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特許7258962半導体処理装置においてシャワーヘッド傾斜を動的に調整するためのアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】半導体処理装置においてシャワーヘッド傾斜を動的に調整するためのアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230410BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230410BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/205
C23C16/455
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021122904
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2016247304の分割
【原出願日】2016-12-21
(65)【公開番号】P2021170671
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】14/986,191
(32)【優先日】2015-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウィルツ
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0225854(US,A1)
【文献】特表2003-529926(JP,A)
【文献】特開昭60-154528(JP,A)
【文献】特開2009-121684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板処理装置内でシャワーヘッドを調整するシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記シャワーヘッドの面板に隣接して配置される基板台座の上面に対する前記面板の平坦化を調整するように動的に動作可能な少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを備え、前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリの各々は、
圧電スタックと、
第1の端および第2の端を有するレバーであって、前記レバーは、前記シャワーヘッドを少なくとも1つの傾斜方向に変位させるために、前記第1の端の上で前記圧電スタックに、および、前記第2の端の上で前記シャワーヘッドに機械的に結合され、前記圧電スタックの変位を機械的に増幅するように動作可能な、レバーと、
前記レバーに結合され、前記レバーの前記第1の端と前記第2の端との間に位置するレバーピボット点と、
を含む、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項2】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記シャワーヘッドの前記調整は、前記シャワーヘッドの前記面板と前記基板台座の前記上面との間の少なくとも1つの隙間距離を制御することである、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項3】
請求項2に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、さらに、
前記少なくとも1つの隙間距離、および、前記基板台座の前記上面に対する前記面板の平坦性を測定する少なくとも1つのin-situセンサを備える、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項4】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記レバーピボット点は、固体材料の弾性変形に基づき無摩擦支点として機能するブレード状のたわみデバイスを備える、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項5】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記レバーのゲイン比は、:1から20:1の間である、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項6】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記レバーのゲイン比は、6.5:1である、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項7】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリの各々は、少なくとも1つの運動自由度と相関する、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項8】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、さらに、
前記圧電スタックの前記第1の端と前記レバーの前記第1の端との間に結合されたたわみ取り付け具を備える、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項9】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、さらに、
前記レバーの前記第2の端に、前記シャワーヘッドを少なくとも1つの傾斜方向に動かすように前記シャワーヘッドに動的に結合されたボールジョイントに作用するソケットを備える、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項10】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記基板台座の前記上面に対する前記シャワーヘッドの前記面板の前記平坦化は、反応チャンバの一定レベルの真空を破ることなく、前記シャワーヘッドが位置する前記反応チャンバの外側から調整できる、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項11】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記調整は、前記基板台座に取り付けられた基板に対するその後のプロセス工程間で行われるように構成される、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項12】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記シャワーヘッド調整メカニズムは、0.15ミリラジアン未満の分解能で前記シャワーヘッドの前記面板の位置を動的に調整するように構成される、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項13】
請求項1に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記レバーピボット点は、前記圧電スタックの前記第1の端と前記レバーとの間の接点とは反対側のレバーの片側に位置する、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項14】
半導体基板処理装置内でシャワーヘッドを調整するシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記シャワーヘッドの面板に隣接して配置される基板台座の上面に対する前記面板の平坦化を調整するように動的に動作可能な少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを備え、前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリの各々は、
圧電スタックと、
第1の端および第2の端を有するレバーであって、前記レバーは、前記シャワーヘッドを少なくとも1つの傾斜方向に変位させるために、第1の端の上で前記圧電スタックに機械的に結合され、前記シャワーヘッドのボールジョイントに作用する前記第2の端の上にソケットを含み、前記圧電スタックの変位を機械的に増幅するように動作可能な、レバーと、
固体材料の弾性変形に基づき無摩擦支点として機能するブレード状のたわみデバイスであって、前記レバーに結合され、前記レバーの前記第1の端と前記第2の端との間に位置する、ブレード状のたわみデバイスと、
を含む、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項15】
請求項14に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記圧電スタックは、印加電圧が増すと実質的に線形に長さが増す材料を含む、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項16】
請求項14に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記レバーは、前記シャワーヘッドの可動域を少なくとも:1で増幅できる、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項17】
請求項14に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記レバーは、前記シャワーヘッドの可動域を少なくとも:1で増幅できる、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項18】
請求項14に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記レバーは、前記シャワーヘッドの可動域を少なくとも.5:1で増幅できる、シャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項19】
半導体基板処理装置内でシャワーヘッドを調整するシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記シャワーヘッドの面板に隣接して配置される基板台座の上面に対する前記面板の平坦化を調整するように動的に動作可能な少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを備え、前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリの各々は、
圧電スタックと、
第1の端および第2の端を有するレバーであって、前記レバーは、前記シャワーヘッドを少なくとも1つの傾斜方向に変位させるために、前記第1の端の上で前記圧電スタックに、および、前記第2の端の上で前記シャワーヘッドに機械的に結合され、前記圧電スタックの変位を機械的に増幅するように動作可能な、レバーと、
前記レバーに結合され、前記レバーの前記第1の端と前記第2の端との間に位置するレバーピボット点と、
を含み、前記シャワーヘッド調整メカニズムは、更に、
前記基板台座の前記上面に対する前記面板の隙間距離および平坦性を測定する少なくとも1つのin-situセンサ、
を備えるシャワーヘッド調整メカニズム。
【請求項20】
請求項19に記載のシャワーヘッド調整メカニズムであって、
前記少なくとも1つのin-situセンサは、レーザ干渉計、線形変数差動変圧器、および1つ以上のひずみゲージセンサを含むセンサから選択された少なくとも1つのセンサを含む、シャワーヘッド調整メカニズム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板を処理するために使用される半導体基板処理装置に関するものであり、薄膜の化学気相成長の実施において特定の使用を見出せるだろう。
【背景技術】
【0002】
物理蒸着(PVD)、化学気相成長(CVD)、プラズマ式化学気相成長(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ式原子層堆積(PEALD)、パルス堆積層(PDL)、分子層成長(MLD)、プラズマ式パルス堆積層(PEPDL)処理、エッチング、及びレジスト除去などの技術によって半導体基板を処理するために、半導体基板処理装置が使用される。半導体基板を処理するために使用される半導体基板処理装置の一種は、シャワーヘッドモジュールと、反応チャンバ内で半導体基板を支持する基板台座モジュールとを内包する反応チャンバを含む。シャワーヘッドモジュールは、半導体基板が処理されえるように、反応チャンバ内へプロセスガスを送り込む。このようなチャンバでは、シャワーヘッドモジュールの装着及び撤去に時間がかかることがあり、更に、もし、シャワーヘッドモジュールの下面が基板台座モジュールの上面に平行でない場合は、基板処理中に不均一な成膜(即ち、方位角方向のばらつき)が生じることもある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、半導体基板を処理するための半導体基板処理装置が開示される。該半導体基板処理装置は、個々の半導体基板が中で処理され、上板が上壁を形成する化学的分離チャンバと、化学的分離チャンバ内へプロセスガスを供給するための、化学的分離チャンバと流体連通しているプロセスガス源と、プロセスガス源から、個々の半導体基板が処理される半導体基板処理装置の処理ゾーンへプロセスガスを送るシャワーヘッドモジュールであって、柄部の下端に基部が取り付けられ、貫通するガス通路を有する面板が基部の下面を形成するシャワーヘッドモジュールと、基板の処理時に面板の下の処理ゾーン内で半導体基板を支持するように構成された基板台座モジュールと、上板内でシャワーヘッドモジュールを支持するシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、面板に隣接する基板台座モジュールの上面に対するシャワーヘッドモジュールの面板の平坦化を調整するために動的に動作可能であり、少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを含むシャワーヘッドモジュール調整メカニズムと、を含む。
【0004】
シャワーヘッドモジュール調整メカニズムは、少なくとも1つの傾斜方向へのシャワーヘッドモジュールの動きを動的に可能にする少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを含むことができる。この少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、圧電スタックの変位を機械的に増幅するレバーと、該レバーをアクチュエータケースに結合するためのたわみ取り付け具とを含むことができる。少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、更に、圧電スタックの上端と、圧電スタックを内包するアクチュエータケースとの間に結合された上方たわみ部分を含むことができ、たわみ取り付け具は、圧電スタックの底端と、レバーとの間に結合され、上方たわみ部分及びたわみ取り付け具は、圧電スタックにかかる応力を軽減するように構成される。シャワーヘッドモジュール調整メカニズムは、(a)3つのアクチュエータアセンブリが、シャワーヘッドモジュールの2つの傾斜方向への動きと1つの軸方向への並進とをもたらすように、(b)レバーの圧電スタックとは反対側の端が、蛇腹アセンブリの上板に結合された調整ネジの動きを引き起こすように、(c)レバーの圧電スタックとは反対側の端が、ソケット-溝を通じて調整ネジのボールジョイントに作用するように、(d)シャワーヘッドモジュールが、蛇腹アセンブリの上板に取り付けられるように、(e)たわみ取り付け具が、レバーの横方向への並進及び縦方向への並進を制限するように、(f)上方たわみ部分、たわみ取り付け具、及びアクチュエータケースの複合的な熱膨張が、圧電スタックの熱膨張に一致するように、又は(g)シャワーヘッドモジュール調整メカニズムが、シャワーヘッドモジュールの面板の傾斜を約3ミリラジアンの範囲にわたって動的に調整するように、構成できる。シャワーヘッドモジュール調整メカニズムは、シャワーヘッドモジュールの面板の位置を、0.15ミリラジアンよりも優れた分解能で動的に調整しえる。
【0005】
アクチュエータアセンブリの一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、更に、圧電スタックの変位を機械的に増幅するレバーと、レバー及び圧電スタックの底端に結合されたボールソケットジョイントと、圧電スタックの上端と、圧電スタックを内包するアクチュエータケースとの間に結合された上方たわみ部分と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本書で開示される実施形態にしたがった化学成膜装置の概要を示した説明図である。
【0007】
図2】薄膜の生成中に成膜及び/又は反応種間表面反応を向上させるためにプラズマを用いることができる、本書で開示される実施形態を実現するように配置された様々な装置構成要素を示したブロック図である。
【0008】
図3A】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたシャワーヘッドアセンブリを示した図である。
図3B】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたシャワーヘッドアセンブリを示した図である。
【0009】
図4】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたシャワーヘッドモジュール調整メカニズムの断面図である。
【0010】
図5A】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたアクチュエータアセンブリを示した図である。
図5B】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたアクチュエータアセンブリを示した図である。
図5C】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたアクチュエータアセンブリを示した図である。
【0011】
図6A】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたアクチュエータアセンブリを示した図である。
図6B】本書で開示される実施形態にしたがって配置されたアクチュエータアセンブリを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、本書で開示される装置及び方法の完全な理解を与えるために、数々の具体的な実施形態が記載されている。しかしながら、当業者にならば明らかなように、これらの実施形態は、これらの具体的詳細を伴わずとも又は代替の要素若しくはプロセスを使用しても実施されえる。また、本書で開示される実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス、手順、及び/又は構成要素は詳細に説明されていない。数値に関連して本書で使用される「約」という用語は、±10%を意味する。
【0013】
上記のように、これらの実施形態は、プラズマ式化学気相成長などの化学気相成長を行うための成膜装置(又は代替の一実施形態ではエッチング装置)などの半導体基板処理装置及び関連の方法を提供する。装置及び方法は、多工程成膜プロセス(例えば、原子層堆積(ALD)、プラズマ式原子層堆積(PEALD)、プラズマ式化学気相成長(PECVD)、パルス堆積層(PDL)、分子層成長(MLD)、又はプラズマ式パルス堆積層(PEPDL)処理)における自己制限的成膜工程の分離を必要とする、半導体制作ベースの誘電体成膜プロセス又は金属成膜プロセスと併せて使用するのにとりわけ適用可能であるが、そのように限定はされない。半導体基板を処理する方法の代表的な実施形態が、参照によって全体を本明細書に組み込まれる共同所有の公開された米国特許出願第2013/0230987号、第2013/0005140号、第2013/0319329号、並びに米国特許第8,580,697号、第8,431,033号、及び第8,557,712号で見出せる。
【0014】
上述されたプロセスは、プロセスガス前駆体又はプロセスガス反応物などのプロセスガスから成膜を受けるウエハ又は半導体基板の上面への不均一なプロセスガス供給に関係して幾つかの欠点に見舞われることがある。例えば、もし、プロセスガスを半導体基板に送るシャワーヘッドモジュールの下面が、半導体基板を支持する基板台座モジュールの上面に平行でない場合は、半導体基板の上面上に、不均一な前駆体分布が形成されることがある。
【0015】
CVDシャワーヘッドモジュールには、総じて、2つの主なタイプ、即ち、シャンデリア型及び埋め込み型がある。シャンデリア型のシャワーヘッドモジュールは、一端を反応チャンバの上板に取り付けられもう一端を面板に取り付けられた柄部(ステム)を有し、シャンデリアに似ている。ガスライン及び高周波数(「RF」)電力の接続を可能にするために、柄部の一部が、上板の上方に突き出してよい。埋め込み型のシャワーヘッドモジュールは、チャンバの上部に組み込まれ、柄部を有さない。本書で示される例は、シャンデリア型のシャワーヘッドモジュールであるが、シャワーヘッドモジュールは、このタイプのシャワーヘッドに限定されない。
【0016】
装置の反応チャンバ(化学的分離チャンバ)を1回又は複数回にわたって冷却及び通気することを伴うウェット洗浄手順の後は、通常、シャワーヘッドモジュール水平化(平坦化)が実施される。冷却及び通気は、チャンバの内部にアクセスしてシャワーヘッドと基板台座モジュールとの間の間隔を調整するために及びシャワーヘッドの下面を台座モジュールの上面に対して平坦化するために必要とされるだろう。従来の技術は、チャンバ内に金属箔ボールを配置してシャワーヘッドモジュールと基板台座モジュールとの間の隙間を測定すること、及び該測定の結果に基づいてシャワーヘッドモジュールの裏板と反応チャンバの上板との間の複数の、通常は3本以上の、支持棒を調整することを伴う。支持棒は、チャンバの通気及び冷却の後に上板を開くことによってのみ調整できる。シャワーヘッドモジュールが水平であると見なされるまでに、複数の測定及び調整のサイクルが実施されるだろう。シャワーヘッドは、外部からの操作を通じて水平化することができないので、プロセスは、非常に時間がかかり、最長約20時間にも及ぶ恐れがある。
【0017】
一実施形態では、この手動調整手順に加えて更なる動的微調整を提供するために、1つ以上の圧電アクチュエータが使用される。プロセスは、多くの場合、同じウエハ上に様々なタイプの膜が順次堆積されることを必要とし、シャワーヘッド傾斜に対する感度は、膜によって異なるだろう。圧電アクチュエータは、作動電圧の僅かな変化を滑らかな動きに変換することによって、ナノメートル以下の領域で位置変化を制御できるゆえに、この用途に理想的である。圧電アクチュエータによって制御される動きは、摩擦又は閾値電圧による影響を受けない。圧電アクチュエータは、また、速い応答時間も提供し、数万gを超える加速度が可能である。圧電アクチュエータは、磁場を生成することも、磁場に影響されることもなく、したがって、磁場耐性が低い用途に特に適している。最後に、圧電アクチュエータは、ギアも回転シャフトも有さず、したがって、圧電アクチュエータの変位は、固体状態の動力学に基づき、摩耗を示さない。
【0018】
しかしながら、市販の圧電ステージを含む現時点で利用可能な電動式のアクチュエータ及びステージは、シャワーヘッド傾斜調整に必要とされる駆動力(アクチュエータごとに80ポンド・力)要件、分解能(0.15ミリラジアン)要件、耐久性(10,000,000サイクル)要件、又は密封入要件を満たさない。例えば、電動式の送りネジアクチュエータは、駆動力が十分でない(アクチュエータとごとに10~15ポンド・力)か、又は半導体処理ツール内に封入するには大きすぎるかのいずれかである。スタンドアロン(単独動作型)の圧電スタックは、十分な駆動力を提供できるが、最大変位が非常に小さく、通常、その長さの0.1%程度である。ナノメートル精度用に設計された、複数方向間の相互結合がほぼゼロであるその他の市販の圧電ステージは、運動範囲が十分でない、又は所要の駆動力を有さない。
【0019】
本書で開示されるのは、同じウエハに対するプロセス工程間で反応チャンバの外部から水平化されるように設計された、シャワーヘッドモジュール調整メカニズムに結合されたシャワーヘッドモジュールである。2種類以上の異なる膜材料が順次成長されるプロセスにおいて、シャワーヘッド傾斜の動的調整は、真空を破ることなく方位角方向のばらつきを補正する。シャワーヘッドアクチュエータアセンブリは、2から20の間のゲイン比を有するレバーを組み込んでいることが好ましく、スタンドアロンの圧電スタックの運動範囲を向上させるには、例えば、6.5:1などの所望のゲイン比が使用されてよい。レバー運動増幅器が一体化された圧電アクチュエータは、圧電スタック変位を通常2~20倍に増加させるだろう。移動範囲が増しても高い分解能及び速い応答を維持するためには、てこ作用システムが、剛性であるとともにバックラッシュ及び摩擦を伴わないことが好ましく、これが、ボールベアリング又はローラベアリングが好ましくない理由である。運動増幅器が一体化された圧電アクチュエータは、誘導運動、セラミックからの力の分離、変位が等しいスタックアクチュエータと比べてコンパクトなサイズ、及び低減された静電容量などの、標準的な圧電アクチュエータに勝る幾つかの利点を有する。
【0020】
好ましい構成では、圧電スタックは、たとえレバーによって駆動力が低減された後でも、十分な駆動力(少なくとも80ポンド・力)を調整地点に作用させる。更に、たわみ部は、レバーアセンブリが摩擦及び摩耗を伴うことなく機能することを保証し、これは、アクチュエータ寿命を延ばすために望ましい。たわみ部は、固体材料の弾性変形(たわみ)に基づいた、無摩擦で無吸着のデバイスである。滑り及び転がりが、完全に排除される。内部摩擦の不在に加えて、たわみデバイスは、高い剛性及び負荷容量を示す。たわみ部は、他の誘導システムと比べて衝撃及び振動への感受性が低く、圧電スタックのための応力軽減部としても機能して、所望の方向への運動学的移動を可能にしてよく、そうして、アクチュエータがその全可動域を実現することを可能にし、更にアクチュエータ寿命を延ばす。
【0021】
図1は、本書で開示される実施形態にしたがった化学気相成長のための半導体基板処理装置201の概要を示した説明図である。ウエハなどの半導体基板13が、シャワーヘッドモジュール211に相対的に上昇又は下降させることができる可動式の台座モジュール223上に着座する。シャワーヘッドモジュール211も、垂直に移動されてよい。ガスライン203を通じて、チャンバの処理ゾーン318に反応性材料ガスが導入され、該プロセスガスの流れは、質量流量コントローラ229によって制御される。留意すべきは、使用される反応性ガスの数に応じて、1本以上のガスラインを有するように装置が変更されてよいことである。チャンバは、真空源209に接続された真空ライン235を通じて排気される。真空源は、真空ポンプであってよい。
【0022】
本書で開示される実施形態は、プラズマ式化学成膜装置(即ち、プラズマ式化学気相成長(PECVD)装置、プラズマ式原子層堆積(PEALD)装置、又はプラズマ式パルス堆積層(PEPDL)装置)内で実現できる。図2は、本書で開示される実施形態を実現するように配置された様々な装置構成要素を示した簡易ブロック図を提供しており、ここでは、成膜を向上させるためにプラズマが用いられる。図に示されるように、処理ゾーン318は、基板台座モジュール223と連携するシャワーヘッドモジュール211を含む容量結合プラズマシステムによって生成されたプラズマを内包する働きをし、基板台座モジュール223は、加熱される。少なくとも1つの高周波数(HF)RF発生器204などの(1つ以上の)RF源が、整合回路網206に接続され、随意の低周波数(LF)RF発生器202が、シャワーヘッドモジュール211に接続される。代替の一実施形態では、HF発生器204は、基板台座モジュール223に接続できる。整合回路網206によって供給される電力及び周波数は、プロセスガス/蒸気からプラズマを発生させるのに十分である。一実施形態では、HF発生器及びLF発生器の両方が使用され、代替の一実施形態では、HF発生器のみが使用される。代表的なプロセスでは、HF発生器は、約2~100MHzの周波数で動作され、好ましい一実施形態では、13.56MHz又は27MHzで動作される。LF発生器は、約50kHzから2MHzの周波数で動作され、好ましい一実施形態では、約350~600kHzで動作される。プロセスパラメータは、チャンバ容積、基板サイズ、及びその他の要素に基づいて増減されてよい。同様に、プロセスガスの流量は、真空チャンバ(反応チャンバ)又は処理ゾーンの自由体積によって決められてよい。
【0023】
チャンバ内において、基板台座モジュール223は、薄膜などの材料が上に成長されてよい基板13を支持する。基板台座モジュール223は、成膜反応及び/又はプラズマ処理反応の最中及び間に基板を保持及び移送するためのフォーク又はリフトピンを含むことができる。一実施形態では、基板13は、基板台座モジュール223の表面上に載るように構成されてよく、ただし、代替の実施形態では、基板台座モジュール223は、基板台座モジュール223の表面上で基板13を保持するための静電式チャック、機械式チャック、又は真空チャンクを含んでいてよい。基板台座モジュール223は、基板13を所望の温度に加熱するためのヒータブロック220に結合できる。基板13は、成長される材料に応じて、約25~500℃又はそれよりも高い温度に維持される。
【0024】
特定の実施形態では、成膜時、成膜後処理時、及び/又はその他のプロセス動作時のプロセス条件を制御するために、システムコントローラ228が用いられる。コントローラ228は、通常は、1つ以上の記憶装置と、1つ以上のプロセッサとを含む。プロセッサとして、CPU又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタルの入力接続/出力接続、ステッピングモータ制御盤等が挙げられる。
【0025】
特定の実施形態では、コントローラ228は、装置の全活動を制御する。システムコントローラ228は、処理動作のタイミング、LF発生器202及びHF発生器204の動作周波数及び動作出力、前駆体及び不活性ガス及びそれらの相対的混合物の流量及び温度、ヒータブロック220及びシャワーヘッドモジュール211の温度、チャンバの圧力、シャワーヘッドの傾斜、並びに特定のプロセスのその他のパラメータを制御するための命令一式を含む、システム制御ソフトウェアを実行する。実施形態によっては、コントローラに関係付けられた記憶装置に格納されたその他のコンピュータプログラムが用いられてよい。
【0026】
通常は、コントローラ228に、ユーザインターフェースが関係付けられる。ユーザインターフェースとして、ディスプレイ画面、装置及び/又はプロセス条件のグラフィックソフトウェア表示、並びにポインティングデバイス、キーボード、タッチ画面、マイクロフォン等などのユーザ入力機器が挙げられる。
【0027】
非一時的なコンピュータマシン読み取り可能媒体が、装置の制御のためのプログラム命令を含むことができる。処理動作を制御するためのコンピュータプログラムコードは、例えば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなどの、従来の任意のコンピュータ読み取り可能プログラミング言語で記述できる。プログラムに指定されたタスクを実施するために、コンパイル済みのオブジェクトコード又はスクリプトがプロセッサによって実行される。
【0028】
コントローラパラメータは、例えば、処理工程のタイミング、前駆体及び不活性ガスの流量及び温度、ウエハの温度、チャンバの圧力、シャワーヘッドの傾斜、及び特定のプロセスのその他のパラメータなどの、プロセス条件に関する。これらのパラメータは、レシピの形でユーザに提供され、ユーザインターフェースを用いて入力されてよい。
【0029】
プロセスを監視するための信号が、システムコントローラのアナログ入力接続及び/又はデジタル入力接続によって提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、装置のアナログ出力接続及びデジタル出力接続に載せて出力される。
【0030】
システムソフトウェアは、様々に設計又は構成されてよい。例えば、成膜プロセスを実施するために必要とされるチャンバ構成要素の動作を制御するために、様々なチャンバ構成要素サブルーチン又は制御オブジェクトが記述されてよい。これを目的としたプログラム又はプログラム部分の例として、基板処理工程のタイミングのコード、前駆体及び不活性ガスの流量及び温度のコード、並びにチャンバの圧力のためのコードが挙げられる。
【0031】
シャワーヘッドモジュール211は、温度制御される及びRF通電されることが好ましい。温度制御されるRF通電式シャワーヘッドモジュールの代表的な一実施形態が、参照によって全体を本明細書に組み込まれる共同所有の公開された米国特許出願第2013/0316094号で見出せる。
【0032】
本書で開示される実施形態にしたがうと、シャワーヘッドモジュールは、シャワーヘッドモジュールの平坦化(平行化)を手動で動的に調整するためのシャワーヘッドモジュール調整メカニズムを含むことが好ましい。図3A及び図3Bに例示されるように、シャワーヘッドモジュール211は、柄部305(ステム)と、裏板317及び面板316を含む基部315と、シャワーヘッドモジュール211の平坦化を調整するためのシャワーヘッドモジュール調整メカニズム400とを含むことが好ましい。シャワーヘッドモジュール211の平坦化は、調整ネジ405を締める又は緩めることによって粗調整もできる。調整ネジ405は、細目ネジを含み、シャワーヘッドモジュール211を2つの傾斜度と軸方向の位置とで手動で調整するために使用できる。調整ネジ405は、アクチュエータアセンブリのソケット溝430と嵌り合う。シャワーヘッドモジュール211の平坦化は、一体化されたレバー運動増幅器を通じて圧電アクチュエータの圧電スタック変位を操作することによって微細に且つ動的に調整できる。
【0033】
一実施形態では、シャワーヘッドモジュール211の面板316の平坦化は、3つの自由度、即ち、1つの軸方向の並進と2つの傾斜方向とを動的に提供するために、シャワーヘッド調整メカニズムの一部としての3つのアクチュエータアセンブリを使用して調整できる。別の一実施形態では、2つの自由度を提供するために、2つのアクチュエータアセンブリが使用されてよい。更に別の一実施形態では、1つの自由度(例えば、一方向の動的傾斜)を提供するために、1つのアクチュエータアセンブリが使用されてよい。シャワーヘッドモジュール211及びシャワーヘッドモジュール調整メカニズム400の設計は、シャワーヘッドモジュール211の傾斜を動的に調整するために、迅速な応答(例えば、1秒未満)の圧電アクチュエータアセンブリを使用し、そうして、複数の異なる膜タイプから選択された特定の膜の成長における均一性の向上を可能にしている。
【0034】
図4に例示されるように、シャワーヘッドモジュール211は、化学的分離チャンバ(即ち、反応チャンバ)の上板330内で支持されることが好ましい。上板330は、カラー(環部)413を支持することが好ましい。上板330の水平上面は、ネジ開口などの開口を有することが好ましく、カラー413内の、締め具を受けるための対応する開口は、カラー413を上板330に取り付ける少なくとも3本の締め具402を含む。カラー413は、シャワーヘッドモジュール調整メカニズム400の残りの部分を上板330内で支持する。シャワーヘッドモジュール調整メカニズム400は、上板330によって接地される。
【0035】
Oリング409が、蛇腹アセンブリの上板403と、少なくとも3本の調整可能な調整ネジ405によってカラー413の上方に支持される冷却板412との間に、気密シール(即ち、密封シール)を形成する。少なくとも3本の調整可能な調整ネジ405は、カラー413に対する冷却板412の平坦化を粗調整するようにも動作可能である。好ましくは、各調整ネジ405の上端は、蛇腹アセンブリの上板403内にネジ式に支持され、各調整ネジの下端(即ち、ボールジョイント425)は、アクチュエータアセンブリのソケット溝430内に回転可能に受けられる。シャワーヘッド柄部305は、カラー413内、蛇腹411内、及び冷却板412内の開口を通り、フランジ416と冷却板412との間に密封シールを形成する別のOリング409によって冷却板412の上面に取り付けられる。更に、フランジ416及び冷却板412は、合わせてろう付けされてよい。シャワーヘッドモジュール211の柄部305は、カラー413を上板330に取り付ける締め具402によって上板330の開口内に支持される。
【0036】
蛇腹411は、カラー413と冷却板412との間に、気密性で、拡張性で、且つたわみ性の真空シールを形成することが好ましく、柄部305は、気密性で拡張性の真空シールを破ることなくシャワーヘッドモジュール211の平坦化が調整可能であるように、気密性で拡張性の真空シールを通って伸びる。蛇腹411は、上端を上板403に且つ下端をカラー413に溶接されることが好ましい。
【0037】
シャワーヘッドモジュール調整メカニズム400は、3本以上の締め具402を通じて化学的分離チャンバの上板330に取り付けられてよい。シャワーヘッド調整メカニズムは、1つから3つまでのアクチュエータアセンブリを内包してよい。各アクチュエータアセンブリは、1つの運動度を提供する。3つのアクチュエータアセンブリは、3つの運動度、即ち、2つの傾斜と1つの軸方向の位置とを提供するだろう。費用削減ヴァージョンは、1つのアクチュエータを使用して、1つの次元への傾斜を提供するだろう。
【0038】
図5A~5Cは、アクチュエータアセンブリの一実施形態を例示している。各アクチュエータアセンブリでは、アクチュエータケース421内に、圧電スタック419が装着される。圧電スタック419は、電圧が印加されると長さが増す材料で作成され、長さの変化は、電圧に対しておおよそ線形であり、100Vで約0.1%である。圧電スタック単独では、この少量の運動しか提供できないので、シャワーヘッドモジュール調整メカニズム400の運動範囲を増幅させるために、及びそれと同時に少なくとも2:1、好ましくは少なくとも4:1、好ましい一実施形態では6.5:1で力を低減させるために、アクチュエータケース421内にレバー422が制作される。更に高い又は低いレバーゲインが使用されてよい。例えば、より高い比は、より広範囲の運動を可能にするが、力は小さくなり、より低い比は、より強い力を提供するが、運動範囲は狭くなる。レバー422は、通常、放電加工機(EDM)を使用して作成される。レバーピボット(即ち、支点)は、屈曲するように設計されたブレード状(翼状)のたわみ部415である。
【0039】
たわみ取り付け具423と、上方たわみ部分424(例えば、ネジ固定部の一部)とを含む、放電加工機(EDM)によって切削されたたわみ部が、アクチュエータケース421に収容され、レバー422の少量の傾斜を可能にし、その他の方向への動きを制限する。たわみ取り付け具423は、圧電スタック419と、アクチュエータケース421のレバー422との間に低応力接続を提供し、屈曲に対しては柔軟性でありつつも圧縮に対しては極めて剛性であるように設計される。この実現形態では、たわみ取り付け具423は、十字ブレード状のたわみ部である。たわみ取り付け具423は、直接的金属レーザ焼結(DMLS)などのラピッドプロトタイピング技術を使用して制作されてよい。DMLS又はその他のラピッドプロトタイピング技術は、フライス加工などの従来の加工技術を使用して容易に制作できない高度に複雑な幾何学形状を高速に加工するのに好ましい。
【0040】
上方たわみ部分424は、ネジ固定具の一部であり、該固定具は、圧電スタック419がたわみ取り付け具423とネジ固定部との間に軽く押し込められるまで、ファインピッチネジを使用してアクチュエータケース421内へネジ込まれる。したがって、ネジ固定具は、アクチュエータケース421と、圧電スタック419と、たわみ取り付け具423との間の組み立て公差を吸収することができる。ネジ固定具は、また、屈曲に対しては柔軟性であるが圧縮に対しては極めて剛性であるように設計される。圧電スタック419の下端及び上端にそれぞれあるたわみ取り付け具423及び上方たわみ部分424は、圧電スタック419にかかる応力を軽減して摩擦を排除するために及びレバー422の駆動に必要な運動学的自由度を可能にするために必要とされる。
【0041】
ブレード状のたわみ部415は、レバー422のための無摩擦ピボットを提供し、それによって、レバー422の動作における正確さが増すとともに信頼性が高まる。更に、圧電素子と、EDMによって切削されたたわみ部との組み合わせは、アクチュエータが、高い変位及び高い駆動力を実現することを可能にする。圧電スタック419とは反対側のレバー422の端は、ソケット溝430を通じて調整ネジ405のボールジョイント425に作用する。ボールジョイント425は、すると、蛇腹アセンブリの上板403に取り付けられたシャワーヘッドモジュール211の面板316の平坦化を調整するために、蛇腹アセンブリの上板403に作用する。蛇腹アセンブリは、上板403と、底板426と、蛇腹411とで構成され、これらが溶接によって合わされる。底板426は、チャンバの上板330に取り付けられ、蛇腹アセンブリの上板403は、シャワーヘッドに取り付けられる冷却板412に取り付けられる。蛇腹アセンブリは、柔軟性であり、上板403は、蛇腹411のたわみに伴って、底板426に対して移動することができる。
【0042】
調整ネジ405は、シャワーヘッドモジュール211位置の粗調整に使用されてもよい。ネジによる粗調整と、圧電アクチュエータによる動的微調整との組み合わせは、シャワーヘッドモジュール211が、広い変位範囲にわたって手動で調整されて製造公差を吸収すること及び次いでプロセス工程間で動的に調整されることを可能にする。
【0043】
材料は、成膜プロセス中に見舞われる広い動作温度範囲にわたってシャワーヘッドモジュール211の傾斜が揺らぐことがないように、アクチュエータを断熱化するように選択された。アクチュエータケース、ネジ固定具、及びたわみ取り付け具の複合的な熱膨張が圧電スタックの熱膨張に一致するように、Invar、Nitronic 60、及びチタンなどの材料が選択された。
【0044】
図6A及び図6Bは、アクチュエータアセンブリの別の一実施形態を例示している。たわみ取り付け具(図5A~5C)が制作できない場合は、各アクチュエータアセンブリ内において、圧電スタック419の下端にボールソケットジョイント523を用いることが有利だろう。図6A及び図6Bの構成では、圧電スタック419は、たわみ取り付け具423が使用されるときと同じ運動学的自由度を有する。ボールジョイント構成は、圧縮に対しては尚も剛性でありつつも、ピボット運動を可能にすることによって圧電スタックとアクチュエータケースのレバーとの間に低応力の接続を提供する。摩耗は、接触面積を最大にしてヘルツ応力を軽減するためにゴシックアーチ型の幾何学形状を使用することによって、及び摩滅に対して耐性を有するNitronic 60などの材料を使用することによっても、軽減されえる。
【0045】
図5A~6Bに示された実施形態は、面板316と基板台座モジュール223の上面との間の隙間の高さを制御するために、シャワーヘッドモジュール211の動的調整を可能にする。シャワーヘッドの傾斜は、基板上に成長する膜の厚さプロフィールに影響する。基板は、種類ごとにシャワーヘッドの傾斜に対する感受性が異なるので、製造効率及び維持管理費用の観点からすると、真空を破ることなくシャワーヘッド傾斜を動的に調整することが有利である。図5A~6Bに示された実施形態は、現代のシャワーヘッド調整メカニズムから必要とされる、駆動力(アクチュエータごとに80ポンド・力)要件、分解能(0.15ミリラジアン)要件、耐久性(10,000,000サイクル)要件、及び運動範囲(3ミリラジアン)要件も満たしている。
【0046】
好ましくは、システムコントローラ228は、隙間制御及び平坦化制御がフィードバック制御モードで実施できるように、面板316と基板台座モジュール223の上面との間の隙間の高さ及び基板台座モジュール223の上面に対する面板316の平坦性を測定するための少なくとも1つのin-situセンサ(検出器)に電気的に接続される。レーザ干渉計、誘導センサ、容量センサ、音響センサ、線形変数差動変圧器(LDVT)、及びひずみゲージセンサなどの、様々なタイプのin-situ検出器が、隙間及び平坦性のセンサとして使用でき、センサは、化学的分離チャンバの内側又は外側のいずれかに位置付けできる。センサは、アクチュエータに組み込まれてよく、そうして、閉ループフィードバック制御を可能にするとともに、機能していないアクチュエータを検出する手段も提供する。
【0047】
バッフル構成を含む半導体基板処理装置がその特定の実施形態を参照にして詳細に説明されてきたが、当業者にならば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正がなされえること並びに均等物が利用できることが明らかである。
本開示は、以下の適用例としても実現可能である。
<適用例1>
半導体基板を処理するための半導体基板処理装置であって、
個々の半導体基板が中で処理され、上板が上壁を形成する化学的分離チャンバと、
前記化学的分離チャンバ内へプロセスガスを供給するための、前記化学的分離チャンバと流体連通しているプロセスガス源と、
前記プロセスガス源から、前記個々の半導体基板が処理される前記半導体基板処理装置の処理ゾーンへ前記プロセスガスを送るシャワーヘッドモジュールであって、柄部の下端に基部が取り付けられ、貫通するガス通路を有する面板が前記基部の下面を形成するシャワーヘッドモジュールと、
前記基板の処理時に前記面板の下の前記処理ゾーン内で前記半導体基板を支持するように構成された基板台座モジュールと、
前記上板内で前記シャワーヘッドモジュールを支持するシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、前記面板に隣接する前記基板台座モジュールの上面に対する前記シャワーヘッドモジュールの前記面板の平坦化を調整するために動的に動作可能であり、少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを含むシャワーヘッドモジュール調整メカニズムと、
を備える半導体基板処理装置。
<適用例2>
適用例1に記載の半導体基板処理装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、少なくとも1つの傾斜方向への前記シャワーヘッドモジュールの動きを動的に可能にする少なくとも1つの圧電スタックを含む、半導体基板処理装置。
<適用例3>
適用例2に記載の半導体基板処理装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、更に、前記少なくとも1つの圧電スタックの変位を機械的に増幅するレバーを含み、ブレード状のたわみ部がレバー支点である、半導体基板処理装置。
<適用例4>
適用例3に記載の半導体基板処理装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、
前記圧電スタックの第1の端と前記圧電スタックを内包するアクチュエータケースとの間に結合された第1のたわみ部と、
前記圧電スタックの第2の端と前記レバーの片側との間に結合された第2のたわみ部と、
を含む、半導体基板処理装置。
<適用例5>
適用例3に記載の半導体基板処理装置であって、
(a)前記シャワーヘッドモジュール調整メカニズムが、前記シャワーヘッドモジュールの2つの傾斜方向への動きと1つの軸方向への並進とを引き起こすように構成された3つのアクチュエータアセンブリを含む、
(b)前記レバーの前記圧電スタックとは反対側の端が、蛇腹アセンブリの上板に結合された調整ネジの動きを引き起こす、
(c)前記レバーの前記圧電スタックとは反対側の端が、ソケット溝を通じて前記調整ネジのボールジョイントに作用する、
(d)前記シャワーヘッドモジュールが、前記蛇腹アセンブリの前記上板に取り付けられる、
(e)前記レバー支点が、前記レバーの横方向への並進及び縦方向への並進を制限する、
(f)上方たわみ部分、たわみ取り付け具、及びアクチュエータケースの複合的な熱膨張が、前記圧電スタックの熱膨張に一致する、又は
(g)前記シャワーヘッドモジュール調整メカニズムが、前記シャワーヘッドモジュールの前記面板の傾斜を約3ミリラジアンの範囲にわたって動的に調整する、半導体基板処理装置。
<適用例6>
適用例1に記載の半導体基板処理装置であって、
前記シャワーヘッドモジュール調整メカニズムは、前記シャワーヘッドモジュールの面板の位置を、0.15ミリラジアンよりも優れた分解能で動的に調整する、半導体基板処理装置。
<適用例7>
半導体基板処理装置の上板内でシャワーヘッドモジュールを支持するシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、
前記半導体基板処理装置内で前記面板に隣接する基板台座モジュールの上面に対する前記シャワーヘッドモジュールの面板の平坦化を調整するように動的に動作可能であるシャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例8>
適用例7に記載のシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、
前記シャワーヘッドモジュールの少なくとも1つの傾斜方向への動的な動きを可能にする少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを備えるシャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例9>
適用例8に記載のシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、
前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、更に、
圧電スタックの変位を機械的に増幅するレバーと、
レバー支点であり前記レバーをアクチュエータケースに結合するブレード状のたわみ部と、
を含む、シャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例10>
適用例9に記載のシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、
第1のたわみ部が、前記圧電スタックの第1の端と前記圧電スタックを内包するアクチュエータケースとの間に結合され、
第2のたわみ部が、前記圧電スタックの第2の端と前記レバーの片側との間に結合され、
前記第1のたわみ部及び前記第2のたわみ部は、前記圧電スタックにかかる応力を軽減するように構成される、シャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例11>
適用例9に記載のシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、更に、
(a)3つのアクチュエータアセンブリが、前記シャワーヘッドモジュールの、2つの傾斜方向への動きと1つの軸方向への並進とを引き起こすように構成されること、
(b)前記レバーの前記圧電スタックとは反対側の端が、蛇腹アセンブリの上板に結合された調整ネジの動きを引き起こすこと、
(c)前記レバーの前記圧電スタックとは反対側の端が、ソケット溝を通じて前記調整ネジのボールジョイントに作用すること、
(d)前記シャワーヘッドモジュールが、前記蛇腹アセンブリの前記上板に取り付けられること、
(e)前記レバー支点が、前記レバーの横方向への並進及び縦方向への並進を制限すること、
(f)上方たわみ部分、たわみ取り付け具、及びアクチュエータケースの複合的な熱膨張が、前記圧電スタックの熱膨張に一致すること、又は
(g)前記シャワーヘッドモジュール調整メカニズムが、前記シャワーヘッドモジュールの前記面板の傾斜を約3ミリラジアンの範囲にわたって動的に調整すること、
を備えるシャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例12>
適用例7に記載のシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、
前記シャワーヘッドモジュールの前記面板の位置を、0.15ミリラジアンよりも優れた分解能で動的に調整する、シャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例13>
適用例9に記載のシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、
前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、更に、前記圧電スタックの上端と前記圧電スタックを内包するアクチュエータケースとの間に結合された上方たわみ部分を含む、シャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例14>
適用例8に記載のシャワーヘッドモジュール調整メカニズムであって、
前記少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、更に、
圧電スタックの変位を機械的に増幅するレバーと、
前記レバー及び前記圧電スタックの底端に結合されたボールソケットジョイントと、
前記圧電スタックの上端と前記圧電スタックを内包するアクチュエータケースとの間に結合された上方たわみ部分と、
を含む、シャワーヘッドモジュール調整メカニズム。
<適用例15>
半導体基板を処理するための成膜装置内で使用されるシャワーヘッドを調整するための通電メカニズムであって、
前記シャワーヘッドを1秒未満で1つ、2つ、又は3つの自由度で調整する通電メカニズム。
<適用例16>
適用例15に記載の通電メカニズムであって、
3つの自由度を提供するために、3つの独立したアクチュエータアセンブリが使用され、前記3つの自由度は、2つの傾斜方向及び1つの直線的な軸方向である、通電メカニズム。
<適用例17>
適用例16に記載の通電メカニズムであって、
各アクチュエータアセンブリは、圧電スタックと、支点としてのブレード状のたわみ部を有するレバーと、の組み合わせであり、前記レバーは、前記圧電スタックの変位を増幅するように構成される、通電メカニズム。
<適用例18>
適用例17に記載の通電メカニズムであって、更に、
前記シャワーヘッドが手動で調整されること及び動的に調整されることの両方を可能にするために、少なくとも1つの粗ネジアジャスタ、及び、少なくとも1つの微/動的アクチュエータアセンブリを備える通電メカニズム。
<適用例19>
適用例17に記載の通電メカニズムであって、
前記圧電スタックにかかる応力を軽減しつつ前記圧電スタックの運動学的動きを可能にするために、前記圧電スタックのいずれかの端にたわみ部が配置される、通電メカニズム。
<適用例20>
適用例17に記載の通電メカニズムであって、
(a)前記圧電スタックを前記レバーに取り付けるために、前記圧電スタックの一端にボールソケットジョイントが配置され、前記ボールソケットジョイントは、ヘルツ応力及び摩耗を軽減するために、ゴシックアーチ型の幾何学形状として構成される、
(b)前記通電メカニズムの材料の熱膨張係数(CTE)及び各材料の長さは、温度に伴う位置の変動を最小限に抑えるように選択される、
(c)前記圧電スタックと前記圧電スタックを内包するアクチュエータケースとの間に第1のたわみ部が配置され、前記圧電スタックと前記レバーとの間に第2のたわみ部が配置され、前記第2のたわみ部は、ブレード状のたわみ部であり、直接的金属レーザ焼結(DMLS)又はその他のラピッドプロトタイピング技術を使用して制作される、
(d)機能していないアクチュエータを検出するための閉ループフィードバック制御を可能にするために、位置センサが前記アクチュエータに組み込まれる、又は
(e)1つ若しくは2つの自由度を提供するために、1つ若しくは2つの独立したアクチュエータが使用され、前記自由度は、2つの傾斜方向及び1つの直線的な軸方向から選択される、通電メカニズム。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B