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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】SiCエピタキシャルウェハ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20230411BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20230411BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20230411BHJP
   C30B 25/20 20060101ALI20230411BHJP
   C23C 16/32 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/20
C30B29/36 A
C30B25/20
C23C16/32
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020188693
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077723
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2022-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100137017
【弁理士】
【氏名又は名称】眞島 竜一郎
(72)【発明者】
【氏名】石橋 直人
(72)【発明者】
【氏名】深田 啓介
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/211737(WO,A1)
【文献】特開2015-051895(JP,A)
【文献】特開平08-139048(JP,A)
【文献】特開2006-237319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/18-21/20
H01L 21/31
H01L 21/34-21/36
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/84-21/86
C23C 16/00-16/56
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiC単結晶基板と、
前記SiC単結晶基板上に、n型ドーピング濃度の平均値が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下で、かつ、ドーピング濃度の面内均一性が30%以下である高濃度層と、を備え、
前記高濃度層には窒素がドープされている、SiCエピタキシャルウェハ
ここで、前記面内均一性とは、(面内のドーピング濃度の最大値-面内のドーピング濃度の最小値)の絶対値/面内のドーピング濃度の平均値、である
【請求項2】
前記高濃度層がバッファ層であり、前記バッファ層上に、前記バッファ層のドーピング濃度の平均値よりも低いドーピング濃度の平均値を有するドリフト層を備える、請求項1に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項3】
前記面内均一性が20%以下である、請求項1または2のいずれかに記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項4】
前記面内均一性が10%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項5】
直径が150mm以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiCエピタキシャルウェハに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きく、熱伝導率が3倍程度高い。そのため、炭化珪素(SiC)は、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。
【0003】
SiCデバイスの実用化の促進には、高品質かつ低コストのSiCエピタキシャルウェハ、及びエピタキシャル成長技術の確立が求められている。
【0004】
SiCデバイスは、SiC基板と当該基板上に積層されたエピタキシャル層とを備えるSiCエピタキシャルウェハに形成される。SiC基板は、昇華再結晶法等で成長させたSiCのバルク単結晶から加工して得られる。エピタキシャル層は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)等によって作製され、デバイスの耐圧維持領域となる。
【0005】
エピタキシャル層は、より具体的には、(0001)面から<11-20>方向にオフ角を有する面を成長面とし、SiC基板上に形成される。エピタキシャル層は、SiC基板上にステップフロー成長(原子ステップからの横方向成長)し、4H-SiCとなる。
【0006】
SiCエピタキシャルウェハにおいて、SiCデバイスに致命的な欠陥を引き起こすデバイスキラー欠陥の一つとして、基底面転位(Basal plane dislocation:BPD)が知られている。たとえば、バイポーラデバイスに順方向に電流を流した際に、流れるキャリアの再結合エネルギーによって、SiC基板からエピタキシャル層に引き継がれた基底面転位の部分転位が移動、拡張し高抵抗な積層欠陥を形成する。そして、デバイス内に高抵抗部が生じると、デバイスの信頼性低下を引き起こす(順方向劣化)。そのため、エピタキシャル層に引き継がれる基底面転位の低減がこれまで行われてきた。
【0007】
SiC基板中における基底面転位の多くは、エピタキシャル層が形成される際に欠陥拡張が生じない貫通刃状転位(Threading edge dislocation:TED)に変換することができる(特許文献1)。
しかし、順方向に大電流を流した場合には、SiC基板とエピタキシャル層の界面で貫通刃状転位に変換された基底面転位もまた、エピタキシャル層中で積層欠陥(Stacking Fault:SF)に拡張することが近年明らかになってきた。そのため、今後の市場拡大が予想される大電流パワーデバイスは、基底面転位を貫通刃状転位に変換しただけでは積層欠陥の形成を十分に抑制できず、デバイスの信頼性悪化の懸念が常に付きまとう。
【0008】
特許文献2には、SiCエピタキシャルウェハ内に通常のエピタキシャル層とは別に、さらに不純物濃度の高いエピタキシャル層を形成することで、SiC単結晶基板とエピタキシャル層の界面での基底面転位から貫通刃状転位への変換効率を高めることが開示されている。基底面転位への変換効率を高めることで、基底面転位の伸長および拡張が抑制できる。基底面転位の伸長及び拡張は、デバイスの順方向劣化の原因である。そのため、高不純物濃度のエピタキシャル層の形成は、SiCエピタキシャルウェハを用いたSiCデバイスの順方向劣化を抑制する有力な解決策と考えられている。
【0009】
特許文献3には、低濃度層のドーピング濃度の面内均一性を良好にする製造方法が開示されている。しかしながら、高濃度層のドーピング濃度の面内均一性については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2009-88223号公報
【文献】国際公開第2017/094764号
【文献】特許第6386706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、SiC単結晶基板と通常のエピタキシャル層とそれらの間にn型の高ドーピング濃度のエピタキシャル層を備えたSiCエピタキシャルウェハの作製時において、n型の高ドーピング濃度のエピタキシャル層(高濃度層)のn型のドーピング濃度の面内均一性(ここで、本明細書において、ドーピング濃度の面内均一性とは、「ドーピング濃度の最大値-ドーピング濃度の最小値)の絶対値/ドーピング濃度の平均値」をいう。)が悪化するという課題を見い出し、鋭意検討の結果、かかる課題を解決する本発明に想到した。
【0012】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高濃度層のn型ドーピング濃度の面内均一性が高いSiCエピタキシャルウェハを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
【0014】
(1)本発明の一態様に係るSiCエピタキシャルウェハは、SiC単結晶基板と、前記SiC単結晶基板上に、ドーピング濃度の平均値が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下で、かつ、ドーピング濃度の面内均一性が30%以下である高濃度層と、を備える。
【0015】
(2)上記態様に係るSiCエピタキシャルウェハは、前記高濃度層がバッファ層であり、前記バッファ層上に、前記バッファ層のドーピング濃度の平均値よりも低いドーピング濃度の平均値を有するドリフト層を備えてもよい。
【0016】
(3)上記態様に係るSiCエピタキシャルウェハは、面内均一性が20%以下であってもよい。
【0017】
(4)上記態様に係るSiCエピタキシャルウェハは、面内均一性が10%以下であってもよい。
【0018】
(5)上記態様に係るSiCエピタキシャルウェハは、直径が150mm以上であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のSiCエピタキシャルウェハによれば、高濃度層のn型ドーピング濃度の面内均一性が高いSiCエピタキシャルウェハを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハを示す断面模式図である。
図2】本発明の他の実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハを示す断面模式図である。
図3】C系ガス供給、および、Si系ガス供給の面内分布を独立に制御できる構成の一例を示す断面模式図である。
図4】表1で示した、C/Si比を1.15としたときの3個のサンプルについて、投入窒素流量と得られたドーピング濃度(平均値)との関係を示すグラフである。
図5】ドーピング濃度の平均値と成長速度との関係を調べた結果である。
図6】(a)は、窒素(N)ドーピングのイメージ図であり、(a)に対して(b)はC/Siが低い場合のイメージ図であり、(c)はC/Siが高い場合のイメージ図であり、(d)はドープ流量が大きい場合のイメージ図である。
図7】検量線と成長速度低下量とから、実質的に不足したC系ガス投入量を見積もることを説明する概念図である。
図8】ドーピング濃度の平均値とドーピング濃度の面内均一性とC/Siとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には図中、同一符号を付してある場合がある。また、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすくするため便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。一つの実施形態で示した構成を他の実施形態に適用することもできる。
【0022】
(SiCエピタキシャルウェハ)
図1は、本発明の一実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハを示す断面模式図であり、図2は、他の実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハを示す断面模式図である。
【0023】
図1に示すSiCエピタキシャルウェハ100は、SiC単結晶基板10と、SiC単結晶基板10の主面10aに形成されたSiCエピタキシャル層20とを備える。
SiCエピタキシャルウェハ100が備えるSiCエピタキシャル層20は、ドーピング濃度の平均値が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下で、かつ、ドーピング濃度の面内均一性が30%以下である高濃度層21からなる。
【0024】
図2に示すSiCエピタキシャルウェハ200では、SiCエピタキシャル層20は、高濃度層21がバッファ層であり、バッファ層上に、バッファ層のドーピング濃度の平均値よりも低いドーピング濃度の平均値を有するドリフト層22を備える。
【0025】
<SiC単結晶基板>
SiC単結晶基板10としては、昇華法等で得られたSiCインゴットをスライスしたものを用いることができる。本明細書において、SiCエピタキシャルウェハはエピタキシャル層を形成後のウェハを意味し、SiC単結晶基板はエピタキシャル層を形成前のウェハを意味する。
【0026】
SiC単結晶基板10はサイズに限定はないが、100mmであることが好ましく、150mm以上であることがより好ましい。
【0027】
SiC単結晶基板10は、(0001)から<11-20>方向にオフセット角を有する面を成長面とするものを用いることができる。
【0028】
SiC単結晶基板10には、基底面転位が(0001)面(c面)に沿って存在する。SiC単結晶基板の成長面に露出している基底面転位の個数は、少ない方が好ましいが、特に限定するものではない。
【0029】
SiC単結晶基板10が、(0001)から<11-20>方向にオフセット角を有する面を成長面としている場合、基底面転位は成長面に対して傾いて存在する。
【0030】
SiC単結晶基板10は、例えば、窒素がドーピングされている。SiC単結晶基板10のドーピング濃度は特に限定はなく、パワー半導体用のSiC基板として通常のものとすることができる。
【0031】
<高濃度層>
高濃度層21は、n型ドーピング濃度の平均値が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下で、かつ、n型ドーピング濃度の面内均一性が30%以下である。高濃度層21のn型ドーピング濃度の面内均一性は20%以内であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。なお、n型ドーピング濃度の面内均一性は値が低い方がSiCエピタキシャルウェハの品質としてはよいが、歩留まりの観点で下限の一例として1%とすることができる。
【0032】
エピタキシャル層中のキャリアがSiC単結晶基板との界面の、SiC単結晶基板の基底面転位において、+のキャリア(ホール)と-のキャリア(電子)とが再結合し、エピタキシャル層で基底面転位が拡張する。高濃度にキャリアを有する高濃度層21は、エピタキシャル層中のキャリアがSiC単結晶基板に到達するのを抑制する。
【0033】
高濃度層21がバッファ層であり、その上にドリフト層22を備える場合、高濃度バッファ層21とドリフト層22とは、ドーピング濃度の違いにより明確に区別できる。
【0034】
発明者が、SiC単結晶基板上に高濃度のバッファ層とドリフト層を備えるSiCエピタキシャルウェハを作製したところ、高濃度のバッファ層のドーピング濃度の面内均一性が50%以上であった。
後述する製造方法を用いれば、ドーピング濃度の面内均一性が30%以下の高濃度層を製造することができる。
ドーピング濃度の面内均一性が悪いと、狙いの濃度よりも低くなる領域がウェハの面内に存在し、キャリアの再結合効果が小さくなるという問題、もしくは狙いの濃度よりも高くなる領域がウェハの面内に存在し、高濃度に起因する欠陥を発生させてしまう問題が起きる。面内均一性を30%以下の良好状態にすることによって、これらの問題を防ぐことができる。
【0035】
高濃度層21はn型であり、ドープする不純物は窒素を用いる。
【0036】
高濃度層21のn型ドーピング濃度の平均値は1×1018/cm以上、1×1019/cm以下である。
【0037】
高濃度層21の膜厚は特に限定はないが、例えば、1μm~10μm程度とすることができる。薄すぎると、キャリアがSiC単結晶基板に到達するのを抑制する効果が薄れ、厚すぎると、コスト高になる。
【0038】
高濃度層21の膜厚分布は10%以下であることが好ましい。
高濃度層21の膜厚分布が10%以下であるときは、C系ガス供給の基板面における面内分布と、Si系ガスの基板面における面内分布の少なくとも一方が10%以下であるといえ、高濃度層21の表面が鏡面になりやすいからである。
【0039】
<ドリフト層>
高濃度層21がバッファ層であり、その上にドリフト層22を備えることができる。
ドリフト層22は、ドリフト電流が流れ、デバイスとして機能する層である。ドリフト電流とは、半導体に電圧が印加された際に、キャリアの流れにより生じる電流である。ドリフト層22のドーピング濃度は、例えば1×1014cm-3以上、1×1017cm-3以下であり、通常、1×1016cm-3程度である。
【0040】
<ドーピング濃度の測定方法>
高濃度層のn型ドーピング濃度の測定は、水銀プローブ(Hg-CV)法や二次イオン質量分析法(SIMS)によって行うことができる。
Hg-CV法では、n型ドーピング濃度としてN-Nが測定される。ここでNはドナー濃度であり、Nはアクセプター濃度である。Nに比べてNが十分に小さいことが確認できていれば、N-N≒Nと考えてよい。
二次イオン質量分析法(SIMS)を用いれば、高濃度層を備えるSiCエピタキシャルウェハについて高濃度層を深さ方向に削りながら、測定を行うことにより、高濃度層のドーピング濃度を測定することができる。高濃度層上にドリフト層を備えるSiCエピタキシャルウェハについても同様である。
【0041】
測定点はウェハ面内の分布が反映できるのであれば任意の点でよいが、ウェハ中心と、ウェハ中心から最も遠い測定点として、ウェハエッジから5mmの位置の測定点を含み、エッジから5mm未満の位置の測定点は含まない。
高濃度層のn型ドーピング濃度測定の具体的な手順としては例えば、6インチウェハの場合、ウェハの中心を原点として十字の方向に、中心と中心から外周へ複数の点、例えば、21点でn型ドーピング濃度を測定する。各点で得られたn型ドーピング濃度を使ってn型ドーピング濃度の平均値を算出し、n型ドーピング濃度の最大値と最小値との差の絶対値を算出したn型ドーピング濃度の平均値で除することによって面内均一性を得ることができる。
十字の方向のうちの一つの方向はオリフラに平行な方向をとることができる。
【0042】
<その他の層>
本発明のSiCエピタキシャルウェハは、本発明の効果を奏する範囲で、他の層を備えてもよい。
例えば、SiC単結晶基板10と高濃度層21との間に、SiC単結晶基板10よりも不純物濃度(ドーピング濃度)が低いn型ないしp型半導体の他のバッファ層(以下、第1バッファ層という)を備えてもよい。第1バッファ層は、基底面転位を貫通刃状転位に変換させるために備えることができる。この観点では、第1バッファ層はBPD変換層である。
第1バッファ層の不純物濃度は、SiC単結晶基板10より低いことが好ましく、また高濃度層21の不純物濃度以下であることが好ましい。第1バッファ層の不純物濃度の値は、1×1017cm-3以上であることが好ましい。第1バッファ層の不純物濃度の値は、1×1019cm-3以下であることが好ましい。第1バッファ層の不純物濃度は、SiC単結晶基板10と高濃度層21との格子不整合を緩和するために、両者の不純物濃度の中間になるよう設定することができる。
【0043】
(SiCエピタキシャルウェハの製造方法)
本実施形態にかかるSiCエピタキシャルウェハ100またはSiCエピタキシャルウェハ200の製造方法は、例えば、主面が(0001)面に対して0.4°~5°のオフ角を有するSiC単結晶基板10上にエピタキシャル層20を結晶成長するものである。
【0044】
まずSiC単結晶基板10を準備する。SiC単結晶基板10の作製方法は特に問わない。例えば、昇華法等で得られたSiCインゴットをスライスすることで得られる。
【0045】
次いで、SiC単結晶基板10上にSiCエピタキシャル層20をエピタキシャル成長させ、SiCエピタキシャルウェハ100を作製する。SiCエピタキシャル層20は、化学気相成長(CVD)法によりSiC単結晶基板10の成長面10a上に、ステップフロー成長(原子ステップから横方向成長)させて形成できる。
【0046】
SiCエピタキシャル層20を形成する工程は、高温に保持したSiC単結晶基板上に、原料ガス及びドーパントガスを流通して行う。
【0047】
原料ガスとは、SiCエピタキシャル層を成膜する際の原料となるガスである。一般に、分子内にSiを含むSi系原料ガスと、分子内にCを含むC系原料ガスに分けられる。
【0048】
Si系原料ガスは公知のものを用いることができ、例えばシラン(SiH)が挙げられる。この他、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、テトラクロロシラン(SiCl)などのエッチング作用があるClを含む塩素系Si原料含有ガス(クロライド系原料)を用いることもできる。C系原料ガスとしては、例えばプロパン(C)、エチレン(C)等を用いることができる。
【0049】
ドーパントガスとは、ドナー又はアクセプター(キャリア)となる元素を含むガスである。n型エピタキシャル層を成長するためには窒素やアンモニア、p型エピタキシャル層を成長させるにはトリメチルアルミニウム(TMA)やトリエチルアルミニウム(TEA)などがドーパントガスとして用いられる。
【0050】
この他に、これらのガスを反応炉内に搬送するためのガス等を同時に用いてもよい。例えば、SiCに対して不活性な水素等が用いられる。
【0051】
SiCエピタキシャルウェハ100を製造する場合は、SiCエピタキシャル層20を形成する工程はSiC単結晶基板10上に高濃度層21を形成する高濃度層工程であり、SiCエピタキシャルウェハ200を製造する場合は、SiCエピタキシャル層20を形成する工程は、SiC単結晶基板10上に高濃度層21を形成する高濃度層工程と、高濃度層21上にドリフト層を形成するドリフト層工程とに区分される。
【0052】
<高濃度層工程>
成長温度は例えば、1400~1800℃とすることができ、より好ましくは、1500~1700℃である。温度が低過ぎると4H以外のポリタイプが発生しやすく、温度が高過ぎると表面荒れが発生しやすい。
【0053】
原料ガスのC/Si比は、後述するように、原料ガスのC/Siが高い方がドーピング濃度の面内均一性を高くすることができるが、ドーピング濃度を上げようとすると実効的なC/Siが低くなる。ここで、C/Si比とは、Si系原料ガス中のSi原子に対するC系原料ガス中のC原子のモル比である。よって投入する原料ガスのC/Siはそれを補償するようにさらに上げなければならない。すなわち狙いのドーピング濃度の平均値が1×1018cm-3~5×1018cm-3のときは、C/Siは1.1以上1.5以下とし、より好ましくは1.2以上1.4以下とするのがよい。また、狙いの濃度が5×1018cm-3~1×1019cm-3のときは、1.3以上1.7以下、より好ましくは1.4以上1.6以下とするのがよい。
【0054】
高濃度層を成膜する際には、高濃度にするために不純物を多くドーピングする必要がある。この際、通常、C/Si比を下げる。C/Si比をそのままにして、高濃度にドーピングしようとすると、ドーピングガスを多量に導入することが必要になるからである。C/Si比を下げることによって、導入するドーピングガスが多量になり過ぎないようにする。
これに対して、発明者は鋭意検討の結果、高濃度層の成膜時にC/Si比を下げることがn型ドーピング濃度の面内均一性の低下を招いていることを突き止めた。そして、高濃度層の成膜時に、通常より高めのC/Si比を用いて成膜を行うことにより、n型ドーピング濃度の面内均一性の低下を抑制できることがわかった。さらに、高濃度層の成膜前に、基板面におけるC系ガス供給及びSi系ガスの面内分布が良好であることが重要であることがわかった。
【0055】
<<基板面におけるC系ガス供給及びSi系ガス供給の面内分布の確認>>
後述するように、高濃度層の成膜時に、所定の通常より高めのC/Si比を用いてSiC単結晶基板上に成膜(SiCエピタキシャル層形成)を行うことにより、表面全体が鏡面の高濃度層が形成されるが、その一部に非鏡面の領域が発生することがあった。この非鏡面の領域は5%~50%度の大きさの範囲であることが多かった。非鏡面領域発生の現象を鋭意検討することにより、基板面におけるC系ガス供給及びSi系ガス供給の面内分布が良好でないことが原因であることを突き止め、これを改善するためには、成膜装置へのガス供給を、C系ガス、および、Si系ガス供給の面内分布を独立に制御できる構成とすることが有効であることがわかった。

【0056】
図3に、C系ガス供給、および、Si系ガス供給の面内分布を独立に制御できる構成の一例を示す。
図3に示すような縦型の成膜装置30では、装置内の上部から下部へ、載置した基板10に向かってガスを供給するガス供給部32a、32b、32cを有し、ガス導入部はC系ガスのみの供給部32a、Si系ガスのみの供給部32bを含み、C系ガスのみの供給部32a、Si系ガスのみの供給部32bを、それぞれ水平方向(基板面内方向)に、独立に位置調整できる構造とする。なお、ガス供給部32cへは例えばキャリアガスを供給する。図3に示す例では、C系ガス供給部32aはガス供給管32aa、32ab、32acを備え、Si系ガス供給部32bはガス供給管32ba、32bbを備えている。
【0057】
ここで、C系ガス供給の基板面における面内分布は、C供給律速条件で成膜したエピタキシャルウェハの膜厚分布(成長速度分布)を測定することにより測定できる。本明細書において、ガス供給の基板面における面内分布とは、「エピタキシャルウェハの膜厚の最大値-エピタキシャルウェハの膜厚の最小値)の絶対値/エピタキシャルウェハの膜厚の平均値」をいう。なお、SiCエピタキシャルウェハの膜厚は公知の方法例えば、FT-IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)により測定することができる。C供給律速条件とは、Si系ガスに比べてC系ガスの供給が不足している状態であり、好ましくはC/Siが0.6~0.9の範囲内である。ただし、N系ガス供給量が、実効C/Siを変化させないように、エピタキシャルウェハのキャリア濃度は、1×1017cm-3未満となる条件で成膜する。
一方、Si系ガス供給の基板面における面内分布は、Si供給律速条件で成膜したエピタキシャルウェハの膜厚分布(成長速度分布)を測定することにより測定できる。Si供給律速条件とは、C系ガスに比べてSi系ガスの供給が不足している状態であり、好ましくはC/Siが1.1~1.2の範囲内である。ただし、N系ガス供給量が、実効C/Siを変化させないように、エピタキシャルウェハのキャリア濃度は、1×1017cm-3未満となる条件で成膜する。
【0058】
このようにして、C系ガス供給の面内分布(C供給律速条件で成膜したエピタキシャルウェハの膜厚分布)、Si系ガス供給の面内分布(Si供給律速条件で成膜したエピタキシャルウェハの膜厚分布)を測定し、C系ガス供給の面内分布が10%以下とし、かつ、Si系ガスの面内分布が10%以下になっていない場合は、C系ガス供給部、及び、Si系ガス供給部の供給位置を調整する。例えば、縦型の成膜装置にてC系ガスの供給が中心で少なく外周で多い場合は、ガス導入部のC系ガスの供給部の位置を中心に移動させる。
C系ガス供給の基板面における面内分布が10%以下で、かつ、Si系ガスの基板面における面内分布が10%以下である場合には、非鏡面の領域は発生しなかった。
【0059】
以下に述べるサンプルの作製前に、C系ガス供給部、及び、Si系ガス供給部の供給位置を調整し、C律速、Si律速の成長速度面内分布を測定した。
(i)C律速
C/Si=0.8にて、ドーピング濃度が8×1015cm-3となるように窒素量を調整して成膜した。そして、C系ガスのみの供給部を位置調整することで、C系ガス供給の面内分布を5.6%とした。
(ii)Si律速
C/Si=1.1にて、ドーピング濃度が1.3×1016cm-3となるように窒素量を調整して成膜した。そして、Si系ガスのみの供給部を位置調整することで、Si系ガス供給の面内分布を3.4%とした。
C系ガス供給の面内分布及びSi系ガス供給の面内分布は、以下に述べるn型ドーピング濃度の面内均一性と同様に、ウェハの面内21点を測定して行った。
【0060】
表1に、直径が150mmで、主面が4°のオフ角を有する4H-SiC単結晶基板を用い、n型ドーパントして窒素を用いて高濃度のエピタキシャル層をSi面に形成したサンプルを作製し、そのサンプルの高濃度のエピタキシャル層のn型ドーピング濃度の面内均一性を調べた結果を示す。具体的には、原料ガスのC/Si比を1.05、1.15、1.35のいずれかとし、ウェハの面内21点を測定し、ドーピング濃度の平均値として所定の値を狙ってドーピングガスを導入し、得られたn型ドーピング濃度の面内均一性である。C/Si比及びドーピングガスの流量以外は同様の条件でサンプルを作製した。測定点は、単位をmmとして、ウェハ中心を(0,0)、オリフラをY方向とし、(X,Y) = (0,70), (0,60), (0,45), (0,30), (0,15), (0,0), (0,-15), (0,-30), (0,-45), (0,-60), (0,-67), (-70,0), (-60,0), (-45,0), (-30,0), (-15,0), (15,0), (30,0), (45,0), (60,0), (70,0)の21点とした。
【0061】
なお、より高いドーピング濃度(平均値)は、投入する窒素流量を増加させることによって達成することができる。zに、表1で示した、C/Si比を1.15としたときの3個のサンプルについて、投入窒素流量と得られたドーピング濃度(平均値)との関係を示す。図4において、横軸は、ドーピング濃度(平均値)が1.03×1018cm-3のときの投入窒素流量を1としたときの投入窒素流量の相対値であり、縦軸は、得られたドーピング濃度(平均値)である。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示す通り、通常用いられるC/Si比1.05を用いた場合、n型ドーピング濃度の平均値が2×1018cm-3程度でもn型ドーピング濃度の面内均一性は30%を超えており、n型ドーピング濃度の平均値を上げるとn型ドーピング濃度の面内均一性はさらに悪化しているのがわかる。
一方、通常用いられるC/Si比より高い1.15を用いた場合、n型ドーピング濃度の平均値1×1018cm-3程度で12.2%と高いn型ドーピング濃度の面内均一性が得られており、n型ドーピング濃度の平均値を2.6×1018cm-3程度まで上げるとn型ドーピング濃度の面内均一性はやや低下するものの、17.8%と良好なままである。
さらに、通常用いられるC/Si比よりはるかに高い1.35を用いた場合、n型ドーピング濃度の平均値2.2×1018cm-3で6.1%と極めて高いn型ドーピング濃度の面内均一性が得られた。
以上の結果から、通常用いられるC/Si比1.05よりも高いC/Si比を用いることによって、n型ドーピング濃度の面内均一性が向上すること、また、C/Si比はより高いほどn型ドーピング濃度の面内均一性が向上することがわかった。また、いずれのC/Si比を用いてもn型ドーピング濃度の平均値を上げると、n型ドーピング濃度の面内均一性が悪化することがわかった。
【0064】
図5に、直径150mmのSiCエピタキシャルウェハのサンプルについて、n型ドーピング濃度の平均値と成長速度との関係を調べた結果を示す。
横軸はn型ドーピング濃度の平均値であり、縦軸はn型ドーピング濃度の平均値が1×1016cm-3となるようにエピタキシャル成長を行った場合の成長速度を1として規格化したときの成長速度の規格値である。
【0065】
図5から、n型ドーピング濃度の平均値の高い高濃度層ほど、成長速度が低下していく傾向がわかる。この傾向は、窒素(N)がSiCの成長を阻害していることに起因している(サイト補償(site-competition)効果)と推測される。以下にこの点について説明する。
【0066】
図6(a)~(d)は、窒素(N)ドーピングのイメージ図であり、(a)に対して(b)はC/Siが低い場合、(c)はC/Siが高い場合、(d)はドーピングガスの流量が大きい場合(高いドーピング濃度の平均値を狙った場合)を示すものである。ここで、図6(a)~(c)はサイト補償(site-competition)効果として従来から知られていたが、図6(d)は、本発明者が新しく見出した知見である。
【0067】
図6(a)に示すように、SiはSiサイト、CはCサイト、NはCサイトに取り込まれる。
これに対して、低C/Siの場合、図6(b)に示すように、Cに対するNの割合が増えるため、NがCサイトに入る確率が上がる。
また、高C/Siの場合、図6(c)に示すように、Cに対するNの割合が下がり、NがCサイトに入る確率が下がる。
また、Nが原料ガス並みに高濃度の場合、図6(d)に示すように、Cに対するNの割合が上がる。そのため、CがCサイトに取り込まれにくくなり、その結果、実効C/Siが低下し、成長速度が低下する。
【0068】
ここで、発明者は上記したサンプルの作製を行ったCVD装置において、C系ガス投入量と成長速度の関係を調べ、C系ガス投入量が大きくなると成長速度が大きくなるという正の相関関係を示す検量線を得ていた。
この検量線と、n型ドーピング濃度を上げることにより低下した成長速度低下量から、実質的に不足したC系ガス投入量を見積もることができる。図6の概念図を用いて、このことを説明する。
図7において、横軸はC系ガス投入量であり、縦軸はSiCエピタキシャル層の成長速度である。なお、C系ガス投入量はSi系ガス投入量を固定すれば、C/Siに対応する。
検量線上のP1の条件(C系ガス投入量C1、成長速度R1)で得たSiCエピタキシャルウェハのn型ドーピング濃度平均値よりも高いn型ドーピング濃度平均値のSiCエピタキシャルウェハを作製するときに、C系ガス投入量C1でエピタキシャル成長を行ったときに成長速度がR3であったならば、図7の検量線に基づくと、実効的なC系ガス投入量はC3であったということになる。この場合、C原子に対するN原子の割合が上がったために、C原子がCサイトに取り込まれにくくなり、その結果、実効的なC系ガス投入量がC3になったものである。この不足分を補う量のC系ガス投入量を投入することによって、成長速度R1でエピタキシャル成長を行うことが可能となる。
【0069】
表1に示したように、C系ガス不足量を補うようにC/Siを上げた結果、n型ドーピング濃度の面内均一性は大幅に改善され、C/Si=1.35では6.1%であった。
C/Si=1.35で、高ドーピング濃度ではなく、通常濃度(例えば、1×1016/cm以下)のSiCエピタキシャル層を形成すると、非鏡面になるが、この高ドーピング濃度のSiCエピタキシャル層では表面全体が鏡面であった。このことは、窒素(N)原子が、上記したサイト補償効果でSiCの成長を阻害することを裏付けるものと考えられる。
同じC/Siの場合、高いドーピング濃度のSiCエピタキシャル層は、低いドーピング濃度のSiCエピタキシャル層に比べて、サイト補償効果の影響が大きくなり、成長表面における均一なSiCの成長が阻害され、ドーピング濃度の面内均一性も損なわれるものと考えられる。従って、高いドーピング濃度のSiCエピタキシャル層では、C/Siをより高くすることによって、サイト補償効果の影響を小さくし、成長表面における均一なSiCの成長の阻害を抑制し、ドーピング濃度の面内均一性の悪化を抑制できるものと考えられる。
【0070】
このように、予め取得しておいたC系ガス投入量と成長速度の相関関係(例えば、検量線)から、ドーパントがSiCエピタキシャル成長を阻害する分を見積もり、その分を補うだけのC/Si比で原料ガスを投入することによって、高い面内均一性を有するSiCエピタキシャルウェハを製造することができる。
【0071】
図8は、以上の実験結果及び考察に基づき、表1で示した結果から、直径150mmのSiCエピタキシャルウェハのサンプルについて、n型ドーピング濃度の平均値とn型ドーピング濃度の面内均一性とC/Siとの関係を示すグラフにしたものである。
図8に示した関係に基づき、C/Si及びドーピングガス流量の成長条件を見積もって、n型ドーピング濃度の平均値が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下で、かつ、n型ドーピング濃度の面内均一性が30%以下である高濃度層を備えるSiCエピタキシャルウェハを製造することができる。
【0072】
なお、図8において、C/Siが1.35の場合のグラフでは、データは1点ではあるが、上記したサイト補償効果に基づくメカニズムに基づいて得られたものである。これについて説明する。
図8において、C/Siが1.05の場合のグラフ、及び、C/Siが1.15の場合のグラフは3点のデータから得られたものである。これらのグラフは正の傾きを有し、かつ、C/Siが1.15の場合のグラフの傾きがC/Siが1.05の場合のグラフの傾きより低いことは、サイト補償効果に基づくメカニズムがよく当てはまっていることを示している。また、通常のドーピング濃度よりも高い2×1018/cm近傍のSiCエピタキシャル層において、ドーピング濃度の面内均一性がC/Siが1.35の場合、C/Siが1.15の場合、C/Siが1.05の場合の順に良好なこともサイト補償効果に基づくメカニズムがよく当てはまっていることを示している。
そうすると、C/Siが1.35の場合に、1×1018/cm以上、1×1019/cm以下というドーピング濃度の範囲において、サイト補償効果に基づくメカニズムがよく成り立つことが推測できる。
サイト補償効果に基づくメカニズムがよく当てはまっている場合、C/Siが1.35の場合のグラフは、正の傾きを有し、かつ、その傾きはC/Siが1.15の場合のグラフの傾きよりも低くなる。
以上の通り、C/Siが1.35の場合のグラフはサイト補償効果に基づくメカニズムに基づいて得られたものである。
【符号の説明】
【0073】
10 SiC単結晶基板
20 SiCエピタキシャル層
21 高濃度層
22 ドリフト層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8