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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】レジスト材料及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20230418BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230418BHJP
   C07C 49/92 20060101ALN20230418BHJP
   C07C 69/72 20060101ALN20230418BHJP
   C07F 7/28 20060101ALN20230418BHJP
   C07F 7/00 20060101ALN20230418BHJP
   C07F 7/22 20060101ALN20230418BHJP
【FI】
G03F7/004
G03F7/004 503Z
G03F7/004 501
G03F7/20 521
C07C49/92
C07C69/72
C07F7/28 F
C07F7/00 A
C07F7/00 Z
C07F7/22 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019158746
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021039171
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 知洋
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 司
(72)【発明者】
【氏名】野中 宏起
(72)【発明者】
【氏名】橘 誠一郎
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/20
C07C 49/92
C07C 69/72
C07F 7/28
C07F 7/00
C07F 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト材料であって、
(i)下記一般式(M-1)で示される金属化合物と、(ii)有機溶剤を含むものであり、かつ、
前記レジスト材料が、さらに
(iii)下記一般式(A-1)で示される金属化合物の(部分)縮合物又は(部分)加水分解縮合物と下記一般式(A-2)で示される二価又は三価のアルコールとの反応物である化合物(iii-2)
を含むものであり、かつ、
前記(i)成分と前記(iii)成分の総量に対し、前記(i)成分の割合が5~80質量パーセントであることを特徴とするレジスト材料。
【化1】
(式中、Mはチタンである。R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、又は炭素数6~20のアリール基であり、水素原子の1つ又は複数がハロゲン原子で置換されていてもよい。Rはハロゲン原子、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基のいずれかを示す。fは2~4gは0~2であり、f+g=4である。)
【化2】
(式中、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる元素である。R1Aは炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。)
【化3】
(式中、mは2又は3である。mが2のとき、R2Aはエステル結合、エーテル結合を含んでもよい置換又は非置換の炭素数2~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びアラルキレン基から選ばれる二価の基である。mが3のとき、R2Aは前記二価の基の水素原子が1個脱離した三価の基である。)
【請求項2】
前記レジスト材料が、さらに(iv)光酸発生剤を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のレジスト材料。
【請求項3】
前記(iv)成分が下記一般式(B-3)又は(B-4)のいずれかで示されるカルボン酸を発生する化合物であることを特徴とする請求項2に記載のレジスト材料。
【化4】
(式中、Rはエステル結合、エーテル結合を含んでもよい炭素数5~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、又はオキソアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基、アラルキル基、又はアリールオキソアルキル基を示し、水素原子の1つ又は複数がハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基で置換されていてもよい。また、Rは水酸基であってもよい。Rf、Rfはそれぞれ独立に、フッ素原子、トリフルオロメチル基のいずれかを示す。)
【化5】
(式中、R10~R12はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、置換又は非置換の炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はアルキルカルボニルオキシ基を示し、j、k、pはそれぞれ独立に0~5であり、j+k+p≦5である。)
【請求項4】
前記レジスト材料が、さらに(v)塩基性化合物を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレジスト材料。
【請求項5】
前記(v)成分が窒素含有化合物であることを特徴とする請求項4に記載のレジスト材料。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程(s1)、加熱処理を行う工程(s2)、高エネルギー線で露光する工程(s3)、及び現像液を用いて現像する工程(s4)を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項7】
前記現像液を、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2′-メチルアセトフェノン、4′-メチルアセトフェノン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、吉草酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、3-フェニルプロピオン酸メチルから選ばれる1種以上の有機溶剤を現像液総量に対して60質量%以上含有するものとすることを特徴とする請求項6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記工程(s3)において、波長3~15nmの真空紫外線、又は加速電圧1~250kVの加速電圧電子ビームを光源として用いることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料、特に電子ビーム(EB)露光及び真空紫外光(EUV)露光用レジスト材料、及びこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。最先端の微細化技術としては、45nmノード以降のデバイスの量産にArF液浸リソグラフィーが適用されている。また、ArF液浸露光と併せて、二重露光(ダブルパターニング)プロセスが28nmノード以降の世代で実用化され、光学的限界を超える狭ピッチパターンの形成も可能となった。
【0003】
更に、20nmノード以降のデバイス製造においては、露光とエッチングを3回以上繰り返すことにより、より狭いピッチのパターンを作製する多重露光(マルチパターニング)プロセスの検討が進められている。
【0004】
しかしながら、多重露光プロセスは工程数が増えるため、製造期間の長期化や欠陥発生の頻度増大により生産性が低下し、コストが大幅に上昇する事態に直面している。
【0005】
近年、ArF液浸リソグラフィーと多重露光プロセスとの併用に代わる有力な技術として、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが注目されている。この技術を用いることにより、ハーフピッチ25nm以下の微細パターンを1回の露光で形成することが可能になった。
【0006】
一方で、EUVリソグラフィーでは、光源の出力不足を補うため、レジスト材料には高感度化が強く求められる。しかし、高感度化に伴うショットノイズの増大はラインパターンのエッジラフネス(LER、LWR)の増大に繋がり、高感度化と低エッジラフネスの両立がEUVリソグラフィーにおける重要な課題の一つに挙げられている。
【0007】
レジストの高感度化やショットノイズの影響の低減のための試みとして、レジスト材料に金属材料を用いることが近年検討されるようになった。バリウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、スズ等の金属元素を含む化合物は、金属を含まない有機材料に比べて、EUV光に対する吸光度が高く、レジストの感光性の向上やショットノイズの影響の抑制が期待できる。また、金属含有レジストパターンは、非金属材料からなる下層膜と組み合わせることにより、高選択比エッチング加工が期待できる。
【0008】
例えば、特許文献1、2に記載の金属塩や有機金属錯体を添加したレジスト材料や、特許文献3、4、非特許文献1に記載の金属酸化物のナノ粒子を用いた非化学増幅型レジスト材料が検討されている。
【0009】
中でも、チタンは、クラーク数が比較的高いことから入手し易く、更に毒性が低いことから、工業的に有用な金属として注目されている。有機チタン化合物のレジストへの応用例として、特許文献5が挙げられ、有機チタン化合物の縮合物を活用することにより、電子線描画における解像性能の向上に成功している。
【0010】
しかしながら、これらの金属含有レジストの解像性は未だ実用化に必要とされる水準には届かず、解像性の更なる向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第5708521号公報
【文献】特許第5708522号公報
【文献】米国特許第9310684号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0102612号明細書
【文献】特許第6119544号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】Proc. SPIE Vol. 7969, 796915 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、特にEUV及び電子線リソグラフィーにおいて、高感度かつ高解像度な金属含有レジスト材料、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するために、本発明では、レジスト材料であって、(i)下記一般式(M-1)で示される金属化合物と、(ii)有機溶剤を含むものであるレジスト材料を提供する。
【化1】
(式中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウム又はスズから選ばれる元素である。R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、又は炭素数6~20のアリール基であり、水素原子の1つ又は複数がハロゲン原子で置換されていてもよい。Rはハロゲン原子、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基のいずれかを示す。fは1~4、gは0~3であり、f+g=4である。)
【0015】
このようなレジスト材料であれば、特にEUV及び電子線リソグラフィーにおいて、高感度かつ高解像な金属含有レジスト材料となる。
【0016】
また、前記レジスト材料が、さらに(iii)下記一般式(A-1)で示される金属化合物の(部分)縮合物又は(部分)加水分解縮合物である化合物(iii-1)、又は該化合物(iii-1)と下記一般式(A-2)で示される二価又は三価のアルコールとの反応物である化合物(iii-2)を含むものであることが好ましい。
【化2】
(式中、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる元素である。R1Aは炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。)
【化3】
(式中、mは2又は3である。mが2のとき、R2Aはエステル結合、エーテル結合を含んでもよい置換又は非置換の炭素数2~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びアラルキレン基から選ばれる二価の基である。mが3のとき、R2Aは前記二価の基の水素原子が1個脱離した三価の基である。)
【0017】
このような(iii)成分を含むことにより、更に解像度を向上させることができる。
【0018】
また、前記レジスト材料が、さらに(iv)光酸発生剤を含むものであることが好ましい。
【0019】
このとき、前記(iv)成分が下記一般式(B-3)又は(B-4)のいずれかで示されるカルボン酸を発生する化合物であることが好ましい。
【化4】
(式中、Rはエステル結合、エーテル結合を含んでもよい炭素数5~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、又はオキソアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基、アラルキル基、又はアリールオキソアルキル基を示し、水素原子の1つ又は複数がハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基で置換されていてもよい。また、Rは水酸基であってもよい。Rf、Rfはそれぞれ独立に、フッ素原子、トリフルオロメチル基のいずれかを示す。)
【化5】
(式中、R10~R12はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、置換又は非置換の炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はアルキルカルボニルオキシ基を示し、j、k、pはそれぞれ独立に0~5であり、j+k+p≦5である。)
【0020】
このような光酸発生剤を含むことにより、高エネルギー線に対する感光性が高くなる。
【0021】
また、前記レジスト材料が、さらに(v)塩基性化合物を含むものであることが好ましい。
【0022】
このとき、前記(v)成分が窒素含有化合物であることが好ましい。
【0023】
このような塩基性化合物を含むことにより、感度を調整でき、また、レジスト溶解部の残渣の発生を抑制することができる。
【0024】
また、本発明では、上記のレジスト材料を基板上に塗布する工程(s1)、加熱処理を行う工程(s2)、高エネルギー線で露光する工程(s3)、及び現像液を用いて現像する工程(s4)を含むパターン形成方法を提供する。
【0025】
このようなパターン形成方法であれば、高解像度のパターンを形成することができる。
【0026】
また、前記現像液を、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2′-メチルアセトフェノン、4′-メチルアセトフェノン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、吉草酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、3-フェニルプロピオン酸メチルから選ばれる1種以上の有機溶剤を現像液総量に対して60質量%以上含有するものとすることが好ましい。
【0027】
本発明では、このような現像液を好適に用いることができる。
【0028】
また、前記工程(s3)において、波長3~15nmの真空紫外線、又は加速電圧1~250kVの加速電圧電子ビームを光源として用いることが好ましい。
【0029】
このような条件で露光することが、感度、解像性の点より好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るレジスト材料は、有機溶剤現像を用いるネガ型パターニングに好適であり、EUV、EBリソグラフィーにおいて高感度で優れた解像性を示す。また、未露光部における現像後残渣の発生を抑制することができる。特に、狭トレンチパターンの微細化に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上述のように、特にEUV及び電子線リソグラフィーにおいて、高感度かつ高解像度な金属含有レジスト材料の開発が求められていた。
【0032】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定のβジケト配位子を有する金属化合物と有機溶剤を共に含むレジスト材料が、高エネルギー線露光によるパターニング工程において、有機溶剤を含む現像液を用いることにより、高い解像性を示し、狭トレンチパターンの最小加工寸法を微細化できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0033】
即ち、本発明は、レジスト材料であって、(i)上記一般式(M-1)で示される金属化合物と、(ii)有機溶剤を含むものであるレジスト材料である。
【0034】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
<(i)成分>
本発明のレジスト材料は、(i)成分として、下記一般式(M-1)で示される金属化合物を含む。
【化6】
(式中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウム又はスズから選ばれる元素である。R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、又は炭素数6~20のアリール基であり、水素原子の1つ又は複数がハロゲン原子で置換されていてもよい。Rはハロゲン原子、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基のいずれかを示す。fは1~4、gは0~3であり、f+g=4である。)
【0036】
(i)成分の金属化合物の具体例を以下に挙げる。
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
(i)成分の金属化合物を含有することにより、解像度が向上し、微細なトレンチパターンが形成できるようになる。(i)成分が有するβジケト配位子と金属原子の結合が、高エネルギー線の照射により解離し、続いて縮合反応が起こることにより、高分子量化が促進され、溶解コントラストが向上したものと考えられる。
【0041】
<(ii)成分>
本発明のレジストは(ii)成分として有機溶剤を含むが、有機溶剤の具体例としては、シクロヘキサノン、メチル-2-n-アミルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。
【0042】
なお、有機溶剤の配合量は、(i)成分と(iii)成分の総量100質量部に対し100~10,000質量部、特に300~8,000質量部とすることが成膜性や溶剤溶解性の観点より好ましい。
【0043】
<(iii)成分>
本発明のレジスト材料は、(iii)成分として、下記一般式(A-1)で示される金属化合物を出発原料とし、これを(部分)縮合、又は(部分)加水分解縮合して得られる化合物(iii-1)か、あるいは、この化合物(iii-1)に更に下記一般式(A-2)で示される二価又は三価のアルコールを作用させて得られる化合物(iii-2)のいずれかを含むことが好ましい。
【化10】
(式中、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる元素である。R1Aは炭素数1~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。)
【化11】
(式中、mは2又は3である。mが2のとき、R2Aはエステル結合、エーテル結合を含んでもよい置換又は非置換の炭素数2~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びアラルキレン基から選ばれる二価の基である。mが3のとき、R2Aは前記二価の基の水素原子が1個脱離した三価の基である。)
【0044】
上記一般式(A-1)中の1価の有機基R1Aの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0045】
一般式(A-2)で示される二価又は三価のアルコールの具体例を以下に挙げる。
【化12】
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
一般式(A-1)で示される金属化合物を(部分)縮合、又は(部分)加水分解縮合して得られる化合物(iii-1)が有するアルコキシ基-OR1Aに、(A-2)で示される二価又は三価のアルコールR2A(OH)を作用させることにより、アルコキシ交換反応が起こり、アルコキシ基-OR2Aを有する化合物(iii-2)が生成され得る。
【0049】
式(A-1)の金属化合物の(部分)縮合、(部分)加水分解縮合を行う方法としては、公知の方法、例えば金属アルコキシドに水を加える加水分解縮合反応方法を適用することができる。また、式(A-2)のアルコールを作用させる方法としても、公知の方法、例えば、式(A-2)のアルコールを添加した後、加熱又は減圧によってアルコールR1AOHを系外に排出する方法を適用することができる。
【0050】
得られた化合物(iii-1)又は(iii-2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、500~100,000、特に700~50,000であることが好ましい。
【0051】
また、式(A-2)で示されるジオール又はトリオール化合物の他に、更に炭素数5以上のアルコールを作用させることもできる。炭素数5以上のアルコールは具体的には下記に例示することができる。この場合、式(A-2)で示されるアルコールと炭素数5以上のアルコールは同時に添加してもよく、または、どちらかを先に作用させた後にもう一方を作用させても構わない。
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
(iii)成分の金属化合物を含むことにより、解像性を更に向上させることができる。(i)成分の金属化合物が有するβジケト配位子と金属原子の結合が、高エネルギー線の照射により解離した後、(iii)成分の金属化合物と反応することにより、より効率的に高分子量化が進み、溶解コントラストが向上するものと考えられる。
【0055】
(i)成分と(iii)成分の配合比は、(i)成分と(iii)成分の総量に対し、(i)成分の割合が5~80質量パーセントであることが好ましく、10~60質量パーセントであることが特に好ましい。
【0056】
<(iv)成分>
本発明のレジスト材料は更に(iv)成分として光酸発生剤を含むことが好ましい。光酸発生剤を添加することにより、高感度化させることができる。高エネルギー線照射部において、光酸発生剤から発生した酸が金属に配位し、有機溶剤現像液に対する溶解性が低下する、または、酸が(部分)加水分解縮合を促進させることにより、高感度化に繋がったものと考えられる。
【0057】
光酸発生剤は、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、オキシム-O-スルホネート型光酸発生剤を挙げることができるが、更に具体例として、特開2008-111103号公報の段落[0122]~[0142]に記載の化合物を挙げることができる。
【0058】
また、スルホニウム塩、ヨードニウム塩として、下記一般式(B-1)で示されるスルホニウムカチオン又は下記一般式(B-2)で示されるヨードニウムカチオンのいずれかを有し、光の作用により、スルホン酸又はカルボン酸を発生する化合物を好適な例として挙げることができる。
【化17】
(式中、R、R及びRは独立に置換もしくは非置換の炭素数1~10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、アルケニル基、又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6~18のアリール基、アラルキル基、又はアリールオキソアルキル基を示す。またR、R及びRのうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R及びRは独立に置換もしくは非置換の炭素数6~18のアリール基を示す。)
【0059】
一般式(B-1)、または(B-2)で示されるカチオンを有するオニウム塩化合物は熱安定性が高く、かつ高エネルギー線に対する感光性が高い。このようなカチオン構造の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
【化18】
【0061】
【化19】
【0062】
【化20】
【0063】
また、光酸発生剤より発生する酸種として特に好ましい酸は下記一般式(B-3)、又は(B-4)で示されるカルボン酸である。
【化21】
(式中、Rはエステル結合、エーテル結合を含んでもよい炭素数5~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、又はオキソアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基、アラルキル基、又はアリールオキソアルキル基を示し、水素原子の1つ又は複数がハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基で置換されていてもよい。また、Rは水酸基であってもよい。Rf、Rfはそれぞれ独立に、フッ素原子、トリフルオロメチル基のいずれかを示す。)
【化22】
(式中、R10~R12はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、置換又は非置換の炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はアルキルカルボニルオキシ基を示し、j、k、pはそれぞれ独立に0~5であり、j+k+p≦5である。)
【0064】
一般式(B-3)で示されるカルボン酸の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化23】
【0066】
【化24】
【0067】
次に一般式(B-4)で示されるカルボン酸の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
【化25】
【0069】
また、本発明のレジスト組成物に含まれる(iv)成分の光酸発生剤の配合量は(i)成分と(iii)成分の総量100質量部に対し0.5~30質量部、特に1~15質量部とすることが好ましい。
【0070】
<(v)成分>
本発明のレジスト組成物は(v)成分として塩基性化合物を含むことが好ましい。塩基性化合物は、光酸発生剤から発生した酸を中和するための塩基性を有している化合物を示し、感度を調整できると共に、未露光域、低露光量域のレジスト膜の不溶化を防ぎ、残渣の発生を抑制するために有効である。
【0071】
好ましい塩基性化合物は窒素含有化合物(含窒素有機化合物)であり、具体例として、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
【0072】
より具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、tert-アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N-ジメチルメチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ-sec-ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0073】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2-ニトロアニリン、3-ニトロアニリン、4-ニトロアニリン、2,4-ジニトロアニリン、2,6-ジニトロアニリン、3,5-ジニトロアニリン、N,N-ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p-トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H-ピロール、1-メチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、N-メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2-メチル-1-ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N-メチルピロリジン、ピロリジノン、N-メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4-(1-ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3-メチル-2-フェニルピリジン、4-tert-ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4-ピロリジノピリジン、2-(1-エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H-インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3-キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10-フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0074】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3-アミノピラジン-2-カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3-ピリジンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2-ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4-キノリンジオール、3-インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’-イミノジエタノール、2-アミノエタノ-ル、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリジノン、3-ピペリジノ-1,2-プロパンジオール、3-ピロリジノ-1,2-プロパンジオール、8-ヒドロキシユロリジン、3-クイヌクリジノール、3-トロパノール、1-メチル-2-ピロリジンエタノール、1-アジリジンエタノール、N-(2-ヒドロキシエチル)フタルイミド、N-(2-ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1-シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N-t-ブトキシカルボニル-N,N-ジシクロヘキシルアミン、N-t-ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
【0075】
更に、下記一般式(C)-1で示される含窒素有機化合物が例示される。
【化26】
(上式中、nは1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X1)~(X3)で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【化27】
【0076】
上記一般式(X1)~(X3)中、R300、R302、R305は炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。R303は単結合、又は炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
【0077】
上記一般式(C)-1で表される化合物として具体的には、トリス(2-メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2-{2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18-テトラオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザビシクロオクタデカン、1-アザ-12-クラウン-4、1-アザ-15-クラウン-5、1-アザ-18-クラウン-6、トリス(2-ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2-アセトキシエチル)アミン、トリス(2-プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2-ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2-イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2-バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2-ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2-メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2-tert-ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2-(2-オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2-(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2-(tert-ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2-(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2-メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2-エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(2-アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(2-オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(2-オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-[(2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)2-[(2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(4-ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)2-(4-ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)2-(2-ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N-ビス(2-メトキシエチル)2-(メトキシカルボニル)エチルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-アセトキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ビス[2-(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-アセトキシエチル)ビス[2-(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(3-ヒドロキシ-1-プロピル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(3-アセトキシ-1-プロピル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-(2-メトキシエチル)ビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-ブチルビス[2-(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N-ブチルビス[2-(2-メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N-メチルビス(2-アセトキシエチル)アミン、N-エチルビス(2-アセトキシエチル)アミン、N-メチルビス(2-ピバロイルオキシエチル)アミン、N-エチルビス[2-(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N-エチルビス[2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N-ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N-ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β-(ジエチルアミノ)-δ-バレロラクトンが例示される。
【0078】
更に、下記一般式(C)-2に示される環状構造を持つ含窒素有機化合物が例示される。
【化28】
(上式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0079】
上記一般式(C)-2として具体的には、1-[2-(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1-[2-(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4-[2-(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1-[2-[(2-メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1-[2-[(2-メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4-[2-[(2-メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2-(1-ピロリジニル)エチル、酢酸2-ピペリジノエチル、酢酸2-モルホリノエチル、ギ酸2-(1-ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2-ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2-モルホリノエチル、メトキシ酢酸2-(1-ピロリジニル)エチル、4-[2-(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1-[2-(t-ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4-[2-(2-メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3-(1-ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3-ピペリジノプロピオン酸メチル、3-モルホリノプロピオン酸メチル、3-(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2-メチル-3-(1-ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3-モルホリノプロピオン酸エチル、3-ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3-(1-ピロリジニル)プロピオン酸2-ヒドロキシエチル、3-モルホリノプロピオン酸2-アセトキシエチル、3-(1-ピロリジニル)プロピオン酸2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル、3-モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3-ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3-モルホリノプロピオン酸2-メトキシエチル、3-(1-ピロリジニル)プロピオン酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、3-モルホリノプロピオン酸ブチル、3-ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α-(1-ピロリジニル)メチル-γ-ブチロラクトン、β-ピペリジノ-γ-ブチロラクトン、β-モルホリノ-δ-バレロラクトン、1-ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1-ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2-メトキシエチル、2-メトキシ酢酸2-モルホリノエチル、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸2-モルホリノエチル、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2-モルホリノエチル、ヘキサン酸2-モルホリノエチル、オクタン酸2-モルホリノエチル、デカン酸2-モルホリノエチル、ラウリン酸2-モルホリノエチル、ミリスチン酸2-モルホリノエチル、パルミチン酸2-モルホリノエチル、ステアリン酸2-モルホリノエチルが例示される。
【0080】
更に、下記一般式(C)-3~(C)-6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物が例示される。
【化29】
(上式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0081】
上記一般式(C)-3~(C)-6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物として具体的には、3-(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N,N-ビス(2-メトキシエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N,N-ビス[2-(メトキシメトキシ)エチル]-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-(2-メトキシエチル)-3-アミノプロピオン酸メチル、N-(2-シアノエチル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピオン酸メチル、N-(2-アセトキシエチル)-N-(2-シアノエチル)-3-アミノプロピオン酸メチル、N-(2-シアノエチル)-N-エチル-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-アセトキシエチル)-N-(2-シアノエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-(2-ホルミルオキシエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-(2-メトキシエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-[2-(メトキシメトキシ)エチル]-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-(3-ヒドロキシ-1-プロピル)-3-アミノプロピオノニトリル、N-(3-アセトキシ-1-プロピル)-N-(2-シアノエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-(3-ホルミルオキシ-1-プロピル)-3-アミノプロピオノニトリル、N-(2-シアノエチル)-N-テトラヒドロフルフリル-3-アミノプロピオノニトリル、N,N-ビス(2-シアノエチル)-3-アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N-ビス(2-メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N-ビス[2-(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N-シアノメチル-N-(2-メトキシエチル)-3-アミノプロピオン酸メチル、N-シアノメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピオン酸メチル、N-(2-アセトキシエチル)-N-シアノメチル-3-アミノプロピオン酸メチル、N-シアノメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N-(2-アセトキシエチル)-N-(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N-シアノメチル-N-(2-ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N-シアノメチル-N-(2-メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N-シアノメチル-N-[2-(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N-(シアノメチル)-N-(3-ヒドロキシ-1-プロピル)アミノアセトニトリル、N-(3-アセトキシ-1-プロピル)-N-(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N-シアノメチル-N-(3-ホルミルオキシ-1-プロピル)アミノアセトニトリル、N,N-ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1-ピロリジンプロピオノニトリル、1-ピペリジンプロピオノニトリル、4-モルホリンプロピオノニトリル、1-ピロリジンアセトニトリル、1-ピペリジンアセトニトリル、4-モルホリンアセトニトリル、3-ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-3-アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)-3-アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N-ビス(2-メトキシエチル)-3-アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N-ビス[2-(メトキシメトキシ)エチル]-3-アミノプロピオン酸シアノメチル、3-ジエチルアミノプロピオン酸(2-シアノエチル)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピオン酸(2-シアノエチル)、N,N-ビス(2-アセトキシエチル)-3-アミノプロピオン酸(2-シアノエチル)、N,N-ビス(2-ホルミルオキシエチル)-3-アミノプロピオン酸(2-シアノエチル)、N,N-ビス(2-メトキシエチル)-3-アミノプロピオン酸(2-シアノエチル)、N,N-ビス[2-(メトキシメトキシ)エチル]-3-アミノプロピオン酸(2-シアノエチル)、1-ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1-ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4-モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1-ピロリジンプロピオン酸(2-シアノエチル)、1-ピペリジンプロピオン酸(2-シアノエチル)、4-モルホリンプロピオン酸(2-シアノエチル)が例示される。
【0082】
更に、下記一般式(C)-7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化30】
(上式中、R310は炭素数2~20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基、アセタール基のいずれかを1個あるいは複数個含む。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0083】
更に、下記一般式(C)-8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化31】
(上式中、R314は水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。R315は水素原子、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基、シアノ基のいずれかを一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基のいずれかを一つ以上含んでいてもよい。)
【0084】
更に、下記一般式(C)-9及び(C)-10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化32】
(上式中、Aは窒素原子又は≡C-R322である。Bは窒素原子又は≡C-R323である。R316は炭素数2~20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R321とR323は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0085】
更に、下記一般式(C)-11~(C)-14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化33】
(上式中、R324は炭素数6~20のアリール基又は炭素数4~20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、又は、炭素数1~10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は-O(CHCHO)-基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合して、炭素数6~20の芳香環又は炭素数2~20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0086】
更に、下記一般式(C)-15で示される7-オキサノルボルナン-2-カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化34】
(上式中、R333は水素、又は炭素数1~10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を一個又は複数個含んでいてもよい炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基であって、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合して、炭素数2~20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0087】
なお、含窒素有機化合物の配合量は、(i)成分と(iii)成分の総量100質量部に対して0.001~5質量部、特に0.01~3質量部が好適である。配合量が0.001質量部以上であれば十分な配合効果が得られ、5質量部以下であれば感度が低下するおそれが少ない。
【0088】
<その他の成分>
本発明のレジスト材料は、更に必要に応じて、塗布性改善等の目的で、界面活性剤等のその他の成分を含有することができる。界面活性剤等その他添加剤の配合量は、その配合目的に応じて適宜選定し得る。
【0089】
<パターン形成方法>
また、本発明では、上記のレジスト材料を基板上に塗布する工程(s1)、加熱処理を行う工程(s2)、高エネルギー線で露光する工程(s3)、及び現像液を用いて現像する工程(s4)を含むパターン形成方法を提供する。また、加熱処理工程は、塗布後の処理に加えて、露光後にも適用してよい。露光後の加熱処理は、高感度化や高コントラスト化に有効である。
【0090】
工程(s1)において、レジスト材料を基板上に塗布する方法としては特に限定はされず、既存の方法によって行うことができる。例えば、集積回路製造用の基板あるいは該基板上の被加工層(Si、SiO、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG有機反射防止膜等)や、マスク回路製造用の基板あるいは該基板上の被加工層(Cr、CrO、CrON、MoSi、SiO等)上に、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜が0.01~2.0μmとなるように塗布することができる。
【0091】
工程(s2)において、加熱処理を行う方法としては特に限定はされないが、例えば、ホットプレート上で60~350℃、10秒~30分間、好ましくは100~300℃、30秒~20分間プリベークすることによって行うことができる。
【0092】
レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程(工程(s3))において、高エネルギー線としては、波長3~15nmの真空紫外線、又は加速電圧1~250kVの加速電圧電子ビームが、感度、解像性の観点より好ましい。高エネルギー線の照射により、金属とβジケト配位子の結合や金属とアルコキシ基の結合が解離し、あるいは更に縮合、又は(加水分解)縮合反応が起こり、現像液に対する溶解性が変化するものと考えられる。
【0093】
現像工程(工程(s4))において、現像液は特に限定されず、用いるレジスト材料によって適当な現像液を選択することができるが、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2′-メチルアセトフェノン、4′-メチルアセトフェノン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、吉草酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、3-フェニルプロピオン酸メチルから選ばれる1種以上の有機溶剤を含有し、これら有機溶剤の総濃度が現像液総量に対して60質量%以上であることが好ましい。
【0094】
このような有機溶剤を含有する現像液を用いた場合、未露光部分が溶解し、露光部分がパターンとして残る、ネガ型パターンが形成され得る。
【実施例
【0095】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
[実施例1~13、比較例1~4]
(i)成分の金属化合物(MC-1~8)、及び(iii)成分の金属化合物(A-1~7)を、界面活性剤として3M社製のフッ素系界面活性剤FC-4430を100ppm溶解させた溶剤に表1に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料1~17を調製した。
【0097】
下記表1中の各組成は次の通りである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MAK:2-ヘプタノン
金属化合物i:MC-1~8(下記構造式参照)
金属化合物iii:A-1~7(下記合成例参照)
光酸発生剤:PAG-1、2(下記構造式参照)
塩基性化合物:Base-1、2(下記構造式参照)
【0098】
【化35】
【0099】
【化36】
【0100】
【化37】
【0101】
【化38】
【0102】
金属化合物iiiの合成例
[合成例A-1]
チタンテトラブトキシド340gを1-ブタノール500gに溶解し、撹拌しながら脱イオン水27gと1-ブタノール500gの混合溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を1,200g加え、50℃、減圧下で1-ブタノールが留出しなくなるまで加熱し、チタン含有化合物[A-1]のPGMEA溶液1,000gを得た。ポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,050であった。
【0103】
[合成例A-2]
チタンテトライソプロポキシド284gを2-プロパノール(IPA)500gに溶解し、撹拌しながら脱イオン水27gとIPA500gの混合溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液に2-エチル-1,3-ヘキサンジオール146gを添加し、室温で30分撹拌した。この溶液を減圧下、30℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところで2-ヘプタノン(MAK)を1,200g加え、40℃、減圧下でIPAが留出しなくなるまで加熱し、チタン含有化合物[A-2]のMAK溶液1,000gを得た。ポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,020であった。
【0104】
[合成例A-3]
チタンテトライソプロポキシド284gをIPA500gに溶解し、撹拌しながら脱イオン水27gとIPA500gの混合溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液に2-メチル-2,4-ペンタンジオール120gを添加し、室温で30分撹拌した。この溶液を減圧下、30℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところで2-ヘプタノン(MAK)を1,200g加え、40℃、減圧下でIPAが留出しなくなるまで加熱し、チタン含有化合物[A-3]のMAK溶液1,100gを得た。ポリスチレン換算分子量を測定したところMw=950であった。
【0105】
[合成例A-4]
チタンテトラブトキシドの部分加水分解を行うことによって得られたチタンテトラブトキシドテトラマー243gを1-ブタノール500gに溶解し、ピナコール130gを添加し、室温で30分撹拌した。この溶液を減圧下、40℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところでPGMEAを1,200g加え、50℃、減圧下で1-ブタノールが留出しなくなるまで加熱し、チタン含有化合物[A-4]のPGMEA溶液1,000gを得た。ポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,150であった。
【0106】
[合成例A-5]
上記のチタンテトラブトキシドテトラマー243gを1-ブタノール500gに溶解し、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール150gを添加し、室温で30分撹拌した。この溶液を減圧下、50℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところで2-ヘプタノン(MAK)を1,200g加え、50℃、減圧下で1-ブタノールが留出しなくなるまで加熱し、チタン含有化合物[A-5]のMAK溶液1,000gを得た。ポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,280であった。
【0107】
[合成例A-6]
ジルコニウムテトライソプロポキシドの80質量%1-ブタノール溶液480gを1-ブタノール400gに溶解し、撹拌しながら脱イオン水27gと1-ブタノール500gの混合溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液に1,3-ブタンジオール90gを添加し、室温で30分撹拌した。この溶液を減圧下、30℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところでPGMEAを1,200g加え、40℃、減圧下で1-ブタノールが留出しなくなるまで加熱し、ジルコニウム含有化合物[A-6]のPGMEA溶液1,000gを得た。ポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,400であった。
【0108】
[合成例A-7]
ハフニウムテトライソプロポキシドの80質量%1-ブタノール溶液480gを1-ブタノール400gに溶解し、撹拌しながら脱イオン水27gと1-ブタノール500gの混合溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液に1,3-ブタンジオール90gを添加し、室温で30分撹拌した。この溶液を減圧下、30℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところでPGMEAを1,200g加え、40℃、減圧下で1-ブタノールが留出しなくなるまで加熱し、ハフニウム含有化合物[A-7]のPGMEA溶液1,000gを得た。ポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,500であった。
【0109】
【表1】
【0110】
表1中、レジスト1~13は本発明に係わるレジスト材料に相当し、レジスト14~17は本発明に係わらないレジスト材料であり、比較例に用いるものである。
【0111】
電子ビーム描画評価
電子ビーム(EB)描画評価では、レジスト材料1~17を直径8インチ(200mm)のヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライム処理したSi基板上に、クリーントラックAct-8 (東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレートで170℃下60秒間プリベークして35nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)エリオニクス社製ELS-F125を用いてHV電圧125kVで真空チャンバー内描画を行った。描画後直ちにクリーントラックAct-8(東京エレクトロン(株)製)を用いて、ホットプレートで170℃下60秒間ベーク後、有機溶剤現像液による30秒間パドル現像を行い、ネガ型のパターンを得た。
【0112】
得られたレジストパターンを次のように評価した。60nmのライン/120nmピッチ(即ち60nm 1:1ラインアンドスペース)を解像する露光量を最適露光量(μC)とし、最適露光量において解像している最小ピッチの寸法の半分の値(ハーフピッチ)を解像度(nm)とした。最適露光量は値が小さい方が高感度であることを示すことから好ましく、解像度も値が小さい方が高解像であることを示すことから好ましい。また、露光量を変化させてパターニングを行い、高露光量側において、トレンチがブリッジしないで分離解像する最小トレンチ寸法を求め、トレンチ解像度(nm)とした。値が小さい方が、微細トレンチを形成する能力が高いことを示すことから好ましい。各レジスト材料の現像に用いた有機溶剤現像液と評価結果(最適露光量、解像度、トレンチ解像度)を表2に示す。
【0113】
なお、下記表2中の現像液は次の通りである。
nBA:酢酸ブチル
MAK:2-ヘプタノン
【0114】
【表2】
【0115】
表2の結果より、本発明のレジスト材料は解像力が高く、特に微細トレンチパターンの形成に有利であることがわかった。また、高感度であった。
【0116】
一方、(i)成分を含まない比較例1、2では、実施例のような良好な結果は得られなかった。また、比較例3、4では、(iv)成分の光酸発生剤を添加したため感度が上昇しているが、(i)成分を含まないために、なおも十分な解像力を得られず、トレンチ解像度は劣る結果であった。
【0117】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。