(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】ライン照明光源
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20230419BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230419BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230419BHJP
G07D 7/00 20160101ALI20230419BHJP
G07D 7/12 20160101ALI20230419BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20230419BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20230419BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230419BHJP
【FI】
F21V8/00 330
F21S2/00 230
F21V23/00 110
G07D7/00 D
G07D7/12
F21Y103:00
F21Y113:13
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019028610
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】510192019
【氏名又は名称】株式会社ヴィーネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】龍満 和明
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0157661(US,A1)
【文献】特開2012-113859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 2/00
F21V 23/00
G07D 7/00
G07D 7/12
F21Y 103/00
F21Y 113/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密着型光学ラインセンサに搭載されるライン照明光源であって、
透光部材からなる長尺状の導光体と、
前記導光体の長手方向の少なくとも一方の端部に配置される光源部と、を備え、
前記導光体は、
前記光源部に対向し、前記光源部から出射される光を入光させる入光面と、
前記導光体の長手方向に沿った一側面に形成され、前記光源部から入光した光を外部に出光させる出光面と、
前記出光面に対向する前記導光体の長手方向に沿った他側面に形成され、前記光源部から入光した光の進行方向を変える光偏向面と、を備え、
前記光偏向面には、前記導光体の短手方向に対して略平行方向に延びる第1の稜線を有する凹部又は凸部を含む第1の反射部が前記導光体の長手方向に配列形成されており、
前記光偏向面の前記入光面近傍には、前記導光体の長手方向に対して略平行方向に延びる第2の稜線を有する凹部又は凸部を含む第2の反射部が前記導光体の短手方向に配列形成されて
おり、
前記第2の反射部における前記導光体の長手方向に対して略平行方向に沿った長さは、前記導光体の短手方向の位置によって異なっており、前記導光体の短手方向の中央部を最大として、前記導光体の短手方向の端部に向かって漸次減少することを特徴とするライン照明光源。
【請求項2】
密着型光学ラインセンサに搭載されるライン照明光源であって、
透光部材からなる長尺状の導光体と、
前記導光体の長手方向の少なくとも一方の端部に配置される光源部と、を備え、
前記導光体は、
前記光源部に対向し、前記光源部から出射される光を入光させる入光面と、
前記導光体の長手方向に沿った一側面に形成され、前記光源部から入光した光を外部に出光させる出光面と、
前記出光面に対向する前記導光体の長手方向に沿った他側面に形成され、前記光源部から入光した光の進行方向を変える光偏向面と、を備え、
前記光偏向面には、前記導光体の短手方向に対して略平行方向に延びる第1の稜線を有する凹部又は凸部を含む第1の反射部が前記導光体の長手方向に配列形成されており、
前記光偏向面の前記入光面近傍には、前記導光体の長手方向に対して略平行方向に延びる第2の稜線を有する凹部又は凸部を含む第2の反射部が前記導光体の短手方向に配列形成されており、
前記第2の反射部における前記導光体の長手方向に対して略平行方向に沿った長さは、前記導光体の短手方向の位置によって異なっており、前記導光体の短手方向の中央部を最小として、前記導光体の短手方向の端部に向かって漸次増加することを特徴とす
るライン照明光源。
【請求項3】
密着型光学ラインセンサに搭載されるライン照明光源であって、
透光部材からなる長尺状の導光体と、
前記導光体の長手方向の少なくとも一方の端部に配置される光源部と、を備え、
前記導光体は、
前記光源部に対向し、前記光源部から出射される光を入光させる入光面と、
前記導光体の長手方向に沿った一側面に形成され、前記光源部から入光した光を外部に出光させる出光面と、
前記出光面に対向する前記導光体の長手方向に沿った他側面に形成され、前記光源部から入光した光の進行方向を変える光偏向面と、を備え、
前記光偏向面には、前記導光体の短手方向に対して略平行方向に延びる第1の稜線を有する凹部又は凸部を含む第1の反射部が前記導光体の長手方向に配列形成されており、
前記光偏向面の前記入光面近傍には、前記導光体の長手方向に対して略平行方向に延びる第2の稜線を有する凹部又は凸部を含む第2の反射部が前記導光体の短手方向に配列形成されており、
前記第2の反射部における前記導光体の長手方向に対して略平行方向に沿った長さは、前記導光体の短手方向の位置によって異なっており、前記導光体の短手方向の一方の端部を最小として、前記導光体の短手方向の他方の端部に向かって漸次増加することを特徴とす
るライン照明光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密着型光学ラインセンサに搭載されるライン照明光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
密着型光学ラインセンサは、紙葉類の鑑別などのために、紙葉類の色・模様などの認識をするために用いられる装置である。この密着型光学ラインセンサは、紙葉類を照明するためのライン照明光源と、そのライン照明光源から出射され紙葉類を透過又は反射した光(蛍光を含む)を導くためのレンズアレイと、そのレンズアレイにより導かれた光を受光する受光部とを備えている。
【0003】
ライン照明光源から出射される光には、主に紙葉類の表と裏の図柄などを読み取るための可視光と、主に紙葉類の真偽を判別するための紫外線、赤外光とが用いられる。
先行技術にかかるライン照明光源の典型的な構成は、紙葉類の搬送方向に直角に長手状に延びる導光体と、導光体の一側面に長手方向に形成された光拡散パターン(光偏向面)と、導光体の一方の端面付近に設けられた光源部と、導光体を保持するためのカバーとを有している(特許文献1~3参照)。
【0004】
この先行技術にかかるライン照明光源によれば、光源部から導光体の一端に入射された光は、光拡散パターンにより拡散・屈折されて、その一部は導光体の一側面から紙葉類に向けて照射される。この光拡散パターンの微細形状を工夫することにより、紙葉類への照射光の長手方向に沿う光量のばらつきを抑制しながら、紙葉類に照射することができる。よって、安定した読み取りが可能となり、紙葉類の形状・模様などを正確に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-39996号公報
【文献】特開2001-229722号公報
【文献】国際公開第2015/186566号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成では、導光体の一端面に照射された光の強度分布が、導光体の端部において急峻となり、紙葉類への照射光の長手方向における光量のばらつきが大きくなるため、安定した読み取りが出来なくなり、紙葉類の形状・模様などを正確に認識できなくなるという問題があった。
本発明は、かかる実情に鑑み、導光体の長手方向における光量のばらつきを低減することのできるライン照明光源を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来技術の光拡散パターン(光偏向面)は、導光体の底側面にあり、導光体の長手方向に直交する凹凸部を成している。この方法は、可視光、紫外光、近赤外光を用いる場合に問題となる。
即ち、導光体の長手方向に向かい、光源部に近い導光体の入光部近傍の光強度分布が、各波長で異なり、しかも、急峻な強度分布となることを抑制する効果に乏しいことが問題となる。従来は、「ミキシングゾーン」と呼ばれる各波長を混合させる領域を設けることにより、前記の波長毎に異なる強度分布や急峻な強度分布を回避していた。しかし、近年のダウンサイジングの流れから、前記のミキシングゾーンの短距離化が求められている。
【0008】
そこで、本願発明者が鋭意検討した結果、以下に述べる解決策を見出した。即ち、導光体の長手方向に対し略直交する光拡散パターン(第1の反射部)に加えて、光源部に近い導光体の入光部近傍に前記の光拡散パターン(第1の反射部)に略直交する光拡散パターン(第2の反射部)を新たに加えることで、前記の入光部近傍の各波長で異なる光強度分布や急峻な強度分布(通称「ツノ」)が抑制でき、しかも、従来よりも短距離のミキシングゾーンを実現できることを見出した。また、導光体の長手方向の光強度分布を適宜調整するためには前記の光拡散パターンの長さを変えて、分布を持たせると、より一層の効果が得られることが判明した。
【0009】
また、前記の「ツノ」を抑制する効果については、光拡散パターンだけでなく、導光体を収容するカバー部材の光拡散パターンに対向する面(拡散反射部材)に開口部を設けることにより、導光体の長手方向の強度分布の調整精度が高まることも見出した。更に、開口部の寸法、形状、分布等は、「ツノ」の形状により、適宜変更すればよいことも判明した。
【0010】
本発明の一局面に係るライン照明光源は、密着型光学ラインセンサに搭載されるライン照明光源であって、透光部材からなる長尺状の導光体と、前記導光体の長手方向の少なくとも一方の端部に配置される光源部と、を備える。前記導光体は、入光面と、出光面と、光偏向面と、を備える。前記入光面は、前記光源部に対向し、前記光源部から出射される光を入光させる。前記出光面は、前記導光体の長手方向に沿った一側面に形成され、前記光源部から入光した光を外部に出光させる。前記光偏向面は、前記出光面に対向する前記導光体の長手方向に沿った他側面に形成され、前記光源部から入光した光の進行方向を変える。前記光偏向面には、前記導光体の短手方向に対して略平行方向に延びる第1の稜線を有する凹部又は凸部を含む第1の反射部が前記導光体の長手方向に配列形成されている。前記光偏向面の前記入光面近傍には、前記導光体の長手方向に対して略平行方向に延びる第2の稜線を有する凹部又は凸部を含む第2の反射部が前記導光体の短手方向に配列形成されている。
【0011】
このライン照明光源によれば、光偏向面の入射面近傍には、第1の反射部だけでなく第2の反射部も配列形成されている。第1の反射部は、導光体の短手方向に対して略平行方向に延びる第1の稜線を有する凹部又は凸部を含むのに対して、第2の反射部は、導光体の長手方向に対して略平行方向に延びる第2の稜線を有する凹部又は凸部を含む。これらの第1及び第2の反射部で光源部から入光した光を反射させることにより、光が拡散されるため、導光体の端部において光の強度分布が急峻となるのを防止できる。したがって、導光体の長手方向における光量のばらつきを低減することができる。
【0012】
前記第2の反射部における前記導光体の長手方向に対して略平行方向に沿った長さは、前記導光体の短手方向の位置によって異なっていることが好ましい。この場合、導光体の長手方向の位置によって第2の反射部の密度を異ならせることができるため、光の強度分布の強弱に対応する密度で第2の反射部を配列形成することができる。したがって、導光体の長手方向における光量のばらつきをより効果的に低減することができる。
【0013】
一例として、前記第2の反射部における前記導光体の長手方向に対して略平行方向に沿った長さは、前記導光体の短手方向の中央部を最大として、前記導光体の短手方向の端部に向かって漸次減少するものであってもよい。
他の例として、前記第2の反射部における前記導光体の長手方向に対して略平行方向に沿った長さは、前記導光体の短手方向の中央部を最小として、前記導光体の短手方向の端部に向かって漸次増加するものであってもよい。
さらに他の例として、前記第2の反射部における前記導光体の長手方向に対して略平行方向に沿った長さは、前記導光体の短手方向の一方の端部を最小として、前記導光体の短手方向の他方の端部に向かって漸次増加するものであってもよい。
【0014】
本発明の他の局面に係るライン照明光源は、密着型光学ラインセンサに搭載されるライン照明光源であって、透光部材からなる長尺状の導光体と、前記導光体の長手方向の少なくとも一方の端部に配置される光源部と、を備える。前記導光体は、入光面と、出光面と、光偏向面と、を備える。前記入光面は、前記光源部に対向し、前記光源部から出射される光を入光させる。前記出光面は、前記導光体の長手方向に沿った一側面に形成され、前記光源部から入光した光を外部に出光させる。前記光偏向面は、前記出光面に対向する前記導光体の長手方向に沿った他側面に形成され、前記光源部から入光した光の進行方向を変える。前記光偏向面には、前記導光体の短手方向に対して平行又は所定角度で傾斜する方向に延びる第1の稜線を有する凹部又は凸部を含む第1の反射部が前記導光体の長手方向に配列形成されている。前記光偏向面の前記入光面近傍には、前記第1の反射部の前記第1の稜線に対して交差する方向に延びる第2の稜線を有する凹部又は凸部を含む第2の反射部が前記導光体の短手方向に配列形成されている。
【0015】
前記ライン照明光源は、前記導光体の出射面以外の面に対向する拡散反射部材を備えていてもよい。前記拡散反射部材は前記光偏向面に対向する位置に少なくとも1つの開口部を有している。
前記開口部の開口形状は、矩形であってもよい。
前記開口部における前記導光体の短手方向に沿った開口幅は、前記導光体の長手方向の位置によって異なっていてもよい。この場合、前記開口部の開口形状は、三角形であってもよい。あるいは、前記開口部の開口形状は、台形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態における密着型光学ラインセンサの構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】密着型光学ラインセンサの付加的な構成を概略的に示す断面図である。
【
図4】ライン照明光源の各構成部材を示す分解斜視図である。
【
図5】ライン照明光源の側面図であり、また、ミキシングゾーンを示す。
【
図6】従来技術の導光体における光拡散パターンの例である。
【
図7】本発明の導光体における光拡散パターンの一例である。
【
図8】本発明の導光体における光拡散パターンの別の例である。
【
図9】
図6~
図8の各光拡散パターンを有する導光体を用いたときの受光部における受光出力の測定結果を示した図である。
【
図10】
図8の光拡散パターンの変形例を示した概略図である。
【
図11】
図8の光拡散パターンの別の変形例を示した概略図である。
【
図12】
図8の光拡散パターンに対応する開口部の例を示した図である。
【
図13】
図11の光拡散パターンに対応する開口部の例を示した図である。
【
図14】
図8の光拡散パターンに対応する開口部の別の例を示した図である。
【
図15】
図11の光拡散パターンに対応する開口部の別の例を示した図である。
【
図16】各波長の光に対するカバー部材2の透過率の測定結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
<密着型光学ラインセンサ>
図1は、本発明の実施の形態における密着型光学ラインセンサの構成を示す概略断面図である。
【0018】
この密着型光学ラインセンサは、筐体16と、紙葉類を照明するためのライン照明光源10と、そのライン照明光源10から焦点面20に向けて出射され紙葉類で反射した光を導くためのレンズアレイ11と、基板13に実装されレンズアレイ11により導かれた透過光を受光する受光部12とを備えている。紙葉類は焦点面20に沿って一方向(x方向)に搬送される。
これらの筐体16、ライン照明光源10、受光部12、レンズアレイ11は、y方向、すなわち紙面に垂直な方向に延びていて、
図1はその断面を示している。
【0019】
ライン照明光源10は、焦点面20にある紙葉類に向けて光を出射するユニットである。出射される光の種類は可視光と紫外光であり、さらに赤外光が出射されることもある。
この紫外光は波長ピークが300nm~400nmを有するもので、赤外光は波長ピークが1500nmまで有するものである。
これらの光のうち少なくとも紫外光は、他の光と時間的に重ならないようにして(すなわち時間的にスイッチングされながら)発光される。赤外光は、可視光と時間的に重なって発光されることもあり、時間的に重ならないようにして発光されることもある。
【0020】
ライン照明光源10から出射された光は、保護ガラス14を透過して焦点面20に集光される。保護ガラス14は、必ずしも必要ではなく省略することもできるが、使用中のごみの飛散や傷つきからライン照明光源10やレンズアレイ11を保護するために設置することが望ましい。
保護ガラス14の材質はライン照明光源10から出射される光を透過させるものであれば良く、例えばアクリル樹脂やシクロオレフィン系樹脂などといった透明の樹脂であってもよい。ただ、本発明の実施の形態では、白板ガラス、ホウケイ酸ガラスなど特に紫外光を透過させるものを使用するのが好ましい。
【0021】
ライン照明光源10の底面に対向して、ライン照明光源10の両端に設置された第2の光源部3、第1の光源部4(
図4、
図5参照)を固定するための基板5が設置されている。この基板5はフェノール、ガラスエポキシなどで形成された薄い絶縁板であり、その裏面に銅箔からなる配線パターンが形成されている。第2の光源部3、第1の光源部4の端子を基板5の各所に形成された孔に挿入し、基板の裏面において半田などで配線パターンと接合することにより、第2の光源部3及び第1の光源部4を基板5に搭載し固定することができるとともに、所定の駆動電源(図示せず)から基板裏面の配線パターンを通して第2の光源部3及び第1の光源部4に電力を供給してその発光を駆動・制御することができる。
【0022】
レンズアレイ11は、紙葉類で反射された光を受光部12に結像する光学素子であり、セルフォックレンズアレイ(登録商標:日本板硝子製)などのロッドレンズアレイを用いることができる。本発明の実施の形態では、レンズアレイ11の倍率は1(正立)に設定されている。
焦点面20から受光部12までの任意の位置に、受光部12に紫外光が入らないように、紫外光を反射又は吸収することにより遮断する「第3のフィルタ」としての紫外光遮断フィルタ膜15を設けることが好ましい。本発明の実施の形態では、レンズアレイ11の表面に紫外光遮断フィルタ膜15を取り付け、紫外光を遮断する機能を持たせている。本明細書で「光を遮断する」とは、光を反射又は吸収して、透過させないことをいう。
【0023】
この紫外光遮断フィルタ膜15は、特に限定するものではなく、紫外光が、受光部12へ入るのを防止することができれば、材質・構造を問わない。例えば有機系の紫外光吸収剤を透明フィルムに混入あるいはコーティングした紫外光吸収フィルム、ガラス表面に酸化チタン、酸化珪素など透過率や屈折率の異なる金属酸化物もしくは誘電体の薄膜を多層蒸着することで得られる干渉フィルタ(バンドパスフィルタ)などが好ましい。
【0024】
なお、紫外光遮断フィルタ膜15はレンズアレイ11の出射面に取り付けていたが、レンズアレイ11の入射面又は中間部に取り付けてもよく、保護ガラス14の内面に直接蒸着又は塗布して用いてもよい。要するに、紙葉類で反射された紫外光が、受光部12へ入るのを防止することができればよい。
受光部12は基板13に実装され、反射光を受けて光電変換により電気出力として画像を読み取る受光素子を含んで構成されている。受光素子の材質・構造は特に規定されるものではなく、アモルファスシリコン、結晶シリコン、CdS、CdSeなどを用いたフォトダイオードやフォトトランジスタを配置したものであってもよい。またCCD(Charge Coupled Device)リニアイメージセンサであってもよい。さらに受光部12として、フォトダイオードやフォトトランジスタ、駆動回路及び増幅回路を一体としたIC(Integrated Circuit)を複数個並べた、いわゆるマルチチップ方式のリニアイメージセンサを用いることもできる。また、必要に応じて基板13上に駆動回路、増幅回路などの電気回路、あるいは信号を外部に取り出すためのコネクタなどを実装することもできる。さらに基板13上にA/Dコンバータ、各種補正回路、画像処理回路、ラインメモリ、I/O制御回路などを同時に実装してデジタル信号として外部に取り出すこともできる。
【0025】
なお、前述した密着型光学ラインセンサは、ライン照明光源10から紙葉類に向けて出射され紙葉類で反射した光を受光する反射型の密着型光学ラインセンサであったが、
図2に示すように、ライン照明光源10を、焦点面20を基準にして、受光部12と反対の位置に置いて、ライン照明光源10から紙葉類に向けて出射され紙葉類を透過した光を受光する、透過型の密着型光学ラインセンサであってもよい。この場合、ライン照明光源10の位置が焦点面20の下側になるところが
図1の配置と異なるのみで、ライン照明光源10自体の構造は、今まで説明したものと異なるところはない。また反射型の密着型光学ラインセンサと透過型の密着型光学ラインセンサを両方含んでいてもよい。
<ライン照明光源>
【0026】
図3は、
図1に示される密着型光学ラインセンサにおけるライン照明光源10の外観を概略的に示す斜視図である。
図4はライン照明光源10の各構成部材の分解斜視図、
図5はライン照明光源10の側面図である。なお
図5ではカバー部材2の図示は省略している。
ライン照明光源10は、長手方向Lに沿って延びる透明な導光体1と、長手方向Lの一方の端面付近に設けられた第2の光源部3と、長手方向Lの他方の端面付近に設けられた第1の光源部4と、導光体1の各側面(底側面1a及び左右側面1b,1c)を保持するためのカバー部材2と、底側面1aと左右側面1bとの間に斜めに形成された光拡散パターン形成面1gに形成され、第2の光源部3及び第1の光源部4から導光体1の端面1e,1fに入射され導光体1の中を進む光を拡散・屈折させて、導光体1の光出射側面1dから出射させるための光拡散パターンPとを有している。また好ましくは、導光体1の端面1e,1fにそれぞれ形成された第2のフィルタ6、第1のフィルタ7を有している。
【0027】
導光体1は、アクリル樹脂などの光透過性の高い樹脂、あるいは光学ガラスで形成してもよいが、本発明の実施の形態では、紫外光を発光する第1の光源部4を用いるので、導光体1の材料として、紫外光に対する減衰が比較的少ないフッ素系樹脂あるいはシクロオレフィン系樹脂が好ましい(特許文献2参照)。
導光体1は、長尺状の透光部材からなる。本実施形態において、導光体1は細長い柱状であり、その長手方向Lに直交する断面は、長手方向Lのどの切り口においても、実質的に同じ形状、同じ寸法をしている。また導光体1のプロポーション、すなわち導光体1の長手方向Lの長さと、その長手方向Lに直交する断面の高さHとの比率は10よりも大きく、好ましくは30よりも大きい。例えば導光体1の長さが200mmであれば、その長手方向Lに直交する断面の高さHは5mm程度である。
【0028】
導光体1の側面は、光拡散パターン形成面1g(
図4において導光体1の斜めカット面に相当)、底側面1a、左右側面1b,1c、光出射側面1d(
図4において導光体1の上面に相当)の5つの側面からなる。左右側面1b,1cは、光源部4,3に対向しており、光源部4,3から出射される光を導光体1内に入光させる入光面を構成している。光出射側面1dは、導光体1の長手方向Lに沿った側面(一側面)において光源部3,4から入射した光を外部に出射させる出射面を構成している。底側面1a、左右側面1b,1cは平面形状であり、光出射側面1dはレンズの集光効果を持たせるために外向きに滑らかな凸の曲線状に形成されている。しかし光出射側面1dは必ずしも凸状に形成されていなくてもよく、平面形状であってもよい。この場合、平面1dに対向するように、導光体1から出射した光を集光するレンズを配置するとよい。
【0029】
光拡散パターン形成面1g上の光拡散パターンPは、一定の幅を維持して、導光体1の長手方向Lに沿って一直線状に延びている。この光拡散パターンPの長手方向Lに沿った寸法は、イメージセンサの読取長(つまり受光部12の読取領域の幅)よりも長くなるように形成されている。光拡散パターンPは、光出射側面1dに対向する導光体1の長手方向に沿った側面(他側面)に形成されており、光源部3,4から入射した光の進行方向を変える光偏向面を構成している。
【0030】
従来技術の光拡散パターンPの代表的な構成を
図6に示す。
図6では、導光体1の一方の端部の構成を示しているが、本実施形態のように導光体1の長手方向Lの両端部に光源部3,4が配置された構成の場合、導光体1の他方の端部も同様の構成を有していてもよい。
光拡散パターンPは、導光体1の光拡散パターン形成面1gに彫刻された複数の凹凸状のプリズム101により構成されている。プリズム101は、光を反射させることにより進行方向を変える反射部(第1の反射部)を構成している。
図6に示す従来の光拡散パターンPでは、複数の凹凸状のプリズム101の各々が、導光体1の長手方向Lに直交する方向(短手方向S)に延びるよう形成されており、互いに同じ長さを有している。各プリズム101は、長手方向Lに間隔を隔てて互いに平行に延びている。各プリズム101間の間隔は、
図6に示すように、導光体1の長手方向Lの端部から中央部側に向かって徐々に狭くなることが好ましい。複数のプリズム101は、断面が例えば二等辺三角形状を有するV字状の凹部により構成されている。ただし、各プリズム101は、凹部により構成されるものに限らず、凸部により構成されるものであってもよいし、凹部及び凸部の少なくとも一方を含むものであってもよい。
【0031】
この光拡散パターンPにより、導光体1の端面1e,1fから入射され、導光体1の内部を長手方向Lに伝搬する光を屈折・拡散させることができる。その結果、導光体1の長手方向Lにおける光量のばらつきを低減し、照度むらを抑制することができる。しかしながら、
図6に示すような従来の光拡散パターンPでは、光源部3,4から光が入光する導光体1の端部において、波長毎に異なる強度分布や急峻な強度分布が生じていた。
【0032】
ミキシングゾーンMzを
図5に示す。ミキシングゾーンMzは、光源部3,4から導光体1に入光する光の各波長を混合させる領域である。すなわち、第2の光源部3から導光体1に入光する光は、導光体1の当該光源部3側の端部に位置するミキシングゾーンMzにおいて、各波長が混合される。一方、第1の光源部4から導光体1に入光する光は、導光体1の当該光源部4側の端部に位置するミキシングゾーンMzにおいて、各波長が混合される。ミキシングゾーンMzを設けることにより、前記の波長毎に異なる強度分布や急峻な強度分布を回避し得るが、近年のダウンサイジングの流れから、ミキシングゾーンMzの短距離化が求められている。そのため、導光体1の長手方向LにおけるミキシングゾーンMzの幅が短くても、長手方向Lにおける光量のばらつきを低減することができるような構成が望まれている。
【0033】
図7は、光拡散パターンPの一例を示した概略図である。この例では、従来のプリズム101(第1の反射部)に加えて、当該プリズム101とは異なる方向に延びるプリズム102(第2の反射部)が光拡散パターンPに含まれている。プリズム101及びプリズム102は、それぞれ光拡散パターンPに複数形成されている。
【0034】
各プリズム101は、導光体1の短手方向Sに対して略平行方向に延びる稜線(第1の稜線)を有する凹部又は凸部を含む。各プリズム101は、導光体1の長手方向Lに互いに間隔を隔てて平行に配列されている。各プリズム101の稜線は、導光体1の短手方向Sに対して完全に平行に限らず、若干傾斜して延びていてもよい。また、各プリズム101の稜線は、導光体1の短手方向Sに対して所定角度(例えば45°以内)で傾斜する方向に延びていてもよい。
【0035】
各プリズム102は、光拡散パターンPにおける入光面近傍にのみ形成されている。入射面近傍とは、導光体1の長手方向Lの端面から所定距離の範囲R内である。当該範囲Rの長手方向Lの長さは、導光体1の全体の長さの4分の1以下であることが好ましい。また、当該範囲Rは、ミキシングゾーンMzの範囲に対応していてもよい。
各プリズム102は、導光体1の長手方向Lに対して略平行方向に延びる稜線(第2の稜線)を有する凹部又は凸部を含む。各プリズム102は、導光体1の短手方向Sに互いに間隔を隔てて平行に配列されている。各プリズム102の稜線は、導光体1の長手方向Lに対して完全に平行に限らず、若干傾斜して延びていてもよい。また、各プリズム102の稜線は、導光体1の長手方向Lに対して所定角度(例えば45°以内)で傾斜する方向に延びていてもよい。また、各プリズム102の稜線は、各プリズム101の稜線に対して直交する方向に延びるものに限らず、交差する方向に延びていればよい。
【0036】
図8は、光拡散パターンPの別の例を示した概略図である。
図7の例では、各プリズム102における導光体1の長手方向Lに沿った長さが、導光体1の短手方向Sの位置にかかわらず同一である。これに対して、
図8の例では、各プリズム102における導光体1の長手方向Lに沿った長さが、導光体1の短手方向Sの位置によって異なっている。
【0037】
より具体的には、各プリズム102における導光体1の長手方向Lに沿った長さは、導光体1の短手方向Sの中央部を最大として、導光体1の短手方向Sの端部(
図8における上方及び下方)に向かって漸次減少している。言い換えれば、導光体1の長手方向Lの位置によって各プリズム102の密度が異なっている。すなわち、導光体1の端面から中央部側に向かって、各プリズム102の密度が徐々に減少している。
【0038】
図9は、
図6~
図8の各光拡散パターンPを有する導光体1を用いたときの受光部12における受光出力の測定結果を示した図である。
図9の横軸は、導光体1の長手方向Lに沿って並べて配置された受光部12の各センサ画素の番号である。また、
図9の縦軸は、各センサ画素のセンサ出力(受光強度)の値である。この
図9では、焦点面20に紙葉類等の媒体が存在しない状態で光源部3,4から光を照射し、各センサ画素のセンサ出力を測定した結果を示している。
【0039】
図9に破線で示すように、
図6の従来の光拡散パターンPを有する導光体1を用いた場合には、入光面近傍に急峻な強度分布が現れている。これに対して、
図7の光拡散パターンPを有する導光体1を用いた場合(
図9の一点鎖線)や、
図8の光拡散パターンPを有する導光体1を用いた場合(
図9の実線)には、入光面近傍における急峻な強度分布が抑制されている。
【0040】
このように、光拡散パターンPの入射面近傍に、従来のプリズム101(第1の反射部)だけでなく、当該プリズム101とは異なる方向に延びるプリズム102(第2の反射部)も配列形成し、これらのプリズム101,102で光源部3,4から入光した光を反射させることにより、光が拡散されるため、導光体1の端部において光の強度分布が急峻となるのを防止できる。したがって、導光体1の長手方向Lにおける光量のばらつきを低減することができる。
【0041】
ただし、
図7の光拡散パターンPを有する導光体1を用いた場合(導光体1の長手方向Lに沿ったプリズム102の密度分布がない場合)、
図9に一点鎖線で示すように、入光面近傍における急峻な強度分布が抑制される一方で、受光強度が多少下がり過ぎる部分が発生している。これに対して、
図8の光拡散パターンPを有する導光体1を用いた場合(導光体1の長手方向Lに沿ったプリズム102の密度分布がある場合)には、
図9に実線で示すように、入光面近傍における急峻な強度分布が抑制され、かつ、受光強度が下がり過ぎる部分の発生も抑制されている。
このように、導光体1の長手方向Lの位置によってプリズム102の密度を異ならせることにより、光の強度分布の強弱に対応する密度でプリズム102を配列形成することができるため、導光体1の長手方向Lにおける光量のばらつきをより効果的に低減することができる。
【0042】
図10は、
図8の光拡散パターンPの変形例を示した概略図である。また、
図11は、
図8の光拡散パターンPの別の変形例を示した概略図である。
図10及び
図11の例では、
図8の場合と同様に、導光体1の長手方向Lの位置によって各プリズム102の密度が異なっており、導光体1の端面から中央部側に向かって、各プリズム102の密度が徐々に減少している。
【0043】
具体的には、
図10の例では、各プリズム102における導光体1の長手方向Lに沿った長さが、導光体1の短手方向Sの中央部を最小として、導光体1の短手方向Sの端部(
図10における上方及び下方)に向かって漸次増加している。
図11の例では、各プリズム102における導光体1の長手方向Lに沿った長さが、導光体1の短手方向Sの一方の端部(
図10における下方)を最小として、導光体1の短手方向Sの他方の端部(
図10における上方)に向かって漸次増加している。ただし、
図10の上方においてプリズム102の長さを最小として、下方に向かって長さが漸次増加するような構成であってもよい。
【0044】
なお、光拡散パターンPの凹凸状のプリズム101,102は一例であり、照度むらが顕著にならない限り、V字形に代えてコ字状(矩形状)又はU字形にするなど任意に変更することができる。光拡散パターンPの幅も一定の幅を維持する必要はなく、導光体1の長手方向Lに沿って幅が変化するものであってもよい。凹凸の深さや凹凸の開口幅についても、適宜変更することができる。
【0045】
カバー部材2は、導光体1の長手方向Lに沿った細長い形状であり、導光体1の底側面1a及び左右側面1b,1cを覆うことができるように、導光体1の光拡散パターン形成面1gに対向する底面2a、導光体1の右側面1bに対向する右側面2b、及び導光体1の左側面に対向する左側面2cを有している。これらの3つの側面はそれぞれ平面をなしており、これらの3つの内面で断面がほぼU字状の凹部を形成するので、導光体1をこの凹部の中に挿入することができる。この覆った状態で、カバー部材2の底面2aが導光体1の底側面1aに密着し、カバー部材2の右側面2bが導光体1の右側面1bに密着し、左側面2cが導光体1の左側面1cに密着する。このため、カバー部材2で導光体1を保護することができる。
【0046】
別の実施形態として、カバー部材2における光拡散パターンPに対向する位置に開口部201を設けてもよい。
図12~
図15は、カバー部材2の底面2aに開口部201を形成する態様について説明するための図である。カバー部材2の底面2aは、導光体1の光出射側面1d(出射面)以外の面に対向する拡散反射部材であり、本実施形態では光拡散パターン形成面1gに対向している。カバー部材2の底面2aには、光拡散パターンPに対向する位置に少なくとも1つの開口部201が形成されている。
【0047】
図12は、
図8の光拡散パターンPに対応する開口部201の例を示した図である。
図12Aは、
図8の光拡散パターンPを示しており、
図12B-1、
図12B-2及び
図12B-3は、それぞれカバー部材2の底面2aに形成された開口部201の例を示している。
【0048】
開口部201が形成される範囲は、光拡散パターンPの各プリズム102が形成されている範囲Rに対向する範囲と略一致している。すなわち、導光体1の長手方向Lに沿った開口部201の長さは、各プリズム102が形成されている範囲Rに対応する長さである。また、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅は、導光体1の短手方向Sにおける一端部のプリズム102と他端部のプリズム102との距離に略一致していてもよい。
【0049】
図12B-1の例では、開口部201の開口形状が矩形状である。すなわち、導光体1の長手方向Lに沿った開口部201の長さは一定であり、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅も一定である。これに対して、
図12B-2及び
図12B-2の例では、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅(開口幅)が、導光体1の長手方向Lの位置によって異なっている。
図12B-2の開口部201の開口形状は、台形状である。より具体的には、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅が徐々に減少している。
図12B-3の開口部201の開口形状も台形状であるが、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅が徐々に増加している。
ただし、開口部201は、矩形状や台形状に限らず、三角形状などの他の形状であってもよい。
【0050】
【0051】
開口部201が形成される範囲は、光拡散パターンPの各プリズム102が形成されている範囲Rに対向する範囲と略一致している。すなわち、導光体1の長手方向Lに沿った開口部201の長さは、各プリズム102が形成されている範囲Rに対応する長さである。導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅は、
図12の例よりも短く、短手方向Sの中心に対して一方に偏って形成されている。
【0052】
図13B-1の例では、開口部201の開口形状が矩形状である。すなわち、導光体1の長手方向Lに沿った開口部201の長さは一定であり、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅も一定である。これに対して、
図13B-2及び
図13B-2の例では、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅(開口幅)が、導光体1の長手方向Lの位置によって異なっている。
図13B-2の開口部201の開口形状は、台形状である。より具体的には、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅が徐々に増加している。さらに具体的には、導光体1の短手方向Sの一端側(
図13の上側)における開口部201の側辺は長手方向Lに対して平行であり、短手方向Sの他端側(
図13の下側)における開口部201の側辺は長手方向Lに対して傾斜している。
図13B-3の開口部201の開口形状も台形状であり、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った開口部201の幅が徐々に増加しているが、形状が
図13B-2とは異なっている。具体的には、導光体1の短手方向Sの一端側(
図13の上側)における開口部201の側辺は長手方向Lに対して傾斜しており、短手方向Sの他端側(
図13の下側)における開口部201の側辺は長手方向Lに対して平行である。
ただし、開口部201は、矩形状や台形状に限らず、三角形状などの他の形状であってもよい。
【0053】
図13B-1、
図13B-2及び
図13B-3のいずれの例においても、開口部201は、各プリズム102における導光体1の長手方向Lに沿った長さが短い側(
図13の下側)に偏って形成されている。各プリズム102における導光体1の長手方向Lに沿った長さが短い側(
図13の下側)においては、プリズム102で光が拡散されにくくなるが、その領域に対向する位置に偏って開口部201を形成し、当該領域におけるカバー部材2の底面2aでの反射光を減少させることにより、プリズム102の作用だけでは十分に低減できない光量のばらつきを抑制することができる。
【0054】
図14は、
図8の光拡散パターンPに対応する開口部201の別の例を示した図である。
図14Aは、
図8の光拡散パターンPを示しており、
図14B-1、
図14B-2及び
図14B-3は、それぞれカバー部材2の底面2aに形成された開口部201の別の例を示している。
【0055】
この例では、導光体1の長手方向Lに沿って複数の開口部201が並べて形成されている。各開口部201は導光体1の短手方向Sに沿って延びており、長手方向Lに間隔を隔てて互いに平行に配置されている。複数の開口部201が形成される範囲は、光拡散パターンPの各プリズム102が形成されている範囲Rに対向する範囲と略一致している。すなわち、導光体1の長手方向Lにおける一端部の開口部201と他端部の開口部201との距離は、各プリズム102が形成されている範囲Rに対応している。また、導光体1の短手方向Sに沿った各開口部201の長さは、導光体1の短手方向Sにおける一端部のプリズム102と他端部のプリズム102との距離に略一致していてもよい。
【0056】
図14B-1の例では、複数の開口部201により形成される全体の開口形状が矩形状である。すなわち、導光体1の長手方向Lに配列された各開口部201は、導光体1の短手方向Sに沿った長さが一定である。これに対して、
図14B-2及び
図14B-2の例では、導光体1の長手方向Lに配列された各開口部201は、導光体1の短手方向Sに沿った長さが長手方向Lの位置によって異なっている。
図14B-2の例では、複数の開口部201により形成される全体の開口形状は、台形状である。より具体的には、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った各開口部201の長さが徐々に減少している。
図14B-3の例でも、複数の開口部201により形成される全体の開口形状は台形状であるが、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った各開口部201の長さが徐々に増加している。
ただし、複数の開口部201により形成される全体の開口形状は、矩形状や台形状に限らず、三角形状などの他の形状であってもよい。
【0057】
図15は、
図11の光拡散パターンPに対応する開口部201の別の例を示した図である。
図15Aは、
図11の光拡散パターンPを示しており、
図15B-1、
図15B-2及び
図15B-3は、それぞれカバー部材2の底面2aに形成された開口部201の別の例を示している。
【0058】
この例では、導光体1の長手方向Lに沿って複数の開口部201が並べて形成されている。各開口部201は導光体1の短手方向Sに沿って延びており、長手方向Lに間隔を隔てて互いに平行に配置されている。複数の開口部201が形成される範囲は、光拡散パターンPの各プリズム102が形成されている範囲Rに対向する範囲と略一致している。すなわち、導光体1の長手方向Lにおける一端部の開口部201と他端部の開口部201との距離は、各プリズム102が形成されている範囲Rに対応している。導光体1の短手方向Sに沿った各開口部201の長さは、
図14の例よりも短く、短手方向Sの中心に対して一方に偏って形成されている。
【0059】
図15B-1の例では、複数の開口部201により形成される全体の開口形状が矩形状である。すなわち、導光体1の長手方向Lに配列された各開口部201は、導光体1の短手方向Sに沿った長さが一定である。これに対して、
図14B-2及び
図14B-2の例では、導光体1の長手方向Lに配列された各開口部201は、導光体1の短手方向Sに沿った長さが長手方向Lの位置によって異なっている。
図15B-2の例では、複数の開口部201により形成される全体の開口形状は、台形状である。より具体的には、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った各開口部201の長さが徐々に増加している。さらに具体的には、導光体1の短手方向Sの一端側(
図15の上側)における各開口部201の端部は長手方向Lに対して平行に並んでおり、短手方向Sの他端側(
図15の下側)における各開口部201の端部は長手方向Lに対して傾斜する方向に並んでいる。
図15B-3の例でも、複数の開口部201により形成される全体の開口形状は台形状であり、導光体1の長手方向Lの端面側から中央部側に向かって、導光体1の短手方向Sに沿った各開口部201の長さが徐々に増加しているが、形状が
図15B-2とは異なっている。具体的には、導光体1の短手方向Sの一端側(
図15の上側)における各開口部201の端部は長手方向Lに対して傾斜する方向に並んでおり、短手方向Sの他端側(
図15の下側)における各開口部201の端部は長手方向Lに対して平行に並んでいる。
ただし、複数の開口部201により形成される全体の開口形状は、矩形状や台形状に限らず、三角形状などの他の形状であってもよい。
【0060】
図12~
図15に例示したように、カバー部材2の底面2aに開口部201を設け、光拡散パターンPと共に用いることで、入光面近傍における急峻な強度分布の抑制精度が増大し、導光体1の長手方向Lの光強度分布がより均一になる。
【0061】
なお、カバー部材2は透明なカバーに限定されず、半透明、又は不透明なものであってもよい。例えばカバー部材2は、導光体1の光出射面以外の側面より漏れ出す光を再び導光体1内に反射させるために、反射率の高い白色樹脂の成形品、又はその白色樹脂を塗布した樹脂の成形品であってもよい。または、カバー部材2をステンレスやアルミニウムなどの金属体で形成してもよい。
【0062】
第2の光源部3は可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光を発光する光源であり、例えば近赤外、赤、緑、青の各波長の光を発する複数のLED(Light Emitting Diode)が用いられる。また、赤、緑、青を混在した白色光を発する場合、赤、緑、青の3色を同時点灯してもよいし、LED光源の封止剤に蛍光剤を混入し、蛍光による白色光を出してもよい。
第1の光源部4は、導光体1に対して紫外光を発光する光源であり、300nm~400nmの紫外光LED光源等が使用可能である。好ましくは330nm~380nmの範囲にピーク発光波長を有する紫外発光ダイオードが用いられる。
【0063】
第2の光源部3と第1の光源部4には、基板5に実装されるための端子31が形成されていて、この端子31を基板5に差込み、半田付けなどで接合することにより、それぞれ駆動電源(図示せず)に電気的に接続される。駆動電源は、第2の光源部3に電圧を印加する電極端子と第1の光源部4に電圧を印加する電極端子とを選択することにより、第2の光源部3及び第1の光源部4を同時に、若しくは時間的に切り替えて発光させることができる回路構成となっている。また第2の光源部3に内蔵された複数のLEDのうち任意のLEDを選択して同時に、若しくは時間的に切り替えて発光させることもできる。
【0064】
以上の構成により、コンパクトな構成で、第2の光源部3が設置される端面1eから可視光又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を導光体1に入射することができ、第1の光源部4が設置される端面1fから紫外光を導光体1に入射することができる。これにより、前記第1の光源部4から発光される光、又は前記第2の光源部3から発光される光を、前記導光体1の光出射側面1dから出射することができる。
【0065】
好ましくは、導光体1の第2の光源部3が設置される端面1eには、420nm以上の赤外光及び可視光を透過させ、400nm未満の紫外光を反射又は吸収することにより遮断する第2のフィルタ6が設けられている。また導光体1の第1の光源部4が設置される端面1fには、400nm未満の紫外光を透過させ、420nm以上の赤外光及び可視光を反射又は吸収することにより遮断する第1のフィルタ7が設けられている。
【0066】
第2のフィルタ6、第1のフィルタ7は、特に限定するものではなく目的とする波長域を遮断するものであれば材質・構造を問わない。例えば反射させるフィルタであれば、ガラス表面に透過率や屈折率の異なる金属酸化物もしくは誘電体の薄膜を多層蒸着することで得られる干渉フィルタ(バンドパスフィルタ)が好ましい。
反射させる干渉フィルタとしては、例えば、酸化珪素と五酸化タンタルなどを採用し、それぞれの透過率や屈折率及び膜厚を調整して多層蒸着することにより所望のバンドパスフィルタ特性を確保することで得られる。なお、当然ながら通常の光学関連産業用に従来から生産されているバンドパスフィルタで、要求性能を満足するものであれば採用に際して特に制限はない。
【0067】
第2のフィルタ6、第1のフィルタ7に干渉フィルタを用いる場合、前記干渉フィルタのみでは目的とする透過域を調整出来ない場合は、さらにその上に金属又はその酸化物、窒化物、フッ化物の薄膜を用いたフィルムを重ねることで所望の波長特性を確保することが可能である。
第2のフィルタ6が紫外光を吸収するフィルタであれば、有機系の紫外光吸収剤を透明フィルムに混入あるいはコーティングした紫外光吸収フィルムであってもよい。また、干渉フィルタで、例えば、酸化珪素と酸化チタンなどを採用し、それぞれの透過率や屈折率及び膜厚を調整して多層蒸着することにより紫外光を反射、吸収両機能により遮断することで所望波長特性を確保してもよい。
【0068】
また第1のフィルタ7が可視光、赤外光を吸収するフィルタであれば、紫外光を通過させ可視光、赤外光をカットする物質をフィルムの中に添加してもよい。
なお、第2のフィルタ6、第1のフィルタ7の導光体1への設置方法は任意であり、導光体1の端面1e,1fに塗布又は蒸着により被覆してもよい。またフィルム状もしくは板状の第2のフィルタ6、第1のフィルタ7を用意し、導光体1の端面1e,1fに密着させて、もしくは端面1e,1fから一定の距離をおいて取り付けてもよい。
また、第2のフィルタ6、第1のフィルタ7を導光体1の端面1e,1fに設けるのではなく、第2の光源部3、第1の光源部4に設けることも可能である。この場合、各光源部3,4にフィルタ6,7を塗布又は蒸着により被覆してもよいし、フィルム状もしくは板状のフィルタ6,7を用意し、各光源部3,4に密着させて取り付けてもよい。あるいは、第2の光源部3の封止剤に、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を透過させ、紫外光を遮断する物質を添加することにより、第2のフィルタ6を構成してもよい。同様に、第1の光源部4の封止剤に、紫外光を透過させ、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を遮断する物質を添加することにより、第1のフィルタ7を構成してもよい。
【0069】
第1のフィルタ7が、紫外光を透過させ、赤外光及び可視光を反射又は吸収するフィルタであれば、次のような利点がある。第1の光源部4が酸化アルミニウム・セラミックス焼結体など、紫外光が当たった時に波長690nm付近の蛍光を発する実装基体を採用している場合を想定する。紫外光が第1の光源部4から照射されるときに、その照射光が第1の光源部4の実装基体に当たり690nm付近の蛍光が二次照射されて導光体1の中に入ることを防止する必要がある。そこで、第1のフィルタ7を、赤外光及び可視光を反射又は吸収するように設計することにより、二次照射された蛍光が導光体1の中に入らないようにすれば、導光体1の光出射側面1dからの不要な蛍光の出射を防止することができ、紙葉類の紫外蛍光のコントラストを良くすることができる。なお、紫外光が蛍光するものは酸化アルミニウム・セラミックス焼結体だけでなく、封止樹脂が蛍光する場合についても同様に二次照射を防ぐことができる。
【0070】
第2のフィルタ6が、赤外光及び可視光を透過させ、紫外光を反射又は吸収するフィルタであれば、次のような利点がある。第2の光源部3が酸化アルミニウム・セラミックス焼結体など、紫外光が当たった時に波長690nm付近の蛍光を発する実装基体を採用している場合を想定する。第1の光源部4から照射された紫外光が導光体1の端面1eを通過して第2の光源部3に当たると、690nm付近の蛍光が第2の光源部3から二次照射されて導光体1の中に入って来るので、これを防止する必要がある。そこで、第2のフィルタ6を、紫外光を反射又は吸収するように設計することにより、紫外光が導光体1の端面1eから外に出ないようにすれば第2の光源部3に当たることがない。したがって、導光体1の光出射側面1dからの不要な蛍光の出射を防止することができる。その結果、紙葉類の紫外蛍光のコントラストを良くすることができる。
【0071】
本発明の実施の形態では、第2のフィルタ6が赤外光及び可視光を透過させ、紫外光を反射するフィルタの方が好ましく、次のような利点がある。第1の光源部4から導光体1に入射され第2のフィルタ6で反射し導光体1に戻る紫外光の光量が増加するので、結果として、導光体1の光出射側面1dからの紫外光の出射光量が増大するという効果が得られる。この場合第2のフィルタ6は第2の光源部3から照射される赤外光及び可視光を透過させるので、第2の光源部3からの赤外光及び可視光が導光体1に入るのを妨げることもない。
【0072】
また第1のフィルタ7が紫外光を透過させ、可視光、赤外光を反射するフィルタであれば、第2の光源部3から照射され、導光体1に入射され第1のフィルタ7で反射し導光体1に戻る可視光、赤外光の光量が増加するので、結果として、導光体1の光出射側面1dからの可視光、赤外光の出射光量が増大するという効果が得られる。また第1のフィルタ7は第1の光源部4から照射される紫外光を透過させるので、導光体1の光出射側面1dからの紫外光の出射も可能になる。
【0073】
更に、導光体1の光拡散パターン形成面1gに従来の光拡散パターン101に加え、光拡散パターン102を設けることにより急峻な強度分布の抑制効果を発揮することが可能になる。また更に、光拡散パターン102に加え導光体1のカバー部材2の光源部3,4に近い入光部近傍において、光拡散パターン102に対向する面に開口部201を設けることにより高精度に導光体1の長手方向における光強度分布が調整可能になる。
また、本実施形態では、主として紫外光源と可視・近赤外光源とを対向させて用いる例について述べたが、紫外光源のみ片側光源として配置する構成や、可視光源及び近赤外光源の少なくとも一方を片側光源として配置する構成であってもよい。すなわち、光源部は、導光体1の長手方向Lの両端部に配置された構成に限らず、いずれか一方の端部にのみ配置された構成であってもよい。また、紫外光源と可視光源を対向させて配置する構成、或いは、紫外光源と近赤外光源を対向配置した構成でもよく、また、各々の光源に適した分布をとることも可能である。
ちなみに、本実施形態で主に述べた導光体1の長手方向Lに延びるプリズム102は、紫外光源側と可視・近赤外光源側とで異なるプリズムパターンを用いている。
【0074】
図16は、各波長の光に対するカバー部材2の透過率の測定結果を示した図である。この
図16では、複数の製品A,Bについて各波長の光の透過率が示されている。
図16が示す測定結果の通り、波長が400nm以下の紫外領域においては、カバー部材2による光の吸収率が急激に増加する。したがって、紫外光源からの光に対しては、カバー部材2における開口部201の有無にかかわらずカバー部材2からの反射光は少ないため、開口部201を形成することにより入光面近傍における急峻な強度分布の抑制精度を増大させることは困難である。そのため、導光体1の長手方向Lに延びるプリズム102は、紫外光源に対し、極めて有効である。
【0075】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、以上の形態に限定されるものではない。例えば本発明では、第2の光源部3は可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光を発光する光源であったが、可視光のみを発光する光源であってもよい。また光拡散パターンPの形成面を、導光体1の光出射面1dを除く任意の面に配置することができる。例えば光拡散パターンを底側面1aに形成して、これを光拡散パターンPの形成面としてもよい(この場合底側面1aと左右側面1bとの間に斜めに面を形成する必要はない)。その他本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 導光体
1a 底側面
1d 光出射側面
1e 第2の端面
1f 第1の端面
1g 光拡散パターン形成面
3 第2の光源部
4 第1の光源部
6 第2のフィルタ
7 第1のフィルタ
10 ライン照明光源
11 レンズアレイ
12 受光部
15 第3のフィルタ
P 光拡散パターン
Mz ミキシングゾーン
101,102 プリズム
201 開口部