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特許7263517スピン軌道トルクMRAMおよびその製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-14
(45)【発行日】2023-04-24
(54)【発明の名称】スピン軌道トルクMRAMおよびその製造
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/82 20060101AFI20230417BHJP
   H10N 50/20 20230101ALI20230417BHJP
   H10B 61/00 20230101ALI20230417BHJP
【FI】
H01L29/82 Z
H10N50/20
H10B61/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021528332
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019055886
(87)【国際公開番号】W WO2020106378
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】62/770,011
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/290,621
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アン, ジェス
(72)【発明者】
【氏名】パク, チャンド
(72)【発明者】
【氏名】ツェン, シンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ, リン
(72)【発明者】
【氏名】パカラ, マヘンドラ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/090728(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/090739(WO,A1)
【文献】特開2013-187250(JP,A)
【文献】特開2018-182256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/82
H10N 50/20
H10B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスを形成する方法であって、
磁気トンネル接合スタックと、前記磁気トンネル接合スタックの上に形成されるスピン軌道トルク層と、前記スピン軌道トルク層の上に形成される誘電体キャッピング層とを備える第1の構造の上にカプセル化層を堆積させることと、
前記カプセル化層の上に誘電体層を堆積させることと、
前記誘電体層の部分および前記カプセル化層の部分を除去することによって、前記誘電体層内にトレンチを形成することと、
化学気相堆積(CVD)または物理気相堆積(PVD)のうちの少なくとも1つによって、前記トレンチ内に金属層を堆積させることであって、前記金属層は、前記誘電体層の最上部に堆積され、前記スピン軌道トルク層および前記誘電体キャッピング層を取り囲み、前記金属層は、前記スピン軌道トルク層の側壁に直接接触する、金属層を堆積させることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記スピン軌道トルク層が、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、またはこれらの組み合わせ、またはこれらの合金から、約3mm~約10mmの厚さに形成される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記トレンチを形成することにより、前記誘電体キャッピング層および前記スピン軌道トルク層の前記側壁の第1の側壁部分を露出させ、前記トレンチを形成することに続いて、前記カプセル化層は、前記スピン軌道トルク層の第2の側壁部分に直接接触し、前記第2の側壁部分は、前記磁気トンネル接合スタックに隣接する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記トレンチを形成することは、前記誘電体層の前記部分および前記カプセル化層の前記部分を、前記スピン軌道トルク層の少なくとも2つの側面から除去することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
ターゲットスタックを形成することをさらに含み、前記ターゲットスタックを形成することは、
真空圧下で処理チャンバ内に配置された基板の上に前記磁気トンネル接合スタックを堆積させることであって、前記磁気トンネル接合スタックを形成することは、
基板の上にピン止め層を堆積させること、
前記ピン止め層の上に基準層を堆積させること、
前記基準層の上にトンネルバリア層を堆積させること、および、
前記トンネルバリア層の上に自由層を堆積させること
を含む、前記磁気トンネル接合スタックを堆積させることと、
前記磁気トンネル接合スタックが真空圧下に留まる間に、前記磁気トンネル接合スタックの前記自由層の上に前記スピン軌道トルク層を堆積させることと、
前記スピン軌道トルク層の上に前記誘電体キャッピング層を堆積させることと、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲットスタックをパターニングして、前記第1の構造を含む複数の構造を形成することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
メモリデバイスを形成する方法であって、
第1の構造の上に形成されたカプセル化層の上に第1の誘電体層を堆積させることであって、前記第1の構造は、磁気トンネル接合スタックと、前記磁気トンネル接合スタックの上に形成されるスピン軌道トルク層と、前記スピン軌道トルク層の上に形成される誘電体キャッピング層とを備える、第1の誘電体層を堆積させることと、
前記第1の誘電体層の部分および前記カプセル化層の部分を除去することによって、前記第1の誘電体層内にトレンチを形成することと、
化学気相堆積(CVD)または物理気相堆積(PVD)のうちの少なくとも1つによって、前記トレンチ内に金属層を堆積させることであって、前記金属層は、前記第1の誘電体層の最上部に堆積され、前記スピン軌道トルク層および前記誘電体キャッピング層を取り囲み、前記金属層は、前記スピン軌道トルク層の側壁に直接接触する、金属層を堆積させることと、
前記金属層の上に第2の誘電体充填層を堆積させることと、
を含む方法。
【請求項8】
前記トレンチ内に前記金属層を堆積させることは、前記金属層の第1の部分、および前記第1の部分を越えて所定の距離にわたって延在する前記金属層の第2の部分を含むように前記金属層を堆積させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の部分は前記第2の誘電体充填層の上に形成され、前記第2の部分は前記誘電体キャッピング層の上に形成され、前記第1の部分はさらに前記スピン軌道トルク層に接触する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記誘電体キャッピング層を露出するために第2の誘電体層を平坦化することをさらに含み、前記第2の誘電体層の平坦化後、前記第2の誘電体層の第1の最上面は前記誘電体キャッピング層の第2の最上面と同一平面になる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の誘電体層を平坦化することは、前記誘電体キャッピング層に隣接する前記金属層の部分を露出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
メモリデバイスを形成する方法であって、
真空圧下で処理チャンバ内に配置された基板の上に、磁気トンネル接合スタックを堆積させることと、
前記磁気トンネル接合スタックが真空圧下に留まる間に、前記磁気トンネル接合スタックの自由層の上にスピン軌道トルク層を堆積させることと、
前記スピン軌道トルク層の上に誘電体キャッピング層を堆積させることと、
第1の構造の上にカプセル化層を堆積させることであって、前記第1の構造が、前記磁気トンネル接合スタック、前記スピン軌道トルク層、及び前記スピン軌道トルク層の上に形成される前記誘電体キャッピング層を備える、第1の構造の上にカプセル化層を堆積させること、
前記カプセル化層の上に第1の誘電体層を堆積させることと、
前記第1の誘電体層の部分および前記カプセル化層の部分を除去することによって、前記第1の誘電体層内にトレンチを形成することと、
化学気相堆積(CVD)または物理気相堆積(PVD)のうちの少なくとも1つによって、前記トレンチ内に金属層を堆積させることであって、前記金属層は、前記第1の誘電体層の最上部に堆積され、前記スピン軌道トルク層および前記誘電体キャッピング層を取り囲み、前記金属層は、前記スピン軌道トルク層の側壁に直接接触する、金属層を堆積させることと、
を含む方法。
【請求項13】
前記トレンチ内に前記金属層を堆積させることは、前記金属層の第1の部分、および前記第1の部分を越えて所定の距離にわたって延在する前記金属層の第2の部分を含むように前記金属層を堆積させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の部分は前記第1の誘電体層の上に形成され、前記第2の部分は前記誘電体キャッピング層の上に形成され、前記第1の部分はさらに前記スピン軌道トルク層に接触する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属層の上に第2の誘電体層を堆積させることと、
前記誘電体キャッピング層を露出するために前記第2の誘電体層を平坦化することであって、前記第2の誘電体層の平坦化後、前記第2の誘電体層の第1の最上面は前記誘電体キャッピング層の第2の最上面と同一平面になる、前記第2の誘電体層を平坦化することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の例は概して、スピン軌道トルク磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(SOT-MRAM)に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
[0002] 磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、磁気記憶素子を使用してデータを記憶する。MRAMは、磁気トンネル接合(MTJ)スタックを用いたスピン偏極電流を利用して電子のスピン方向を反転させるスピン移行トルク(STT)MRAMを含む、種々の形態をとることができる。MTJスタックに対して面内方向または垂直方向で、スピン偏極電流がSTT‐MRAMデバイスに印加される。これとは対照的に、スピン軌道トルク(SOT)MRAMは、重金属層、すなわちMTJスタックに隣接するスピン軌道トルク(SOT)層に電流を印加することにより、電子のスピン方向の切替を引き起こす。電流は、MTJスタックに対して面内方向で、SOT層に印加される。従来のSOT‐MRAM構造は、MTJスタックとSOT層との間のサイズの不整合により熱安定性が悪く、電流フロー損失が起こりうるため、SOT‐MRAMデバイスの製造は困難になりうる。
【0003】
[0003] したがって、当技術分野では、よりロバストなSOT-MRAMデバイスおよびその製造方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示の例は、改良されたSOT-MRAMデバイスおよびその製造方法を提示する。一例では、メモリデバイスは、磁気トンネル接合スタックおよびスピン軌道トルク層を含む第1の構造を含む。磁気トンネル接合スタックの上にスピン軌道トルク層が形成される。誘電体キャッピング層がスピン軌道トルク層の上に形成される。第1の構造の最上部に金属層が形成される。金属層は、スピン軌道トルク層および誘電体キャッピング層の各々を取り囲む。金属層は、スピン軌道トルク層の側壁と直接接触している。
【0005】
[0005] 別の例では、メモリデバイスは、第1の中間層および第2の中間層を有する磁気トンネル接合スタックを含む。スピン軌道トルク層は磁気トンネル接合スタックの上に形成される。誘電体キャッピング層はスピン軌道トルク層の上に形成される。カプセル化層は磁気トンネル接合スタックの上に配置され、磁気トンネル接合スタックと直接接触している。金属層はカプセル化層の最上部に形成され、金属層はスピン軌道トルク層および誘電体キャッピング層の各々を取り囲む。金属層は、スピン軌道トルク層の側壁と直接接触している。第1の中間層は基板の上に形成され、基板と接触している。第2の中間層はスピン軌道トルク層の下に形成され、スピン軌道トルク層と接触している。
【0006】
[0006] 別の例では、メモリデバイスを形成する方法は、第1の構造の上にカプセル化層を堆積させることを含む。第1の構造は、磁気トンネル接合スタックを含む。第1の構造は、磁気トンネル接合スタックの上に形成されたスピン軌道トルク層と、スピン軌道トルク層の上に形成された誘電体キャッピング層とを含む。誘電体層がカプセル化層の上に堆積される。誘電体層の一部およびカプセル化層の一部を除去することによって、誘電体層内にトレンチが形成される。金属層は、化学気相堆積(CVD)または物理気相堆積(PVD)のうちの少なくとも1つによって、トレンチ内に堆積される。金属層は、誘電体層の最上部に堆積される。金属層は、スピン軌道トルク層と誘電体キャッピング層とを取り囲んでいる。金属層は、スピン軌道トルク層の側壁と直接接触している。
【0007】
[0007] 本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は、例示的な例のみを示すものであり、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、他の等しく有効な例も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の例により製造されたボトムピン型スピン軌道トルクMRAMデバイスの断面図である。
図2A】本開示の例により製造されたSOT-MRAMデバイスの上面図を示す。
図2B】本開示の例により製造されたSOT-MRAMデバイスの上面図を示す。
図2C】本開示の例により製造されたSOT-MRAMデバイスの上面図を示す。
図2D】本開示の例により製造されたSOT-MRAMデバイスの上面図を示す。
図3】本開示の例によるSOT-MRAMを製造する方法のフロー図である。
図4A】本開示の例による製造方法から得られる構造の図である。
図4B】本開示の例による製造方法から得られる構造の図である。
図4C】本開示の例による製造方法から得られる構造の図である。
図4D】本開示の例による製造方法から得られる構造の図である。
図4E】本開示の例による製造方法から得られる構造の図である。
図4F】本開示の例による製造方法から得られる構造の図である。
図5】本開示の例によるSOT-MRAMの製造方法のフロー図である。
図6A】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
図6B】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
図6C】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
図6D】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
図6E】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
図6F】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
図6G】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
図6H】本開示の例による製造方法から得られる構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。1つの例の要素および特徴は、特に記載がなくても、他の例に有益に組み込まれうることが想定される。
【0010】
[0015] 本開示の例は概して、ボトムピン型スピン軌道トルク磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(SOT-MRAM)およびその製造方法を含む。トップピン型SOT‐MRAMデバイスは、アニーリングなどの製造工程中に熱安定性が悪く、SOT‐MRAMデバイスの磁気的および電気的特性に悪影響を与える可能性がある。さらに、トップピン型SOT‐MRAMデバイスは、MTJスタックとSOT層の間の幅差による電流フロー損失を経験することがあり、これによりSOT‐MRAMデバイスのスイッチング効率が低減することがある。加えて、トップピン型構造は、SOT層の品質に悪影響を及ぼしうるエッチング停止としてSOT層を使用する。ボトムピン型SOT‐MRAMの従来の製造方法は、例えば、磁気トンネル接合(MTJ)スタックの自由層で起こり得る欠陥のため、困難になりうる。欠陥は、例えば、SOT層を堆積する前のMTJスタックのパターニング処理中に周囲空気に曝されるために、自由層内で発生しうる。自由層内の欠陥は、スピン軌道トルク(SOT)層を含む自由層の上の後続層の堆積における課題を引き起こしうる。したがって、自由層内の欠陥は、SOT-MRAMデバイスの性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0011】
[0016] 本明細書で議論するシステムおよび方法を用いて、MTJスタックとSOT層との間に高品質界面を形成するために、真空を破ることなく、MTJスタックおよびSOT層をインシトゥ(その場)で堆積させることによって、ボトムピン型SOT-MRAMデバイスを製造する。MTJスタックおよびSOT層は、1つの処理チャンバ内で、または複数の処理チャンバを含む一体型ツール内で形成されうる。一体型ツールの処理チャンバ間で移送される基板は、真空下に保たれる。SOT層とMTJスタック間の高品質界面は、強いピン止め異方性磁場(Hk)と450℃程度の温度までの高い熱安定性を促進する。本明細書で作製されるボトムピン型SOT-MRAM構造は、金属線をSOT層の2つ以上の側面に電気的に連結し、電流フロー損失を引き起こす可能性があるSOT層の最上部に金属線が接触することなく、そこを通る電流を移動させる。
【0012】
[0017] 図1は、本開示の実施例により製造されたボトムピン型スピン軌道トルクMRAM(SOT-MRAM)デバイス100の断面図である。図1のSOT-MRAMデバイス100は、金属接点102の上に形成されたMTJスタック110を含み、金属接点102を取り囲むように酸化物層104などの誘電体層が形成される。MTJスタック110は、基準層114とも接触する金属接点102の上に形成されたピン止め層112を含む。ピン止め層112は、単層または複数の中間層として形成することができ、単一のシード層(図示せず)または複数のシード層の上にコバルト(Co)などの材料から形成することができる。ピン止め層112の他の例では、白金(Pt)を単独で、または他の材料と組み合わせて使用することができる。基準層114はトンネルバリア層116の下に形成される。トンネルバリア層116は、単層または複数の中間層として形成することができ、酸化マグネシウム(MgO)などの1つまたは複数の酸化物から形成することができる。基準層114は、単層または複数の中間層で形成することができる。基準層114は、CoFe、CoFeB、FeB、Ta、Mo、ルテニウム(Ru)、またはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。MTJスタック110は、最外層、SOT層124およびトンネルバリア層116と直接接触する自由層118をさらに含む。自由層118は、単層で形成されてもよく、複数の中間層で形成されてもよい。自由層118は、CoFeBおよび/または他の磁性材料を含むように形成することができる。例に応じて、自由層118、トンネルバリア層116、基準層114、およびピン止め層112の各々は、単層であってよく、中間層を含んでもよい。MTJスタック110のいくつかの例では、ピン止め層112と自由層118との間に追加の層を含めることができる。基準層114、トンネルバリア層116、および自由層118は、基準層114および自由層118の電子スピン偏極の方向が平行に整列されたときに、トンネルバリア層116を通る電流が低下し、結果としてMTJスタック110が低抵抗状態となるように構成される。基準層114と自由層118の偏極方向が反平行である場合、MTJスタック110の電気抵抗は大きくなる(増加する)。SOT層124は、MTJスタック110の最上部に堆積され、誘電体キャッピング層122は、SOT層124の上に堆積される。SOT層124は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、またはこれらの組み合わせまたは合金から形成されうる。例に応じて、SOT層124の厚さ130は、約3mm厚から約10mm厚になりうる。MTJスタック110およびSOT層124は、以下で説明される真空下で実行される一連の工程で形成される。誘電体キャッピング層122は、酸化物、窒化物、または酸化物と窒化物の組み合わせから形成することができ、用途に応じて厚さを変えることができる。様々な例では、SOT層124が形成されるときに、誘電体キャッピング層122をインシトゥ(その場)で形成することができる。別の例では、誘電体キャッピング層122は、SOT層124を形成するために使用される処理チャンバとは異なる処理チャンバ(実験施設)内で形成することができる。図1の構造は、MTJスタック110、SOT層124、および誘電体キャッピング層122を含むターゲットスタックをエッチングすることによって部分的に形成される。
【0013】
[0018] さらに、SOT-MRAMデバイス100において、カプセル化層106は、MTJスタック110の外周に、かつ酸化物層104に沿って延在する。カプセル化層106は、SiN、SiCN、SiON、Al、または他の材料などの1つまたは複数の誘電体材料から形成することができる。カプセル化層106は、MTJスタック110の側壁110A、SOT層124の側壁126、および誘電体キャッピング層122を覆うように形成される。カプセル化層106は、さらに、誘電体キャッピング層122の最上面128および誘電体キャッピング層122の側壁132に沿って延在する。一例では、カプセル化層106は、SOT層124の厚さ130の約1%~約60%の距離にわたり、SOT層124の側壁126に沿って延在する。カプセル化層106は、SOT層124の側壁126の一部に沿って延在し、自由層118をパターニング処理から保護する。カプセル化層106は、さらに、金属接点102を誘電体充填層108から分離するように作用する。
【0014】
[0019] 誘電体充填層108は、カプセル化層106を取り囲むように形成される。誘電体充填層108は、約10nm~約100nmの厚さまで、1つまたは複数の酸化物および/または窒化物として形成されうる。一例では、誘電体充填層108は、二酸化ケイ素(SiO)から形成される。金属層120は、誘電体キャッピング層122およびSOT層124を取り囲む。金属層120は、銅(Cu)、W、Ta、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、またはこれらの組み合わせから形成されうる。金属層120は、SOT層124に電気的に結合し、SOT層124を通して電流を伝えるように作用するため、金属層120は、1つまたは複数の金属線とも称される。一例では、金属層120は、デバイス動作中の電流損失を防止するSOT層124の最上面134に接触していない。様々な例では、SOT層124の上面図の断面形状を含む因子に応じて、金属層120は、SOT層124の側壁126に沿った2つ以上の領域に接触することができる。一例では、金属層120は、SOT層124の側壁126のすべてに接触するわけではない。
【0015】
[0020] 図2A図2Dは、本開示の例により製造されたSOT-MRAMデバイスの例の上面図を示す。図2A図2Cに示した上面図は、正方形に似た多角形として示されているが、他の例では、SOT層124を含む上面図の断面形状は、円形(図2Dに示されるように)、楕円形、三角形、または金属層120との様々な態様で整合可能な他の形状または形状の組み合わせになりうることが想定されている。図2A図2Dの各々は、図1に示すようにSOT層124の上部に形成される誘電体キャッピング層122なしで図示されている。むしろ、図2A図2Dは、金属層120および誘電体充填層108に対するSOT層124の位置を示すために使用される。従来、SOT層124が金属層120と整合されていない場合には、電流損失が起こりうる。しかしながら、本明細書で説明されるSOT-MRAMデバイスの例では、不整合は、少なくとも金属層120がSOT層124の側壁126の2つ以上の部分にどのように電気的に結合されるため、同様の効果を有さない。
【0016】
[0021] 図2Aは、本開示の例に従って製造された、金属層120と共有される中心軸202に沿って整列されたSOT層124を有する、例示的なSOT-MRAMデバイスを示す。例に応じて、金属層120は、SOT層124の2つの平行な側壁部分126Aおよび126B、または126Cおよび126Dと直接接触することができる。図2Aにおいて、第3の側壁部分126Cおよび第4の側壁部分126Dは、金属層120の側面(120A、120B)と整合される。SOT層124および金属層120の側壁が整合していない従来のデバイスとは対照的に、図2Aの金属層120は、SOT層124の2つの側壁(126C、126D)と整合されている。SOT層124の側壁126は図1に示されており、第1の側壁部分126A、第2の側壁部分126B、第3の側壁部分126C、および第4の側壁部分126Dとして、図2Aにさらに示されている。第1の側壁部分126Aは、第2の側壁部分126Bの反対側にあり、かつ平行である。第3の側壁部分126Cは、第4の側壁部分126Dの反対側にあり、かつ平行である。
【0017】
[0022] 図2Bは、図2Aと同様の構造を示すが、図2Aとは対照的に、図2BのSOT層124は、中心軸202からオフセットされ、第4の側壁部分126Dなどの少なくとも1つの側壁部分は、誘電体充填層108と直接接触することができる。図2Cは、図2Aおよび図2Bと同様の構造を示すが、図2Aおよび図2Bとは対照的に、SOT層124は、SOT層124の一部が第4の側壁部分126Dに沿って金属層120の上に張り出すように、中心軸202からさらにオフセット(不整合)されている。図2Dは、図2Aと同様の構造を示すが、側壁126によって画定される円形の断面形状を有する。この例では、金属層120は、側壁126の全体と接触するか、または側壁126の全体ではなく、例えば、側壁126の円周の10%~90%と接触することができる。
【0018】
[0023] 図2A図2Dのいずれの例においても、SOT-MRAMデバイスは、SOT層124に電気的に結合される金属層120によって形成される金属線を介して、SOT層124を通って電流を送る。後述するように、金属層120は、電流損失を減少させ、SOT-MRAMデバイスのスイッチング効率を増大させるSOT層124の最上部には配置されない。
【0019】
[0024] いくつかの例では、以下の図3および図4A図4Fに示され、説明されるように、第3の側壁部分126Cおよび第4の側壁部分126Dは、誘電体充填層108と接触する。他の例では、以下の図5および図6A図6Hに示され、説明されるように、第3の側壁部分126Cおよび第4の側壁部分126Dは、誘電体充填層108と接触しない。他の例では、図5および図6A図6Hに示され、説明されるように、金属層120は、SOT層124の側壁部分126A、126B、126C、126Dのすべてと直接接触することができる。
【0020】
[0025] 本明細書で説明されるボトムピン型SOT-MRAMデバイスは、様々な方法で製造することができる。これらの方法から得られる例示的な方法および構造を以下で説明する。以下の方法の様々な要素を組み合わせて利用し、本明細書で説明されるSOT-MRAM構造を形成することができる。例に応じて、SOT層124に電気的に結合する金属線を形成するために使用される金属層120は、SOT層124の2つ以上の側壁部分に接触するように構成することができる。図3図6Hは、ボトムピン型SOT-MRAM構造、ならびにそれから生じる構造を製造するために使用される様々な製造工程およびサブ工程を説明している。本明細書で説明される方法の要素を組み合わせて、高品質なMTJスタック/SOT層界面および商業的に実現可能な磁気および電気特性を有するSOT-MRAMデバイスが形成可能であると考えられる。
【0021】
[0026] 図3は、本開示の例によるSOT-MRAMのための製造方法300のフロー図である。図4A図4Fは、製造方法300の工程から生じる構造を示す。図3および図4A図4Fは、以下で合わせて説明されるが、図1のSOT-MRAMデバイスを形成することを目的としている。したがって、図1で参照される層は、図3および図4に関して以下で説明される。製造方法300では、工程302および304において、図4Aの構造は、ターゲットスタックの形成およびターゲットスタックのパターニングを含む複数のサブ工程で形成される。
【0022】
[0027] 工程302では、金属接点102の上に形成されたMTJスタック110と、MTJスタック110の上に形成されたSOT層124と、SOT層の上に形成された誘電体キャッピング層122とを含むターゲットスタックが形成される。MTJスタック110は、一連の物理的気相堆積(PVD)スパッタリングサブ工程の工程302において、層形成の間で真空を破ることなく形成することができる。したがって、ピン止め層112、基準層114、トンネルバリア層116、および自由層118の各々は、真空圧力下に保持された処理チャンバ内に形成される。1つまたは複数のスパッタリングターゲットをPVDスパッタリング工程で使用して、ピン止め層112(例えば、Coおよび/またはPtから)を形成し、CoFe、CoFeB、ルテニウム(Ru)、またはこれらの組合せから基準層114を形成することができる。さらに、工程302のサブ工程において、トンネルバリア層116は、酸化マグネシウム(MgO)からのPVDスパッタリング、またはマグネシウム(Mg)からのPVDスパッタリングおよびその後の酸化を介して形成され、自由層118は、CoFeB層を形成するために1つまたは複数のターゲットをスパッタリングすることによって形成される。
【0023】
[0028] さらに、工程302のサブ工程では、SOT層124は、PVDスパッタリングを介してMTJスタック110の上に堆積される。上述のように、SOT層124は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、またはこれらの組み合わせまたは合金から、3mm~10mmの厚さに形成される。MTJスタック110の最外層(自由層118)の形成とSOT層124の形成との間では、MTJスタック110の形成に使用される1つまたは複数の処理チャンバ内に真空圧が維持される。MTJスタック110の層の製造とSOT層124の製造との間に真空を維持することは、MTJスタックの層の間、および自由層118とSOT層124との間の高品質界面の形成を促進する。自由層118とSOT層124との間の真空下で形成される高品質界面は、SOT-MRAMデバイス性能の改良をもたらす。
【0024】
[0029] さらに、工程302では、PVD、CVD、または他の方法または方法の組合せを利用して、誘電体キャッピング層122をインシトゥ(その場)で、または実験施設内で(真空を破って、または真空を破ることなく)形成することができる。一例では、誘電体キャッピング層122は、真空を破ることなく、SOT層124の上に形成される。別の例では、誘電体キャッピング層122は、SOT層124の形成後に真空が破れる実験施設内でSOT層124の上に形成され、誘電体キャッピング層122の形成のために真空は再度確立されることもあれば、確立されないこともある。工程302のさらなるサブ工程は、工程304でのパターニングに使用されうる、誘電体キャッピング層122(ここでは図示せず)の上の1つまたは複数の任意選択のハードマスク層の堆積を含んでもよい。工程302のサブ工程で形成されるターゲットスタックは、工程304でパターニング(エッチング)されて、複数の構造を形成する。そのうちの1つを図4Aに示す。ターゲットスタックから形成される各構造は、MTJスタック110、SOT層124、および誘電体キャッピング層122を含む。各構造は、金属接点102と接触している。図2A図2Cで示したように、工程302中にターゲットスタックから形成された各構造は、長方形または正方形、円、楕円、三角形、またはこれらの組合せを含む多角形の上断面を有しうる。
【0025】
[0030] 工程306では、カプセル化層106が、図4Aのパターニングされた構造の周囲に形成され、MTJスタック110、SOT層124、および誘電体キャッピング層122をカプセル化して、図4Bに示した構造を形成する。カプセル化層106は、CVD、原子層堆積(ALD)、またはPVDを利用して、工程306で形成することができる。カプセル化層106は、例えば、MTJスタックが酸化するのを防止することによって、製造中にMTJスタック110を保護する。カプセル化層106は、SiN、SiCN、SiON、Al、または他の材料または材料の組合せから、様々な厚さ、例えば5nm~30nmの厚さで形成することができる。
【0026】
[0031] 工程308では、誘電体充填層108がカプセル化層106の上に堆積され、平坦化される。誘電体充填層108は、工程308で、CVDを使用して堆積されうる。工程308での平坦化の間、図3Cに示されるように、誘電体充填層108の一部は、化学機械研磨(CMP)を使用して除去され、カプセル化層106の最上部402と実質的に同一平面上にある誘電体充填層108の最上部404を形成することができる。
【0027】
[0032] 工程310では、SOT層124を通って電流を送るように、SOT層124に電気的に結合した金属線を形成するため、SOT金属線リソグラフィが行われる。工程310は、サブ工程312~316を含む。サブ工程312では、フォトレジストが図4Cの構造の最上部に配置され、続いてパターニングされる。工程314では、サブ工程312で形成およびパターニングされたフォトレジストを使用して、凹部がエッチングされる。工程314でのエッチングは、誘電体充填層108およびカプセル化層106を除去するが、誘電体キャッピング層122をそれほどエッチングしない選択的エッチング工程である。工程314でのエッチング中に、誘電体充填層108の一部およびカプセル化層106の一部が除去されて、トレンチ410が形成される。トレンチ410の形成は、SOT層124の4つの側壁126のすべてまたは一部を露出させる。図4Dは、工程314から得られる構造を示す。図4Fは、誘電体充填層108を貫通して形成されたトレンチ410を図示する、4Dの構造の斜視図を示す。特に、図4Dは、誘電体充填層108の一部およびカプセル化層106の一部が除去された構造を示す。トレンチ410の形成は、誘電体キャッピング層122の最上部と、SOT層124の側壁126の2つ以上の部分とを露出させる。上述のように、カプセル化層106は、SOT層124の側壁126から完全に除去されなくてもよい。SOT層124の側壁126の上に残るカプセル化層106の部分は、工程314でのエッチング中に、下層の自由層118を保護する。一例では、SOT層124の側壁126の約10%~約90%の高さを工程314で露出させることができる。
【0028】
[0033] 工程316では、金属層120は、工程314で形成されるトレンチ410内に堆積され、SOT層124の側壁126に電気的に結合される金属線を形成する。金属層120は、工程314で、CVDまたはPVDを介して堆積されうる。さらに、工程318では、図4Eに示されるように、金属層120は、誘電性キャッピング層122の最上面406が金属層120の最上面408と同一平面上にあるように、CMPを介して一部分を除去するように平坦化されうる。工程320では、アニーリング工程を含むさらなる工程がSOT-MRAMデバイス上で実行されうる。図4Fに示した構造は、商業的に実現可能な電気的および磁気的特性を維持しつつ、400℃程度の温度でさらなる処理に耐えるように製造される。
【0029】
[0034] 本明細書で説明されるSOT-MRAMデバイスは、図3および図4A図4Fに示すように形成されてよく、トレンチが形成され、金属材料で充填されて、SOT層に電気的に結合する金属線を形成することができる。他の例では、図5および図6A図6Hに示され、後述されるように、トレンチの代わりに誘電体充填層内に凹部を形成することができ、SOT層のより広い表面積を露出させて、金属層から形成される金属線に結合させる。
【0030】
[0035] 図5は、本開示の例による、SOT-MRAMデバイスのための製造方法500のフロー図である。図6A図6Gは、製造方法500の工程から生じる構造を示す。製造方法500では、工程302、304、および306は、真空下でMTJスタック110およびSOT層124を形成するため、製造方法300に関して上述のように実行される。また、上述のように、誘電体キャッピング層122は、SOT層124の上に形成され、MTJスタック110は、複数の構造を形成するようにパターニングされる。一例の構造を図6Aに示す。図6Aの構造は、工程306でカプセル化層106によってカプセル化される。得られた構造を図6Bに示す。工程308では、誘電体充填層108がカプセル化層106の上に形成される。誘電体充填層108は、酸化物、窒化物、または酸化物と窒化物の交互層を含むことができる。さらに、工程308では、誘電体充填層108は、CMPを介して平坦化される。工程308で平坦化した後、カプセル化層106の最上部402は、図6Cに示したように、誘電体充填層108の最上部404と同一平面上にある。
【0031】
[0036] 工程502では、図6Dに断面図で、図6Eに斜視図で示した誘電体充填層108に凹部610が形成される。図6Dおよび図6Eに示したように、誘電体充填層108内の凹部610は、SOT層124および誘電体キャッピング層122の全体(4つの側面のすべて)の周囲に形成される。凹部610は、リソグラフィなしのエッチングを利用して、工程502で形成されうる。工程502での凹部の形成は、誘電体充填層108の一部およびカプセル化層106の一部を除去する。凹部610は、SOT層124の側壁126のすべての4つの側面(側壁部分)の少なくとも一部を露出するように形成される。対照的に、いくつかの例では、製造方法300の工程308で形成されるトレンチ410は、SOT層124の2つの平行な側壁が露出され、残りの2つの側壁は露出されず、したがって、誘電体充填層108と接触したままであるように形成される。他の実施例では、工程308において形成されるトレンチ410は、3つ以上の側壁部分を露出させることができる。
【0032】
[0037] 工程504では、金属層120は、CVDまたはPVDを利用して堆積され、続いて、リソグラフィによってパターニングされる。金属層120は、工程502で露出されたSOT層124の側壁126の1つまたは複数の部分に接触し、電気的に結合するように形成される。工程504から生じる構造は、金属層120が、誘電体キャッピング層122の最上面608とさらに接触しうることを示す図6Fに示されている。図6Fは、2つの部分を含む金属層120を示す。金属層120の第1の部分120Aは、誘電体充填層108の上に形成される。金属層120の第2の部分120Bは、誘電体キャッピング層122の上に形成され、第1の部分120Aを越えて距離120Cにわたって延在する。工程506では、工程504での金属リソグラフィから生じるパターニングされた表面(本明細書の断面図には示されない)は、図6Gに示されるように、誘電体材料602で充填される。誘電体材料602は、CVDを利用して、工程506で堆積されうる。別の例では、PVDを利用して、工程506で誘電体材料602を堆積させることができる。誘電体材料602は、1つまたは複数の酸化物、窒化物、または他の誘電体材料または誘電体材料の層を含むことができる。一例では、誘電体材料602は、交互に並んだ複数の酸化物層と窒化物層とを含む。
【0033】
[0038] 工程508では、CMPは、構造の表面を平坦化するために、誘電体材料602の少なくとも一部を除去するために使用される。図6Hに示したように、工程508での平坦化は、誘電体キャッピング層122の最上面608と誘電体材料602の最上面604とを同一平面にする。工程508での平坦化は、さらに、誘電体キャッピング層122の最上面608と金属層120の最上面606とを同一平面にする。工程508においてCMP後に残る誘電体材料602の一部602Aが図6Hに示されているが、他の例では、工程508は、金属層120を露出するため、実質的にすべての誘電体材料602を除去することが想定されている。工程510では、アニーリング工程を含むさらなる工程をSOT-MRAMデバイス上で実行することができる。図46Hに示した構造は、商業的に実現可能な電気的および磁気的特性を維持しつつ、450℃までの温度でさらなる処理に耐えるように製造されたものである。工程510では、工程302~308および502~508で形成されたSOT-MRAMデバイスが、熱処理を含むさらなる処理を受けることができる。
【0034】
[0039] 本明細書で説明されるボトムピン型SOT-MRAMデバイスは、MTJスタックとSOT層を真空下で形成して、MTJスタックの自由層とSOT層との間に高品質の界面を作るために製造される。さらに、本開示の例により製造されたSOT-MRAMデバイスは、SOT層の最上部に接触することなく、金属線をSOT層の1つまたは複数の側面に結合するように形成される。カプセル化層は、SOT層をエッチング停止として使用するトップピン型構造とは対照的に、MTJスタックの自由層を保護するための保護層として使用される。カプセル化層は、MTJスタックの自由層およびSOT層の一部を保護して自由層のエッチングを防止するようにさらに構成される。加えて、ボトムピン型SOT‐MRAMデバイスは、電流フロー損失を減少させ、スイッチング効率を改良するために、MTJスタックとSOT層に対して改良されたオーバレイマージンを有するように構成することができる。
【0035】
[0040] 上記は、本開示の例を対象としているが、本開示の他の例およびさらなる例は、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H