(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】通信システム、通信端末及び中継装置
(51)【国際特許分類】
H04W 84/18 20090101AFI20230417BHJP
H04B 1/713 20110101ALI20230417BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230417BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20230417BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20230417BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20230417BHJP
H04B 7/208 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H04W84/18 110
H04B1/713
H04Q9/00 311J
H04W4/38
G08C15/00 E
G08C17/00 A
H04B7/208
(21)【出願番号】P 2018123318
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-03-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】寺田 誠
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/105458(WO,A1)
【文献】特開2014-179699(JP,A)
【文献】特開2006-140821(JP,A)
【文献】特表2007-519302(JP,A)
【文献】特開2008-211650(JP,A)
【文献】特開2005-051557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 1/713
H04Q 9/00
G08C 15/00
G08C 17/00
H04B 7/208
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々がセンサを含み、前記センサで検知された検知情報を含む端末データ片をブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する複数の通信端末と、
前記複数の通信端末から無線送信された前記端末データ片を受信し、受信した前記端末データ片に含まれる前記検知情報を通信ネットワークに送信する中継装置と、を含み、
前記複数の通信端末の各々は、
前記端末データ片を無線送信する送信期間毎にその送信期間内で搬送波の周波数を時間経過につれて第1~第n(nは2以上の整数)の周波数にてn段階で周期的に変化させる送信周波数切替部を含み、
前記中継装置は、
電波を受信して高周波信号を得るアンテナと、
夫々が、前記高周波信号から受信周波数の帯域の信号を抽出し、抽出した前記信号に復調処理を施すことで前記端末データ片を取得する第1~第nの受信部と、を含み、
第k(kは1~nの整数)の前記受信部の前記受信周波数は、前記第1~第nの周波数のうちの第kの周波数であることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記複数の通信端末の各々は、前記端末データ片をブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する周期を逐次変化させることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数の通信端末の各々は、乱数を生成する乱数生成器を含み、前記乱数の値に基づき前記周期を設定することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記乱数生成器は、前記検知情報を初期値とし、所定の疑似乱数生成アルゴリズムに従って前記初期値に基づく乱数を生成することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
夫々がセンサを含み、前記センサで検知された検知情報及び自身の識別IDを含む端末データ片をブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する複数の通信端末と、
前記複数の通信端末から無線送信された前記端末データ片を夫々受信し、受信した前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報を通信ネットワークに送信する中継装置と、を含み、
前記複数の通信端末の各々は、前記端末データ片を無線送信する送信期間毎にその送信期間内で搬送波の周波数を時間経過につれて第1~第n(nは2以上の整数)の周波数にてn段階で周期的に変化させ、
前記中継装置は、
電波を受信して高周波信号を得るアンテナと、
夫々が、前記高周波信号から受信周波数の帯域の信号を抽出し、抽出した前記信号に復調処理を施すことで前記端末データ片を取得する第1~第nの受信部と、
受信した前記端末データ片毎に前記端末データ片を受信した際の受信強度を検出して前記受信強度を表す受信強度情報を生成し、所定期間毎に、当該所定期間内で受信した前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報と前記受信強度情報とを前記識別IDに対応付けして順に配置した収集データを生成するデータ制御部と、
前記収集データを前記通信ネットワークに送信する送信部と、を含み、
第k(kは1~nの整数)の前記受信部の前記受信周波数は、前記第1~第nの周波数のうちの第kの周波数であることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記端末データ片は、前記識別ID及び前記検知情報と共に前記検知情報の種別を表すフォーマットタイプを含み、
前記データ制御部は、受信した前記端末データ片毎に当該端末データ片に含まれる前記識別IDに対応した前記検知情報及び前記フォーマットタイプを取り込み、前記フォーマットタイプが所望フォーマットタイプ以外である場合には、このフォーマットタイプに対応した前記検知情報を前記収集データに含ませないことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記データ制御部は、受信した前記端末データ片毎に取り込んだ前記フォーマットタイプを表すコードが適正なコードではない場合には前記フォーマットタイプを表すコードを適正なコードに置換することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
夫々が自身に搭載されているセンサで検知した検知情報及び識別IDを含む端末データ片を、無線送信する送信期間毎にその送信期間内で搬送波の周波数を時間経過につれて第1~第n(nは2以上の整数)の周波数にてn段階で周期的に変化させつつブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する複数の通信端末から無線送信された電波を受信して得た高周波信号から、夫々が、受信周波数の帯域の信号を抽出し、抽出した前記信号に復調処理を施すことで前記端末データ片を取得する第1~第nの受信部を含み、前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報を通信ネットワークに送信する中継装置であって、
受信した前記端末データ片毎に前記端末データ片を受信した際の受信強度を検出して前記受信強度を表す受信強度情報を生成し、所定期間毎に、当該所定期間内で受信した前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報と前記受信強度情報とを前記識別IDに対応付けして順に配置した収集データを生成するデータ制御部と、
前記収集データを前記通信ネットワークに送信する送信部と、を含み、
第k(kは1~nの整数)の前記受信部の前記受信周波数は、前記第1~第nの周波数のうちの第kの周波数であることを特徴とする中継装置。
【請求項9】
前記端末データ片は、前記識別ID及び前記検知情報と共に前記検知情報の種別を表すフォーマットタイプを含み、
前記データ制御部は、受信した前記端末データ片毎に当該端末データ片に含まれる前記識別IDに対応した前記検知情報及び前記フォーマットタイプを取り込み、前記フォーマットタイプが所望フォーマットタイプ以外である場合には、このフォーマットタイプに対応した前記検知情報を前記収集データに含ませないことを特徴とする請求項
8に記載の中継装置。
【請求項10】
前記データ制御部は、受信した前記端末データ片毎に取り込んだ前記フォーマットタイプを表すコードが適正なコードではない場合には前記フォーマットタイプを表すコードを適正なコードに置換することを特徴とする請求項
9に記載の中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信端末と中継装置とを含む通信システム、その通信端末及び中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、センサノードと称されるセンサ搭載の無線通信装置を複数配置し、各センサノードのセンサが検知したセンシングデータを、通信ネットワークを介してサーバに提供するようにした通信システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
当該通信システムでは、先ず、複数のセンサノードが個別に、自身のセンサで検知したセンシングデータ片を一旦、中継ノードと称される無線通信装置に送信する。つまり、各センサノードが個別に中継ノードに対して接続要求を行い、接続許可を受けたセンサノードのみが中継ノードとの通信を確立して、センシングデータ片を中継ノードに送信する。すると、中継ノードは、受信したセンシングデータ片を、通信ネットワークを介してサーバに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した通信システムでは、各センサノードがセンシングデータ片を中継ノードに送信するには、その直前に、中継ノードとの通信を確立するための処理(以下、通信確立処理を称する)を行う必要がある。
【0006】
よって、センサノード及び中継ノード間の通信に費やされる通信時間が長くなると共に、センサノードでの電力消費量が大きくなるという問題があった。
【0007】
更に、サーバが、中継ノードを介して1つのセンサノードからセンシングデータ片を取得する度に、上記した通信確立処理が行われるので、複数のセンサノードからのセンシングデータを全て取得するのに費やされる間も長くなる。
【0008】
そこで、本発明は、消費電力及び通信時間を低減することが可能な通信システム、通信端末及び中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る通信システムは、夫々がセンサを含み、前記センサで検知された検知情報を含む端末データ片をブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する複数の通信端末と、前記複数の通信端末から無線送信された前記端末データ片を受信し、受信した前記端末データ片に含まれる前記検知情報を通信ネットワークに送信する中継装置と、を含み、前記複数の通信端末の各々は、前記端末データ片を無線送信する送信期間毎にその送信期間内で搬送波の周波数を時間経過につれて第1~第n(nは2以上の整数)の周波数にてn段階で周期的に変化させる送信周波数切替部を含み、前記中継装置は、電波を受信して高周波信号を得るアンテナと、夫々が、前記高周波信号から受信周波数の帯域の信号を抽出し、抽出した前記信号に復調処理を施すことで前記端末データ片を取得する第1~第nの受信部と、を含み、第k(kは1~nの整数)の前記受信部の前記受信周波数は、前記第1~第nの周波数のうちの第kの周波数である。
【0010】
また、本発明に係る通信システムは、夫々がセンサを含み、前記センサで検知された検知情報及び自身の識別IDを含む端末データ片をブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する複数の通信端末と、前記複数の通信端末から無線送信された前記端末データ片を夫々受信し、受信した前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報を通信ネットワークに送信する中継装置と、を含み、前記複数の通信端末の各々は、前記端末データ片を無線送信する送信期間毎にその送信期間内で搬送波の周波数を時間経過につれて第1~第n(nは2以上の整数)の周波数にてn段階で周期的に変化させ、前記中継装置は、電波を受信して高周波信号を得るアンテナと、夫々が、前記高周波信号から受信周波数の帯域の信号を抽出し、抽出した前記信号に復調処理を施すことで前記端末データ片を取得する第1~第nの受信部と、受信した前記端末データ片毎に前記端末データ片を受信した際の受信強度を検出して前記受信強度を表す受信強度情報を生成し、所定期間毎に、当該所定期間内で受信した前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報と前記受信強度情報とを前記識別IDに対応付けして順に配置した収集データを生成するデータ制御部と、前記収集データを前記通信ネットワークに送信する送信部と、を含み、第k(kは1~nの整数)の前記受信部の前記受信周波数は、前記第1~第nの周波数のうちの第kの周波数である。
【0011】
本発明に係る通信端末は、センサと、アンテナと、前記センサで検知された検知情報を含む端末データ片で搬送波を変調した変調信号を断続的に繰り返し前記アンテナに供給することで前記端末データ片を無線送信する送信部と、前記端末データ片を無線送信する送信期間毎にその送信期間内で前記搬送波の周波数を時間経過につれて第1~第n(nは2以上の整数)の周波数にてn段階で周期的に変化させる送信周波数切替部と、を含む。
【0012】
本発明に係る中継装置は、夫々が自身に搭載されているセンサで検知した検知情報及び識別IDを含む端末データ片を、無線送信する送信期間毎にその送信期間内で搬送波の周波数を時間経過につれて第1~第n(nは2以上の整数)の周波数にてn段階で周期的に変化させつつブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する複数の通信端末から無線送信された電波を受信して得た高周波信号から、夫々が、受信周波数の帯域の信号を抽出し、抽出した前記信号に復調処理を施すことで前記端末データ片を取得する第1~第nの受信部を含み、取得した前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報を通信ネットワークに送信する中継装置であって、受信した前記端末データ片毎に前記端末データ片を受信した際の受信強度を検出して前記受信強度を表す受信強度情報を生成し、所定期間毎に、当該所定期間内で受信した前記端末データ片の各々に含まれる前記検知情報と前記受信強度情報とを前記識別IDに対応付けして順に配置した収集データを生成するデータ制御部と、前記収集データを前記通信ネットワークに送信する送信部と、を含み、第k(kは1~nの整数)の前記受信部の前記受信周波数は、前記第1~第nの周波数のうちの第kの周波数である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、夫々がセンサを搭載した複数の通信端末が自身のセンサで検知した検知情報を含む端末データ片をブロードキャストにて中継装置に送信するようにしている。これにより、通信端末及び中継装置間の通信を確立する為の処理を行う必要がなくなるので、その分だけ通信時間の短縮及び消費電力の低減を図ることが可能となる。また、中継装置は、受信した複数の端末データ片を順に配置した収集データを一括して通信ネットワークに送信している。これにより、1つの端末データ片を受信する度に、この受信した端末データ片を通信ネットワークに送信する場合に比べて、通信時間の短縮及び消費電力の削減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る通信システム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】通信端末10a~10e各々の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、端末データSDのデータフォーマットの一例を示す図である。
【
図4】送信タイミング信号TS及び送信周波数切替信号FCと、端末データSDの送信形態と、を表すタイムチャートである。
【
図5】中継器20a及び20b各々の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】受信周波数切替信号FQによって示される周波数f1~f3の推移の一例を表す図である。
【
図7】収集データQDのデータフォーマットの一例を示す図である。
【
図8】収集データQDの生成手順を示すフローチャートである。
【
図9】収集データQDの生成手順を示すフローチャートである。
【
図10】収集データQDの他の一例を示す図である。
【
図11】ゲートウェイ30の内部構成を示すブロック図である。
【
図12】通信端末10a~10c及び中継器20a間で行われる通信動作の一例を表すタイムチャートである。
【
図13】中継器20a及び20bの他の内部構成を示すブロック図である。
【
図14】
図13に示す構成の中継器20a及び通信端末10a~10c間の通信動作の一例を表すタイムチャートである。
【
図15】通信端末10a~10e各々の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図15に示す構成を有する通信端末10a~10cと、
図13に示す構成を有する中継器20aと間の通信動作の一例を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る通信システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示す通信システム100は、通信端末10a~10e、中継器20a及び20b、ゲートウェイ30、サーバ40を含む。尚、本実施例では、通信システム100を、サーバ40側で通信端末10a~10e各々の現在位置を個別に確認できるように構築されたものとして説明する。
【0017】
通信端末10a~10eの各々は、例えば人又は動物等に携帯、或いは車両、船舶、航空機等の移動体に搭載されている。通信端末10a~10eの各々には、例えば加速度、振動、温度、湿度、気圧、照度、紫外線、音圧、又は地磁気等を検知するセンサが搭載されている。本実施例では、当該センサとして、通信端末が移動する際の加速度を検知するセンサが各通信端末に搭載されているものとする。通信端末10a~10eの各々は、当該センサにて検知された検知情報を、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の規格に準拠したプロトコルに従って無線送信する。尚、通信端末10a~10e各々による無線送信は、受信先を指定しない、いわゆるブロードキャスト送信である。
【0018】
中継器20a及び20bは、屋外又は屋内の互いに異なる区域AR1及びAR2に夫々設置される。例えば、中継器20a及び20bを共に建物内に設置する場合には、その建物内の区域AR1の床下、天井、机上又は柱に中継器20aを設置し、この建物内の区域AR2の床下、天井又は柱に中継器20bを設置する。また、例えば屋外の競技場等に中継器20a及び20bを設置する場合には、その競技場内の区域AR1の地面下に中継器20aを設置し、この競技場内の区域AR2の地面下に中継器20bを設置する。尚、
図1では、区域AR1内に通信端末10a~10cが存在し、区域AR2内に通信端末10d及び10eが存在している場合での状態を一例として表している。
【0019】
中継器20aは、区域AR1に存在する通信端末、例えば
図1に示す通信端末10a~10cの各々から放射された送信電波を受信すると、その受信した電波に対応した高周波信号に復調処理を施す。これにより、中継器20aは、各通信端末10a~10cに対応した検知情報を得る。そして、中継器20aは、取得した検知情報群を含む収集データを、例えばBluetooth(登録商標)、又はWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)(登録商標)等の規格に準拠したプロトコルに従った形態でゲートウェイ30に無線送信する。
【0020】
中継器20bは、区域AR2に存在する通信端末、例えば
図1に示す通信端末10d及び10eの各々から放射された送信電波を受信すると、その受信した電波に対応した高周波信号に復調処理を施す。これにより、中継器20bは、各通信端末10d及び10eに対応した検知情報を得る。そして、中継器20bは、上記した検知情報群を含む収集データを、Bluetooth(登録商標)又はWi-SUN等の規格に準拠したプロトコルに従った形態でゲートウェイ30に無線送信する。
【0021】
ゲートウェイ30は、中継器20a及び20bから、収集データを表す送信電波を受信すると、当該収集データをインターネットプロトコルに準拠した形態に変換し、これをインターネットNWを介して所定のサーバ40に送信する。
【0022】
以下に、上記した通信端末10a~10e、中継器20a、20b、及びゲートウェイ30について詳細に説明する。
【0023】
図2は、通信端末10a~10e各々の内部構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、通信端末10a~10eの各々は、端末情報メモリ101、データ制御部102、センサ103、送信部104、タイマ105、送信タイミング制御部106、送信周波数切替部107、及びアンテナ110を含む。
【0024】
端末情報メモリ101には、例えば通信端末10a~10eに夫々個別に割り当てられている識別番号のうちで、自身に割り当てられている識別番号を表す識別IDが記憶されている。更に、端末情報メモリ101には、センサ103によって検知される検知情報の種別をコードで表すフォーマットタイプTが記憶されている。尚、本実施例では、センサ103は「加速度」を検知する加速度センサであるので、端末情報メモリ101には、センサ103によって検知される検知情報の種別として「加速度」をコードで表すフォーマットタイプTが記憶されている。端末情報メモリ101は、当該フォーマットタイプT及び識別IDをデータ制御部102に供給する。
【0025】
センサ103は、前述したように自身の移動時における加速度を検知し、その加速度を表す検知情報ACをデータ制御部102に供給する。
【0026】
データ制御部102は、上記した識別ID、検知情報AC及びフォーマットタイプTを用いて端末データSDを生成し、これを送信部104に供給する。
【0027】
図3は、端末データSDのデータフォーマットの一例を示す図である。
図3に示すように、端末データSDは、検知情報ACの先頭に、上記したフォーマットタイプT及び識別IDを含むヘッダHを付加したものである。
【0028】
タイマ105は、時間計時を行い、その時間を表す時間情報を送信タイミング制御部106に供給する。
【0029】
送信タイミング制御部106は、当該時間情報に基づき、
図4に示すように、所定の通信周期Tcy毎に、その通信周期Tcy内の送信期間Txの間だけ論理レベル1、送信期間Tx以外は論理レベル0を有する送信タイミング信号TSを生成する。送信タイミング制御部106は、生成した送信タイミング信号TSを送信部104及び送信周波数切替部107に供給する。
【0030】
送信周波数切替部107は、送信タイミング信号TSが論理レベル1の状態にある間に、例えばBluetooth(登録商標)で規定されている周波数帯域内で、送信周波数、つまり搬送波の周波数を、時間経過に伴い周期的に変化させる送信周波数切替信号FCを生成する。
【0031】
例えば、送信周波数切替部107は、
図4に示すように、各送信期間Tx内で時間経過につれて搬送波の周波数を、f1(例えば2400MHz)、f2(例えば、2426MHz)、f3(例えば2480MHz)の順に周期的に変化させる送信周波数切替信号FCを生成する。送信周波数切替部107は、かかる送信周波数切替信号FCを送信部104に供給する。
【0032】
送信部104は、送信タイミング信号TSが論理レベル1の状態にある間に、上記した端末データSDを取り込む。そして、送信部104は、送信周波数切替信号FCにて示される周波数を有する搬送波信号を、上記した端末データSDで変調して得られた変調信号をアンテナ110に供給する。
【0033】
これにより、
図4に示すように、通信周期Tcy毎に断続的に、当該端末データSDに対応した送信電波がアンテナ110から放射される。この際、各送信期間Tx内において、その送信電波の周波数、つまり搬送波周波数が、時間経過に伴い周波数f1からf2、そしてf3に変化する。
【0034】
図5は、中継器20a及び20b各々の内部構成の一例を示すブロック図である。中継器20a及び20bの各々は、アンテナ200、210、受信部201、受信周波数切替部202、RAM203、ROM204、CPU(Central Processing Unit)205、データ制御部206、送信部207、及び受信部208を含む。
【0035】
アンテナ200は、通信端末10a~10eから放射された送信電波を受け、当該送信電波に対応した高周波信号を受信部201に供給する。
【0036】
受信周波数切替部202は、所定の通信周期Tcy毎に、その通信周期Tcy内において、受信ターゲットとする帯域の周波数(以下、受信周波数と称する)を、時間経過に伴い周期的に切り替える受信周波数切替信号FQを生成する。例えば、受信周波数切替部202は、
図6に示すように各通信周期Tcy内において、先ず、周波数f1、次に、周波数f2、そして、周波数f3を受信周波数として順に示す受信周波数切替信号FQを生成する。受信周波数切替部202は、かかる受信周波数切替信号FQを受信部201に供給する。
【0037】
受信部201は、上記した高周波信号を受けると、この高周波信号から、受信周波数切替信号FQにて示される受信周波数の帯域の信号を抽出し、当該信号に復調処理を施すことで、受信データとして上記した端末データSDを得る。更に、受信部201は、アンテナ200から供給された高周波信号に基づき、その端末データSDを取得した際の受信強度を検出し、その受信強度を表す受信強度情報Pを生成する。受信部201は、かかる受信強度情報P、及び受信データとしての端末データSDをデータバスBS1に送出する。
【0038】
CPU205は、ROM204に格納されているプログラム(説明せず)に従って、先ず、データバスBS1上の端末データSD及び受信強度情報Pを一旦、RAM203に記憶する。そして、CPU205は、RAM203に記憶した端末データSDに含まれる識別IDに対応付けして、この端末データSDに含まれるフォーマットタイプT及び検知情報ACと、上記した受信強度情報Pと、をデータ制御部206に供給する。
【0039】
データ制御部206は、フォーマットタイプT、検知情報AC、及び受信強度情報Pを用いて、例えば
図7に示すようなデータフォーマットを有する収集データQDを生成する。尚、
図7では、
図1に示すように通信端末10a~10eのうちの10a~10cが区域AR1に存在する場合に、中継器20aのデータ制御部206が生成する収集データQDの形態の一例を示す。
【0040】
図8及び
図9は、データ制御部206が収集データQDを生成する手順を示すフローチャートである。
【0041】
図8において、先ず、データ制御部206は、所定期間、例えば通信周期Tcy又はr・Tcy(rは2以上の整数)毎に、その所定期間内で受信した各端末データSDに含まれる識別ID、フォーマットタイプT、受信強度情報P及び検知情報ACを取り込む(ステップS11)。
【0042】
次に、データ制御部206は、識別ID毎に、ステップS11で取り込んだ、少なくとも1つの検知情報ACのうちから最新の検知情報ACを選出する(ステップS12)。
【0043】
次に、データ制御部206は、識別ID毎に、ステップS11で取り込んだ、少なくとも1つの受信強度情報Pのうちから最大の受信強度を表す受信強度情報Pを選出する(ステップS13)。
【0044】
次に、データ制御部206は、識別ID毎に、ステップS11で取り込んだ、少なくとも1つのフォーマットタイプTのうちから最新のフォーマットタイプTを選出する(ステップS14)。
【0045】
次に、データ制御部206は、選出したフォーマットタイプTが適正なコードであるか否かを判定する(ステップS15)。例えば、データ制御部206は、最新の各種フォーマットタイプを表すコードの一覧からなるコード表を備えており、選出したフォーマットタイプTのコードと同一コードが当該コード表に記述されているか否かを判定する。この際、選出したフォーマットタイプTのコードと同一コードが当該コード表に記述されている場合には、当該フォーマットタイプTは適正なコードを有するものである。
【0046】
ステップS15において適正なコードではないと判定した場合、データ制御部206は、コード表からフォーマットタイプTに最も近似したコードを適正コードとして選択し、フォーマットタイプTのコードを、この適正コードに置換する(ステップS16)。これにより、通信端末10が旧バージョンである又はバグが生じているが故に、この通信端末10に記憶されているフォーマットタイプTのコードが誤っていても、中継器20側でこれを適正コードに置き換えることで、正しい処理への移行が可能となる。
【0047】
ステップS16の実行後、又はステップS15において適正コードであると判定された場合、データ制御部206は、上記したフォーマットタイプTが所望のフォーマットタイプTvと一致するか否かを判定する(ステップS17)。
【0048】
ステップS17において、フォーマットタイプTがTvと一致したと判定した場合、データ制御部206は、このフォーマットタイプTに対応した識別IDに対応した検知情報AC及び受信強度情報Pと、当該フォーマットタイプTとを合わせたデータ長を求め、そのデータ長を表すデータ長情報Lを生成する(ステップS18)。
【0049】
次に、データ制御部206は、各識別IDに対応付けして、上記したデータ長情報L、フォーマットタイプT、受信強度情報P、及び検知情報ACを、
図7に示すようにデータブロックBLKに含ませる(ステップS19)。尚、
図7では、通信端末10a~10cを夫々表す識別IDa~IDcに夫々対応付けして、データ長情報L、フォーマットタイプT、受信強度情報P、及び検知情報ACを含んだデータブロックBLKの形態を表している。
【0050】
ステップS19の実行後、又は上記ステップS17でフォーマットタイプTがフォーマットタイプTvと一致していないと判定された場合、データ制御部206は、
図7に示すデータブロックBLKのデータ長を算出し、このデータ長を表すブロックデータ長情報LAを生成する(ステップS20)。
【0051】
次に、データ制御部206は、当該ブロックデータ長情報LA及び上記した各識別IDを含むヘッダHを、
図7に示すようにデータブロックBLKの先頭に付加したものを収集データQDとして生成する(ステップS21)。
【0052】
そして、データ制御部206は、当該収集データQDを、例えばWi-SUNに準拠した方式でパケット化したパケット列を送信部207に供給する(ステップS22)。
【0053】
ところで、ステップS17にてフォーマットタイプTが所望フォーマットタイプTvと一致しないと判定された場合、つまりフォーマットタイプTが所望フォーマットタイプTv以外である場合には、当該フォーマットタイプTに対応した識別IDに対応した情報(L、T、P、AC)は破棄され、収集データQDには含まれない。
【0054】
例えば、通信端末10bを表す識別IDbに対応したフォーマットタイプTが所望フォーマットタイプTvと一致しなかった場合には、
図10に示すように、収集データQDには、識別IDbに対応した各情報(L、T、P、AC)は含まれない。
【0055】
送信部207は、例えばWi-SUNで推奨される周波数帯域(例えば920MHz)の搬送波信号を収集データQDで変調した変調信号を断続的に繰り返しアンテナ210に供給することで、収集データQDを無線送信する。
【0056】
尚、アンテナ210は、ゲートウェイ30から放射された送信電波を受信した場合には、その送信電波に対応した高周波信号を受信部208に供給する。
【0057】
受信部208は、受信した高周波信号中から例えばWi-SUNで推奨される周波数帯域の信号を抽出し、この信号に復調処理を施すことによりコマンドコードを得てこれをデータ制御部206に供給する。
【0058】
上記した構成により、中継器20a及び20bの各々は、複数の通信端末10からブロードキャスト送信された端末データSDを受信する。そして、中継器20a及び20bの各々は、受信した端末データSDの各々に含まれる検知情報AC及びフォーマットタイプTと共に、その端末データSDを受信した際の受信強度を示す受信強度情報Pを、
図7に示すようにデータブロックBLKに組み込んで無線送信する。
【0059】
図11は、中継器20a及び20bから放射された送信電波を受信するゲートウェイ30の内部構成を示すブロック図である。ゲートウェイ30は、アンテナ301、受信部302、データ制御部303、送信部304、RAM305、ROM306、CPU307、及びインタフェース部(IF部)308を含む。
【0060】
アンテナ301は、中継器20a又は20bから放射された送信電波を受け、当該送信電波に対応した高周波信号を受信部302に供給する。
【0061】
受信部302は、この高周波信号から、Wi-SUNで推奨される周波数帯域の信号を抽出し、当該信号に復調処理を施すことで、例えば
図7に示すようなデータフォーマットを有する収集データQDを得る。受信部302は、この収集データQDをデータ制御部303に供給する。
【0062】
データ制御部303は、収集データQDのヘッダHに含まれるブロックデータ長情報LA及び識別ID、及びデータブロックBLKに含まれるデータ長情報Lに基づき、収集データQDから、フォーマットタイプT、受信強度情報P及び検知情報ACを分離抽出する。データ制御部303は、各識別IDに対応づけして、これらフォーマットタイプT、受信強度情報P及び検知情報ACをデータバスBS2に送出する。
【0063】
CPU307は、ROM306に格納されているプログラム(説明せず)に従って以下の各種制御を行う。
【0064】
つまり、CPU307は、データバスBS2上のフォーマットタイプT、受信強度情報P及び検知情報ACを、一旦、RAM305に記憶する。そして、CPU307は、これらフォーマットタイプT、受信強度情報P及び検知情報ACをインターネットプロトコルに従ってパケット化したパケットの系列を、データバスBS2を介してIF部308に供給する。
【0065】
IF部308は、当該パケットの系列を、通信ネットワークとしてのインターネットNWを介してサーバ40に送信する。
【0066】
上記した構成により、ゲートウェイ30は、中継器20a及び20bから無線送信された収集データQDをインターネットプロトコルに準拠したパケットの系列に変換し、これを通信ネットワークとしてのインターネットNWに送信するのである。
【0067】
サーバ40は、インターネットNWを介して受けたパケットの系列から、各通信端末に対応したフォーマットタイプT、受信強度情報P及び検知情報ACを抽出する。そして、サーバ40は、識別ID、受信強度情報P及び加速度を表す検知情報ACに基づき、各通信端末毎に、その通信端末が存在する区域を表す表示を行う。
【0068】
例えば、
図1に示す状態では、サーバ40は、通信端末10a~10cが区域AR1に存在し、通信端末10a~10cが区域AR2に存在することを示す情報を表示する。更に、サーバ40は、通信端末10a~10c各々の中継器20aからの離間距離を示す情報と、通信端末10d及び10e各々の中継器20bからの離間距離を示す情報と、をあわせて表示する。
【0069】
尚、IF部308は、サーバ40から送信されたコマンドコードを表すパケット列をインターネットNWを介して受信した場合には、当該パケット列をデータバスBS2に送出する。すると、CPU307は、このパケット列からコマンドコードを抽出し、データ制御部303に供給する。この際、データ制御部303は、かかるコマンドコードを送信部304に供給する。送信部304は、Wi-SUNで推奨される周波数帯域の搬送波信号を上記したコマンドコードで変調した変調信号をアンテナ301に供給することで、当該コマンドコードを中継器20a及び20bに無線送信する。
【0070】
ここで、通信システム100では、通信端末10a~10eの各々による無線送信は、前述したように、受信先を指定しないブロードキャスト送信である。そこで、通信端末10a~10eが個別にブロードキャスト送信した各端末データSDを、中継器側で夫々区分けして受信できるようにするために、各通信端末は、端末データSDを送信する送信周波数を各通信周期Tcy内で時間経過につれて周期的に変化させている。
【0071】
以下に、
図1に示す区域AR1に存在する通信端末10a~10c及び中継器20aを抜粋して、各通信端末及び中継器間で行われる通信動作の一例を、
図12に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0072】
尚、
図12に示す一例では、通信端末10a~10cが夫々非同期にて、通信端末10a、通信端末10b、通信端末10cの順に起動した場合での動作を示している。
【0073】
これにより、先ず、通信端末10aが、自身のセンサ103で検知した検知情報ACを含む端末データSDaを通信周期Tcy毎に繰り返し無線送信するブロードキャスト送信を、
図12に示す時点t1から開始する。尚、通信端末10aは、端末データSDaをブロードキャスト送信するにあたり、各通信周期Tcy内において、その送信周波数を
図12に示すように、周波数f1からf2、そしてf3へと変化させる。
【0074】
次に、通信端末10bが、自身のセンサ103で検知した検知情報ACを含む端末データSDbを通信周期Tcy毎に繰り返し無線送信するブロードキャスト送信を、
図12に示す時点t2から開始する。尚、通信端末10bは、各通信周期Tcy内において、その送信周波数を
図12に示すように、周波数f1からf2、そしてf3へと変化させる。
【0075】
そして、通信端末10cが、自身のセンサ103で検知した検知情報ACを含む端末データSDcを通信周期Tcy毎に繰り返し無線送信するブロードキャスト送信を、
図12に示す時点t3から開始する。尚、通信端末10cは、各通信周期Tcy内において、その送信周波数を
図12に示すように周波数f1からf2、そしてf3へと変化させる。
【0076】
この間、中継器20aは、通信周期Tyc毎に、その通信周期Tyc内において
図12に示すように受信周波数を周波数f1からf2、そしてf3に変化させる。
【0077】
これにより、中継器20aは、受信周波数が周波数f1である間は、周波数f1の帯域で無線送信された端末データSDを受信データとして取得することが可能となる。また、受信周波数が周波数f2である間は、中継器20aは、周波数f2の帯域で無線送信された端末データSDを受信データとして取得することが可能となる。更に、受信周波数が周波数f3である間は、中継器20aは、周波数f3の帯域で無線送信された端末データSDを受信データとして取得することが可能となる。
【0078】
つまり、
図12に示す一例では、中継器20aは、受信周波数が周波数f1に設定されている間に、通信端末10aが周波数f1で送信した端末データSDaと、通信端末10bが周波数f1で送信した端末データSDbとを、受信データとして取得する。その後、受信周波数を周波数f1からf2に切り替わると、中継器20aは、通信端末10bが周波数f2で送信した端末データSDbと、通信端末10cが周波数f2で送信した端末データSDcと、を受信データとして取得する。
【0079】
したがって、
図12に示すように、複数の通信端末(例えば10a~10c)から夫々非同期なタイミングで端末データSDがブロードキャスト送信されても、中継器(例えば20a)は、各通信端末に対応した端末データSDを個別に受信することができる。
【0080】
よって、通信端末及び中継器間の通信がブロードキャスト送信であることから、両者間の通信を確立する為の処理が不要となり、その分だけ通信時間の短縮及び消費電力の削減を図ることが可能となる。
【0081】
更に、中継器(例えば20a)は、受信した複数の端末データ片(例えばSDa~SDc)を、
図7に示すような収集データQDの形態で一括して、ゲートウェイ30を介してインターネットNWに送信している。これにより、1つの端末データ片を受信する度に、この受信した端末データ片をインターネットNWに送信する場合に比べて、通信時間の短縮及び消費電力の削減を図ることが可能となる。
【0082】
図13は、中継器20a及び20b各々の他の構成を示すブロック図である。尚、
図13に示す構成は、受信部201に代えて受信部201A~201Cを採用し、受信周波数切替部202を削除した点を除く他の構成は、
図5に示すものと同一である。
【0083】
受信部201Aは、アンテナ200から供給された高周波信号から、上記した周波数f1(例えば、2400MHz)の帯域の信号を抽出し、当該信号に復調処理を施すことで端末データSDを受信データとして得る。更に、受信部201Aは、アンテナ200から供給された高周波信号に基づき受信強度を検出し、その受信強度を表す受信強度情報Pを生成する。受信部201Aは、この受信した端末データSD及び受信強度情報PをデータバスBS1に送出する。
【0084】
受信部201Bは、アンテナ200から供給された高周波信号から、上記した周波数f2(例えば、2426MHz)の帯域の信号を抽出し、当該信号に復調処理を施すことで端末データSDを受信データとして得る。更に、受信部201Bは、アンテナ200から供給された高周波信号に基づき受信強度を検出し、その受信強度を表す受信強度情報Pを生成する。受信部201Bは、この受信した端末データSD及び受信強度情報PをデータバスBS1に送出する。
【0085】
受信部201Cは、アンテナ200から供給された高周波信号から、上記した周波数f3(例えば、2480MHz)の帯域の信号を抽出し、当該信号に復調処理を施すことで端末データSDを受信データとして得る。更に、受信部201Cは、アンテナ200から供給された高周波信号に基づき受信強度を検出し、その受信強度を表す受信強度情報Pを生成する。受信部201Cは、この受信した端末データSD及び受信強度情報PをデータバスBS1に送出する。
【0086】
よって、
図13に示すように受信部201A~201Cを含む中継器20a及び20bによれば、周波数f1の電波、周波数f2の電波及び周波数f3の電波を同時に受信することができる。
【0087】
図14は、
図13に示す構成を有する中継器20aと、通信端末10a~10cとの間の通信動作の一例を表すタイムチャートである。
【0088】
図14に示すように、中継器20aの受信部201Aは、通信端末10a~10cが周波数f1で無線送信した端末データSDa~SDcを受信データとして取得する。また、受信部201Bは、通信端末10a~10cが周波数f2で無線送信した端末データSDa~SDcを受信データとして取得する。受信部201Cは、通信端末10a~10cが周波数f3で無線送信した端末データSDa~SDcを受信データとして取得する。
【0089】
ところで、通信端末10a~10c各々の端末データの送信タイミングが完全に一致した場合には混信して受信不可となるが、そのような状態になる確率は非常に低い。したがって、中継器20a及び20bとして
図13に示す構成を採用すれば、
図5に示す構成を採用した場合に比べて高い頻度で各通信端末が送信した端末データ片を受信することが可能となる。
【0090】
図15は、通信端末10a~10e各々の内部構成の他の一例を示すブロック図である。尚、
図15に示す構成は、送信タイミング制御部106に代えて送信タイミング制御部106Aを採用すると共に、初期値設定部111及び乱数生成器112を新たに設けた点を除く他の構成は、
図2に示すものと同一である。
【0091】
図15において、初期値設定部111は、所定期間、例えば上記した通信周期Tcy又はr・Tcy毎に、センサ103から出力された検知情報ACにて示される値を、乱数を生成する為の乱数初期値として乱数生成器112に設定する。
【0092】
乱数生成器112は、所定の疑似乱数生成アルゴリズムに従って当該乱数初期値に基づく乱数を生成し、その乱数を表す乱数RMを送信タイミング制御部106Aに供給する。
【0093】
送信タイミング制御部106Aは、送信タイミング制御部106と同様に通信周期Tcy毎に、その通信周期Tcy内の所定の送信期間Txの間だけ論理レベル1となり、送信期間Tx以外は論理レベル0の状態となる送信タイミング信号TSを生成する。送信タイミング制御部106Aは、生成した送信タイミング信号TSを送信部104及び送信周波数切替部107に供給する。ただし、送信タイミング制御部106Aは、通信周期Tycの長さを乱数RMに応じた長さに設定する。
【0094】
これにより、通信端末10a~10eの各々が端末データSDを断続的に繰り返し無線送信する際の通信周期Tcyの長さが、通信端末毎に異なるようになり、且つ時間経過につれて変化するようになる。
【0095】
図16は、
図15に示す構成を有する通信端末10a~10cと、
図13に示す構成を有する中継器20aとの間の通信動作の一例を表すタイムチャートである。
図16に示される一例では、通信端末10bの通信周期Tcy2は、通信端末10aの通信周期Tcy1よりも短く、通信端末10cの通信周期Tcy3よりも長い。更に、通信周期Tcy1~Tcy3は夫々個別に、時間経過につれて短い方向又は広がる方向に不規則に変化する。
【0096】
よって、通信端末10a~10eとして
図16に示す構成を採用すれば、
図2に示す構成を採用した場合に比べて、中継器20a及び20b側において、通信端末10a~10eから個別にブロードキャスト送信された端末データを受信できる頻度が高くなる。
【0097】
尚、上記実施例では、中継器20a(20b)は、ゲートウェイ30を介して収集データQDを通信ネットワークとしてのインターネットNWに送信しているが、中継器20a(20b)がゲートウェイ30の機能を備えていても良い。
【0098】
また、上記実施例では、端末データSDを断続的にブロードキャスト送信するにあたり、通信端末10a~10e各々の送信周波数切替部107が、
図4に示すように各送信期間Tx内で搬送波の周波数を時間経過につれてf1~f3の3段階に変化させている。更に、それに対応させて、中継器20a及び20b各々の受信周波数切替部202が受信周波数を、
図6に示すように、所定期間(例えばTcy)毎に、その所定期間内において受信周波数を時間経過につれて周波数f1~f3の3段階に変化させている。
【0099】
しかしながら、搬送波の周波数及び受信周波数を変化させる段数は3段階に限定されない。すなわち、送信周波数切替部107は、搬送波の周波数を時間経過につれて第1の周波数から第n(nは2以上の整数)の周波数にn段階で変化させれば良い。同様に、受信周波数切替部202は、受信周波数を時間経過につれて第1の周波数から第nの周波数までのn段階で変化させれば良い。
【0100】
要するに、通信システム100としては、以下のような複数の通信端末と中継装置とを含むものであれば良い。
【0101】
すなわち、複数の通信端末(10a~10e)は、夫々がセンサ(103)を含み、このセンサで検知された検知情報(AC)を含む端末データ片(SD)をブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する。中継装置(20a、20b、30)は、上記した複数の通信端末から無線送信された端末データ片を受信し、受信した端末データ片に含まれる検知情報を通信ネットワーク(NW)に送信する。ここで、各通信端末は、端末データ片を無線送信する送信期間(Tx)毎にその送信期間内で搬送波の周波数を時間経過につれて周期的に変化させる送信周波数切替部を含んでいる。
【0102】
また、通信システム100としては、以下のような複数の通信端末と中継装置とを含むものを採用しても良い。
【0103】
すなわち、複数の通信端末(10a~10e)は、夫々がセンサ(103)を含み、このセンサで検知された検知情報(AC)及び自身の識別IDを含む端末データ片(SD)をブロードキャストにて断続的に繰り返し無線送信する。中継装置(20a、20b、30)は、上記した複数の通信端末から無線送信された端末データ片を受信し、受信した端末データ片に含まれる検知情報を通信ネットワーク(NW)に送信する。尚、当該中継装置として、以下のデータ制御部、及び送信部を含むものを採用する。つまり、データ制御部(206)は、受信した端末データ片毎にこの端末データ片を受信した際の受信強度を検出してこの受信強度を表す受信強度情報(P)を生成する。更に、データ制御部は、所定期間(例えばTcy又はr・Tcy)毎に、当該所定期間内で受信した端末データ片の各々に含まれる検知情報(AC)と受信強度情報(P)とを識別IDに対応付けして順に配置した収集データ(QD)を生成する。送信部(207)は、かかる収集データを通信ネットワーク(NW)に送信する。
【0104】
また、各通信端末(10a~10e)としては、上記したセンサ及び送信周波数切替部と共に、送信用のアンテナ(110)及び以下のような送信部を含むものを採用すれば良い。つまり、送信部(104)は、センサで検知された検知情報を含む端末データ片で搬送波を変調した変調信号を断続的に繰り返しアンテナに供給することで端末データ片を無線送信する。
【0105】
また、中継装置(20a、20b)としては、以下のようなデータ制御部と、送信部と、を含むものを採用すれば良い。すなわち、データ制御部(206)は、受信した端末データ片(SD)毎にこの端末データ片を受信した際の受信強度を検出して受信強度情報(P)を生成する。更に、データ制御部は、所定期間(例えばTcy又はr・Tcy)毎に、当該所定期間内で受信した端末データ片の各々に含まれる検知情報(AC)と受信強度情報(P)とを識別IDに対応付けして順に配置した収集データ片(QD)を生成する。送信部(207)は、この収集データ片を通信ネットワーク(NW)に送信する。
【符号の説明】
【0106】
10a~10e 通信端末
20a、20b 中継器
30 ゲートウェイ
100 通信システム
104 送信部
106 送信タイムミング制御部
107 送信周波数切替部
201 受信部
202 受信周波数切替部