(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】気相成長装置の基板搬送機構
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230407BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230407BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230407BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/31 F
C23C16/44 F
C23C16/458
(21)【出願番号】P 2019151526
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【氏名又は名称】木戸 良彦
(73)【特許権者】
【識別番号】509054005
【氏名又は名称】大陽日酸CSE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】山岡 優哉
(72)【発明者】
【氏名】矢野 良樹
(72)【発明者】
【氏名】内山 康右
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076610(JP,A)
【文献】特開2019-047085(JP,A)
【文献】特開2010-126797(JP,A)
【文献】特開2015-002292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/31
C23C 16/44
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタに基板受け渡し位置で基板の設置及び取り出しを行う気相成長装置の基板搬送機構であって、
前記サセプタの、前記基板受け渡し位置に対応する位置には、円形の貫通孔である円孔部と、該円孔部を塞ぐ円盤状の基板載置台とが設けられており、
前記基板受け渡し位置の上方には、基板ケースと基板受け渡し位置とを往復して基板を搬送する搬送アームによって基板受け渡し位置の直上に運ばれた基板の外周を支持可能な複数の爪部を有する上部チャックと、該上部チャックの上方に位置し、該上部チャックの前記爪部を通す切欠き部を有し、内径が基板の径に対応した円筒形状の上部カバーと、前記上部チャックの前記爪部を開閉可能な爪部開閉手段と、前記上部チャックを昇降可能な上部チャック昇降手段と、前記上部カバーを昇降可能な上部カバー昇降手段とを備え、
前記基板受け渡し位置の下方には、前記サセプタの下方に位置し、前記基板載置台を下方から把持する下部チャックと、該下部チャックを動作させる下部チャック動作部と、該下部チャックを昇降可能な下部昇降手段とを備え、
前記基板載置台は、前記円孔部よりも径が大きい基礎部と、該基礎部の上方に突出し、基板に対応した径を有する円柱状の台であって、前記上部チャックの爪部に対応した位置に、円柱の側面を平坦に切り落とした切削部を有する載置部と、該基礎部の下方に突出した、前記円孔部よりも外径が小さい円筒部とを備え、
前記下部チャックは、前記下部チャック動作部によって動作する、水平方向へと放射状に伸縮して前記基板載置台の前記円筒部を内側から固定可能な複数の固定具を備えていることを特徴とする気相成長装置の基板搬送機構。
【請求項2】
前記基板載置台は、平面視で、前記切削部のなす円弧の高さが、基板の径の0.15%~1.5%の長さに形成されていることを特徴とする請求項1記載の気相成長装置の基板搬送機構。
【請求項3】
前記下部チャックは、前記下部チャック動作部によって鉛直方向を軸として回動可能に構成されており、前記基板載置台は、前記円筒部に位相マーカーを備え、前記下部チャック動作部は、前記位相マーカーの、前記下部チャックの回転軸に対する角度位置を検出可能な位相検出センサを備えるとともに、該位相検出センサの検出結果に応じて、あらかじめ設定された角度位置に前記位相マーカーが来るように前記下部チャックを回動することを特徴とする請求項1又は2記載の気相成長装置の基板搬送機構。
【請求項4】
前記載置部は、上面外周の回転対称な3カ所以上の位置に突起部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気相成長装置の基板搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相成長装置の基板搬送機構に関し、詳しくは、気相成長装置において、サセプタに自動で基板を設置する基板搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
気相成長法により半導体を製造する気相成長装置では、シリコンやサファイヤなどのウェハーからなる基板をサセプタに設置し、チャンバー内で高温に加熱するとともに、その表面に半導体の原料となる有機金属を含んだ材料とキャリアガスとを流して分解・化学反応させ、基板表面に半導体結晶の薄膜をエピタキシャル成長させている。
【0003】
従来の気相成長装置では、サセプタに対して基板を設置したり取り出したりすることは手動で行われており、生産性が高くなかった。また、基板の設置や取り出しを手動で行うことで、ピンセット等が基板表面に接触したり、基板とサセプタとがこすれて生じたパーティクルが基板表面に付着したりする事態を誘発し、半導体の歩留まりの低下を招いていた。
【0004】
そこで、サセプタに自動で基板を設置する基板設置機構を有する気相成長装置が提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照。)。特許文献1及び2に記載された気相成長装置では、サセプタ底面に基板を支持する複数のピンを昇降可能に設けて、これらのピンによって基板をサセプタから浮かせた状態で受け取れるようにすることで、基板を載せて運ぶアームに対して基板の受け取りや受け渡しを行えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-112255号公報
【文献】特開2000-208419号公報
【文献】特開2003-017544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成では、昇降可能なピンをサセプタ底面に設けるためにサセプタ底面にピンを通す孔部を複数箇所設ける必要があり、この孔部によって、基板を加熱する際に温度分布に偏りが生じ、半導体結晶の成膜について均一性が損なわれるという問題があった。
【0007】
また、特許文献3に記載されている気相成長装置では、基板を運ぶアームの先端に真空チャックが設けられており、基板を上面から把持できるように構成されているが、基板又は基板に成膜した半導体結晶の表面に真空チャックが接触して傷をつけやすく、半導体結晶の均一な成膜が損なわれ、半導体の歩留まり低下の要因となっていた。
【0008】
そこで本発明は、半導体結晶の均一な成膜を促すことができ、半導体の歩留まりがよい気相成長装置の基板搬送機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の気相成長装置の基板搬送機構は、サセプタに基板受け渡し位置で基板の設置及び取り出しを行う気相成長装置の基板搬送機構であって、前記サセプタの、前記基板受け渡し位置に対応する位置には、円形の貫通孔である円孔部と、該円孔部を塞ぐ円盤状の基板載置台とが設けられており、前記基板受け渡し位置の上方には、基板ケースと基板受け渡し位置とを往復して基板を搬送する搬送アームによって基板受け渡し位置の直上に運ばれた基板の外周を支持可能な複数の爪部を有する上部チャックと、該上部チャックの上方に位置し、該上部チャックの前記爪部を通す切欠き部を有し、内径が基板の径に対応した円筒形状の上部カバーと、前記上部チャックの前記爪部を開閉可能な爪部開閉手段と、前記上部チャックを昇降可能な上部チャック昇降手段と、前記上部カバーを昇降可能な上部カバー昇降手段とを備え、前記基板受け渡し位置の下方には、前記サセプタの下方に位置し、前記基板載置台を下方から把持する下部チャックと、該下部チャックを動作させる下部チャック動作部と、該下部チャックを昇降可能な下部昇降手段とを備え、前記基板載置台は、前記円孔部よりも径が大きい基礎部と、該基礎部の上方に突出し、基板に対応した径を有する円柱状の台であって、前記上部チャックの爪部に対応した位置に、円柱の側面を平坦に切り落とした切削部を有する載置部と、該基礎部の下方に突出した、前記円孔部よりも外径が小さい円筒部とを備え、前記下部チャックは、前記下部チャック動作部によって動作する、水平方向へと放射状に伸縮して前記基板載置台の前記円筒部を内側から固定可能な複数の固定具を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、前記基板載置台は、平面視で、前記切削部が前記載置部に対してなす円弧の高さが、基板の径の0.15%~1.5%の長さに形成されていること、前記下部チャックは、前記下部チャック動作部によって鉛直方向を軸として回動可能に構成されており、前記基板載置台は、前記円筒部に位相マーカーを備え、前記下部チャック動作部は、前記位相マーカーの、前記下部チャックの回転軸に対する角度位置を検出可能な位相検出センサを備えるとともに、該位相検出センサの検出結果に応じて、あらかじめ設定された角度位置に前記位相マーカーが来るように前記下部チャックを回動すること、前記載置部は、上面外周の回転対称な3カ所以上の位置に突起部を備えていることも特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の気相成長装置の基板搬送機構によれば、下部チャックが把持した基板載置台を下部昇降シリンダによってサセプタから押し上げた状態で、搬送アームによって基板受け渡し位置の上方に運ばれた基板を、上部チャックが基板の外周を支持して上部昇降シリンダで降ろし、上部チャックが放した基板を押し上げた基板載置台で受け止めた後、基板載置台をサセプタに戻すことで、搬送アームから送られた基板を、基板上面との接触がないように搬送してサセプタに設置することができるので、基板表面を傷つけることがなく、半導体結晶の均一な成膜を促すことができる。
【0012】
また、下部チャック動作部が、位相検出センサが検出した基板載置台の円筒部にある位相マーカーの位置に応じて、下部チャックによって把持した基板載置台を、載置部の切削部が上部チャックの爪部の位置に来るように回動させることで、基板外周の下面に入り込んだ上部チャックの爪部の先端が基板載置台と接触しないので、基板の載置位置がずれることがなく、また、上部チャックが基板載置台に基板を載置する際に、上部カバーが下降して、上部カバーの下端が基板の外周を囲って水平方向の移動を規制することで、上部チャックが基板を放す際に、基板が基板載置台に対してずれて載置されることがなく、サセプタに設置した基板を加熱する際に、基板載置台から基板がずれて温度分布が偏ることがなく、半導体結晶の均一な成膜を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明にかかる気相成長装置の基板搬送機構の一形態例を模式的に示す側面図である。
【
図3】
図3の基板載置台のIII-III断面を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明にかかる気相成長装置の基板搬送機構を示しており、
図2乃至
図5は、基板搬送機構の基板載置台を示している。
【0015】
図1に示されるように、基板搬送機構12は、鉛直方向に延びた回転軸Aを中心に回転する回転テーブル13に取り付けられた、平面視で円形のサセプタ14に対して基板15の設置及び取り出しを行うものである。
【0016】
回転軸Aから長さD離れた位置には、基板15の受け渡しを行う基板受け渡し位置16と、基板受け渡し位置16を通って鉛直方向に延びた受け渡し中心軸Cとが設定されている。また、サセプタ14には、回転軸Aを中心として半径が長さDの円周上の回転対称となる位置に、円形の貫通孔である円孔部14aが複数配設されている。したがって、サセプタ14は、回転テーブル13の回転によって、各円孔部14aを円の中心が受け渡し中心軸Cを通る位置に移動させることができる。
【0017】
各円孔部14aには、それぞれ、上から被さって円孔部14aを塞ぐ円盤状の基板載置台17が設置されている。
図2乃至
図5に示されるように、基板載置台17は、円孔部14aよりも径が大きい基礎部17aと、基礎部17aの上方に突出し、基板15の径dに対応した径を有する円柱状の台であって、円柱の回転対称となる4カ所に側面を平坦に切り落とした切削部17dを設けた載置部17bと、基礎部17aの下方に突出した、外径が円孔部14aよりも小さく、一部に切欠き状の位相マーカー17eが設けられた円筒部17cとを備えている。
【0018】
載置部17bは、上面の外周近傍で回転対称な3カ所に、凸状に盛り上がった突起部17fを備え、平面視で、切削部17dのなす円弧の高さhが、基板15の径dの0.15%~1.5%の長さに形成されている。
【0019】
また、
図1に示されるように、サセプタ14の上方には、基板ケース(図示せず)と基板受け渡し位置16とを往復して基板15を搬送する搬送アーム18が設けられており、さらにその上方には、受け渡し中心軸Cを中心とする上部チャック19及び上部カバー20と、上部チャック19及び上部カバー20を個別に昇降可能な上部昇降シリンダ21とが設けられている。
【0020】
上部チャック19は、受け渡し中心軸Cを中心にして90度回転対称となる4カ所に設けられた、端部にL字状の返しを有する爪部19aと、各爪部19aを開閉可能な爪部開閉駆動部19bとによって基板15の外周を支持可能に形成されており、爪部19aの返しの長さLは、切削部17dのなす円弧の高さhより短く形成されている。上部カバー20は、基板15の径に対応した内径を有する円筒形状の部材であり、受け渡し中心軸Cを中心として上部チャック19の爪部19aの上側に配設され、上部昇降シリンダ21による昇降の際に上部チャック19の爪部19aと衝突しないように、爪部19aを通す切欠き部20aを有している。
【0021】
基板受け渡し位置16の下方には、受け渡し中心軸Cを中心として回動可能な下部チャック22と、下部チャック22を動作させる下部チャック動作部23と、下部チャック22を昇降可能な下部昇降シリンダ24とが設けられている。また、下部昇降シリンダ24には、基板載置台17の円筒部17cに設けられた位相マーカー17eの、受け渡し中心軸Cに対する角度位置を検出可能な位相検出センサ25が設けられている。
【0022】
下部チャック22は、受け渡し中心軸Cを中心にして90度回転対称となる4カ所に設けられた、下部チャック動作部23により水平方向へと放射状に同期して伸縮する固定具22aを備え、基板載置台17の円筒部17cを内側から固定することで、直上に位置した基板載置台17を下方から把持できるように形成されている。
【0023】
また、下部チャック動作部23は、下部チャック22により基板載置台17を把持させた後、位相検出センサ25による位相マーカー17eの検出結果に応じて、あらかじめ設定された角度位置に位相マーカー17eが来るように下部チャック22を回動させることができる。ここで、その角度位置は、
図2に示されるように、受け渡し中心軸Cを中心とする基板載置台17のある切削部17dと上部チャック19のある爪部19aとの位相差θが90n度(n=0,1,2,3)になる値に設定されている。
【0024】
また、図示していないが、搬送アーム18の基板15を載せる板状の先端部分は、基板15の径よりも幅が狭く、かつ、二股に形成されており、基板15を載せても
図1における基板15の手前側、奥側、右側及び左側にあたる外周付近の底面が覆われないので、上部チャック19の各爪部19aが基板15の外周を支持する際に、爪部19aと衝突することがない。
【0025】
以下、本発明の基板搬送機構12により基板15を搬送アーム18からサセプタ14に搬送する一連の工程を説明する。
【0026】
まず、下部昇降シリンダ24によって下部チャック22が上昇して基板載置台17を所定の高さまで押し上げると、下部チャック22が、下部チャック動作部23により各固定具22aを伸ばして基板載置台17の円筒部17cの内壁に押し付けることで、押し上げた基板載置台17を把持するとともに、基板載置台17の中心を下部チャック22の中心、すなわち、受け渡し中心軸Cに合わせる。さらに下部チャック動作部23が、位相検出センサ25により検出された位相マーカー17eの角度位置に応じて、位相マーカー17eが所定の角度位置に来るように下部チャック22を回動させる。
【0027】
次に、搬送アーム18が基板15が収納されている基板ケース(図示せず)から基板受け渡し位置16の直上に基板15を搬送すると、上部チャック19と上部カバー20とが上部昇降シリンダ21により基板15の高さまで下降し、下降した上部チャック19が爪部開閉駆動部19bにより爪部19aを閉じて基板15の外周を支持することで基板15を把持した後、上部チャック19が上部昇降シリンダ21によりわずかに上昇して、基板15を渡した搬送アーム18が基板受け渡し位置16の直上から後退する。
【0028】
さらに、基板15を把持した上部チャック19が上部カバー20とともに、上部昇降シリンダ21により、押し上げられた基板載置台17の高さまで下降すると、上部カバー20が上部昇降シリンダ21により下降して上部カバー20の下端が基板載置台17の基礎部17aまで下がり、基板15の外周を覆って水平方向への移動を規制した状態になり、上部チャック19の爪部開閉駆動部19bが爪部19aを開いて基板15を基板載置台17に載置する。
【0029】
その後、上部昇降シリンダ21により上部カバー20が上部チャック19の爪部19aの上側に上昇すると、上部昇降シリンダ21により上部チャック19と上部カバー20とが元の高さまで上昇する。
【0030】
そして、下部チャック22が、伸ばしていた各固定具22aを下部チャック動作部23により縮めて、基板載置台17を把持した状態を解除したら、下部チャック22が下部昇降シリンダ24により下降して、基板15が載置された基板載置台17がサセプタ14に戻される。
【0031】
このように、本発明にかかる気相成長装置の基板搬送機構12によれば、下部チャック22が把持した基板載置台17を下部昇降シリンダ24によってサセプタ14から押し上げた状態で、搬送アーム18によって基板受け渡し位置16の上方に運ばれた基板15を、上部チャック19が基板15の外周を支持して上部昇降シリンダ21で降ろし、上部チャック19が放した基板15を押し上げた基板載置台17で受け止めた後、基板載置台17をサセプタ14に戻すことで、搬送アーム18から送られた基板15を、基板15上面との接触がないように搬送してサセプタ14に設置することができるので、基板15表面を傷つけることがなく、半導体結晶の均一な成膜を促すことができる。
【0032】
また、基板15が搬送される際に、基板載置台17に真上から載置されるので、基板15の底面がこすられることがなく、パーティクルの発生を抑えられるので、半導体結晶の均一な成膜をより促すことができる。
【0033】
さらに、下部チャック22が水平方向へと放射状に同期して伸縮する複数の固定具22aを備えていることで、下部チャック22が基板載置台17を把持すると、固定具22aの中心軸、すなわち、受け渡し中心軸Cと、固定具22aによって把持される基板載置台17の円筒部17cの中心軸とが一致するので、基板15が確実に基板載置台17の中心に載置される。
【0034】
しかも、下部チャック動作部23が、位相検出センサ25が検出した基板載置台17の円筒部17cにある位相マーカー17eの位置に応じて、下部チャック22によって把持した基板載置台17を、載置部17bの切削部17dが上部チャック19の爪部19aの位置に来るように回動させることで、上部チャック19の爪部19aの先端を基板15外周の下面に入り込ませることができ、爪部19aが基板載置台17と接触することがないので、基板15の載置位置がずれることがない。
【0035】
また、上部チャック19が基板載置台17に基板15を載置する際に、上部カバー20が下降して、上部カバー20の下端が基板15の外周を囲って水平方向の移動を規制することで、上部チャック19が基板15を放す際に、基板15が基板載置台17に対してずれて載置されることがない。
【0036】
したがって、サセプタ14に設置した基板15を加熱する際に、基板載置台17から基板15がずれて温度分布が偏ることがなく、半導体結晶の均一な成膜を損なうことがない。
【0037】
また、基板載置台17にピン孔がなく、載置部17bの径が基板15の径dと対応しているので、基板15を加熱する際の温度分布に局所的な偏りが生じにくく、載置部17b上面の外周近傍に突起部17fが設けられていることで、基板載置台17に載置された基板15と載置部17bとの間にわずかに隙間ができるので、基板15の、底面の直下が載置部17bで覆われる切削部17dより内側の部分と、載置部17bで覆われない切削部17dより外側の部分との温度差を少なくして温度分布の偏りを抑制することができ、半導体結晶の成膜の均一性を向上させることができる。
【0038】
しかも、切削部17d及び突起部17fは、いずれも載置部17bの外周近傍に設けられているので、温度分布が極めて均一な領域を載置部17bの中心から広くとることができるので、半導体の歩留まりがよい。
【0039】
なお、本発明は、以上の形態例に限定されることなく、発明の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、本形態例では、上部チャックの爪部及び基板載置台の切削部を4カ所に設けているが、基板を落とすことなく把持できるのであれば必ずしも爪部や切削部を4カ所に設ける必要はなく、3カ所又は5カ所以上にしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
12…基板搬送機構、13…回転テーブル、14…サセプタ、14a…円孔部、15…基板、16…基板受け渡し位置、17…基板載置台、17a…基礎部、17b…載置部、17c…円筒部、17d…切削部、17e…位相マーカー、17f…突起部、18…搬送アーム、19…上部チャック、19a…爪部、19b…爪部開閉駆動部、20…上部カバー、20a…切欠き部、21…上部昇降シリンダ、22…下部チャック、22a…固定具、23…下部チャック動作部、24…下部昇降シリンダ、25…位相検出センサ