(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20230411BHJP
B60J 1/20 20060101ALI20230411BHJP
B60S 1/02 20060101ALI20230411BHJP
H05B 3/84 20060101ALI20230411BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20230411BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20230411BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B60J1/00 B
B60J1/20 C
B60S1/02 400Z
B60S1/02 300
H05B3/84
H05B3/20 355
H01Q1/32 A
H01Q1/22 C
(21)【出願番号】P 2019530981
(86)(22)【出願日】2018-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2018026044
(87)【国際公開番号】W WO2019017246
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2017139320
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴文
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛資
(72)【発明者】
【氏名】小島 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】森本 星治
(72)【発明者】
【氏名】岡部 真和
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-154498(JP,A)
【文献】特開2004-040144(JP,A)
【文献】特開2003-249806(JP,A)
【文献】実開平03-051634(JP,U)
【文献】特表2007-510610(JP,A)
【文献】特開2007-295536(JP,A)
【文献】特開2011-101190(JP,A)
【文献】特開2017-073751(JP,A)
【文献】特開2018-135020(JP,A)
【文献】特開2010-268358(JP,A)
【文献】特開2008-067300(JP,A)
【文献】特開平10-112375(JP,A)
【文献】特表2007-537927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
B60S 1/02
H05B 3/84
H05B 3/20
H01Q 1/32
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓用のガラス板と、前記ガラス板に設けられるデフォッガと、前記ガラス板に設けられるアンテナとを備え、
前記デフォッガは、前記ガラス板の上下方向に
沿うように設けられた一対のバスバーと、前記一対のバスバーの間に接続され且つ前記ガラス板の左右方向に
沿うように設けられた複数の第1の熱線によって形成された第1の防曇領域と、前記一対のバスバー
に接続され又は前記第1の防曇領域
から延び出て且つ前記上下方向の片側方向に延び出る少なくとも一本の第2の熱線によって、配線禁止領域を囲むように形成された第2の防曇領域とを有し、
前記アンテナは、前記第2の防曇領域よりも左方の領域と前記第2の防曇領域よりも右方の領域との少なくとも一方の領域に設けられ、前記第1の熱線と前記第2の熱線との間に位置する、車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記第2の熱線は、前記配線禁止領域に沿って配線される部分を有する、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記第2の熱線は、前記第1の熱線よりも太い部分を有する、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記第2の熱線と前記第1の熱線とは、前記一対のバスバー間で互いに同じ抵抗値を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記第2の熱線は、前記第2の防曇領域が台形状になるように配線されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記アンテナは、前記ガラス板の前記片側方向の縁と、前記第2の熱線との間に位置する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記第2の熱線は、前記配線禁止領域の左縁に沿った部分、前記配線禁止領域の下縁に沿った部分、および前記配線禁止領域の右縁に沿った部分に配線され、
前記第2の熱線の前記配線禁止領域の左縁に沿った部分および前記配線禁止領域の右縁に沿った部分は、前記第2の防曇領域の上辺を形成する線状部分から延伸する、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記配線禁止領域は、前記車両に搭載されたカメラの撮像範囲又は前記車両に搭載されたランプの照射範囲である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記第2の熱線は、一筆書きで形成された、請求項1から
8のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
車両の窓用のガラス板と、前記ガラス板に設けられるデフォッガと、前記ガラス板に設けられるアンテナとを備え、
前記デフォッガは、前記ガラス板の上下方向に
沿うように設けられた一対のバスバーと、前記一対のバスバーの間に接続され且つ前記ガラス板の左右方向に
沿うように設けられた複数の第1の熱線によって形成された第1の防曇領域と、前記一対のバスバー
に接続され又は前記第1の防曇領域
から延び出て且つ前記上下方向の片側方向に延び出る少なくとも一本の第2の熱線によって、配線禁止領域を囲むように形成された第2の防曇領域とを有し、
前記アンテナは、前記第2の防曇領域よりも左方の領域と前記第2の防曇領域よりも右方の領域との少なくとも一方の領域に設けられ、
前記第2の熱線は、前記配線禁止領域の左縁に沿った部分および前記配線禁止領域の右縁に沿った部分に配線され、
前記アンテナは、
前記配線禁止領域の左側に沿った部分と接続し、前記第1の防曇領域の端部より手前の位置まで前記第1の防曇領域の上下方向に延伸する第1のアンテナエレメントと、
前記配線禁止領域の右側に沿った部分と接続し、前記第1の防曇領域の端部より手前の位置まで前記第1の防曇領域の上下方向に延伸する第2のアンテナエレメントと、を有する、車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記第1の防曇領域において、前記一対のバスバー間の距離をL、前記一対のバスバーのうち左バスバーと前記第1のアンテナエレメントとの間の距離をL1、前記第1のアンテナエレメントと前記第2のアンテナエレメントとの間の距離をL2、前記第2のアンテナエレメントと前記一対のバスバーのうち右バスバーとの距離をL3とするとき、
0.20×L≦L1≦0.40×L、
0.20×L≦L2≦0.40×L、
0.20×L≦L3≦0.40×L、
の関係を満たす、請求項
10に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記アンテナは、少なくともFM放送の周波数帯の電波を少なくとも受信可能である、請求項1から
11のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のリヤガラスに形成されたアンテナとデフォッガの熱線とが、車載カメラの撮像範囲内に入らないように、当該車載カメラを設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の撮像範囲のような配線禁止領域の曇りを除去するために熱線を配線しようとすると、アンテナが邪魔になって熱線を配置できない場合がある。逆に、熱線が邪魔になってアンテナを配置できない場合がある。
【0005】
そこで、本開示では、配線禁止領域の防曇とアンテナの配置領域の確保とを両立させた車両用窓ガラスが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様では、
車両の窓用のガラス板と、前記ガラス板に設けられるデフォッガと、前記ガラス板に設けられるアンテナとを備え、
前記デフォッガは、前記ガラス板の上下方向に沿うように設けられた一対のバスバーと、前記一対のバスバーの間に接続され且つ前記ガラス板の左右方向に沿うように設けられた複数の第1の熱線によって形成された第1の防曇領域と、前記一対のバスバーに接続され又は前記第1の防曇領域から延び出て且つ前記上下方向の片側方向に延び出る少なくとも一本の第2の熱線によって、配線禁止領域を囲むように形成された第2の防曇領域とを有し、
前記アンテナは、前記第2の防曇領域よりも左方の領域と前記第2の防曇領域よりも右方の領域との少なくとも一方の領域に設けられ、前記第1の熱線と前記第2の熱線との間に位置する、車両用窓ガラスが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、配線禁止領域の防曇とアンテナの配置領域の確保とを両立させた車両用窓ガラスの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両用窓ガラスの第1の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【
図2】車両用窓ガラスの第2の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【
図3】車両用窓ガラスの第3の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【
図4】車両用窓ガラスの第4の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【
図5】車両用窓ガラスの第5の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【
図6】車両用窓ガラスの第6の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【
図7】車両用窓ガラスの第7の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【
図8】車両用窓ガラスの第8の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、各形態において、平行、直角、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、アンテナエレメントの角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。また、各平面図は、車両の窓用のガラス板(以下、「窓ガラス」とも称する)のガラス面を対向して見たときの図であり、車両に取り付けられた窓ガラスを車内側からの視点(車内視)で示す。また、窓ガラスが車両の前部に取り付けられるフロントガラス又は車両の後部に取り付けられるリヤガラスである場合、各平面図の上下方向は、車両の上下方向に対応し、各平面図の左右方向は、車両の車幅方向に相当する。また、窓ガラスは、フロントガラス又はリヤガラスに限定されず、例えば、車両の側部に取り付けられるサイドガラスなどでもよい。また、各平面図において、X軸に平行な方向(X軸方向)、Y軸に平行な方向(Y軸方向)、Z軸に平行な方向(Z軸方向)は、それぞれ、ガラス板の左右方向、ガラス板の上下方向、ガラス板の表面に直角な方向(法線方向とも称する)を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。
【0010】
図1は、車両用窓ガラスの第1の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図1に示される車両用窓ガラス101は、車両の後部に取り付けられるリヤガラスの一例である。車両用窓ガラス101は、車両の窓用のガラス板12と、ガラス板12に設けられるデフォッガ19と、ガラス板12の左側領域に設けられる左リヤアンテナ31と、ガラス板12の右側領域に設けられる右リヤアンテナ32とを備える。
【0011】
ガラス板12は、車両の窓用のガラス板の一例である。ガラス板12の外形形状は、略四角形である。上縁12aは、ガラス板12の上側のガラス縁を表し、下縁12dは、ガラス板12の下側(上縁12a側とは反対側)のガラス縁を表す。左縁12bは、ガラス板12の左側のガラス縁を表し、右縁12cは、ガラス板12の右側(左縁12b側とは反対側)のガラス縁を表す。左縁12bは、上縁12a及び下縁12dの左側に隣接するガラス縁であり、右縁12cは、上縁12a及び下縁12dの右側に隣接するガラス縁である。
【0012】
ガラス板12は、一対の側縁(side edge)を有する。左縁12bは、当該一対の側縁のうちの一方の第1の側縁の一例であり、右縁12cは、当該一対の側縁のうちの他方の第2の側縁の一例である。上縁12a及び左縁12bの接続部は、曲率を有して接続されているが、曲率を有さずに接続されてもよい。その他の縁同士の接続部の形状も同様である。
【0013】
デフォッガ19は、ガラス板12の曇りを除去する通電加熱式の導体パターンである。デフォッガ19は、ガラス板12の左右方向に延在する複数の熱線と、当該複数の熱線に給電する複数のバスバーとを有する。本実施形態では、互いに並走するようにガラス板12の左右方向に延在する11本の熱線1~11と、11本の熱線1~11に接続された一対のバスバー24a,24bとが、ガラス板12に設けられている。一対のバスバー24a,24bの間に電圧が印加されることによって、11本の熱線1~11が通電して発熱するので、ガラス板12の曇りが除去される。
【0014】
11本の熱線1~11は、左バスバー24aと右バスバー24bとの間に接続された導体パターンである。左バスバー24aは、第1のバスバーの一例であり、左縁12bに沿ってガラス板12の上下方向に延在する導体パターンである。右バスバー24bは、第2のバスバーの一例であり、右縁12cに沿ってガラス板12の上下方向に延在する導体パターンである。
【0015】
本実施形態では、一対のバスバー24a,24bは、3組の一対の部分バスバーを含むように形成されている。熱線1,2は、第1組の一対の部分バスバー14a,14bに接続され、熱線3~9は、第2組の一対の部分バスバー15a,15bに接続され、熱線10,11は、第3組の一対の部分バスバー16a,16bに接続されている。
【0016】
熱線1,2は、第1の左部分バスバー14aと第1の右部分バスバー14bとの間に接続された導体パターンである。熱線3~9は、第2の左部分バスバー15aと第2の右部分バスバー15bとの間に接続された導体パターンである。熱線10,11は、第3の左部分バスバー16aと第3の右部分バスバー16bとの間に接続された導体パターンである。
【0017】
第1の左部分バスバー14aと第2の左部分バスバー15aと第3の左部分バスバー16aとのそれぞれの下端部は、互いに接続されている。当該下端部は、不図示の電源の一方の電極側(例えば、正極側に)接続される左バスバー給電部13aである。第1の右部分バスバー14bと第2の右部分バスバー15bと第3の右部分バスバー16bとのそれぞれの下端部は、互いに接続されている。当該下端部は、不図示の電源の他方の電極側(例えば、負極側に)接続される右バスバー給電部13bである。
【0018】
デフォッガ19は、第1の防曇領域25と、ガラス板12の中央部からガラス板12の上縁12a側の方向に突出するように形成された第2の防曇領域17とを有する。
【0019】
本実施形態では、第1の防曇領域25は、9本の熱線3~11によって形成されており、第1の防曇領域25の上縁は、複数の熱線3~11のうち最も上位の熱線3であり、第1の防曇領域25の下縁は、複数の熱線3~11のうち最も下位の熱線11である。熱線3~11は、それぞれ、第1の熱線の一例である。
【0020】
また、本実施形態では、第2の防曇領域17は、2本の熱線1,2によって形成されており、第2の防曇領域17の上縁は、複数の熱線1,2のうち最も上位の熱線1であり、第2の防曇領域17の下縁は、複数の熱線1,2のうち最も下位の熱線2である。熱線1,2は、それぞれ、第2の熱線の一例である。熱線1,2は、一対のバスバー24a,24bに接続され且つガラス板12の上下方向の片側方向に延び出ており、より具体的には、一対の部分バスバー14a,14bに接続され、且つ、ガラス板12の中央部から上縁12a側の方向に延び出る。
【0021】
左リヤアンテナ31は、第1の防曇領域25よりも上方且つ第2の防曇領域17よりも左方に形成された左上領域21に設けられている。右リヤアンテナ32は、第1の防曇領域25よりも上方且つ第2の防曇領域17よりも右方に形成された右上領域22に設けられている。
【0022】
左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32とによって、ダイバーシティアンテナを構成することが可能である。なお、所望のアンテナ利得が得られる場合には、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32とのうちいずれか一方のみが、ガラス板12に設けられてもよい。
【0023】
左リヤアンテナ31は、第1のアンテナの一例であり、ガラス板12の左上領域21に配置されている。左リヤアンテナ31は、一対の給電部及び複数のアンテナ導体を有するガラスアンテナの一例であり、ガラス板12に平面的に設けられた導体パターンである。
【0024】
左リヤアンテナ31の形状は、周波数が30MHz~300MHzのVHF(Very High Frequency)帯、周波数が300MHz~3GHzのUHF(Ultra High Frequency)帯の電波の送受に適している。UHF帯の電波には、470MHz~720MHzの地上デジタルテレビ放送波などが含まれる。左リヤアンテナ31は、VHF帯、UHF帯の周波数帯域内で共振する。
【0025】
一方、右リヤアンテナ32は、第2のアンテナの一例であり、ガラス板12の右上領域22に配置されている。右リヤアンテナ32は、一対の給電部及び複数のアンテナ導体を有するガラスアンテナの一例であり、ガラス板12に平面的に設けられた導体パターンである。
【0026】
右リヤアンテナ32の形状は、周波数が30MHz~300MHzのVHF(Very High Frequency)帯、周波数が300MHz~3GHzのUHF(Ultra High Frequency)帯の電波の送受に適している。UHF帯の電波には、470MHz~720MHzの地上デジタルテレビ放送波などが含まれる。右リヤアンテナ32は、VHF帯、UHF帯の周波数帯域内で共振する。
【0027】
図示のように、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32とは、互いに同一(略同一を含む)の形状を有し、ガラス板12の上下方向に延びる対称軸に関して、対称(略対称を含む)に形成されてもよい。なお、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32との形状は、図示の形状に限られない。
【0028】
第2の防曇領域17は、車両に搭載されたカメラ20の撮像範囲18を囲むように熱線1,2によって形成されている。
【0029】
カメラ20は、ガラス板12に対して車内側に搭載されており、ガラス板12を通して車両の外部(本実施形態では、車両の後方)を撮像する機器である。例えば、カメラ20によって撮像された映像が車室内のディスプレイに表示されることにより、車両の運転者が車両の周囲の状況を視認することを支援することができる。
【0030】
撮像範囲18は、ガラス板12における範囲であって、且つ、カメラ20によって撮像される範囲を表す。撮像範囲18内に存在する物は、ディスプレイに表示可能である。撮像範囲18は、配線禁止領域の一例であり、具体的には、熱線及びアンテナの配線が禁止されている。
【0031】
熱線1,2は、撮像範囲18を囲むように配置されているので、カメラ20によって撮像された映像に熱線1,2が映り込むことを防止することができる。また、一対のバスバー24a,24bの間に電圧が印加されることによって、熱線1,2が通電して発熱するので、撮像範囲18の外側から撮像範囲18に熱が伝わって撮像範囲18の曇りを除去することができる。また、熱線1,2は、左上領域21及び右上領域22が形成されるように上縁12a側の方向に延び出ているので、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32の配置領域を容易に確保することができる。したがって、本実施形態における車両用窓ガラス101によれば、撮像範囲18の防曇と、左リヤアンテナ31及び右リヤアンテナ32の配置領域の確保とを両立させることができる。
【0032】
熱線1は、線条部分1a~1mによって一筆書きで形成された一本の線条である。熱線1は、左バスバー24aの第1の左部分バスバー14aに接続された左端部と、右バスバー24bの第1の右部分バスバー14bに接続された右端部とを有する。
【0033】
線条部分1aは、左バスバー24aの第1の左部分バスバー14aから右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1bは、線条部分1aの右端部から右上端部まで右上方向へ延伸する。線条部分1cは、線条部分1bの右上端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1dは、線条部分1cの右端部から左下端部まで左下方向へ延伸する。線条部分1eは、線条部分1dの左下端部から左端部まで左方向へ延伸する。線条部分1fは、線条部分1eの左端部から左下端部まで左下方向へ延伸する。線条部分1gは、線条部分1fの左下端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1hは、線条部分1gの右端部から左上端部まで左上方向へ延伸する。線条部分1iは、線条部分1hの左上端部から左端部まで左方向へ延伸する。線条部分1jは、線条部分1iの左端部から左上端部まで左上方向へ延伸する。線条部分1kは、線条部分1jの左上端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1lは、線条部分1kの右端部から右下端部まで右下方向へ延伸する。線条部分1mは、線条部分1lの右下端部から右バスバー24bの第1の右部分バスバー14bまで右方向へ延伸する。
【0034】
熱線2は、線条部分2a~2iによって一筆書きで形成された一本の線条である。熱線2は、左バスバー24aの第1の左部分バスバー14aに接続された左端部と、右バスバー24bの第1の右部分バスバー14bに接続された右端部とを有する。
【0035】
線条部分2aは、左バスバー24aの第1の左部分バスバー14aから右端部まで右方向へ延伸する。線条部分2bは、線条部分2aの右端部から上端部まで上方向へ延伸する。線条部分2cは、線条部分2bの上端部から左端部まで左方向へ延伸する。線条部分2dは、線条部分2cの左端部から右上端部まで右上方向へ延伸する。線条部分2eは、線条部分2dの右上端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分2fは、線条部分2eの右端部から右下端部まで右下方向へ延伸する。線条部分2gは、線条部分2fの右下端部から左端部まで左方向へ延伸する。線条部分2hは、線条部分2gの左端部から下端部まで下方向へ延伸する。線条部分2iは、線条部分2hの下端部から右バスバー24bの第1の右部分バスバー14bまで右方向へ延伸する。
【0036】
熱線1は、撮像範囲18の左縁に沿って配線される線条部分1dを有し、撮像範囲18の下縁に沿って配線される線条部分1gを有し、撮像範囲18の右縁に沿って配線される線条部分1jとを有する。このように、熱線1は、撮像範囲18に沿って配線される部分を有するので、撮像範囲18の曇りを速やかに除去することができる。撮像範囲18の曇りを速やかに除去する点で、熱線1は、撮像範囲18に沿って平行に配線される部分を有することが特に好ましい。
【0037】
本実施形態では、隠蔽膜23の膜縁は、撮像範囲18内に入らないように撮像範囲18の上縁に沿っている。これにより、カメラ20によって撮像された映像に隠蔽膜23が映り込むことを防止することができる。隠蔽膜23の具体例として、黒色セラミックス膜等のセラミックスが挙げられる。窓ガラスを車外側から見ると、隠蔽膜23と重なる部分が車外から見えなくなり、デザインの優れた窓ガラスが得られる。
【0038】
熱線1の左端部から熱線1の右端部までの熱線1の線長と、熱線2の左端部から熱線2の右端部までの熱線2の線長とは、互いに同じであることが好ましい。これにより、熱線1と熱線2とにそれぞれ流れる電流の電流値を同じ値に近づけることができるので、熱線1と熱線2の発熱温度を同じ値に近づけることができる。よって、曇りが除去される速度を、熱線1と熱線2とで近づけることができ、熱線1の周りと熱線2の周りとで曇りの除去にむらができ難くすることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、熱線1の左端部とは、左バスバー24aと線条部分1aとの接続点であり、熱線1の右端部とは、右バスバー24bと線条部分1mとの接続点である。また、熱線2の左端部とは、左バスバー24aと線条部分2aとの接続点であり、熱線2の右端部とは、右バスバー24bと線条部分2iとの接続点である。
【0040】
また、熱線1,2は、第2の防曇領域17が台形状になるように配線されている。台形状の第2の防曇領域17は、上辺と、上辺よりも長い下辺とを有する。上縁12a側に延び出る熱線1,2のうち、上縁12a側に近い方の熱線1が第2の防曇領域17の上辺を線条部分1c,1kによって形成し、上縁12a側に遠い方の熱線2が第2の防曇領域17の下辺を線条部分2c,2gによって形成している。したがって、熱線1と熱線2とが互いに同じ線長に近づくように配線することが容易になる。
【0041】
また、熱線1の左端部から熱線1の右端部までの熱線1の抵抗値と、熱線2の左端部から熱線2の右端部までの熱線2の抵抗値とは、互いに同じであることが好ましい。これにより、熱線1と熱線2とには、同じ電流値の電流が流れるため、熱線1と熱線2の発熱温度が同じになる。よって、曇りが除去される速度が、熱線1と熱線2とで同じになり、熱線1の周りと熱線2の周りとで曇りの除去にむらができることを防ぐことができる。
【0042】
また、熱線1,2は、見栄えや視界が悪くならない程度に、熱線3~11よりも太い部分を有することが好ましい。例えば、熱線1と熱線2との少なくも一方は、熱線3~11のうちの少なくともいずれか一本の熱線よりも太い部分を有する。このような線幅が太い部分を設けることにより、熱線1,2の線長が熱線3~11の線長に比べて長くても、熱線1,2の抵抗値と熱線3~11の抵抗値とを同じ値に近づけることができる。よって、曇りが除去される速度を、第1の防曇領域25と第2の防曇領域17とで近づけることができ、曇りの除去にむらができ難くすることができる。
【0043】
また、熱線1,2と熱線3~11とは、一対のバスバー24a,24b間で互いに同じ抵抗値であることが好ましい。よって、曇りが除去される速度を、第1の防曇領域25と第2の防曇領域17とで同じにすることができ、曇りの除去にむらができることを防ぐことができる。
【0044】
左リヤアンテナ31は、ガラス板12の上縁12aと熱線1の線条部分1aと間、且つ、ガラス板12の左縁12bと熱線1の線条部分1bとの間に形成された左上領域21に位置する。右リヤアンテナ32は、ガラス板12の上縁12aと熱線1の線条部分1mと間、且つ、ガラス板12の右縁12cと熱線1の線条部分1lとの間に形成された右上領域22に位置する。これにより、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32のそれぞれの配置領域を確保することができる。
【0045】
図2は、車両用窓ガラスの第2の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図2に示される車両用窓ガラス102は、
図1の構成に対して、線条部分1b、1f、1h、1l、2d、2fの延伸方向が上下方向である点で異なる。また、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32との形状は、
図1の形状と異なるが、VHF帯、UHF帯の電波の送受に適している。また、一対のバスバー24a,24bの形状が、
図1の形状と異なる。
図1と同様の構成についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0046】
熱線1,2は、第2の防曇領域17が長方形になるように配線されている。熱線1,2は、撮像範囲18を囲むように配置されている。また、熱線1,2は、左上領域21及び右上領域22が形成されるように上縁12a側の方向に延び出ている。したがって、本実施形態における車両用窓ガラス102によれば、撮像範囲18の防曇と、左リヤアンテナ31及び右リヤアンテナ32の配置領域の確保とを両立させることができる。
【0047】
図3は、車両用窓ガラスの第3の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図3に示される車両用窓ガラス103は、上図の構成に対して、熱線1~4の形状が異なる。上図と同様の構成についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0048】
熱線1は、線条部分1a~1tによって形成された線条である。線条部分1n,1sは、互いに平行に配置され、線条部分1bから右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1n,1sの右端部は、撮像範囲18の左縁に沿って左下端部まで左下方向へ延伸する線条部分1oに接続される。線条部分1pは、撮像範囲18の下縁に沿って、線条部分1oの左下端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1qは、撮像範囲18の右縁に沿って、線条部分1qの右端部から左上端部まで左上方向へ延伸する。線条部分1r,1tは、互いに平行に配置され、線条部分1qから右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1r,1tの右端部は、線条部分1lに接続される。
【0049】
熱線2は、線条部分2a~2nによって形成された線条である。線条部分2jは、線条部分2aの右端部から上端部まで上方向に延伸する。線条部分2k,2lは、互いに平行に配置され、線条部分2jから右端部まで右方向へ延伸する。線条部分2k,2lは、上下方向に延在する線条部分2mに接続される。線条部分2nは、線条部分2mの下端部から右バスバー24bまで右方向へ延伸する。
【0050】
熱線3は、線条部分3a~3fによって形成された線条である。線条部分3aは、左バスバー24aから線条部分3bまで右方向に延伸する。線条部分3bは、上下方向に延在する。線条部分3c,3dは、互いに平行に配置され、線条部分3bから線条部分3eまで右方向に延伸する。線条部分3eは、上下方向に延在する。線条部分3fは、線条部分3eの下端部から右バスバー24bまで右方向へ延伸する。
【0051】
熱線4は、線条部分4a~4dによって形成された線条である。線条部分4aは、左バスバー24aから右バスバー24bまで右方向に延伸する。線条部分4bは、線条部分4aの中間部から上端部まで上方向へ延伸する。線条部分4cは、線条部分4bの上端部から右端部へ右方向へ延伸する。線条部分4dは、線条部分4cの右端部から線条部分4aまで下方向へ延伸する。
【0052】
熱線1,2は、第2の防曇領域17が長方形になるように配線されている。熱線1,2は、撮像範囲18を囲むように配置されている。また、熱線1,2は、左上領域21及び右上領域22が形成されるように上縁12a側の方向に延び出ている。したがって、本実施形態における車両用窓ガラス103によれば、撮像範囲18の防曇と、左リヤアンテナ31及び右リヤアンテナ32の配置領域の確保とを両立させることができる。
【0053】
図4は、車両用窓ガラスの第4の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図4に示される車両用窓ガラス104は、上図の構成に対して、熱線1,2の形状が異なる。上図と同様の構成についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0054】
熱線1は、線条部分1a~1wによって形成された線条である。線条部分1n,1sは、互いに平行に配置され、線条部分1bから右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1nの右端部は、撮像範囲18の左縁に沿って左下端部まで左下方向へ延伸する線条部分1oに接続される。線条部分1sの右端部は、撮像範囲18の左縁に沿って左下端部まで左下方向へ延伸する線条部分1uに接続される。線条部分1vは、撮像範囲18の下縁に沿って、線条部分1uの左下端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分1wは、撮像範囲18の右縁に沿って、線条部分1vの右端部から左上端部まで左上方向へ延伸する。線条部分1r,1tは、互いに平行に配置される。線条部分1rは、線条部分1qから線条部分1lまで右方向へ延伸する。線条部分1tは、線条部分1wから線条部分1lまで右方向へ延伸する。熱線2は、線条部分2k,2lがそれぞれ折れ曲がり部を有する。
【0055】
熱線1,2は、第2の防曇領域17が長方形になるように配線されている。熱線1,2は、撮像範囲18を囲むように配置されている。また、熱線1,2は、左上領域21及び右上領域22が形成されるように上縁12a側の方向に延び出ている。したがって、本実施形態における車両用窓ガラス104によれば、撮像範囲18の防曇と、左リヤアンテナ31及び右リヤアンテナ32の配置領域の確保とを両立させることができる。
【0056】
図5は、車両用窓ガラスの第5の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図5に示される車両用窓ガラス105は、上図の構成に対して、熱線1の形状が異なる。上図と同様の構成についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0057】
熱線1は、線条部分1a~1zによって形成された線状である。線条部分1x~1zは、互いに平行に配置されている。線条部分1x,1yは、線条部分1bから線条部分1lまで右方向へ延伸する。線条部分1zは、左バスバー24aから右バスバー24bまで右方向へ延伸する。
【0058】
熱線1,2は、第2の防曇領域17が長方形になるように配線されている。熱線1は、撮像範囲18を囲むように配置されている。また、熱線1は、左上領域21及び右上領域22が形成されるように上縁12a側の方向に延び出ている。したがって、本実施形態における車両用窓ガラス104によれば、撮像範囲18の防曇と、左リヤアンテナ31及び右リヤアンテナ32の配置領域の確保とを両立させることができる。
【0059】
図6は、車両用窓ガラスの第6の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図6に示される車両用窓ガラス106は、上図の構成に対して、第2の防曇領域の形状が異なる。
図6には、アンテナが図示されていないが、左上領域21に左リヤアンテナ31が設けられ、右上領域22に右リヤアンテナ32が設けられている。上図と同様の構成についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0060】
デフォッガ49は、ガラス板12の曇りを除去する通電加熱式の導体パターンである。デフォッガ49は、ガラス板12の左右方向に延在する複数の熱線と、当該複数の熱線に給電する複数のバスバーとを有する。本実施形態では、互いに並走するようにガラス板12の左右方向に延在する15本の熱線51~65と、15本の熱線51~65に接続された一対のバスバー44a,44bとが、ガラス板12に設けられている。一対のバスバー44a,44bの間に電圧が印加されることによって、15本の熱線51~65が通電して発熱するので、ガラス板12の曇りが除去される。
【0061】
デフォッガ49は、第1の防曇領域45と、ガラス板12の上縁12aからガラス板12の中央部側の方向に突出するように形成された第2の防曇領域47とを有する。
【0062】
本実施形態では、第1の防曇領域45は、15本の熱線51~65によって形成されている。第1の防曇領域45の上縁は、複数の熱線51~65のうち最も上位の熱線51であり、第1の防曇領域45の下縁は、複数の熱線51~65のうち最も下位の熱線65である。熱線51~65は、それぞれ、第1の熱線の一例である。
【0063】
また、本実施形態では、第2の防曇領域47は、1本の熱線50によって形成されている。熱線50は、第2の熱線の一例である。熱線50は、一対のバスバー44a,44bに接続され且つガラス板12の上下方向の片側方向に延び出ており、より具体的には、一対のバスバー44a,44bの各々の上端部から上縁12a側の方向に延び出る。
【0064】
第2の防曇領域47は、車両に搭載されたランプ26の照射範囲48を囲むように熱線50によって形成されている。
【0065】
ランプ26は、ガラス板12に対して車内側に搭載されており、ガラス板12を通して車両の外部(本実施形態では、車両の後方)に向けて光を照射する機器である。ランプ26は、例えば、ハイマウントストップランプである。ランプ26が光を照射することにより、自車両がブレーキ操作されたことを後続車両の運転者に知らせることができる。
【0066】
照射範囲48は、ガラス板12における範囲であって、且つ、ランプ26によって光が照射される範囲を表す。照射範囲48は、配線禁止領域の一例であり、具体的には、熱線及びアンテナの配線が禁止されている。
【0067】
熱線50は、照射範囲48を囲むように配置されているので、ランプ26によって照射された光が熱線50に遮られることを防止することができる。また、一対のバスバー44a,44bの間に電圧が印加されることによって、熱線50が通電して発熱するので、照射範囲48の外側から照射範囲48に熱が伝わって照射範囲48の曇りを除去することができる。また、熱線50は、左上領域21及び右上領域22が形成されるように上縁12a側の方向に延び出ているので、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32の配置領域を容易に確保することができる。したがって、本実施形態における車両用窓ガラス106によれば、照射範囲48の防曇と、左リヤアンテナ31及び右リヤアンテナ32の配置領域の確保とを両立させることができる。
【0068】
熱線50は、線条部分50a~50oによって一筆書きで形成された一本の線条である。熱線50は、左バスバー44aの上端部に接続された左端部と、右バスバー44bの上端部に接続された右端部とを有する。
【0069】
線条部分50aは、左バスバー44aから上端部まで上方向へ延伸する。線条部分50bは、線条部分50aの上端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分50cは、線条部分50bの右端部から右下端部まで右下方向へ延伸する。線条部分50dは、線条部分50cの右下端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分50eは、線条部分50ddの右端部から上端部まで上方向へ延伸する。線条部分50fは、線条部分50eの上端部から左端部まで左方向へ延伸する。線条部分50gは、線条部分50fの左端部から上端部まで上方向へ延伸する。線条部分50hは、線条部分50gの上端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分50iは、線条部分50hの右端部から下端部まで下方向へ延伸する。線条部分50jは、線条部分50iの下端部から左端部まで左方向へ延伸する。線条部分50kは、線条部分50jの左端部から下端部まで下方向へ延伸する。線条部分50lは、線条部分50kの下端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分50mは、線条部分50lの右端部から右上端部まで右上方向へ延伸する。線条部分50nは、線条部分50mの右上端部から右端部まで右方向へ延伸する。線条部分50oは、線条部分50nの右端部から右バスバー44bまで下方向へ延伸する。
【0070】
熱線50は、照射範囲48の左縁に沿って配線される線条部分50gを有し、照射範囲48の下縁に沿って配線される線条部分50f,50jを有し、照射範囲48の右縁に沿って配線される線条部分50iとを有する。また、熱線50は、照射範囲48の上縁に沿って配線される線条部分50hを有する。このように、熱線50は、照射範囲48に沿って配線される部分を有するので、照射範囲48の曇りを速やかに除去することができる。照射範囲48の曇りを速やかに除去する点で、熱線50は、照射範囲48に沿って平行に配線される部分を有することが特に好ましい。
【0071】
左リヤアンテナ31は、熱線51と熱線50の線条部分50bと間、且つ、熱線50の線条部分50aと熱線50の線条部分50cとの間に形成された左上領域21に位置する。右リヤアンテナ32は、熱線51と熱線50の線条部分50nと間、且つ、熱線50の線条部分50oと熱線50の線条部分50mとの間に形成された右上領域22に位置する。これにより、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32のそれぞれの配置領域を確保することができる。
【0072】
図7は、車両用窓ガラスの第7の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図7に示される車両用窓ガラス107は、
図6の構成に対して、第2の防曇領域の形状が異なる。上図と同様の構成についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0073】
熱線50は、照射範囲48の左縁に沿って配線される線条部分50gを有し、照射範囲48の下縁に沿って配線される線条部分50hを有し、照射範囲48の右縁に沿って配線される線条部分50iとを有する。また、熱線50は、照射範囲48の上縁に沿って配線される線条部分50f,50jを有する。このように、熱線50は、照射範囲48に沿って配線される部分を有するので、照射範囲48の曇りを速やかに除去することができる。照射範囲48の曇りを速やかに除去する点で、熱線50は、照射範囲48に沿って平行に配線される部分を有することが特に好ましい。
【0074】
図8は、車両用窓ガラスの第8の構成例を車内側からの視点で示す平面図である。
図8に示される車両用窓ガラス108は、
図1のような構成に対して、第1の防曇領域および第2の防曇領域にわたって、第1のアンテナエレメント71および第2のアンテナエレメント72を有する。なお、上図と同様の構成についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0075】
本実施形態では、一対のバスバー24a,24bは、2組の一対の部分バスバーを含むように形成されている。熱線81~87は、第1組の一対の部分バスバー14a,14bに接続され、熱線88~96は、第2組の一対の部分バスバー15a,15bに接続されている。第1の左部分バスバー14aと第2の左部分バスバー15aとのそれぞれの下端部は、互いに接続されている。当該下端部は、不図示の電源の一方の電極側(例えば、正極側に)接続される左バスバー給電部13aである。第1の右部分バスバー14bと第2の右部分バスバー15bとのそれぞれの下端部は、互いに接続されている。当該下端部は、不図示の電源の他方の電極側(例えば、負極側に)接続される右バスバー給電部13bである。
【0076】
本実施形態では、第1の防曇領域25は、15本の熱線82~96によって形成されており、第2の防曇領域17は、熱線81によって形成されている。つまり、第2の防曇領域17の上縁は、線条部分1cおよび1kに相当し、第2の防曇領域17の下縁は、線条部分1a、1gおよび1mに相当する。そして、第2の防曇領域17は、熱線81によって囲まれるように、車両に搭載されたカメラ20の撮像範囲18を有する。具体的には、熱線81のうち、撮像範囲18(配線禁止領域)の左側に沿った部分は線条部分1dに相当し、右側に沿った部分は線条部分1jに相当する。なお、
図8に示すように、隠蔽膜23の膜縁は、熱線81~96と交差するように形成される第1のループ23aと、撮像範囲18を囲う第2のループ23bを有する。つまり、撮像範囲18には、隠蔽膜23が重なっていない。
図8の形態では、第2のループ23bは、撮像範囲18の外周に沿うように形成されている。
【0077】
また、車両用窓ガラス108は、例えば、
図8において一点鎖線で囲んだ左右の領域に、それぞれ、不図示の左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32とを備える。具体的なアンテナパターンは、車両用窓ガラス101~105に示すパターンをはじめ、所望の周波数帯の電波が送受可能となるように設計したパターン導体であればよい。このようなパターン導体を、適宜、一点鎖線で囲んだ左右の領域に配置できる。なお、一点鎖線で囲んだ左右の領域は、便宜的に示したものであり、例えば、該領域よりも上方にアンテナパターンを配置してもよい。とくに、左リヤアンテナ31と右リヤアンテナ32には、VHF帯およびUHF帯のうち少なくとも一方の電波の送受に適した導体パターンが設けられる。
【0078】
車両用窓ガラス108において、第1のアンテナエレメント71は、線条部分71a、71bおよび71cを有する。線条部分71aは、熱線81の線条部分1dと接続し、線条部分1dから左端部まで左方向へ延伸する。線条部分71aの右端部は、線条部分1dの線分のうち中心付近に接続されればよい。また、線条部分71bは、線条部分71aの左端部から左下端部まで左下方向へ延伸する。線条部分71cは、線条部分71bの左下端部から、略垂直方向(下方向)へ延伸する。
【0079】
また、
図8の車両用窓ガラス108において、第2のアンテナエレメント72は、線条部分72a、72bおよび72cを有する。線条部分72aは、熱線81の線条部分1jと接続し、線条部分1jから右端部まで右方向へ延伸する。線条部分72aの左端部は、線条部分1jの線分のうち中心付近に接続されればよい。また、線条部分72bは、線条部分72aの右端部から右下端部まで右下方向へ延伸する。線条部分72cは、線条部分72bの右下端部から、垂直方向(下方向)へ延伸する。このように、線条部分71aの右端部が線条部分1dの線分のうち中心付近に接続し、線条部分72aの左端部が線条部分1jの線分のうち中心付近に接続することで、デフォッガ19が全体的に同電位となるように縦線(線条部分71c、72c)を配置できる。
【0080】
このように、第1のアンテナエレメント71と第2のアンテナエレメント72を、それぞれ、熱線81の線条部分1d、1jと接続させることが好ましい。なぜなら、これらのアンテナエレメントを、第1の防曇領域25に対して延び出る第2の防曇領域17の最も遠い部分(この場合、線条部分1d、1j)に接続させることで、これらのエレメントの導体長を長く確保でき、アンテナ利得を向上できるからである。また、第1のアンテナエレメント71および第2のアンテナエレメント72は、本実施形態に限らず、車両用窓ガラス101、102の線条部分1d、1jと接続して延伸させてもよく、車両用窓ガラス103~105の線条部分1o、1qと接続して延伸させてもよい。
【0081】
なお、第1のアンテナエレメント71と第2のアンテナエレメント72は、ガラス板12を左右方向に二分するように上下方向に延在する不図示の中心線に対して対称性がある(線対称である)ことが好ましい。なぜなら、同電位となる位置を短絡させて、縦線(線条部分71c、72c)に電流が流れないようにすることが好ましいからである。また、
図8の車両用窓ガラス108の構成例において、線条部分71cおよび72cは、熱線82~93を略垂直方向に交差するように延伸し、線条部分71cおよび72cの下端部が、いずれも、熱線94と接続する。このように、線条部分71cおよび72cの下端部が熱線95,96と触れないようにするのは、熱線95,96が、他の熱線に比べて短いため、熱線の性能が劣るおそれがあるからである。つまり、線条部分71cおよび72cの下端部が熱線95,96と触れる配置パターンでは、所望のアンテナ性能は得られるものの、この場合、熱線94~96と、第1のアンテナエレメント71および第2のアンテナエレメント72に電流の経路ができる。その結果、熱線全体の電力密度が変化し、所望の電熱分布を実現できないおそれがあるからである。
【0082】
そのため、第1のアンテナエレメント71と第2のアンテナエレメント72は、それぞれ、線条部分71cおよび72cの下端部が、少なくとも熱線96に触れない位置、即ち、第1の防曇領域の端部より手前の位置まで延伸すればよい。このように、複数の熱線(本実施形態の場合、熱線82~93)を交差する、第1のアンテナエレメント71と第2のアンテナエレメント72を配置すると、熱線がVHF帯の周波数で共振し、VHF帯でのアンテナの利得を向上できる。このように、本実施形態のように、第1のアンテナエレメント71と第2のアンテナエレメント72を配置すると、熱線の電流密度の変化を抑制できるとともに、とくにVHF帯でのアンテナ性能を向上できる。
【0083】
次に、
図8の車両用窓ガラス108において、第1のアンテナエレメント71と第2のアンテナエレメント72のうち、線条部分71c、72cの位置関係について説明する。まず、左バスバー24aと右バスバー24bとの距離をL、左バスバー24aから線条部分71cまでの距離をL1、線条部分71cから線条部分72cまでの距離をL2、線条部分72cから右バスバー24bまでの距離をL3とする。このとき、
0.20×L≦L1≦0.40×L、
0.20×L≦L2≦0.40×L、
0.20×L≦L3≦0.40×L、
の関係を満たすとよい。
【0084】
このように、L1~L3が上記の範囲を満足すると、それぞれの長さが例えば、DAB(Digital Audio Broadcast)Band IIIの周波数帯(170~240MHz)のいずれかの周波数に対して、1/4波長となる。よって、DAB帯による共振が発生し、DAB帯およびFM放送の周波数帯(FM帯)でのアンテナ性能が向上する。このとき、左リヤアンテナ31および/または右リヤアンテナ32は、少なくともFM帯の電波を少なくとも受信可能な送受アンテナを有し、DAB帯の送受アンテナを有さない場合でも、FM帯のアンテナ性能の向上に寄与する。また、L1~L3は、
0.30×L≦L1≦0.36×L、
0.30×L≦L2≦0.36×L、
0.30×L≦L3≦0.36×L、
の関係を満たすとより好ましい。
【0085】
また、DAB Band IIIの周波数帯の中心の周波数の波長をλとし、ガラスの波長短縮率をα(例えば0.64)とするとき、L1~L3は、(1/4)×λ×α×0.7以上、(1/4)×λ×α×1.7以下、が好ましい。
【0086】
以上、車両用窓ガラスを実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0087】
例えば、導体(例えば、アンテナエレメント、熱線、バスバーなど)の「端部」は、導体の延伸の始点又は終点であってもよいし、その始点又は終点手前の導体部分である始点近傍又は終点近傍であってもよい。また、導体同士の接続部は、曲率を有して接続されていてもよい。
【0088】
また、バスバー、熱線、アンテナエレメント及び給電部は、例えば、導電性金属を含有するペースト(例えば、銀ペースト等)を窓ガラスの車内側表面にプリントして焼付けることによって形成される。しかし、バスバー、熱線、アンテナエレメント及び給電部の形成方法は、この方法に限定されない。例えば、バスバー、熱線、アンテナエレメント又は給電部は、銅等の導電性物質を含有する線状体又は箔状体を窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設けることによって形成されてもよい。あるいは、バスバー、熱線、アンテナエレメント又は給電部は、窓ガラスに接着剤等により貼付されてもよく、窓ガラス自体の内部に設けられてもよい。
【0089】
給電部の形状は、上記の導電性部材又はコネクタの実装面の形状に応じて決められるとよい。例えば、正方形、略正方形、長方形、略長方形などの方形状や多角形状が実装上好ましい。なお、円、略円、楕円、略楕円などの円状でもよい。
【0090】
また、バスバーと熱線とアンテナエレメントと給電部との少なくともいずれかを形成する導体層を合成樹脂製フィルムの内部又はその表面に設け、導体層付き合成樹脂製フィルムを窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設置する構成が採用されてもよい。さらに、アンテナエレメントが形成されたフレキシブル回路基板を窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設置する構成が採用されてもよい。
【0091】
また、窓ガラスの周縁のガラス面上に形成された隠蔽膜の上に、バスバー、熱線、給電部及びアンテナエレメントの一部分又は全体が配置されてもよい。
【0092】
また、例えば、第2の防曇領域は、一本の熱線によって形成されてもよく、ガラス板12の中央部からガラス板12の下縁12d側の方向に突出するように形成されてもよい。また、第2の熱線は、一対のバスバーから延び出るのではなく、第1の防曇領域から延び出てもよい。
【0093】
本国際出願は、2017年7月18日に出願した日本国特許出願第2017-139320号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2017-139320号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0094】
1~11,51~65,81~96 熱線
12 ガラス板
24a,44a 左バスバー
24b,44b 右バスバー
17,47 第2の防曇領域
18 撮像範囲
19,49 デフォッガ
20 カメラ
21 左上領域
22 右上領域
23 隠蔽膜
25,45 第1の防曇領域
26 ランプ
31 左リヤアンテナ
32 右リヤアンテナ
48 照射範囲
71 第1のアンテナエレメント
72 第2のアンテナエレメント
101~108 車両用窓ガラス