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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】搬送方法及び搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/08 20060101AFI20230417BHJP
   C04B 7/38 20060101ALI20230417BHJP
   B65G 15/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B65G43/08 Z
C04B7/38
B65G15/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019044820
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020147392
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】重村 綾二
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼光 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宮永 浩彰
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-229639(JP,A)
【文献】特開平07-165317(JP,A)
【文献】特開昭61-238609(JP,A)
【文献】特開2007-204344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00-43/10
C04B 7/38
B65G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象の搬送方向に駆動するベルトを有するベルトコンベアを用いた搬送方法であって、
稼働中の前記ベルトに対して第一の粒径を有する保護用積載物を供給することによって当該保護用積載物からなる保護層を前記ベルトコンベア上に形成する工程と、
前記保護層を有する稼働中の前記ベルトに対して前記第一の粒径よりも大きい第二の粒径を有する硬質積載物を供給する工程と、
を含み、
稼働中の前記ベルト上の前記保護層に向けて前記保護用積載物よりも嵩密度が高いカバー用積載物を供給することによって、前記ベルト上において前記保護層を覆うように前記カバー用積載物からなるカバー層を形成する工程を更に含む、搬送方法。
【請求項2】
前記保護用積載物が平均粒径1mm以下の粒状物及び粉体ならびに平均粒径2mm以下であり且つドリー硬度17以下の軟質物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の搬送方法。
【請求項3】
前記硬質積載物の粒径が75mm以上である、請求項1又は2に記載の搬送方法。
【請求項4】
セメント製造用の原料を原料調合設備から粉砕設備へと搬送するためのものであり、
前記保護用積載物が石炭灰であり、
前記硬質積載物が剥岩、硅石及び岩塊混入土からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送方法。
【請求項5】
セメント製造用の原料を原料調合設備から粉砕設備へと搬送するためのものであり、
稼働中の前記ベルト上の前記保護層に向けて転炉滓及び鉄精鉱の少なくとも一方を供給することによって前記カバー層を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の搬送方法。
【請求項6】
稼働中の前記ベルトの幅方向の中心部における前記保護層の厚さを1~30mmとする、請求項1~のいずれか一項に記載の搬送方法。
【請求項7】
搬送対象の搬送方向に駆動するベルトを有するベルトコンベアと、
前記ベルトに対して第一の粒径を有する保護用積載物を供給する第一供給手段と、
前記ベルトに対して前記第一の粒径よりも大きい第二の粒径を有する硬質積載物を供給する第二供給手段と、
を備え、
前記第一供給手段は前記第二供給手段よりも前記ベルトコンベアの上流側に設けられており、
前記ベルトに対して前記保護用積載物よりも嵩密度が高いカバー用積載物を供給する第三供給手段を更に備え、
前記第三供給手段は前記第一供給手段よりも前記ベルトコンベアの下流側であり且つ前記第二供給手段よりも前記ベルトコンベアの上流側に設けられている、搬送設備。
【請求項8】
セメント製造用の原料を原料調合設備から粉砕設備へと搬送するためのものである、請求項7に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送方法及び搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントの主原料又は副原料(以下、単に原料という。)は複数の原材料を使用して調合され、原材料として硬度が高く且つ重量のある鉱石(例えば、剥岩及び硅石)を含む。複数の原材料はシュートからベルトコンベアに順次落下し、粉砕設備へと搬送される。ベルトコンベアで原材料を搬送する際、シュートから鉱石が落下することに起因してベルトコンベアの摩耗や破損のトラブルが生じ得る。これらのトラブルによる設備の停止を回避するための様々な方法が試みられている。例えば、特許文献1では、破損の原因となる搬送物を別の輸送系統から粉砕設備に投入する設備が提案されている。特許文献2では、落下による衝撃を緩和するためのホッパ設備に障害物を設ける設備が提案されている。特許文献3では、ベルト面に柔らかい樹脂を貼付ける設備が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-204344号公報
【文献】特開2004-175479号公報
【文献】特開平9-132310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、複数の輸送系統を設ける必要があり、設備の増加によるランニングコストの増加やメンテナンス負荷の増加が懸念される。特許文献2の発明では、ホッパの内部に障害物を設けるため、これに起因したホッパの閉塞が発生する懸念がある。特許文献3の発明では、ベルトから柔らかい樹脂が剥がれた場合、回転部に樹脂を巻き込み機器の故障を発生させる懸念がある。
【0005】
本発明は、ベルトコンベアのベルトの摩耗や破損を抑制できる搬送方法及び搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送方法は、搬送対象の搬送方向に駆動するベルトを有するベルトコンベアを用いたものであり、稼働中のベルトに対して第一の粒径を有する保護用積載物を供給することによって保護用積載物からなる保護層をベルト上に形成する工程と、保護層を有する稼働中のベルトに対して第一の粒径よりも大きい第二の粒径を有する硬質積載物を供給する工程とを含む。
【0007】
上記搬送方法によれば、駆動中のベルト上に保護層を形成し、保護層を有するベルトに対して硬質積載物が供給されると、保護層がクッションの役割を果たし、硬質積載物によるベルトの摩耗や損傷を抑制できる。本発明においては、保護用積載物及び硬質積載物が搬送対象である。
【0008】
上記保護用積載物は、ベルト上に保護層を形成し得るものであればよく、例えば、平均粒径1mm以下の粒状物及び粉体ならびに平均粒径2mm以下であり且つドリー硬度17以下の軟質物からなる群から選ばれる少なくとも一種である。稼働中のベルトの幅方向の中心部における保護層の厚さは、ベルトの摩耗及び損傷の抑制の観点から、1~30mmであることが好ましい。上記硬質積載物は、例えば、最大粒径が75mm以上であり、粒径区分では石分に分類されるものである。
【0009】
上記搬送方法は、稼働中のベルト上の保護層に向けて保護用積載物よりも嵩密度が高いカバー用積載物を供給することによって、ベルト上において保護層を覆うようにカバー用積載物からなるカバー層を形成する工程を更に含んでもよい。硬質積載物の供給に先立って保護層とこれを覆うように形成されたカバー層とをベルト上に形成しておくことで、例えば、硬質積載物がベルトの上方から落下するように供給されても、保護層を構成する材料が飛び散ることが抑制されるとともに、保護層のみの場合と比較して硬質積載物が保護層を貫通してベルトに接することを抑制できる。
【0010】
上記搬送方法は、セメント製造用の原料(例えば、主原料又は副原料)を原料調合設備から粉砕設備へと搬送するためのものであってもよい。この場合、保護用積載物は、例えば、石炭灰からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、硬質積載物は、例えば、剥岩、硅石及び岩塊混入土からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、カバー用積載物は、例えば、転炉滓や鉄精鉱等の鉄源である。なお、岩塊混入土は粗石や巨石を含むことがあり、ベルトに摩耗や破損を与え得る。また、石灰石もその大きさによっては摩耗や破損を与え得る。
【0011】
本発明は、上記搬送方法を実施可能な搬送設備を提供する。この搬送設備は、搬送対象の搬送方向に駆動するベルトを有するベルトコンベアと、ベルトに対して第一の粒径を有する保護用積載物を供給する第一供給手段と、ベルトに対して第一の粒径よりも大きい第二の粒径を有する硬質積載物を供給する第二供給手段とを備え、第一供給手段は第二供給手段よりもベルトコンベアの上流側に設けられている。
【0012】
上記搬送設備によれば、駆動中のベルトに対して第一供給手段によって保護用積載物を供給して保護層を形成し、保護層を有するベルトに対して第二供給手段によって硬質積載物が供給されると、保護層がクッションの役割を果たし、硬質積載物によるベルトの摩耗や損傷を十分に抑制できる。
【0013】
上記搬送設備は、ベルトに対して保護用積載物よりも嵩密度が高いカバー用積載物を供給する第三供給手段を更に備えてもよい。第三供給手段は第一供給手段よりもベルトコンベアの下流側であり且つ第二供給手段よりもベルトコンベアの上流側に設けられている。第三供給手段によってベルトに対してカバー用積載物を供給することで、この材料によって保護層を覆うようにカバー層を形成することができる。硬質積載物の供給に先立って保護層とこれを覆うように形成されたカバー層とをベルト上に形成しておくことで、例えば、硬質積載物がベルトの上方から落下するように供給されても、保護層を構成する材料が飛び散ることが抑制されるとともに、保護層のみの場合と比較して硬質積載物が保護層を貫通してベルトに接することを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ランニングコストやメンテナンス負荷、また、故障の発生頻度を増加させることなく、ベルトコンベアのベルトの摩耗や破損を抑制できる搬送方法及び搬送設備が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明に係る搬送設備の第一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図2図2(a)は図1のIIa-IIa線における模式断面図であり、図2(b)は図1のIIb-IIb線における模式断面図である。
図3図3は本発明に係る搬送設備の第二実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図4図4図3のIV-IV線における模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、本明細書において、粒状物の粒径区分とその呼称は「地盤材料試験の方法と解説」(地盤工学会、第55頁、2009年)に記載の「地盤材料の工学的分類方法」に基づくものとする(表1参照)。
【0017】
【表1】
【0018】
<第一実施形態>
図1は第一実施形態に係る搬送設備の構成を模式的に示す断面図である。図1に示す搬送設備10Aは、搬送対象の搬送方向に駆動するベルトBを有するベルトコンベアCと、ベルトBに対して保護用積載物M1を供給するシュート1(第一供給手段)と、ベルトBに対して硬質積載物M2を供給するシュート2(第二供給手段)とを備え、シュート1はシュート2よりもベルトコンベアCの上流側に設けられている。シュート1,2はベルトBの3~5m程度の上方に設けられている。図1の矢印Aは搬送対象の搬送方向を示したものである。
【0019】
ベルトコンベアCは公知のものを使用すればよく、搬送対象の種類や搬送量に応じてベルトBの幅や材質を設定すればよい。搬送対象がセメントの原料である場合、ベルトコンベアCは以下の条件を満たすことが好ましい。
・ベルトの幅:500~2000mm
・搬送距離:50~150m
・ベルトの全長:110~320m
・搬送速度:70~150m/分
・ベルトの材質:布層コンベアゴム(JIS K6322参照)
【0020】
シュート1は他のベルトコンベア(不図示)のテール部に設けられており、このベルトコンベアで搬送された保護用積載物M1をベルトBに供給する。シュートも他のベルトコンベア(不図示)のテール部に設けられており、このベルトコンベアで搬送された硬質積載物M2をベルトBに供給する。
【0021】
図2(a)は図1のIIa-IIa線における模式断面図であり、図2(b)は図1のIIb-IIb線における模式断面図である。駆動中のベルトBに対してシュート1から保護用積載物M1が供給されることで、ベルトB上に保護層L1が形成される(図2(a)参照)。ベルトBの幅方向の中心部における保護層L1の厚さは、1~30mmであることが好ましく、2~25mmであることがより好ましく、3~20mmであることが更に好ましい。当該箇所における保護層L1の厚さが1mm以上であることでベルトBの摩耗及び損傷をより一層効果的に抑制できる傾向にあり、30mm以下であることで硬質積載物M2の落下に伴って保護用積載物M1が飛び散ることが抑制できる。
【0022】
保護層L1が形成されたベルトBに対してシュート2から硬質積載物M2が供給されると、保護層L1がクッションの役割を果たし、硬質積載物M2によるベルトBの摩耗や損傷を十分に抑制できる。シュート2から硬質積載物M2が供給された後、ベルトB上においては保護用積載物M1と硬質積載物M2が混合された状態で下流側に搬送される(図2(b)参照)。
【0023】
保護用積載物M1は、例えば、比較的小さい平均粒径(第一の粒径)を有する粒状物や粉体である。保護用積載物M1は、クッションの役割を果たすことができるものであればよく、例えば、平均粒径が表1に示す粒径区分で粘土、シルト、細砂、中砂、粗砂又は細礫に分類されるサイズを有するものである。すなわち、保護用積載物M1の平均粒径は、例えば、4.75mm未満であり、0.001mm以上4.0mm未満又は0.005mm以上3.5mm以下であってもよい。保護用積載物M1の嵩密度は、例えば、0.5~3.0g/cmであり、0.7~2.8g/cm又は0.9~2.5g/cmであってもよい。あるいは、保護用積載物M1はドリー硬度17以下の軟質物であってもよく、例えば、軽石やその破砕物であってもよい。保護用積載物M1として、これらの材料の一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。なお、搬送対象がセメント製造用の原料である場合、保護用積載物M1の具体例として、石炭灰、ごみ焼却灰、バイオマス焼却灰等が挙げられる。
【0024】
硬質積載物M2は、保護用積載物M1の平均粒径よりも大きい最大粒径(第二の粒径)を有する。硬質積載物M2は、例えば、粒径が表1に示す粒径区分で粗石又は巨石に分類されるサイズを有するものである。すなわち、硬質積載物M2の最大粒径は、例えば、75mm以上であり、75mm以上500mm以下又は75mm以上300mm以下であってもよい。硬質積載物M2の嵩密度は、例えば、1.2~9.0g/cmであり、1.3~7.9g/cm又は1.4~3.5g/cmであってもよい。なお、搬送対象がセメント製造用の原料である場合、硬質積載物M2の具体例として、剥岩、硅石及び岩塊混入土が挙げられる。
【0025】
搬送設備10Aを使用することにより、以下の搬送方法を実施することができる。すなわち、本実施形態に係る搬送方法は、稼働中のベルトBに対して保護用積載物M1からなる保護層L1をベルトB上に形成する工程と、保護層L1を有する稼働中のベルトBに対して硬質積載物M2を供給する工程とを含む。この搬送方法によれば、駆動中のベルトB上に保護層L1を形成し、保護層L1に向けてシュート2から硬質積載物M2が供給されると、保護層L1がクッションの役割を果たし、硬質積載物M2によるベルトコンベアの摩耗や損傷を十分に抑制できる。
【0026】
<第二実施形態>
図3は第二実施形態に係る搬送設備の構成を模式的に示す側面図である。図4図3のIV-IV線における模式断面図である。図3に示す搬送設備10Bは、シュート1とシュート2の間に設けられたシュート3(第三供給手段)を更に備える点において、第一実施形態に係る搬送設備10Aと相違する。以下、この相違点について主に説明する。
【0027】
シュート3は、シュート1よりもベルトコンベアCの下流側であり且つシュート2よりもベルトコンベアCの上流側に設けられている。シュート3は、保護用積載物M1よりも嵩密度が高いカバー用積載物M3をベルトBに対して供給するためのものである。カバー用積載物M3をシュート3から保護層L1に向けて供給することで、カバー用積載物M3からなるカバー層L3が保護層L1を覆うように形成される(図4参照)。上述のとおり、シュート1,2はベルトBの3~5m程度の上方に設けられているのに対し、シュート3は、カバー層L3を安定的に形成する観点から、ベルトBの0.5~1.5m程度の上方に設けられている。
【0028】
硬質積載物M2の供給に先立って保護層L1とこれを覆うように形成されたカバー層L3とをベルトB上に形成しておくことで、硬質積載物M2がベルトBの上方のシュート2から落下しても、保護層L1を構成する材料が飛び散ることが抑制されるとともに、保護層L1のみの場合と比較して硬質積載物M2が保護層L1を貫通してベルトBに接することを抑制できる。
【0029】
カバー用積載物M3は、保護用積載物M1よりも高い嵩密度を有する。カバー用積載物M3の嵩密度は、例えば、1.0g/cm以上であり、1.5g/cm以上又は1.8g/cm以上であってもよい。カバー用積載物M3は、例えば、平均粒径が表1に示す粒径区分で粗砂、細礫、中礫又は粗礫に分類されるサイズを有するものである。すなわち、カバー用積載物M3の平均粒径は、例えば、0.85mm以上75mm未満であり、1.5~19mmであってもよい。なお、搬送対象がセメント製造用の原料である場合、カバー用積載物M3の具体例として、転炉滓や鉄精鉱等の鉄源が挙げられる。
【0030】
<搬送例>
ベルトコンベアを使用してセメントクリンカーの原料を原料調合設備から粉砕設備へと搬送する場合について具体的に説明する。ベルトコンベアの具体的な構成として以下の事項が挙げられる。
・ベルトの幅:1200mm
・ベルト全長:276m
・搬送距離:128m
・搬送速度:120m/分
・ベルトの材質:布層コンベアゴム(布層の引張強さ:800N/mm、布層:3層構造、上面カバーゴムの厚さ:8mm、下面カバーゴムの厚さ:3mm)
【0031】
表2に各原材料の供給順序、嵩密度、供給量、粒径(最大粒径又は平均粒径)の一例を示す。表2の「供給順序」は表2の上側がベルトコンベアの上流側(ヘッド側)であり、表2の下側がベルトコンベアの下流側(テール側)を意味する。この具体例においては、石炭灰が保護用積載物であり、転炉滓がカバー用積載物であり、硅石、岩塊混入土及び剥岩が硬質積載物である。
【0032】
【表2】

※1:岩塊混入土は大きさ不明の大塊を含み得る。
※2:大塊を除いた部分の平均粒子径:1.2mm
【0033】
本発明者らの検討によれば、表2に示す供給順序でベルトに原材料を供給することでベルトの摩耗や破損を従来と比較して顕著に抑制し得る。なお、従来の搬送設備において、各原材料の供給順序は、上流側から下流側に向けて、鉄精鉱、剥岩、石灰石、転炉滓、硅石、石炭灰、岩塊混入土であった。従来の搬送設備は、セメントクリンカーの原材料として、石炭灰等の砂状物を新たに採用するに伴って、砂状物用のシュートをベルトコンベアの下流側に新設したために、この供給順序となっている推察される。
【符号の説明】
【0034】
1…シュート(第一供給手段)、2…シュート(第二供給手段)、3…シュート(第三供給手段)、10A、10B…搬送設備、A…矢印(搬送方向)、B…ベルト、C…ベルトコンベア、L1…保護層、L3…カバー層、M1…保護用積載物、M2…硬質積載物、M3…カバー用積載物、
図1
図2
図3
図4