(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】導電性緩衝材
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20230418BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230418BHJP
C08L 33/06 20060101ALI20230418BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20230418BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20230418BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20230418BHJP
C09K 3/16 20060101ALI20230418BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H05K9/00 W
B32B27/18 J
C08L33/06
C08L75/04
C08L21/00
C08K3/00
C09K3/16 101C
H01B1/22 A
(21)【出願番号】P 2019102575
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】山川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山崎 優
(72)【発明者】
【氏名】山上 晃
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 剛
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-255837(JP,A)
【文献】特表2009-543356(JP,A)
【文献】特開2018-129493(JP,A)
【文献】特開2004-189938(JP,A)
【文献】特開2016-092193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
B32B 27/18
C08L 33/06
C08L 75/04
C08L 21/00
C08K 3/00
C09K 3/16
H01B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のバインダー樹脂、少なくとも1種の導電性粒子(A)、及び少なくとも1種の中空粒子を含有し、前記導電性粒子(A)の含有量が、前記バインダー樹脂100質量部(固形分)に対して50~200質量部であり、前記中空粒子の含有量が、前記バインダー樹脂100質量部(固形分)に対して0.5~5質量部であり、前記導電性粒子(A)の形状は鱗片状、フレーク状又はプレート状であり、前記導電性粒子(A)の形状において面積が最大となる面を主面としたとき、その主面に対する厚さが0.5~6.0μmであり、かつ前記導電性粒子(A)の厚さに対する前記主面の平均径の比率が10~100であることを特徴とする導電性緩衝材。
【請求項2】
前記導電性粒子(A)が基材となる粒子に金属メッキ処理を施した導電性粒子である請求項1に記載の導電性緩衝材。
【請求項3】
前記導電性粒子(A)の基材が、ガラス、シリカ、アルミナ、雲母及びジルコニアからなる群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものであり、前記導電性粒子(A)に施す金属メッキに用いる金属が、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅及びアルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものである請求項1又は2に記載の導電性緩衝材。
【請求項4】
前記導電性粒子(A)の主面の平均粒子径が10~200μmである請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性緩衝材。
【請求項5】
前記中空粒子の平均粒径が10μm~200μmである請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性緩衝材。
【請求項6】
前記バインダー樹脂がアクリル系、ウレタン系、ゴム系であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の導電性緩衝材。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに一項に記載の導電性緩衝材の片面又は両面に、粘着剤層を有する積層体。
【請求項8】
前記粘着剤層がアクリル重合体を含有するアクリル系粘着剤と少なくとも1種の導電性粒子(B)を含有することを特徴とする請求項7に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟で導電性を兼ね備えた導電性緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気・電子機器等の誤作動防止を目的として、導電性部材が、輻射する不要な漏洩電磁波のシールド用、他の電気・電子機器より発生する有害な空間電磁波のシールド用、静電気帯電防止の接地用などに用いられている。また、電子機器類では、緩衝材が、電子部品同士の緩衝防止や埃の侵入防止に用いられている。
【0003】
しかしながら、電子機器類の小型化に伴い、内部部品数を削減、高密度搭載化が進むなか、従来のように、導電材と緩衝材を個別に使用するのではなく、導電性と緩衝材を併せ持つ部材が要望されている。また、電子部品間のわずかな隙間を埋める緩衝材が電子部材と接触する場合があり、帯電防止性能が必要になっている。
【0004】
このような導電性と緩衝性を併せ持つ部材として、導電材料を内部に添加した発泡体が提案されている(特許文献1)。
しかし、これまでに提案されている導電材料を内部に添加した発泡体では導電性に乏しく、特に接地用途において不十分であり、更なる導電性の向上が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、優れた柔軟性と導電性を両立することができる導電性緩衝材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、少なくとも1種のバインダー樹脂、少なくとも1種の導電性粒子(A)、及び少なくとも1種の中空粒子を含有し、前記導電性粒子(A)の形状は鱗片状、フレーク状又はプレート状であり、前記導電性粒子(A)の形状において面積が最大となる面を主面としたとき、その主面に対する厚さが0.5~6.0μmであり、かつ前記導電性粒子(A)の厚さに対する前記主面の平均径の比率が10~100であることを特徴とする導電性緩衝材により上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導電性緩衝材は、薄型でありながら、優れた柔軟性と導電性を有するため、電子部品間の隙間を埋め、且つ電気又は電子機器等の内部で発生し、電子機器等の別箇所の動作に影響を及ぼす(内部)電磁波のシールド用、他の電気又は電子機器より発生し、電子機器等の外部から入ってくる有害な空間(外部)電磁波のシールド用、静電気帯電防止の接地用(アース用)として有用である。特に、薄型化が進み、筐体内での容積制限が厳しい携帯電子機器用途に好適に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の導電性緩衝材は、少なくとも1種のバインダー樹脂、少なくとも1種の導電性粒子(A)、及び少なくとも1種の中空粒子を含有し、前記導電性粒子(A)の形状は鱗片状、フレーク状又はプレート状であり、前記導電性粒子(A)の形状において面積が最大となる面を主面としたとき、その主面に対する厚さが0.5~6.0μmであり、かつ前記導電性粒子(A)の厚さに対する前記主面の平均径の比率が10~100であることを特徴とする導電性緩衝材である。
【0010】
<導電性緩衝材組成物>
本発明の導電性緩衝材を形成する導電性緩衝材組成物としては、少なくとも1種のバインダー樹脂、少なくとも1種の導電性粒子(A)、及び少なくとも1種の中空粒子を含有する。
前記導電性緩衝材組成物中の前記導電性粒子(A)の含有量としては、前記バインダー樹脂100質量部(固形分)に対して、50~200質量部であるが、好ましくは70~170質量部であり、より好ましくは80~150質量部である。導電性粒子(A)の含有量を上記範囲にすることで、導電性、柔軟性、生産性を両立しやすくなる。
前記導電性緩衝材組成物中の前記中空粒子の含有量としては、前記バインダー樹脂100質量部(固形分)に対して、0.5~5質量部であるが、好ましくは1~4質量部であり、より好ましくは1.5~3質量部である。中空粒子の含有量を上記範囲にすることで、柔軟性と導電性を両立しやすくなる。
【0011】
前記導電緩衝材組成物には必要に応じて、各種添加剤が添加されても良い。上記添加剤としては、例えば可塑剤、軟化剤、金属不活性剤、酸化防止剤、顔料、染料などが挙げられ、必要に応じて適宜使用される。
【0012】
前記バインダー樹脂中に前記導電性粒子(A)及び前記中空粒子を分散する方法としては、バインダー樹脂、溶剤、導電性粒子、中空粒子、添加剤等を分散攪拌機で分散する方法が挙げられる。市販の分散攪拌機としては、井上製作所製ディゾルバー、バタフライミキサー、BDM2軸ミキサー、プラネタリーミキサーが挙げられる。そのなかでも撹拌中のバインダー樹脂の増粘が少ない中程度のシェアをかけられるディゾルバーやバタフライミキサーが好ましい。
【0013】
<導電性緩衝材>
本発明の導電性緩衝材の厚み方向への抵抗値は、0.5Ω以下が好ましく、0.3Ω以下がより好ましく、0.1Ω以下が更に好ましい。上記範囲の抵抗値であることで電子機器の接地に適した導電性を発現できる。尚、厚み方向への抵抗値は、長さ25mm×幅25mmに切断した導電性緩衝材を20Nで加圧し、導電性緩衝材の厚さ方向に電流10mAを流したときの抵抗値である。測定装置としては、三菱ケミカルアナリティック製ロレスタ―GX等、任意の低抵抗率計が挙げられる。
【0014】
本発明の導電性緩衝材の25%圧縮時の対反発強度は、0.05~2MPaが好ましく、0.1~1.5MPaがより好ましく、0.3~1.3MPaが更に好ましい。上記範囲内の対反発強度であることで、形状への追従性と落下衝撃に耐えうる相関強度を両立できる。尚、25%圧縮時の対反発強度は、50mm角に切断した試料を水平台上に置き、23℃下で10mm/分の速度で試料を50%以上圧縮させ停止し、得られた距離-圧縮強度の図より25%圧縮時点での強度を読み取る。
【0015】
本発明の導電性緩衝材の厚みは、0.05~1mmが好ましく、0.1~0.7mmがより好ましく、0.15~0.5mmが更に好ましい。上記範囲内の厚みであることで、電気機器の薄型化と形状追従性を両立できる。
【0016】
本発明の導電性緩衝材は、少なくとも前記導電性緩衝材を含有している。従って、導電性緩衝材のみからなる構成であってもよいし、導電性緩衝材の片面又は両面に、他の層や基材、粘着剤層が設けられている構成であってもよい。
前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤など公知の粘着剤を適宜選択して用いることができる。粘着剤は、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。尚、粘着剤は、溶剤系粘着剤、エマルジョン系粘着剤、ホットメルト系粘着剤などいずれの形態の粘着剤であってもよい。耐久性、コスト、生産性の観点から溶剤系アクリル系粘着剤が好ましい。
【0017】
前記粘着剤層には導電性を付与し、導電性緩衝材の導電性を更に向上する上で導電性粒子(B)を含有することが好ましい。
前記導電性粒子(B)の材質としては金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属粉粒子、カーボン、グラファイト等の導電性樹脂、樹脂や中実ガラスビーズ、中空ガラスビーズの表面に金属被覆を有するもの等が使用できる。そのなかでもニッケル粉粒子や銅粉粒子や銀粉粒子が導電性、接着性、生産性に優れるため好ましい。さらに好ましいものとしては、カーボニル法で製造される粒子表面に多数の針状形状を有する表面針状形状のニッケル粒子や、当該表面針状粒子を平滑化処理して球状粒子としたものや、超高圧旋回水アトマイズ法で製造される銅粉や銀粉があげられる。これらの導電性粒子は2種類以上混合して使用してもよい。
【0018】
前記導電性粒子(B)の形状としては球状、表面針状形状、又は
図3で示すような多数の導電性粒子間で結合等を形成し連なった数珠状などが上げられる。
【0019】
前記導電性粒子(B)の粒子径としては、特に限定されるものではないが、粒子径d50が5~30μmであることが好ましく、10~25μmであることが好ましく、12~20μmであることがより好ましく、13~18μmであることが最も好ましい。また、粒子径d90が25~60μmであることが好ましく、27~55μmであることが好ましく、30~50μmであることがより好ましく、31~50μmであることが最も好ましい。なお、導電性粒子を2種以上混合する場合には、混合後の粒子径d50及びd90が上記範囲であることが好ましい。
【0020】
前記粒子径d50は粒度分布における50%累積値を指し、前記粒子径d90は粒度分布における90%累積値を指し、レーザー解析・散乱法により測定される値である。測定装置としては日機装社製マイクロトラックMT3000II、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3000等があげられる。
前記範囲の粒子径d50に調整する方法としては、例えば導電性粒子をジェットミルで粉砕する方法や篩等による篩分け法が挙げられる。
【0021】
前記導電性粒子(B)の粒子径d50が粘着剤層厚さの50~150%であり、d90が100~300%であることが好ましい。上記範囲の導電性粒子を用いることで、導電性・接着性・生産性を両立しやすい。d50はさらに好ましくは60~120%であり、最も好ましくは70~100%である。d90はさらに好ましくは120~250%であり、もっと好ましくは150~200%である。
【0022】
前記導電性粒子(B)の含有量としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系粘着剤組成物100質量部(固形分)に対して、10~100質量部を含有させることで導電性と接着性を発現しやすくなる。
【0023】
前記粘着剤層の厚みは特に限定されるものではないが、10~100μmの範囲内であることで導電性、接着性、生産性を両立しやすくなるため好ましい。
【0024】
本発明の導電性緩衝材は、例えば、導電材、導電性衝撃吸収材、導電性緩衝シール材、導電性防塵材などとして用いることができる。
本発明の導電性緩衝材は、特に電子機器等の内部に用いることができる。特に小型の部材又は部品を、薄型電子機器に装着する際に好適に用いられる。
【0025】
本発明の導電性緩衝材は、一般的に使用されている方法で作成できる。具体的には、離型ライナー上に塗布し、乾燥または硬化させる方法などにより製造できる。
【0026】
<導電性粒子(A)>
本発明の導電性緩衝材は、少なくとも1種の導電性粒子(A)を含有する。
前記導電性粒子(A)の形状は、鱗片状、フレーク状又はプレート状であり、また、前記導電性粒子(A)の形状において、面積が最大となる面を主面としたとき、その主面に対する厚さは0.5~6.0μmであるが、1.0~4.0μmが好ましく、1.5~3.0μmがより好ましく、1.8~2.4μmがさらに好ましい。上記範囲内であることで、柔軟性と導電性を両立しやすくなる。
前記導電性粒子(A)の厚さに対する前記主面の平均粒子径の比率は、10~100であるが、20~80が好ましく、30~60がより好ましく、35~45がさらに好ましい。前記比率とすることで、厚み方向(Z軸方向)の導電性に加え平面方向(XY方向)の導電性に優れた導電性緩衝材を得ることが可能となる。
【0027】
前記導電性粒子(A)としては金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属粉粒子、カーボン、グラファイト等の導電性樹脂、樹脂やガラスフレーク、ガラスフレーク等の基材の表面に金属被覆を有するもの等が使用できる。その中でも基材となる粒子に金属メッキ処理を施した導電粒子(A)を用いることが、より優れた柔軟性と粘着シートの厚み方向(Z軸方向)と平面方向(XY方向)の導電性を両立する上で好ましい。
【0028】
前記導電性粒子(A)の基材は、ガラス、シリカ、アルミナ、雲母、ジルコニアから選ばれた少なくとも1種を主成分とするのが好ましく、具体的には基材の成分として50質量%以上含有することが好ましく、65質量%以上含有することがより好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することがより好ましく、99質量%以上の微量の不純物が含有する程度のものが更に好ましい。
また、前記導電性粒子(A)に施す金属メッキに用いる金属としては、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、アルミニウムから選ばれた少なくとも1種を主成分とするのが好ましく、具体的には前記金属メッキ中に前記金属が70質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することがより好ましく、99質量%以上の微量の不純物が含有する程度のものが更に好ましい。
また、前記導電性粒子(A)中における金属メッキの含有量は、5~90質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、15~30質量%が更に好ましい。上記範囲内であることで、高い導電性と低コストを両立できる。
【0029】
前記導電性粒子(A)の主面の平均粒子径は、10~200μmが好ましく、より好ましくは20~150μmであり、さらに好ましくは40~120μmである。導電性粒子(A)の主面の平均粒子径を上記範囲とすることで、より優れた柔軟性と粘着シートの厚み方向(Z軸方向)と平面方向(XY方向)の導電性を両立できる。
なお、前記平均粒子径は、粒度分布における50%累積値を指し、レーザー解析・散乱法により測定される値である。測定装置としては日機装社製マイクロトラックMT3000II、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3000等があげられる。
前記範囲の平均粒子径を調整する方法としては、例えば導電性粒子をジェットミルで粉砕する方法や篩等による篩分け法が挙げられる。
【0030】
<中空粒子>
中空粒子は、熱可塑性樹脂からなる外殻を有し、その内部に空洞部があるものである。本発明の導電性緩衝材は、少なくとも1種の中空粒子を含有することで、柔軟性を高め、良好な形状追従性を付与することができる。
前記外殻を形成する熱可塑性樹脂としては、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等のビニル重合体およびこれらの共重合体;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルから選ばれる1種又は2種以上をポリマー成分として用いることができる。耐熱性、耐溶剤性の観点からアクリロニトリル共重合体が好ましい。
【0031】
前記中空粒子の平均粒子径は好ましくは10μm~200μm、より好ましくは20μm~150μm、更に好ましくは30μm~100μmである。平均粒子径を300μm以下とすることで、導電性緩衝材が極めて薄くなっても、中空粒子により独立気泡が形成され、緩衝材として機能することが可能になる。また、5μm以上とすることで、耐衝撃性や柔軟性を良好にすることができる。
なお、平均粒子径は、走査型顕微鏡、光学顕微鏡を用いて、観察した視野中の100個の粒子の一次粒子の大きさをそれぞれ測定したときの測定値の平均値である。
【0032】
中空粒子は、その粒子径が、単一分布を示してもよいが、異なる分布を示してもよい。
中空粒子の形状としては、球状、板状、針状及び不定形状等が挙げられる。
粒子の充填性及び分散性をより一層高める観点から、中空粒子は球状であることが好ましい。なお、球状の粒子のアスペクト比は5以下であり、好ましくは2以下、より好ましくは1.2以下である。
中空粒子の市販例としては、日本フェライト株式会社製「EXPANCEL」、松本油脂製薬株式会社製「マツモトマイクロスフェアー」、株式会社クレハ製「マイクロスフェアー」等が挙げられる。
【0033】
<バインダー樹脂>
また、本発明の導電性緩衝材は、少なくとも1種のバインダー樹脂を含有する。前記バインダー樹脂としては、アクリル系重合体、合成ゴム系重合体、ウレタン系重合体、シリコーン系重合体を使用することができる。中でも、耐久性、コスト、生産性の観点から、アクリル系重合体、又はウレタン系重合体が好ましい。
【0034】
前記アクリル系重合体としては、例えばn-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等に由来する構造単位を含むアクリル重合体を使用することができる。
また、前記アクリル系重合体としては、前記した構造単位の他に、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基等の極性基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する構造単位を有するものを使用することが、前記バインダー樹脂の耐久性を向上するうえで好ましい。
前記アクリル系重合体に架橋剤を含有することで、得られる導電性緩衝材が3次元架橋構造を形成し、凝集力を向上できる。架橋構造の形成には、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤など、公知の架橋剤などが挙げられる。架橋剤の種類は、前述の単量体成分の官能基に応じて選定するのが好ましい。
【0035】
前記アクリル系重合体は、前記ビニル単量体の混合物を、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、紫外線照射法、電子線照射法によって重合させることによって製造することができる。
前記方法で得られたアクリル系重合体としては、重量平均分子量10万~200万のものを使用することが好ましく、20万~150万のものを使用することがより好ましく、30万~100万のものを使用することが更に好ましい。
【0036】
なお、本発明では、当該アクリル重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、東ソー株式会社製「SC8020」を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPC測定条件で測定して求めることができる。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR-H」
・検出器:示差屈折
【0037】
前記ウレタン系共重合体は、例えば、ポリオール、ポリイソシアネートを、水酸基が過剰となる条件で反応させて得られるものを用いることができる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリアクリルポリオール、ダイマージオール、ポリイソプレンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。柔軟性と耐久性の両立の観点から、ポリエーテルポリオール又はポリカーボネートポリオールを含有することが好ましい。
【0038】
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記ウレタン系重合体の重量平均分子量Mwとしては、優れた凝集力を付与するうえで、5,000~200,000の範囲であることが好ましく、15,000~100,000の範囲がより好ましい。
更に前記ウレタン系重合体に架橋剤を含有することで、得られる導電性緩衝材が3次元架橋構造を形成し、凝集力を向上するうえで好ましい。架橋構造の形成には、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0040】
前記ウレタン系共重合体に対する前記イソシアネート系架橋剤の配合量としては、前記ウレタン系共重合体100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、より好ましくは2~8質量部であり、更に好ましくは3~6質量部である。前記イソシアネート系架橋剤の配合量を上記範囲にすることで、柔軟性と耐久性を両立しやすい。
【実施例】
【0041】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
[バインダー樹脂の調製]
<アクリル系重合体(1)>
冷却管、攪拌機、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート90.94質量部、2-エチルヘキシルアクリレート5質量部、アクリル酸4質量部、4-ヒドロキシエチルアクリレート0.06質量部と、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリル溶液4質量部(固形分2.5質量%)と、酢酸エチル100質量部とを供給し、反応容器内を窒素置換した後、65℃で10時間重合させることによって、重量平均分子量160万のアクリル系重合体(1)を得た。
【0043】
<ウレタン系重合体(1)>
反応容器に、OD-X‐688(DIC社製脂肪族系ポリエステル、数平均分子量2000)60質量部と、OD-X-2523(DIC社製脂肪族ポリエステル、数平均分子量3500)40質量部とを混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水した。
【0044】
次に、前記脂肪族ポリカーボネートポリオール及び前記ポリエステルポリオールの混合物を70℃まで冷却したものと、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート10質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、3時間反応させた後、65℃まで冷却し、酢酸エチルを110質量部を供給することで、水酸基を有する数平均分子量2万のウレタン系重合体(1)を得た。
【0045】
(導電性緩衝材組成物の作成)
[導電性緩衝材組成物(1A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(1A)を作成した。
【0046】
[導電性緩衝材組成物(2A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を75質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(2A)を作成した。
【0047】
[導電性緩衝材組成物(3A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:40μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(3A)を作成した。
【0048】
[導電性緩衝材組成物(4A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:40μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を75質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(4A)を作成した。
【0049】
[導電性緩衝材組成物(5A)の作成]
前記ウレタン系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 3.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(5A)を作成した。
【0050】
[導電性緩衝材組成物(6A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を1.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(6A)を作成した。
【0051】
[導電性緩衝材組成物(7A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径20μm、密度0.07g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(7A)を作成した。
【0052】
[導電性緩衝材組成物(8A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、数珠状導電性粒子として福田金属箔粉工業社製ニッケル粉NI255T(d50:26.0μm)50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(8A)を作成した。
【0053】
[導電性緩衝材組成物(9A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:15μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(9A)を作成した。
【0054】
[導電性緩衝材組成物(10A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を8質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(10A)を作成した。
【0055】
[導電性緩衝材組成物(11A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を110質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(11A)を作成した。
【0056】
[導電性緩衝材組成物(12A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)0.15質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(12A)を作成した。
【0057】
[導電性緩衝材組成物(13A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:2μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)8質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(13A)を作成した。
【0058】
[導電性緩衝材組成物(14A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、ガラスフレーク粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:4μm、主面の平均径:80μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(1A)を作成した。
【0059】
[導電性緩衝材組成物(15A)の作成]
前記アクリル系重合体(1)100質量部(固形分50質量部)に対して、鱗片状のニッケル粉に銀メッキを施した導電性粒子(主面厚み:1μm、主面の平均径:70μm、導電性粒子中の銀メッキ含有量:20質量%)を50質量部、中空粒子(球状、平均粒径45μm、密度0.03g/cm2)を2.0質量部、バーノックD-40(DIC(株)製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%) 2.0質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を50質量%に調整し、分散攪拌機で混合して導電性緩衝材組成物(1A)を作成した。
【0060】
(実施例1)
導電性緩衝材組成物(1A)をニッパ社製剥離フィルム「PET75×1 A3」上に乾燥後の厚さが200μmになるようにコンマコーターで塗工し、60℃の乾燥器中で10分間乾燥させた。ニッパ社製剥離フィルム「PET38×1 A3」に貼り合わせしたのち、40℃で48時間養生して、実施例1の導電性緩衝材を作成した。
【0061】
(実施例2)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(2A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例2の導電性緩衝材を作成した。
【0062】
(実施例3)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(3A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例3の導電性緩衝材を作成した。
【0063】
(実施例4)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(4A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例4の導電性緩衝材を作成した。
【0064】
(実施例5)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(5A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例5の導電性緩衝材を作成した。
【0065】
(実施例6)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(6A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例6の導電性緩衝材を作成した。
【0066】
(実施例7)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(7A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例6の導電性緩衝材を作成した。
【0067】
(実施例8)
乾燥後の厚さを100μmにしたこと以外は実施例1と同様に実施例8の導電性緩衝材を作成した
【0068】
(実施例9)
乾燥後の厚さを300μmにしたこと以外は実施例1と同様に実施例9の導電性緩衝材を作成した。
【0069】
(実施例10)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(14A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例10の導電性緩衝材を作成した。
【0070】
(実施例11)
導電性緩衝材組成物(1A)の代わりに、導電性緩衝材組成物(15A)を用いた以外は実施例1と同様に実施例11の導電性緩衝材を作成した。
【0071】
(比較例1)
導電性緩衝材組成物(8A)を用いたこと以外は実施例1と同様に比較例1の導電性緩衝材を作成した。
【0072】
(比較例2)
導電性緩衝材組成物(9A)を用いたこと以外は実施例1と同様に比較例2の導電性緩衝材を作成した。
【0073】
(比較例3)
導電性緩衝材組成物(10A)を用いたこと以外は実施例1と同様に比較例3の導電性緩衝材を作成した。
【0074】
(比較例4)
導電性緩衝材組成物(11A)を用いたこと以外は実施例1と同様に比較例4の導電性緩衝材の作成を行った。しかし、導電性緩衝材組成物は塗工できず、導電性緩衝材の作成はできなかった。
【0075】
(比較例5)
導電性緩衝材組成物(12A)を用いたこと以外は実施例1と同様に比較例5の導電性緩衝材を作成した。
【0076】
(比較例6)
導電性緩衝材組成物(13A)を用いたこと以外は実施例1と同様に比較例6の導電性緩衝材の作成を行った。しかし、導電性緩衝材組成物は塗工できず、導電性緩衝材の作成はできなかった。
【0077】
[Z軸方向導電性の評価方法(抵抗値の測定)]
30mm幅×30mm幅の導電性緩衝材の一方の面に、縦30mm×横30mmの真鍮製電極を貼付した。
前記導電性緩衝材の他方の面に縦25mm×横25mmの銅箔(厚さ35μm)を貼付した。
23℃及び50%RHの環境下、前記真鍮製電極の上面から、面圧20Nの荷重をかけた状態で、真鍮製電極と銅箔とに端子を接続し、ミリオームメーター(株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用いて10μAの電流を流し、その抵抗値を測定した。前記抵抗値が0.5Ω以下である場合を、導電性に優れるものと評価した。
【0078】
[段差追従性の評価方法]
実施例及び比較例で得た導電性緩衝材を5cm×5cmに裁断し、剥離フィルムを剥がしたものを、厚さ20mmのアクリルパネル7cm×7cmの中央部に貼り合わせた。
縦4cm及び横5cmのガラス板の額縁部に、厚さ100μm及び幅4mmの加飾層(黒色)を有するパネルを用意した。
前記で貼り合せて得た導電性緩衝材のもう一方の面の剥離フィルムを剥がし、前記パネルの表面(加飾層を有する側の面)を貼付した。
前記加飾層に起因する段差部と、粘接着シートを構成する粘着剤層との界面及びその周辺を、パネル板側から光学顕微鏡を用いて観察し、下記基準で評価した。
【0079】
〇:前記段差部と導電性緩衝材層との界面に気泡は無かった。
△:前記段差部と導電性緩衝材層との界面にごくわずかな気泡はあったものの、目視できる気泡は無かった。
×:前記段差部と導電性緩衝材層との界面に気泡があり、目視できるレベルであった。
【0080】
【0081】
【0082】