(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】積層不織布
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20230407BHJP
D04H 3/12 20060101ALI20230407BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20230407BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/12
B32B5/26
A61F13/49 312Z
A61F13/49 315A
(21)【出願番号】P 2019238834
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】光野 聡
(72)【発明者】
【氏名】栗田 範朋
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/081662(WO,A1)
【文献】特開2008-106375(JP,A)
【文献】特開2019-115409(JP,A)
【文献】特開2008-106378(JP,A)
【文献】特開2010-119861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
B32B 1/00-43/00
A61F 13/49,13/511
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布であって、
前記積層不織布が、前記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間において、第1方向に延びているとともに、第2方向に離間した状態で配置されている、複数の弾性部材とを備えており、
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第2方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布であり、
前記複数の弾性部材のそれぞれが、第1不織布及び第2不織布に、接着剤を用いて伸長状態で接着されている、
ことを特徴とする、前記積層不織布。
【請求項2】
お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布であって、
前記積層不織布が、前記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間において、第1方向に延びているとともに、第2方向に離間した状態で配置されている、複数の弾性部材とを備えており、
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第2方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布であり、
前記複数の弾性部材のそれぞれが、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されており、
前記積層不織布が、前記複数の弾性部材が収縮した状態において、複数の襞部を有して
おり、
前記複数の襞部が、前記高坪量部に配置された高坪量襞部分と、前記低坪量部に配置された低坪量襞部分とを備えており、前記高坪量襞部分の前記厚さ方向の振幅が、前記低坪量襞部分の前記厚さ方向の振幅よりも大きい、
ことを特徴とする、前記積層不織布。
【請求項3】
前記不均一坪量不織布が、前記交互構造を、第1方向の任意の領域において有する、請求項1又は2に記載の積層不織布。
【請求項4】
前記低坪量部の少なくとも一部が、前記複数の弾性部材と、前記厚さ方向に重複するように配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項5】
前記高坪量部が、第1方向に沿う方向に連続している高坪量部連続領域を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項6】
前記積層不織布が、前記高坪量部と、前記低坪量部とを、それぞれ、第1方向に沿う方向に延びている、複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分として備えており、
前記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、前記複数の線状低坪量部分のそれぞれとが、第1方向に沿う方向と直交する方向に交互に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項7】
前記積層不織布が、前記低坪量部と、前記高坪量部とを、それぞれ、所定の面積を有する、複数のドット状低坪量部分と、当該ドット状低坪量部分を囲む囲繞高坪量部として備えている、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項8】
前記複数のドット状低坪量部分が、千鳥状に配置されている、請求項7に記載の積層不織布。
【請求項9】
前記不均一坪量不織布が、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布である、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項10】
前記熱融着性不織布が、スパンボンド不織布である、請求項9に記載の積層不織布。
【請求項11】
前記不均一坪量不織布が、貫通孔を有していない、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項12】
第1不織布及び第2不織布の両方が、前記不均一坪量不織布である、請求項1~11のいずれか一項に記載の積層不織布。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の積層不織布から構成される部材を備えている、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚の不織布の間に、複数の弾性部材を伸長した状態で配置し、伸縮性を持たせた積層不織布が知られている。上記積層不織布は、例えば、使い捨ておむつのギャザー部材等に用いられることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、一部又は全部が重なり合う第1不織布層及び第2不織布層と、これら第1不織布層及び第2不織布層の間に伸縮方向と直交する直交方向に間隔を空けて配置された、伸縮方向に沿って延びる複数本の細長状の弾性部材とを有し、前記弾性部材は、少なくとも伸縮領域における前記伸縮方向の両端部が前記第1不織布層及び第2不織布層に固定されており、前記伸縮領域は、前記第1不織布層及び第2不織布層が接合されたシート接合部を有しており、前記第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方は、厚み方向に貫通する孔が配列された有孔不織布である、使い捨て着用物品の伸縮構造において、前記シート接合部は、前記直交方向に間隔を空けて、かつ前記伸縮方向に実質的に連続する縞状パターンで形成されており、前記伸縮構造における前記孔の配列は、前記直交方向に間隔を空けて並ぶ孔の列が、伸縮方向に間隔を空けて並ぶものであるとともに、前記孔の径が厚み方向の一方から他方に向かうにつれて小さくなっている第1の孔列と、前記孔の径が厚み方向の他方から一方に向かうにつれて小さくなっている第2の孔列とが、伸縮方向に所定の中心間隔で交互に繰り返すものである、ことを特徴とする使い捨て着用物品の伸縮構造が開示されている。
また、特許文献1では、上記シート接合部は、ホットメルト接着剤により形成されうることが記載されている。
【0004】
特許文献1によれば、上記伸縮構造では、シート接合部が、少なくとも伸縮方向と直交する直交方向に間隔を空けて形成されているため、良好な通気性、柔軟性を確保することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の伸縮構造は、孔を有することに起因して、良好な通気性を有するものであるが、孔は、その周縁が硬くなりやすく、伸縮構造の使用者が孔の硬さを知覚しやすいものであった。
また、特許文献1に記載の伸縮構造では、シート接合部がホットメルト接着剤で形成されているため、着用者が、シート接合部自体に硬さを感じにくいものであるが、使用者が、上記孔を介して、シート接合部を形成するホットメルト接着剤に触れる場合があり、上記伸縮構造に不快感を覚える場合があった。
従って、本開示は、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくい積層不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示者らは、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布であって、上記積層不織布が、上記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間において、第1方向に延びているとともに、第2方向に離間した状態で配置されている、複数の弾性部材とを備えており、第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第2方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布であり、上記複数の弾性部材のそれぞれが、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されていることを特徴とする積層不織布を見出した。
【発明の効果】
【0008】
本開示の積層不織布は、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に直接触れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に従う積層不織布1を説明するための図である。
【
図10】
図10は、不均一坪量不織布を製造する方法の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、不均一坪量不織布を製造する方法の一例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、線状高坪量部分及び線状低坪量部分の例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、従来の積層不織布1を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布であって、
上記積層不織布が、上記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間において、第1方向に延びているとともに、第2方向に離間した状態で配置されている、複数の弾性部材とを備えており、
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、第2方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布であり、
上記複数の弾性部材のそれぞれが、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されている、
ことを特徴とする、上記積層不織布。
【0011】
上記積層不織布では、複数の弾性部材が収縮した状態(以下、単に「収縮状態」と称する場合がある)において、第1不織布及び第2不織布が、厚さ方向に交互に往復する複数の襞部を形成する。複数の襞部は、第2方向に延びているとともに、第1方向に隣接している。
【0012】
複数の襞部のそれぞれは、不均一坪量不織布の高坪量部により形成された高坪量襞部分と、不均一坪量不織布の低坪量部により形成された低坪量襞部分とに区画することができる。高坪量襞部分は、高坪量部に由来し、低坪量襞部分よりも積層不織布の厚さ方向に突出し、その厚さ方向の振幅が大きくなる傾向がある。逆に、上記低坪量襞部分は、低坪量部に起因し、高坪量襞部分よりも、厚さ方向の振幅が小さくなる傾向がある。
【0013】
上記高坪量襞部分は、高坪量部に起因して、厚さ方向に突出し、嵩高いため、積層不織布に柔らかさを付与することができる。また、上記高坪量襞部分では、振幅の大きさに起因して、接着剤を有する複数の弾性部材との距離が遠くなるとともに、使用者の肌との接触面積が減少するため、使用者が、接着剤に触れにくくなる。
【0014】
また、上記低坪量襞部分は、低坪量部に起因して坪量が低いため、積層不織布に通気性、特に伸長時の通気性を付与することができる。なお、低坪量襞部分では、接着剤が低坪量部を透過する可能性もあるが、低坪量襞部分は、その振幅が小さいため、仮に接着剤が低坪量部を透過した場合であっても、透過した接着剤が、使用者の皮膚に触れにくい。
以上より、上記積層不織布は、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくい。
【0015】
また、上記積層不織布において、低坪量襞部分は、低坪量部に起因して坪量が低いため、その剛性(例えば、曲げ剛性)が、高坪量襞部分よりも低くなる傾向にある。従って、低坪量襞部分が、上記積層不織布を、伸長された状態(以下、単に「伸長状態」と称する場合がある)から収縮状態に変形する際に、襞を形成する際の襞部形成基点として作用することができるため、複数の襞部が美観に優れる傾向にある。
【0016】
[態様2]
上記不均一坪量不織布が、上記交互構造を、第1方向の任意の領域において有する、態様1に記載の積層不織布。
【0017】
上記積層不織布では、不均一坪量不織布が、上記交互構造を、第1方向の任意の領域、すなわち、全ての領域において有する。従って、上記積層不織布は、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくい効果を、第1方向の任意の領域、すなわち、全ての領域において発揮することができる。
【0018】
[態様3]
上記低坪量部の少なくとも一部が、上記複数の弾性部材と、上記厚さ方向に重複するように配置されている、態様1又は2に記載の積層不織布。
【0019】
一般的に、2枚の不織布と、それらの間に配置された複数の弾性部材とを備えている積層不織布では、当該積層不織布を伸長状態から収縮状態に変形させると、最初に、複数の弾性部材が収縮するとともに、複数の弾性部材の当該収縮に合わせて、2枚の不織布が収縮し、最終的に、積層不織布に襞部が形成される。
【0020】
上記積層不織布では、上記低坪量部の少なくとも一部が、上記複数の弾性部材と、上記厚さ方向に重複する重複領域を有するように配置されている。従って、上記積層不織布は、上記積層不織布を伸長状態から収縮状態に変形させると、最初に、複数の弾性部材の収縮に伴い、上記重複領域に、細かく且つ規則的な低坪量襞部分が形成され、次いで上記重複領域に形成された低坪量襞部分を襞部形成基点として、上記重複領域を形成していない低坪量部と、高坪量部とに、それぞれ、細かく且つ規則的な低坪量襞部分と、細かく且つ規則的な高坪量襞部分とが形成され、最終的に、細かく且つ規則的な襞部が形成される。その結果、上記積層不織布が、美観に優れる。
【0021】
[態様4]
上記高坪量部が、第1方向に沿う方向に連続している高坪量部連続領域を有する、態様1~3のいずれか一項に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、高坪量部が、第1方向に沿う方向に連続している高坪量部連続領域を有することから、積層不織布が、第1方向に伸縮する際に、その強度に優れる。
【0022】
[態様5]
上記積層不織布が、上記高坪量部と、上記低坪量部とを、それぞれ、第1方向に沿う方向に延びている、複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分として備えており、
上記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、上記複数の線状低坪量部分のそれぞれとが、第1方向に沿う方向と直交する方向に交互に配置されている、態様1~4のいずれか一項に記載の積層不織布。
【0023】
上記積層不織布は、所定の、複数の線状高坪量部分と、所定の、複数の線状低坪量部分を備えている。従って、上記積層不織布は、上記積層不織布を、伸長状態から収縮状態に変形させる際に、(i)第1方向に沿う方向が、第1方向と平行な方向である場合には、上述の襞部形成基点が、第1方向と平行に延びているとともに、第2方向に離間して、複数配置されることになり、そして(ii)第1方向に沿う方向が、第1方向と平行ではない場合には、上述の襞部形成基点が、第1方向及び第2方向に離間して複数配置されることになる。その結果、襞部全体が緻密に形成され、上記積層不織布が、美観に優れる。
【0024】
[態様6]
上記積層不織布が、上記低坪量部と、上記高坪量部とを、それぞれ、所定の面積を有する、複数のドット状低坪量部分と、当該ドット状低坪量部分を囲む囲繞高坪量部として備えている、態様1~4のいずれか一項に記載の積層不織布。
【0025】
上記積層不織布では、所定の、複数のドット状低坪量部分と、所定の囲繞高坪量部を備えている。従って、上述の襞部形成基点が、第1方向及び第2方向に離間して複数配置されることになる。その結果、襞部全体が、緻密に形成され、上記積層不織布が、美観に優れる。
また、上記積層不織布は、所定の囲繞高坪量部を備えていることから、特に伸長状態において、第1方向及び第2方向の強度に優れる。
【0026】
[態様7]
上記複数のドット状低坪量部分が、千鳥状に配置されている、態様6に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、複数のドット状低坪量部分が、千鳥状に配置されていることから、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる。
【0027】
[態様8]
上記不均一坪量不織布が、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布である、態様1~7のいずれか一項に記載の積層不織布。
【0028】
上記積層不織布では、不均一坪量不織布が、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布であることから、低坪量部も所定の強度を有しやすく、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる。
【0029】
[態様9]
上記熱融着性不織布が、スパンボンド不織布である、態様1~8のいずれか一項に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、熱融着性不織布がスパンボンド不織布であることから、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる。
【0030】
[態様10]
上記不均一坪量不織布が、貫通孔を有していない、態様1~9のいずれか一項に記載の積層不織布。
上記積層不織布では、不均一坪量不織布が貫通孔を有していないことから、積層不織布の使用者が、貫通孔を介して接着剤に触れにくい。
【0031】
[態様11]
第1不織布及び第2不織布の両方が、上記不均一坪量不織布である、態様1~10のいずれか一項に記載の積層不織布。
【0032】
上記積層不織布では、第1不織布及び第2不織布の両方が、不均一坪量不織布である。従って、上記積層不織布は、第1不織布及び第2不織布の一方が、不均一坪量不織布である場合と比較して、通気性及び柔軟性により優れるとともに、接着剤により触れにくい。
【0033】
[態様12]
態様1~11のいずれか一項に記載の積層不織布から構成される部材を備えている、吸収性物品。
上記吸収性物品は、所定の部材を備えており、当該部材が、通気性及び柔軟性により優れるとともに、接着剤により触れにくい効果を有する。
【0034】
[定義]
・対象物に関する「所定の方向に沿う」
本明細書では、対象物に関する「所定の方向に沿う」とは、対象物が、所定の方向(例えば、第1方向、第2方向等)と±90°未満の交差角を有するように延びていることを意味する。また、対象物が所定方向に沿う方向に延びている場合に、対象物は、所定の方向と、好ましくは60°以下、より好ましくは45°以下、さらに好ましくは30°以下、そしてさらにいっそう好ましくは20°以下、そしてさらにいっそう好ましくは5°以下の交差角を有する。
なお、本明細書では、交差角が5°以下である場合に、「所定の方向と平行」と称する場合がある。
【0035】
本開示の積層不織布について、以下、詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1~
図4は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う積層不織布1を説明するための図である。具体的には、
図1及び
図2は、それぞれ、積層不織布1の正面図及び背面図である。
図3は、第1不織布3の平面図である。
図4は、積層不織布1の平面図及び断面図である。具体的には、
図4(a)は、積層不織布1の正面図であり、
図4(b)、
図4(c)及び
図4(d)は、それぞれ、
図4(a)のIVb-IVb断面、IVc-IVc断面、IVd-IVd断面における断面図である。なお、
図3では、第1不織布3としてのエアスルー不織布の坪量の大小を、繊維の粗密で表現しているが、
図3に示される繊維の長さ及び径は、第1不織布3としてのエアスルー不織布の繊維の長さ及び径を意味するものではない。
【0036】
積層不織布1は、お互いに直交する第1方向D1、第2方向D2及び厚さ方向Tを有するとともに、第1方向D1に伸縮可能なように構成されている。厚さ方向は、後述の第1不織布3側の第1厚さ方向T1と、第2不織布5側の第2厚さ方向T2とに区画される。
積層不織布1は、厚さ方向Tにおいて、第1不織布3と、第2不織布5と、第1不織布3及び第2不織布5の間に配置された、複数の弾性部材15とを備えている。
第1不織布3は、熱融着性繊維を含むエアスルー不織布から構成される不均一坪量不織布であり、貫通孔を有していない。第2不織布5は、スパンボンド不織布から構成される、均一な坪量を有する均一坪量不織布である。
【0037】
複数の弾性部材15は、第1方向D
1に延びているとともに、第2方向D
2に離間した状態で配置されている。具体的には、
図1に示されるように、複数の弾性部材15は、第2方向D
2と平行な方向に所定の第1弾性部材ピッチP
1で配置されている、複数本の第1弾性部材17と、第2方向D
2と平行な方向に所定の第2弾性部材ピッチP
2で配置されている複数本の第2弾性部材19とから構成されている。第2弾性部材ピッチP
2は、第1弾性部材ピッチP
1よりも小さくなるように構成されている。なお、第1弾性部材17と、第2弾性部材19とは、同一種の糸ゴムから構成されている。
【0038】
複数の弾性部材15(第1弾性部材17及び第2弾性部材19)のそれぞれは、第1方向D1に2.5倍に延伸した状態で、第1不織布3及び第2不織布5に接着剤(図示せず)で接着されている。
なお、積層不織布1は、理解のしやすさのため、第1不織布3と、第2不織布5とを、第2方向D2にずらした状態で接合された構成を有しており、具体的には、第2方向D2の一方に配置された、第1不織布3のみから構成される領域と、第2方向D2の他方に配置された、第2不織布5のみから構成される領域と、それらの間に配置された、第1不織布3、複数の弾性部材15及び第2不織布5から構成される領域とを有している。なお、3領域からなる上記構成は、発明の理解のためのものであって、本開示の積層不織布の構造を何ら限定するものではない。
【0039】
第1不織布3は、第2方向D2において、高坪量部7と、高坪量部7よりも坪量の低い低坪量部11とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布である。具体的には、第1不織布3において、高坪量部7は、第1方向D1と平行な方向に延びている、複数の線状高坪量部分9から構成されており、低坪量部11は、第1方向D1と平行な方向に延びている、複数の線状低坪量部分13から構成されている。積層不織布1は、複数の線状高坪量部分9のそれぞれと、複数の線状低坪量部分13のそれぞれとを、第2方向D2と平行な方向に交互に有する交互構造を有している。
なお、複数の線状高坪量部分9は、第1方向D1と平行な方向に連続している高坪量部連続領域(図示せず)を構成している。
【0040】
第2方向D2において、複数の線状高坪量部分9は、所定の線状高坪量部分ピッチPで配置されている。
複数の線状高坪量部分9の線状高坪量部分ピッチPは、第1弾性部材17の第1弾性部材ピッチP1と、第2弾性部材19の第2弾性部材ピッチP2と異なるように、具体的には、以下:
第2弾性部材ピッチP2<線状高坪量部分ピッチP<第1弾性部材ピッチP1
の関係を有するように配置されている。
【0041】
図4に示されるように、積層不織布1は、第1厚さ方向T
1に向かって突出する、複数の第1凸部27と、第2厚さ方向T
2に向かって突出する、複数の第2凸部33とを有する襞部21を有する。なお、理解のしやすさの観点から、
図4(a)では、複数の第1凸部27の領域に、ドット模様が付されている。
複数の第1凸部27のそれぞれと、複数の第2凸部33のそれぞれとは、第2方向D
2に延びているとともに、第1凸部27と、第2凸部33とは、第1方向D
1に交互に配置されている。
【0042】
襞部21を、複数の線状高坪量部分9のそれぞれと厚さ方向Tに重複する高坪量襞部分23と、複数の線状低坪量部分13のそれぞれと厚さ方向Tに重複する低坪量襞部分25とに区画する。また、複数の第1凸部27のそれぞれを、複数の線状高坪量部分9のそれぞれと厚さ方向Tに重複する第1高坪量凸部分29と、複数の線状低坪量部分13のそれぞれと厚さ方向Tに重複する第1低坪量凸部分31とに区画する。
【0043】
高坪量襞部分23では、線状高坪量部分9の坪量の高さに起因して、第1高坪量凸部分29の高さが高くなる傾向にあり、高坪量襞部分23の振幅が大きくなる傾向がある。従って、使用者が、積層不織布1に柔らかさを覚えることができる。また、高坪量襞部分23の振幅の大きさに起因して、使用者が、接着剤に触れにくくなる。
【0044】
一方、低坪量襞部分25は、坪量の低さから、積層不織布1に通気性を付与することができる。低坪量襞部分25では、接着剤が、第1不織布3の線状低坪量部分13を透過する可能性もあるが、低坪量襞部分25は、その振幅が小さいため、仮に接着剤が、第1不織布3の線状低坪量部分13を透過した場合であっても、透過した接着剤が、使用者の皮膚に触れにくい。
【0045】
積層不織布1では、積層不織布を第1方向D1に伸長させた状態(複数の弾性部材15を第1方向D1に伸長させた状態)から収縮させる際に、積層不織布1のうち、複数の線状低坪量部分13のそれぞれと、複数の弾性部材15(第1弾性部材17及び第2弾性部材19)のそれぞれとが重複する重複領域(図示せず)が襞形成基点として作用し、細かく且つ規則的な低坪量襞部分25及び高坪量襞部分23が形成され、その結果、緻密な襞部21が形成される。
【0046】
図13は、従来の積層不織布1を説明するための図である。従来の積層不織布1は、第1不織布3が、エアスルー不織布から構成される均一坪量不織布である点を除き、第1実施形態における積層不織布1と同様の構成を有する。
換言すると、従来の積層不織布1では、第1不織布3及び第2不織布5が、それぞれ、エアスルー不織布から構成される均一坪量不織布及びスパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布である。
【0047】
従来の積層不織布1では、第1不織布3及び第2不織布5のそれぞれが、均一坪量不織布であることから、積層不織布を第1方向D1に伸長させた状態(複数の弾性部材15を第1方向D1に伸長させた状態)から収縮させ、襞部21を形成させる際に、襞部形成基点を有しないため、形成される襞部21がランダム且つ大きなものとなり、美観に劣る。
【0048】
<第2実施形態>
図5~
図7は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う積層不織布1を説明するための図である。具体的には、
図5及び
図6は、それぞれ、積層不織布1の正面図及び背面図である。
図7は、第1不織布3の平面図である。なお、
図7では、第1不織布3としてのスパンボンド不織布の坪量の大小を、繊維の粗密で表現しているが、
図7に示される繊維の長さ及び径は、第1不織布3としてのスパンボンド不織布の繊維の長さ及び径を意味するものではない。
【0049】
積層不織布1は、お互いに直交する第1方向D1、第2方向D2及び厚さ方向Tを有するとともに、第1方向D1に伸縮可能なように構成されている。
積層不織布1は、厚さ方向Tにおいて、第1不織布3と、第2不織布5と、第1不織布3及び第2不織布5の間に配置された、複数の弾性部材15とを備えている。
【0050】
第1不織布3は、熱融着性繊維を含むスパンボンド不織布から構成される不均一坪量不織布であり、貫通孔を有していない。第2不織布5は、スパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布である。
第2実施形態における複数の弾性部材15は、第1実施形態における複数の弾性部材15と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
なお、第1実施形態と同様に、第2実施形態に従う積層不織布1は、理解のため、第1不織布3と、第2不織布5とを、第2方向D2にずらした状態で接合されており、第2方向D2の一方に配置された、第1不織布3のみから構成される領域と、第2方向D2の他方に配置された、第2不織布5のみから構成される領域と、それらの間に配置された、第1不織布3、複数の弾性部材15及び第2不織布5から構成される領域とを有している。なお、3領域からなる上記構成は、発明の理解のためのものであって、本開示の積層不織布の構造を何ら限定するものではない。
【0052】
第1不織布3は、第2方向D2において、高坪量部7と、高坪量部7よりも坪量の低い低坪量部11とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布である。また、第1不織布3において、低坪量部11と、高坪量部7とは、それぞれ、所定の面積を有する、複数の円形低坪量部分101と、円形低坪量部分101を囲む囲繞高坪量部103とである。
【0053】
複数の円形低坪量部分101は、第1方向D1及び第2方向D2において、千鳥状に配置されている。複数の円形低坪量部分101のそれぞれは、隣接する2つの円形低坪量部分101の間隔よりも大きな直径を有している。従って、積層不織布1は、第2方向D2において、円形低坪量部分101と、囲繞高坪量部103とを交互に有する交互構造を有するとともに、当該交互構造を第1方向D1の任意の領域(全ての領域)において有する。
また、囲繞高坪量部103は、第1方向D1に沿う方向、具体的には、第1方向D1と45°の交差角を有する方向に連続している高坪量部連続領域105(すなわち、円形低坪量部分101を有しない領域)を有している。
【0054】
第2実施形態に従う積層不織布1は、第1実施形態に従う積層不織布1と同様の理由により、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくい。
【0055】
<第3実施形態>
図8及び
図9は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する)に従う積層不織布1を説明するための図である。具体的には、
図8及び
図9は、それぞれ、積層不織布1の正面図及び背面図である。
第3実施形態に従う積層不織布1では、第2不織布5を、スパンボンド不織布から構成される均一坪量不織布から、第2実施形態における第1不織布3、具体的には、熱融着性繊維を含むスパンボンド不織布から構成される不均一坪量不織布に変更した以外は、第1実施形態に従う積層不織布1と同様である。
【0056】
第3実施形態に従う積層不織布1は、第1実施形態に従う積層不織布1と同様の理由により、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくい。
【0057】
<その他の実施形態>
本開示のさらに別の実施形態として、以下の第1不織布及び第2不織布の組み合わせが挙げられる。
(i)
第1不織布:
複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分とを有するスパンボンド不織布
第2不織布:
複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分とを有するスパンボンド不織布
【0058】
本開示の積層不織布は、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向を有するとともに、第1方向に伸縮可能である、吸収性物品用の積層不織布である。
また、本開示の積層不織布は、上記厚さ方向において、第1不織布と、第2不織布と、第1不織布及び第2不織布の間において、第1方向に延びているとともに、第2方向に離間して配置されている、複数の弾性部材とを備えている。
【0059】
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、第2方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造を有する不均一坪量不織布である。
なお、本明細書では、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを有しない不織布を、「不均一坪量不織布」と区別するために、「均一坪量不織布」と称する場合がある。なお、不織布のムラは、上記高坪量部及び低坪量部に該当しない。
【0060】
第1不織布及び第2不織布のそれぞれは、不均一坪量不織布及び均一坪量不織布のいずれに該当する場合であっても、吸収性物品の技術分野で用いられている不織布であることができる。上記不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、SMS不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布(湿式、乾式)、エアスルー不織布等が挙げられる。
【0061】
第1不織布及び/又は第2不織布が不均一坪量不織布である場合には、当該不均一坪量不織布としての第1不織布及び/又は第2不織布は、熱融着性繊維を含む熱融着性不織布であることが好ましい。それにより、低坪量部も所定の強度を有しやすく、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる傾向にある。上記熱融着性不織布としては、例えば、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布が挙げられ、スパンボンド不織布が好ましい。それにより、上記積層不織布が、第1方向及び第2方向の強度に優れる傾向にある。
【0062】
第1不織布及び/又は第2不織布が不均一坪量不織布である場合には、当該不均一坪量不織布としての第1不織布及び/又は第2不織布は、以下の通り製造することができる。
不均一坪量不織布としてのエアスルー不織布は、例えば、特開2008-002034号、特開2008-025078号等に記載の方法により製造することができる。
【0063】
不均一坪量不織布としてのスパンボンド不織布は、例えば、特開2017-206803号に記載の方法に従って製造することができる。具体的には、第1実施形態における第1不織布3は、
図10に示されるような、搬送方向MDに延びているとともに、搬送方向MDと直交する交差方向CDに離間して配置されている、複数の閉鎖部203を備えているフィルタベルト201を用いて製造することができる。また、第2実施形態における第1不織布3は、
図11に示されるような、搬送方向MD及び交差方向CDに千鳥状に配置されている複数の略円形の閉鎖部203を備えているフィルタベルト201を用いて製造することができる。
【0064】
本開示の積層不織布では、不均一坪量不織布及び均一坪量不織布のそれぞれは、貫通孔を有していても、そして貫通孔を有していなくともよいが、貫通孔を有していないことが好ましい。積層不織布が貫通孔を有する場合には、使用者が、貫通孔を介して接着剤に触れる恐れがあるからである。
【0065】
第1不織布及び第2不織布のそれぞれは、不均一坪量不織布及び均一坪量不織布のいずれに該当する場合でも、好ましくは5~50g/m2、より好ましくは7~40g/m2、そしてさらに好ましくは10~30g/m2の坪量を有することができる。本開示の効果の観点からである。
なお、第1不織布及び第2不織布のそれぞれが不均一坪量不織布である場合には、上記坪量は、平均坪量を意味する。
【0066】
上記複数の弾性部材のそれぞれは、吸収性物品の技術分野で用いられているものをそのまま採用することができる。
上記複数の弾性部材のそれぞれを、第1不織布及び第2不織布に接着する際の延伸倍率は、特に制限されず、吸収性物品の分野で通常用いられている倍率を採用することができる。上記延伸倍率は、本開示の積層不織布が用いられる吸収性物品の部位によっても異なるが、好ましくは1.3倍~5倍、より好ましくは1.5倍~4倍、そしてさらに好ましくは1.8倍~3.5倍の範囲にある。
【0067】
上記複数の弾性部材の、第2方向における間隔は、吸収性物品の技術分野において用いられる間隔と同様であり、好ましくは1~15mm、そしてより好ましくは2~10mmの弾性部材ピッチで配置されることができる。
本開示の積層不織布が、例えば、使い捨ておむつのウエストギャザーを形成するためのウエストギャザー形成部材として用いられる場合には、上記弾性部材ピッチは、例えば、5~15mmであることができる。また、本開示の積層不織布が、例えば、使い捨ておむつのフィットギャザーを形成するためのフィットギャザー形成部材として用いられる場合には、上記弾性部材ピッチは、例えば、3~10mmであることができる。
【0068】
本開示の積層不織布では、上記複数の弾性部材のそれぞれが、第1不織布及び第2不織布に接着剤で接着されている。
本開示の積層不織布では、第1不織布及び第2不織布が接合されていなくともよく、そして接合されている、例えば、接着剤で接着されていてもよい。
【0069】
本開示の積層不織布では、上記不均一坪量不織布は、上述の交互構造(第2方向において、高坪量部と、当該高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを交互に有する交互構造)を、第1方向における特定の領域において有していてもよく、そして第1方向における任意の領域(すなわち、全ての領域)において有していてもよい。
上記不均一坪量不織布が、上述の交互構造を第1方向における任意の領域に有することにより、上記積層不織布が、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくい効果を、第1方向の任意の領域、すなわち、全ての領域において発揮することができる。
【0070】
本開示の積層不織布では、高坪量部が、第1方向に沿う方向に連続している高坪量部連続領域を有することが好ましい。それにより、積層不織布が、第1方向に伸縮する際に、その強度に優れることができる。なお、上記高坪量部が、後述の複数の線状高坪量部分である場合には、複数の線状高坪量部分の軸線が、第1方向に沿う方向に連続していることが好ましい。
【0071】
本開示の積層不織布は、不均一坪量不織布における、上記高坪量部と、上記低坪量部とを、それぞれ、第1方向に沿う方向に延びている、複数の線状高坪量部分と、複数の線状低坪量部分として備えていることができる。なお、上記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、上記複数の線状低坪量部分のそれぞれとは、第1方向に沿う方向と直交する方向に交互に配置されている。
【0072】
上記複数の線状高坪量部分のそれぞれと、複数の線状低坪量部分のそれぞれとしては、所定の方向に延びている、例えば、第1方向に沿う方向に延びている軸線を有する、直線状、曲線状、ジグザグ状のものが挙げられる。
【0073】
図12(a)は、直線状の、複数の線状高坪量部分303と、直線状の、複数の線状低坪量部分305を有する不均一坪量不織布301を説明するための図である。直線状の、複数の線状高坪量部分303のそれぞれと、直線状の、複数の線状低坪量部分305のそれぞれとは、直線状の軸線Aを有しており、軸線Aと直交する方向に交互に配置されている。なお、複数の線状高坪量部分303の領域に、ドット模様が付されている。
【0074】
図12(b)は、曲線状の、複数の線状高坪量部分303と、曲線状の、複数の線状低坪量部分305を有する不均一坪量不織布301を説明するための図である。曲線状の、複数の線状高坪量部分303のそれぞれと、曲線状の、複数の線状低坪量部分305のそれぞれとは、直線状の軸線Aを有しており、軸線Aと直交する方向に交互に配置されている。なお、複数の線状高坪量部分303の領域に、ドット模様が付されている。
【0075】
図12(c)は、ジグザグ状の、複数の線状高坪量部分303と、ジグザグ状の、複数の線状低坪量部分305を有する不均一坪量不織布301を説明するための図である。ジグザグ状の、複数の線状高坪量部分303のそれぞれと、ジグザグ状の、複数の線状低坪量部分305のそれぞれとは、直線状の軸線Aを有しており、軸線Aと直交する方向に交互に配置されている。なお、複数の線状高坪量部分303の領域に、ドット模様が付されている。
【0076】
本開示の積層不織布において、上述の軸線Aは、第1方向に沿う方向に延びることができ、そして軸線Aと直交する方向は、第1方向に沿う方向と直交する方向に延びることができる。
【0077】
上記複数の線状高坪量部分は、軸線と直交する方向(第1方向に沿う方向と直交する方向)に、所定の線状高坪量部分ピッチで配置されていることが好ましい。
上記線状高坪量部分ピッチは、例えば、複数の弾性部材の弾性部材ピッチの、好ましくは0.2~4.0倍、より好ましくは0.4~3.0倍、そしてさらに好ましくは0.6~2.5倍の範囲にある。それにより、本開示の積層不織布が、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくくなる。
【0078】
本開示の積層不織布において、複数の線状高坪量部分のそれぞれが、第1方向と平行な方向に延びる直線状の線状高坪量部分であるとともに、複数の線状高坪量部分が、所定の線状高坪量部分ピッチで第2方向と平行に配置されている場合(
図12(a)において、第1方向(図示せず)が軸線Aと平行である場合)には、線状高坪量部分ピッチPが、弾性部材ピッチと異なることが好ましい。
【0079】
それにより、複数の線状低坪量部分(低坪量部)の少なくとも一部が、上記複数の弾性部材と、上記厚さ方向に重複する重複領域を有しやすくなる。上記積層不織布を伸長状態から収縮状態に変形させる際に、上記重複領域に、細かく且つ規則的な低坪量襞部分が形成されやすくなり、そして襞部全体が緻密に形成されやすくなる。
【0080】
なお、本開示の積層不織布において、複数の線状高坪量部分(複数の線状低坪量部分)のそれぞれが、直線状でない場合、例えば、曲線状又はジグザグ状である場合には、線状高坪量部分ピッチが、弾性部材ピッチと同一であっても、異なっていてもよい。複数の線状低坪量部分(低坪量部)の少なくとも一部が、上記複数の弾性部材と、上記厚さ方向に重複する重複領域を有しやすくなるからである。
【0081】
本開示の積層不織布は、不均一坪量不織布における、上記低坪量部と、上記高坪量部とを、それぞれ、所定の面積を有する、複数のドット状低坪量部分と、当該ドット状低坪量部分を囲む囲繞高坪量部として備えていることができる。
上記複数のドット状低坪量部分の形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば、三角形、矩形、五角形)、星形等が挙げられる。
【0082】
上記不均一坪量不織布では、上記複数のドット状低坪量部分が、複数の第1方向配列であって、それらのそれぞれが、第1方向に沿った方向(好ましくは第1方向と平行な方向)に所定の第1方向ピッチで配列しているものを構成していることが好ましい。また、上記複数の第1方向配列が、第2方向に沿った方向(好ましくは第2方向と平行な方向)に所定の第2方向ピッチで配置されていることが好ましい。それにより、積層不織布が、第1方向に伸縮する際に、その強度に優れることができる。
【0083】
また、第1方向ピッチが、ドット状低坪量部分の長さ(第1方向に沿う方向における長さ)よりも短いことが好ましい。また、隣接する2つの第1方向配列が、第2方向に沿う方向において、ドット状低坪量部分の位置が一致しないように配置されていることが好ましく、そして第2方向に沿う方向において、隣接する2つの第1方向配列の一方の第1方向ピッチの部分と、他方のドット状低坪量部分とが重複するように配置されていることがより好ましい。それにより、上記積層不織布が、通気性及び柔軟性を有するとともに、接着剤に触れにくくなる。
上記複数のドット状低坪量部分は、例えば、千鳥状に配置されることができる。
【0084】
本開示の積層不織布では、第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が、上述の不均一坪量不織布であり、そして第1不織布及び第2不織布の両方が、上述の不均一坪量不織布であってもよい。本開示の効果の観点からである。
【0085】
本開示の積層不織布は、吸収性物品用であり、上記吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつ、生理用ショーツ型ナプキン、使い捨てショーツ等が挙げられる。
上記吸収性物品が使い捨ておむつである場合には、上記積層不織布は、ウエストギャザーを形成するためのウエストギャザー形成部材、フィットギャザーを形成するためのフィットギャザー形成部材等として用いられる。
【0086】
本開示の積層不織布は、当技術分野で公知の方法で製造することができる。例えば、第1不織布及び第2不織布を、接着剤を塗工するとともに所定の倍率で延伸した複数の弾性部材を間に挟んで接合することにより、本開示の積層不織布を製造することができる。
【実施例】
【0087】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の条件で、積層不織布No.1を製造した。積層不織布No.1の第1不織布側の画像を
図14に示す。なお、積層不織布No.1は、弾性部材ピッチを除き、第1実施形態に従う積層不織布1と同様である。
[第1不織布]
・種類:エアスルー不織布(不均一坪量不織布,平均坪量:25g/m
2)
・線状高坪量部分ピッチ:4.2mm
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m
2)
[弾性部材]
・種類:Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:3.0mm
・延伸倍率:2.5倍
【0088】
[実施例2]
以下の条件で、積層不織布No.2を製造した。積層不織布No.2の第1不織布側の画像を
図15に示す。なお、積層不織布No.2は、弾性部材ピッチを除き、第2実施形態に従う積層不織布1と同様である。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(不均一坪量不織布,坪量:15g/m
2)
・円形高坪量部分の直径:9.9mm
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:13g/m
2)
[弾性部材]
・種類:Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:5.0mm
・延伸倍率:2.5倍
【0089】
[実施例3]
以下の条件で、積層不織布No.3を製造した。積層不織布No.3の第1不織布側の画像を
図16に示す。なお、積層不織布No.3は、第1不織布の種類と、弾性部材ピッチとを除き、第1実施形態に従う積層不織布1と同様である。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(不均一坪量不織布,坪量:15g/m
2)
・線状高坪量部分ピッチ:3.9mm
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:13g/m
2)
[弾性部材]
・種類:Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:5.0mm
・延伸倍率:2.5倍
【0090】
[実施例4]
以下の条件で、積層不織布No.4を製造した。積層不織布No.4の第1不織布側及び第2不織布側の画像を、それぞれ、
図17及び
図18に示す。なお、積層不織布No.4において、第1不織布及び第2不織布のそれぞれが、第1実施形態に従う積層不織布1の第1不織布と同一である。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(不均一坪量不織布,平均坪量:15g/m
2)
・線状高坪量部分ピッチ:3.9mm
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(不均一坪量不織布,平均坪量:15g/m
2)
・線状高坪量部分ピッチ:3.9mm
[弾性部材]
・種類:Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:3.0mm
・延伸倍率:2.5倍
【0091】
[比較例1]
以下の条件で、積層不織布No.5を製造した。積層不織布No.5の第1不織布側の画像を
図19に示す。
[第1不織布]
・種類:エアスルー不織布(均一坪量不織布,坪量:25g/m
2)
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m
2)
[弾性部材]
・種類:Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:3.0mm
・延伸倍率:2.5倍
【0092】
[比較例2]
以下の条件で、積層不織布No.6を製造した。積層不織布No.6の第1不織布側の画像を
図20に示す。
[第1不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:15g/m
2)
[第2不織布]
・種類:スパンボンド不織布(均一坪量不織布,坪量:13g/m
2)
[弾性部材]
・種類:Spandex 470 Dtex
・弾性部材ピッチ:5.0mm
・延伸倍率:2.5倍
【符号の説明】
【0093】
1 積層不織布
3 第1不織布
5 第2不織布
7 高坪量部
9 線状高坪量部分
11 低坪量部
13 線状低坪量部分
15 弾性部材
17 第1弾性部材
19 第2弾性部材
21 襞部
23 高坪量襞部分
25 低坪量襞部分
27 第1凸部
29 第1高坪量凸部分
31 第1低坪量凸部分
33 第2凸部
D1 第1方向
D2 第2方向
T 厚さ方向
T1 第1厚さ方向
T2 第2厚さ方向