(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】黒色ポリイミド粘着テープ
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230418BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20230418BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230418BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20230418BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20230418BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20230418BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B32B27/34
C09J7/38
C09J7/29
C09J133/00
C09D11/037
(21)【出願番号】P 2019032725
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】白石 奈々
(72)【発明者】
【氏名】今井 克明
(72)【発明者】
【氏名】山上 晃
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-508637(JP,A)
【文献】特開2017-115042(JP,A)
【文献】特開2013-144376(JP,A)
【文献】特開2019-026731(JP,A)
【文献】特開2013-227173(JP,A)
【文献】特表2010-517817(JP,A)
【文献】特表2011-522910(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0240459(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102952428(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0029635(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103458607(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0076463(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B 1/00 - 43/00
C09J 7/00 - 7/50
C09J 1/00 - 5/10
C09J 9/00 - 201/10
C09C 1/00 - 3/12
C09D 15/00 - 17/00
C09D 1/00 - 10/00
C09D 101/00 - 201/10
C09D 11/00 - 13/00
C08L 1/00 - 101/14
C08K 3/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが1.0~15.0μmのポリイミドフィルム層と、厚さが1.5~3.0μmの黒色着色層と、厚さが1.0~5.0μmの艶消し層とを有する着色基材及び粘着剤層を有し、CIEカラー値(L*、a*、b*)が下記の範囲にあり、前記粘着剤層がアクリル粘着剤からなり、粘着剤層のゲル分率が5~50%であることを特徴とする、厚さ5.0~30.0μmの黒色ポリイミド粘着テープ。
18 ≦ L* ≦ 36
-3 ≦ a* ≦ 3
-3 ≦ b* ≦ 3
【請求項2】
JIS Z8741にしたがって60°の設定角度で測定される光沢度Guが下記範囲にある、請求項1に記載の粘着テープ。
0 ≦ Gu ≦ 10
【請求項3】
前記着色基材の光透過率が0.1~10%である請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記黒色着色層が着色材料としてカーボンブラックを含有する黒色の着色インキからなり、カーボンブラックの含有量が着色インキ固形分中の10~70質量%である請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記アクリル粘着剤が、分子量(Mw)50万~120万のアクリル系ポリマーを含有する請求項1~4項のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
25mm幅に切断した試験片について、JISZ-0237に準じて、鉛直方向に100g(25mm×25mm)の荷重をかけ、150℃雰囲気下で24時間放置した際のズレ距離が2.0mm以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯用電子機器内の部品(グラファイトシートや磁性シート)のカバー用途において好適に使用できる黒色ポリイミド粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
着色された粘着テープは、装飾、表示、隠蔽、絶縁などの目的で各種産業分野に使用されている。特に、パソコン、デジタルビデオカメラ、電子手帳、携帯電話、PHS、スマートフォン、ゲーム機器、電子書籍などの電子機器において、黒く着色された粘着テープが隠蔽、絶縁の点から好まれて使用されている。近年、貼付される部品の高性能化から発熱量が上昇し、高耐熱であるポリイミドフィルムのテープの需要が増加している。しかし、ポリイミドは黄色く着色されているため、透明なPETと違い、被着体に貼付した際の色目の管理が困難であるという問題を有しているが、当該色管理の適正化は今まで知られていなかった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような事情のもとで、ポリイミドの基材厚みと黒色着色層の厚みと艶消し層の厚みとCIEカラー値を適正化することで、携帯用電子機器内の部品(グラファイトシートや磁性シート)のカバーに用いられる耐熱性かつ高意匠な薄型黒色ポリイミド粘着テープを実現したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の基材厚み、印刷厚み、透過率をもつ印刷基材および特定のゲル分率、分子量をもつ粘着剤を使用することで、本目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、厚さが1.0~15.0μmのポリイミドフィルム層と、厚さが1.5~3.0μmの黒色着色層と、厚さが1.0~5.0μmの艶消し層とを有する着色基材及び粘着剤層を有し、CIEカラー値(L*、a*、b*)が下記の範囲にあることを特徴とする、厚さ5.0~30.0μmの黒色ポリイミド粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、携帯用電子機器内の部品(グラファイトシートや磁性シート)のカバーに用いられる高意匠性であり、耐熱性に優れる黒色ポリイミド粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(ポリイミドフィルム層)
本発明の着色基材が有するポリイミドフィルムは、厚さが1.0~15.0μmであるが、より好ましくは2.0~12.5μmであり、さらに好ましくは3.0~7.5μmである。当該厚さのフィルムを使用することで、極薄型の構成であっても好適な印刷適性と耐熱性を実現しやすく、携帯用電子機器内の部品(グラファイトシートや磁性シート)のカバー用に適した黒色ポリイミド粘着テープが得られる。
【0009】
当該ポリイミドフィルム層を構成するポリイミドフィルムとしては粘着テープの基材として使用されるポリイミドフィルムを使用できる。なかでも、引張強さが100MPa~1000MPaのポリイミドフィルムが極薄型の構成においても切断しにくいため好ましく、より好ましくは150MPa~800MPaであり、さらに好ましくは200MPa~500MPaである。
【0010】
また、当該ポリイミドフィルム層を構成するポリイミドフィルムには、各種黒色着色顔料を混合させても良いが、好適な検品性を実現するためには透明樹脂フィルムであることが好ましい。また、着色顔料を使用しない透明フィルムを使用することで、極薄型の構成であっても高い強度を実現しやすくなる。
ポリイミドフィルムは寸法安定性・強度の観点から二軸延伸したフィルムが好ましい。
【0011】
なお、ポリイミドフィルム層の表面は、樹脂フィルム層上に形成される着色層や粘着剤層などとの密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0012】
(黒色着色層)
本発明の着色基材が有する黒色着色層は黒色ポリイミド粘着テープのCIEカラー値(L*、a*、b*)及び光透過率を所定の範囲に調整する層である。後述するインキを塗工することで調製することができる。
【0013】
前記黒色着色層は、その厚さが1.5~3.0μm、好ましくは1.5~2.5μmである。黒色着色層を当該範囲とすることで、極薄型の構成でありながら、好適な隠蔽性と検品性と意匠性を高度に両立できる。
【0014】
また、前記黒色着色層の光透過率は、着色基材とした際の光透過率が0.1~10%となる範囲であればよいが、透明樹脂フィルム層との組み合わせに際しては当該黒色着色層の光透過率が0.1~10%であることが好ましく、0.3~8%がより好ましく、0.4~5%であることがさらに好ましい。なお、本願における光透過率とは、JIS K7105に従い測定される光透過率Ttをいう。
【0015】
前記黒色着色層は、特に限定されるものではないが、黒色インキからなる層であることが好ましい。黒色インキ層としてはガラス転移温度(Tg)が-30~10℃のウレタン系樹脂を主たるバインダー成分とするウレタン系インキからなる層であることが好ましい。ウレタン系インキはポリエステル系やアクリル系インキに比べ、薄いフィルムであってもカールが発生しにくく、また顔料を高濃度に分散できる。
【0016】
黒色インキ層は樹脂フィルム上に、ダイレクトグラビア印刷、リバースグラビア印刷、小径グラビア印刷等の公知の印刷方法で設けられる。そのなかでも薄型の樹脂フィルムでも破れにくく、印刷適性に優れるダイレクトグラビア印刷が好ましい
【0017】
黒色インキの組成としては、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン/ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂などの熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることもできる。そのなかでもポリエステルウレタン系のものが好ましい。またポリエステルウレタン系樹脂は、そのガラス転移温度が-30~10℃であることが好ましい。当該ポリエステルウレタン系樹脂を使用することで、極薄型の粘着テープ構成とした際にも薄いフィルムにコートしてもカールが少なく、コロナ処理等の易接着処理が困難な薄い樹脂フィルムにも強固に密着し、また、良好な接着性やリワーク性を実現できる。より好ましくは-25℃~0℃であり、特に好ましくは-20℃~-5℃である。なお、ポリエステルウレタン系樹脂のガラス転度は、下記にて測定される周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルのtanδのピーク温度である。
【0018】
ポリエステルウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とポリエステルポリオール化合物及び低分子量の鎖伸長剤等の縮重合反応により得られ、分子内にウレタン結合を多数持った柔軟性、弾性に富んだ樹脂である。ポリエステルポリオール化合物はモノマー成分としてジカルボン酸を含有し、前記ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸を30~90質量%とすることがポリエステルウレタン樹脂のtanδのピーク温度を上記範囲に制御しやすいため好ましい。またポリエステルポリオールの分子量は、特に限定されないが、数平均分子量で800~6,000であることが好ましい。ポリエステルポリオールの数平均分子量が800以上であると、得られるポリエステルウレタン樹脂の印刷適性やコーティング適性が好適になりやすく、6,000以下とすることで、乾燥性および耐ブロッキング性が向上しやすくなる。ポリエステルウレタン系樹脂としては、質量平均分子量1,000~500,000のものが好ましく、より好ましくは20,000~150,000である。
【0019】
上記黒色インキは、乾燥厚み1.0μmに印刷した際に、CIEカラー値(L*、a*、b*)が下記の範囲にあることが好ましい。
即ち、16≦ L* ≦34、-3≦ a* ≦ 3、-5≦ b* ≦1。
より好ましくは、18≦ L* ≦32、-2≦ a* ≦ 2、-4≦ b* ≦ 0.5であり、更に好ましくは20≦ L* ≦30、-1≦ a* ≦ 1、-3≦ b* ≦ 0である。
【0020】
前記平均質量分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件として、カラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いる。
【0021】
黒色着色層に使用する黒色インキはバインダー樹脂と着色材料とを含有する。着色材料としては、ハロゲンを含まない公知慣用の顔料や染料を使用することができ、黒の場合はカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、ミネラルブラック、アニリンブラック、シアニンブラック等を使用することができる。なかでもカーボンブラックが耐候性・耐熱性・インキ樹脂に対する分散性から好ましい。
【0022】
着色材料の添加量としては、用途等に応じて適宜調整すればよく、着色材料を含むインキ固形分中の10~70質量%が好ましい。より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは35~50質量%である。10質量%以上あれば、好適に隠蔽性を示し、70質量%以下であれば、分散が良好となる。
【0023】
(艶消し層)
本発明の着色基材が有する艶消し層は粒子を含有する。前記艶消し層は前記黒色着色層の上部に積層されているのが好ましい。前記艶消し層が前記黒色着色層とは別に、黒色着色層の外側にあることにより、高い意匠性と耐指紋性、耐傷付き性が得られる。なお、前記艶消し層は、前記黒色着色層上に直接積層されていてもよいし、上記黒色着色層との間に他の層を介して積層されても良い。
【0024】
艶消し層が含有する粒子としては、例えば、有機粒子及び無機粒子が挙げられる。傷を目立たせない観点からは、有機粒子が好ましい。また、硬度及び耐熱性の観点からは、無機粒子が好ましい。
【0025】
前記有機粒子は特に限定されず、例えば、ポリメチルメタクリレート粒子等のアクリル樹脂粒子、ポリスチレン粒子、ポリカーボネート粒子、ウレタン樹脂ビーズ、エポキシ樹脂ビーズ、ポリエステル樹脂ビーズ、ポリエステルウレタン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。なかでも、柔軟性が優れていることから、ウレタン樹脂ビーズが好ましい。
【0026】
前記無機粒子は特に限定されず、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム等からなる粒子が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。なかでも、粒度調整の容易さ、及び、入手の容易さから、シリカ粒子が好ましい。
【0027】
シリカ粒子のコールカウンター法による平均粒子径は2.0μm~6.0μmであるのが好ましい。さらに好ましくは2.3μm~5.0μmであり、もっとも好ましくは3.0μm~4.5μmである。シリカ粒子の平均粒子径が上記範囲であることで、耐指紋性と密着性とを高度に両立できる。
【0028】
シリカ粒子の含有量はバインダー樹脂100質量部に対して10~80質量部であるのが好ましい。さらに好ましくは20~75質量部であり、最も好ましくは30~60質量部である。上記範囲にあると耐指紋性と密着性とスクラッチ性を高度に両立できる。
【0029】
シリカ粒子は沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、乾燥シリカ、コロイダルシリカ等の各種シリカを使用することができる。その中でも沈殿法シリカや単分散のコロイダルシリカが好ましい。
【0030】
シリカ表面には疎水処理(シランカップリング処理やシリコーンオイル等を化学結合させ表面を処理)・有機処理(ワックスでシリカ表面を処理)・無機処理等の各種処理がされたものが耐指紋性に特に優れるために好ましく、シランカップリング処理されたものが特に好ましい。
【0031】
バインダー樹脂の組成としては、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン/ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂などの熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることもできる。なお、艶消し層のバインダー樹脂と黒色着色層のバインダー樹脂の組成を同じとすることで、艶消し層と黒色着色層の好適な密着性を実現できる。
【0032】
(着色基材)
本発明に使用する着色基材は、上記厚さが1.0~15.0μmのポリイミドフィルム層と、厚さが1.5~3.0μmの黒色着色層と、厚さが1.0~5.0μmの艶消し層とを有する着色基材である。前記着色基材の光透過率が0.1~10%が好ましく、0.1~8%がより好ましく、更に好ましくは0.1~5.0%である。当該範囲の着色基材を使用することで、得られる着色粘着テープは極薄型でありながら好適な意匠性と隠蔽性と検品性とを実現でき、また貼り付け時にもシワが生じにくい好適な貼り付け性を実現できる。
【0033】
着色基材としての厚さは、3.5~15.5μmであることが好ましく、4~14μmであることがより好ましく、5~13μmであることが特に好ましい。着色基材の厚さを当該範囲とすることで、貼り付け時のシワの抑制や切断耐性が特に好適となる。
【0034】
着色基材の光透過率は0.1~10%であり、好ましくは0.2~8%、より好ましくは0.3~5%である。当該光透過率とすることで、極薄型でも好適な隠蔽性と検品性を実現できる。
【0035】
着色基材の構成は、上記ポリイミドフィルム層と黒色着色層と艶消し層とを有する構成であればよく、必要に応じてポリイミドフィルム層に易接着処理を施したり、プライマー層等の他の層を設けてもよい。また、着色基材は上記光透過率を有するものであればよいが、透明樹脂フィルム層と、光透過率が0.1~10%の着色層との組み合わせであることが、特に隠蔽性と検品性を両立させやすいため好ましい。
【0036】
着色基材の色調はL*a*b*表色系で規定される。L*(明度)は18≦L*≦36が好ましい。より好ましくは20≦L*≦30、もっとも好ましくは22≦L*≦26である。a*(色度)は-3≦a*≦3が好ましい。より好ましくは-2≦a*≦2、もっとも好ましくは-1≦a*≦1である。b*(色度)は-3≦b*≦3が好ましい。より好ましくは-2≦b*≦2、もっとも好ましくは-1≦b*≦0である。以上の範囲を満たすことが、特に意匠性と隠蔽性を両立させやすいため好ましい。
【0037】
着色基材の光沢度はJIS Z 8741で規定される。光沢度(グロス:Gu)は0≦Gu≦10が好ましい。より好ましくは0≦Gu≦6、もっとも好ましくは0≦Gu≦4である。以上の範囲を満たすことが、意匠性を向上させる。
【0038】
黒色着色層と艶消し層の厚みの比率は黒色着色層が1に対し、艶消し層は1以上が好ましい。さらに好ましくは黒色着色層が1に対し、艶消し層は1.5以上となることが好ましく、2以上となることが好ましい。比率を上記範囲とすることで意匠性を向上させやすくできる。
【0039】
(粘着剤層)
本発明の粘着剤層の厚みは、1~6μmであることが好ましく、2~5μmであることがより好ましく、2.5~4μmであることがさらに好ましい。上記範囲にあることで極薄型の構成とした際にも良好な接着物性を実現できる。特に1μm未満である場合は、接着力が著しく低下し、被着体への貼付け性に劣る。
【0040】
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリ-プ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
粘着剤としては、特にアクリル系粘着剤が、接着信頼性が高いことから好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分又は主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれている。アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするポリマーであり、必要に応じて(メタ)アルキルエステルに対して共重合が可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより調製されている。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4-18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0042】
また、前記(メタ)アルキルエステルに対して共重合可能な共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体の他、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。共重合性単量体としては、カルボキシル基などの官能基を有する改質用モノマーを好適に用いることができる。
【0043】
アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は好ましくは50万~120万である。さらに好ましくは60万~120万である。最も好ましくは70万~120万である。上記範囲にあることで、薄膜であっても充分な接着性・耐熱性を発現しやすい。分子量はGPCによってスチレン換算で測定される。
【0044】
本発明においては、粘着剤層の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加することも好ましい。また、これら粘着付与樹脂を添加することで、引張強度や引張破断強度を高くすることができることから、使用するアクリル系共重合体に応じて、粘着付与樹脂を適宜添加することで、引張強度や引張破断強度を調整できる。本発明の両面粘着テープの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンやロジンのエステル化合物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα-ピネン-フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。そのなかでもn-ブチル(メタ)アクリレートを主たるモノマー成分とするアクリル系共重合体を使用した粘着剤組成物においては、薄型で粘着力と耐熱性を両立させるに際し、ロジン系樹脂とスチレン系樹脂を混合して使用することが好ましい。
【0045】
また初期接着力を上げるため、常温で液状の粘着付与樹脂を混合して使用することが好ましい。常温で液状の粘着付与樹脂としては、例えば、前記した常温で固体の粘着付与樹脂の液状樹脂や、プロセスオイル、ポリエステル系可塑剤、ポリブテン等の低分子量の液状ゴムが挙げられる。特にテルペンフェノール樹脂が好ましい。市販品としてはヤスハラケミカル社製YP-90L等がある。液晶粘着付与樹脂の添加量はアクリル系共重合体100質量部に対して1~20質量部を添加するのが好ましい。
【0046】
粘着付与樹脂の添加量としては、アクリル系共重合体100質量部に対して20~60質量部を添加するのが好ましい。より好ましくは30~50質量部である。粘着付与樹脂を添加することにより粘着力を向上させることができる。
【0047】
粘着剤のゲル分率は特に制限されるものではないが、5~50%であることが薄膜であっても充分な接着性・耐熱性を発現しやすいため好ましく、10~30%であることがより好ましく、さらに好ましくは15~25%である。ゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
ゲル分率=[(粘着剤層のトルエン浸漬後質量)/(粘着剤層のトルエン浸漬前質量)]×100
【0048】
意匠性や隠蔽性をあげるため、粘着剤に顔料を混合させることも可能である。顔料としては黒色が好ましくカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、ミネラルブラック、アニリンブラック、シアニンブラック等を使用することができる。なかでも、前記顔料としては、それが比較的均一に分散した粘着剤層を形成するうえで、カーボンブラックを使用することが最も好ましい。
【0049】
アクリル系ポリマーは、溶液重合法、エマルション重合法、紫外線照射重合法等の慣用の重合方法により調製することができる。
【0050】
(着色粘着テープ)
本発明の黒色ポリイミド粘着テープは、着色基材の着色層と逆面に粘着剤層を有しその総厚みが5~20μmの着色粘着テープである。このように本発明の黒色ポリイミド粘着テープはきわめて薄く、スペースの少ない電子機器、特に携帯用電子機器に使用される部品の保護において好適に使用できる。また基材が着色されている為、視認性・隠蔽性・意匠性に優れる。なお、本発明の着色粘着テープの厚さ範囲内であれば、各層は複数の層が積層されている構成であっても、各層間に他の機能性層が含まれる構成であってもよい。
【0051】
着色粘着テープの光透過率は、0.1~10%であることが好ましく、0.3~8%がより好ましく、さらに好ましくは0.4~5%である。
【0052】
着色粘着テープの色調はL*a*b*表色系で規定される。L*(明度)は18≦L*≦36が好ましい。より好ましくは20≦L*≦30、もっとも好ましくは22≦L*≦26である。a*(色度)は-3≦a*≦3が好ましい。より好ましくは-2≦a*≦2、もっとも好ましくは-1≦a*≦1である。b*(色度)は-3≦b*≦3が好ましい。より好ましくは-2≦b*≦2、もっとも好ましくは-1≦b*≦0である。以上の範囲を満たすことが、特に意匠性と隠蔽性を両立させやすいため好ましい。
【0053】
着色粘着テープの光沢度はJIS Z 8741で規定される。光沢度(グロス:Gu)は0≦Gu≦10が好ましい。より好ましくは0≦Gu≦6、もっとも好ましくは0≦Gu≦4である。以上の範囲を満たすことが、意匠性を向上させる。
【0054】
黒色着色層と艶消し層の厚みの比率は黒色着色層が1に対し、艶消し層は1以上が好ましい。さらに好ましくは黒色着色層が1に対し、艶消し層は2以上となることが意匠性を向上させやすいため好ましい。
【0055】
(剥離ライナー)
本発明の粘着テープは、粘着剤層を保護するために、粘着剤層表面に剥離ライナーが設けられていても良い。当該剥離ライナーとしては、公知の剥離ライナーを適宜選択して使用すればよい。樹脂フィルムに離形処理したものが平滑性に優れ、好ましい。そのなかでも耐熱性に優れるポリエステルフィルムに離形処理したものが好ましい。なお、本発明でいう着色粘着テープの総厚みとは、当該剥離ライナーを含まない粘着テープ自体の厚みをいう。
【0056】
これら剥離ライナーの表面は、易剥離性を付与するために剥離処理層が設けられていることが好ましい。剥離処理層としては、両面粘着テープの剥離ライナー用に使用される各種の剥離処理剤により形成することができ、このような剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系剥離処理剤等を好ましく使用できる。また、剥離処理層は、上記の樹脂フィルム上に、ラミネートやコーティングにより形成されていてもよい。
【0057】
剥離ライナーの剥離力は、使用態様等に応じて適宜調整すればよいが、粘着剤層に対する剥離力が0.01~2N/20mm、好ましくは0.05~0.15N/20mmとすることで、剥離ライナーを剥離する際に、両面粘着テープの変形を抑制しやすくなるため好ましい。剥離力は剥離ライナー又は50μm厚さのPET裏打ちした粘着剤層を0.3~10m/minの速度で180°方向に剥離して測定できる。
【実施例】
【0058】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(粘着剤Aの調製)
n-ブチルアクリレート:97.98部と、アクリル酸:2部と、4-ヒドロキシブチルアクリレート:0.02部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:90万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D-135」荒川化学社製):5部と、不均化ロジンエステル(商品名「KE-100」荒川化学社製):20部、石油樹脂(商品名「FTR6100」:25部)を加えて、酢酸エチルを加え、固形分40%の粘着剤溶液を調整した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):0.8部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Aを調製した。ゲル分率は20%、25℃の貯蔵弾性率は9×104Paであった。
【0059】
(粘着剤Bの調整)
n-ブチルアクリレート:93.4部と、アクリル酸:3.5部と、酢酸ビニル:3部と、βヒドロキシエチルアクリレート:0.1部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:80万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D-135」荒川化学社製):10部と、不均化ロジンエステル(商品名「A-100」荒川化学社製):10部を加えて、酢酸エチルを加え、固形分38%の粘着剤溶液を調整した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):1.3部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Bを調製した。ゲル分率は45%、25℃の貯蔵弾性率は105Paであった。
【0060】
(粘着剤Cの調整)
n-ブチルアクリレート:97.98部と、アクリル酸:2部と、4-ヒドロキシブチルアクリレート:0.02部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:90万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D-135」荒川化学社製):5部と、不均化ロジンエステル(商品名「KE-100」荒川化学社製):20部、石油樹脂(商品名「FTR6100」:25部)を加えて、酢酸エチルを加え、固形分40%の粘着剤溶液を調整した。次にDIC製黒色着色剤「DICTONクロAR8555」(カーボンブラック含有量:45%(固形分比)、樹脂固形分濃度49%)を10部添加し、攪拌機で均一に混合した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):1.2部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Cを調製した。ゲル分率は20%、25℃の貯蔵弾性率は8×104Paであった。
【0061】
(粘着剤Dの調整)
n-ブチルアクリレート:93.4部と、アクリル酸:3.5部と、酢酸ビニル:3部と、βヒドロキシエチルアクリレート:0.1部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:45万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D-135」荒川化学社製):10部と、不均化ロジンエステル(商品名「A-100」荒川化学社製):10部を加えて、酢酸エチルを加え、固形分38%の粘着剤溶液を調整した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):0.5部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Dを調製した。ゲル分率は4.5%、25℃の貯蔵弾性率は4×104Paであった。
【0062】
[黒色インキAの製造]
攪拌機,温度計,還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つロフラスコにアジピン酸/テレフタル酸=50/50なる酸成分と3一メチル‐1,5ペンタンジオールから得られる数平均分子量(以下Mnという)2,000のポリエステルジオール256.3部とイソホロンジイソシアネート36.5部を仕込み、窒素気流下に90℃で15時間反応させた。次いでイソホロンジアミン5.0部、ジ‐n‐ブチルアミン2.2部、トルエン175部、メチルエチルケトン350部、イソプロピレンアルコール175部を添加し、攪枠下に40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度30.0%、ガードナー粘度U-V(25℃)、アミン価=0、質量平均分子量(以下Mwという)67,000のポリエステルウレタン樹脂Aを得た。得られた樹脂のtanδのピーク温度は-8℃であった。
【0063】
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」4部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=-8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N-プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加して黒色インキAを製造した。黒色インキ固形分中のカーボンブラック含有量は25重量%であった。
【0064】
[黒色インキBの製造]
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」の配合量を4部の代わりに8部に変更した以外は黒色インキAと同様に黒色インキBを製造した。黒色インキ固形分中のカーボンブラック含有量は40重量%であった。
【0065】
[黒色インキCの製造]
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」の配合量を4部の代わりに6部に変更した以外は黒色インキAと同様に黒色インキCを製造した。黒色インキ固形分中のカーボンブラック含有量は33重量%であった。
【0066】
[黒色インキDの製造]
ポリエステルウレタン樹脂Aの代わりにアクリル樹脂(質量平均分子量45,000、Tanδのピーク温度50度、三菱ケミカル(株)製「ダイヤナールBR116」、固形分30重量%)に変更した以外は黒色インキBと同様に黒色インキDを作製した。黒色インキ固形分中のカーボンブラックの含有量は40重量%であった。
[黒色インキEの製造]
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」4部の代わりに、大日精化製「A1103」に変更した以外は黒色インキAと同様に黒色インキEを作製した。黒色インキ固形分中のカーボンブラックの含有量は40重量%であった。
【0067】
[マットインキAの製造]
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」を使用せず、富士シリシア社製「サイリシア440」(未処理シリカ:コールカウンター法による平均粒子径3.5μm)を使用した以外は黒色インキAと同様にマットインキAを作成した。
【0068】
[マットインキBの製造]
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」を使用せず、富士シリシア社製「サイロホービック704」(シランカップリング処理::コールカウンター法による平均粒子径3.5μm)を使用し、配合量を4部の代わりに8部に変更した以外は黒色インキAと同様にマットインキBを作成した。
【0069】
[マットインキCの製造]
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」を使用せず、富士シリシア社製「サイリシア440」(未処理シリカ:コールカウンター法による平均粒子径3.5μm)を使用し、配合量を4部の代わりに8部に変更した以外は黒色インキAと同様にマットインキCを作成した。
【0070】
[マットインキDの製造]
ポリエステルウレタン樹脂Aの代わりにアクリル樹脂(質量平均分子量45,000、Tanδのピーク温度50度、三菱ケミカル(株)製「ダイヤナールBR116」、固形分30重量%)に変更し、デグサ社製「カーボンスペシャル250P」を使用せず、富士シリシア社製「サイリシア440」(未処理シリカ:コールカウンター法による平均粒子径3.5μm)を使用し、配合量を4部の代わりに8部に変更した以外は黒色インキAと同様にマットインキDを作成した。
【0071】
(着色基材の作成)
(黒インキコートフィルムA)
東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン30EN(厚み:7.5μm、引張強さ:307MPa)に黒インキAを乾燥厚み2.0μmとなるようグラビアコートし、100℃で1分乾燥した。
次に上記の着色層側にマットインキAを乾燥厚み1.0μmになるようグラビアコートし、100℃で1分乾燥した。
次に上記の着色層と艶消し層側にマットインキBを乾燥厚み1.0μmになるようにグラビアコートし、100℃で1分乾燥後、40℃で1日エージングして黒インキコートフィルムAを得た。
【0072】
(黒インキコートフィルムB)
黒インキAの代わりに黒インキBを用い、乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み4.0μmのマットインキCを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムBを得た。
【0073】
(黒インキコートフィルムC)
黒インキAの代わりに黒インキCを用い、乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み4.0μmのマットインキCを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムCを得た。
【0074】
(黒インキコートフィルムD)
東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン30ENの代わりに厚み3.0μmのポリイミドフィルムを用い、乾燥厚み2.0μmの黒インキAの代わりに乾燥厚み1.5μmの黒インキCを用い、乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み2.5μmのマットインキCを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムDを得た。
【0075】
(黒インキコートフィルE)
東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン30ENの代わりに東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン20EN(厚み:5.0μm、引張強さ:311MPa)を用い、
乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み2.0μmのマットインキAを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムEを得た。
【0076】
(黒インキコートフィルムF)
東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン30ENの代わりに東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン20EN(厚み:5.0μm、引張強さ:311MPa)を用い、乾燥厚み2.0μmの黒インキAの代わりに乾燥厚み1.5μmの黒インキDを用い、
乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み2.0μmのマットインキDを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムFを得た。
【0077】
(黒インキコートフィルムG)
東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン30ENの代わりに東レデュポン製ポリイミドフィルムカプトン20EN(厚み:5.0μm、引張強さ:311MPa)を用い、
乾燥厚み2.0μmの黒インキAの代わりに乾燥厚み1.5μmの黒インキEを用い、乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み1.0μmのマットインキAを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムGを得た。
【0078】
(黒インキコートフィルムH)
黒インキAの乾燥厚みを2.0μmから1.0μmに変更し、乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み2.0μmのマットインキAを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムHを得た。
【0079】
(黒インキコートフィルムI)
黒インキAの乾燥厚みを2.0μmから1.5μmに変更し、乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み3.0μmのマットインキCを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムIを得た。
【0080】
(黒インキコートフィルムJ)
黒インキAの乾燥厚みを2.0μmから3.0μmに変更し、乾燥厚み1.0μmのマットインキAと乾燥厚み1.0μmのマットインキBの代わりに乾燥厚み0.5μmのマットインキCを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムJを得た。
【0081】
(実施例1)
先ず、剥離フィルム(ニッパ社製「PET38×1A3」)に前記粘着剤Aを乾燥厚みが2.0μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、これを基材である黒インキコートフィルムAのポリイミド面に貼り合せ、さらに40℃で2日エージングした。
【0082】
(実施例2)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムBを用いた以外、実施例1と同様に実施例2の粘着テープを得た。
【0083】
(実施例3)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムCを用い、粘着剤Aの代わりに粘着剤Bを用いた以外、実施例1と同様に実施例3の粘着テープを得た。
【0084】
(実施例4)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムDを用い、粘着剤Aの代わりに粘着剤Bを用いた以外、実施例1と同様に実施例4の粘着テープを得た。
【0085】
(実施例5)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムEを用い、粘着剤Aの代わりに粘着剤Cを用いた以外、実施例1と同様に実施例5の粘着テープを得た。
【0086】
(実施例6)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムFを用い、粘着剤Aの代わりに粘着剤Cを用い、乾燥厚みを2μmから4μmに変更した以外、実施例1と同様に実施例6の粘着テープを得た。
【0087】
(実施例7)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムEを用い、実施例1と同様に実施例7の粘着テープを得た。
【0088】
(比較例2)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムHを用い、粘着剤Aの代わりに粘着剤Bを用い、乾燥厚みを2μmから4μmに変更した以外、実施例1と同様に比較例1の粘着テープを得た。
【0089】
(比較例3)
粘着剤Aの代わりに粘着剤Dを用いた以外、実施例1と同様に比較例1の粘着テープを得た。
【0090】
(比較例4)
粘着剤Aの代わりに粘着剤Dを用い、乾燥厚みを2μmから4μmに変更した以外、実施例1と同様に比較例1の粘着テープを得た。
【0091】
実施例、比較例の粘着テープについて、テープ厚み、グロス(60°)、L*a*b*表色系で規定されるL*a*b*、保持力、透過率を評価した。結果は表1、表2に示した。
【0092】
(厚みの測定)
ニコン社製「デジマイクロMF-501」「MCF-101」「MS-31G」を用い、0.1μm単位で厚みを測定した。
【0093】
(光沢度(グロス:Gu)の測定)
KONICA MINOLTA社製「MINOLTA Multi-Gloss 268」を用い、JIS Z8741に準じて、60°の設定角度で測定される光沢度Guを測定した。
【0094】
(L*、a*、b*の測定)
KONICA MINOLTA社製「SPECTROPHOTOMETER CM-5」を用い、Cスペクトルが10°の測定基準でJIS Z 8781に準じて、L*a*b*表色系で規定されるL*、a*、b*を測定した。
【0095】
(保持力の評価)
粘着テープを25mm幅に切断し、JIS Z0237に準じて、鉛直方向に150g(25mm×25mm)の荷重をかけ、150℃雰囲気下で24時間放置した際のズレ距離(mm)を測定した。
【0096】
(全光線透過率)
黒色ポリイミド粘着テープの全光線透過率TtをJIS K7105に準じ、村上色彩技術研究所製「HR-100」を測定した。
【0097】
【0098】