ボタンが選択されたことの入力情報を取得する(ステップS402)。このとき、タリー出力手段141が、当該リソース画像について、緑枠のタリー映像を出力し(ステップS403)。これにより、「局外1」のリソース映像が、解析処理中であることがマルチ画面上で示される。
【0089】
なお、解析処理手段13は、解析処理中に、例えば監視画面3000において配置された「処理停止」ボタン(例えば、
図5の符号3003)が選択されたり、以降の解析処理中に異常が検知されず、当該リソース画像が「局外1」のデフォルト画像である「グリーン画像」に切り替わったことを検知した場合に、タリー出力手段141により、緑枠のタリー映像の出力を止めて消灯させる。
【0090】
そして、映像監視装置1の解析処理手段13は、フリーズ検知(ステップS410:
図17参照)、無音検知(ステップS420:
図18参照)を実行する。
【0091】
(フリーズ検知)
図17は、解析パターン4におけるフリーズ検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
フリーズ検知手段132は、「局外1」に画面表示されている画像をキャプチャし、前後比較することにより、前後画像が同じであるかを判定する(ステップS411)。そして、フリーズ検知手段132は、前後画像が同じではないと判定した場合には(ステップS411→No)、処理を終了する(次ステップの経過時間のカウント(n)=0とする)。このとき、その以前にフリーズ検知されており、その後フリーズ検知が解消したときには、赤枠のタリー映像に代えて緑枠のタリー映像を出力して(ステップS412)、処理を終了する。一方、フリーズ検知手段132は、前後画像が同じであると判定した場合(ステップS411→Yes)、つまり、「フリーズ画像」であることを検知した場合には、検知した時点からの経過時間をカウント(n)する(ステップS413)。
【0092】
そして、フリーズ検知手段132は、「カウント(n)>k」(例えば、k=5秒)となっているか、つまり、経過時間のカウント(n)が所定時間kを超えているかを判定する(ステップS414)。フリーズ検知手段132は、カウント(n)が所定時間kを超えていなければ(ステップS414→No)、処理を終了する。一方、フリーズ検知手段132は、カウント(n)が所定時間kを超えていると判定すると(ステップS414→Yes)、監視結果出力手段14が、次の処理を実行する。
【0093】
タリー出力手段141は、当該リソース画像について、赤枠のタリー映像を出力し(ステップS415-1)、音声出力手段142がアラーム音(異常を知らせる警報音)をスピーカ6から出力する(ステップS415-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000(
図5)の画像変化表示領域3200に「局外1 フリーズ検知」を表示する(ステップS415-3)。
【0094】
(無音検知)
図18は、解析パターン4における無音検知の具体例を説明するためのフローチャートである。
無音検知手段134は、「局外1」のリソース映像に表示される音声レベルメータを監視し、無音時の音声メータ画像であるかを判定する(ステップS421)。そして、無音検知手段134は、無音時の音声メータ画像でないと判定した場合には(ステップS421→No)、処理を終了する(次ステップの経過時間のカウント(n)=0とする)。このとき、その以前に無音検知されており、その後無音検知が解消したときには、赤枠のタリー映像に代えて緑枠のタリー映像を出力して(ステップS422)、処理を終了する。一方、無音検知手段134が、無音時の音声メータ画像であると判定(検知)した場合には(ステップS421→Yes)、検知した時点からの経過時間をカウント(n)する(ステップS423)。
【0095】
そして、無音検知手段134は、「カウント(n)>m」(例えば、m=5秒)となっているか、つまり、経過時間のカウント(n)が所定時間mを超えているかを判定する(ステップS424)。無音検知手段134は、カウント(n)が所定時間mを超えていなければ(ステップS424→No)、処理を終了する。一方、無音検知手段134が、カウント(n)が所定時間mを超えていると判定すると(ステップS424→Yes)、監視結果出力手段14が、次の処理を実行する。
【0096】
タリー出力手段141は、当該リソース画像について、赤枠のタリー映像を出力し(ステップS425-1)、音声出力手段142がアラーム音(異常を知らせる警報音)をスピーカ6から出力する(ステップS425-2)。また、監視画面表示手段143は、モニタ5に表示されている監視画面3000(
図5)の画像変化表示領域3200に「局外1 無音検知」を表示する(ステップS425-3)。
【0097】
なお、図示は省略しているが、監視結果出力手段14のログ出力手段144は、
図17のステップS415、および、
図18のステップS425のそれぞれにおいて、「局外1 フリーズ検知」、「局外1 無音検知」の情報をその日時とともに、ログ情報として記憶手段20に記憶するとともに、監視画面3000(
図5)のログ表示領域3300に表示させる。
【0098】
また、解析パターン4の例では、解析処理の「処理開始」と「処理停止」を、例えば、監視画面3000(
図5)の「処理開始」ボタン(符号3002)や「処理停止」ボタン(符号3003)により、運用者の指示情報を受け付けて実行するようにした。このようにすることで、運用者が所望する任意のタイミングで解析処理の開始や停止を実行させることができる。なお、
図2において示したマルチ画面のうち、例えば、「Pic25」の「報道IP8」のリソース映像を、「仮設FPU」のリソース映像に変更した場合には、「仮設FPU」の解析処理について、例えば、監視画面3000(
図5)の「処理開始」ボタン(符号3004)や「処理停止」ボタン(符号3005)を設け、運用者の指示情報を受け付けて実行するようにしてもよい。
【0099】
このようにすることで、解析パターン4の処理により、局外1のリソース映像のフリーズおよび無音の異常を確実に運用者に認識させることができる。
【0100】
以上説明したように、本実施形態に係る、映像監視装置1および映像監視プログラムによれば、マルチ画面の状態変化を検出し、確実に運用者に知らせることができる。また、フリーズや白飛び等のリソース映像の異常を検出し、確実に運用者に知らせることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 映像監視装置
5 モニタ
6 スピーカ
10 制御手段
11 映像読込手段
12 解析パターン選択手段
13 解析処理手段
14 監視結果出力手段
15 処理設定手段
20 記憶手段
30 入出力手段
131 画像切替検知手段
132 フリーズ検知手段
133 白飛び検知手段
134 無音検知手段
135 位置ずれ検知手段
141 タリー出力手段
142 音声出力手段
143 監視画面表示手段
144 ログ出力手段
200 設定ファイル
210 初期設定情報
220 解析パターン設定情報
1000 入力画像
2000 出力画像
3000 監視画面
3100 マルチ画面領域
3200 画像変化表示領域
3300 ログ表示領域