(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ポリカルボシラン含有組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/40 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
G03F7/40 511
(21)【出願番号】P 2018134574
(22)【出願日】2018-07-17
【審査請求日】2021-07-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】石橋 謙
(72)【発明者】
【氏名】志垣 修平
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0321854(US,A1)
【文献】特開2003-316019(JP,A)
【文献】特開2011-248242(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に有機パターンを形成する工程(1)、
有機パターンにパターン反転膜形成用組成物を塗布し、加熱温度50~180℃で焼成してポリカルボシラン被覆膜を作製する工程(2)、
有機パターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(3)
を含む、反転パターンを有する基板の製造方法であって、
前記パターン反転膜形成用組成物がポリカルボシランと溶媒とを含み、
前記ポリカルボシランが、下記式(1):
【化1】
(R
1
は水素原子、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。R
2
は、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。)で表される単位構造を含み、
前記溶媒が、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びγ-ブチロラクトンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、
方法。
【請求項2】
基板上に有機パターンを形成する工程(1)、
有機パターンにパターン反転膜形成用組成物を塗布し、加熱温度50~180℃で焼成してポリカルボシラン被覆膜を作製する工程(2)、
有機パターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(3)、
反転させたパターンをマスクとして基板をエッチングする工程(4)
を含む、半導体装置の製造方法であって、
前記パターン反転膜形成用組成物がポリカルボシランと溶媒とを含み、
前記ポリカルボシランが、下記式(1):
【化1】
(R
1
は水素原子、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。R
2
は、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。)で表される単位構造を含み、
前記溶媒が、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びγ-ブチロラクトンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、
方法。
【請求項3】
請求項1の工程(2)に用いられる、ポリカルボシランと溶媒とを含む、有機パターン上に塗布されるパターン反転膜形成用組成物であって、
前記ポリカルボシランが、下記式(1):
【化1】
(R
1
は水素原子、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。R
2
は、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。)で表される単位構造を含み、
前記溶媒が、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びγ-ブチロラクトンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、
パターン反転膜形成用組成物。
【請求項4】
請求項2の工程(2)に用いられる、ポリカルボシランと溶媒とを含む、有機パターン上に塗布されるパターン反転膜形成用組成物であって、
前記ポリカルボシランが、下記式(1):
【化1】
(R
1
は水素原子、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。R
2
は、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。)で表される単位構造を含み、
前記溶媒が、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びγ-ブチロラクトンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、
パターン反転膜形成用組成物。
【請求項5】
上記有機パターンがレジストパターン、ナノインプリントパターン及び有機下層膜パターンの中から選ばれる、請求項1若しくは2に記載の方法、又は請求項3若しくは4に記載のパターン反転膜形成用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルボシランと溶媒とを含む、有機パターン上に塗布される段差基板平坦化用組成物、その製造方法、及び当該組成物を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に微細なパターンを形成し、このパターンに従ってエッチングを行い基板を加工する技術は半導体製造の分野で広く用いられている。
【0003】
リソグラフィー技術の進展に伴い微細パターン化が進み、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーが用いられ、更に電子線やEUV(極端紫外線)を用いた露光技術が検討されている。
【0004】
パターン形成技術の一つとして、パターン反転法がある。半導体基板上にレジストパターンを形成し、そのレジストパターンをシリコン系塗布液で被覆する。これによりレジストパターン間にシリコン系塗布液が充填され、その後焼成し、塗膜を形成する。その後シリコン含有塗膜の上部をフッ素系ガスでエッチングによりエッチバックしてレジストパターン上部を露出させ、そしてガスを変えてレジストパターンを酸素系エッチングガスで除去して、レジストパターンが消失しシリコン系塗膜に由来するシリコン系のパターンが残り、パターンの反転が行われる。
【0005】
この反転パターンが形成されたシリコン系膜をエッチングマスクとして、その下層や基板のエッチングを行うと反転パターンが転写され、基板上にパターンが形成される。
【0006】
特許文献1には、ポリカルボシラン樹脂を含むレジスト下層膜形成組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、被加工基板上に形成されたレジストパターンに高低差や疎密のある段差基板に対し、レジストパターン間に良好に埋め込むことができるポリカルボシラン含有組成物を用い、特定の手順により段差基板を平坦に被覆するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下を包含する。
[1] ポリカルボシランと溶媒とを含む、有機パターン上に塗布されるパターン反転膜形成用組成物。
[2]上記ポリカルボシランが、下記式(1):
【0010】
【0011】
(R1及びR2は各々水素原子、ヒドロキシ基、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。)で表される単位構造を含む、請求項1に記載のパターン反転膜形成用組成物。
[3]上記有機パターンがレジストパターン、ナノインプリントパターン及び有機下層膜パターンの中から選ばれる、請求項1又は2のいずれか1項に記載のパターン反転膜形成用組成物。
[4]基板上に有機パターンを形成する工程(1)、有機パターンに請求項1又は2のいずれか1項に記載のパターン反転膜形成用組成物を塗布する工程(2)、有機パターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(3)を含む、反転パターンを有する基板の製造方法。
[5]基板上に有機パターンを形成する工程(1)、有機パターンに請求項1又は2のいずれか1項に記載のパターン反転膜形成用組成物を塗布する工程(2)、有機パターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(3)、反転させたパターンをマスクとして基板をエッチングする工程(4)を含む、半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパターン反転膜形成用組成物は、被加工基板上に形成されパターン化された有機下層膜とミキシングすることなく、このパターン化された有機下層膜の上に被覆して、該有機下層膜のパターン間に良好に埋め込む(充填する)ことができる。本発明においては、ポリカルボシランを採用したことにより、大小様々なパターンに対して、膜厚差無く平坦に埋め込むことが可能となった。パターン反転膜形成用組成物は硬化してポリカルボシラン組成物膜を形成し、後にエッチング(ガスエッチング)によるエッチバックにより平坦な面を形成することができる。更に有機下層膜はアッシング(灰化処理)により除去することができるので、有機下層膜によるパターンを、パターン反転膜形成用組成物が充填されてできたポリカルボシラン組成物膜のパターンに反転することできる。これらの反転パターンにより被加工基板の加工を行うことができる。
【0013】
特に本発明においては、ポリカルボシラン材料を採用したことにより、段差を平坦化でき、被覆膜の平坦化性を実現することができる。その結果、十分に残膜を残し、反転加工をすることが可能となる。ここで、平坦化とは、レジストパターンに塗布した場合にレジストのパターンが存在する部分(ライン部)と、パターンが存在しない部分(スペース部)とが、その上部に存在する塗布された被覆物の膜厚差が少ないことを意味する。
【0014】
また、本発明のパターン反転膜形成用組成物は、自体公知のポリシロキサンからなるパターン反転膜形成用組成物に比較し、膜焼成時の昇華物が少ないという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】調製例1で得られたポリカルボシラン覆膜について、断面の形状を観察し平坦化性を評価するために使用したSEM写真である。
【
図2】比較例1で得られたポリカルボシラン被覆膜について、断面の形状を観察し平坦化性を評価するために使用したSEM写真である。
【
図3】本発明のパターン反転膜形成用組成物を用いた塗布方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<パターン反転膜形成用組成物>
本願のパターン反転膜形成用組成物は、ポリカルボシランと溶媒とを含む。
ポリカルボシランは例えば式(1)又は式(2)で示される単位構造を有する樹脂である。
【0017】
【0018】
(R1及びR2は各々水素原子、ヒドロキシ基、C1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基、C7~C15アラルキル基、C6~C20アリ-ル基、C7~C15アリ-ルオキシアルキル基、C2~C10アルケニル基又はC2~C10アルコキシアルキル基を表す。)
【0019】
【0020】
(R1及びR2は上記式(1)と同義である。)
上記アルキル基としては鎖状又は環状アルキル基が挙げられる。
【0021】
C1~10の鎖状アルキル基としては、直鎖又は分枝を有するアルキル基であり、例えば1~10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、n-ヘキシル、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基及び1-エチル-2-メチル-n-プロピル基等が挙げられる。
【0022】
C1~C10の環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0023】
C1~C10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2,-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基、及び1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等が挙げられる。
【0024】
C7~C15のアラルキル基としては、例えばベンジル基、o-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、p-メチルベンジル基、o-クロルベンジル基、m-クロルベンジル基、p-クロルベンジル基、o-フルオロベンジル基、p-フルオロベンジル基、o-メトキシベンジル基、p-メトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、p-シアノベンジル基、フェネチル基、o-メチルフェネチル基、m-メチルフェネチル基、p-メチルフェネチル基、o-クロルフェネチル基、m -クロルフェネチル基、p-クロルフェネチル基、o-フルオロフェネチル基、p-フルオロフェネチル基、o-メトキシフェネチル基、p-メトキシフェネチル基、p-ニトロフェネチル基、p-シアノフェネチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、5-フェニルペンチル基、6-フェニルヘキシル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、o-ビフェニリルメチル基、m-ビフェニリルメチル基、p-ビフェニリルメチル基、1-アントリルメチル基、2-アントリルメチル基、9-アントリルメチル基、1-フェナントリルメチル基、2-フェナントリルメチル基、3-フェナントリルメチル基、4-フェナントリルメチル基、9-フェナントリルメチル基、α-ナフチルエチル基、β-ナフチルエチル基、o-ビフェニリルエチル基、m-ビフェニリルエチル基、p-ビフェニリルエチル基、1-アントリルエチル基、2-アントリルエチル基、9-アントリルエチル基、1-フェナントリルエチル基、2-フェナントリルエチル基、3-フェナントリルエチル基、4-フェナントリルエチル基及び9-フェナントリルエチル基が挙げられる。
【0025】
C6~C14のアリール基としては、例えばフェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基及び9-フェナントリル基が挙げられる
C6~C20アリール基としては、例えばフェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-メルカプトフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-アミノフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基及び9-フェナントリル基が挙げられる。
【0026】
C7~C15のアリールオキシアルキル基としては、フェニルオキシメチル基、o-メチルフェニルオキシエチル基、m-メチルフェニルオキシメチル基、p-メチルフェニルオキシプロピル基、o-クロルフェニルオキシメチル基、m-クロルフェニルオキシエチル基、p-クロルフェニルオキシイソプロピル基、o-フルオロフェニルオキシエチル基、p-フルオロフェニルオキシブトキシ基、o-メトキシフェニルオキシ-n-ペンチル基、p-メトキシフェニルオキシ-t-ブチル基、p-ニトロフェニルオキシメチル基、p-シアノフェニルオキシ-s-ブチル基、α-ナフチルオキシメチル基、β-ナフチルオキシエチル基、o-ビフェニリルオキシメチル基、m-ビフェニリルオキシメチル基、p-ビフェニリルオキシメチル基、1-アントリルオキシメチル基、2-アントリルオキシメチル基、9-アントリルオキシメチル基、1-フェナントリルオキシメチル基、2-フェナントリルオキシメチル基、3-フェナントリルオキシメチル基、4-フェナントリルオキシメチル基及び9-フェナントリルオキシメチル基が挙げられる。
【0027】
C2~C10アルケニル基としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-エテニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-エチルエテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-n-プロピルエテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1-i-プロピルエテニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-n-ブチルエテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2-メチル-3-ペンテニル基、2-メチル-4-ペンテニル基、2-n-プロピル-2-プロペニル基、3-メチル-1-ペンテニル基、3-メチル-2-ペンテニル基、3-メチル-3-ペンテニル基、3-メチル-4-ペンテニル基、3-エチル-3-ブテニル基、4-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-2-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、1,1-ジメチル-2-ブテニル基、1,1-ジメチル-3-ブテニル基、1,2-ジメチル-1-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-3-ブテニル基、1-メチル-2-エチル-2-プロペニル基、1-s-ブチルエテニル基、1,3-ジメチル-1-ブテニル基、1,3-ジメチル-2-ブテニル基、1,3-ジメチル-3-ブテニル基、1-i-ブチルエテニル基、2,2-ジメチル-3-ブテニル基、2,3-ジメチル-1-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-3-ブテニル基、2-i-プロピル-2-プロペニル基、3,3-ジメチル-1-ブテニル基、1-エチル-1-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-ブテニル基、1-n-プロピル-1-プロペニル基、1-n-プロピル-2-プロペニル基、2-エチル-1-ブテニル基、2-エチル-2-ブテニル基、2-エチル-3-ブテニル基、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル基、1-t-ブチルエテニル基、1-メチル-1-エチル-2-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-2-プロペニル基、1-i-プロピル-1-プロペニル基、1-i-プロピル-2-プロペニル基、1-メチル-2-シクロペンテニル基、1-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-1-シクロペンテニル基、2-メチル-2-シクロペンテニル基、2-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-4-シクロペンテニル基、2-メチル-5-シクロペンテニル基、2-メチレン-シクロペンチル基、3-メチル-1-シクロペンテニル基、3-メチル-2-シクロペンテニル基、3-メチル-3-シクロペンテニル基、3-メチル-4-シクロペンテニル基、3-メチル-5-シクロペンテニル基、3-メチレン-シクロペンチル基、1-シクロヘキセニル基、2-シクロヘキセニル基及び3-シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0028】
C2~C10アルコキシアルキル基としては、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシエチル基、i-プロポキシメチル基、n-ブトキシメチル基、i-ブトキシエチル基、s-ブトキシメチル基、t-ブトキシエチル基、n-ペントキシ-i-プロピル基、1-メチル-n-ブトキシメチル基、2-メチル-n-ブトキシエチル基、3-メチル-n-ブトキシエチル基、1,1-ジメチル-n-プロポキシメチル基、1,2-ジメチル-n-プロポキシエチル基、2,2-ジメチル-n-プロポキシエチル基、1-エチル-n-プロポキシ-t-ブチル基、n-ヘキシルオキシメチル基、1-メチル-n-ペンチルオキシメチル基、2-メチル-n-ペンチルオキシエチル基、3-メチル-n-ペンチルオキシプロピル基、4-メチル-n-ペンチルオキシ-s-ブチル基、1,1-ジメチル-n-ブトキシメチル基、1,2-ジメチル-n-ブトキシエチル基、1,3-ジメチル-n-ブトキシエチル基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ-i-プロピル基、2,3-ジメチル-n-ブトキシエチル基、3,3-ジメチル-n-ブトキシプロピル基、1-エチル-n-ブトキシエチル基、2-エチル-n-ブトキシメチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ-t-ブチル基、1,2,2,-トリメチル-n-プロポキシエチル基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシエチル基、及び1-エチル-2-メチル-n-プロポキシメチル基等が挙げられる。
【0029】
本願発明のパターン反転膜形成用組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶解している限りは特に限定はないが、例えば1~50質量%であり、または3~40質量%であり、または4~30質量%であり、または5~20質量%である。ここで固形分とは、パターン反転膜形成用組成物の全成分から溶剤成分を除いたものである。
【0030】
また、本発明のポリカルボシランは、市販品を用いることが出来る。例えば、下記(1-1)
【0031】
【0032】
の単位構造よりなるポリカルボシラン(例えば、(NGSアドバンストファイバー社製、商品名NIPSY TypeS(Mn=2716(GPC UV検出器/ポリスチレン換算))、商品名NIPSY TypeL(数平均分子量1000、重量平均分子量4500)等を使用することができる。
本願のポリカルボシランの重量平均分子量は400~12000、又は2000 ~12000である。
【0033】
本願のパターン反転膜形成用組成物は他の添加剤、例えば界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、本発明のパターン反転膜形成用組成物を基板に塗布した際に、ピンホール及びストレーション等の発生を抑制するのに有効である。本発明のパターン反転膜形成用組成物に含まれる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、R-08、R-30、R-30N、R-40LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマ-KP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また二種以上の組み合わせで使用することもできる。界面活性剤が使用される場合、その割合としては、ポリカルボシラン100質量部に対して0.0001~5質量部、または0.001~1質量部、または0.01~1質量部である。
【0034】
また、本発明の段差基板平坦化用組成物には、レオロジー調整剤及び接着補助剤等を添加することができる。レオロジー調整剤は、下層膜形成組成物の流動性を向上させるのに有効である。接着補助剤は、半導体基板またはレジストと下層膜の密着性を向上させるのに有効である。
【0035】
本願のパターン反転膜形成用組成物に使用される溶媒は、組成物中に含まれる固形成分を溶解できる溶剤であれば、特に制限なく使用することができる。そのような溶剤としては、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びγ-ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤は単独で、または二種以上の組み合わせで使用することができる。これらの中で酢酸ブチルが好ましい。
【0036】
<有機パターン>
本願の有機パターンとは、半導体基板上に作成される主に有機物で形成されるパターンであれば特に制限は無い。
【0037】
より好ましくは、上記有機パターンはレジストパターンである。より好ましくは、上記有機パターンはナノインプリントパターンである。より好ましくは、上記有機パターンは有機下層膜パターン(有機下層膜(塗布型又は蒸着型)を加工してパターン化したもの)である。これらの中で特に好ましいのは、レジストパターンである。
<反転パターンを有する基板の製造方法、半導体装置の製造方法>
本発明の反転パターンを有する基板の製造方法は、基板上に有機パターンを形成する工程(1)、有機パターンに請求項1又は2のいずれか1項に記載のパターン反転膜形成用組成物を塗布する工程(2)、有機パターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(3)を含む。
本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に有機パターンを形成する工程(1)、有機パターンに請求項1又は2のいずれか1項に記載のパターン反転膜形成用組成物を塗布する工程(2)、有機パターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(3)、反転させたパターンをマスクとして基板をエッチングする工程(4)を含む。
以下本発明の半導体装置の製造方法の一例を以下に説明する。また、概要を
図3に示す。
【0038】
なお、本発明にいう段差基板としては、MEMSデバイス向けのウエハが挙げられる。例えば、(1b)ボッシュ法もしくはアルカリ水により段差が形成されたシリコンウエハで、片面にこの段差を有するもの、(2b)同様にシリコンウエハとシリコンウエハの間にシリコン酸化膜が存在しるSOI(Silicon on Insulator)ウエハで、片面段差を有するもの、(3b)ガリウムヒ素基板で、片面に段差形状を有するもの、(4b)シリコンウエハ上に金属・絶縁膜が形成されていて、片面に段差形状を有するものなどが例示される。
本発明の半導体基板の平坦化方法を含む半導体装置の製造方法は、基板上に有機パターンを形成する工程(1)、有機パターンに請求項1~3のいずれか1項に記載のパターン反転膜形成用組成物を塗布する工程(3)、有機パターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(4)、を含む半導体装置の製造方法、である。
上記有機パターンは、フォトレジストパターン、下層半導体基板のエッチングマスクとして機能するレジスト下層膜(塗布型又は蒸着型)パターン、ナノインプリントにて形成されたパターンである。
【0039】
本発明の半導体装置の製造方法は、一例として基板上にレジストを塗布する工程(1a)、レジストを露光と現像する工程(2)、現像中又は現像後のレジストパターンに本発明に係る被覆用ポリシロキサン組成物を塗布する工程(3a)、レジストパターンをエッチング除去してパターンを反転させる工程(4a)を含む半導体装置の製造方法である。
【0040】
[工程(1)(
図3(1))]
工程(1a)に用いられるフォトレジストとしては露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はない。ネガ型フォトレジスト及びポジ型フォトレジストのいずれも使用できる。ノボラック樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、及び酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジストなどがある。例えば、シプレー社製商品名APEX-E、住友化学工業(株)製商品名PAR710、及び信越化学工業(株)製商品名SEPR430等が挙げられる。また、例えば、Proc.SPIE,Vol.3999,330-334(2000)、Proc.SPIE,Vol.3999,357-364(2000)、やProc.SPIE,Vol.3999,365-374(2000)に記載されているような、含フッ素原子ポリマー系フォトレジストを挙げることができる。
【0041】
また、電子線レジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用できる。酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる化学増幅型レジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸発生剤と酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物からなる化学増幅型レジスト、酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーと酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物からなる化学増幅型レジスト、電子線によって分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる非化学増幅型レジスト、電子線によって切断されアルカリ溶解速度を変化させる部位を有するバインダーからなる非化学増幅型レジストなどがある。これらの電子線レジストを用いた場合も照射源を電子線としてフォトレジストを用いた場合と同様にレジストパターンを形成することができる。
【0042】
レジスト溶液は塗布した後に焼成温度70~150℃で、焼成時間0.5~5分間行い、レジスト膜厚は10~1000nmの範囲で得られる。レジスト溶液や現像液や以下に示す塗布材料は、スピンコート、ディップ法、スプレー法等で被覆できるが、特にスピンコート法が好ましい。レジストの露光は所定のマスクを通して露光が行なわれる。露光には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)及びEUV光(波長13.5nm)、電子線等を使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行なうこともできる。露光後加熱は、加熱温度70℃~150℃、加熱時間0.3~10分間から適宜、選択される。
【0043】
工程(1)又は(1a)の前に、基板上にレジスト下層膜を形成する工程(1a-1)を含むことができる。レジスト下層膜は反射防止や有機系のハードマスク機能を有するものである。工程(1a)のレジストの形成が、半導体基板上にレジスト下層膜が形成され、その上にレジストを形成する工程(1a)を行うことができる。また、工程(1a-1)が、半導体基板上にレジスト下層膜を形成し、その上にケイ素のハードマスクを形成し、その上にレジストを形成させることができる。上記工程(1a-1)で用いられるレジスト下層膜は上層レジストの露光時の乱反射を防止するものであり、また、レジストとの密着性を向上する目的で用いるものであり、例えばアクリル系樹脂やノボラック系樹脂を用いることができる。レジスト下層膜は半導体基板上に膜厚1~1,000nmの被膜を形成することができる。また上記工程(1a-1)に用いられるレジスト下層膜は有機樹脂を用いたハードマスクであり、炭素含有量が高く水素含有量が低い材料が用いられる。例えばポリビニルナフタレン系樹脂、カルバゾールノボラック樹脂、フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられる。これらは半導体基板上に膜厚5~1,000nmで被膜を形成することができる。また上記工程(1a-1)に用いられるケイ素のハードマスクとしては、加水分解性シランを加水分解して得られたポリシロキサンを用いることができる。例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、及びフェニルトリエトキシシランを加水分解し得られるポリシロキサンを例示することができる。これらは上記レジスト下層膜の上に膜厚5~200nmで被膜を形成することができる。
【0044】
[工程(2)(
図3(2))]
工程(2)において、所定のマスクを通して露光が行なわれる。露光には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)及びEUV(波長13.5nm)等を使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(post exposure bake)を行なうこともできる。露光後加熱は、加熱温度70℃~150℃、加熱時間0.3~10分間から適宜、選択された条件で行われる。次いで、現像液によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジストが使用された場合は、露光された部分のフォトレジストが除去され、フォトレジストのパターンが形成される。
【0045】
現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度5~50℃、時間10~600秒から適宜選択される。また、本願発明では現像液として有機溶剤を用いることができる。露光後に現像液(溶剤)によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジストが使用された場合は、露光されない部分のフォトレジストが除去され、フォトレジストのパターンが形成される。
【0046】
現像液としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度5~50℃、時間10~600秒から適宜選択される。
【0047】
[工程(3)(
図3(3))]
工程(3)として、現像中又は現像後のレジストに、本発明に係る段差基板平坦化用組成物を塗布・焼成してポリシロキサン被覆膜を作製することにより、該レジストのパターン間を該組成物で埋め込んだポリシロキサン組成物膜を形成する。塗布された段差基板平坦化用組成物の焼成は加熱温度50~180℃で0.5~5分間行われる。ポリシロキサン被覆膜のIso-denseバイアスは50nm以下とする。なお、ポリシロキサン被覆膜のIso-denseバイアスとは、上記段差基板の膜と接する側の界面からポリシロキサン被覆膜の大気と接する側の界面までの長さの最も小さい箇所と最も大きい箇所との膜厚差をいう。具体的には、以下で表されるbの長さがIso-denseバイアスである。図中、aは密のスペース部の中心でのポリシロキサン被覆膜の凹み深さであり、bはオープンスペース部の中心でのポリシロキサン被覆膜の凹み深さであり、cは使用した段差基板における当初のスペースの深さであり、 dはポリシロキサン被覆膜であり、eは段差基板である。段差基板は有機パターン(フォトレジストパターン、下層半導体基板のエッチングマスクとして機能するレジスト下層膜(塗布型又は蒸着型)パターン、ナノインプリントにて形成されたパターン等)基板とすることができる。
【0048】
そして、本願では工程(3)の後に塗膜表面をエッチバックして有機パターン(例えばレジストパターン)表面を露出する工程(3-1)を含むことができる。これにより、後の工程(4)において、レジストパターン表面と塗布組成物の表面が一致し、レジストパターンと塗布組成物のガスエッチング速度の違いから、レジスト成分のみを除去し、塗布組成物による成分が残り、結果的にパターンの反転が生じる。エッチバックは塗布組成物が除去できるガス(例えばフッ素系ガス)によってレジストパターンの露出が行われる。
【0049】
[工程(4)(
図3(5)、(6))]
工程(4)ではレジストパターンをエッチング除去してパターンを反転させる。工程(4)において、ドライエッチングはテトラフルオロメタン、パーフルオロシクロブタン(C
4F
8)、パーフルオロプロパン(C
3F
8)、トリフルオロメタン、一酸化炭素、アルゴン、酸素、窒素、六フッ化硫黄、ジフルオロメタン、三フッ化窒素及び三フッ化塩素等のガスを用いて行われる。特に酸素系のガスによりドライエッチングが行われることが好ましい。
【0050】
これにより当初のレジストパターンを除去し、塗布組成物中に含まれていたパターン反転形成用ポリマー(ポリカルボシラン)によるリバースパターン(反転パターン)が形成される。
【実施例】
【0051】
次に実施例を挙げ本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記合成例で得られたポリマーの重量平均分子量の測定に用いた装置等を示す。
装置:東ソー株式会社製HLC-8320GPC
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕・Asahipak〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
流量:0.6mL/分
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)
標準試料:ポリスチレン(東ソー株式会社)
〔比較合成例1〕
プロピレングリコールモノメチルエーテル95g、超純水95gおよびリン酸648mgをフラスコに入れた。このフラスコに、トリメトキシメチルシラン20gを滴下した。滴下後、冷却管を取り付け、オイルバスにて65℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、反応中生成したエタノールを除去して反応生成物(ポリシロキサン)を得た。さらに、エバポレーターを用いて溶媒を酢酸ブチルに置換した。尚、得られた反応生成物中の固形分は、焼成法により測定した結果、13質量%であった。また、得られた生成物(固形分)の分子量(Mw)は、8000であった。
〔塗布液の調整〕
ポリカルボシラン(NIPSY TypeS)(NGSアドバンストファイバー社製, Mn=2716(GPC UV検出器/ポリスチレン換算))(式(1-1)で表されるポリカルボシラン)を酢酸ブチルにて希釈し、塗布液を得た。各成分の含有割合は質量部で表す。表1中では、酢酸ブチルをNBAと略記する。
〔表1〕
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ポリマー 溶媒
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
調製例1 NIPSY TypeS NBA
(質量部) 5 95
比較例1 比較合成例1 NBA
(質量部) 5 95
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
以下に本願発明の塗布液を用いた評価結果を示す。
〔ドライエッチング速度の測定〕
ドライエッチング速度の測定に用いたエッチャー及びエッチングガスは以下のものを用いた。
RIE-10NR(サムコ製):CF
4
RIE-10NR(サムコ製):O
2
調製例1及び比較例1で調製したポリマー溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で110℃1分間加熱し、ポリカルボシラン組成物膜(膜厚0.12μm(CF
4ガスでのエッチング速度測定用)、0.12μm(O
2ガスでのエッチング速度測定用))をそれぞれ形成した。
〔表2〕
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
フッ素系ガス 酸素系ガス
エッチレート エッチレート
(nm/分) (nm/分)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
調製例1 21 3.6
比較例1 28 6.2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔昇華物測定〕
調製例1及び比較例1で調製したポリマー溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。作製したポリカルボシラン組成物膜および比較例について昇華物測定装置を用いて、昇華物の測定を実施した。
〔表4〕
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
調製例1 20 ng
比較例1 35 ng
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔平坦化性評価〕
調製例1及び比較例1で調製した塗布液をスピナーを用い、パターンウェハー上に塗布した。作製したポリカルボシラン組成物膜についてSEMを用いて、平坦化性の評価を実施した。結果を
図1(調製例1)、
図2(比較例1)に示す。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るパターン反転膜形成用組成物は、被加工基板上に形成された段差基板に対し、このパターン間に良好に埋め込むことができると共に、平坦な被覆膜を形成する方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:半導体基板
2:有機下層膜
3:有機パターン
4:ポリカルボシラン被覆膜