(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20230407BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230407BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230407BHJP
G01R 31/3187 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G01R31/28 V
G01R31/28 G
H01L27/04 T
G01R31/3187
(21)【出願番号】P 2019063048
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-233101(JP,A)
【文献】特開平07-199876(JP,A)
【文献】特開平06-006832(JP,A)
【文献】特開2009-085632(JP,A)
【文献】特開2004-069642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
H01L 21/822
G01R 31/3187
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャンモードが設定されたときにスキャンチェーンを構成し、且つテスト信号が入力されるスキャン入力端子を有するロジック回路と、
前記ロジック回路の動作間のブランク期間に前記テスト信号を生成するテスト信号生成回路と、前記スキャン入力端子又は前記テスト信号生成回路に切り替えるセレクタと、を有する異常検知回路と、を備え
、
前記ロジック回路は、その動作の間のブランク期間の開始時点にテスト開始信号を生成し、且つ、前記テスト開始信号に応じて前記スキャン入力端子から前記テスト信号生成回路へ前記セレクタを切り替えて前記テスト信号を前記スキャンチェーンに入力し、
前記テスト信号生成回路は、前記テスト開始信号に応じて前記テスト信号として反転した2ビットテストパターンを生成し、且つ、前記スキャンチェーンに直列接続される一対のフリップフロップを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記異常検知回路は、
前記スキャンチェーン及び前記一対のフリップフロップの合計のフリップフロップ数と同一のビット数のテスト期間信号を前記スキャンチェーンに供給し、前記テスト期間信号の終了を示すテスト終了信号を生成するテスト期間信号生成回路と、
前記テスト終了信号に応じて前記一対のフリップフロップからの出力を比較して回路異常を判別する故障判別部と、
をさらに有することを特徴とする請求項
1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記異常検知回路は、
前記スキャンチェーンがm(整数、m≧2)個のスキャンフリップフロップからなり、且つ、n(整数、m>n、n≧1)個のスキャンフリップフロップのシフトレジスタ部分が分割されてn個のスキャンフリップフロップからなる第1スキャンチェーンとm-n個の第2スキャンフリップフロップからなる第2スキャンチェーンとに分けた場合、前記n個のスキャンフリップフロップの前記第1スキャンチェーンから前記故障判別部まで直列接続されるn+2個の追加フリップフロップを有することを特徴とする請求項
2記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロジック回路を有する半導体装置に関し、例えば、液晶パネルを駆動する液晶駆動用半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
フリップフロップやラッチ等のロジック回路を有する半導体装置は、例えば、TFT(thin film transistor)を用いたカラー液晶パネルのソース線を駆動する液晶ドライバに利用されている。フリップフロップを直列に接続して構成されるシフトレジスタはシリアルデータをパラレルデータに変換する機能を持つので、シリアル/パラレル変換回路は表示デバイスを駆動する表示デバイスの信号ドライバに搭載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信号ドライバを用いた液晶パネル等の平面型表示デバイスが自動車内部に広範囲で搭載されている。自動車のミラーが液晶パネルによって構成される場合等、表示デバイスの機能不全が自動車の搭乗者の生命にも影響する。このために、信号ドライバ等の構成部品に高い信頼性が必要となってきている。
【0005】
信号ドライバに用いられるシリアル/パラレル変換回路の一部は、近年RTL(Resister Transfer Level)設計で行われるため、出荷時の故障検出用途として、一般的なスキャンテスト用のスキャン回路も導入されている。
【0006】
スキャン回路は、例えば、
図1に示すように、通常モードのロジック回路の間にクロックCLKで同期される3個のD型フリップフロップ(以下単にDFFと称する)1、2及び3を配置して構成されたクロック同期回路に、
図2に示すような、スキャンチェーンを形成した回路である。
図1には一組しか示していないが、一般的なクロック同期回路は、ロジック回路(組み合わせ回路)にDFFが交互に挟まれている構造を有する。なお、DFFはクロックが立ち上がった瞬間の入力状態を保持(記憶)する機能をもったクロック同期の順序回路である。スキャン回路のスキャンチェーンは、DFF1、DFF2及びDFF3の各入力端子(D端子)に出力端子(Q端子)が接続され、2入力マルチプレクサであるセレクタSC1、セレクタSC2及びセレクタSC3を配置してシリアル接続されて形成されている。各セレクタが入力端子に配置されたDFFの各々をスキャンフリップフロップと称する。
【0007】
スキャン回路のすべてのセレクタには、同じスキャンイネーブル信号(以下、SE信号と称する)が供給される。スキャン回路では、DFF1、DFF2及びDFF3の各入力端子のセレクタSC1、セレクタSC2及びセレクタSC3をSE信号で同時に切り替えて、スキャンチェーンを形成する。すなわち、SE信号が論理値”1”の時(スキャンモード=H)、シフトレジスタ動作となり、最前段のセレクタSC1を除くすべてのセレクタSC1、セレクタSC2、セレクタSC3には前段のDFFの出力が入力され、すべてのDFF1、DFF2、DFF3はシフトレジスタとして動作する。SE信号が論理値”0”の時(スキャンモード=L)、通常モードのロジック回路の出力がそれぞれ接続されたセレクタに入力され、全てのDFFに通常モードのロジック回路の出力が記憶される。なお、スキャンモードとは、内部のDFF群をシフトレジスタ接続にするモードをいう。
【0008】
通常モードはスキャンモード=Lで、各々がシリアル/パラレル変換を処理するように動作するが、出荷試験のスキャンテスト時はスキャンモード=Hとなり、DFFの出力が他のDFFのD入力に繋がりシフトレジスタ接続のようになる。
【0009】
スキャンテストは、シフトレジスタ接続を利用して回路内のDFFの故障を検出するテストである。まず、DFFが逐次繋がるスキャンチェーン状態(SE信号”1”)において、SCAN-IN端子から入力されたテストパターンは、DFFに順次セットされる。続いて、DFFに値がセットされた後(スキャンインステップ)、SE信号を”0”にし、通常動作モードで1クロック動作させ(キャプチャステップ)、動作した結果は、DFFに蓄えられる。その後、再度SE信号を”1”にし、DFFに蓄えられた値をSCAN-OUT端子から順次出力する(スキャンイアウトステップ)。SCAN-OUT端子にて観測した値を、予め求めてある期待値(故障がない場合の値)と比較し、故障の有無を判定する。
【0010】
このようにスキャン回路のスキャンテストにおいては、シフトレジスタのクロックや、初段の入力および最終段の出力は、大規模集積回路チップの外部で設定したり観測できるので、テストパターンと期待値を使うことで製造時の故障を検出できるようになっている。
【0011】
しかしながら、ロジック回路を含む表示デバイスの構成部品では製造時に生じる故障についてはスキャンテスト等の出荷試験で検出できるものの、経年劣化や衝撃等、使用中に生じた故障によって表示不良が発生する。表示デバイスのシリアル/パラレル変換回路が故障した場合は、シリアル/パラレル変換回路の後段のラッチ回路も全部動作しなくなるため影響度は特に大きい。
【0012】
本発明は、前述した問題点に鑑みなされたものであり、半導体装置におけるロジック回路の動作の間のブランク期間にスキャンテストを実行できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の半導体装置は、スキャンモードが設定されたときにスキャンチェーンを構成し、且つテスト信号が入力されるスキャン入力端子を有するロジック回路と、前記ロジック回路の動作間のブランク期間に前記テスト信号を生成するテスト信号生成回路、及び、前記スキャン入力端子又は前記テスト信号生成回路に切り替えるセレクタを有する異常検知回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体装置におけるロジック回路の動作の間のブランク期間にスキャンテストが実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】一般的なスキャンチェーンを形成したスキャン回路を示す図である。
【
図3】第1の実施例による異常検知回路を含むシリアル/パラレル変換回路を用いた液晶パネルの表示装置を示す概略ブロック図である。
【
図4】
図3の表示装置の信号ドライバを示す概略ブロック図である。
【
図5】第1の実施例のシリアル/パラレル変換回路のロジック回路の一部における異常検知回路の概略回路図である。
【
図6】
図5に示す回路におけるフリップフロップ故障が無いときの動作のタイミングチャートである。
【
図7】
図5に示す回路におけるフリップフロップ故障が発生したときの動作のタイミングチャートである。
【
図8】
図5に示す回路におけるフリップフロップ故障が発生したときの他の動作のタイミングチャートである。
【
図9】第2の実施例のシリアル/パラレル変換回路のロジック回路の一部における異常検知回路の概略回路図である。
【
図10】
図9に示す回路におけるフリップフロップ故障が無いときの動作のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例について詳細に説明する。なお、実施例において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例1】
【0017】
(第1の実施例)
図3は、本実施例による異常検知回路を含むシリアル/パラレル変換回路を用いた自動車ミラー用の液晶パネルの表示装置10の構成を示している。
図4は、
図3の信号ドライバ1の構成を示している。
【0018】
図3に示すように、表示装置10は、信号ドライバ1と、走査ドライバ2と、表示パネル3と、タイミングコントローラ4とを具備している。なお、信号ドライバ1と走査ドライバ2の個数は、それぞれ8個および4個であるが、信号ドライバ1と走査ドライバ2の個数は例示であってこれらに限定されない。本例の信号ドライバ1は960本の出力信号線を持つ信号ドライバである。タイミングコントローラ4からは、960チャンネル分の表示データがシリアル伝送される。
【0019】
表示パネル3には、画素(図示せず)がマトリクス状に配置されている。走査ドライバ2は、画素の行方向に、それぞれ複数の走査線(図示せず)介して接続されている。信号ドライバ1は、画素の列方向に、それぞれ複数の信号線(図示せず)介して接続されている。各画素は各走査線と各信号線の各交差位置に位置する。
【0020】
タイミングコントローラ4は、それぞれデータ線7を介して信号ドライバ1に接続されている。また、タイミングコントローラ4は、制御線5を介して走査ドライバ2に接続され、制御線6を介して信号ドライバ1に接続されている。
【0021】
タイミングコントローラ4は、赤色R、緑色G、青色Bを表す映像データ群と、水平同期信号、垂直同期信号、クロック信号を表すタイミング信号とをパラレルに入力する。タイミングコントローラ4は、タイミング信号に基づいて、走査ドライバ2を制御するための走査ドライバ用制御信号と、信号ドライバ1を制御するための信号ドライバ用制御信号とを生成する。また、信号ドライバ1の構成に合わせて、映像データの並べ替え、タイミング調整、ビット数変換等の処理を行う。
【0022】
タイミングコントローラ4は、制御線5を介して、走査ドライバ用制御信号を走査ドライバ2に送信する。走査ドライバ2の各々は、走査ドライバ用制御信号に応じて、走査線群を駆動する。
【0023】
また、タイミングコントローラ4は、制御線6を介して、信号ドライバ用制御信号を信号ドライバ1に送信し、且つ、データ線7を介して、映像データ群がシリアル化された表示データをそれぞれ信号ドライバ1に送信する。信号ドライバ1の各々は、信号ドライバ用制御信号及び表示データに応じて、信号線群を駆動する。
【0024】
図4に示すように、信号ドライバ1は、内部バス13と、第1のラッチ回路14と、第2のラッチ回路15と、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ16と、出力アンプ回路17とを具備している。
【0025】
シリアル/パラレル変換回路12は、タイミングコントローラ4からの表示データを受信する。シリアル/パラレル変換回路12は、その表示データに対してシリアル/パラレル変換を施し、映像データ群を、内部バス13を介して第1のラッチ回路14に出力する。
【0026】
なお、信号ドライバ1はシフトレジスタを内蔵しており、1水平期間の最初の表示データであることを知らせるスタート信号をシフトさせて、第1のラッチ回路14にデータを取り込むクロックとしている。1水平期間の最後の表示データの入力が終わると、一定の時間を置いて、ロード信号を立ち上げる。ロード信号は次の1水平期間のスタート信号の立ち上がりまでに立ち下げる。このロード信号を第2のラッチ回路15のクロックとして使用する。
【0027】
第1のラッチ回路14は、その映像データ群を記憶し、信号ドライバ用制御信号に応じて映像データ群を第2のラッチ回路15に出力する。第2のラッチ回路15はクロックの立ち上がりでデータを取り込み、そのデータをD/A変換し、出力アンプ回路17で表示パネルを駆動する。
【0028】
すなわち、第2のラッチ回路15は、1水平期間において、第1のラッチ回路14からの映像データ群を記憶し、信号ドライバ用制御信号に応じて映像データ群をD/Aコンバータ16に出力する。D/Aコンバータ16は、第2のラッチ回路15からの映像データ群に対してデジタル/アナログ変換を施し、その映像データ群に応じた出力電圧群を出力する。出力アンプ回路17は、その出力電圧群をそれぞれ表示パネル3(
図1)の信号線群に出力する。
【0029】
なお、1本の出力信号線に対応した第1のラッチ回路14、第2のラッチ回路15、D/Aコンバータ16、出力アンプ回路17をビットセルと呼んでおり、例えば、ドライバには出力信号線の数だけビットセルが存在する。
【0030】
図5は、本実施例のシリアル/パラレル変換回路のロジック回路の一部における異常検知回路の概略回路図である。
【0031】
本実施例のシリアル/パラレル変換回路においては、
図2に示したようなシリアル/パラレル変換回路部のようなロジック回路を有し、出荷テスト用のスキャンモードを設定するスキャンモード設定部やスキャン入力端子SCAN-INとスキャン出力端子SCAN-OUTを有する。このスキャンモードをロジック回路動作中のブランク期間等に利用することで、回路内部のDFFに故障が発生していないかを判定する。
【0032】
図5に示すように、スキャンチェーンは、DFF1、DFF2及びDFF3の各入力端子(D端子)に出力端子(Q端子)が接続され、2入力マルチプレクサであるセレクタSC1、セレクタSC2及びセレクタSC3を配置してシリアル接続されて形成されている。各DFFと対応する各セレクタを組み合わせた1つのスキャンセル回路に置き換えた後、スキャンチェーンを結線しても良い。
【0033】
通常モードの論理回路から故障検知を開始するために、ロジック回路中にブランク期間検出部20が設けられ、これは、ロジック回路の動作の間のブランク期間の開始時点にテスト開始信号(以下、開始信号ともいう)を生成し、テスト開始信号線TSSへ出力する。これは仕様によってタイミングが異なるが、例えば、異常検知にはドライバが動作する必要の無いブランク期間に行われる。
【0034】
本実施例の異常検知回路21は、テスト信号を生成するテスト信号生成回路22を有する。テスト信号生成回路22は、上記のスキャンフリップフロップと同期されつつスキャンチェーンに直列接続される一対のフリップフロップDFF4及びDFF5を有する。一対のフリップフロップDFF4及びDFF5は、テスト開始信号線TSSに接続されテスト開始信号に応じてテスト信号として反転した2ビットテストパターンを生成する。DFF4及びDFF5には、セット端子S及びリセット端子Rが備わっているものが用いられ、互いに異なるセット端子S及びリセット端子Rにテスト開始信号線TSSがそれぞれ接続されている。よって、異常検知回路21は、テスト開始信号に応じて、それぞれのQ端子が“H”を記憶しているセット状態と、“L”を記憶しているリセット状態とで、テスト信号の反転した2ビットテストパターンを生成することができる。
【0035】
異常検知回路21は、スキャン入力端子SCAN-IN又はテスト信号生成回路22に切り替えるセレクタ(以下、モードセレクタと称する)24を有する。異常検知回路21は、モードセレクタ24の状態に応じて、これを介して、DFF4及びDFF5を加えたスキャンチェーンに追加した2ビットテストパターンを入力できる。期待値判定用の2ビットテストパターンは、2Bit分(HとLを1Bitずつ)の追加のDFF4及びDFF5を加えたスキャンチェーンを構成できるようにする。
【0036】
異常検知回路21は、スキャンモード設定部23を備え、これにより、ロジック回路中のブランク期間検出部20からのテスト開始信号に応じてスキャン入力端子SCAN-INからテスト信号生成回路22へモードセレクタ24を切り替えてテスト信号をスキャンチェーンに入力する。
【0037】
異常検知回路21は、テスト開始信号線TSSに接続されたテスト期間信号生成回路であるカウンタ26を有する。カウンタ26は、上記のスキャンフリップフロップと同期されつつ、スキャンチェーン及び一対のフリップフロップDFF4及びDFF5の合計のフリップフロップ数と同一のビット数のテスト期間信号(以下、期間信号ともいう)をテスト開始信号に応じてスキャンチェーンに供給する。カウンタ26は、テスト開始信号を使って検知期間を数える。このカウンタ26の値はシフトレジスタ接続のスキャンフリップフロップ数と同じとなる。
図5に示す例において、シフトレジスタ接続は5段なのでカウンタ26の値は5となる。カウンタ26は、さらに、テスト期間信号の終了を示すテスト終了信号(以下、終了信号ともいう)を生成する。
【0038】
異常検知回路21は、故障を判断するための故障判別部28を有する。故障判別部28は、テスト終了信号に応じて一対のフリップフロップDFF4及びDFF5からの出力を比較して回路異常を判別する。DFF4の初期値がLで、DFF5の初期値がHなのでシフトレジスタを一巡させDFF4の値がLで、DFF5の値がHとなることを期待値として判定する。判別するタイミングは前述のカウンタ26で作る。DFFのいずれかがLまたはHに固定するモードで故障している場合はDFF4とDFF5の値がどちらもL又はHになるため、それを故障と判断する。故障判別部28は、ドライバの出力端子としてシステムとの通信手段(SDO端子と称する)を有する。故障判別部28は、正常時はHをおよび異常時はLをSDO端子にそれぞれ出力し、SDO端子を介してドライバの外のシステムに知らせる。
【0039】
(動作の説明)
図6は、
図5に示す回路におけるフリップフロップ故障が無いときの動作のタイミングチャートである。開始信号が立ち上がった際のDFF4及びDFF5の値がそれぞれL及びHであり、終了信号が立ち上がった際もそれぞれL及びHである。SDO端子出力がHのままで正常を返している。
【0040】
図7は、
図5に示す回路におけるDFF2がLに転ぶフリップフロップ故障が発生したときの動作のタイミングチャートである。
図8は、
図5に示す回路におけるDFF3がHに転ぶフリップフロップ故障が発生した場合のタイミングチャートである。
図7及び
図8は、SDO端子出力がLとなり異常を返している。
【0041】
本実施例によれば、製造時に発生した故障を検出するだけでなく、追加した異常検知回路21等を導入することで、信号ドライバの使用中に発生した故障を検出することができるようになる。
【実施例2】
【0042】
(第2の実施例)
図9は第2の実施例の概略回路図である。本実施例の異常検知回路を有する半導体装置は、
図5に示すような第1の実施例のスキャン回路及び異常検知回路21等に加え、DFF1のスキャンフリップフロップを他の構成要素から分離するための分割配線DVLと、DFF1のスキャンフリップフロップと同期されて分割配線DVLに接続されかつ故障判別部28まで直列接続されたDFF6、DFF7及びDFF8と、DFF7及びDFF8の出力を比較する比較配線CMLとを有する。これ以外の構成は、第1の実施例と同一である。
【0043】
第1の実施例ではシフトレジスタ接続のスキャンチェーンを1つで説明したが、DFFの数に応じて検出期間が延びるためブランク期間を短くしたい場合の障害になる場合がある。その場合はシフトレジスタ接続を分割することで検出期間を短くできる。分割した場合は、分割したスキャンチェーンにおいてシフトレジスタ接続を構成するスキャンフリップフロップの数を揃えておくことで故障検出用のカウンタ26等を共通化できる。
【0044】
すなわち、スキャン回路及び異常検知回路21では、分割前のスキャンチェーンがm(mは整数、m≧2)個のスキャンフリップフロップからなる場合、n(nは整数、m>n、n≧1)個のスキャンフリップフロップのシフトレジスタ部分が分割されて、n個のスキャンフリップフロップからなる第1スキャンチェーンSCH1と、m-n個の第2スキャンフリップフロップからなる第2スキャンチェーンSCH2と、に分けることができる。そして、異常検知回路21には、n個のスキャンフリップフロップの第1スキャンチェーンSCH1から故障判別部28まで直列接続されるn+2個の追加フリップフロップが設けられている。
【0045】
図9示す構成の場合は、m=3でn=1として、シフトレジスタ接続を第1スキャンチェーンSCH1と第2スキャンチェーンSCH2の2つに分割したスキャン回路である。
【0046】
追加したDFF6はシフトレジスタ接続を構成するDFFの数をそろえるためのものであり、DFF7とDFF8は追加したスキャンチェーンの故障を検出するためのものである。
【0047】
(動作の説明)
図10は、
図9に示す場合のフリップフロップ故障が無いときの動作のタイミングチャートである。開始信号が立ち上がった際のDFF4及びDFF5並びにDFF7及びDFF8の値がそれぞれL及びHであり、終了信号が立ち上がった際もそれぞれL及びHである。SDO端子出力がHのままで正常を返している。
【0048】
図10のタイミングチャートでは、
図6のタイミングチャートと比較して、カウント値が5から4へ減っていることで故障検出の期間が減っていることが分かる。検出期間は1つのシフトレジスタを構成するDFFの数に依存するためDFFの総数が増えれば増えるほど分割による効果は大きくなる。
【0049】
いずれの実施例においても、信号ドライバの機能として説明したが、出荷用のスキャン回路が適用されており、休止期間があるような使い方がされる半導体装置(IC)であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 信号ドライバ
10 表示装置
20 ブランク期間検出部
21 異常検知回路
22 テスト信号生成回路
24 モードセレクタ
26 カウンタ
28 故障判別部