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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】セリア除去用組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230414BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20230414BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20230414BHJP
   C11D 7/36 20060101ALI20230414BHJP
   C11D 7/06 20060101ALI20230414BHJP
   C11D 7/08 20060101ALI20230414BHJP
   C11D 7/34 20060101ALI20230414BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
C11D7/26
C11D7/32
C11D7/36
C11D7/06
C11D7/08
C11D7/34
C11D7/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021546366
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020016852
(87)【国際公開番号】W WO2020163506
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】62/802,986
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダス, アタヌ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ダニエラ
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0204736(US,A1)
【文献】特表2018-503723(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080917(WO,A1)
【文献】特開2008-047842(JP,A)
【文献】米国特許第06326305(US,B1)
【文献】米国特許第05972124(US,A)
【文献】特開2017-120844(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180256(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C11D 7/26
C11D 7/32
C11D 7/36
C11D 7/06
C11D 7/08
C11D 7/34
C11D 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH約1~約6を有する組成物であって、
(a)次亜リン酸(H PO )及びジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)から選択される少なくとも1つの還元剤を含むセリウム-酸素結合切断化合物;
(b)pH調整剤;
(c)少なくとも1つの洗浄剤;
(d)酒石酸、アセチルアセトン、グルタミン酸、アジピン酸、ベタイン、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸(IDA)、エチドロン酸(HEDP)およびアミノトリス(メチレンホスホン酸)から選択されるセリア錯化化合物;および
(e)水
を含む、組成物。
【請求項2】
pH調整剤が、水酸化コリン、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、硝酸、硫酸、スルファミン酸、グリコール酸、乳酸およびメタンスルホン酸から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
セリア錯化化合物がアミノトリス(メチレンホスホン酸)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
セリア錯化化合物がアセチルアセトンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
セリア錯化化合物がイミノ二酢酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
セリア錯化化合物がエチドロン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
セリア錯化化合物がベタインである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
洗浄剤が水混和性有機溶媒およびポリマーから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
pHが約~約6である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、セリア粒子および他の化学機械研磨用スラリー汚染物質をその上に有するマイクロ電子デバイスから除去するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子デバイスウエハは、集積回路を形成するために使用される。マイクロ電子デバイスウエハは、絶縁性、導電性または半導電性特性を有する様々な材料を堆積するために領域がパターニングされたシリコンなどの基板を含む。
【0003】
正しいパターニングを得るために、基板上に層を形成する際に使用される余分な材料を除去しなければならない。さらに、機能的で信頼性の高い回路を製造するためには、後続の処理の前に平らなまたは平坦なマイクロ電子ウエハ表面を調製することが重要である。したがって、マイクロ電子デバイスウエハのある特定の表面を除去および/または研磨する必要がある。
【0004】
化学機械研磨または平坦化(「CMP」)は、マイクロ電子デバイスウエハの表面から材料を除去し、摩耗などの物理的プロセスを酸化またはキレート化などの化学的プロセスと組み合わせることによって表面を研磨(例えば、平坦化)するプロセスである。その最も基本的な形態では、CMPは、除去、平坦化、および研磨プロセス中にマイクロ電子デバイスウエハの表面をバフ研磨する研磨パッドに、活性な化学的性質を有する摩耗スラリーを塗布することを含む。純粋な物理作用または純粋な化学作用を使用する除去または研磨プロセスは、高速で均一な除去を達成するために、両方の相乗的な組合せほどには効果的ではない。さらに、集積回路の製造において、CMPスラリーはまた、金属および他の材料の複合層を含む膜を優先的に除去することができなければならず、その結果、後続のフォトリソグラフィー、またはパターニング、エッチングおよび薄膜処理用に高度に平坦な表面を生成することができる。
【0005】
シャロー・トレンチ・アイソレーション(STI)プロセスを使用してシリコン基板内にアイソレーション領域を形成するためのフロントエンドオブライン(FEOL)法では、パッド酸化膜およびパッド窒化膜が半導体基板上に堆積され、アイソレーション領域に対応する基板の部分を露出させるようにパターニングされる。次いで、基板の露出領域をエッチングしてトレンチを形成する。その後、基板を犠牲酸化処理に供して基板エッチングによるダメージを除去し、トレンチの表面に壁酸化膜を形成する。次に、基板の表面に、トレンチに埋め込まれるように、トレンチ埋め込み酸化膜(例えば、HDP酸化膜と称される高密度プラズマ化学気相成長法によって形成された酸化膜)を堆積させる。次いで、パッド窒化膜が露出するまで、HDP酸化膜の表面を化学機械研磨に供する。次いで、得られた基板を洗浄し、トレンチエッチング中にエッチングバリアとして使用されたパッド窒化膜を除去して、アイソレーション領域の形成が完了する。
【0006】
セリア粒子を使用するCMPスラリーは、一般に、シリカ含有スラリーと比較して、絶縁体のより速い研磨速度を達成する。さらに、セリア系スラリーは、酸化物浸食を最小限に抑えつつSTIパターン平坦化を達成する能力のために最も頻繁に使用される。不利なことに、セリア系スラリーは、酸化ケイ素および窒化ケイ素表面に対するセリア粒子の反対に荷電したゼータ電位のために、STI構造から除去することが困難である。これらの残留物がウエハ上に残存したままでデバイスが製造されると、残留物は短絡および電気抵抗の増加をもたらす。セリア粒子はまた、セリアスラリーを使用するCMP処理後のFinFET構造の問題でもある。
【0007】
現在、セリア粒子を除去するための最も効率的な湿式洗浄用配合物は希フッ化水素酸(DHF)である。しかしながら、DHFは、酸化ケイ素および他の低k誘電材料をエッチングするという欠点がある。
【0008】
したがって、窒化ケイ素、低k誘電体(例えば、酸化ケイ素)、およびタングステン含有層などの下にある材料を損傷することなく、マイクロ電子デバイスの表面からセリア粒子を効果的に除去するセリア粒子除去用組成物およびプロセスが依然として必要とされている。セリア粒子除去用組成物はまた、マイクロ電子デバイスの表面からCMPスラリー汚染物質を効果的に除去すべきである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一般に、セリア粒子およびCMP汚染物質を、前記粒子およびCMP汚染物質をその上に有するマイクロ電子デバイス、特にPETEOS、窒化ケイ素、およびPoly-Si基板を有するマイクロ電子デバイスから洗浄するのに特に有用な除去用組成物および方法に関する。一態様では、本発明は、硫黄およびリン原子を含まない錯化剤を利用する、セリア粒子をその上に有するマイクロ電子基板の処理を提供する。ここで、セリア粒子は、正に帯電していてもよいし、負に帯電していてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、一般に、そのような材料(複数可)をその上に有するマイクロ電子デバイスからセリア粒子およびCMP汚染物質を除去するのに有用な組成物に関する。セリア粒子およびCMP汚染物質は、組成物を使用して効果的に除去され、さらに組成物は窒化ケイ素および低k誘電(例えば、酸化ケイ素)層に適合する。
【0011】
第1の態様では、本発明は、本明細書に記載の組成物を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、pH約1~約6を有する組成物であって、
(a)セリウム-酸素結合切断化合物;
(b)pH調整剤;
(c)少なくとも1つの洗浄剤;
(d)酒石酸、アセチルアセトン、グルタミン酸、アジピン酸、ベタイン、アミノトリス(メチレンホスホン)酸およびニトリロ三酢酸から選択されるセリア錯化化合物;および
(e)水
を含む、組成物を提供する。
【0012】
本発明の組成物において、セリウム-酸素結合切断化合物は、セリウム-酸素化学結合を効果的に切断するために利用される任意の従来の化合物であり得る。そのような化合物には、酸化剤、還元剤、および求核性化合物が含まれる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「求核性化合物」という用語は、化学反応において求核剤(nucelophiles)として作用すると理解される化合物を指す。換言すれば、求核性化合物は、反応に関連して電子対を求電子剤に供与して化学結合を形成することができる化学種である。
【0014】
一実施形態では、求核性化合物はアミンである。例としては、モノエタノールアミン(MEA)、モルホリン、イソプロピルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジグリコールアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、メチルエタノールアミン、N-アミノプロピルモルホリンおよび3-アミノ-プロパノールが挙げられる。
【0015】
さらなる求核性化合物には、一般式NRを有する種が含まれ、式中、R、R2およびRは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖または分岐C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル)基、直鎖または分岐C~Cヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチルおよびヒドロキシヘキシル)基、および上で定義される直鎖または分岐C~Cヒドロキシアルキル基のC~Cアルキルエーテルから選択される。ある特定の実施形態では、R、RおよびRの少なくとも1つは、直鎖または分岐C~Cヒドロキシアルキル基である。例としては、限定されないが、アルカノールアミン、例えば、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン(MEA)、トリエタノールアミン(TEA)、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、トリエチレンジアミン、他のC1~C8アルカノールアミン類およびそれらの組合せが挙げられる。アミンがアルキルエーテル成分を含む場合、アミンはアルコキサミン、例えば1-メトキシ-2-アミノエタンと考えられ得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、企図される「還元剤(複数可)」には、次亜リン酸(HPO)、アスコルビン酸、L(+)-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体類、DEHA(ジエチルヒドロキシルアミン)、還元糖(ガラクトース)およびそれらの組合せから選択される化合物が含まれる。さらに、亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸アンモニウムおよびカリウム、キシロース、ソルビトール。N-アミノモルホリン、N-アミノピペラジン、ヒドロキノン、カテコール、テトラヒドロフルバレン、N,N-ジメチルアニリンベンジルアミン、ヒドロキシルアミンおよび他の硫黄系還元剤が利用され得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「酸化剤」は、露出した金属(複数可)を酸化して、金属の腐食または金属上で酸化物形成をもたらす化合物に対応する。酸化剤としては、以下が含まれるがこれらに限定されない:過酸化水素;他のペル化合物、例えば、ペルオキソモノスルフェートアニオン類、ペルボレートアニオン類、ペルクロレートアニオン類、ペルイオデートアニオン類、ペルスルフェートアニオン類、ペルマンガネートアニオン類およびペルアセテートアニオン類を含有する塩および酸;ならびにアミン-N-オキシド類。
【0018】
適切なpH調整剤には、水酸化コリン、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、硝酸、硫酸、スルファミン酸、グリコール酸、乳酸およびメタンスルホン酸が含まれる。
【0019】
上記のように、組成物は少なくとも1つの洗浄剤を含む。前記洗浄剤は、(i)1つまたは複数の水混和性溶媒、ならびに/あるいは(ii)1つもしくは複数のポリマー、および/またはクエン酸のうちの少なくとも1つから選択される。
【0020】
水混和性溶媒の例としては、グリコール類、およびグリコールエーテル類が挙げられ、これらには、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、および高級アルコール類(例えばC~Cジオール類およびC~Cトリオール類)、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、ハロゲン化アルコール類(例えば3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノール)、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフランN-メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ギ酸メチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジエチルエーテル、フェノキシ-2-プロパノール(PPh)、プロプリオフェノン、エチルラクテート、酢酸エチル、エチルベンゾエート、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、ジオキサン、ブチリルラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(すなわち、ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDE)、二塩基性エステル、グリセリンカーボネート、N-ホルミルモルホリン、トリエチルホスフェート、およびそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。
【0021】
ポリマーは、存在する場合、メタクリル酸ホモポリマー、および例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とマレイン酸との共重合体類;マレイン酸/ビニルエーテル共重合体;ポリ(ビニルピロリドン)/酢酸ビニル;ホモポリマー類、例えばホスホネート化ポリエチレングリコールオリゴマー類、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリプロピレングリコール)(PPG)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、ポリ(ビニルリン酸)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)、ポリアリルアミン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PPG-PEG-PPGブロック共重合体類、PEG-PPG-PEGブロック共重合体類、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシエチル)アクリレート、ポリ(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸カリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グルコサミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド、PEG化(すなわち、ポリエチレングリコール化)メタクリレート/アクリレート共重合体類、ポリMADQuatおよびそれらの共重合体、ジメチルアミノメタクリレートポリマー類およびそれらのコムポリマー(compolymers)類、トリメチルアンモニウムメチルメタクリレートポリマー類およびそれらの共重合体、ならびにそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。上記共重合体は、ランダムまたはブロック共重合体であり得る。存在する場合、組成物中のポリマー(複数可)の量は、組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%~約5重量%の範囲である。
【0022】
錯化剤に関して、本発明者らは、その全てがリンおよび硫黄原子を含まない上記のある特定の化合物がセリア種の錯化に有効であり、マイクロ電子デバイスの表面からのそれらの除去を助けることを見出した。一実施形態では、これらの錯化剤は、酒石酸、アセチルアセトン、グルタミン酸、アジピン酸、ニトリロ三酢酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸、ベタイン、IDA(アミノ二酢酸)(aminodiacetic acid)およびHEDP(エトドロン酸)(etodronic acid)から選択される。別の実施形態では、錯化剤はアセチルアセトンである。
【0023】
参照を容易にするために、「マイクロ電子デバイス」は、半導体基板、フラット・パネル・ディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラパネル、ならびにソーラ基板、太陽光発電、およびマイクロ電子、集積回路、またはコンピュータチップ用途で使用するために製造された微小電気機械システム(MEMS)を含む他の製品に対応する。ソーラ基板は、シリコン、非晶質シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、およびガリウム上のヒ化ガリウムを含むが、これらに限定されない。ソーラ基板は、ドープされていても、ドープされなくてもよい。「マイクロ電子デバイス」という用語は、決して限定することを意味するものではなく、最終的にマイクロ電子デバイスまたはマイクロ電子アセンブリになる任意の基板を含むことを理解されたい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「セリア粒子」は、例えば、式CeおよびCeOを有する酸化セリウムを含む、化学機械研磨用スラリーに使用され得るセリウム系摩耗粒子に対応する。「セリア粒子」は、酸化セリウムを含んでいてもよく、酸化セリウムからなっていてもよく、酸化セリウムから本質的になっていてもよいことを理解されたい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「汚染物質」は、CMPスラリー中に存在する化学物質、研磨用スラリーの反応副生成物、CMP後残留物、ウェットエッチング組成物中に存在する化学物質、ウェットエッチング組成物の生成物による反応物、およびCMPプロセス、ウェットエッチング、プラズマエッチングまたはプラズマアッシングプロセスの副生成物である任意の他の材料に対応する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「CMP後残留物」は、研磨用スラリーからの粒子、例えば、スラリー中に存在する化学物質、研磨用スラリーの反応副生成物、炭素に富む粒子、研磨パッド粒子、ブラシ脱落粒子、構造粒子の機器材料、金属、有機、有機金属、有機ケイ素、または本質的に無機、例えば、ケイ素含有材料、チタン含有材料、窒素含有材料、酸素含有材料、ポリマー残留物材料、銅含有残留物材料(酸化銅残留物を含む)、タングステン含有残留物材料、コバルト含有残留物材料、塩素およびフッ素などのエッチングガス残留物、ならびにそれらの組合せ、ならびにCMPプロセスの副生成物である任意の他の材料に対応する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「低k誘電材料」という用語は、層状マイクロ電子デバイスにおいて誘電材料として使用される任意の材料に対応し、材料は約3.5未満の誘電率を有する。ある特定の実施形態では、低κ誘電材料は、低極性材料、例えばケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有ハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ素化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、窒化ケイ素、炭素ドープ酸化物(CDO)または炭素ドープガラス、例えばNovellus Systems,Inc.からのCORAL(商標)、Applied Materials,Inc.からのBLACK DIAMOND(商標)(例えば、PECVDのBD1、BD2、およびBD3の呼称)DowからのSiLK(商標)誘電樹脂(多官能性シクロペンタジエノンとアセチレン含有材料との反応による架橋ポリフェニレンに基づくポリマー、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,965,679号を参照されたい)、およびNanopore,IncのNANOGLASS(商標)(シリカエアロゲル/キセロゲル(ナノ多孔質シリカとして公知)などを含む。低κ誘電材料は、様々な密度および様々な多孔度を有し得ることを理解されたい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「エッチャント」という用語は、フッ化水素酸(HF);フルオロケイ酸(HSiF);フルオロホウ酸;フルオロケイ酸アンモニウム塩((NHSiF);テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート;フッ化アンモニウム;重フッ化アンモニウム;四級アンモニウムテトラフルオロボレート類および四級ホスホニウムテトラフルオロボレート類ならびにそれらの組合せを指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「金属腐食防止剤」という用語は、非イオン性界面活性剤、例えばポリフォックス(PolyFox)PF-159(OMNOVA Solutions)、ポリエチレングリコール)(「PEG」)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、例えばプルロニック(Pluronic)F-127(BASF)、ポリソルベートポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween 40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween 20))、ポリオキシプロピレン/ポリオキエチレンブロック共重合体類(例えば、プルロニックL31、プルトニック(Plutonic)31R1、プルロニック25R2およびプルロニック25R4)、およびそれらの組合せ;ならびに、このような化合物とアゾール類との組合せ、例えば5-アミノテトラゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、1-フェニル-2-テトラゾリン-5-チオン、ベンズイミダゾール、メチルテトラゾール、ビスムチオールI、シトシン、グアニン、チミン、ピラゾール類、イミノ二酢酸(IDA)、プロパンチオール、ベンゾヒドロキサム酸類、クエン酸、アスコルビン酸、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール(ATDT)、ベンゾトリアゾール(BTA)、1,2,4-トリアゾール(TAZ)、トリルトリアゾール、5-メチル-ベンゾトリアゾール(mBTA)、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロ-ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール(3-ATA)、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロ-ベンゾトリアゾール類(ハロ=F、Cl、BrまたはI)、ナフトトリアゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-メルカプトチアゾリン、5-アミノ-1,2,4-トリアゾール(5-ATA)、デデシル硫酸ナトリウム(sodium dedecyl sulfate)(SDS)、ATA-SDS、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、ペンチレンテトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-ベンジル-1H-テトラゾール、アブルミン(Ablumine)O、2-ベンジルピリジン、スクシンイミド、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、インジアゾール(indiazole)、アデニン、スクシンイミド、アデノシン、カルバゾール、サッカリン、尿酸、ベンゾイノキシム、カチオン性四級塩(例えば、ベンザルコニウムクロリド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリムチルアンモニウムブロミド(myristyltrime thylammonium bromide)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、Aliquot 336(Cognis)、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、Crodaquat TES(Croda.Inc.)、Rewoquat CPEM(Witco)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、1-メチル-1’-テトラデシル-4,4’-ビピリジウムジクロリド(1-methyl-1’-tetradecyl-4,4’-bipyridium dichloride)、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アンプロリウム塩酸塩、ベンゼトニウムヒドロキシド、ベンゼトニウムクロリド、ベンジルジトネチルヘキサデシルアンモニウムクロリド(benzylditnethylhexadecylammonium chloride)、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、コリンp-トルエンスルホネート塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、ドデシルエチルダイムチルアンモニウムブロミド(dodecylethyldime thylammonium bromide)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジラール試薬、ヘキサデシル(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムジヒドロジェンホスフェート、デキサデシルピリジニウムブロミド(dexadecylpyridinium bromide)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、Hyamine(登録商標)1622、Luviquat(商標)、N,N’,N’-ポリオキシエチレン(10)-N-タロー-1,3-ジアミノプロパン液、オキシフェノニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、トンゾニウムブロミド、トリドデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミド、1-メチル-3-n-オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート。1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、トリドデシルメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、およびヘキサメトニウムクロリド)、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、ドデシルホスホン酸(DDPA)、およびそれらの組合せ)を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「不動態化剤」という用語は、低k層の化学的攻撃を低減し、ウエハを追加の酸化から保護する化合物を指す。ホウ酸は低k不動態化剤の一例であるが、他のヒドロキシル添加剤、例えば3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、マロン酸、イミノ二酢酸、五ホウ酸アンモニウム、尿素、メチルトリエトキシシランおよびそれらの混合物がそのような目的のために公知である。
【0031】
「実質的にない」は、ある特定の実施形態では、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、または0.1重量%未満と本明細書で定義される。「ない(Devoid)」は、ある特定の実施形態では、環境の汚染を説明するために0.001重量%未満に対応することが意図され、別の実施形態では、0.0重量%である。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、(a)腐食防止剤、(b)エッチャント、および(c)不動態化剤を実質的に含まない。他の実施形態では、組成物は、(a)腐食防止剤、(b)エッチャント、および(c)不動態化剤を含まない。
【0033】
以下の実験セクションに示すように、本発明者らは、ある特定の化合物がセリア種の錯化に驚くほど有効であることを見出した。したがって、さらなる態様では、本発明は、pH約1~約6で、酒石酸、アセチルアセトン、グルタミン酸、アジピン酸、IDA(イミノ二酢酸)、ベタイン、HEDPおよびニトリロ三酢酸から選択されるセリア錯化化合物を混合することを含む、セリアを錯化するための方法を提供する。他の実施形態では、セリアを錯化するための方法は、pH約4~約6で、酒石酸、アセチルアセトン、グルタミン酸、アジピン酸、およびニトリロ三酢酸から選択されるセリア錯化化合物と混合することを含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「約」は、記載された値の±0.5%に対応することが意図されている。
【0035】
本明細書で使用される場合、「バッファー」という用語は、リン酸塩(例えば、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸アンモニウム)ならびに炭酸水素カリウムおよび炭酸カリウムなどの炭酸塩などの一般的なバッファーを指す。存在する場合、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約20重量%の緩衝種を含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、セリア粒子およびCMP汚染物質を、前記粒子および汚染物質をその上に有するマイクロ電子デバイスから除去するための「適性」は、マイクロ電子デバイスからの前記粒子/汚染物質の少なくとも部分的な除去に対応する。洗浄有効性は、マイクロ電子デバイス上の物体の減少によって評価される。例えば、洗浄前後の分析は、原子間力顕微鏡を使用して行ってもよい。試料上の粒子は、ピクセルの範囲として記録され得る。ヒストグラム(例えば、Sigma Scan Pro)を適用して、ある特定の強度(例えば、231~235)のピクセルおよび計数された粒子の数をフィルタリングすることができる。粒子の減少は、以下を使用して計算することができる:
洗浄有効性 = (洗浄前の物体数-洗浄後の物体数)/洗浄前の物体数×100
【0037】
特に、洗浄有効性の決定方法は、例として提供されているにすぎず、これに限定されることを意図するものではない。あるいは、洗浄有効性は、粒子状物質によって覆われている全表面の割合として考えられ得る。例えば、AFMは、z平面走査を実行して、ある特定の高さ閾値を超える目的のトポグラフィックエリアを識別し、次いで、前記目的のエリアによって覆われた全表面の面積を計算するようにプログラムされてもよい。当業者は、洗浄後に前記目的のエリアによって覆われる面積がより小さいほど、除去用組成物がより効果的であることを容易に理解するであろう。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物を使用して、粒子/汚染物質の少なくとも75%がマイクロ電子デバイスから除去され、粒子/汚染物質の少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が除去される。
【0038】
本明細書に記載の組成物は、以下でより詳細に説明するように、多種多様な特定の配合物で具体化することができる。
【0039】
組成物の特定成分がゼロ下限を含む重量パーセント範囲を参照して論じられている全てのそのような組成物において、そのような成分は、組成物の様々な特定の実施形態において存在しても存在しなくてもよく、そのような成分が存在する場合、それらは、そのような成分が用いられる組成物の総重量に基づいて、0.00001重量パーセントという低い濃度で存在してもよいことが理解されよう。
【0040】
pHを所望の終点に調整するために、水酸化コリンなどの塩基性化合物を利用してもよい。
【0041】
さらに、組成物は、必要に応じて、界面活性剤などの他の添加剤を含有してもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、2つの液体間または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる有機化合物、典型的には疎水性基(例えば、炭化水素(例えば、アルキル)「尾部」)および親水性基を含む有機両親媒性化合物を指す。存在する場合、本明細書に記載の組成物に使用するための界面活性剤には、両性塩、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されず、これらには、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸(DDPA)、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、オクタデシルホスホン酸、ペルフルオロヘプタン酸、プレフルオロデカン酸(prefluorodecanoic acid)、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、他のR1ベンゼンスルホン酸類またはこれらの塩(ここで、Rは直鎖または分岐C~C18アルキル基である)、ドデセニルコハク酸、ジオクタデシルヒドロジェンホスフェート、オクタデシルジヒドロジェンホスフェート、ドデシルアミン、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ジュニペリン酸、12ヒドロキシステアリン酸、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ドデシルホスフェートが含まれるが、これらに限定されない。企図される非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート-ブロック-プロポキシレート)テトロール、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールエーテル類、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づくブロック共重合体、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、10-エトキシ-9,9-ジメチルデカン-1-アミン、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、分岐、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、分岐、ジノニルフェニルポリオキシエチレン、ノニルフェノールアルコキシレート類、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、アルコールアルコキシレート類、アルキルポリグルコシド、エチルペルフルオロブチレート、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス[2-(5-ノルボルネン-2-イル)エチル]トリシロキサン、モノマーのオクタデシルシラン誘導体類、シロキサン修飾ポリシラザン類、シリコーン-ポリエーテル共重合体、およびエトキシ化フッ素系界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。企図されるカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジウムブロミド(4-(4-diethylaminophenylazo)-1-(4-nitrobenzyl)pyridium bromide)、セチルピリジニウムクロリド一水和物、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリドベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウムクロリド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、およびオキシフェノニウムブロミド、グアニジン塩酸塩(C(NH2)3Cl)またはトリフラート塩類、例えばテトラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムブロミド、ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウムクロリド、およびポリオキシエチレン(16)タローエチルモニウムエトスルフェートが含まれるが、これらに限定されない。企図されるアニオン性界面活性剤には、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)、アンモニウムポリアクリレート、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ナトリウムジヘキシルスルホスクシネート、ドデシル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート塩、2-スルホスクシネート塩類、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸塩、ジシクロヘキシルスルホスクシネートナトリウム塩、7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸ナトリウム、ホスフェートフッ素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、およびポリアクリレート類が含まれるが、これらに限定されない。双性イオン性界面活性剤には、アセチレンジオール類または変性アセチレンジオール類、エチレンオキシドアルキルアミン類、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ナトリウムコカミンプロピネート(sodium cocaminpropinate)、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、および(3-(4-ヘプチル)フェニル-3-ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
組成量に関して、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に対する他の添加剤(複数可)の重量パーセント比は、一実施形態では、約0.001:1~約10:1の範囲であり、他の実施形態では、約0.1:1~約5:1である。pH調整剤の量は、本明細書に開示のpH値および当業者の知識に基づいて、使用のための除去用組成物を調製するときに求められる最終pHに依存する。
【0044】
成分の重量パーセント比の範囲は、組成物の全ての可能な濃縮または希釈された実施形態をカバーする。その目的のために、一実施形態では、洗浄溶液として使用するために希釈することができる濃縮除去用組成物が提供される。濃縮組成物または「濃縮物」は、有利には、使用者(例えば、CMPプロセスエンジニア)が使用時点で濃縮物を所望の強度およびpHに希釈することを可能にする。濃縮水性組成物の希釈は、約1:1~約49:1、または約1:1~約100:1の範囲であり得、水性組成物は、ツールで、またはツールの直前で、溶媒、例えば脱イオン水で希釈される。希釈後、本明細書に開示の成分の重量パーセント比の範囲は不変であるべきということが当業者によって理解されるべきである。
【0045】
基板に関して、本発明の組成物は、本明細書に記載の低k誘電材料を洗浄するのに有用であると考えられる。
【0046】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、セリア粒子および/またはCMP汚染物質をさらに含む。セリア粒子および汚染物質は、洗浄が開始された後に組成物の成分となり、組成物中に溶解および/または懸濁される。
【0047】
除去用組成物は、それぞれの成分の単純な添加および均質な状態への混合によって容易に配合される。さらに、組成物は、使用時点または使用時点の前に混合される単一パッケージ配合物または多要素の配合物として容易に配合され得、例えば、多要素の配合物の個々の部分は、ツールまたはツールの上流の貯蔵タンク内で混合され得る。それぞれの成分の濃度は、組成物の特定の倍数で、すなわち、より希釈されているか、またはより濃縮されているか、広く変化してもよく、本明細書に記載の組成物は、本明細書の開示と一致する成分の任意の組合せを様々におよび選択的に含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができることが理解されよう。
【0048】
マイクロ電子製造作業に適用される場合、本明細書に記載の組成物は、セリア粒子および/またはCMP汚染物質(例えば、CMP後残留物および汚染物質)をマイクロ電子デバイスの表面から洗浄するために有用に用いられる。ある特定の実施形態では、水性除去用組成物は、粒子除去の前にデバイス上に存在するセリア粒子の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を除去する。
【0049】
CMP後粒子および汚染物質除去用途では、本明細書に記載の水性除去用組成物は、Verteq単一ウエハメガソニックGoldfinger、OnTrak systems DDS(両面スクラバ)、SEZまたは他の単一ウエハスプレーリンス、Applied Materials Mirra-Mesa(商標)/Reflexion(商標)/Reflexion LK(商標)、およびメガソニックバッチ湿式ベンチシステムを含むがこれらに限定されない、メガソニックおよびブラシスクラビングなどの多種多様な従来の洗浄ツールと共に使用され得る。
【0050】
セリア粒子およびCMP汚染物質をその上に有するマイクロ電子デバイスから除去するための本明細書に記載の組成物の使用において、水性除去用組成物を、典型的には、約20℃~約90℃、または約20℃~約50℃の範囲の温度で、約5秒~約10分、または約1秒~20分、または約15秒~約5分の時間、デバイスと接触させる。そのような接触時間および温度は例示的なものであり、方法の広範な実施の範囲内で、セリア粒子およびCMP汚染物質をデバイスから少なくとも部分的に除去するのに有効な任意の他の適切な時間および温度条件が用いられ得る。「少なくとも部分的に洗浄する」および「実質的な除去」は両方とも、ある特定の実施形態では、粒子除去の前にデバイス上に存在するセリア粒子の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の除去に対応する。
【0051】
所望の粒子除去行為の達成後、水性除去用組成物は、本明細書に記載の組成物の所与の最終使用用途において所望され、有効であり得るように、先に適用されたデバイスから容易に除去され得る。一実施形態では、すすぎ溶液は脱イオン水を含む。その後、窒素またはスピンドライサイクルを使用してデバイスを乾燥させることができる。
【0052】
さらに別の態様は、本明細書に記載の方法に従って製造される改善されたマイクロ電子デバイス、およびそのようなマイクロ電子デバイスを含む製品に関する。
【0053】
別の態様は、リサイクルされた水性除去用組成物に関し、除去用組成物は、当業者によって容易に決定されるように、粒子および/または汚染物質の負荷が水性除去用組成物が収容し得る最大量に達するまでリサイクルされ得る。
【0054】
またさらなる態様は、マイクロ電子デバイスを含む物品を製造する方法に関し、前記方法は、セリア粒子およびCMP汚染物質を、前記粒子および汚染物質をその上に有するマイクロ電子デバイスから除去するのに十分な時間、マイクロ電子デバイスを水性除去用組成物と接触させることと、本明細書に記載の除去用組成物を使用して、前記マイクロ電子デバイスを前記物品に組み込むこととを含む。
【0055】
別の態様では、セリア粒子およびCMP汚染物質をその上に有するマイクロ電子デバイスから除去する方法が提供される。したがって、別の態様では、本発明は、セリア粒子および化学機械研磨汚染物質を、前記粒子および汚染物質をその上に有するマイクロ電子デバイスから除去するための方法を提供し、前記方法は、
(i)マイクロ電子デバイスを本発明の組成物と接触させること;および
(ii)脱イオン水を含む水溶液を用いて前記マイクロ電子デバイスから前記粒子および汚染物質を少なくとも部分的に除去すること
を含む。
【実施例
【0056】
本発明を、その好ましい実施形態の以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は単に例示の目的で含まれ、特に明記しない限り本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されよう。
【0057】
実験セクション
一定量のCeO2-スラリーを各希釈組成物に添加した。混合物を各組成物について同じ時間撹拌した。これを濾過し、固体残留物を溶液から分離した。溶液に溶解したセリアイオンを、ICP-OES法により測定した。
【0058】