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特許7260527芳香化学物質としての使用のための2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのエステル及びエーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】芳香化学物質としての使用のための2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのエステル及びエーテル
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20230411BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230411BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230411BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230411BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230411BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230411BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230411BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20230411BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20230411BHJP
【FI】
C11B9/00 G
C11B9/00 T
C11D3/50
A61Q13/00 101
A61Q19/00
A61Q11/00
A61K47/14
A61K47/08
A61K47/10
A61K8/33
A61K8/37
A61K8/34
A61L15/20
A23L27/20 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020513628
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2018074002
(87)【国際公開番号】W WO2019048544
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】17189719.2
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルリヒス,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ピンコス,ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】デュフェルト,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブル ロイク,ミリアム
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第00882642(GB,A)
【文献】特開昭51-148044(JP,A)
【文献】特開昭62-176453(JP,A)
【文献】The Journal of Organic Chemistry,Vol.35, No.12,pp.4167-4169 (1970).
【文献】Jornal of the American Chemical Society,Vol.86,pp.4732-4733 (1964).
【文献】REGISTRY [online],1988年9月17日(検索日:2022年8月26日), CAS RN:116373-50-3
【文献】REGISTRY [online],1988年9月17日(検索日:2022年8月26日), CAS RN: 116373-49-0
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00 - 15/00
C11C 1/00 - 5/02
C07B 31/00 - 63/04
C07C 1/00 -409/44
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 99/00
A61K 9/00 - 9/72
A61K 47/00 - 47/48
A23L 27/00 - 27/40
A23L 27/60
CAplus/REGISTRY/MARPAT (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】
[式中、
R1はC1~C4アルキル又は-(C=O)-R3であり、
R2は水素、C1~C4アルキル又は-(C=O)-R4であり、
R3及びR4は互いに独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択される]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の
芳香化学物質としての使用。
【請求項2】
式(I)において、
R1がC1~C4アルキルであり、
R2が水素又はC1~C4アルキルである、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)の化合物が、以下の特性a)、b)、c)、及び/又はd)
a)R2がC1~C4アルキルである、
b)R1とR2とが同一である、
c)R1及びR2がC1~C3アルキルである、
d)R1及びR2がメチル又はエチルである、
の少なくとも1つを有する、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
式(I)において、
R1がC1~C4アルキルであり、
R2が水素である、
請求項2に記載の使用。
【請求項5】
式(I)において、
R1が-(C=O)-R3であり、
R2が水素又は-(C=O)-R4である、
請求項1に記載の使用。
【請求項6】
式(I)の化合物が、以下の特性e)、f)、g)、h)、及び/又はi)
e)R2が-(C=O)-R4である、
f)R3とR4とが同一である、
g)R3及びR4が、水素及びC1~C3アルキルからなる群から選択される、
h)R3及びR4が、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される、
i)R3及びR4がメチルである、
の少なくとも1つを有する、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
式(I)において、
R1がC1~C4アルキルであり、
R2が-(C=O)-R3である、
請求項1に記載の使用。
【請求項8】
香水組成物、化粧品組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯の衛生用製品、衛生物品、清掃組成物、布用洗剤組成物、食器洗い組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物から選択される組成物における、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び化合物(I)とは異なる更なる芳香化学物質及び非芳香化学物質担体からなる群から選択される少なくとも1種の更なる化合物を含む、芳香化学物質組成物。
【請求項10】
香水組成物、化粧品組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯の衛生用製品、衛生物品、清掃組成物、布用洗剤組成物、食器洗い組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を、即時使用可能な組成物に組み込むステップを含む、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物を調製する方法。
【請求項12】
フレグランスを付与した即時使用可能な組成物の香りの特徴を改質するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香化学物質(アロマケミカル)としての2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのエステル及びエーテルの使用、少なくとも1種の2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのエステル又はエーテルを含む芳香化学物質組成物、並びに少なくとも1種の2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのエステル又はエーテルを、即時使用可能な(ready-to-use)組成物に組み込むステップを含む、フレグランスを付与した(fragranced)即時使用可能な組成物を調製する方法に関する。本発明は更に、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールの特定のエーテル及び特定のエステル、並びにこれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香化学物質、とりわけフレグランスは、とりわけ化粧品並びに清掃及び洗濯組成物の分野において、大きな関心が寄せられている。天然由来のフレグランスは、大部分が高価であり、入手可能な量が制限されていることが多く、環境条件の変動のため、含有量、純度等における変化も受けやすい。そのため、これらの望ましくない要素を回避するため、より高価である天然のフレグランスに類似した感覚刺激特性を有する、又は新規な興味深い感覚刺激プロファイルを有する合成物質を作り出すことには、大きな関心が寄せられている。
【0003】
多数の合成芳香化学物質(フレグランス及び香味料)が既に存在するにもかかわらず、極めて多様な適用領域について所望される多数の特性を満足することができるように、新しい構成成分が絶えず必要とされている。第一に、これらは感覚刺激特性を含み、すなわち、化合物は有利な発香(嗅覚)特性又は味覚特性を有するべきである。しかしながら、芳香化学物質は更に、肯定的な第二の特性、例えば、効率的な調製方法、他のフレグランスとの相乗効果の結果として良好な感覚プロファイルをもたらすことができること、特定の適用条件下におけるより高い安定性、より高い拡張性、より良好な持続力等も、加えて有するべきである。
【0004】
しかしながら、化学構造における小さな変化であっても、感覚特性、例えば匂い及びまた味における大きな変化をもたらすため、特定の感覚特性、例えば特定の匂いを有する物質を対象とした探索は、極めて困難である。そのため、新しいフレグランス及び香味料の探索は、大多数の場合、所望の匂い及び/味を有する物質が実際に見出されるかさえわかっておらず、困難であり時間と労力を要する。
【0005】
DE1114811は、脂肪族カルボン酸又は安息香酸を、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,4-ジメチル-2,4-ジエチルシクロブタン-1,3-ジオール、又は2,2,4,4-テトラエチルシクロブタン-1,3-ジオールと反応させるジエステルの調製方法、並びに潤滑剤、可塑剤、伝熱油、及び油圧油としての該エステルの使用を記載している。
【0006】
DE1142695は、脂肪族カルボン酸又は安息香酸と、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,4-ジメチル-2,4-ジエチルシクロブタン-1,3-ジオール、又は2,2,4,4-テトラエチルシクロブタン-1,3-ジオールとから得ることができるジエステルを可塑剤として使用する、セルロースエステルを可塑化する方法を記載している。
【0007】
US3,043,791は、(C1~C4)-カルボン酸と、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、2,4-ジメチル-2,4-ジエチルシクロブタン-1,3-ジオール、又は2,2,4,4-テトラエチルシクロブタン-1,3-ジオールとから得ることができるジエステルの、ポリ塩化ビニルのための可塑剤としての使用、並びにポリ塩化ビニル及び該ジエステルを含むプラスチック組成物を記載している。
【0008】
US3,062,852は、脂肪族カルボン酸と2,2,4,4-テトラ-(C1~C4)-アルキルシクロブタン-1,3-ジオールとから得ることができるジエステル、及び該ジエステルの合成潤滑剤としての使用を記載している。
【0009】
US3,227,764は、2,2,4,4-テトラ-(C1~C4)-アルキルシクロブタン-1,3-ジオールを、特に2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、そのシス異性体とトランス異性体とに分離する方法を記載しており、この方法では、該ジオールを(C1~C9)-カルボン酸と反応させて対応するジエステルを生成し、次いでこれを、融解温度が異なることによって、個別のシス及びトランス異性体に分離し、対応する2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのシス及びトランス異性体に再変換する。
【0010】
2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのエステル及びエーテルを芳香化学物質として使用することは、先行技術にこれまで記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
芳香化学物質として有利に使用することができる、快い感覚刺激特性を呈する物質を提供することが、本発明の目的である。即時使用可能な組成物中の芳香化学物質として使用することができる物質を提供することは、本発明の更なる目的であった。特に、快い匂いを有する、匂いの強い物質が求められる。更に、これらの芳香化学物質は、他の芳香化学物質との組合せ可能であり、新規の有利な感覚プロファイルを作り出せるべきである。加えて、これらの芳香化学物質は、容易に入手可能な出発材料から得ることができるべきであり、それにより高速で経済的な製造を可能になり、また毒物学的な懸念はあるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのエステル及びエーテルによって、これら及び更なる目的が達成されることが見出された。
【0013】
したがって、本発明の第1の態様は、一般式(I)の化合物
【0014】
【化1】
[式中、
R1はC1~C4アルキル又は-(C=O)-R3であり、
R2は水素、C1~C4アルキル又は-(C=O)-R4であり、
R3及びR4は互いに独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択される]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の
芳香化学物質としての使用に関する。
【0015】
本発明による使用は、例えば、R1基に関して、及び/又はR2基に関して互いに異なる、2種以上の一般式(I)の化合物の混合物の使用も含む。
【0016】
本発明は更に、上に定義した少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び化合物(I)とは異なる芳香化学物質及び非芳香化学物質担体からなる群から選択される少なくとも1種の更なる化合物を含む、芳香化学物質組成物に関する。
【0017】
一般式(I)の化合物は一般に、快く特徴的な匂いを呈し、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物を生成するために使用することができることが、更に見出された。加えて、これらを化合物(I)とは異なる他の芳香化学物質と有利に組み合わせて、新しい香りプロファイルを作り出すことができる。
【0018】
そのため、本発明は更に、少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を、即時使用可能な組成物に組み込むステップを含む、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物を調製する方法に関し、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物の香りの特徴を改質するための、上に定義した式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の使用に関する。
【0019】
式(I)の化合物の群の中でも、式(I.a)のエーテル化合物、及び式(I.b)のエステル化合物は、当技術分野において記載されていない。
【0020】
そのため、本発明は、一般式(I.a)の新規化合物
【0021】
【化2】
[式中、
R1aはC2~C4アルキルであり、
R2aは水素又はC2~C4アルキルである]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及びその調製方法にも関する。
【0022】
更に、本発明は、一般式(I.b)の新規化合物
【0023】
【化3】
式中、
R1bは-(C=O)-R3であり、
R2bは水素又は-(C=O)-R4であり、
R3及びR4は互いに独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、ただし、R3とR4が存在する場合、R3とR4は異なる]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及びその調製方法に関する。
【0024】
式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、有利な感覚刺激特性、特に快い匂いを備えている。そのため、これらを芳香化学物質として、例えば香水組成物、化粧品組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯の衛生用製品、衛生物品、清掃組成物、布用洗剤組成物、食器洗い組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、作物保護組成物、並びに他の即時使用可能な組成物において、好ましく使用することができる。
【0025】
物理的特性のため、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、他のフレグランス、及びフレグランスを付与した即時使用可能な組成物中の、例えば特に香水組成物中の他の通常の成分について、特に良好で事実上万能な溶媒特性を有する。そのため、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、他の芳香化学物質と好ましく組み合わせることができ、特に、新規の有利な感覚プロファイルを有する香水組成物の創生を可能にする。
【0026】
更に、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、それぞれ、容易に入手可能かつ安価な2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールから出発する1ステップ又は2ステップ合成によって、良好な収率及び純度で生成することができる。したがって、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、大規模に、及び単純かつコスト効率の高い方法で、生成することができる。
【0027】
加えて、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールから誘導され、これについては発がん性又は毒性効果の現在のエビデンスはないため、低い毒性を有する又は毒性を有しないであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の文脈において、「C1~C4アルキル」という表現は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルを指す。好ましくは、「C1~C4アルキル」という表現は、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピル、特にメチル及びエチルを指す。
【0029】
「芳香化学物質」という用語は、感覚的印象、より厳密には嗅覚又は香味の印象、特にフレグランス又は香味の印象を得るために使用する物質を表す。したがって、これらの芳香化学物質は、「芳香化学物質組成物」及び/又は「フレグランスを付与した即時使用可能な組成物」に使用するのに適している。したがって、本明細書で使用する「芳香化学物質組成物」という用語は、主として匂いの印象を誘起する組成物を指す。同様に、本明細書で使用する「フレグランスを付与した即時使用可能な組成物」という用語は、主として匂いの印象を誘起する即時使用可能な組成物を指す。
【0030】
「嗅覚」という用語は、肯定的又は否定的な判断のいずれも伴わない匂いの印象を表し、一方、「フレグランス」という用語(「香水」又は「香り」とも称する)は、一般に快いと感じる匂いの印象に結びついている。香味は味の印象を誘起する。
【0031】
「匂いの強い物質」という用語は、強い匂いの印象を呈する物質又は芳香化学物質を指す。強い匂いの印象は、非常に低いガス空間濃度においてさえ知覚に達することができる、芳香化学物質の特性を意味するものとして理解されたい。強度は、閾値測定によって決定することができる。閾値は、代表する試験パネルが、匂いの印象をちょうどまだ知覚することができるが、もはや規定することはできない、関係するガス空間中の物質の濃度である。おそらく最も匂いが強い公知の物質クラスに属する、すなわち、非常に低い匂いの閾値を有する物質クラスはチオールであり、その閾値はしばしば、ppb/m3の範囲である。
【0032】
「有利な感覚特性」、「有利な感覚刺激特性」、又は「快い匂い」は、快楽的な表現であり、芳香化学物質によって伝達される匂いの印象の心地よさ及び明確さを記述する。「心地よさ」及び「明確さ」は、当業者、調香師には馴染みの用語である。心地よさは一般に、自然に生じ、肯定的に知覚される、快い感覚的印象を指す。しかしながら、「心地よい」は「スウィート」と同義である必要はない。「心地よい」は、ムスク又はビャクダンの匂いである場合もある。「明確さ」は一般に、(同じ試験パネルに)再現性よく同一の特定のものを想起させる、自然に生じる感覚的印象を指す。例えば、ある物質は、「リンゴ」の匂いを自然に連想させる匂いを有し得る。その匂いは次いで、明確に「リンゴ」のものとなるであろう。このリンゴの匂いが、例えば、甘い、十分に熟したリンゴを連想させることから非常に快いものであった場合、その匂いは「心地よい」と称されるであろう。しかしながら、典型的に酸っぱいリンゴの匂いも明確であり得る。物質の匂いを嗅いだ際に、両方の反応が発生する場合、すなわちこの例においては心地よく明確なリンゴの匂いがする場合、この物質は、特に有利な感覚特性を有する。
【0033】
式(I)の化合物は、シクロブタン環に対する酸素原子の空間配置に応じて、個別のシス異性体(I-cis)若しくはトランス異性体(I-trans)
【0034】
【化4】
として、又はシス/トランス異性体の混合物として存在し得る。
【0035】
したがって、本発明は、シス異性体、すなわち(I-cis)の使用、トランス異性体、すなわち(I-trans)の使用、及びまたこれらのシス/トランス異性体の混合物、すなわち(I-cis/trans)の使用に関する。したがって、別段の指定がない場合、本明細書で使用する「化合物I」、「一般式Iの化合物」等の表現は、純粋なシス異性体、純粋なトランス異性体、及び各異性体が等量で存在する、又は異性体の一方を過剰に含有するこれらのシス/トランス異性体の混合物を指す。
【0036】
化合物(I)の純粋なシス異性体、及び純粋なトランス異性体、並びにシス/トランス異性体の混合物はすべて、有利な感覚刺激特性を有する。したがって、化合物(I)の純粋なシス異性体、及び純粋なトランス異性体、並びにシス/トランス異性体の混合物は、芳香化学物質としての使用に等しく適している。更に、少なくとも化合物(I)のいくつかについて、例えばエステル化合物、(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートについて、シス異性体の感覚刺激特性は、トランス異性体の感覚刺激特性と、著しく異なるものではない。
【0037】
一方、一般式(I)のエーテル化合物の基本的な香りプロファイルは、一般式(I)のエステル化合物の香りプロファイルと異なる。
【0038】
そのため、本発明の第1の実施形態は、式(I)において、
R1はC1~C4アルキルであり、
R2は水素又はC1~C4アルキルである、
一般式(I)のエーテル化合物の使用に関する。
【0039】
この第1の実施形態の化合物(I)は、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのモノエーテル及びジエーテルを包含する。典型的には、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのモノエーテルは、対応する2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのジエーテルより強くない匂いを呈する。
【0040】
そのため、ジエーテル化合物、すなわち、式(I)において、R1及びR2が互いに独立して、C1~C4アルキルから選択される一般式(I)の化合物が、使用するのに好ましい。
【0041】
更に、酸素原子に結合している置換基同士が同一である一般式(I)のエーテル化合物の合成は、一般に、酸素原子上に異なる置換基を有する一般式(I)のエーテル化合物の合成より単純である。
【0042】
したがって、R1基とR2基とが同一である一般式(I)のエーテル化合物は、使用するのに更に好ましい。
【0043】
好ましい一般式(I)のエーテル化合物の例は、
2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジイソプロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジイソプロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジイソプロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジイソブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジイソブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジイソブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジ-tert-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジ-tert-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジ-tert-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンである。
【0044】
2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのモノエーテルは一般に、対応する2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのジエーテルと比較すると、匂いがいくぶん強くないにもかかわらず、これらのモノエーテルはそれでもやはり、特徴的な香りプロファイルを有する。したがって、本発明による2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのモノエーテル誘導体は、芳香化学物質として使用するために価値がある化合物である。
【0045】
したがって、本発明の別の好ましい実施形態は、一般式(I)の化合物
【0046】
【化5】
[式中、
R1はC1~C4アルキルであり、
R2は水素である]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の
芳香化学物質としての使用に関する。
【0047】
この実施形態の好ましいモノエーテル化合物(I)の例は、
3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にシス異性体の形態で存在する3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にトランス異性体の形態で存在する3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
3-エトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にシス異性体の形態で存在する3-エトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にトランス異性体の形態で存在する3-エトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
3-n-プロポキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にシス異性体の形態で存在する3-n-プロポキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にトランス異性体の形態で存在する3-n-プロポキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
3-n-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にシス異性体の形態で存在する3-n-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にトランス異性体の形態で存在する3-n-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
3-tert-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、
本質的にシス異性体の形態で存在する3-tert-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する3-tert-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールである。
【0048】
R1及びR2がC1~C3アルキルである一般式(I)のエーテル化合物は、使用するのにより好ましい。
【0049】
R1とR2とが同一であり、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される一般式(I)のエーテル化合物は、使用するのに更により好ましい。
【0050】
R1及びR2がメチル又はエチルである一般式(I)のエーテル化合物は、使用するのに特に好ましい。
【0051】
2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンは、使用するのにとりわけ好ましい。
【0052】
本発明の第2の実施形態は、一般式(I)のエステル化合物
[式(I)において、
R1は-(C=O)-R3であり、
R2は水素又は-(C=O)-R4であり、
R3及びR4は上に定義した通りである]
の使用に関する。
【0053】
この第2の実施形態の化合物(I)は、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのモノエステル及びジエステルを包含する。典型的には、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのモノエステルは、対応する2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールのジエステルより強くない匂いを呈する。
【0054】
そのため、ジエステル化合物、すなわち、一般式(I)の化合物
[式(I)において、
R1は-(C=O)-R3であり、
R2は-(C=O)-R4であり、
R3及びR4は上に定義した通りである]
は、使用するのに好ましい。
【0055】
ここでも、酸素原子に結合している置換基同士が同一である一般式(I)のエステル化合物の合成は、一般に、酸素原子上に異なる置換基を有する一般式(I)のエステル化合物の合成より単純である。
【0056】
したがって、一般式(I)のエステル化合物[式中、
R1は-(C=O)-R3であり、
R2は-(C=O)-R4であり、
R3及びR4は上に定義した通りであり、
R3基とR4基とが同一である]
は、使用するのに更に好ましい。
【0057】
R3及びR4が、水素及びC1~C3アルキルからなる群から選択される一般式(I)のエステル化合物は、使用するのに更に好ましい。
【0058】
好ましい一般式(I)のエステル化合物の例は、
(3-ホルミルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)ホルメート、
本質的にシス異性体の形態で存在する(3-ホルミルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)ホルメート、
本質的にトランス異性体の形態で存在する(3-ホルミルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)ホルメート、
(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテート、
本質的にシス異性体の形態で存在する(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテート、
本質的にトランス異性体の形態で存在する(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテート、
(3-プロパノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)プロパノエート、
本質的にシス異性体の形態で存在する(3-プロパノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)プロパノエート、
本質的にトランス異性体の形態で存在する(3-プロパノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)プロパノエート、
(3-イソブタノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)イソブタノエート、
本質的にシス異性体の形態で存在する(3-イソブタノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)イソブタノエート、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する(3-イソブタノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)イソブタノエートである。
【0059】
R3とR4とが同一であり、水素及びC1~C3アルキルからなる群から選択される一般式(I)のエステル化合物は、使用するのに更により好ましい。
【0060】
R3及びR4が、水素、メチル、又はエチルからなる群から選択される一般式(I)のエステル化合物は、使用するのに特に好ましい。
【0061】
(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテート、
本質的にシス異性体の形態で存在する(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテート、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートは、使用するのにとりわけ好ましい。
【0062】
本発明の特定の実施形態では、一般式(I)の化合物は、本質的にシス異性体の形態で存在する。
【0063】
本発明の別の特定の実施形態では、一般式(I)の化合物は、本質的にトランス異性体の形態で存在する。
【0064】
本発明の別の好ましい実施形態は、一般式(I)の化合物
【0065】
【化6】
[式中、
R1はC1~C4アルキルであり、
R2は-(C=O)-R3である]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の
芳香化学物質としての使用に関する。
【0066】
C1~C4アルキル基及び-(C=O)-R3基の好ましい及び非常に好ましい意味に関しては、上に与えた記載を参照する。
【0067】
この実施形態の特に好ましい化合物は、
(3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテート、
本質的にシス異性体の形態で存在する(3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテート、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する(3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートである。
【0068】
この関係において、「本質的に」という用語は、特定の化合物のシス又はトランス異性体が、シス及びトランス異性体の総量を基準として、少なくとも90重量%の量、好ましくは少なくとも95重量%の量、特に少なくとも98重量%の量で存在することを意味する。
【0069】
典型的には、化合物(I)はシス/トランス異性体の混合物として生成する。シス異性体とトランス異性体との分離は、困難であり時間と労力を要する場合もあり、合理的な作業では完全には達成することができない場合もある。
【0070】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、上及び下に定義する一般式(I)の化合物の使用に関し、ここで、一般式(I)の化合物は、シス/トランス異性体の混合物の形態で存在する。これらの混合物中、2種の異性体が、等量若しくはほぼ等量、例えば50:50若しくは55:45のシス/トランス若しくはトランス/シス異性体比率で存在する場合もあり、又は異性体の一方、すなわちシス若しくはトランス異性体のいずれかが過剰に存在する場合もあり、例えば異性体の一方が、60:40、65:35、70:30、若しくは75:25のシス/トランス若しくはトランス/シス異性体比率で存在する場合もある。
【0071】
更に、不純物が化合物(I)の香りに対して著しく有害な効果を有しない限り、化合物(I)は、広範囲の純度にわたって芳香化学物質として使用することができる。そのため、芳香化学物質としての使用について、本発明によれば、化合物(I)の純度は特に限定されない。好ましくは、化合物(I)は、少なくとも70%の、特に少なくとも90%の、とりわけ少なくとも95%の純度を有する。
【0072】
2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールから出発するこれらの調製方法のため、一般式(I)のジエーテル化合物は、微量のモノエーテル化合物(I-OH)を含む場合があり、一般式(I)のジエステル化合物は、微量のモノエステル化合物(II-OH)を含む場合がある
【0073】
【化7】
[式中、R1及びR3は上に与えた意味の1つを有する]。
【0074】
好ましくは、一般式(I)のジエーテル及びジエステル化合物中に含まれ得るモノ置換化合物(I-OH)又は(II-OH)の量は、化合物(I)の総量を基準として、25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、更により好ましくは5重量%未満、特に1重量%未満である。
【0075】
本発明の特に好ましい実施形態では、一般式(I)のジエーテル及びジエステル化合物は、それぞれ、モノ置換化合物(I-OH)又は(II-OH)を含まない。
【0076】
同様に、一般式(I)のモノエーテル及びモノエステル化合物は、微量の対応する二置換化合物を含み得る。好ましくは、一般式(I)のモノエーテル及びモノエステル化合物中に含まれ得る、一般式(I)の二置換化合物の量は、化合物(I)の総量を基準として、25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、更により好ましくは5重量%未満、特に1重量%未満である。
【0077】
更に、以後は非対称置換化合物と呼ぶ、R1基とR2基とが異なる一般式(I)のジエーテル化合物、及びR3基とR4基とが異なる一般式(I)のジエステル化合物は、微量の対応する対称置換化合物、すなわち、R1基とR2基とが同一である一般式(I)のジエーテル化合物、及びR3基とR4基とが同一である一般式(I)のジエステル化合物を含み得る。典型的には、一般式(I)の非対称置換化合物中に含まれ得る対称置換化合物の量は、化合物(I)の総量を基準として、50重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、更により好ましくは5重量%未満、特に1重量%未満である。
【0078】
更に、以後は混合置換化合物(I)とも呼ぶ、R1基がC1~C4アルキルであり、R2が-(C=O)-R3である一般式(I)のエーテル-エステル化合物は、対応するジエーテル又はジエステル化合物を含み得る。更に、モノエーテル化合物とモノエステル化合物のどちらが出発材料として使用されるかに応じて、これらの混合置換化合物(I)は、微量の対応するモノエーテル又はモノエステル化合物も含み得る。好ましくは、一般式(I)の混合置換化合物中に含まれ得るこれらの副生成物の量は、化合物(I)の総量を基準として、50重量%未満、より好ましくは40重量%未満、特に30重量%未満である。
【0079】
前述の好ましい実施形態は、所望により互いに組み合わせることができる。
【0080】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態は、少なくとも95%の純度を有し、シス/トランス異性体の混合物の形態で存在する、一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0081】
一般式(I)のモノエーテル化合物は、典型的には塩基の存在下で、アルキル化試薬R1-X[式中、R1は上に与えた意味の1つを有し、Xはハロゲン、例えばCl、Br、I、及びスルホネート、例えばトシレート、メシレート、トリフレート、又はノナフレートから選択される脱離基を表す]を使用して、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールをアルキル化することによって、効率的に調製することができる。
【0082】
好適な塩基は、典型的には、無機塩基及び有機塩基から選択される。
【0083】
このアルキル化反応に使用することができる好適な無機塩基は、例えば、アルカリ金属炭酸塩、例えばLi2CO3、Na2CO3、K2CO3、又はCs2CO3、アルカリ金属水酸化物、例えばLiOH、NaOH、又はKOH、及びヒドリド供与体、例えばNaH、LiAlH4、又はNaBH4である。
【0084】
このアルキル化反応に使用することができる好適な有機塩基は、例えば、第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン等、又は塩基性N-ヘテロ環、例えばモルホリン、ピリジン、ルチジン、DMAP、DABCO、DBU、若しくはDBNである。
【0085】
アルキル化反応は、当業者に周知の、従来のアルキル化反応条件下で行われる。
【0086】
典型的には、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、等モル未満又はほぼ等モル量、例えば0.7、0.8、0.9、又は0.95当量のアルキル化試薬R1-Xと反応させてモノ置換化合物(I-OH)を生成し、望ましくない副生成物又は不純物、例えば残留出発材料又は対応する二置換化合物を除去するため、これを更に精製ステップに供する。
【0087】
一般に、精製ステップは、通常の精製方法、例えば結晶化、蒸留、又はクロマトグラフィー法、例えばカラムクロマトグラフィー若しくは高速液体クロマトグラフィーを使用することによって行われる。
【0088】
R1基とR2基とが同一である一般式(I)のジエーテル化合物の調製は、典型的には、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、それぞれ少なくとも2当量、例えば2.0、2.1、2.5、又は3.0当量のアルキル化試薬R1-X又はR2-X[式中、R1基、R2基、及びXは、上に与えた意味の1つを有する]と反応させることによって行われ、続いて、得られた未処理生成物を上に定義した精製ステップに供する。未処理生成混合物中に微量の不純物及び副生成物が存在するに過ぎない場合、精製ステップは、単純な抽出処理によって行うこともできる。
【0089】
R1基とR2基とが異なる一般式(I)のジエーテル化合物の調製は、一般に、まず2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、等モル未満又はほぼ等モル量、例えば0.7、0.8、0.9、又は0.95当量のアルキル化試薬R1-Xと反応させてモノ置換化合物(I-OH)を生成し、精製ステップの後、これを更に第2のアルキル化試薬R2-Xと反応させることによって行われる。
【0090】
一般に、一般式(I)のエステル化合物は、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、カルボン酸R3-COOH、及び任意選択によりカルボン酸R4-COOH[式中、R3及びR4は、上に与えた意味の1つを有する]、若しくはこれらの酸無水物、又はカルボン酸R3-COOH及び/若しくはR4-COOHとこれらの酸無水物との混合物と反応させることによって、効率的に調製することができる。反応は典型的には、エステル化触媒又は塩基の存在下で行われる。
【0091】
この反応に適用することができる好適なエステル化触媒は、当業者に周知である。好適なエステル化触媒は、例えば、金属系触媒、例えば、金属、金属酸化物、若しくは金属塩、例えば金属アルコキシレートの形態の鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン、及びスズ触媒;鉱酸、例えば硫酸、塩酸、若しくはリン酸;又は有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、若しくはパラ-トルエンスルホン酸である。
【0092】
好適な塩基は、例えば、上に定義した有機塩基である。
【0093】
あるいは、一般式(I)のエステル化合物は、有機塩基の存在下で、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、式R3-(C=O)X'又はR4-(C=O)X'[式中、R3及びR4は上に与えた意味の1つを有し、X'はハロゲン、例えばCl、Br、又はIである]の酸ハロゲン化物と反応させることによって、調製することができる。
【0094】
好適な有機塩基は、上に定義した通りである。
【0095】
一般式(I)のエステル化合物を調製するための個々の反応条件は、当業者に周知である。
【0096】
一般式(I)のモノエステル化合物を調製するためには、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、典型的には、等モル未満又はほぼ等モル量、例えば0.7、0.8、0.9、又は0.95当量のカルボン酸R3-COOH若しくはその無水物、又は該カルボン酸とその無水物との混合物と反応させる。あるいは、有機塩基の存在下で、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、典型的には、同量の酸ハロゲン化物R3-(C=O)X'と反応させる。続いて、得られた未処理生成物を、上に定義した精製ステップに供する。
【0097】
R3基とR4基とが同一である一般式(I)のジエステル化合物を調製するためには、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、典型的には、それぞれ少なくとも2当量、例えば2.0、2.1、2.5、又は3.0当量のカルボン酸R3-COOH又はR4-COOH、その無水物、又は該カルボン酸とその無水物との混合物と反応させる。あるいは、有機塩基の存在下で、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、典型的には、それぞれ少なくとも2当量の酸ハロゲン化物R3-(C=O)X'又はR4-(C=O)X'と反応させる。続いて、得られた未処理生成物を、上に定義した精製ステップに供する。未処理生成混合物中に微量の不純物及び副生成物が存在するに過ぎない場合、精製ステップは、単純な抽出処理によって行うこともできる。
【0098】
R3基とR4基とが異なる一般式(I)のジエステル化合物の調製は、一般に、まず2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、等モル未満又はほぼ等モル量、例えば0.7、0.8、0.9、又は0.95当量のカルボン酸R3-COOH又はその無水物と反応させてモノ置換化合物(II-OH)を生成し、精製ステップの後、これを更に第2のカルボン酸R4-COOH又はその無水物と反応させることによって行われる。
【0099】
あるいは、R3基とR4基とが異なる化合物(I)の調製は、有機塩基の存在下で、まず2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、等モル未満又はほぼ等モル量、例えば0.7、0.8、0.9、又は0.95当量の酸ハロゲン化物R3-(C=O)X'と反応させてモノ置換化合物(II-OH)を生成し、精製ステップの後、これを更に第2の酸ハロゲン化物R4-(C=O)X'と反応させることによっても、達成することができる。
【0100】
出発材料2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールは、ポリマー性材料の合成のためのモノマーとして頻繁に使用される、ジオールビルディングブロックである。したがって、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールは、商業的供給源から容易に入手可能である。あるいは、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールは、当技術分野においてよく記載されるプロセスを使用して、例えばジメチルケテンの二量化によって、大量に合成することもできる。
【0101】
組成物
式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、広範囲の組成物、例えば即時使用可能な組成物に使用することができる。式(I)の化合物の嗅覚特性、物質特性(例えば通常の溶媒への溶解性、及びこのような組成物の更なる通常の構成要素との適合性)、及び毒物学的許容性は、記載した使用目的及び組成物に特に好適であることを際立たせる。
【0102】
更に、一般式(I)の化合物は、有利な第2の特性を呈する。
【0103】
例えば、一般式(I)の化合物は、他のフレグランスとの相乗効果の結果、より良好な感覚プロファイルを提供することができ、このことは、他のフレグランスについての増強効果を提供できることを意味する。そのため、これらは他のフレグランスについての増強剤として好適である。
【0104】
増強効果は、物質が香料配合物中で、混合物全体としての印象を強化し強調することを意味する。例えば、ミントの範囲では、純粋な物質であるメンチルメチルエーテル自体は特定の強い匂いをまったく展開しないにもかかわらず、メンチルメチルエーテルは、ペパーミント油の香料又は味覚混合物を強調し、特にトップノートにおいて、相当により強くより複雑な知覚をもたらすことが知られている。フレグランス用途では、Hedione(登録商標)(メチルジヒドロジャスモネート)は、純粋な物質としては軽いフローラルジャスミンノートを呈するのみであるが、匂い増強剤としては、香水組成物の拡散、清涼感、及び体積を補強する。増強効果は、匂いの印象が特に迅速にかつ強く伝達されることになる、トップノートを特徴とする用途が求められる場合、例えば、デオドラント、空気清涼剤、又はチューインガムにおける味覚分野において、特に所望される。
【0105】
このような増強効果を達成するため、一般式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、一般に、フレグランス混合物の総重量を基準として、0.1~20重量%の量、好ましくは0.5~5重量%の量、特に0.6~3重量%の量で使用する。
【0106】
更に、一般式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、これらが適用される組成物自体への更に肯定的な効果を有し得る。例えば、一般式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、組成物の全体の性能、例えば組成物の安定性、例えば製剤安定性、拡張性、又は持続力を強化することができる。
【0107】
したがって、本発明の更なる実施形態はそのため、一般式(I)の化合物、若しくは2種以上の異なる式(I)の化合物の混合物、又はそれらの立体異性体、若しくはそれらの立体異性体の混合物の、即時使用可能な組成物中の芳香化学物質としての使用に関する。
【0108】
本明細書で使用する「即時使用可能な組成物」という用語は、最終使用者がそれ自体を適用又は使用することを意図した組成物を指す。
【0109】
一般に、本発明の芳香化学物質、すなわち、上に定義した一般式(I)の化合物を適用することができる即時使用可能な組成物は、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物である。
【0110】
本発明の芳香化学物質、すなわち、上に定義した一般式(I)の化合物を適用することができるフレグランスを付与した即時使用可能な組成物は、例えば、パーソナルケアに使用する組成物、ホームケアに使用する組成物、工業用途に使用する組成物、及び他の用途に使用する組成物、例えば医薬組成物、又は作物保護組成物である。
【0111】
好ましくは、即時使用可能な組成物は、香水組成物、化粧品組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯の衛生用製品、衛生物品、清掃組成物、布用洗剤組成物、食器洗い組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物から選択される。
【0112】
香水組成物は、ファインフレグランス、液体形態、ゲル状形態、又は固体担体に適用された形態の空気清涼剤、エアロゾルスプレー、香り付き清掃剤、賦香キャンドル及び賦香油、例えばランプ油又はマッサージ用油から選択され得る。
【0113】
ファインフレグランスの例は、香水抽出物、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、オードソリッド、及びエクストレパルファム(Extrait Parfum)等である。
【0114】
ボディケア組成物は、アフターシェーブ、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、固体及び液体の石鹸、シャワージェル、シャンプー、ひげ剃り用石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧品エマルション、例えばスキンクリーム及びスキンローション、フェイスクリーム及びフェイスローション、日焼け止めクリーム及び日焼け止めローション、アフターサンクリーム及びアフターサンローション、ハンドクリーム及びハンドローション、フットクリーム及びフットローション、脱毛クリーム及び脱毛ローション、アフターシェーブクリーム及びアフターシェーブローション、並びにタンニングクリーム及びタンニングローション、粉末、ヒドロゲル、毛髪ケア製品、例えば毛髪用スプレー、毛髪用ジェル、毛髪セットローション、毛髪用コンディショナー、毛髪用シャンプー、並びにパーマネント型及びセミパーマネント型の毛髪用着色剤、毛髪成形組成物、例えばコールドウェーブ用及び毛髪平滑化組成物、ヘアトニック、毛髪用クリーム及び毛髪用ローション、デオドラント及び制汗剤、例えば脇用スプレー、ロールオン、デオドラントスティック及びデオドラントクリーム、装飾化粧品製品、例えばアイライナー、アイシャドウ、マニキュア、メイクアップ、口紅、及びマスカラから選択され得る。
【0115】
口腔及び歯の衛生用製品は、練り歯磨き、デンタルフロス、マウスウォッシュ、呼気清涼剤、デンタルフォーム、デンタルゲル、及びデンタルストリップから選択され得る。
【0116】
衛生物品は、線香、殺虫剤、忌避剤、噴射剤、錆除去剤、賦香清涼ふき取り材、腋パッド、赤ん坊用オムツ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧ふき取り材、ポケットティッシュ、食器洗い剤、及び消臭剤から選択され得る。
【0117】
清掃組成物、例えば固体表面用清掃剤は、酸性、アルカリ性、及び中性の賦香清掃剤、例えば、床用清掃剤、窓用清掃剤、浴室及びサニタリー用清掃剤、スカーリングミルク(scouring milk)、固形及び液体トイレ清掃剤、粉末及びフォームのカーペット用清掃剤、食器の手洗い及び機械洗い用食器洗剤、ワックス及び磨き剤、例えば、家具用磨き剤、床用ワックス、靴用クリーム、消毒剤、表面消毒剤及びサニタリー清掃剤、ブレーキ清掃剤、パイプ清掃剤、水垢除去剤、グリル及びオーブン用清掃剤、藻類及びコケ除去剤、カビ除去剤、並びにファサード清掃剤から選択され得る。
【0118】
布用洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯前処理剤、例えば漂白剤、浸漬剤及び染み除去剤、織物用柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯タブレットから選択され得る。
【0119】
食品は、未処理の、加熱調理した、若しくは加工した食用の物質、氷菓、飲料、又は全体若しくは一部がヒトの体内摂取に使用される若しくは使用が意図された成分、又はチューインガム、グミ、ゼリー、及び菓子を意味する。
【0120】
栄養補助食品は、飲食物に更なる栄養価を添加することを意図した飲食物成分を含有する、摂取を意図した製品である。飲食物成分は、次の物質、すなわち、ビタミン、ミネラル、ハーブ若しくは他の植物性物質、アミノ酸、人々が総飲食物摂取量の増大によって食事を補助するために使用される飲食物物質、濃縮物、代謝物、構成成分、又は抽出物のうちの1つ又は任意の組合せであり得る。栄養補助食品は、多くの形態、例えばタブレット、カプセル、ソフトゲル、ジェルキャップ、液体、又は粉末で、見出すことができる。
【0121】
医薬組成物は、疾病の診断、治療、緩和、処置、又は予防における使用を意図した組成物、及びヒト又は他の動物の体の構造又は任意の機能に影響を及ぼすことを意図した物品(食品以外)を含む。
【0122】
作物保護組成物は、農作物及び森林地を損なう、植物の疾病、雑草、及び他の有害生物(脊椎動物及び無脊椎動物の両方)に対処することを意図した組成物を含む。
【0123】
本発明による組成物は、1種以上の物質、例えば、保存料、研磨剤、抗にきび剤、皮膚の老化を抑えるための薬剤、抗細菌剤、抗セルライト剤、抗フケ剤、抗炎症剤、刺激予防剤、刺激軽減剤、抗菌剤、抗酸化剤、収斂剤、発汗抑制剤、消毒剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝剤、担体材料、キレート剤、細胞刺激物質、清掃剤、ケア剤、脱毛剤、表面活性物質、消臭剤、制汗剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、フィルム形成剤、固定剤、フォーム形成剤、フォーム安定剤、発泡を予防するための物質、発泡増強剤、殺菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、毛髪ケア剤、毛髪成形剤、毛髪平滑化剤、水分供与剤、加湿物質、保湿剤物質、漂白剤、補強剤、染み除去剤、蛍光増白剤、含浸剤、汚れ忌避剤(soil repellent)、摩擦低減剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、磨き剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、加脂剤(refatting agent)、剥離剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚クレンジング剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤(warming agent)、皮膚加温剤、安定剤、UV吸収剤、UVフィルタ、織物柔軟剤、懸濁剤、皮膚タンニング剤、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ若しくはポリ不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、着色防止剤、顔料、防食剤、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶媒、又はシリコーン誘導体を更に含み得る。
【0124】
上述のように、一般式(I)の化合物は一般に、快く特徴的な匂いを呈し、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物を生成するために使用することができ、かつ/又は化合物(I)とは異なる他の芳香化学物質と有利に組み合わせて新しい香りプロファイルを作り出せることが、更に見出された。
【0125】
したがって、本発明の特定の実施形態は、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物の香りの特徴を改質するための、式(I)の化合物、若しくは2種以上の異なる式(I)の化合物の混合物、又はそれらの立体異性体、若しくはそれらの立体異性体の混合物の使用に関する。
【0126】
本発明は更に、上に定義した少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び化合物(I)とは異なる更なる芳香化学物質及び非芳香化学物質担体からなる群から選択される少なくとも1種の更なる化合物を含む、芳香化学物質組成物に関する。
【0127】
これは、上に定義した少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び化合物(I)とは異なる少なくとも1種の更なる芳香化学物質を含む、芳香化学物質組成物を含む。
【0128】
更に、上に定義した少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種の非芳香化学物質担体を含む、芳香化学物質組成物を含む。
【0129】
上に定義した少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、化合物(I)とは異なる少なくとも1種の更なる芳香化学物質、及び少なくとも1種の非芳香化学物質担体を含む、芳香化学物質組成物も含む。
【0130】
好ましくは、芳香化学物質組成物は、上に定義した少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、化合物(I)とは異なる少なくとも1種の更なる芳香化学物質、及び少なくとも1種の非芳香化学物質担体を含む。
【0131】
化合物(I)とは異なる更なる芳香化学物質は、例えば、以下からなる群から選択される1種以上、好ましくは2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種以上の芳香化学物質であり得る。
【0132】
ゲラニルアセテート(3,7-ジメチル-2,6オクタジエン-1イルアセテート)、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-フェノキシエチルイソブチレート(Phenirat1)、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、メチルジヒドロジャスモネート(好ましくは、シス異性体の含有率が60重量%超)(Hedione9、Hedione HC9)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-シクロペンタ[g]ベンゾピラン(Galaxolid3)、テトラヒドロリナロール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、エチルリナロール、ベンジルサリチレート、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lilial2)、シンナミルアルコール、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニルアセテート及び/又は4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニルアセテート(Herbaflorat1)、シトロネロール、シトロネリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、リナリルアセテート、スチロリルアセテート(1-フェニルエチルアセテート)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン(Iso E Super3)、ヘキシルサリチレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Oryclone1)、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Agrumex HC1)、α-イオノン(4-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン)、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、テルピニルアセテート、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Lyral3)、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシレート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エノン(Muscenon9)、15-ペンタデカ-11-エノリド及び/又は15-ペンタデカ-12-エノリド(Globalide1)、15-シクロペンタデカノリド(Macrolide1)、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン(Tonalid10)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florol9)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandolen1)、シス-3-ヘキセニルアセテート、トランス-3-ヘキセニルアセテート、トランス-2/シス-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Vertocitral1)、2,4,4,7-テトラメチルオクタ-6-エン-3-オン(Claritone1)、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール(Melonal2)、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール(Florhydral2)、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール(Helional3)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(Florazon1)、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン(Calone)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート(好ましくは、シス異性体の含有率が70重量%以上)、並びに2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール(Ambrinol S1)。
【0133】
上で商品名が示されている場合、これらは、以下の供給元を指す。
1 ドイツ、Symrise GmbHの商品名、
2 スイス、Givaudan AGの商品名、
3 アメリカ、International Flavors & Fragrances Inc.、USAの商品名、
5 フランス、Danisco Seillans S.A.の商品名、
9 スイス、Firmenich S.A.の商品名、
10 オランダ、PFW Aroma Chemicals B.V.の商品名。
【0134】
上に定義した式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を組み合わせて、例えば本発明による組成物をもたらすことができる更なる芳香化学物質は、例えば、自費出版されたS. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals、Vol. I及びII、Montclair, N. J.、1969、又はK. Bauer、D. Garbe及びH. Surburg、Common Fragrance and Flavor Materials、第4版、Wiley- VCH、Weinheim 2001に見出すことができる。具体的には、以下のものが言及され得る。
天然原材料から得た抽出物、例えば、精油、コンクリート(concrete)、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、
アンバーグリスチンキ、アミリス油、アンゼリカ種子油、アンゼリカ根油、アニス油、吉草根油、メボウキ油、ツリーモスアブソリュート、ベイ油、ヨモギ油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、蜜蝋アブソリュート、バーチタール油、ビターアーモンド油、セイバリー油、ブーク葉油、カブリューバ油、カデ油、ショウブ(calmus)油、カンファー油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カシア油、カシアアブソリュート、カストリウムアブソリュート、シダー葉油、シダーウッド油、シスツス(cistus)油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタス根油、クミン油、サイプレス油、ダバナ油、ディルウィード油、ディル種子油、オードブルー(Eau de brouts)アブソリュート、オークモスアブソリュート、エレミ油、タラゴン油、ユーカリシトリオドラ(eucalyptus citriodora)油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、ガルバナム油、ガルバナム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤックウッド油、ガージャンバルサム、ガージャンバルサム油、ヘリクリサムアブソリュート、ヘリクリサム油、ショウガ油、アイリス根アブソリュート、アイリス根油、ジャスミンアブソリュート、ショウブ(calmus)油、ブルーカモミール油、ローマカモミール油、ニンジン種子油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、キャラウェー油、ラブダナム油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダーアブソリュート、ラベンダー油、レモングラス油、ロベージ油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロール油、アオモジ(litsea cubeba)油、ローレル葉油、メース油、マジョラム油、マンダリン油、マッソイバーク油、ミモザアブソリュート、ジャコウ種子油、ジャコウチンキ、クラリセージ油、ナツメグ油、ミルラアブソリュート、ミルラ油、ミルテ油、丁子葉油、丁子花油、ネロリ油、乳香アブソリュート、乳香油、オポパナクス油、オレンジ花アブソリュート、オレンジ油、オリガナム油、パルマローザ油、パッチュリ油、エゴマ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種子油、プチグレン油、ペパーミント油、コショウ油、ピメント油、松油、ペニーローヤル油、ローズアブソリュート、ローズウッド油、ローズ油、ローズマリー油、ダルマチアセージ油、スペインセージ油、ビャクダン油、セロリ種子油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、エゴノキ油、タゲテス油、モミ葉油、ティーツリー油、テレピン油、タイム油、トルーバルサム、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラ抽出物、スミレ葉アブソリュート、バーベナ油、ベチバ油、ジュニパーベリー油、ワイン澱油、ニガヨモギ油、ウインターグリーン油、ヒソップ油、シベットアブソリュート、シナモン葉油、桂皮油、及びこれらの画分又はこれらから単離される成分、
炭化水素の群の個々のフレグランス、例えば、3-カレン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギホレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタン、
脂肪族アルコール、例えばヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、
脂肪族アルデヒド及びそのアセタール、例えばヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-ヘキサ-3-エン、脂肪族ケトン及びそのオキシム、例えば2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、
脂肪族硫黄含有化合物、例えば3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオール、
脂肪族(taliphatic)ニトリル、例えば2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2-トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキシアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネート、
非環式テルペンアルコール、例えばゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート、及び3-メチル-2-ブテノエート、
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えばゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルアセタール及びジエチルアセタール、環式テルペンアルコール、例えばメントール、イソプレゴール、α-テルピネオール、テルピン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアイオール(guajol)、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート、及び3-メチル-2-ブテノエート、
環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えばメントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、α-n-メチルイオノン、β-n-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマセノン、δ-ダマスコン、γ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、α-シネンサール、β-シネンサール、アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)、
環式アルコール、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
脂環式アルコール、例えばα-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、
環式及び脂環式エーテル、例えばシネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロドデカン、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、α-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、
環状及び大環状ケトン、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-シス-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、7-シクロヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン、
脂環式アルデヒド、例えば2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、
脂環式ケトン、例えば1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン、
環式アルコールのエステル、例えば2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、
脂環式アルコールのエステル、例えば1-シクロヘキシルエチルクロトネート、
脂環式カルボン酸のエステル、例えばアリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、シス-及びトランス-メチルジヒドロジャスモネート、シス-及びトランス-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、
芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール、
芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル、例えばベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、α-トリクロロメチルベンジルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテート、
芳香脂肪族エーテル、例えば2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、
芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えばベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、α-ブチルシンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、
芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えばアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトン、
芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸並びにこれらのエステル、例えば安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート、
窒素含有芳香族化合物、例えば2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シンナモニトリル、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、メチルアントラニレート、メチル-N-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒドとのシッフ塩基、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン、
フェノール、フェニルエーテル、及びフェニルエステル、例えばエストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、β-ナフチルメチルエーテル、β-ナフチルエチルエーテル、β-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテート、
複素環式化合物、例えば2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン、
ラクトン、例えば1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、シス-及びトランス-11-ペンタデセン-1,15-オリド、シス-及びトランス-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン。
【0135】
少なくとも1種の非芳香化学物質担体は、感覚特性を有しない、又は注目に値する感覚特性を有しない、化合物、化合物の混合物、又は他の添加剤であり得る。典型的には、少なくとも1種の非芳香化学物質担体は、本発明による芳香化学物質組成物中に存在する場合、感覚特性を有しない、又は注目に値する感覚特性を有しない、化合物、化合物の混合物、又は他の添加剤である。非芳香化学物質担体は、芳香化学物質組成物中に含まれる芳香化学物質を、すなわち、上に定義した式(I)の化合物、及び任意選択により、化合物(I)とは異なる1種以上の更なる芳香化学物質を、希釈及び/又は固定する役割を果たす。
【0136】
好適な担体材料は、液体又は油状の担体材料、及びワックス状又は固体の担体材料であり得る。
【0137】
好適な液体又は油状の担体材料は、例えば、水、アルコール、例えばメタノール若しくはエタノール、20℃未満の融解温度を有する脂肪族ジオール及びポリオール、例えばエチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール又はジプロピレングリコール、及び1,2-ブチレングリコール、環状シロキサン、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン若しくはデカメチルシクロペンタシロキサン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、植物性油、例えば画分化ココナツ油、又は20℃未満の融解温度を有する脂肪アルコールのエステル、例えばテトラデシルアセテート若しくはテトラデシルラクテート、20℃未満の融解温度を有するグリセロールのエステル、並びに20℃未満の融解温度を有する脂肪酸のアルキルエステル、例えばイソプロピルミリステートから選択される。
【0138】
好適なワックス状又は固体の担体材料は、例えば、20℃未満の融解温度を有する脂肪アルコール、例えばミリスチルアルコール、ステアリルアルコール若しくはセチルアルコール、20℃超の融解温度を有するポリオール、20℃超の融解温度を有する脂肪アルコールとの脂肪酸エステル、例えばラノリン、蜜蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋若しくは木蝋、石油から生成するワックス、例えば硬質パラフィン、水不溶性多孔質鉱物、例えばシリカゲル、シリケート、例えばタルク、微孔性結晶質アルミノシリケート(ゼオライト)、粘土鉱物、例えばベントナイト、又はホスフェート、例えばトリポリリン酸ナトリウム、紙、厚紙、木材、天然及び/若しくは合成繊維から作製される布の複合材料若しくは不織材料から選択される。
【0139】
好適な担体材料は、例えば水溶性ポリマー、例えばポリアクリル酸エステル、若しくは第四級化ポリビニルピロリドン、又は水-アルコール可溶性ポリマー、例えば特定の熱可塑性ポリエステル及びポリアミドからも選択される。ポリマー性担体材料は、様々な形態、例えばゲル、ペースト、固体粒子、例えばマイクロカプセル、又は脆性コーティングの形態で存在し得る。
【0140】
好ましくは、芳香化学物質組成物は、上に定義したフレグランスを付与した即時使用可能な組成物から選択される。
【0141】
一般に、本発明による芳香化学物質組成物中の少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の総量は、典型的には、具体的な意図する使用又は意図する用途に適応されるため、したがって、広範囲にわたって多様であり得る。通例、香りについての通常の標準的な商業使用量が使用される。
【0142】
したがって、組成物中の少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の総量は、組成物の総重量を基準として、0.001~99.9重量%の範囲、好ましくは0.01~90重量%の範囲、より好ましくは0.05~80重量%の範囲、更により好ましくは0.1~60重量%の範囲、特に0.1~40重量%の範囲である。
【0143】
本発明の一実施形態では、組成物中の少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の総量は、組成物の総重量を基準として、0.001~5重量%の範囲、好ましくは0.01~2重量%の範囲である。
【0144】
本発明の更なる実施形態は、少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物と、界面活性剤、皮膚軟化剤、及び溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の構成成分とを含む組成物を対象とする。
【0145】
本発明の一実施形態は、少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種の溶媒を含む組成物を対象とする。
【0146】
本発明の文脈において、「溶媒」は、上に定義した式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を希釈する役割を果たす。いくつかの溶媒は、同時に固定特性を有する。
【0147】
1種以上の溶媒は組成物中に、組成物を基準として、0.01~99重量%存在してもよい。本発明の好ましい実施形態では、組成物は、組成物を基準として、0.1~90重量%、好ましくは0.5~80重量%の溶媒を含む。溶媒の量は、組成物に応じて選択することができる。本発明の一実施形態では、組成物は、組成物を基準として、0.05~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.2~3重量%含む。本発明の一実施形態では、組成物は、組成物を基準として、20~70重量%、好ましくは25~50重量%の溶媒を含む。
【0148】
好ましい溶媒は、エタノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルフタレート(DEP)、イソプロピルミリステート(IPM)、トリエチルシトレート(TEC)、及びベンジルベンゾエート(BB)である。
【0149】
特に好ましい溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0150】
本発明の好ましい実施形態では、溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0151】
更なる態様によれば、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、界面活性剤含有組成物における使用に適している。その特徴的な香りプロファイルによって、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物は、とりわけ、界面活性剤含有組成物、例えば、清掃剤(特に洗濯用清掃剤及び汎用清掃剤)の賦香に使用することができる。
【0152】
そのため、本発明の一実施形態は、少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種の界面活性剤を含む組成物を対象とする。
【0153】
界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び/又は両性若しくは双性イオン性の界面活性剤から選択され得る。界面活性剤含有組成物、例えば、シャワージェル、フォームバス、シャンプー等は、好ましくは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する。
【0154】
本発明による組成物は、通常、凝結体中に界面活性剤を、組成物の総重量を基準として0~40重量%、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の量で含有する。非イオン性界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、任意選択により部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド又はグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギベースの植物性生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、並びにアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、非イオン性界面活性剤は、従来のホモログ分布を有してもよいが、好ましくは、範囲が狭いホモログ分布を有する。
【0155】
双性イオン性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基、及び少なくとも1個の-COO(-)又は-SO3 (-)基を含有する、表面活性化合物である。特に好適な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、アルキル基又はアシル基中に8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で公知の脂肪酸アミド誘導体は、特に好ましい。
【0156】
両性界面活性剤は、特に共界面活性剤としても適している。両性界面活性剤は、C8~C18アルキル又はアシル基に加えて、分子中に少なくとも1個の遊離アミノ基、及び少なくとも1個の-COOH-基又は-SO3H-基を含有し、内塩を形成することができる、表面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸、及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート、及びアシルサルコシンである。
【0157】
アニオン性界面活性剤は、水溶性化作用のあるアニオン性基、例えばカルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、又はリン酸基、及び親油性基を特徴とする。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、関連する教科書から多数が実務者に知られており、商業的に入手可能である。これらは特に、アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、直鎖状C12~C8アルキル基又はアシル基を含有するアシルタウリン、並びにアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形態のスルホスクシネート及びアシルグルタメートである。
【0158】
特に適切なカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、好ましくはアンモニウムハライド、より詳細にはクロリド及びブロミド、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。加えて、容易に生分解される第四級エステル化合物、例えば、Stepantexeの名称で販売されているジアルキルアンモニウムメトススルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキル(dialkoyloxyalkyl)アンモニウムメトスルフェート、並びに対応するDehyquart(登録商標)シリーズの製品を、カチオン性界面活性剤として使用してもよい。「エステルクワット(esterquat)」は一般に、第四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解される。エステルクワットは、組成物に特別な柔らかさをもたらすことができる。エステルクワットは、関連する有機化学の方法によって調製される、公知の物質である。本発明による使用に好適な他のカチオン性界面活性剤は、第四級化タンパク質加水分解物である。
【0159】
本発明の一実施形態は、少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種の油構成成分を含む組成物を対象とする。
【0160】
油構成成分は典型的には、組成物を基準として、0.1~80重量%、好ましくは0.5~70重量%、より好ましくは1~60重量%、更により好ましくは1~50重量%、詳細には1~40重量%、より詳細には5~25重量%、特定的には5~15重量%の総量で存在する。
【0161】
油構成成分は例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールをベースとするゲルベアルコール、並びに他の更なるエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート、及びエルシルエルケートから選択され得る。C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖状若しくは分岐状C6~C22脂肪アルコールとのエステル、より特別にはジオクチルマレート、直鎖状及び/若しくは分岐状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール(dial)又はトリマートリオール)とのエステル、C6~C10脂肪酸をベースとするトリグリセリド、C6~C18脂肪酸をベースとする液体モノ-、ジ-及びトリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコール及び/若しくはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、より特定的には安息香酸とのエステル、ジカルボン酸と2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物性油、分岐状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状及び分岐状C6~C22脂肪アルコールカルボネート、例えばジカプリリルカルボネート(Cetiol@ CC)、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールをベースとするゲルベカルボネート、安息香酸と直鎖状及び/若しくは分岐状C6~C22アルコール(例えば、Finsolv(登録商標) TN)とのエステル、アルキル基1個当たり6~22個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分岐状の対称若しくは非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標) OE)、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオール及び炭化水素との開環生成物、又はこれらの混合物も好適である。
【0162】
調製方法
本発明の更なる実施形態は、上に定義した少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を、即時使用可能な組成物に組み込むステップを含む、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物を調製する方法に関する。
【0163】
この方法は、感覚特性を有しない又は注目すべき感覚特性を有しない即時使用可能な組成物に特定の匂い及び/又は特定の香味をもたらすために、少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を、この即時使用可能な組成物に組み込むことを含む。加えて、この方法は、注目すべき感覚特性を既に有する即時使用可能な組成物に少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を組み込むことによって、該即時使用可能な組成物の匂い及び/又は香味を改質することも含む。
【0164】
好ましい即時使用可能な組成物は、上述したものである。
【0165】
即時使用可能な組成物に組み込まれる少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の総量は、意図する使用又は意図する用途に強く依存し、したがって、広範囲にわたって多様であり得る。即時使用可能な組成物に組み込まれる少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の典型的な量は、組成物について上で定義した量である。
【0166】
本発明によって使用される式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、上記の本発明の方法によって得ることができる組成物、及びこれらを含む本発明による芳香化学物質組成物は、マイクロカプセル化された形態、噴霧乾燥された形態、包接複合体の形態、又は押出製品の形態であってもよい。より対象を絞った香りの放出に関しては、好適な材料によるいわゆる「コーティング」によって、特性を更に最適化することができ、この目的のため、好ましくはワックス状合成物質、例えばポリビニルアルコールが使用される。
【0167】
マイクロカプセル化は、例えば、いわゆるコアセルベーション方法によって、例えばポリウレタン状物質又は軟質ゼラチンから作製されたカプセル材料を用いて行うことができる。噴霧乾燥された香油は例えば、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を含むエマルション又は分散液を噴霧乾燥させることによって生成することができ、使用することができる担体物質は、加工デンプン、タンパク質、デキストリン、及び植物性ガムである。包接複合体は、例えば、フレグランス組成物、及びシクロデキストリン又は尿素誘導体の分散液を、好適な溶媒、例えば水に導入することによって、調製することができる。押出製品は、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を、好適なワックス状物質と共に溶融させ、任意選択により好適な溶媒、例えばイソプロパノール中で、押出して次いで固化させることによって、生成することができる。
【0168】
本発明の更なる実施形態は、一般式(I.a)の化合物
【0169】
【化8】
[式中、
R1aはC2~C4アルキルであり、
R2aは水素又はC2~C4アルキルである]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物に関する。
【0170】
本発明の好ましい実施形態は、一般式(I.a)のジエーテル化合物に関し、すなわち、R1a及びR2aが互いに独立してC2~C4アルキルから選択される一般式(I.a)の化合物に関する。
【0171】
R1a基とR2a基とが同一である一般式(I.a)のジエーテル化合物は、更に好ましい。
【0172】
好ましい一般式(I.a)の化合物の例は、
2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジイソプロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジイソプロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジイソプロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
2,4-ジイソブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジイソブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジイソブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンである。
【0173】
R1a基及びR2a基が、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される一般式(I.a)の化合物は、より好ましい。
【0174】
R1a基とR2a基とが同一であり、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される一般式(I.a)の化合物は、更により好ましい。
【0175】
特に好ましい化合物(1.a)は、
2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、
本質的にシス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、及び
本質的にトランス異性体の形態で存在する2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンである。
【0176】
一般式(I.a)の化合物は、シス/トランス異性体の混合物の形態で存在してもよく、本質的にシス異性体又はトランス異性体それぞれの形態で存在してもよい。
【0177】
「シス/トランス異性体の混合物」及び「本質的に~存在する」という表現に関しては、一般式(I)の化合物について上に与えた記載を参照する。
【0178】
好ましくは、一般式(I.a)の化合物は、シス/トランス異性体の混合物の形態で存在する。
【0179】
一般式(I.a)の化合物は、一般式(I)の化合物について記載したように調製することができる。
【0180】
したがって、本発明は、
(i)塩基の存在下で、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、アルキル化試薬R1a-X、及び任意選択により、アルキル化試薬R2a-X[式中、R1a及びR2aは上に与えた意味の1つを有し、Xはハロゲン、例えばCl、Br、I、及びスルホネート、例えばトシレート、メシレート、トリフレート、又はノナフレートから選択される脱離基を表す]と反応させ、未処理生成物混合物を得るステップ、並びに
(ii)ステップ(i)において得た未処理生成物混合物を、精製ステップに供するステップ
を含む、上に定義した式(I.a)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を調製する方法にも関する。
【0181】
ステップ(i)におけるアルキル化反応は、当業者に周知の、従来のアルキル化反応条件下で行われる。
【0182】
アルキル化反応に使用することができる好適な塩基は、上に定義した通りである。
【0183】
一般式(I.a)のモノエーテル化合物を調製するためには、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、典型的には、等モル未満又はほぼ等モル量、例えば0.7、0.8、0.9、又は0.95当量のアルキル化試薬R1a-Xと反応させ、モノ置換化合物(I.a-OH)
【0184】
【化9】
[式中、R1aは上に与えた意味の1つを有する]を生成し、
これを更に、望ましくない副生成物又は不純物、例えば残留出発材料又は対応する二置換化合物を除去するため、上に定義した精製ステップに供する。
【0185】
R1a基とR2a基とが同一である一般式(I.a)のジエーテル化合物の調製は、典型的には、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、それぞれ少なくとも2当量、例えば2.0、2.1、2.5、又は3.0当量のアルキル化試薬R1a-X又はR2a-X[式中、R1a基、R2a基、及びXは、上に与えた意味の1つを有する]と反応させることによって行われ、続いて、得られた未処理生成物を上に定義した精製ステップに供する。
【0186】
R1a基とR2a基とが異なる一般式(I)のジエーテル化合物の調製は、一般に、まず2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、等モル未満又はほぼ等モル量、例えば0.7、0.8、0.9、又は0.95当量のアルキル化試薬R1-Xと反応させてモノ置換化合物(I.-a-OH)を生成し、精製ステップの後、これを更に第2のアルキル化試薬R2a-Xと反応させることによって行われる。
【0187】
一般に、出発材料2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールは、シス/トランス異性体の混合物として適用される。その結果、化合物I.aは、典型的には、シス/トランス異性体の混合物として得られる。
【0188】
式(I.a)の化合物を調製する方法のステップ(ii)では、望ましくない副生成物又は不純物、例えば残留モノ置換化合物(I.a-OH)を除去するため、及び所望により、シス/トランス異性体を分離するため、ステップ(i)において得た未処理生成物混合物を精製ステップに供する。
【0189】
一般にステップ(ii)における精製は、通常の精製方法、例えば結晶化、蒸留、又はクロマトグラフィー方法、例えばカラムクロマトグラフィー若しくは高速液体クロマトグラフィーを使用することによって行うことができる。未処理生成混合物中に微量の不純物及び副生成物が存在するに過ぎない場合、精製ステップは、単純な抽出処理によって行うこともできる。所望により、分別結晶化、カラムクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィーによって、シス/トランス異性体を分離することができる。あるいは、US3,227,764に記載されている方法を使用することによっても、シス/トランス異性体を分離することができる。
【0190】
本発明の更なる実施形態は、一般式(I.b)の化合物
【0191】
【化10】
[式中、
R1bは-(C=O)-R3であり、
R2bは水素又は-(C=O)-R4であり、
R3及びR4は互いに独立して、水素及びC1~C4アルキルからなる群から選択され、ただし、R3とR4が存在する場合、R3とR4は異なる]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物に関する。
【0192】
本発明の好ましい実施形態は、一般式(I.b)のジエーテル化合物に関し、すなわち、R2bが-(C=O)-R4である一般式(I.b)の化合物に関する。
【0193】
R3及びR4が、水素及びC1~C3アルキルからなる群から、特に水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される一般式(I.b)の化合物は、更に好ましい。
【0194】
一般式(I.b)の化合物は、一般式(I)のエステル化合物について記載したように調製することができる。
【0195】
したがって、本発明は、
(i)有機塩基の存在下で、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、カルボン酸R3-COOH若しくはその無水物又は酸ハロゲン化物R3-(C=O)X'、及び任意選択によりカルボン酸R4-COOH若しくはその無水物又は酸ハロゲン化物R4-(C=O)X'[式中、R3及びR4は上に与えた意味の1つを有し、X'はハロゲン、例えばCl、Br、又はIを表す]と反応させ、未処理生成物混合物を得るステップ、並びに
(ii)ステップ(i)において得た未処理生成物混合物を、精製ステップに供するステップ
を含む、上に定義した式(I.b)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を調製する方法にも関する。
【実施例
【0196】
分析
生成物の純度を、ガスクロマトグラフィーの面積%によって決定した。
エステルについて、
GCシステム Agilent 7890 B
GCカラム CP-SIL 13(50m(長さ)、0.32mm(ID)、1.2マイクロメートル(フィルム))
温度プログラム 3°/分で120℃から200℃、20°/分で200℃から250℃。
【0197】
エーテルについて、
GCシステム Agilent 6890 N
GCカラム DB1(30m(長さ)、0.25mm(ID)、0.25マイクロメートル(フィルム))
温度プログラム 10℃で注入、3°/分で50℃から120℃、20°/分で120℃から200℃。
【0198】
1. 調製例
1.1 (3-ホルミルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)ホルメートの調製
【0199】
【表1】
【0200】
0℃で、ギ酸を無水酢酸にゆっくりと添加した。混合物を2時間、55℃で撹拌した。次いで、混合物を0℃に冷却し、20mLのTHFを添加し、この温度で、アルコールを50mLのTHFに溶かした溶液をゆっくりと添加した。添加後、DMAPを混合物に添加した。反応物を室温で3.5時間撹拌し、GCによって完全に変換したことを観察した。60mLのトルエンを混合物に添加し、有機相を3回、30mLの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、GC(面積%)によると96%のジホルメートを含有する9.7gの粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。99.2%(GC面積%)の純度を有する、対応するジホルメートを得た。NMRは、生成物が比率55:45のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0201】
生成物の特性評価
GC:純度99.2%(GC面積%)
13C-NMR
【0202】
【化11】
【0203】
【表2】
【0204】
1.2 (3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートの調製
【0205】
【表3】
【0206】
RFにおいて、DMAPをジオールのTHF溶液に添加した。混合物を還流させ(53℃)、この温度で無水酢酸(2.25eq)をゆっくりと添加した。2時間後、99%のジオールの変換が観察された。しかしながら、約15%のモノアセテートが混合物中に見出され、この理由のため、0.5eqの無水酢酸を反応物に添加した。3時間の還流後、GCによりジアセテートに97%変換したことを観察した。反応物を室温に冷却し、150mLの水でゆっくりとクエンチし、300mLの酢酸エチル及び200mLの水を添加した。有機相を分離し、NaHCO3及びブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると97%超のジアセテートを含有する、102.2gの粗生成物を得た。生成物を蒸留によって精製した。99.6%(GC面積%)の純度を有する、対応するジアセテートを得た。NMRは、生成物が比率55:45のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0207】
生成物の特性評価
GC:純度99.6%(GC面積%)
13C-NMR
【0208】
【化12】
【0209】
【表4】
【0210】
1.3 (3-プロパノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)プロパノエートの調製
【0211】
【表5】
【0212】
アルコール、トリエチルアミン、及びDMAPをヘキサン(50mL)に溶かした溶液を0℃に冷却した。この温度で、プロピオニルクロリドをゆっくりと添加した。反応物を室温で1時間撹拌し、50mLのヘキサンを添加し、反応物を1時間、還流下(67℃)で撹拌した。この時間の後、GCによって完全に変換したことを観察した。反応物を室温に冷却し、30mLの水でゆっくりとクエンチし、50mLのヘキサンを添加し、NaHCO3及びブライン溶液で有機相を洗浄した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると64%のジプロピオネート及び25%のモノプロピオネート(GC面積%)を含有する、13gの粗生成物を得た。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。94%(GC面積%)の純度を有する、対応するジプロピオネートを得た。NMRは、生成物が比率1:1のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0213】
生成物の特性評価
GC:純度94%(GC面積%)
13C-NMR
【0214】
【化13】
【0215】
【表6】
【0216】
1.4 [3-(2,2-ジメチルプロパノイルオキシ)-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル]2,2-ジメチルプロパノエートの調製
【0217】
【表7】
【0218】
アルコール、トリエチルアミン、及びDMAPをTHFに溶かした溶液を0℃に冷却した。この温度で、ピバロイルクロリド(2.5)をゆっくりと添加した。反応物を室温で0.5時間、還流下で4時間撹拌した。この時間の後、96%の変換が観察されたが、GCによって検出されたジピバレートは49%に過ぎず、残りはモノ誘導体であった。したがって、1.25eqのピバロイルクロリドを更に添加し、反応物をRFにおいて21時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、200mLの水でゆっくりとクエンチし、200mLの酢酸エチルを添加し、NaHCO3及びブライン溶液で有機相を洗浄した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると88%のジピバレート及び11%のモノピバレート(GC面積%)を含有する、110.8gの粗生成物を得た。生成物を蒸留によって精製した。99.8%(GC面積%)の純度を有する、対応するジピバレートを得た。NMRは、生成物が比率55:45のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0219】
生成物の特性評価
GC:純度99.8%(GC面積%)
13C-NMR
【0220】
【化14】
【0221】
【表8】
【0222】
1.5 [3-(2-メチルプロパノイルオキシ)-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル]2-メチルプロパノエートの調製
【0223】
【表9】
【0224】
RFにおいて、DMAPをジオールのTHF溶液に添加した。混合物を還流させ(60℃)、この温度でイソ酪酸無水物(2.25eq)をゆっくりと添加した。2.5時間後、ジオールの変換が観察された。しかしながら、約8%のモノイソブチレートが、混合物中に見出された。反応物を室温に冷却し、20mLの水、50mLの酢酸エチルでゆっくりとクエンチした。有機相を分離し、NaHCO3及びブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると91%超のジイソブチレートを含有する、19.6gの粗生成物を得た。生成物を蒸留によって精製した。生成物を蒸留によって精製した。97.4%(GC面積%)の純度を有する、対応するジイソブチレートを得た。NMRは、生成物が比率55:45のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0225】
生成物の特性評価
GC:純度97.4%(GC面積%)
13C-NMR
【0226】
【化15】
【0227】
【表10】
【0228】
1.6 (3-ブタノイルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)ブタノエートの調製
【0229】
【表11】
【0230】
RFにおいて、DMAPをジオールのTHF溶液に添加した。混合物を還流させ(60℃)、この温度でn-酪酸無水物(2.25eq)をゆっくりと添加した。2.5時間後、99%のジオールの変換が観察された。しかしながら、約10%のモノ-n-ブチレートが、混合物中に見出された。反応物を室温に冷却し、20mLの水、50mLの酢酸エチルでゆっくりとクエンチした。有機相を分離し、NaHCO3及びブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると88%超のジ-n-ブチレートを含有する、18.8gの粗生成物を得た。生成物を蒸留によって精製した。生成物を蒸留によって精製した。99.7%(GC面積%)の純度を有する、対応するジ-n-ブチレートを得た。NMRは、生成物が比率55:45のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0231】
生成物の特性評価
GC:純度99.7%(GC面積%)
13C-NMR
【0232】
【化16】
【0233】
【表12】
【0234】
1.7 2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの調製
【0235】
【表13】
【0236】
水素化ナトリウム(2.5eq)を150mLのTHFに加えた分散液に、ケージドジオールを150mLのTHFに溶かした溶液を、0℃でゆっくりと添加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。この時間の後、2.5eqのヨウ化メチルを、RTでゆっくりと添加した。添加後、混合物を40℃で21時間撹拌した。この時点で、反応物を、150mLの水でゆっくりとクエンチした。150mLのMTBEで、有機相を3回抽出した。有機抽出物を合わせて150mLのNH3溶液及び150mLのブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると54%のジメチルエーテルを含み、残りはモノメチル化アルコール(30%)及び未反応ケージドジオール(10%)である、18.8gの粗生成物を得た。ジメチルエーテル生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。99.8%(GC面積%)の純度を有する、対応するジメチルエーテルを得た。NMRは、生成物が比率4:1のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0237】
生成物の特性評価
GC:純度99.8%(GC面積%)
13C-NMR
【0238】
【化17】
【0239】
【表14】
【0240】
1.8 3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールの調製
例1.7における2,4-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの精製の際に、対応するモノメチルエーテルの2種の異性体が単離された。純度94%(94%トランス、GC面積%、RT: 20.70分)の1.4gの3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールの高比率トランス異性体(高トランス)を得た。トランス異性体が高比率で存在することが、NMRによって確認された。
【0241】
生成物(高トランス)の特性評価
GC:純度94%(GC面積%によると94%トランス、RT: 20.70分)
13C-NMR
【0242】
【化18】
【0243】
【表15】
【0244】
純度98%(98%シス、GC面積%、RT: 20.30分)の、0.5gの3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールの高比率シス異性体を、同様に単離した。3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールのシス/トランス異性体の混合物と比較すると、高比率のシス異性体が存在することを、GCによって確認した。
【0245】
生成物(高シス)の特性評価
GC:純度98%(GC面積%によると98%シス、RT: 20.30分)。
【0246】
1.9 2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの調製
【0247】
【表16】
【0248】
7.65gの水素化ナトリウム(2.3eq)を100mLのTHFに加えた分散液に、ケージドジオールを150mLのTHFに溶かした溶液を、0℃でゆっくりと添加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。この時間の後、2.3eqのヨウ化エチル(49.75g)を、RTでゆっくりと添加した。添加後、混合物を40℃で21時間撹拌した。この時点で、アルコールの約90%の変換が観察された。しかしながら、35%のジエチルエーテルが検出されたに過ぎず、残り(56%)はモノエーテル誘導体であった。したがって、反応物を0℃に冷却し、5gの水素化ナトリウムを添加した。15分後、この温度で、32.5gのヨウ化エチルをゆっくりと添加した。混合物を40℃で、22時間撹拌した。次いで、反応物を100mLの水でゆっくりとクエンチした。100mLのMTBEで、有機相を3回抽出した。有機抽出物を合わせて、100mLのNH3溶液及び100mLのブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると61.5%のジエチルエーテルを含み、残りはモノエチル化アルコール(29%)及び未反応ケージドジオールである、22.8gの粗生成物を得た。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。99.8%(GC面積%)の純度を有する、対応するジエチルエーテルを得た。NMRは、生成物が比率3:1のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0249】
生成物の特性評価
GC:純度99.8%(GC面積%)
13C-NMR
【0250】
【化19】
【0251】
【表17】
【0252】
1.10 3-エトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールの調製
例1.9における2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの精製の際に、2.9gのモノエチルエーテル(3-エトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール)が同様に単離され、純度は79%(GC面積%)であり、残り20.5%はジエチルエーテル誘導体(2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン)であった。NMR情報は、3-エトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールについては55:45のトランス:シス比率、2,4-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンについては3:1のシス:トランス比率を示した。
【0253】
生成物の特性評価
GC:純度79%(GC面積%)
13C-NMR
【0254】
【化20】
【0255】
【表18】
【0256】
1.11 2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの調製
【0257】
【表19】
【0258】
3.83gの水素化ナトリウム(2.3eq)を75mLのTHFに加えた分散液に、ケージドジオールを30mLのTHFに溶かした溶液を、0℃でゆっくりと添加した。混合物を0℃で30分撹拌した。この時間の後、2.3eqの1-ヨードプロパン(27.11g)を、RTでゆっくりと添加した。添加後、混合物を50℃で4時間撹拌した。この時点で、アルコールの約80%の変換が観察された。しかしながら、12%のジ-n-プロピルエーテルが検出されたに過ぎず、残り(約65%)はモノエーテル誘導体であった。したがって、反応物を0℃に冷却し、1.67gの水素化ナトリウムを添加した。30分後、この温度で、11.8gの1-ヨードプロパンをゆっくりと添加した。混合物を50℃で、18時間撹拌した。次いで、反応物を50mLの水でゆっくりとクエンチした。50mLのMTBEで、有機相を3回抽出した。有機抽出物を合わせて、50mLのNH3溶液及び30mLのブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、粗生成物は、GC(面積%)によると22%のジ-n-プロピルエーテルを含有し、残りはモノ-n-プロピル化アルコール(67%)及び未反応ケージドジオールであった。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。99.4%(GC面積%)の純度を有する、対応するジ-n-プロピルエーテル(0.7g)を得た。NMRは、生成物が比率85:15のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0259】
生成物の特性評価
GC:純度99.4%(GC面積%)
13C-NMR
【0260】
【化21】
【0261】
【表20】
【0262】
1.12 3-プロポキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールの調製
例1.11における2,4-ジ-n-プロポキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの精製の際に、99%(GC面積%)の純度を有する、0.6gのモノn-プロピルエーテル(3-プロポキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール)が同様に単離された。NMRは、3:2のトランス:シス比率を示した。
【0263】
生成物の特性評価
GC:純度99%(GC面積%)
13C-NMR
【0264】
【化22】
【0265】
【表21】
【0266】
1.13 2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの調製
【0267】
【表22】
【0268】
3.83gの水素化ナトリウム(2.3eq)を75mLのTHFに加えた分散液に、ケージドジオールを30mLのTHFに溶かした溶液を、0℃でゆっくりと添加した。混合物を0℃で30分撹拌した。この時間の後、2.3eqの1-ヨードブタン(29.35g)を、RTでゆっくりと添加した。添加後、混合物を50℃で22時間撹拌した。この時点で、アルコールの約75%の変換が観察された。しかしながら、12%のジ-n-ブチルエーテルが検出されたに過ぎず、GC面積%によると、残り(約65%)はモノエーテル誘導体であった。次いで、反応物を、50mLの水でゆっくりとクエンチした。50mLのMTBEで、有機相を3回抽出した。有機抽出物を合わせて、50mLのNH3溶液及び30mLのブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、シリカゲルクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製した。96%(GC面積%)の純度を有する、対応するジ-n-ブチルエーテル(1.6g)を得た。NMRは、生成物が比率85:15のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0269】
生成物の特性評価
GC:純度96%(GC面積%)
13C-NMR
【0270】
【化23】
【0271】
【表23】
【0272】
1.14 3-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールの調製
例1.13における2,4-ジ-n-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの精製の際に、99%(GC面積%)の純度を有する、2gのモノ-n-ブチルエーテル(3-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール)が同様に単離された。NMRは、60:40のシス:トランス比率を示した。
【0273】
生成物の特性評価
GC:GC:純度99%(GC面積%)
13C-NMR
【0274】
【化24】
【0275】
【表24】
【0276】
1.15 2,4-ジ-tert-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの調製
【0277】
【表25】
【0278】
10gのケージドジオールを、140mLのメチルtertブチルエーテル(MTBE)に溶解させ、10gのモレキュラーシーブ4Aを添加した。この分散液に、25℃で硫酸をゆっくりと添加した。反応物を40℃で6時間撹拌した。この時間の後、約90%のジオールの変換が観察された。モレキュラーシーブを濾過し、反応物に50mLのNaHCO3をゆっくりと添加した。相分離の後、水相を2回、30mLのMTBEで抽出した。有機抽出物を合わせて、50mLのNaHCO3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、シリカゲルクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製した。90%(GC面積%)の純度を有する、対応する2,4-ジ-tert-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン(0.9g)を得た。NMRは、生成物が比率2:1のシス:トランス異性体として存在することを示した。
【0279】
生成物の特性評価
GC:GC:純度90%(GC面積%)
13C-NMR
【0280】
【化25】
【0281】
【表26】
【0282】
1.16 3-tert-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノールの調製
例1.15における2,4-ジ-tert-ブトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタンの精製の際に、90%(GC面積%)の純度を有する、1.1gのモノtert-ブチルエーテル(3-tert-ブトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタノール)が同様に単離された。NMRは、3:2のトランス:シス比率を示した。
【0283】
生成物の特性評価
GC:GC:純度90%(GC面積%)
13C-NMR
【0284】
【化26】
【0285】
【表27】
【0286】
1.17 9:1のシス/トランス異性体比率を有する(3-アセトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートの調製
例1.2において調製した68.5gの純ジアセテートサンプルを、2~3分、冷蔵庫に入れ、どのように結晶化が開始するかを観察した。それに応じて、サンプルを冷凍庫に30分放置した。この時点で、サンプルは完全に固体であった。この時間の後、サンプルをRTで放置し、結晶がどのようにゆっくりと液体になるかを観察した。10mLのこの2相混合物の画分を濾過し、両方の画分をGCによって分析した。液体画分は、52:48のシス:トランス混合物を含有していた(GC面積%による)。しかしながら、結晶は9:1のシス:トランス混合物であった(GC面積%及びNMRによる)。
【0287】
生成物の特性評価
GC 9:1シス/トランス異性体の混合物
13C-NMR
【0288】
【化27】
【0289】
【表28】
【0290】
1.18 (3-ヒドロキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートの調製
【0291】
【表29】
【0292】
RFにおいて、DMAPをジオールのTHF溶液に添加した。混合物を40℃に設定し、この温度で無水酢酸(1eq)をゆっくりと添加した。3時間後、反応物を室温に冷却し、50mLの水、50mLの酢酸エチルでゆっくりとクエンチした。有機相を分離し、NaHCO3及びブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると、17.4%のケージドジオール、46.7%のモノアセテート、及び35.7%のジアセテートを含有する7.2gの粗生成物が得られた。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。比率1:1(GC分析)のシス:トランス異性体の混合物として、99%(GC面積%)の純度を有する、対応するモノアセテートを得た。
【0293】
1.19 (3-ホルミルオキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートの調製
【0294】
【表30】
【0295】
0℃で、ギ酸を無水酢酸にゆっくりと添加した。混合物を2時間、55℃で撹拌した。次いで、混合物を0℃に冷却し、20mLのTHFを添加し、この温度で、未処理モノアセテート誘導体(上述の通りに調製した)を20mLのTHFに溶かした溶液をゆっくりと添加した。添加後、DMAPを混合物に添加した。反応物を室温で3.5時間撹拌した。50mLのトルエンを混合物に添加し、有機相を3回、50mLの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、GC(面積%)によると19.12%のモノホルメート、43%のモノアセテート-モノホルメート、及び33%のジアセテートを含有する、6.8gの粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。GC(面積%)によると、純度52%(GC面積%)の対応するモノアセテート-モノホルメートが、28%のモノホルメート及び18%のジアセテートと共に単離された。すべての化合物は、約1:1のシス:トランス比率を有していた(GC面積%による)。
【0296】
1.20 (3-メトキシ-2,2,4,4-テトラメチル-シクロブチル)アセテートの調製
【0297】
【表31】
【0298】
2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタン-1,3-ジオールのモノメチルエーテル誘導体のTHF溶液に、122mgのDMAPをRTで添加した。出発材料として使用するモノメチルエーテル誘導体は、1.3eqのMeIによって、上記の通りに調製した。この反応の後に得られた未処理材料は、モノメチルエーテル誘導体に関して約50%の含有率を有しており、更なる精製をせずにこの合成に使用した。混合物を40℃に設定し、この温度で無水酢酸(1eq)をゆっくりと添加した。5時間後、アルコールの不完全な変換が観察され、122mgのDMAPを混合物に添加した。反応物を40℃で、更に4時間撹拌した。この時間の後、反応物を室温に冷却し、50mLの水、50mLの酢酸エチルでゆっくりとクエンチした。有機相を分離し、NaHCO3及びブライン溶液で洗浄した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させた後、GC(面積%)によると、32%の混合エーテル-エステル誘導体を含有し、残りはメチルエーテル(21%)及びジアセテート(30%)である、5.6gの粗生成物を得た。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。比率1:1のシス:トランス異性体の混合物として、72%(GC面積%)の純度を有する、対応するモノメチルエーテル-モノアセテートを得て、残りはジメチルエーテルであった。生成物の分布は、NMRによっても確認した。
【0299】
2. 嗅覚試験
本発明の化合物(I)の匂いの品質及び強度を試験するため、香りストリップ試験を行った。
【0300】
この目的のため、吸収性紙のストリップを、1~10重量%の被試験化合物(I)の溶液を含有するエタノール中溶液に浸漬した。溶媒が蒸発した後(約30秒)、訓練を受けた調香師が、香りの印象を嗅覚的に評価した。
【0301】
香り試験の結果を表1にまとめる。
【0302】
【表32】
本開示の態様として、以下のものを挙げることができる。
[1]
一般式(I)の化合物
【化28】
[式中、
R 1 はC 1 ~C 4 アルキル又は-(C=O)-R 3 であり、
R 2 は水素、C 1 ~C 4 アルキル又は-(C=O)-R 4 であり、
R 3 及びR 4 は互いに独立して、水素及びC 1 ~C 4 アルキルからなる群から選択される]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の
芳香化学物質としての使用。
[2]
式(I)において、
R 1 がC 1 ~C 4 アルキルであり、
R 2 が水素又はC 1 ~C 4 アルキルである、
態様1に記載の使用。
[3]
式(I)の化合物が、以下の特性a)、b)、c)、及び/又はd)
a)R 2 がC 1 ~C 4 アルキルである、
b)R 1 とR 2 とが同一である、
c)R 1 及びR 2 がC 1 ~C 3 アルキルである、
d)R 1 及びR 2 がメチル又はエチルである、
の少なくとも1つを有する、態様2に記載の使用。
[4]
式(I)において、
R 1 がC 1 ~C 4 アルキルであり、
R 2 が水素である、
態様2に記載の使用。
[5]
式(I)において、
R 1 が-(C=O)-R 3 であり、
R 2 が水素又は-(C=O)-R 4 である、
態様1に記載の使用。
[6]
式(I)の化合物が、以下の特性e)、f)、g)、h)、及び/又はi)
e)R 2 が-(C=O)-R 4 である、
f)R 3 とR 4 とが同一である、
g)R 3 及びR 4 が、水素及びC 1 ~C 3 アルキルからなる群から選択される、
h)R 3 及びR 4 が、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される、
i)R 3 及びR 4 がメチルである、
の少なくとも1つを有する、態様5に記載の使用。
[7]
式(I)において、
R 1 がC 1 ~C 4 アルキルであり、
R 2 が-(C=O)-R 3 である、
態様1に記載の使用。
[8]
香水組成物、化粧品組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯の衛生用製品、衛生物品、清掃組成物、布用洗剤組成物、食器洗い組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物から選択される組成物における、態様1から7のいずれか一つに記載の使用。
[9]
態様1から7のいずれか一つに記載の少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び化合物(I)とは異なる更なる芳香化学物質及び非芳香化学物質担体からなる群から選択される少なくとも1種の更なる化合物を含む、芳香化学物質組成物。
[10]
香水組成物、化粧品組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯の衛生用製品、衛生物品、清掃組成物、布用洗剤組成物、食器洗い組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物から選択される、態様9に記載の組成物。
[11]
態様1から7のいずれか一つに記載の少なくとも1種の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を、即時使用可能な組成物に組み込むステップを含む、フレグランスを付与した即時使用可能な組成物を調製する方法。
[12]
フレグランスを付与した即時使用可能な組成物の香りの特徴を改質するための、態様1から7のいずれか一つに記載の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物の使用。
[13]
一般式(I.a)の化合物
【化29】
[式中、
R 1a はC 2 ~C 4 アルキルであり、
R 2a は水素又はC 2 ~C 4 アルキルである]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物。
[14]
式(I.a)の化合物が、以下の特性j)、k)、及び/又はl)
j)R 1a 及びR 2a が互いに独立して、C 2 ~C 4 アルキルから選択される、
k)R 1a とR 2a とが同一である、
l)R 1a 及びR 2a が、エチル、n-プロピル、及びn-ブチルからなる群から選択される、
の少なくとも1つを有する、態様13に記載の化合物。
[15]
一般式(I.b)の化合物
【化30】
[式中、
R 1b は-(C=O)-R 3 であり、
R 2b は水素又は-(C=O)-R 4 であり、
R 3 及びR 4 は互いに独立して、水素及びC 1 ~C 4 アルキルからなる群から選択され、ただし、R 3 とR 4 が存在する場合、R 3 とR 4 は異なる]、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物。
[16]
式(I.b)の化合物が、以下の特性m)、n)、及び/又はo)
m)R 2b が-(C=O)-R 4 である、
n)R 3 及びR 4 が、水素及びC 1 ~C 3 アルキルからなる群から選択される、
o)R 3 及びR 4 が、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される、
の少なくとも1つを有する、態様15に記載の化合物。
[17]
(i)塩基の存在下で、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、アルキル化試薬R 1a -X、及び任意選択によりアルキル化試薬R 2a -X[式中、R 1a 及びR 2a は上に与えた意味の1つを有し、Xはハロゲン、例えばCl、Br、I、及びスルホネート、例えばトシレート、メシレート、トリフレート、又はノナフレートから選択される脱離基を表す]と反応させ、未処理生成物混合物を得るステップ、並びに
(ii)ステップ(i)において得た未処理生成物混合物を、精製ステップに供するステップ
を含む、態様13又は14に記載の式(I.a)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を調製する方法。
[18]
(i)有機塩基の存在下で、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールを、カルボン酸R 3 -COOH若しくはその無水物又は酸ハロゲン化物R 3 -(C=O)X'、及び任意選択によりカルボン酸R 4 -COOH若しくはその無水物又は酸ハロゲン化物R 4 -(C=O)X'[式中、R 3 及びR 4 は上に与えた意味の1つを有し、X'はハロゲン、例えばCl、Br、又はIを表す]と反応させ、未処理生成物混合物を得るステップ、並びに
(ii)ステップ(i)において得た未処理生成物混合物を、精製ステップに供するステップ
を含む、態様15又は16に記載の式(I.b)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を調製する方法。