(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】光変調器及びそれを用いた光送信装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/03 20060101AFI20230418BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G02F1/03 505
H05K1/02 J
H05K1/02 C
H05K1/02 T
(21)【出願番号】P 2019146242
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】菅又 徹
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054929(JP,A)
【文献】国際公開第2005/091056(WO,A1)
【文献】特開2014-199370(JP,A)
【文献】特開2018-128633(JP,A)
【文献】特開2012-156947(JP,A)
【文献】特開2016-109941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0227666(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0114868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号電極を備える光変調素子と、
前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、
前記信号入力端子と前記信号電極とを電気的に接続する複数の信号導体パターン、及び複数のグランド導体パターンが形成された中継基板と、
前記光変調素子および前記中継基板を収容する筺体と、
を備える光変調器であって、
少なくとも一つの前記信号導体パターンは、
電気部品を含む少なくとも一つの部品搭載部を有し、
前記少なくとも一つの信号導体パターンを前記中継基板上において挟む2つの前記グランド導体パターンは、それらの平面視形状が、前記部品搭載部を中心とする平面視正方形の部品搭載範囲において、当該部品搭載部における前記少なくとも一つの前記信号導体パターンの延在方向に延びる直線に関して互いに非対称に形成されており、
前記平面視正方形の範囲である前記部品搭載範囲は、前記部品搭載部における前記少なくとも一つの信号導体パターンの延在方向を一の辺の方向とし、前記部品搭載部の中心から、当該中心に対し最も近い隣接する前記信号導体パターン上の部分までの距離を一辺の長さとする、
光変調器。
【請求項2】
複数の信号電極を備える光変調素子と、
前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、
前記信号入力端子と前記信号電極とを電気的に接続する複数の信号導体パターン、及び複数のグランド導体パターンが形成された中継基板と、
前記光変調素子および前記中継基板を収容する筺体と、
を備える光変調器であって、
少なくとも一つの前記信号導体パターンは、
電気部品を含む少なくとも一つの部品搭載部を有し、
前記少なくとも一つの信号導体パターンを前記中継基板上において挟む2つの前記グランド導体パターンは、前記部品搭載部を中心とする平面視正方形の部品搭載範囲において、ビアの有無、ビア径、又はビアの数が、互いに異なることで非対称に形成されており、
前記部品搭載範囲は、前記部品搭載部における前記少なくとも一つの信号導体パターンの延在方向を一の辺の方向とし、前記少なくとも一つの信号導体パターンから、最も近い隣接する前記信号導体パターンまでの距離を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲である、
光変調器。
【請求項3】
前記2つの前記グランド導体パターンは、当該2つの前記グランド導体パターンのそれぞれのエッジから前記少なくとも一つの前記信号導体パターンの対向するエッジまでの距離が、前記部品搭載範囲において互いに異なる部分を有するように形成されている、
請求項1または2に記載の光変調器。
【請求項4】
前記2つの前記グランド導体パターンの一方の前記グランド導体パターンは、前記部品搭載範囲において、前記少なくとも一つの前記信号導体パターンの延在方向と直交する方向に測った幅が、前記2つの前記グランド導体パターンの他方の前記グランド導体パターンの幅に比べて狭い部分を含んでいる、
請求項1または2に記載の光変調器。
【請求項5】
前記2つの前記グランド導体パターンのうち、一方の前記グランド導体パターンは、前記部品搭載範囲において断絶した区間を有し、他方の前記グランド導体パターンは、前記部品搭載範囲において断絶した区間を有さない、
請求項1または2に記載の光変調器。
【請求項6】
前記2つの前記グランド導体パターンの前記他方のグランド導体パターンは、前記部品搭載部を構成する前記信号導体パターンの部分までの離間距離が、対応する部品搭載範囲内における当該信号導体パターンの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている部分を有する、
請求項4又は5に記載の光変調器。
【請求項7】
前記光変調素子は、それぞれが一対の前記電気信号により変調される2つの変調光を生成するよう構成され、
前記中継基板は、前記一対の前記電気信号を、隣接する一対の前記信号導体パターンにより伝搬するよう構成される、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の光変調器と、
当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路と、
を備える、
光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号入力端子と光変調素子の信号電極との間の電気信号の伝搬を中継する中継基板を備える光変調器及び当該光変調器を用いた光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速/大容量光ファイバ通信システムにおいては、導波路型の光変調素子を組み込んだ光変調器が多く用いられている。中でも、電気光学効果を有するLiNbO3(以下、LNともいう)を基板に用いた光変調素子は、光の損失が少なく且つ広帯域な光変調特性を実現し得ることから、高速/大容量光ファイバ通信システムに広く用いられている。
【0003】
このLN基板を用いた光変調素子では、マッハツェンダ型光導波路と、当該光導波路に変調信号である高周波電気信号を印加するための信号電極が設けられている。そして、光変調素子に設けられたこれらの信号電極は、当該光変調素子を収容する光変調器の筺体内に設けられた中継基板を介して、当該筺体に設けられた信号入力端子であるリードピンやコネクタと接続される。これにより、光変調器に変調動作を行わせるための電子回路が搭載された回路基板に上記信号入力端子であるリードピンやコネクタが接続されることで、当該電子回路から出力された電気信号が上記中継基板を介して上記光変調素子の信号電極に印加される。
【0004】
光ファイバ通信システムにおける変調方式は、近年の伝送容量の増大化の流れを受け、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やDP-QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)等、多値変調や、多値変調に偏波多重を取り入れた伝送フォーマットが主流となっており、基幹光伝送ネットワークにおいて用いられるほか、メトロネットワークにも導入されつつある。
【0005】
QPSK変調を行う光変調器(QPSK光変調器)やDP-QPSK変調を行う光変調器(DP-QPSK光変調器)は、所謂ネスト型と呼ばれる入れ子構造になった複数のマハツェンダ型光導波路を備え、そのそれぞれが少なくとも一つの信号電極を備える。したがって、これらの光変調器は、複数の信号電極を備えるものとなり、これらの信号電極に与えられる高周波電気信号が協働して上記DP-QPSK変調動作を行う。
【0006】
このような光変調器では、中継基板上に形成された信号線路に、高周波特性を改善等するための電気フィルタ等の電気回路要素を実装する場合があり得る(特許文献1、2)。
【0007】
図15は、そのような電気回路要素が搭載された中継基板を備える従来の光変調器の構成の一例を示す平面図である。光変調器2200は、例えばLN基板上に形成されたDP-QPSK変調器である光変調素子2202と、当該光変調素子2202を収容する筺体2204と、を備える。ここで、筺体2204は、ケース2214aとカバー2214bとで構成されている。光変調器2200は、また、ケース2214aに固定されて上記光変調素子2202への光の入出力を行う入力光ファイバ2208および出力光ファイバ2210と、を有する。
【0008】
筺体2204のケース2214aには、さらに、外部の電子回路から光変調素子2202を駆動する高周波電気信号を入力するための4つの信号入力端子2224a、2224b、2224c、2224d(以下、総称して信号入力端子2224ともいう)が設けられている。信号入力端子2224は、具体的には、例えば高周波同軸コネクタである電気コネクタ2216a、2216b、2216c、2216d(以下、総称して電気コネクタ2216ともいう)の中心電極である。信号入力端子2224のそれぞれから入力された高周波電気信号は、筺体2204内に収容された中継基板2218を介して、光変調素子2202に設けられた4つの信号電極2212a、2212b、2212c、2212d(以下、総称して信号電極2212ともいう)の一端にそれぞれ入力され、信号電極2212の他端に設けられた所定のインピーダンスを有する終端器2220により終端される。
【0009】
光変調素子2202は、2つの出力光導波路2226a、2226bから2つの変調光を出力し、当該出力された2つの光は、偏波合成プリズム等で構成される偏波合成部2228により一つのビームに合波される。当該合波された光は、出力光ファイバ2210を介して筺体2204の外部へ出力される。
【0010】
図16は、
図15に示す光変調器2200における中継基板2218およびその周辺を示す図である。光変調素子2202には、信号電極2212のそれぞれがコプレーナ線路(CPW、Coplanar Waveguide)を構成するように、グランド電極2222a、2222b、2222c、2222d、2222eが設けられている。
【0011】
また、中継基板2218上には、4つの信号入力端子2224と光変調素子2202の4つの信号電極2212とをそれぞれ接続する信号導体パターン2230a、2230b、2230c、2230d(以下、総称して信号導体パターン2230という)が形成されている。これらの信号導体パターン2230は、中継基板2218上において、当該信号導体パターン2230を基板面方向において挟むように配置されたグランド導体パターン2240a、2240b、2240c、2240d、2240eと共に、高周波信号線路を構成する。
【0012】
中継基板2218の4つの信号導体パターン2230には、それぞれ、例えば高周波特性を改善するための電気フィルタが搭載された、部品搭載部2250a、2250b、2250c、2250d(以下、総称して部品搭載部2250ともいう)が設けられている。
図17及び
図18は、
図16に示す中継基板2218のJ部の部分詳細図、および
図16におけるXVIII-XVIII断面矢視図である。これらの図は、部品搭載部2250の一例として、部品搭載部2250bの構成を示したものであり、他の部品搭載部2250a、2250c、2250dも同様の構成を有し得る。
【0013】
部品搭載部2250bは、例えば特許文献1に記載の電気フィルタと同様の構成を有する。すなわち、部品搭載部2250bは、信号導体パターン2230bの一部に電気回路要素として形成された薄膜抵抗2252b(図示クロスハッチング部分)と、信号導体パターン2230b上に搭載されたコンデンサ2254bとで構成されている。また、部品搭載部2250bの信号導体パターン2230bは、例えば他の部分よりも幅広に形成されている。
【0014】
薄膜抵抗2252bは、信号導体パターン2230bの一部分が所望の抵抗値を有するように当該部分を所望の厚さで形成したものであり、例えば他の部分の厚さより薄く形成されて構成される。また、コンデンサ2254bは、例えば単板コンデンサであり、その下面電極部分が、薄膜抵抗2252bの一方の端部に接続された信号導体パターン2230bの幅広部分の上に、例えばハンダにより固定されている。一方、コンデンサ2254bの上面電極は、例えば導体ワイヤ2270を用いたワイヤボンディングにより、薄膜抵抗2252bの他方の端部に接続された信号導体パターン2230bの幅広部分の上に接続されている。これにより、部品搭載部2250bは、薄膜抵抗2252bとコンデンサ2254bとが並列に接続されて成る電気フィルタを構成している。
【0015】
ところで、上述したようなDP-QPSK光変調器は、現在では100Gb/sの伝送レートで使用さることが多いが、この伝送レートを400Gb/sへ拡大するための開発も進められている。このような変調器動作の高周波化に伴って、上述のような部品搭載部2250に搭載される電気回路要素(コンデンサ2254b等)として高周波特性に優れた部品を選定したり、部品搭載部2250のインピーダンスを信号導体パターン2230の線路インピーダンスに整合させること等が行われている。
【0016】
しかしながら、上述した部品搭載部2250は、例えば電気回路要素と信号導体パターン2230との物理的な形状の差や、当該電気回路要素の実装位置ずれなどに起因して、信号導体パターン2230を伝搬する高周波(マイクロ波)電気信号にとっての不連続点と成り得る。その結果、部品搭載部2250から上記マイクロ波電気信号の一部が漏洩し、漏洩マイクロ波2290(
図16)となって、隣接する信号導体パターン2230や光変調素子2202上の信号電極2212に対し、ノイズとして作用し得る。
【0017】
特に、光変調器2200のように、複数の信号電極2212に与えられる高周波電気信号が協働してDP-QPSK変調を行う光変調器においては、すべての高周波電気信号が雑音等の影響を受けることなく光変調素子2202の信号電極2212に入力されることが望ましく、上記のようなノイズの発生は、光変調素子2202の動作に悪影響を及ぼし得る。
【0018】
また、光変調器2200の小型化への要請は不変であり、光変調器2200の筺体2204の小型化に伴って中継基板2218の小型化が進んでいる。その結果、狭い中継基板2218では複数の異なる高周波信号が近接集中して伝搬することとなって、上記のような漏洩マイクロ波に起因する信号導体パターン2230等の高周波信号線路間での電気的なクロストークは、無視し得なくなりつつある。
【0019】
すなわち、従来の光変調器では、中継基板上に設けられた部品搭載部から発生し得る漏洩マイクロ波に起因する高周波電気信号間のクロストークを軽減して、良好な変調特性を実現することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特開2009-244325号公報
【文献】特開2018-54929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記背景より、光変調器において、光変調素子の信号電極のそれぞれと信号入力端子のそれぞれとを電気的に接続する中継基板において電気フィルタ等を構成する電気回路要素が設けられた部分から発生し得る漏洩マイクロ波の影響を効果的に抑制して、良好な光変調特性を実現することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一の態様は、複数の信号電極を備える光変調素子と、前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、前記信号入力端子と前記信号電極とを電気的に接続する複数の信号導体パターン、及び複数のグランド導体パターンが形成された中継基板と、前記光変調素子および前記中継基板を収容する筺体と、を備える光変調器であって、少なくとも一つの前記信号導体パターンは、電気部品を含む少なくとも一つの部品搭載部を有し、前記少なくとも一つの信号導体パターンを前記中継基板上において挟む2つの前記グランド導体パターンは、それらの平面視形状が、前記部品搭載部を中心とする平面視正方形の部品搭載範囲において、当該部品搭載部における前記少なくとも一つの前記信号導体パターンの延在方向に延びる直線に関して互いに非対称に形成されており、前記平面視正方形の範囲である前記部品搭載範囲は、前記部品搭載部における前記少なくとも一つの信号導体パターンの延在方向を一の辺の方向とし、前記部品搭載部の中心から、当該中心に対し最も近い隣接する前記信号導体パターン上の部分までの距離を一辺の長さとする。
本発明の他の態様は、複数の信号電極を備える光変調素子と、前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、前記信号入力端子と前記信号電極とを電気的に接続する複数の信号導体パターン、及び複数のグランド導体パターンが形成された中継基板と、前記光変調素子および前記中継基板を収容する筺体と、を備える光変調器であって、少なくとも一つの前記信号導体パターンは、電気部品を含む少なくとも一つの部品搭載部を有し、前記少なくとも一つの信号導体パターンを前記中継基板上において挟む2つの前記グランド導体パターンは、前記部品搭載部を中心とする平面視正方形の部品搭載範囲において、ビアの有無、ビア径、又はビアの数が、互いに異なることで非対称に形成されており、前記部品搭載範囲は、前記部品搭載部における前記少なくとも一つの信号導体パターンの延在方向を一の辺の方向とし、前記少なくとも一つの信号導体パターンから、最も近い隣接する前記信号導体パターンまでの距離を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲である。
本発明の他の態様によると、前記2つの前記グランド導体パターンは、当該2つの前記グランド導体パターンのそれぞれのエッジから前記少なくとも一つの前記信号導体パターンの対向するエッジまでの距離が、前記部品搭載範囲において互いに異なる部分を有するように形成されている。
本発明の他の態様によると、前記2つの前記グランド導体パターンの一方の前記グランド導体パターンは、前記部品搭載範囲において、前記少なくとも一つの前記信号導体パターンの延在方向と直交する方向に測った幅が、前記2つの前記グランド導体パターンの他方の前記グランド導体パターンの幅に比べて狭い部分を含んでいる。
本発明の他の態様によると、前記2つの前記グランド導体パターンのうち、一方の前記グランド導体パターンは、前記部品搭載範囲において断絶した区間を有し、他方の前記グランド導体パターンは、前記部品搭載範囲において断絶した区間を有さない。
本発明の他の態様によると、前記2つの前記グランド導体パターンの前記他方のグランド導体パターンは、前記部品搭載部を構成する前記信号導体パターンの部分までの離間距離が、対応する部品搭載範囲内における当該信号導体パターンの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている部分を有する。
本発明の他の態様によると、前記光変調素子は、それぞれが一対の前記電気信号により変調される2つの変調光を生成するよう構成され、前記中継基板は、前記一対の前記電気信号を、隣接する一対の前記信号導体パターンにより伝搬するよう構成される。
本発明の他の態様は、上記いずれかの光変調器と、当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路と、を備える光送信装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、中継基板のうち電気回路要素が設けられた部品搭載部から発生し得る漏洩マイクロ波の影響を効果的に抑制して、良好な光変調特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光変調器の平面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る光変調器の第1の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る光変調器の第2の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る光変調器の第3の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る光変調器の第4の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係る光変調器の第5の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係る光変調器の第6の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図11】第1の実施形態に係る光変調器の第7の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図12】第1の実施形態に係る光変調器の第8の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図13】第1の実施形態に係る光変調器の第9の変形例に係る中継基板の構成を示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る光送信装置の構成を示す図である。
【
図15】従来の光変調器の構成の一例を示すである。
【
図16】従来の光変調器における中継基板の周辺を示す部分詳細図である。
【
図18】
図17に示す部分詳細図のXVIII-XVIII断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、中継基板の部品搭載部で漏洩し得るマイクロ波の方向を、当該部品搭載部を挟む周辺の電極構成を非対称にする事によって変化させ、自身の信号電極や隣接する信号電極等への影響を低減させるものである。具体的には、以下に示す実施形態及びその変形例に示す光変調器は、光変調素子と、電気回路要素を含む部品搭載部が設けられた中継基板と、を備える。そして、これらの光変調器では、上述した課題を解決すべく、部品搭載部が設けられた少なくとも一つの信号導体パターンの所定の部品搭載範囲において、当該少なくとも一つの信号導体パターンを挟む2つのグランド導体パターンが、当該信号導体パターンの延在方向に関して非対称に形成されている。具体的には、上記部品搭載範囲において、上記信号導体パターンと、隣接する2つのグランド導体パターンと、の離間距離が互いに非対称であるか、上記2つのグランド導体パターンの幅が互いに非対称であるか、又は、当該2つのグランド導体パターンにおけるビアの有無、ビアの径、及び又はビアの数が互いに異なっている。これにより、上記光変調器では、部品搭載部から発生して隣接する信号導体パターンに向かう漏洩マイクロ波の強度が低減され、隣接する信号導体パターンとのクロストークが低減される。
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光変調器100の構成を示す平面図、
図2は、光変調器100の側面図、
図3は、
図1におけるA部の部分詳細図である。
【0027】
光変調器100は、光変調素子102と、光変調素子102を収容する筺体104と、光変調素子102に光を入射するための入力光ファイバ108と、光変調素子102から出力される光を筺体104の外部へ導く出力光ファイバ110と、を備える。
【0028】
光変調素子102は、例えば400Gb/sの光変調を行うDP-QPSK変調器であり、例えばLN基板上に設けられた4つのマッハツェンダ型光導波路を備える。4つのマッハツェンダ型光導波路には、当該マッハツェンダ型光導波路を伝搬する光波をそれぞれ変調する4つの信号電極112a、112b、112c、112d(以下、総称して信号電極112ともいう)が設けられている。また、従来技術として知られているように、光変調素子102のLN基板の表面には、例えば、上記4つの信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれがコプレーナ線路(CPW、Coplanar Waveguide)を構成するように、グランド電極122a、122b、122c、122d、122e(
図3参照。
図1においては不図示。)が設けられている。
【0029】
具体的には、上記グランド電極122a、122b、122c、122d、122e(以下、総称してグランド電極122ともいう)は、LN基板表面の面内において信号電極112a、112b、112c、112dをそれぞれ挟むように配され、4つの信号電極112a、112b、112c、112dと共に所定の動作周波数において所定の特性インピーダンスを有するコプレーナ線路を構成する。
【0030】
4つの信号電極112には、4つの高周波電気信号(変調信号)がそれぞれ入力される。これらの高周波電気信号は、協働して上記4つのマッハツェンダ型光導波路における光波の伝搬を制御し、全体として400Gb/sのDP-QPSK変調の動作を行う。
【0031】
具体的には、4つの信号電極112のそれぞれには、1対が2つの高周波電気信号で構成される2対の高周波電気信号が印加される。光変調素子102は、それぞれの一対の電気信号により変調される2つの変調光を生成するよう構成されている。生成された2つの変調光は、光変調素子102の一部を構成する2つの出力光導波路126a、126bからそれぞれ出力される。本実施形態では、一方の対を成す2つの高周波電気信号が、信号電極112a、112bに印加されて、出力光導波路126aから出力される変調光を生成し、他の対を成す他の2つの高周波電気信号が、信号電極112c、112dに印加されて、出力光導波路126bから出力される変調光を生成する。これらの2つの変調光は、偏波合成プリズム等で構成される偏波合成部128により一つのビームに合波された後、出力光ファイバ110を介して筺体104の外部へ出力される。
【0032】
筺体104は、光変調素子102が固定されるケース114aとカバー114bとで構成されている。なお、筺体104内部における構成の理解を容易するため、
図1においては、カバー114bの一部のみを図示左方に示しているが、実際には、カバー114bは、箱状のケース114aの全体を覆うように配されて筺体104の内部を気密封止する。ケース114aは、金属、又は例えば金メッキされたセラミック等で構成されており、電気的には導電体として機能する。また、筺体104には通常、DC制御用等の複数のピンが設置され得るが、本図面では省略している。
【0033】
ケース114aは、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれに印加する高周波の電気信号を入力する信号入力端子124a、124b、124c、124d(以下、総称して信号入力端子124ともいう)を備えた同軸コネクタである電気コネクタ116a、116b、116c、116d(以下、総称して電気コネクタ116ともいう)が設けられている。
【0034】
電気コネクタ116のそれぞれは、例えば、プッシュオン型の同軸コネクタのソケットであって、円筒状のグランド導体を含み、信号入力端子124は、当該円筒状のグランド導体の中心線にそって延在する中心導体(芯線)で構成される。上記円筒状のグランド導体のそれぞれは、ケース114aに電気的に接続され且つ固定される。したがって、ケース114aは、グランド電位を供給するグランドラインの一部を構成する。また、信号入力端子124のそれぞれは、中継基板118を介して光変調素子102の信号電極112のそれぞれの一端に電気的に接続されている。
【0035】
光変調素子102の信号電極112の他端は、所定のインピーダンスを有する終端器120により終端されている。これにより、信号電極112のそれぞれの一端に入力された電気信号は、進行波として信号電極112内をそれぞれ伝搬する。
【0036】
図3は、中継基板118及びその周囲の構成を示している。中継基板118には、信号導体パターン330a、330b、330c、330d(以下、総称して信号導体パターン330ともいう)と、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340e、340f(以下、総称してグランド導体パターン340ともいう)と、が形成されている。
【0037】
中継基板118は、オモテ面(信号導体パターン330およびグランド導体パターン340が形成された
図3に示す面)に対向するウラ面の例えば全面に、ウラ面グランド導体(不図示)が形成されている。ウラ面グランド導体は、例えばハンダ、ロウ材、あるいは導電性接着剤等により筺体104のケース114aに固定される。これにより、ウラ面グランド導体はグランドライン構成要素となる。グランド導体パターン340のそれぞれは、適切なビア(不図示)を介してウラ面グランド導体と接続されてグランドラインに接続される。
【0038】
グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340e、340fは、それぞれ、信号導体パターン330a、330b、330c、330dを中継基板118のオモテ面の面内において挟むように設けられている。これにより、信号導体パターン330は、それぞれ、グランド導体パターン340と共にコプレーナ線路を構成している。
【0039】
信号導体パターン330は、本実施形態では図示上下方向に延在し、中継基板118の辺のうち図示下側の辺において、その一端が信号入力端子124と接続されている。ここで、中継基板118の辺のうち信号導体パターン330と信号入力端子124とが接続される側の辺を信号入力辺318aという。
【0040】
光変調素子102の信号電極112は、それぞれ、中継基板118の辺のうち図示上側の辺において、例えば導体ワイヤ326を用いたワイヤボンディングにより、中継基板118の信号導体パターン330の他端と電気的に接続されている。導体ワイヤ326は、例えば金ワイヤであるものとすることができる。ここで、中継基板118の辺のうち信号導体パターン330と光変調素子102の信号電極112とが接続される側の辺を信号出力辺318bという。本実施形態では、信号入力辺318aと信号出力辺318bとは、平面視において中継基板118の相対向する2辺を構成している。
図3における中継基板118の辺のうち、信号入力辺318a、信号出力辺318b以外の、他の対向する2辺を、サイドエッジ(側方辺)318c、318dというものとする。
【0041】
光変調素子102において信号電極112と共にコプレーナ線路を構成するグランド電極122は、それぞれ、上記と同様に例えば導体ワイヤ326を用いたワイヤボンディングにより、中継基板118の信号出力辺318bにおいてグランド導体パターン340のそれぞれの一端と電気的に接続されている。なお、上述した導体ワイヤ326を用いたワイヤボンディングは一例であって、これには限られない。導体ワイヤ326のワイヤボンディングに代えて、例えば金リボン等の導体リボンを用いたリボンボンディングを用いることもできる。
【0042】
信号導体パターン330a、330b、330c、330dのそれぞれは、例えば電気フィルタを構成する電気回路要素が設けられた部分(図示の濃い影付き部分)である部品搭載部350a、350b、350c、350d(以下、総称して部品搭載部350ともいう)を有する。ここで、電気回路要素とは、回路を構成する機能要素としての能動素子及び又は受動素子をいい、専ら電気接続のために設けられる配線パターンやランド(パッド)は含まれない。
【0043】
部品搭載部350は、例えば、
図17、19に示す部品搭載部2250と同様に、他より幅広に設けられた信号導体パターン330の部分に、コンデンサ等の電気回路要素が搭載され及び又は薄膜抵抗等の電気回路要素が形成されることにより構成されているものとすることができる。すなわち、例えば、
図17、19に示す信号導体パターン2230bと同様に信号導体パターン330に幅広部分が形成され、コンデンサ2254bと同様のコンデンサが搭載されると共に、信号導体パターン330の上記幅広部の一部に薄膜抵抗2252bと同様の薄膜抵抗が形成されて、部品搭載部350が構成され得る。
【0044】
本実施形態では、特に、信号導体パターン330aを中継基板118上において挟む2つのグランド導体パターン340a、340bが、部品搭載部350aを中心とする平面視正方形の部品搭載範囲360aにおいて、部品搭載部350aにおける信号導体パターン330aの延在方向に延びる直線に関して互いに非対称な平面視形状で形成されている。
【0045】
また、部品搭載範囲360aは、部品搭載部350aにおける信号導体パターン330aの延在方向を一の辺の方向とし、部品搭載部350aの中心から、当該中心に対し最も近い隣接する信号導体パターン330b上の部分(例えば、当該部分における信号導体パターン330bの幅方向中心)までの距離(ピッチ)W11を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲として規定される。
【0046】
ここで、部品搭載部350の中心は、当該部品搭載部350が含むいずれかの電気回路要素の中心、又は部品搭載部350を構成する電気回路要素を包含する外接矩形(後述)の中心とすることができる。なお、
図3においては、説明のため、部品搭載部350の幅方向の境界線(図示左右の境界線)は、対応する信号導体パターン330の当該部品搭載部350における幅方向のエッジ位置を示しているものとする。また、
図3においては信号導体パターン330のうち部品搭載部350の部分の幅が他の部分よりも幅広となっているが、これには限られない。信号導体パターン330のうち部品搭載部350の部分の幅は、他の部分と同じ幅であってもよいし、他の部分よりも狭い幅を有していてもよい。
【0047】
本実施形態では、グランド導体パターン340aが切欠き部342a(図示斜線部分)を有することにより、グランド導体パターン340a、340bは、当該グランド導体パターン340a、340bのそれぞれのエッジから信号導体パターン330aの対向するエッジまでの離間距離(ギャップ)が、部品搭載範囲360aにおいて互いに異なる部分(すなわち非対称な部分)を有するように形成されている。また、本実施形態では、信号導体パターン330が、サイドエッジ318dと平行に、且つ直線状に形成されていることから、部品搭載範囲360aの一辺の長さw11は、信号導体パターン330aの幅方向中心線と、信号導体パターン330bの幅方向中心線と、の間の距離(ピッチ)w21に等しい。すなわち、w11=w21である。
【0048】
なお、信号導体パターン330aとグランド導体パターン340a、340bとは、それらの導体パターン間の間隔(離間距離)や、信号導体パターン330aの形成幅等を調整することにより、例えば部品搭載部350aの内外において信号導体パターン330aの特性インピーダンスが所定の値となるように形成され得る。
【0049】
一般に、信号導体とグランド導体とで構成される高周波信号線路においては、信号導体とグランド導体との距離が小さいほど、信号導体への高周波信号の閉じ込めは強くなる。
【0050】
中継基板118では、部品搭載範囲360aにおいて、信号導体パターン330aからグランド導体パターン340a及び340bまでの離間距離が相異なる部分が存在する。このため部品搭載部350aから発生する漏洩マイクロ波は、隣接するグランド導体パターンとの離間距離が大きい方向、すなわちグランド導体パターン340aの方向に偏って(例えば
図3において、部品搭載部350aから延びる2つの一点鎖線の矢印が挟む方向範囲において)、他の方向より大きな強度を持つように放出されることとなる。
【0051】
一方で、信号導体パターン330aは部品搭載範囲360a内外において例えば同じ特性インピーダンスを持つように構成され得るので、当該部品搭載部350aから発生する漏洩マイクロ波の総量は、グランド導体パターン340a、340bが対称に形成される場合とほぼ同等である。
【0052】
その結果、上記一点鎖線矢印が挟む方向範囲以外の方向における漏洩マイクロ波の強度は、相対的に低減されることとなり、部品搭載部350aから発生する漏洩マイクロ波に起因する信号導体パターン330aから330bへのクロストークが低減される。
【0053】
同様に、本実施形態では、グランド導体パターン340e、340fは、グランド導体パターン340fが切欠き部342d(図示斜線部分)を有することにより、グランド導体パターン340e、340fのそれぞれのエッジから信号導体パターン330dの対向するエッジまでの離間距離(ギャップ)が部品搭載範囲360dにおいて互いに異なる部分を有するように構成されている。
【0054】
ここで、部品搭載範囲360dは、部品搭載部350dにおける信号導体パターン330dの延在方向を一の辺の方向とし、部品搭載部350dの中心から、当該中心に対し最も近い隣接する信号導体パターン330c上の部分(例えば、当該部分における信号導体パターン330cの幅方向中心)までの距離(ピッチ)W12を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲として規定される。なお、本実施形態では、信号導体パターン330が、サイドエッジ318dと平行に、且つ直線状に形成されていることから、部品搭載範囲360dの一辺の長さw12は、信号導体パターン330dの幅方向中心線と、信号導体パターン330cの幅方向中心線と、の間の距離(ピッチ)w22に等しい。すなわち、w12=w22である。
【0055】
これにより、グランド導体パターン340e、340fは、部品搭載範囲360dにおいて、部品搭載部350dにおける信号導体パターン330dの延在方向に延びる直線に関して互いに非対称な平面視形状で形成されるため、部品搭載部350dから発生する漏洩マイクロ波は、例えば
図3において部品搭載部350dから延びる2つの一点鎖線の矢印が挟む方向範囲において、他の方向より大きな強度を有するものとなる。その結果、部品搭載部350dから発生する漏洩マイクロ波に起因する信号導体パターン330dから330cへのクロストークが低減される。
【0056】
特に、DP-QPSK変調を行う光変調器100のように、それぞれ一対の高周波電気信号により変調される2つの変調光を生成する光変調器では、対を成す2つの高周波電気信号は、互いの間の位相差にも情報が乗せられていることが多い。このため、対を成す2つの高周波電気信号間のクロストークは、強度雑音に加えて位相雑音をも発生することとなり、対をなさない高周波電気信号の間のクロストークよりも、光変調器100の変調特性に大きな影響を与え得る。
【0057】
上記対をなす高周波電気信号は、一般に、中継基板上において隣接する2つの信号導体パターンを用いて中継されるので、そのような隣接する2つの信号導体パターン間のクロストークを抑制することが極めて重要となる。
【0058】
本実施形態の光変調器100では、隣接する信号導体パターン330a、330bにより、2対の高周波電気信号のうち一方の対を成す2つの高周波電気信号をそれぞれ伝搬させ、他の隣接する信号導体パターン330c、330dにより、他方の対をなす2つの高周波電気信号を伝搬させるよう構成されている。そして、上記構成により、信号導体パターン330aから信号導体パターン330bへのクロストーク、すなわち、一方の対を構成する2つの高周波電気信号の一方から他方へのクロストークが低減される。また、上記構成により、信号導体パターン330dから信号導体パターン330cへのクロストーク、すなわち、他の対を構成する2つの高周波電気信号の一方から他方へのクロストークも低減される。その結果、光変調器100では、漏洩マイクロ波の影響を効果的に低減して、良好な光変調特性を実現することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、部品搭載部350は、
図17、
図18に示す部品搭載部2250bと同様の構成を有するものとしたが、これには限られない。部品搭載部350は、例えば、
図4に示すように、信号導体パターン330aを分断して挿入された、互いに中継基板の面方向に並列に接続される2つのチップ部品である電気回路要素352a、352bで構成されていてもよい。この場合、部品搭載部350の範囲は、当該部品搭載部350を構成する電気回路要素352a、352bを包含する外接矩形(図示一点鎖線の矩形)の範囲とすることができる。
【0060】
この場合、部品搭載部350aの中心は、部品搭載部350aの範囲を示す一点鎖線の矩形の中心とすることができる。また、あるいは、部品搭載部350aを構成するこれらの複数の電気回路要素352a、352bのいずれかの形状の中心(例えば、
図4にプラス記号で示された電気回路要素352aの形状中心362a)を部品搭載部350aの中心としてもよい。
【0061】
また、このように、部品搭載部350において信号導体パターン330が分断部を有する場合の、当該部品搭載部350における信号導体パターン330の延在方向は、部品搭載部350に含まれるいずれかの電気回路要素についての、信号導体パターン330から流れ込む高周波信号の伝搬方向、または信号導体パターン330へ流れ出す高周波信号の伝搬方向とすることができる。なお、
図4には、一例として、電気回路要素352aについての、信号導体パターンから流れ込む高周波信号の伝搬方向362bが、部品搭載部350aにおける信号導体パターン330aの延在方向として描かれている。
【0062】
なお、本実施形態では、2つの信号導体パターン330a、330dについて定義される2つの部品搭載範囲360a、360dについて、信号導体パターン330と2つのグランド導体パターン340との離間距離が互いに非対称に形成されているが、これには限られない。また、一つの信号導体パターン330には複数の部品搭載部350および部品搭載範囲360が設けられていてもよいし、
図3のように4つの信号導体パターンのそれぞれに部品搭載部350および部品搭載範囲360が設けられていてもよい。したがって、中継基板118上における漏洩マイクロ波の発生状況に応じて、少なくとも一つの信号導体パターン330の少なくとも一つの部品搭載範囲360において、上記離間距離が互いに非対称に構成されているものとすることができる。
【0063】
なお、部品搭載範囲360を上述のように、“部品搭載部350における信号導体パターン330の延在方向を一の辺の方向とし、当該部品搭載部350の中心から、当該中心に対し最も近い隣接する信号導体パターン330上の部分までの距離を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲”、とするのは、マイクロ波の実効的電界がこの範囲に分布しているため、この部分で電極構成を非対称にする事で効果的にマイクロ波の実効的電界分布に影響を与える事が出来、結果として効果的に漏洩マイクロ波の方向を調整する事が可能であるためである。
【0064】
次に、光変調器100に用いられる中継基板の変形例について説明する。
<第1変形例>
図5は、第1の変形例に係る中継基板518の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板518は、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図5において、
図3に示す中継基板118の構成要素と同じ構成要素については、
図3における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3についての説明を援用する。
【0065】
中継基板518は、中継基板118と同様の構成を有するが、信号導体パターン330bおよび330cの部品搭載部350b、350cについての部品搭載範囲360b、360cにおいても、信号導体パターン330bおよび330cを挟むそれぞれ2つのグランド導体パターンが、部品搭載部350b、350cにおける当該信号導体パターン330bおよび330cの延在方向に延びる直線に関して非対称に構成されている。
【0066】
ここで、部品搭載範囲360bは、部品搭載範囲360aと同様に、部品搭載部350bにおける信号導体パターン330bの延在方向を一の辺の方向とし、部品搭載部350bの中心から、当該中心に対し最も近い隣接する信号導体パターン330a上の部分(例えば、当該部分における信号導体パターン330aの幅方向中心)までの距離(ピッチ)w13を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲として規定される。なお、本実施形態では、信号導体パターン330が、サイドエッジ318dと平行に、且つ直線状に形成されていることから、部品搭載範囲360bの一辺の長さw13は、信号導体パターン330bの幅方向中心線と、信号導体パターン330aの幅方向中心線と、の間の距離(ピッチ)w21に等しい。すなわち、w13=w21である。
【0067】
また、部品搭載範囲360cは、部品搭載範囲360dと同様に、部品搭載部350cにおける信号導体パターン330cの延在方向を一の辺の方向とし、部品搭載部350cの中心から、当該中心に対し最も近い隣接する信号導体パターン330d上の部分(例えば、当該部分における信号導体パターン330dの幅方向中心)までの距離(ピッチ)w14を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲として規定される。なお、本実施形態では、信号導体パターン330が、サイドエッジ318dと平行に、且つ直線状に形成されていることから、部品搭載範囲360cの一辺の長さw14は、信号導体パターン330cの幅方向中心線と、信号導体パターン330dの幅方向中心線と、の間の距離(ピッチ)w22に等しい。すなわち、w14=w22である。
【0068】
より具体的には、中継基板518は、中継基板118と同様の構成を有するが、グランド導体パターン340c、340dに代えて、グランド導体パターン540c、540dを備える点が異なる。グランド導体パターン540cは、グランド導体パターン340cと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360b内に、切欠き部342b(図示斜線部分)を有する点が異なる。これにより、グランド導体パターン340b、540cは、当該グランド導体パターン340b、540cのそれぞれのエッジから信号導体パターン330bの対向するエッジまでの離間距離(ギャップ)が部品搭載範囲360bにおいて互いに異なる部分を有するように形成される。
【0069】
このため、部品搭載部350aと同様に、部品搭載部350bから発生する漏洩マイクロ波は、切欠き部342bの存在により高周波信号の閉じ込めが弱くなるグランド導体パターン540cに向かって、例えば
図5において部品搭載部350bから延びる2つの一点鎖線の矢印が挟む方向範囲において、他の方向より大きな強度を有するものとなる。その結果、部品搭載部350bから発生する漏洩マイクロ波に起因する、信号導体パターン330bから信号導体パターン330aへのクロストークが低減される。
【0070】
したがって、中継基板518では、一方の対を成す2つの高周波電気信号をそれぞれ伝搬する信号導体パターン330a、330b相互のクロストークが効果的に抑制される。
【0071】
同様に、グランド導体パターン540dは、グランド導体パターン340dと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360c内に、切欠き部342c(図示斜線部分)を有する点が異なる。これにより、グランド導体パターン540d、340eは、当該グランド導体パターン540d、340eのそれぞれのエッジから信号導体パターン330cの対向するエッジまでの離間距離(ギャップ)が、部品搭載範囲360cにおいて互いに異なる部分を有するように形成される。
【0072】
その結果、部品搭載部350cから発生する漏洩マイクロ波は、切欠き部342cの存在により高周波信号の閉じ込めが弱くなるグランド導体パターン540dの方向、例えば
図5において部品搭載部350cから延びる2つの一点鎖線の矢印が挟む方向範囲において、他の方向より大きな強度を有するものとなる。その結果、部品搭載部350cから発生する漏洩マイクロ波に起因する、信号導体パターン330cから信号導体パターン330dへのクロストークが低減される。
【0073】
したがって、中継基板518では、他方の対を成す2つの高周波電気信号をそれぞれ伝搬する信号導体パターン330c、330d相互のクロストークも効果的に抑制される。
【0074】
その結果、中継基板518では、中継基板118を用いる場合よりも更に良好な光変調特性が実現され得る。
【0075】
なお、第1の実施形態および第1の変形例では、信号導体パターン330は直線状に形成されているものとしたが、これには限られない。以下に示す他の変形例および実施形態においても同様に、信号導体パターン330は、求められる電気的特性、信号入力端子124の配置、及び又は光変調素子102の信号電極112の配置等に応じて、曲線や屈曲を含む任意の形状で構成されるものとすることができる。
【0076】
ここで、LN基板を用いた光変調素子を有する光変調器においては、典型的には、中継基板の外形寸法は、例えば数mm×十数mmである。このサイズの中継基板では、平面視正方形である部品搭載範囲360の一辺の長さは、例えば数百μm程度であり、当該部品搭載範囲内においては、一般に、信号導体パターン330は直線と見なし得る。
【0077】
<第2変形例>
図6は、第2の変形例に係る中継基板718の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板718は、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図6において、
図3に示す中継基板118の構成要素と同じ構成要素については、
図3における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3についての説明を援用する。
【0078】
中継基板718は、中継基板118と同じ位置に信号導体パターン330が形成され、これらの信号導体パターン330は、中継基板118と同様に、それぞれ部品搭載部350を有している。したがって、中継基板718では、信号導体パターン330の部品搭載部350のそれぞれについて、中継基板118と同様に、部品搭載範囲360a、360dが定義される。
【0079】
中継基板718は、中継基板118と同様の構成を有するが、グランド導体パターン340a、340fに代えて、グランド導体パターン740a、740fを備える点が異なる。グランド導体パターン740aは、
図3に示す中継基板118のグランド導体パターン340aと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360aにおいて断絶した(すなわち導体が設けられていない)区間742aを有する点がグランド導体パターン340aと異なる。
【0080】
このため、中継基板718においては、グランド導体パターン340aを用いる場合に比べて、部品搭載範囲360aにおける信号導体パターン330aの、グランド導体パターン740aの側での高周波信号の閉じ込め効果がより弱くなる。従って、部品搭載範囲360aにおいて発生する漏洩マイクロ波は、
図3に示す中継基板118に比べて、グランド導体パターン740aの側へより偏在し易くなる。その結果、中継基板718においては、中継基板118に比べて、信号導体パターン330aから330bへの上記漏洩マイクロ波に起因するクロストークがより低減される。
【0081】
同様に、グランド導体パターン740fは、
図3に示す中継基板118のグランド導体パターン340fと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360dにおいて断絶した区間742dを有する点がグランド導体パターン340fと異なる。このため、部品搭載範囲360dにおいて発生する漏洩マイクロ波は、
図3に示す中継基板118に比べて、グランド導体パターン740fの側へより偏在し易くなる。その結果、中継基板718においては、中継基板118に比べて、信号導体パターン330dから330cへの上記漏洩マイクロ波に起因するクロストークがより低減される。
【0082】
特に、
図6のようにグランド導体パターン740a、740fに断絶した区間742a、742dを設ける構成は、
図3に示すような切欠き部342a、342dを設ける構成に比べて、グランド導体パターン740a、740fのグランド強度を、グランド導体パターン340b、340eに対して大きく弱めることができる(すなわち、グランドラインに対するグランド導体パターン740a、740fのインピーダンスを、グランドラインに対するグランド導体パターン340b、340eのインピーダンスより高くすることができる)。このため、本変形例の中継基板718は、部品搭載範囲360における2つのグランド導体パターン340の非対称部分の長さをできるだけ短くした状態で部品搭載部350から発生する漏洩マイクロ波の伝搬方向を偏らせたい場合に有効な構成である。
【0083】
<第3変形例>
図7は、第3の変形例に係る中継基板818の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板818は、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図7において、
図3、
図5、
図6に示す中継基板118、518、718の構成要素と同じ構成要素については、
図3、
図5、
図6における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3、
図5、
図6についての説明を援用する。
【0084】
中継基板818は、
図5に示す第1変形例の中継基板518と同様の構成を有するが、グランド導体パターン340a、340fに代えて、
図6に示す第2変形例の中継基板718と同様のグランド導体パターン740a、740fを備え、かつ、グランド導体パターン540c、540dに代えて、グランド導体パターン840c、840dを備える。
【0085】
グランド導体パターン840c、840dは、
図5に示す中継基板518のグランド導体パターン540c、540dと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360b、360cにおいて、それぞれ断絶した区間842b、842cを有する点がグランド導体パターン540c、540dと異なる。
【0086】
上記の構成を有する中継基板818は、グランド導体パターン740a、740fを備えることから、
図6に示す第2変形例の中継基板718と同様に、
図3に示す中継基板118に比べて、信号導体パターン330aから330bへのクロストーク、および信号導体パターン330dから330cへのクロストークがより低減される。
【0087】
また、中継基板818は、グランド導体パターン840c、840dのそれぞれに、導体が形成されない区間842b、842cを有することから、部品搭載範囲360b、360cにおいて発生する漏洩マイクロ波は、
図5に示す中継基板518に比べて、グランド導体パターン840c、840dの側へより偏在し易くなる。その結果、中継基板818においては、中継基板518に比べて、信号導体パターン330bから330a、および330cから330dへの、漏洩マイクロ波に起因するクロストークが、より低減される。
【0088】
<第4変形例>
図8は、第4の変形例に係る中継基板918の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板918は、
図7に示す第3変形例の中継基板818と同様に、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図8において、
図3、
図7に示す中継基板118、818の構成要素と同じ構成要素については、
図3、
図7における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3、
図7についての説明を援用する。
【0089】
中継基板918は、
図7に示す第3変形例の中継基板818と同様の構成を有し、中継基板818と同様に、
図5に示す第1変形例の中継基板518に比べて、信号導体パターン330a-330b間、および330c-330d間の、漏洩マイクロ波に起因するクロストークがより低減される。
【0090】
中継基板918は、上述のとおり
図7に示す第3変形例の中継基板818と同様の構成を有するが、グランド導体パターン340b、340eに代えて、グランド導体パターン940b、940eを有する点が、
図7に示す第3変形例の中継基板818と異なる。グランド導体パターン940bは、
図7に示す第3変形例の中継基板818のグランド導体パターン340bと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360a、360bにおいて、それぞれ、部品搭載部350a、350bと対向するエッジに凹部942a、942bが設けられている点が異なる。
【0091】
すなわち、中継基板918では、導体が設けられていない区間742aを有する一方のグランド導体パターン740aに対向する他方のグランド導体パターン940bは、部品搭載部350aを構成する信号導体パターン330aの部分までの離間距離が、対応する部品搭載範囲360a内における信号導体パターン330aの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている凹部942aを有する。
【0092】
通常、部品搭載部350aにおいて電気回路要素を信号導体パターン330a上に実装する場合には、製造ばらつき等により、当該電気回路要素の実装位置が変動し得る。このような実装位置のずれは、例えば
図7に示す中継基板818では、グランド導体パターン740aに比べて信号導体パターン330aとの離間距離が狭いグランド導体パターン340bの方向に向かって発生した場合に、信号導体パターン330aの特性インピーダンスを変動させ得る。
【0093】
中継基板918では、グランド導体パターン340bに代えて、凹部942aを有するグランド導体パターン940bを備えるので、部品搭載部350aにおける電気回路要素の実装位置がグランド導体パターン940b側にずれた場合でも、部品搭載部350aとグランド導体パターン940bとの離間距離に対する上記実装位置のずれ量の比は、凹部942aを設けない中継基板818の場合に比べて小さくなる。
【0094】
このため、中継基板918では、部品搭載範囲360aにおいて、上記実装位置のずれに起因する信号導体パターン330aの特性インピーダンスの変動を、中継基板818に比べて緩和(小さく)することができる。
【0095】
同様に、中継基板918では、導体が設けられていない区間842bを有する一方のグランド導体パターン840cに対向する他方のグランド導体パターン940bは、部品搭載部350bを構成する信号導体パターン330bの部分までの離間距離が、対応する部品搭載範囲360b内における信号導体パターン330bの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている凹部942bを有する。したがって、中継基板918では、部品搭載範囲360bにおいて、部品搭載部350bにおける電気回路要素の実装位置のずれに起因する信号導体パターン330bの特性インピーダンスの変動を、中継基板818に比べて緩和(小さく)することができる。
【0096】
また、同様に、中継基板918のグランド導体パターン940eは、
図7に示す第3変形例の中継基板818のグランド導体パターン340eと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360c、360dにおいて、それぞれ、信号導体パターン330c、330dと対向するエッジに凹部942c、942dが設けられている点が異なる。
【0097】
すなわち、中継基板918では、導体が設けられていない区間842cを有する一方のグランド導体パターン840dに対向する他方のグランド導体パターン940eは、部品搭載部350cを構成する信号導体パターン330cの部分までの離間距離が、対応する部品搭載範囲360c内における信号導体パターン330cの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている凹部942cを有する。また、中継基板918では、導体が設けられていない区間742dを有する一方のグランド導体パターン740fに対向する他方のグランド導体パターン940eは、部品搭載部350dを構成する信号導体パターン330dの部分までの離間距離が、対応する部品搭載範囲360d内における信号導体パターン330dの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている凹部942dを有する。
【0098】
これにより、中継基板918では、部品搭載範囲360c、360dにおいて、それぞれ、部品搭載部350c、350dにおける電気回路要素の実装位置のずれに起因する信号導体パターン330c、330dの特性インピーダンスの変動を、中継基板818に比べて緩和(小さく)することができる。
【0099】
なお、
図8においては、凹部942a、942b、942c、942d(以下、総称して凹部942ともいう)は、対応する信号導体パターン330の延在方向に沿って部品搭載部350の長さよりも長く構成されるものとしたが、これには限られない。凹部942は、対応する信号導体パターン330の延在方向に沿って部品搭載部350の長さよりも短く構成されていてもよい。
【0100】
<第5変形例>
図9は、第5の変形例に係る中継基板1018の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板1018は、
図3に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図9において、
図3に示す中継基板118の構成要素と同じ構成要素については、
図3における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3についての説明を援用する。
【0101】
中継基板1018は、
図3に示す第1の実施形態の中継基板118と同じ位置に信号導体パターン330が形成されており、それぞれの信号導体パターン330には、中継基板118と同様に、部品搭載部350が設けられている。したがって、中継基板1018では、部品搭載部350のそれぞれについて、中継基板118と同じ部品搭載範囲360が定義される。
【0102】
上述した第1の実施形態および第1ないし第4の変形例に係る、
図3、
図5、
図6、
図7に示す中継基板118、518、818、918では、部品搭載範囲360において信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターン1040が互いに非対称な輪郭形状を有するように構成されている。これに対し、本変形例に係る中継基板1018では、部品搭載範囲360において、信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターンは、それら2つのグランド導体パターンに設けられたビアの径及び数が異なることで、ビアの形成態様に関して互いに非対称に構成されている。
【0103】
具体的には、本変形例の中継基板1018は、
図3に示す中継基板118と同様の構成を有するが、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340e、340fに代えて、グランド導体パターン1040a、1040b、1040c、1040d、1040e、1040f(総称してグランド導体パターン1040ともいう)を備える点が、中継基板118と異なる。
【0104】
グランド導体パターン1040a、1040b、1040c、1040d、1040e、1040fは、それぞれ、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340e、340fと同様の構成を有する。
【0105】
ただし、グランド導体パターン1040a、1040fは、
図3に示す中継基板118のグランド導体パターン340a、340fとは異なり、切欠き部342a、342dを有さない。また、グランド導体パターン1040a、1040b、1040c、1040d、1040e、1040fは、それぞれ、例えば互いに同じ径を有する複数のビア1070を有している。なお、
図9では、冗長な記載を避けるため、グランド導体パターン1040のそれぞれについて一つのビアにのみ符号1070を付しているが、当該符号1070が付された円と同じ径の他の円も、同様にビア1070であるものと理解されたい。
【0106】
そして、特に、中継基板1018では、信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターン1040は、部品搭載範囲360において、それらのグランド導体パターンに設けられたビアの径および数が互いに異なるように構成されている。具体的には、部品搭載範囲360aにおいては、グランド導体パターン1040bにビア1070が6個設けられているのに対し、グランド導体パターン1040aには、4個のビア1070と、ビア1070より径の小さい1個のビア1072が設けられている。
【0107】
一般に、信号導体とグランド導体とで構成される高周波信号線路においては、グランド導体からグランドラインまでのインピーダンスが小さいほど(すなわち、いわゆるグランド強化が充分であるほど)、信号導体への高周波信号の閉じ込めは強くなる。
【0108】
中継基板1018の部品搭載範囲360aでは、グランド導体パターン1040a、1040bにビアが上述の構成で設けられていることから、中継基板1018の裏面に設けられたグランドラインを構成するウラ面グランド導体(不図示)に対するグランド導体パターン1040aのインピーダンスは、当該ウラ面グランド導体に対するグランド導体パターン1040bのインピーダンスよりも高い。すなわち、部品搭載範囲360aにおいては、信号導体パターン330aにおける高周波の閉じ込め効果は、グランド導体パターン1040a側の方が、グランド導体パターン1040b側よりも低くなる。
【0109】
したがって、部品搭載部350aで発生する漏洩マイクロ波は、グランド導体パターン1040aの方向に偏って(例えば
図9において、部品搭載部350aから延びる2つの一点鎖線の矢印が挟む方向範囲において)、他の方向より大きな強度を持つように伝搬することとなる。
【0110】
その結果、上記一点鎖線矢印が挟む方向範囲以外の方向範囲における漏洩マイクロ波の強度は、相対的に低減されることとなり、部品搭載部350aから発生する漏洩マイクロ波に起因する、信号導体パターン330aから330bへのクロストークが低減される。
【0111】
同様に、中継基板1018の部品搭載範囲360bにおいては、グランド導体パターン1040bにビア1070が6個設けられているのに対し、グランド導体パターン1040cには、4個のビア1070と、ビア1070より径の小さい1個のビア1072が設けられている。このため、上記と同様に、ウラ面グランド導体に対するグランド導体パターン1040cのインピーダンスは、当該ウラ面グランド導体に対するグランド導体パターン1040bのインピーダンスよりも高くなり、部品搭載部350bから発生する漏洩マイクロ波に起因する、信号導体パターン330bから330aへのクロストークが低減される。
【0112】
さらに、部品搭載範囲360c、360dについても同様である。すなわち、部品搭載範囲360c、360dにおいては、グランド導体パターン1040d上の対応する部分に、それぞれ、ビア1070が6個設けられているのに対し、グランド導体パターン1040d、1040fには、4個のビア1070と、ビア1070より径の小さい1個のビア1072が設けられている。
【0113】
このため、部品搭載部350c、350dで発生する漏洩マイクロ波は、それぞれ、グランド導体パターン1040d、1040fの方向に向かって偏在することとなる。その結果、信号導体パターン330cから330d、信号導体パターン330dから330c、信号導体パターン330dから330cへの、漏洩マイクロ波に起因するクロストークが、それぞれ低減されることとなる。
【0114】
なお、本変形例では信号導体パターンを挟む2つのグランド導体パターンにおいてビアの径および数が互いに異なるように構成されているものとして説明したが、それに限定されることはない。例えば、ビアの径は前記2つのグランド導体パターンにおいてそれぞれ同じであるが数のみが互いに異なるようにしてもよいし、またビアの数は前記2つのグランド導体パターンにおいてそれぞれ同じであるが、少なくとも一部のビアの径が他のビアの径と異なるようにしてもよい。
【0115】
<第6変形例>
図10は、第6の変形例に係る中継基板1118の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板1118は、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図10において、
図3、
図9に示す中継基板118、1080の構成要素と同じ構成要素については、
図3、
図9における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3、
図9についての説明を援用する。
【0116】
中継基板1118では、部品搭載範囲360において、信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターンに、互いに異なる数のビアが設けられている。また、当該2つのグランド導体パターンは、部品搭載範囲360において、信号導体パターン330の延在方向と直交する方向に測った幅が互いに異なっている部分を含むように形成されている。
【0117】
具体的には、中継基板1118は、
図9に示す第5変形例の中継基板1018と同様の構成を有するが、グランド導体パターン1040a、1040c、1040d、1040fに代えて、グランド導体パターン1140a、1140c、1140d、1140fを有する点が異なる。
【0118】
グランド導体パターン1140aは、
図9に示す第5変形例の中継基板1018のグランド導体パターン1040aと同様の構成を有するが、ビア1072に代えて、当該ビア1072の位置にビア1070を備える。すなわち、中継基板1118は、部品搭載範囲360aにおいて、グランド導体パターン1140aおよび1040bに、同じ径を持つビア1070が互いに異なる数で設けられている。
【0119】
また、グランド導体パターン1140aは、部品搭載範囲360aに、幅狭部1174a(図示斜線部分)を有する。この幅狭部1174aは、信号導体パターン330aの延在方向と直交する方向に測った幅が、部品搭載範囲360a内に延在するグランド導体パターン1040bの部分の幅方向長さよりも短く形成されている。
【0120】
これにより、中継基板1118では、部品搭載範囲360aにおいて、グランド導体パターン1140aは、グランド導体パターン1040bに比べてグランドライン(例えばウラ面グランド導体)に対するインピーダンスが高い部分として幅狭部1174aを含むこととなる。
【0121】
このため、部品搭載範囲360aにおいて、信号導体パターン330aにおける高周波信号の閉じ込め効果は、幅狭部1174aを有するグランド導体パターン1140a側において、グランド導体パターン1040b側よりも低下することとなる。
【0122】
したがって、部品搭載部350aで発生する漏洩マイクロ波は、グランド導体パターン1140aの方向に偏って(例えば
図10において、部品搭載部350aから延びる2つの一点鎖線の矢印が挟む方向範囲において)、他の方向より大きな強度を持つように放出されることとなる。
【0123】
その結果、上記一点鎖線矢印が挟む方向範囲以外の方向範囲における漏洩マイクロ波の強度は、相対的に低減されることとなり、信号導体パターン330aから330bへの上記漏洩マイクロ波に起因するクロストークが低減される。
【0124】
同様に、グランド導体パターン1140cは、部品搭載範囲360bに、幅狭部1174b(図示斜線部分)を有する。この幅狭部1174bは、信号導体パターン330bの延在方向と直交する方向に測った幅が、部品搭載範囲360b内に延在するグランド導体パターン1040bの部分の幅方向長さよりも短く形成されている。
【0125】
このため、部品搭載部350bで発生する漏洩マイクロ波は、グランド導体パターン1140cの方向に偏って放出されることとなり、信号導体パターン330bから330aへの上記漏洩マイクロ波に起因するクロストークが低減される。
【0126】
また、同様に、中継基板1118では、グランド導体パターン1140d、1140fが、それぞれ、部品搭載範囲360c、360dのそれぞれにおいて、グランド導体パターン1040eと異なる数のビア1070を有する。また、中継基板1118では、グランド導体パターン1140d、1140fは、それぞれ、部品搭載範囲360c、360dに、幅狭部1174c、1174dを有する。幅狭部1174c、1174dは、それぞれ、信号導体パターン330c、330dの延在方向と直交する方向に測った幅が、部品搭載範囲360c、360d内にそれぞれ延在するグランド導体パターン1040cの部分の幅方向長さよりも短く形成されている。
【0127】
このため、部品搭載部350c、350dで発生する漏洩マイクロ波は、それぞれ、グランド導体パターン1140d、1140fの方向へ偏在して伝搬することとなる。その結果、信号導体パターン330bから330a、330cから330d、及び330dから330cへの、上記漏洩マイクロ波に起因するクロストークが低減される。
【0128】
なお、
図10に示す中継基板1118では、幅狭部1174a等はビア1070の径よりも広い幅で形成されているが、これには限られない。幅狭部1174a等は、ビア1070の径よりも狭い幅で形成されるものとしてもよい。
【0129】
<第7変形例>
図11は、第7の変形例に係る中継基板1218の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板1218は、
図10に示す第6変形例の中継基板1118と同様に、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図11において、
図10に示す中継基板1118の構成要素と同じ構成要素については、
図10における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図10についての説明を援用する。
【0130】
中継基板1218は、
図10に示す第6の変形例の中継基板1118と同様の構成を有するが、グランド導体パターン1140a、1040b、1040c、1140d、1140e、1040fに代えて、グランド導体パターン1240a、1240b、1240c、1240d、1240e、1240fを備える点が異なる。
【0131】
グランド導体パターン1240a、1240c、1240d、1240fは、
図10に示す第6の変形例の中継基板1118のグランド導体パターン1140a、1140c、1140d、1140fと同様の構成を有するが、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dに、
図10に示す第6の変形例の幅狭部1174a、1174b、1174c、1174dと同様であって且つビア1070の径よりも狭い幅を有する幅狭部1274a、1274b、1274c、1274dをそれぞれ備える点が異なる。
【0132】
すなわち、幅狭部1274a、1274bは、それぞれ、信号導体パターン330a、330bの延在方向と直交する方向に測った幅が、部品搭載範囲360a、360b内にそれぞれ延在するグランド導体パターン1240bの部分の幅方向長さよりも短く、且つ、ビア1070の径よりも狭く形成されている。また、幅狭部1274c、1274dは、それぞれ、信号導体パターン330c、330dの延在方向と直交する方向に測った幅が、部品搭載範囲360c、360d内にそれぞれ延在するグランド導体パターン1240eの部分の幅方向長さよりも短く、且つ、ビア1070の径よりも狭く形成されている。
【0133】
これにより、グランド導体パターン1240a、1240c、1240d、1240fは、
図10に示す第6の変形例の中継基板1118の幅狭部1174a、1174b、1174c、1174dに比べてグランドラインとの間のインピーダンスが更に高い幅狭部1274a、1274b、1274c、1274dを有することとなり、信号導体パターン330aと330bとの間、および330cと330dとの間の、漏洩マイクロ波に起因するクロストークが低減される。
【0134】
また、中継基板1218のグランド導体パターン1240b、1240eは、
図10に示す第6の変形例の中継基板1118のグランド導体パターン1040b、1040eと同様の構成を有するが、それぞれ、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dに、
図8に示す第4変形例の中継基板914の凹部942a、942b、942c、942dと同様の凹部1276a、1276b、1276c、1276d(以下、総称して凹部1276ともいう)を備える点が、
図10に示す第6の変形例の中継基板1118と異なる。
【0135】
すなわち、中継基板1218では、グランド導体パターン1240bは、部品搭載部350a、350bを構成する信号導体パターン330a、330bの部分までの離間距離が、それぞれ、対応する部品搭載範囲360a、360b内における信号導体パターン330a、330bの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている凹部1276a、1276bを有する。また、グランド導体パターン1240eは、部品搭載部350c、350dを構成する信号導体パターン330c、330dの部分までの離間距離が、それぞれ、対応する部品搭載範囲360c、360d内における信号導体パターン330c、330dの他の部分までの離間距離に比べて長く形成されている凹部1276d、1276dを有する。
【0136】
その結果、中継基板1218では、
図8に示す第4変形例の中継基板914と同様に、部品搭載部350a、350b、350c、350dを構成する電気回路要素を信号導体パターン330a、330b、330c、330dに実装する際に、当該電気回路要素の実装位置が隣接するグランド導体パターン1240b、1240eの方向へずれた場合でも、当該実装位置のずれに起因する信号導体パターン330a、330b、330c、330dの特性インピーダンスの変動を、中継基板1118に比べて緩和することができる。
【0137】
なお、
図10及び
図11においては、幅狭部1174a、1274等にビアが設けられているものとしたが、これには限られない。幅狭部1174a、1274等にビアが設けられない構成においても、上記と同様の効果を奏することができる。
【0138】
また、本変形例の中継基板1218および
図10に示す第7変形例の中継基板1118では、部品搭載範囲360において、2つのグランド導体パターンが、互いに異なる数のビアを有し、且つ、信号導体パターン330の延在方向と直交する方向に測った幅が互いに異なっている部分を含むように形成されているものとしたが、これには限られない。例えば、部品搭載範囲360において、2つのグランド導体パターンは、信号導体パターン330の延在方向と直交する方向に測った幅が互いに異なっている部分を含むように形成されているが、互いに同数のビアを有するか又は全くビアを有さないものとしてもよい。このように構成しても、上記2つのグランド導体パターンとグランドラインとのインピーダンスを互いに異なるものとして、上述した効果と同様の効果を奏するものとすることができる。
【0139】
<第8変形例>
図12は、第8の変形例に係る中継基板1318の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板1318は、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図12において、
図3に示す中継基板118の構成要素と同じ構成要素については、
図3における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3についての説明を援用する。
【0140】
中継基板1318は、
図3に示す中継基板118と同様の構成を有するが、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340e、340fに代えて、グランド導体パターン1340a、1340b、1340c、1340d、1340e、1340fを備える点が異なる。
【0141】
グランド導体パターン1340a、1340fは、
図3に示す中継基板118のグランド導体パターン340a、340fと同様の構成を有するが、切欠き部342a、342dを備えない点が異なる。また、本変形例では、グランド導体パターン1340a、1340c、1340d、1340fは、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dにおいてはビアを有さない。ただし、これらのグランド導体パターン1340a、1340c、1340d、1340fは、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dの外側においては、不図示のビアを有していてもよい。
【0142】
グランド導体パターン1340b、1340eは、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dにおいて、それぞれ、2つのビア1370を有する。ここで、グランド導体パターン1340b、1340eは、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dの外において、それぞれ、不図示のビアを有していてもよい。
【0143】
すなわち、中継基板1318では、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dにおいては、それぞれ、グランド導体パターン1340b、1340eにのみビア1370が存在し、グランド導体パターン1340a、1340c、1340d、1340fにはビアが存在しない。
【0144】
これにより、中継基板1318では、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dにおいて、グランド導体パターン1340b、1340eのそれぞれとグランドラインとの間のインピーダンスが、グランド導体パターン1340a、1340c、1340d、1340fに比べて低下する。
【0145】
このため、中継基板1318では、部品搭載範囲360a、360b、360c、360dにおいて、信号導体パターン330a、330b、330c、330dにおける高周波信号の閉じ込め効果は、それぞれ、グランド導体パターン1340a、1340c、1340d、1340fの側が、グランド導体パターン1340b、1340eの側に比べて相対的に低下する。
【0146】
その結果、部品搭載部350a、350b、350c、350dで発生する漏洩マイクロ波は、それぞれ、グランド導体パターン1340a、1340c、1340d、1340fの方向に偏って放出されることとなる。
【0147】
したがって、信号導体パターン330aと330bとの間、330cと330dとの間の、上記漏洩マイクロ波に起因するクロストークが低減される。
【0148】
<第9変形例>
図13は、第9の変形例に係る中継基板1418の構成を示す図であり、
図3に示す第1の実施形態の部分詳細図に相当する図である。この中継基板1418は、
図5、
図12に示す第1変形例および第8変形例の中継基板518、1318と同様に、
図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。なお、
図13において、
図3、
図5、
図12に示す中継基板118、518、1318の構成要素と同じ構成要素については、
図3、
図5、
図12における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図3、
図5、
図12についての説明を援用する。
【0149】
中継基板1318は、
図3に示す中継基板118と同様の構成を有するが、グランド導体パターン340b、340eに代えて、
図12に示す第8変形例の中継基板1318のグランド導体パターン1340b、1340eを備え、また、グランド導体パターン340c、340dに代えて、
図5に示す第1変形例の中継基板518のグランド導体パターン540c、540dを備える。
【0150】
これにより、中継基板1418では、
図12に示す中継基板1318と同様に、部品搭載範囲360において一方のグランド導体パターンにのみビア1370が設けられていることにより、信号導体パターン330間のクロストーク低減効果を有する。また、中継基板1418では、
図5に示す中継基板518における切り欠き342a、342b、342c、342dも形成されていることから、
図12に示す中継基板1318よりも更に高いクロストーク低減効果が発揮される。
【0151】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態に係る光変調器100並びにその変形例に係る中継基板518、718、818、918、1018、1118、1218、1318、1418を用いた光変調器100、のいずれかの光変調器を搭載した光送信装置である。
【0152】
図14は、本実施形態に係る光送信装置の構成を示す図である。この光送信装置2100は、光変調器2102と、光変調器2102に光を入射する光源2104と、変調信号生成部2106と、変調データ生成部2108と、を有する。
【0153】
光変調器2102は、上述した第1の実施形態に係る光変調器100並びにその変形例に係る中継基板518、718、818、918、1018、1118、1218、1318、1418を用いた光変調器100、のいずれかの光変調器であるものとすることができる。ここで、冗長な記載を避けて理解を容易にするため、以下では、光変調器2102は、第1の実施形態に係る光変調器100であるものとする。
【0154】
変調データ生成部2108は、外部から与えられる送信データを受信して、当該送信データを送信するための変調データ(例えば、送信データを所定のデータフォーマットに変換又は加工したデータ)を生成し、当該生成した変調データを変調信号生成部2106へ出力する。
【0155】
変調信号生成部2106は、光変調器2102に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路(ドライブ回路)であり、変調データ生成部2108が出力した変調データに基づき、光変調器2102に当該変調データに従った光変調動作を行わせるための高周波信号である変調信号を生成して、光変調器2102に入力する。当該変調信号は、光変調器2102が備える光変調素子102の4つの信号電極112a、112b、112c、112dに対応する4つの高周波電気信号から成る。ここで、信号電極112a、112bに入力される高周波電気信号は一方の対をなし、光変調素子102の一方の出力光導波路126aから出力される出力光を変調する。また、信号電極112c、112dに入力される高周波電気信号は他方の対をなし、光変調素子102の他方の出力光導波路126bから出力される出力光を変調する。
【0156】
当該4つの高周波電気信号は、光変調器2102の電気コネクタ116a、116b、116c、116dのそれぞれの信号入力端子124a、124b、124c、124dから中継基板118の信号導体パターン330a、330b、330c、330dへ入力され、これらの信号導体パターン330a等を介して、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dに入力される。
【0157】
これにより、光源2104から出力された光は、光変調器2102により、例えばDP-QPSK変調され、変調光となって光送信装置2100から出力される。
【0158】
特に、光送信装置2100では、光変調器2102として、第1の実施形態に係る光変調器100並びにその変形例に係る中継基板518、718、818、918、1018、1118、1218、1318、1418を用いた光変調器100、のいずれかの光変調器を用いる。このため、光送信装置2100では、上述した空間漏洩マイクロ波に起因した、光変調素子102を駆動する高周波電気信号間のクロストーク増加、特に、対をなす2つの高周波電気信号を伝搬する信号線路間の空間漏洩マイクロ波に起因するクロストークを、効果的に低減することができる。したがって、光送信装置2100では、安定且つ良好な光変調特性を確保して、安定且つ良好な伝送特性を実現することができる。
【0159】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0160】
例えば、上述した中継基板118、518、718、818、918、1018、1118、1218、1318、1418では、2つ以上の信号導体パターン330の部品搭載範囲360について、2つのグランド導体パターン340が互いに非対称に形成された部分を含むものとしたが、これには限られない。中継基板118、518、718、818、918、1018、1118、1218、1318、1418のいずれの構成においても、中継基板118等における漏洩マイクロ波の発生状況に応じて、少なくとも一つの信号導体パターン330の部品搭載範囲360について、2つのグランド導体パターン340が互いに非対称に形成された部分を含むものとすることができる。
【0161】
また、上述した第1の実施形態およびその変形例においては、信号導体パターン330のすべてに、それぞれ一つの部品搭載部350が設けられているものとしたが、これには限られない。部品搭載部350は、少なくとも一つの信号導体パターン330に設けられていればよく、また、一つの信号導体パターン330に対して複数設けられていてもよい。すなわち、少なくとも一つの信号導体パターン330に少なくとも一つの部品搭載部350が設けられているものとすることができる。
【0162】
また、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13に示す中継基板1018、1118、1218、1318、1418のグランド導体パターンに形成されているビアの数は一例であって、これには限られない。
図9、
図10、
図11、
図12、
図13について上述した特徴構成の要旨を超えない限りにおいて、任意の数およびサイズのビアを任意の態様で設けるものとすることができる。例えば、
図9に示す第5変形例に係る中継基板1018では、部品搭載範囲360において2つのグランド導体パターンに設けられるビアの数及び径が互いに異なる限りにおいて、これら2つのグランド導体パターンには任意の数およびサイズのビアを任意の態様で設けるものとすることができる。
【0163】
また、上述した第1の実施形態及びその変形例に係る中継基板118、518等の特徴構成は、これらを任意に組み合わせて一つの中継基板を構成するものとすることができる。例えば、
図9に示すビアの非対称性により漏洩マイクロ波の伝搬方向を偏らせる特徴構成を、
図3に示す構成と組み合わせて一つの中継基板を構成するものとすることができる。また、
図8に示す第4変形例の中継基板918の凹部942又は
図11に示す第7変形例の中継基板1218の凹部1276を、他の変形例に係る中継基板に適用して、部品搭載部350における電気回路要素の実装位置ずれによる信号導体パターン330のインピーダンス変動を低減してもよい。
【0164】
また、上述した実施形態では、光変調素子102は、LN基板を用いて構成されるDP-QPSK変調器であるものとしたが、これには限られない。例えば、光変調素子102は、半導体基板を用いて構成される任意の光変調素子であってもよい。
【0165】
また、上述した実施形態では、筺体104には光変調素子102および中継基板118等が収容されるものとしたが、これらに加えて、光変調素子102を動作させるための電子回路素子(ドライバ素子)も、筺体104内に収容されるものとすることができる。
【0166】
以上説明したように、上述した実施形態に係る光変調器100は、複数の信号電極112を備える光変調素子102と、信号電極112のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子124と、中継基板118と、光変調素子102および中継基板118を収容する筺体104と、備える。中継基板118は、信号入力端子124と信号電極112とを電気的に接続する複数の信号導体パターン330、及び複数のグランド導体パターン340が形成されている。そして、少なくとも一つの信号導体パターン330は、電気回路要素を含む少なくとも一つの部品搭載部350を有する。上記少なくとも一つの信号導体パターン330を中継基板118上において挟む2つのグランド導体パターン340は、部品搭載部350を中心とする平面視正方形の部品搭載範囲360において、平面視形状が上記少なくとも一つの信号導体パターン330に関して互いに非対称に形成されている。ここで、上記部品搭載範囲360は、部品搭載部350における上記少なくとも一つの信号導体パターン330の延在方向を一の辺の方向とし、上記少なくとも一つの信号導体パターン330から、最も近い隣接する信号導体パターン330までの距離を一辺の長さとする、平面視正方形の範囲である。
【0167】
また、中継基板1018、1318等において一例を示したように、少なくとも一つの信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターン(例えば1040a、1040b、又は1340a、1340b)は、部品搭載部350を中心とする平面視正方形の部品搭載範囲360において、ビアの有無、ビア径又はビアの数が、互いに異なることで非対称に形成されている。
【0168】
これらの構成によれば、中継基板118のうち電気回路要素が設けられた部品搭載部350から発生し得る漏洩マイクロ波の伝搬方向を偏らせて、信号導体パターン330間のクロストークを抑制し、良好な光変調特性を実現することができる。
【0169】
また、中継基板118、518等における切欠き部342a等として一例を示したように、少なくとも一つの信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターンは、当該2つのグランド導体パターンのそれぞれのエッジから上記少なくとも一つの信号導体パターン330の対向するエッジまでの距離が、部品搭載範囲360において互いに異なる部分を有するように形成されている。
【0170】
この構成によれば、グランド導体パターンの形状を変更するだけで、部品搭載部350から発生する漏洩マイクロ波の伝搬方向を容易に偏らせ、信号導体パターン330間のクロストークを抑制し、良好な光変調特性を実現することができる。
【0171】
また、中継基板1118等における幅狭部1174a等として一例を示したように、少なくとも一つの信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターンの一方は、部品搭載範囲360において、上記少なくとも一つの信号導体パターン330の延在方向と直交する方向に測った幅が上記2つのグランド導体パターンの他方に比べて狭い幅狭部を含んでいる。
【0172】
この構成によれば、部品搭載部350から発生する漏洩マイクロ波の伝搬方向の偏りを強めて、信号導体パターン330間のクロストークを抑制し、良好な光変調特性を実現することができる。
【0173】
また、中継基板818等における区間742a等として一例を示したように、少なくとも一つの信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターンのうちの一方のグランド導体パターンは、部品搭載範囲360において断絶した区間を有する。
【0174】
この構成によれば、部品搭載部350から発生する漏洩マイクロ波の伝搬方向の偏りを更に強めて、信号導体パターン330間のクロストークを抑制し、更に良好な光変調特性を実現することができる。
【0175】
また、中継基板918、1218における凹部942a、1276a等として一例を示したように、少なくとも一つの信号導体パターン330を挟む2つのグランド導体パターンのうち、上記の幅狭部又は上記断絶した区間を含まない他方のグランド導体パターンは、部品搭載部350における信号導体パターン330までの離間距離が、当該部品搭載部350以外の部分における当該信号導体パターン330までの離間距離より長く形成されている。
【0176】
この構成によれば、部品搭載部350における電気回路要素の実装位置ズレに対する信号導体パターン330の特性インピーダンスの変化を抑制して、製造ばらつきを低減しつつ、信号導体パターン330間のクロストークを抑制して良好な光変調特性を実現することができる。
【0177】
また、光変調器100は、それぞれが一対の電気信号により変調される2つの変調光を生成するよう構成された、例えばDP-QPSK変調を行う光変調素子102を用いることができ、中継基板118等は、上記一対の電気信号を、隣接する一対の信号導体パターン、例えば信号導体パターン330a、330bにより伝搬するよう構成され得る。
【0178】
この構成によれば、隣接する信号導体パターン330により伝搬される、対をなす2つの高周波電気信号間でのクロストークを効果的に低減して、良好な光変調特性を実現することができる。
【0179】
また、上述した第2の実施形態に係る光送信装置は、第1の実施形態又はその変形例に示したいずれかの中継基板を用いた光変調器100と、当該光変調器100に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路である変調信号生成部2106等と、を備える。この構成によれば、例えば伝送レートの高速化に伴って顕著となる漏洩マイクロ波の伝搬を抑制し、光変調素子102を駆動する複数の高周波電気信号間のクロストーク等を効果的に低減して、安定且つ良好な伝送特性を実現することができる。
【符号の説明】
【0180】
100、2102、2200…光変調器、102、2202…光変調素子、104、1604、2204…筺体、108、2208…入力光ファイバ、110、2210…出力光ファイバ、112、112a、112b、112c、112d、2212、2212a、2212b、2212c、2212d…信号電極、114a、2214a…ケース、114b、2214b…カバー、116、116a、116b、116c、116d、2216、2216a、2216b、2216c、2216d…電気コネクタ、118、518、618、718、818、918、1018、1118、1218、1318、1418、2218…中継基板、120、2220…終端器、122、122a、122b、122c、122d、122e、2222a、2222b、2222c、2222d、2222e…グランド電極、124、124a、124b、124c、124d、2224、2224a、2224b、2224c、2224d…信号入力端子、126a、126b…出力光導波路、318a…信号入力辺、318b…信号出力辺、318c、318d…サイドエッジ、326、2270…導体ワイヤ、330、330a、330b、330c、330d、2230、2230a、2230b、2230c、2230d…信号導体パターン、340、340a、340b、340c、340d、340e、340f、540c、540d、740a、740f、840c、840d、940b、940e、1040a、1040b、1040c、1040d、1040e、1040f、1140a、1140c、1140d、1140f、1240a、1240b、1240c、1240d、1240e、1240f、1340a、1340b、1340c、1340d、1340e、1340f、2240a、2240b、2240c、2240d、2240e…グランド導体パターン、342a、342b、342c、342d…切欠き部、350a、350b、350c、350d、2250a、2250b、2250c、2250d…部品搭載部、352a、352b…電気回路要素、360a、360b、360c、360d、2260a、2260b、2260c、2260d…部品搭載範囲、362a…形状中心、362b…伝搬方向、742a、742d、842b、842c…区間、942、942a、942b、942c、942d、1276、1276a、1276b、1276c、1276d…凹部、1070、1072、1370…ビア、1174a、1174b、1174c、1174d、1274a、1274b、1274c、1274d…幅狭部、2100…光送信装置、2104…光源、2106…変調信号生成部、2108…変調データ生成部、2252b…薄膜抵抗、2254b…コンデンサ、2290…漏洩マイクロ波。