(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】光変調器及びそれを用いた光送信装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/03 20060101AFI20230418BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G02F1/03 505
H05K1/02 B
(21)【出願番号】P 2019083847
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】菅又 徹
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109941(JP,A)
【文献】特開2018-106091(JP,A)
【文献】特開平08-264988(JP,A)
【文献】特開2018-169519(JP,A)
【文献】特開2010-262871(JP,A)
【文献】特開2012-163840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0168234(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号電極を備える光変調素子と、
前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、
前記信号入力端子と前記信号電極とを電気的に接続する複数の信号導体パターン、及び複数のグランド導体パターンが形成された中継基板と、
前記光変調素子および前記中継基板を収容する筺体と、
を備える光変調器であって、
前記中継基板の辺のうち、前記信号入力端子が前記信号導体パターンと接続される信号入力辺と、前記信号導体パターンが前記信号電極と接続される信号出力辺とは、平面視において相対向しており、
前記中継基板の辺のうち、平面視において前記信号入力辺の端部と前記信号出力辺の端部とをつなぐ少なくとも一つの辺に沿って、
前記信号導体パターン及び前記グランド導体パターンを含む前記中継基板の表面よ
り突出した高さの、電磁波を吸収する素材で構成された電磁波伝搬抑制部を備える、
光変調器。
【請求項2】
前記中継基板は、前記筺体とは別体に構成された基板キャリヤに搭載され、
前記電磁波伝搬抑制部は、前記基板キャリヤに設けられている、
請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記電磁波伝搬抑制部は、金属で構成され、
前記電磁波伝搬抑制部と前記中継基板の前記グランド導体パターンとが、金属ワイヤまたは金属リボンで接続されている、
請求項2に記載の光変調器。
【請求項4】
前記電磁波伝搬抑制部は、前記中継基板に設けられている、
請求項1に記載の光変調器。
【請求項5】
前記電磁波伝搬抑制部は、当該電磁波伝搬抑制部が形成された前記中継基板の辺に沿った長さが、当該辺の長さの1/5以上である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項6】
前記電磁波伝搬抑制部の表面には、凹部又は凸部が形成されている、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項7】
前記電磁波伝搬抑制部は、前記中継基板の前記グランド導体パターン
上において、前記信号入力辺の端部と前記信号出力辺の端部とをつなぐ前記中継基板の少なくとも一つの辺に沿って配列された
、複数の金属ワイヤ又は金属リボンである、
請求項1に記載の光変調器。
【請求項8】
前記電磁波伝搬抑制部は、前記中継基板の表面から測った高さが、前記中継基板に形成された前記信号導体パターンと当該信号導体パターンに隣接するグランド導体パターンとの離間距離よりも大きい、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の光変調器と、
当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路と、
を備える、
光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号入力端子と光変調素子電極との間の電気信号の伝搬を中継する中継基板を備える光変調器及び当該光変調器を用いた光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速/大容量光ファイバ通信システムにおいては、導波路型の光変調素子を組み込んだ光変調器が多く用いられている。中でも、電気光学効果を有するLiNbO3(以下、LNともいう)を基板に用いた光変調素子は、光の損失が少なく且つ広帯域な光変調特性を実現し得ることから、高速/大容量光ファイバ通信システムに広く用いられている。
【0003】
このLN基板を用いた光変調素子では、マッハツェンダ型光導波路と、当該光導波路に変調信号である高周波電気信号を印加するための信号電極が設けられている。そして、光変調素子に設けられたこれらの信号電極は、当該光変調素子を収容する光変調器の筺体内に設けられた中継基板を介して、当該筺体に設けられた信号入力端子であるリードピンやコネクタと接続される。これにより、光変調器に変調動作を行わせるための電子回路が搭載された回路基板に上記信号入力端子であるリードピンやコネクタが接続されることで、当該電子回路から出力された電気信号が上記中継基板を介して上記光変調素子の信号電極に印加される。
【0004】
光ファイバ通信システムにおける変調方式は、近年の伝送容量の増大化の流れを受け、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やDP-QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)等、多値変調や、多値変調に偏波多重を取り入れた伝送フォーマットが主流となっており、基幹光伝送ネットワークにおいて用いられるほか、メトロネットワークにも導入されつつある。
【0005】
QPSK変調を行う光変調器(QPSK光変調器)やDP-QPSK変調を行う光変調器(DP-QPSK光変調器)は、所謂ネスト型と呼ばれる入れ子構造になった複数のマハツェンダ型光導波路を備え、そのそれぞれが少なくとも一つの信号電極を備える。したがって、これらの光変調器は、複数の信号電極を備えるものとなり、これらの信号電極に与えられる高周波電気信号が協働して上記DP-QPSK変調動作を行う。
【0006】
図22は、そのような中継基板を備える従来の光変調器の構成の一例を示す平面図である。光変調器2200は、例えばLN基板上に形成されたDP-QPSK変調器である光変調素子2202と、当該光変調素子2202を収容する筺体2204と、を備える。ここで、筺体2204は、ケース2214aとカバー2214bとで構成されている。光変調器2200は、また、ケース2214aに固定されて上記光変調素子2202への光の入出力を行う入力光ファイバ2208および出力光ファイバ2210と、を有する。
【0007】
筺体2204のケース2214aには、さらに、外部の電子回路から光変調素子2202を駆動する高周波電気信号を入力するための4つの信号入力端子2224a、2224b、2224c、2224d(以下、総称して信号入力端子2224ともいう)が設けられている。信号入力端子2224は、具体的には、例えば高周波同軸コネクタである電気コネクタ2216a、2216b、2216c、2216d(以下、総称して電気コネクタ2216ともいう)の中心電極である。信号入力端子2224のそれぞれから入力された高周波電気信号は、筺体2204内に収容された中継基板2218を介して、光変調素子2202に設けられた4つの信号電極2212a、2212b、2212c、2212d(以下、総称して信号電極2212ともいう)の一端にそれぞれ入力され、信号電極2212の他端に設けられた所定のインピーダンスを有する終端器2220により終端される。
【0008】
このような、例えば複数の信号電極2212にそれぞれ与えられる高周波電気信号が協働してDP-QPSK変調を行う光変調器2200においては、すべての高周波電気信号が雑音等の影響を受けることなく光変調素子2202の信号電極2212に入力されることが必要となる。しかしながら、その一方で、このような光変調器2200の小型化への要請は不変であり、光変調器2200の筺体2204の小型化に伴って中継基板2218の小型化が進んでいる。その結果、狭い中継基板2218では複数の異なる高周波信号が近接集中して伝搬することとなって、中継基板2218上に形成された高周波信号線路間での電気的なクロストークが無視し得なくなりつつある。
【0009】
また、商用のDP-QPSK変調器は、現在では100Gb/sの伝送レートで使用さることが多いが、この伝送レートを400Gb/sへ拡大するための開発も進んでおり、今後、伝送レートが拡大されれば上記中継基板で発生する高周波信号線路間のクロストークの問題は、更に深刻な課題となり得る。
【0010】
上記クロストークを抑制する方法として、隣接する高周波信号線路間の距離を拡大することが考えられるが、この方法は、上記のような光変調器の小型化への要請に反することとなり、採用は困難である。このため、例えば高周波信号線路間に設けられたグランド電極にビアを設けて中継基板裏面のグランド層に接続することで、当該グランド電極を強化して上記高周波信号線路間のシールド効果を上げる方法等が採用されている。
【0011】
しかしながら、400Gb/s又はこれを超える高伝送レートのDP-QPSK変調器では、上述のようなビアだけでは十分にクロストークを抑制しきれない場合がある。
【0012】
本願発明の発明者は、上記クロストークの要因について鋭意検討を重ね、上記のような400Gb/s又はこれを超える高伝送レートにおいては、従来の100Gb/sの伝送レートでの動作に対し新たな漏洩マイクロ波の影響が顕在化するとの知見を得た。
【0013】
すなわち、上記のような高伝送レートにおいては、従来知られている近接線路間での高周波信号エネルギの直接的な授受による影響や、高周波信号が入力される信号入力端子と中継基板の導体パターンとの接続点およびその近傍から空間へ発散していく漏洩マイクロ波による直接的な影響だけでなく、中継基板の側面方向に向かって指向性を持って発生及び又は伝搬する比較的強い漏洩マイクロ波による高周波信号のクロストーク劣化の影響も起こり得る。
【0014】
図23は、中継基板の側面方向に向かうそのような漏洩マイクロ波の発生および伝搬について説明するための説明図である。ここで、
図23には、
図22に示す光変調器2200における中継基板2218およびその周辺が示されている。中継基板2218上には、4つの信号入力端子2224と光変調素子2202の4つの信号電極2212とをそれぞれ接続する信号導体パターン2230a、2230b、2230c、2230d(以下、総称して信号導体パターン2230という)が形成されている。これらの信号導体パターン2230は、中継基板2218上において、当該信号導体パターン2230を基板面方向において挟むように配置されたグランド導体パターン2240a、2240b、2240c、2240d、2240eと共に、高周波信号線路を構成する。
【0015】
図23に示す中継基板2218では、信号導体パターン2230と接地導体パターン2240とで構成される高周波信号線路は、一般に、コプレーナ線路であり、当該線路を伝搬する高周波信号の伝搬モードはコプレーナモード(以下、CPWモード)である。これに対し、信号入力端子2224は、一般に、上述したように例えば同軸コネクタやリードピン等で構成され、中継基板2218に入力されるまでの高周波信号の伝搬モードは同軸モードである。
【0016】
したがって、4つの信号入力端子2224と中継基板2218の4つの信号導体パターン2230とをそれぞれ接続する4つの接続点(以下、信号接続点)では、同軸モードからCPWモードへの伝搬モード変換(すなわち、異種モード変換)が発生する。その結果、同軸モードで伝搬してきた高周波信号のエネルギの一部は、信号接続点のそれぞれにおいて放射モードへ変換され、漏洩マイクロ波となって空中へ放出され得る状況となる。
【0017】
すなわち、上記信号接続点のそれぞれは、漏洩マイクロ波の点波源として機能し、近似的な単純モデルとして、各信号接続点からは、漏洩マイクロ波が球面波2290となって空間へ放出される。各信号接続点から放出された球面波2290は互いに干渉し、中継基板2218の図示左右の側面方向に向かって当該中継基板2218の表面上を伝搬する指向性をもった強度の高い回折波2292を生成する。
【0018】
このような側面方向に向かう回折波2292としての漏洩マイクロ波(以下、側方漏洩マイクロ波ともいう)は、信号接続点に入力される高周波信号(信号マイクロ波)の波長や位相が略等しく、且つそれらの信号接続点が互いに近接して存在する場合にその強度が高くなり、光変調素子2202の動作に影響し得る。
【0019】
例えば、DP-QPSK光変調器においては、当該光変調器を構成する2つのネスト型マッハツェンダ光導波路のそれぞれに、ほぼ位相の揃った同じ波長の2つの高周波電気信号が入力される。このため、例えば、小型化および広帯域化が進められている400Gb/s用DP-QPSK光変調器では特に、近接する信号接続点に波長や位相の略等しい複数の信号マイクロ波が入力されることとなり、上述した側方漏洩マイクロ波による信号電極2212間のクロストーク悪化等、光変調素子2202の動作への悪影響が顕在化し得る。
【0020】
このような中継基板2218の側面方向に向かって発生し及び又は伝搬する比較的強い側方漏洩マイクロ波の存在は、未だ当業者においても認識されていない現象であり、従来技術においては特段の対策も講じられていない。
【0021】
例えば、従来、中継基板における高周波の反射、放射、及び又は漏洩を抑制するため、中継基板の導体パターンと上記リードピンとの接続部におけるインピーダンスを、導体パターン及びリードピンのそれぞれが構成する高周波伝送路のインピーダンスに対してより高精度に整合させること等が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0022】
しかしながら、上記従来技術は、100Gb/sの伝送レートでは効果的ではあるものの、400Gb/s以上の伝送レートにおける上記側方漏洩マイクロ波に起因するクロストーク悪化等の光変調素子動作の問題について効果的な解決策を与えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上記背景より、光変調素子の信号電極のそれぞれと信号入力端子のそれぞれとを電気的に接続する中継基板を備えた光変調器において、中継基板と信号入力端子との信号接続点から発生し得る漏洩マイクロ波の影響を効果的に抑制して、良好な光変調特性を実現することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一の態様によると、複数の信号電極を備える光変調素子と、前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、前記信号入力端子と前記信号電極とを電気的に接続する複数の信号導体パターン、及び複数のグランド導体パターンが形成された中継基板と、前記光変調素子および前記中継基板を収容する筺体と、を備える光変調器であって、前記中継基板の辺のうち、前記信号入力端子が前記信号導体パターンと接続される信号入力辺と、前記信号導体パターンが前記信号電極と接続される信号出力辺とは、平面視において相対向しており、前記中継基板の辺のうち、平面視において前記信号入力辺の端部と前記信号出力辺の端部とをつなぐ少なくとも一つの辺に沿って、前記信号導体パターン及び前記グランド導体パターンを含む前記中継基板の表面より突出した高さの、電磁波を吸収する素材で構成された電磁波伝搬抑制部を備える。
本発明の他の態様によると、前記中継基板は、前記筺体とは別体に構成された基板キャリヤに搭載され、前記電磁波伝搬抑制部は、前記基板キャリヤに設けられている。
本発明の他の態様によると、前記電磁波伝搬抑制部は、金属で構成され、前記電磁波伝搬抑制部と前記中継基板の前記グランド導体パターンとが、金属ワイヤまたは金属リボンで接続されている。
本発明の他の態様によると、前記電磁波伝搬抑制部は、前記中継基板に設けられている。
本発明の他の態様によると、前記電磁波伝搬抑制部は、当該電磁波伝搬抑制部が形成された前記中継基板の辺に沿った長さが、当該辺の長さの1/5以上である。
本発明の他の態様によると、前記電磁波伝搬抑制部の表面には、凹部又は凸部が形成されている。
本発明の他の態様によると、前記電磁波伝搬抑制部は、前記中継基板の前記グランド導体パターン上において、前記信号入力辺の端部と前記信号出力辺の端部とをつなぐ前記中継基板の少なくとも一つの辺に沿って配列された、複数の金属ワイヤ又は金属リボンである。
本発明の他の態様によると、前記電磁波伝搬抑制部は、前記中継基板の表面から測った高さが、前記中継基板に形成された前記信号導体パターンと当該信号導体パターンに隣接するグランド導体パターンとの離間距離よりも大きい。
本発明の他の態様は、上記いずれかの光変調器と、当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路と、を備える、光送信装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、中継基板を備えた光変調器において、中継基板と信号入力端子との信号接続点から発生し得る漏洩マイクロ波の影響を効果的に抑制して、良好な光変調特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光変調器の平面図である。
【
図4】
図1に示す光変調器における、基板キャリヤに搭載された中継基板の斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係る光変調器の第1の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示す第1の変形例に係る電磁波伝搬抑制部を用いた好適な構成の例を示す斜視図である。
【
図7】第1の実施形態に係る光変調器の第2の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図8】第1の実施形態に係る光変調器の第3の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図9】第1の実施形態に係る光変調器の第4の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る光変調器の平面図である。
【
図11】
図10に示す光変調器における電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図12】第2の実施形態に係る光変調器の第1の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図13】第2の実施形態に係る光変調器の第2の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図14】第2の実施形態に係る光変調器の第2の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の、好適な構成の他の例を示す斜視図である。
【
図15】第2の実施形態に係る光変調器の第2の変形例に係る電磁波伝搬抑制部の、好適な構成の更に他の例を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第3の実施形態に係る光変調器の平面図である。
【
図17】
図16に示す光変調器における電磁波伝搬抑制部の構成を示す平面図である。
【
図18】
図16に示す光変調器における電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図19】本発明の第3の実施形態に係る変形例の電磁波伝搬抑制部の構成を示す平面図である。
【
図20】本発明の第3の実施形態に係る変形例の電磁波伝搬抑制部の構成を示す斜視図である。
【
図21】本発明の第4の実施形態に係る光送信装置の構成を示す図である。
【
図22】従来の光変調器の構成の一例を示すである。
【
図23】従来の光変調器における側方漏洩マイクロ波の発生について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に示す実施形態及びその変形例は、上述した課題を解決すべく、光変調素子と中継基板とを備える光変調器において、中継基板の辺のうち、当該中継基板上に形成された信号導体パターンが光変調素子の信号電極と接続される辺を除く少なくとも一つの辺に沿って、中継基板の表面よりも突出した高さの、電磁波を吸収する素材で構成された電磁波伝搬抑制部を備える。
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る光変調器では、中継基板が、光変調器の筺体とは別体で構成された基板キャリヤ上に搭載されて当該筺体内に収容され、上記電磁波伝搬抑制部が上記基板キャリヤに形成されている。
【0030】
図1および
図2は、本発明の第1の実施形態に係る光変調器100の構成を示す図である。ここで、
図1、
図2は、それぞれ光変調器100の平面図および側面図である。
【0031】
光変調器100は、光変調素子102と、光変調素子102を収容する筺体104と、光変調素子102に光を入射するための入力光ファイバ108と、光変調素子102から出力される光を筺体104の外部へ導く出力光ファイバ110と、を備える。
【0032】
光変調素子102は、例えば400Gb/sの光変調を行うDP-QPSK変調器であり、例えばLN基板上に設けられた4つのマッハツェンダ型光導波路を備える。4つのマッハツェンダ型光導波路には、当該マッハツェンダ型光導波路を伝搬する光波をそれぞれ変調する4つの信号電極112a、112b、112c、112d(以下、総称して信号電極112ともいう)が設けられている。また、従来技術として知られているように、光変調素子102のLN基板の表面には、例えば、上記4つの信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれがコプレーナ線路(CPW、Coplanar Waveguide)を構成するように、グランド電極122a、122b、122c、122d、122e(
図3参照。
図1においては不図示。)が設けられている。
【0033】
具体的には、上記グランド電極122a、122b、122c、122d、122e(以下、総称してグランド電極122ともいう)は、LN基板表面の面内において信号電極112a、112b、112c、112dをそれぞれ挟むように配され、4つの信号電極112a、112b、112c、112dと共に所定の動作周波数において所定の特性インピーダンスを有するコプレーナ線路を構成する。
【0034】
4つの信号電極112には、4つの高周波の電気信号(変調信号)がそれぞれ入力される。これらの高周波電気信号は、協働して上記4つのマッハツェンダ型光導波路における光波の伝搬を制御し、全体として400Gb/sのDP-QPSK変調の動作を行う。
【0035】
光変調素子102から出力される2つの光は、例えばレンズ光学系(不図示)により偏波合成され、出力光ファイバ110を介して筺体104の外部へ導かれる。
【0036】
筺体104は、光変調素子102が固定されるケース114aとカバー114bとで構成されている。なお、筺体104内部における構成の理解を容易するため、
図1においては、カバー114bの一部のみを図示左方に示しているが、実際には、カバー114bは、箱状のケース114aの全体を覆うように配されて筺体104の内部を気密封止する。ケース114aは、金属、又は例えば金メッキされたセラミック等で構成されており、電気的には導電体として機能する。また、筺体104には通常、DC制御用等の複数のピンが設置されるが、本図面では省略している。
【0037】
ケース114aは、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれに印加する高周波の電気信号を入力する信号入力端子124a、124b、124c、124d(以下、総称して信号入力端子124ともいう)を備えた同軸コネクタである電気コネクタ116a、116b、116c、116d(以下、総称して電気コネクタ116ともいう)が設けられている。信号入力端子124のそれぞれは、中継基板118を介して、光変調素子102の信号電極112のそれぞれの一端に電気的に接続されている。
【0038】
光変調素子102の信号電極112の他端は、所定のインピーダンスを有する終端器120により終端されている。これにより、信号電極112のそれぞれの一端に入力された電気信号は、進行波として信号電極112内をそれぞれ伝搬する。
【0039】
電気コネクタ116のそれぞれは、例えば、プッシュオン型の同軸コネクタのソケットである。これらの電気コネクタ116の円柱状のグランド導体は、ケース114aに電気的に接続され固定される。したがって、ケース114aは、グランド電位に接続される構造物に対応する。なお、信号入力端子124は、例えば、電気コネクタ116であるコネクタソケットのそれぞれにおいて上記グランド導体の円柱形状の中心線にそって延在する中心導体(芯線)で構成される。
【0040】
図3は、
図1におけるA部の部分詳細図であり、中継基板118及びその周囲の構成を示す図である。中継基板118には、信号導体パターン330a、330b、330c、330d(以下、総称して信号導体パターン330ともいう)と、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340e(以下、総称してグランド導体パターン340ともいう)と、が形成されている。
【0041】
グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eは、信号導体パターン330a、330b、330c、330dのそれぞれを中継基板118のオモテ面(
図3に示す面)の面内において挟むように設けられている。これにより、信号導体パターン330は、それぞれ、グランド導体パターン340と共にコプレーナ線路を構成している。
【0042】
光変調素子102の信号電極112は、それぞれ、例えば導体ワイヤ126を用いたワイヤボンディングにより、中継基板118の信号導体パターン330の一端と電気的に接続されている。ここで、導体ワイヤ126は、例えば金ワイヤであるものとすることができる。
【0043】
また、光変調素子102において信号電極112と共にコプレーナ線路を構成するグランド電極122は、それぞれ、上記と同様に例えば導体ワイヤ126を用いたワイヤボンディングにより、中継基板118のグランド導体パターン340のそれぞれの一端と電気的に接続されている。なお、上述した導体ワイヤ126を用いたワイヤボンディングは一例であって、これには限られない。導体ワイヤ126のワイヤボンディングに代えて、例えば金リボン等の導体リボンを用いたリボンボンディングを用いることもできる。
【0044】
ここで、中継基板118は、筺体104とは別体に構成された基板キャリヤ150に搭載されて当該筺体104に収容されている。基板キャリヤ150は、例えば、Kovar等の金属で構成され、その表面に金(Au)等の層が形成されていてもよい。
【0045】
図4は、
図1および
図3に示す中継基板118および基板キャリヤ150の部分を抜き出して示した部分詳細図であり、当該抜き出した部分を信号入力端子124の配される側から見た斜視図である。
【0046】
本実施形態では、特に、基板キャリヤ150は、断面がU字状に形成されており、U字形状の底部に中継基板118が搭載されると共に、当該U字形状の2つの腕部分が、中継基板118のオモテ面よりも突出した高さを有する2つの電磁波伝搬抑制部152a、152b(図示ハッチング部分)を構成している。すなわち、本実施形態では、電磁波伝搬抑制部152a、152bは、例えば基板キャリヤ150と同じ素材(例えば金属)で構成される。
【0047】
また、中継基板118の辺のうち、信号導体パターン330が信号入力端子124と接続される側の辺である信号入力辺318aと、信号導体パターン330が光変調素子102の信号電極112と接続される側の辺である信号出力辺318bとは、平面視において相対向している。そして、電磁波伝搬抑制部152a、152bは、中継基板118の辺のうち、平面視において信号入力辺318aの端部と信号出力辺318bの端部とをつなぐ2つの辺である図示左右のサイドエッジ(側方辺)318c、318dに沿って形成されている。
【0048】
ここで、中継基板118は、例えばオモテ面に対向するウラ面に導体が形成されており、当該導体と基板キャリヤ150の底面との間がハンダ、ロウ材、あるいは導電性接着剤等により固定されている。同様に、基板キャリヤ150は、ハンダ、ロウ材、あるいは導電性接着剤等により、筺体104に対して固定される。筺体104は、電気コネクタ116を介して、及び又は筺体104が固定される外部構造物(例えば、光変調器100が用いられる装置の装置筺体)を介して、グランド電位に接地されるので、上記構成により、電磁波伝搬抑制部152a、152bも、グランド電位に接地されることとなる。
【0049】
上記の構成を有する光変調器100は、上記のように、中継基板118のサイドエッジ318c、318dに沿って、中継基板118のオモテ面から突出する高さを有する電磁波伝搬抑制部152a、152bが形成されている。このため光変調器100では、信号入力辺318aにおいて点在する信号入力端子124と信号導体パターン330との信号接続点が漏洩マイクロ波の点波源として作用した場合でも、中継基板118のオモテ面に沿ってそれらの点波源からサイドエッジ318c、318dへ向かう漏洩マイクロ波の回折波、すなわち側方漏洩マイクロ波は、電磁波伝搬抑制部152a、152bによりその伝搬が抑制ないし阻止される。その結果、光変調器100では、光変調素子102が例えば400Gb/sを超える伝送レートで動作する場合でも、上記側方漏洩マイクロ波に起因する中継基板118上の伝送線路間(すなわち、信号導体パターン330間)のクロストーク悪化等を防止して、良好な光変調特性を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態では、中継基板118は、基板キャリヤ150を介して筺体104に収容されて固定されるので、中継基板118と筺体104との間で線膨張係数の差が大きい場合にも、中継基板118と筺体104との間の熱応力緩和構造として基板キャリヤ150を用いて、環境温度変動等に伴う中継基板118への過度な応力発生を防止することができる。例えば、中継基板118としてアルミナセラミック、筺体104としてSUSを用いる場合には、基板キャリヤ150は、これらの中間的な線膨張係数を有する素材である50アロイ(Ni50,Fe Bal.)や476アロイ(Ni47,Cr6,Fe Bal.)を用いるものとすることができる。
【0051】
なお、本発明の発明者の知見によれば、側方漏洩マイクロ波の伝搬抑制効果の観点からは、中継基板118のオモテ面から測った電磁波伝搬抑制部152a、152bの高さh(
図4)は、信号入力端子124から入力される電気信号がマイクロ波帯の周波数を持つ場合には、中継基板118に形成された信号導体パターン330と、当該信号導体パターン330に隣接するグランド導体パターン340との間隔d1以上であること(すなわち、h≧d1)が望ましい。ここで、中継基板118上に形成された全ての隣接する信号導体パターン330とグランド導体パターン340との間隔が同じでない場合には、間隔d1は、それらの隣接する信号導体パターン330とグランド導体パターン340との間隔のうちの最小値であるものとすることができる。
【0052】
これは、中継基板118において信号導体パターン330を伝搬するマイクロ波帯の高周波電気信号が、隣接するグランド導体パターン340との間隔d1とほぼ同じ広がりをもった電磁界分布の波として振舞うため、ここから漏洩した電気信号の波に対しても、少なくとも上記間隔d1の大きさをもった構造物がその電磁界分布に有意な変動を与えるためと考えられる。
【0053】
電磁波伝搬抑制部152a、152bの厚さtは、側方漏洩マイクロ波が吸収され得る程度の厚さであればよく、例えば10μm程度の厚さでも、側方漏洩マイクロ波に対する十分な伝搬抑制効果が得られる。
【0054】
なお、本実施形態では、電磁波伝搬抑制部152a、152bは、中継基板118のサイドエッジ318cおよび318dに沿ってそれぞれ設けられるものとしたが、これには限られない。電磁波伝搬抑制部は、上記側方漏洩マイクロ波の伝搬方向、発生強度、光変調素子102の動作に与える影響の程度等に応じて、中継基板118の辺のうち、平面視において対向する信号入力辺318a及び信号出力辺318bのそれぞれの端部を接続する少なくとも一つの辺(例えば、本実施形態におけるサイドエッジ318c、318dの少なくとも一方)に沿って、中継基板118のオモテ面よりも突出した高さで構成されていればよい。
【0055】
次に、第1の実施形態に係る光変調器100の変形例について説明する。
【0056】
<第1実施形態の第1変形例>
図5は、第1実施形態の第1の変形例に係る電磁波伝搬抑制部552a、552bの構成を示す図であり、
図4に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この電磁波伝搬抑制部552a、552bを備える基板キャリヤ550は、
図1に示す光変調器100において基板キャリヤ150に代えて用いることができる。
図5において、
図4に示す構成要素と同じ構成要素については、
図4における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図4についての説明を援用する。
【0057】
図5に示す基板キャリヤ550は、
図4に示す基板キャリヤ150と同様に断面がU字状に構成されているが、U字形状の腕部分を構成する電磁波伝搬抑制部552a、552bが、それぞれ、当該U字形状の底部に配された中継基板118のサイドエッジ318c、318dから、平面視において離間するように設けられている点が異なる。
【0058】
この様に、中継基板118のサイドエッジ318c、318dと電磁波伝搬抑制部552a、552bとの間に、離間距離d3の幅で空間が形成される場合でも、側方漏洩マイクロ波の伝搬を抑制することができる。この離間距離d3は、広過ぎると側方漏洩マイクロ波の伝搬抑制効果が低下してしまうため、少なくとも、中継基板118上に形成された隣接する信号導体パターン330間の距離d2より狭いこと(すなわち、d3<d2)が望ましい。ここで、隣接する信号導体パターン330間の距離がそれぞれ異なっている場合には、距離d2は、隣接する信号導体パターン330間の距離のうちの最大値であるものとすることができる。
【0059】
なお、本変形例のように、電磁波伝搬抑制部552a、552bの形成位置が中継基板118の平面視においてサイドエッジ318c、318dから離間している場合、
図6に示すように、電磁波伝搬抑制部552a、552bを導体ワイヤ554により中継基板118のグランド導体パターン340と接続することで、電磁波伝搬抑制部552a、552bとグランドラインとの接続を強化し、側方漏洩マイクロ波の伝搬抑制効果を高めることができる。この構成は、例えば、中継基板118上の信号導体パターン330と光変調素子102の信号電極112との接続に用いるワイヤボンダのツールサイズの制限等から、設計段階において離間距離d3を上述した好ましい距離範囲(d3<d2)に設定することができないような場合に、電磁波伝搬抑制部552a、552bの側方漏洩マイクロ波の伝搬抑制効果を高めるのに用いることができる。すなわち、
図6に示す構成は、電磁波伝搬抑制部552a、552bの側方漏洩マイクロ波の伝搬抑制効果を光変調器100の製造工程において柔軟に高めることができる。
【0060】
<第1実施形態の第2変形例>
図7は、第1実施形態の第2の変形例に係る電磁波伝搬抑制部752a、752bの構成を示す図であり、
図4に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この電磁波伝搬抑制部752a、752bを備える基板キャリヤ750は、
図1に示す光変調器100において基板キャリヤ150に代えて用いることができる。
図7において、
図4に示す構成要素と同じ構成要素については、
図4における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図4についての説明を援用する。
【0061】
図7に示す基板キャリヤ750は、
図4に示す基板キャリヤ150と同様に断面がU字状に構成されているが、U字形状の腕部分を構成する電磁波伝搬抑制部752a、752b(図示ハッチング部分)が、それぞれ、基板キャリヤ750のうち光変調素子102が配される側の端部から延在して、中継基板118のサイドエッジ318c、318dの長さより短く形成されている点が異なる。
【0062】
この様に、中継基板118のサイドエッジ318c、318dの長さL1より短い長さL2の電磁波伝搬抑制部752a、752bであっても、側方漏洩マイクロ波の強度や方向に依存して、当該側方漏洩マイクロ波の伝搬を抑制することができる。なお、
図7では、サイドエッジ318c、318dの長さL1より短い長さL2の電磁波伝搬抑制部752a、752bが光変調素子102のある側の基板キャリヤ750の端部から延在して設けられているが、これには限られない。サイドエッジ318c、318dの長さL1より短い長さL2の電磁波伝搬抑制部752a、752bは、サイドエッジ318c、318dの両端部間の任意の位置に配されるものとすることができる。このように配しても、側方漏洩マイクロ波による光変調素子102の動作への影響をある程度特性することができる。ただし、このような、サイドエッジ318c、318dの長さL1より短い長さL2の電磁波伝搬抑制部を設ける場合、側方漏洩マイクロ波による光変調素子102の動作への影響を効果的に防止する観点から、
図7に示す電磁波伝搬抑制部752a、752bのように、光変調素子102のある側の基板キャリヤ750の端部から延在して設けるようにすることが望ましい。
【0063】
中継基板118において発生する側方漏洩マイクロ波は、
図23において回折波2292として示したように、光変調素子102に向かいつつ中継基板118のサイドエッジ318c、318dへ向かって斜め方向に伝搬する。従って、設計上や製造上の制約条件などから、中継基板118のオモテ面から突出する高さの電磁波伝搬抑制部をサイドエッジ318c、318dの全体に沿って形成することが困難な場合には、中継基板118のサイドエッジ318c、318dに沿って光変調素子102の側(すなわち、信号出力辺318bの側)から長さL2(<L1)にわたって延在する電磁波伝搬抑制部752a、752bを設けることで、側方漏洩マイクロ波伝搬について大きな抑制効果を得ることができる。
【0064】
ここで、電磁波伝搬抑制部652a、652bの長さL2は、好適には中継基板118の長さL1(
図3)、すなわち信号入力辺318aから信号出力辺318bまでの距離の、1/5より長いことが望ましく、1/2以上あればより大きな効果を奏する。
【0065】
<第1実施形態の第3変形例>
図8は、第1実施形態の第3の変形例に係る電磁波伝搬抑制部852a、852bの構成を示す図であり、
図4に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この電磁波伝搬抑制部852a、852bを備える基板キャリヤ850は、
図1に示す光変調器100において基板キャリヤ150に代えて用いることができる。
図8において、
図4に示す構成要素と同じ構成要素については、
図4における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図4についての説明を援用する。
【0066】
図8に示す基板キャリヤ850は、
図4に示すU字形状に構成された基板キャリヤ150とは異なり、平板として構成されており、当該平板上に中継基板118が搭載されている。また、基板キャリヤ850を構成する平板上の、一組の対向する辺のそれぞれの近傍に、中継基板118のサイドエッジ318c、318dに沿って設けられた2つのサポート856a、856bが固定されている。そして、サポート856a、856bのうち、中継基板118のオモテ面から突出する部分(図示ハッチング部分)が、サイドエッジ318c、318dに沿って配された電磁波伝搬抑制部852a、852bを構成している。
【0067】
ここで、サポート856a、856bは、その全体が一つの素材で構成されていてもよいし、複数の素材が組み合わされて構成されていてもよい。例えば、サポート856a、856bは、電磁波伝搬抑制部852a、852bを構成する部分と、その他の部分とが、異なる素材で構成されているものとすることができる。これらの素材は、金属のほか、例えばフェライト等の電波吸収性素材であるものとすることができる。
【0068】
図8に示す電磁波伝搬抑制部852a、852bも、
図4に示す電磁波伝搬抑制部152a、152bと同様に、信号入力辺318aにおける信号導体パターン330と信号入力端子124との接続点から発生する側方漏洩マイクロ波の伝搬を効果的に抑制することができる。
【0069】
<第1実施形態の第4変形例>
図9は、第1実施形態の第4の変形例に係る電磁波伝搬抑制部952a、952bの構成を示す図であり、
図4に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この電磁波伝搬抑制部952a、952bを備える基板キャリヤ950は、
図1に示す光変調器100において基板キャリヤ150に代えて用いることができる。
図9において、
図4に示す構成要素と同じ構成要素については、
図4における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図4についての説明を援用する。
【0070】
図9に示す基板キャリヤ950は、
図4に示すU字形状に構成された基板キャリヤ150とは異なり、平板として構成され、当該平板上に中継基板118が搭載されている。また、基板キャリヤ950を構成する平板上の、一組の対向する辺のそれぞれの近傍に、中継基板118のサイドエッジ318cおよび318dに沿って、それぞれ3本の円柱状のピン956aおよび956bが固定されている。そして、それぞれ3本のピン956aおよび956bのうち、中継基板118のオモテ面から突出するそれぞれ3つの突出部分956a-1および956b-1(図示ハッチング部分)が、サイドエッジ318c、318dに沿って配された電磁波伝搬抑制部952a、952bを構成している。
【0071】
図9に示す電磁波伝搬抑制部952a、952bは、隣接するピン956a間の間隔および隣接するピン956b間の間隔を信号入力端子124から入力される高周波信号の波長と同程度以下とすることにより、当該波長を持った電磁波に対するシールドとして機能して、
図4に示す電磁波伝搬抑制部152a、152bと同様に、側方漏洩マイクロ波の伝搬を効果的に抑制することができる。
【0072】
ここで、ピン956a、956bは、その全体が一つの素材で構成されていてもよいし、複数の素材が組み合わされて構成されていてもよい。例えば、ピン956a、956bは、電磁波伝搬抑制部952a、952bを構成する部分(すなわち、突出部分956a-1および956b-1)と、その他の部分とが、異なる素材で構成されているものとすることができる。これらの素材は、金属のほか、例えばフェライト等の電波吸収性素材であるものとすることができる。
【0073】
また、
図9に示す例では、ピン956a、956bは、単純な円柱状で構成されるものとしたが、これには限られない。ピン956a、956bは、それぞれ、軸対称な形状をもって略円柱状の形状を有していればよく、例えば、径の細い部分と太い部分とが混在して一つのピンを構成する形状とすることができる。
【0074】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る光変調器1000について説明する。
図10は、光変調器1000の構成を示す図である。
図10において、
図1に示す光変調器100の構成要素と同じ構成要素については、
図1における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図1についての説明を援用する。
図10に示す光変調器1000は、光変調器100と同様の構成を有するが、中継基板118が、筺体104と別体に構成された基板キャリヤを介さず筺体104に直接固定されている点が異なる。そして、光変調器1000は、電磁波伝搬抑制部が、基板キャリヤに設けられるのではなく、中継基板118上に設けられる点が、光変調器100と異なる。
【0075】
図11は、中継基板118の構成を示す図であり、第1実施形態における
図4に相当する図である。なお、
図11において、
図4に示す構成要素と同じ構成要素については、
図4における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図4についての説明を援用する。
【0076】
光変調器1000では、
図11に示すように、中継基板118において、サイドエッジ318c、318dに沿ってそれぞれ形成されたグランド導体パターン340a、340bの上に、それぞれ、当該サイドエッジ318c、318dに沿って電磁波伝搬抑制部
1152a、1152bが配されている。ここで、電磁波伝搬抑制部1152a、1152bは、例えば、金属、又はフェライト等の電波吸収性素材で構成されるものとすることができる。
【0077】
本実施形態の電磁波伝搬抑制部1152a、1152bは、中継基板118上に設けられるので、第1の実施形態のような中継基板118外に設けられた電磁波伝搬抑制部152a、152bに比べて、側方漏洩マイクロ波の発生源(中継基板118の信号導体パターン330と信号入力端子124との接続点)の近くにおいて当該側方漏洩マイクロ波の伝搬をより効果的に抑制することがきできる。また、本実施形態では、中継基板118外に電磁波伝搬抑制部152a、152bを設けないので、第1実施形態に係る光変調器100にくらべて、筺体104の小型化が容易となる。
【0078】
次に、第2の実施形態に係る光変調器1000の変形例について説明する。
【0079】
<第2実施形態の第1変形例>
図12は、第2実施形態の第1の変形例に係る電磁波伝搬抑制部1252a、1252bの構成を示す図であり、
図11に示す部分詳細図に相当する図である。この電磁波伝搬抑制部1252a、1252bを備える中継基板118は、
図12に示す光変調器1000において、電磁波伝搬抑制部1152a、1152bを備える中継基板118に代えて用いることができる。
図12において、
図11に示す構成要素と同じ構成要素については、
図11における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図11についての説明を援用する。
【0080】
本変形例における電磁波伝搬抑制部1252a、1252bは、シート状の例えば金属メッシュであり、中継基板118の、サイドエッジ318c、318dにそれぞれつながる2つの側面に、当該サイドエッジ318c、318dに沿って配されている。
【0081】
電磁波伝搬抑制部1252a、1252bを構成する金属メッシュは、一般に、金属繊維間に形成される隙間が、信号入力端子124から入力される高周波信号の波長に対して十分小さいため、側方漏洩マイクロ波に対するシールドとして機能し、その伝搬を効果的に抑制することができる。側方漏洩マイクロ波を吸収するのに必要な電磁波伝搬抑制部の厚さは、上述したように10μm程度あれば十分であり、したがって、電磁波伝搬抑制部1252a、1252bは、厚さ10μm程度のシート状金属メッシュで構成するものとすることができる。
【0082】
<第2実施形態の第2変形例>
図13は、第2実施形態の第2の変形例に係る電磁波伝搬抑制部1352a、1352bの構成を示す図であり、
図11に示す部分詳細図に相当する図である。この電磁波伝搬抑制部1352a、1352bを備える中継基板118は、
図10に示す光変調器1000において、電磁波伝搬抑制部1152a、1152bを備える中継基板118に代えて用いることができる。
図13において、
図11に示す構成要素と同じ構成要素については、
図11における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図11についての説明を援用する。
【0083】
本変形例における電磁波伝搬抑制部1352a、1352bは、サイドエッジ318c、318dに沿って中継基板118のグランド導体パターン340a、340bの上にループ状またはブリッジ状に立設して設けられた、それぞれ3本の導体ワイヤ1354で構成されている。
【0084】
このような、立設された導体ワイヤ1354は、
図9に示す電磁波伝搬抑制部952a、952bを構成するピン956a、ピン956bと同様に、これら導体ワイヤ1354の互いに隣接する立設部分間の間隔(以下、立設間隔)を、信号入力端子124から入力される高周波信号の波長と同程度以下(したがって、側方漏洩マイクロ波の波長と同程度以下)とすることにより、側方漏洩マイクロ波に対するシールドとして機能し、その伝搬を効果的に抑制することができる。
【0085】
なお、本変形例において示した、電磁波伝搬抑制部1352a、1352bをそれぞれ構成する導体ワイヤ1354の数「3」は一例であって、これには限られない。電磁波伝搬抑制部1352a、1352bをそれぞれ構成する導体ワイヤ1354の数は、上記のように立設間隔が側方漏洩マイクロ波の波長と同程度以下とするのに必要な、任意の数とすることができる。
【0086】
ここで、
図13においては、電磁波伝搬抑制部1352a、1352bをそれぞれ構成する導体ワイヤ1354は、図示のように、サイドエッジ318c、318dに沿ったループ状またはブリッジ状に、一列で立設されるものとしたが、これには限られない。例えば、
図14に示すように、サイドエッジ318c、318dに沿ったループ状またはブリッジ状に立設された導体ワイヤ1354を、サイドエッジ318c、318dに沿ってそれぞれ2列に設けて、電磁波伝搬抑制部1452a、1452bを形成するものとしてもよい。ただし、側方漏洩マイクロ波に対するシールド効果の観点からは、
図14のように、2列に設けられたそれぞれの導体ワイヤ1354が、サイドエッジ318c側から見て互い違いに配置されている方が有利である。
【0087】
あるいは、
図15に示すように、それぞれの導体ワイヤ1354を、サイドエッジ318c、318dと直交する方向に沿ったループ状又はブリッジ状に立設して、サイドエッジ318c、318dに沿って配置することで、それぞれ電磁波伝搬抑制部1552a、1552bをサイドエッジ318c、318dに沿って設けるものとすることができる。
【0088】
図13、
図14、
図15に示す構成において、導体ワイヤ1354は、金属ワイヤ又は金属リボンとすることができる。また、
図13、
図14において、導体ワイヤ1354は、それぞれ個別のワイヤとして立設されているが、これには限られない。一本の導体ワイヤの両端部および一つ又は複数の中間部分をグランド導体パターン340a等に接続することにより、当該一本の導体ワイヤにより複数のループ状又はブリッジ状の立設部が設けられるものとしてもよい。あるいは、個別の導体ワイヤ1354の片端のみをグランド導体パターン340a等に接続し、導体ワイヤ1354を(例えば略直線状に)立設するものとしてもよい。
【0089】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る光変調器1600について説明する。光変調器1600では、電磁波伝搬抑制部が、光変調素子102を収容する筺体に設けられている。
図16は、光変調器1600の構成を示す平面図である。
図16において、
図1に示す光変調器100の構成要素と同じ構成要素については、
図1における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図1についての説明を援用する。
図16に示す光変調器1600は、光変調器100と同様の構成を有するが、筺体104に代えて筺体1604を備える点が異なる。筺体1604は、筺体104と同様の構成を有するが、ケース114aに代えてケース1614aを備える点が異なる。
【0090】
ケース1614aは、ケース114aと同様の構成を有するが、中継基板118を挟む位置にサイドエッジ318c、318dに沿って突起部1654a、1654bが設けられ、それらの一部が電磁波伝搬抑制部1652a、1652bを構成する点が異なる。
【0091】
図17は、
図16に示す中継基板118と電磁波伝搬抑制部1652a、1652bとを含む部分を抜き出して示した部分詳細図である。また、
図18は、
図17に示す部分を、電気コネクタ116が配される側の上方から見た斜視図である。
図18において、突起部1654a、1654bのうち、中継基板118のオモテ面から突出した高さを有する部分(図示ハッチング部分)が、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bを構成している。
【0092】
特に、本実施形態では、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bの、サイドエッジ318c、318dと対向する面に、それぞれ凹部1656a、1656bが形成されている。この凹部1656a、1656bは、本実施形態では平面視が半円形で構成されている。
【0093】
これにより、光変調器1600では、凹部1656a、1656bへ向かって入射した側方漏洩マイクロ波は、
図17において太線矢印にて示したように、その伝搬方向が、光変調素子102が配されている方向(図示上方向)と逆の方向へ一旦反射される。このため、光変調器1600では、光変調器100、1000に比べて、側方漏洩マイクロ波が光変調素子102に与える影響をより低減することができる。
【0094】
また、側方漏洩マイクロ波の一部は、凹部1656a、1656bの内部において反射されるたびに、そのパワーの一部が電磁波伝搬抑制部1652a、1652bの内部に吸収されることとなるので、側方漏洩マイクロ波が光変調素子102に与える影響は更に低減される。
【0095】
なお、本実施形態では、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bに、平面視が半円形の凹部1656a、1656bがそれぞれ一つずつ設けられるものしたが、これには限られない。電磁波伝搬抑制部1652a、1652bにそれぞれ設けられる凹部の数は複数でもよく、また、そのような凹部の平面視の形状は、側方漏洩マイクロ波を光変調素子102が配されている方向(図示上方向)と異なる方向へ一旦反射し得る限り、任意の形状とすることができる。
【0096】
<第3実施形態の変形例>
図19および
図20は、第3実施形態の変形例に係る電磁波伝搬抑制部1952a、1952bの構成を示す図であり、それぞれ、上述した第3実施形態についての
図17に示す部分詳細図および
図18に示す斜視図に相当する図である。この電磁波伝搬抑制部1952a、1952bは、
図16に示す光変調器1600において、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bに代えて筺体1604のケース1614aに形成することができる。
図19および
図20においては、それぞれ、
図17および
図18に示す構成要素と同じ構成要素については、
図17および
図18における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図17および
図18についての説明を援用する。
【0097】
電磁波伝搬抑制部1952a、1952b(
図20における図示ハッチング部分)は、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bと同様に、筺体1604のケース1614aに設けられた突起部1654a、1654bのうちの、中継基板118のオモテ面から突出する部分として構成される。ただし、電磁波伝搬抑制部1952a、1952bは、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bとは異なり、サイドエッジ318c、318dと対向する面にそれぞれ2つの凹部1956a-1および1956a-2と凹部1956b-1および1956b-2とが設けられている。
【0098】
また、凹部1956a-1、1956a-2、1956b-1、1956b-2のそれぞれは、凹部1656a、1656bとは異なり、平面視が矩形の部分と半円形の部分とで構成され、サイドエッジ318c、318dから突起部1654a、1654bの内部に向かって延在する長さが上記半円形の半径よりも長く構成されている。
【0099】
これにより、本変形例に係る電磁波伝搬抑制部1952a、1952bでは、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bと同様に、例えば凹部1956a-1、1956b-1へ向かって入射した側方漏洩マイクロ波は、
図19において太線矢印で示したように、その伝搬方向が、光変調素子102が配される方向(図示上方向)とは逆の方向へ一旦反射される。このため、光変調器1660では、光変調器100、1000に比べて、側方漏洩マイクロ波が光変調素子102に与える影響をより低減することができる。
【0100】
そして、凹部1956a-1、1956b-1に入射した側方漏洩マイクロ波は、その後、凹部1656a、1656bにおけるよりも多くの回数にわたり、凹部1956a-1、1956b-1の内部で多重反射し、それらの反射の都度、そのパワーの一部が電磁波伝搬抑制部1952a、1952bの内部に吸収されることとなる。このため、本変形例の電磁波伝搬抑制部1952a、1952bでは、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bよりも更に、側方漏洩マイクロ波が光変調素子102の動作に与える影響を低減することができる。
【0101】
なお、第1の実施形態に係る光変調器100およびその第1の変形例について示した電磁波伝搬抑制部152a、152bの高さhについての好ましい条件、および電磁波伝搬抑制部552a、552bと中継基板118との離間距離d3についての好ましい条件は、第1、第2、第3の実施形態に係る光変調器100、1000、1600およびそれらの変形例における電磁波伝搬抑制部において、共通的に適用され得る。
【0102】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、第1ないし第3の実施形態に係る光変調器100、1000、1600及びそれらの変形例に係る光変調器のいずれかの光変調器を搭載した光送信装置である。
【0103】
図21は、本実施形態に係る光送信装置の構成を示す図である。この光送信装置2100は、光変調器2102と、光変調器2102に光を入射する光源2104と、変調信号生成部2106と、変調データ生成部2108と、を有する。
【0104】
光変調器2102は、上述した第1ないし第3の実施形態に係る光変調器100、1000、1600及びそれらの変形例に係る光変調器の、いずれかの光変調器であるものとすることができる。ここで、冗長な記載を避けて理解を容易にするため、以下では、光変調器2102は、第1の実施形態に係る光変調器100であるものとする。
【0105】
変調データ生成部2108は、外部から与えられる送信データを受信して、当該送信データを送信するための変調データ(例えば、送信データを所定のデータフォーマットに変換又は加工したデータ)を生成し、当該生成した変調データを変調信号生成部2106へ出力する。
【0106】
変調信号生成部2106は、光変調器2102に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路(ドライブ回路)であり、変調データ生成部2108が出力した変調データに基づき、光変調器2102に当該変調データに従った光変調動作を行わせるための高周波信号である変調信号を生成して、光変調器2102に入力する。当該変調信号は、光変調器2102が備える光変調素子102の4つの信号電極112a、112b、112c、112dに対応する4つの高周波電気信号から成る。
【0107】
当該4つの高周波電気信号は、光変調器2102の電気コネクタ116a、116b、116c、116dのそれぞれの信号入力端子124a、124b、124c、124dから中継基板118の信号導体パターン330a、330b、330c、330dへ入力され、これらの信号導体パターン330a等を介して、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dに入力される。
【0108】
これにより、光源2104から出力された光は、光変調器2102により、例えばDP-QPSK変調され、変調光となって光送信装置2100から出力される。
【0109】
特に、光送信装置2100では、光変調器2102として、第1ないし第3の実施形態に係る光変調器100、1000、1600及びそれらの変形例に係る光変調器の、いずれかの光変調器を用いる。このため、光送信装置2100では、伝送レートの高速化等に伴って発生する上述した側方漏洩マイクロ波に起因した、光変調素子102を駆動する高周波電気信号間のクロストーク増加等を効果的に低減して、安定且つ良好な光変調特性を確保して、安定且つ良好な伝送特性を実現することができる。
【0110】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0111】
例えば、第2の実施形態およびその変形例において示した中継基板118に形成される電磁波伝搬抑制部152a等は、第1の実施形態および第3の実施形態並びにそれらの変形例において示した基板キャリヤ150等に構成される電磁波伝搬抑制部152a等及び又は筺体1604の突起部1654a等の一部として構成される電磁波伝搬抑制部1652a等と共に用いるものとすることができる。
【0112】
また、第1ないし第3の実施形態およびそれらの変形例に示した電磁波電波抑制部152等の素材は、金属やフェライトに限らず、電波を吸収する特性を有する任意の素材で構成するものとすることができる。
【0113】
また、第3の実施形態およびその変形例で示した凹部1656a等を有する電磁波伝搬抑制部1652a等の形状は、凹部1656a等の凹部に限らず、同様の形状を電磁波伝搬抑制部1652a等に形成し得る凸部で構成するものとしてもよい。
【0114】
以上説明したように、上述した実施形態に係る光変調器100、1000、1600は、複数の信号電極112を備える光変調素子102と、信号電極112のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子124と、信号入力端子124と信号電極112とを電気的に接続する複数の信号導体パターン330及び複数のグランド導体パターン340が形成された中継基板118と、光変調素子102および中継基板118を収容する筺体104と、を備える。そして、中継基板118の辺のうち、信号入力端子124が信号導体パターン330と接続される信号入力辺318aと、信号導体パターン330が信号電極112と接続される信号出力辺318bとは、平面視において相対向している。また、中継基板118の辺のうち、平面視において前記信号入力辺の端部と前記信号出力辺の端部とをつなぐ少なくとも一つの辺、例えばサイドエッジ318c及び又は318dに沿って、中継基板118の表面よりも突出した高さの、電磁波を吸収する素材で構成された電磁波伝搬抑制部152a、152b等を備える。
【0115】
この構成によれば、中継基板118と信号入力端子124との信号接続点から発生する複数の漏洩マイクロ波が干渉して生ずる側方漏洩マイクロ波が、中継基板118の表面上の空間を伝搬して光変調素子102の動作に与える影響(例えば、信号線路間のクロストーク等)を効果的に抑制して、良好な光変調特性を実現することができる。
【0116】
また、光変調器100では、中継基板118は、筺体104とは別体に構成された基板キャリヤ150に搭載される。そして、電磁波伝搬抑制部152a、152bは、基板キャリヤ150に設けられている。この構成によれば、側方漏洩マイクロ波の伝搬を効果的に抑制すると共に、中継基板118と筺体104との間の線膨張係数差に起因する中継基板118への熱応力の発生も抑制することができる。
【0117】
また、電磁波伝搬抑制部152a、152b等は金属で構成されるものとすることができる。そして、上述した第1の実施形態である光変調器100の第1の変形例の好適な構成では、電磁波伝搬抑制部552a、552bと中継基板118のグランド導体パターン340a、340bとが、それぞれ導体ワイヤ554で接続されている。ここで、導体ワイヤ554は、金属ワイヤまたは金属リボンとすることができる。
【0118】
この構成によれば、電磁波伝搬抑制部552a、552bによる側方漏洩マイクロ波の伝搬特性効果をより高めることができる。
【0119】
また、上述した第2の実施形態に係る光変調器1000では、電磁波伝搬抑制部1152a、1152b等は、中継基板118上に設けられている。この構成によれば、光変調器100に比べて、漏洩マイクロ波の発生源である信号導体パターン330と信号入力端子124との接続点に対しより近い位置に電磁波伝搬抑制部1152a、1152b等が配されるので、側方漏洩マイクロ波の伝搬をより効果的に抑制することができる。
【0120】
また、第1の実施形態に係る光変調器100の第2の変形例では、電磁波伝搬抑制部752a、752bは、これらの電磁波伝搬抑制部752a、752bが形成された中継基板の辺であるサイドエッジ318c、318dに沿った長さが、当該辺の長さの1/5以上である。この構成によれば、設計上や製造上の制約条件などから、中継基板118のオモテ面から突出する高さの電磁波伝搬抑制部をサイドエッジ318c、318dの全体に沿って形成することが困難な場合にも、サイドエッジ318c、318dの長さ方向の一部に電磁波伝搬抑制部を設けて側方漏洩マイクロ波の伝搬を抑制することができる。
【0121】
また、第3の実施形態に係る光変調器1600では、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bの表面には、凹部1656a、1656bが形成されている。これらの凹部1656a、1656bは、同様な形状を構成する凸部で構成するものとすることができる。
【0122】
この構成によれば、凹部1656a、1656bにより、電磁波伝搬抑制部1652a、1652bに入射する側方漏洩マイクロ波を、光変調素子102が配されている方向とは逆方向に一旦反射させることができるので、側方漏洩マイクロ波が光変調素子102の動作に与える影響をより低減することができる。
【0123】
また、第2の実施形態に係る光変調器1000では、電磁波伝搬抑制部1352a、1532b等を、中継基板118のグランド導体パターン340に接続されて立設された複数の導体ワイヤ1354により構成するものとすることができる。ここで、導体ワイヤは、例えば、金属ワイヤ又は金属リボンとすることができる。この構成によれば、電磁波伝搬抑制部を、簡易な構成で中継基板118上に構成することができる。
【0124】
また、電磁波伝搬抑制部152a、152b等は、中継基板118の表面から測った高さhが、中継基板118に形成された信号導体パターン330と当該信号導体パターン330に隣接するグランド導体パターン340との離間距離よりも大きい。
【0125】
この構成によれば、中継基板118のオモテ面に沿って空間を伝搬する側方漏洩マイクロ波の主要部分(当該マイクロ波のパワー集中部分)について、その伝搬を抑制することができる。
【0126】
また、上述した第4の実施形態に係る光送信装置2100は、上述した第1ないし第3の実施形態に係る光変調器100等およびその変形例のいずれかと、当該光変調器100等及び変形例のいずれかに変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路である変調信号生成部2106等と、を備える。この構成によれば、例えば伝送レートの高速化に伴って顕著となる側方漏洩マイクロ波の伝搬を抑制して、光変調素子102を駆動する複数の高周波電気信号間のクロストーク等を効果的に低減して、安定且つ良好な伝送特性を実現することができる。
【符号の説明】
【0127】
100、1000、1600、2102、2200…光変調器、102、2202…光変調素子、104、1604、2204…筺体、108、2208…入力光ファイバ、110、2210…出力光ファイバ、112、112a、112b、112c、112d、2212、2212a、2212b、2212c、2212d…信号電極、114a、1614a、2214a…ケース、114b、2214b…カバー、116、116a、116b、116c、116d、2216、2216a、2216b、2216c、2216d…電気コネクタ、118、2218…中継基板、120、2220…終端器、122、122a、122b、122c、122d、122e、2222a、2222b、2222c、2222d、2222e…グランド電極、124、124a、124b、124c、124d、2224、2224a、2224b、2224c、2224d…信号入力端子、126、554、1354…導体ワイヤ、318a…信号入力辺、318b…信号出力辺、318c、318d…サイドエッジ、330、330a、330b、330c、330d、2230,2230a、2230b、2230c、2230d…信号導体パターン、340、340a、340b、340c、340d、340e、2240a、2240b、2240c、2240d、2240e…グランド導体パターン、150、550、750、850、950…基板キャリヤ、152a、152b、522a、552b、752a、752b、852a、852b、952a、952b、1152a、1152b、1252a、1252b、1352a、1352b、1452a、1452b、1552a、1552b、1652a、1652b、1952a、1952b…電磁波伝搬抑制部、856a、856b…サポート、956a、956b…ピン、956a-1、956b-1…突出部分、1654a、1654b…突起部、1656a、1656b、1956a-1、1956a-2、1956b-1、1956b-2…凹部、2100…光送信装置、2104…光源、2106…変調信号生成部、2108…変調データ生成部、2290…球面波、2292…回折波。