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特許7265632生体分子分析方法および生体分子分析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】生体分子分析方法および生体分子分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/76 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
G01N21/76
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021536547
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2019030018
(87)【国際公開番号】W WO2021019732
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(73)【特許権者】
【識別番号】501196013
【氏名又は名称】エフ・ホフマン・ラ・ロッシュ・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN LA ROCHE AG
【住所又は居所原語表記】GRENZACHERSTRASSE 124, CH‐4070 BASEL, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】今井 恭子
(72)【発明者】
【氏名】パオルッチ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】マルカッチオ マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティ ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】ザヌト アレッサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィントフーア ミカエラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼル ハンス-ペーター
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-515251(JP,A)
【文献】国際公開第2007/002580(WO,A2)
【文献】特表2013-542436(JP,A)
【文献】特表2016-522417(JP,A)
【文献】特表2019-512665(JP,A)
【文献】特表2008-504528(JP,A)
【文献】特表2009-500020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/75 - G01N 21/78
G01N 33/48 - G01N 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験物質、発光剤が標識された前記被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁性支持体、及び、前記発光剤の反応を補助する反応補助剤としての直鎖状のアルキル鎖のみを有する第一の脂肪族アミンと分岐構造を有するアルキル鎖を少なくとも一つ有する第二の脂肪族アミンを含む溶液をフローセル中に流す流入工程と、
磁力発生装置による磁場によって、作用電極上に前記磁性支持体を捕捉する捕捉工程と、
前記作用電極に電圧を印加することによって前記発光剤を発光させる発光工程と、
前記発光剤の発光量を計測する計測工程と、を有する生体分子分析方法において、
前記発光工程は、前記反応補助剤である前記第一の脂肪族アミンからカチオンラジカルを介して生成される第一の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、カチオンラジカルを介さずに前記第二の脂肪族アミンの電極上での酸化反応に続く窒素・炭素間結合の解離に応じて生成される第二の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、を含むことを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項2】
被験物質、発光剤が標識された前記被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁性支持体、及び、前記発光剤の反応を補助する反応補助剤としての直鎖状のアルキル鎖のみを有する第一の脂肪族アミンとアルキル鎖中に不飽和結合を有する第二の脂肪族アミンを含む溶液をフローセル中に流す流入工程と、
磁力発生装置による磁場によって、作用電極上に前記磁性支持体を捕捉する捕捉工程と、
前記作用電極に電圧を印加することによって前記発光剤を発光させる発光工程と、
前記発光剤の発光量を計測する計測工程と、を有する生体分子分析方法において、
前記発光工程は、前記反応補助剤である前記第一の脂肪族アミンからカチオンラジカルを介して生成される第一の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、カチオンラジカルを介さずに前記第二の脂肪族アミンの電極上での酸化反応に続く窒素・炭素間結合の解離に応じて生成される第二の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、を含むことを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項3】
被験物質、発光剤が標識された前記被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁性支持体、及び、前記発光剤の反応を補助する反応補助剤としての直鎖状のアルキル鎖のみを有する第一の脂肪族アミンとアルキル鎖中にヒドロキシル基およびハロゲン原子を有する第二の脂肪族アミンを含む溶液をフローセル中に流す流入工程と、
磁力発生装置による磁場によって、作用電極上に前記磁性支持体を捕捉する捕捉工程と、
前記作用電極に電圧を印加することによって前記発光剤を発光させる発光工程と、
前記発光剤の発光量を計測する計測工程と、を有する生体分子分析方法において、
前記発光工程は、前記反応補助剤である前記第一の脂肪族アミンからカチオンラジカルを介して生成される第一の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、カチオンラジカルを介さずに前記第二の脂肪族アミンの電極上での酸化反応に続く窒素・炭素間結合の解離に応じて生成される第二の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、を含むことを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の生体分子分析方法において、
第一の脂肪族アミンは、トリプロピルアミンであることを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項に記載の生体分子分析方法において、
前記第二の脂肪族アミンは、ジプロピルイソブチルアミンであることを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項6】
請求項1~3の何れか1項に記載の生体分子分析方法において、
前記第二の脂肪族アミンは、ジイソプロピルエチルアミンであることを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項7】
請求項1~3の何れか1項に記載の生体分子分析方法において、
前記磁性支持体は、直径が1ミクロン以下の磁性粒子であることを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項8】
請求項記載の生体分子分析方法において、
前記被験物質の種類に応じて、少なくとも二種類以上の粒径を有する磁性粒子から使用する前記磁性粒子を選択することを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項9】
請求項1~3の何れか1項に記載の生体分子分析方法において、
前記被験物質の種類に応じて、前記第一の脂肪族アミンと、前記第二の脂肪族アミンの含有割合を調整することを特徴とする生体分子分析方法。
【請求項10】
フローセルと、
前記フローセルの内部に配置された作用電極、対抗電極、及び参照電極と、
被験物質、発光剤が標識された前記被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁性支持体、及び、前記発光剤の反応を補助する反応補助剤としての直鎖状のアルキル鎖のみを有する第一の脂肪族アミンと分岐構造を有するアルキル鎖を少なくとも一つ有する第二の脂肪族アミンを含む溶液をフローセル中に流入させ、磁力発生装置による磁場によって、作用電極上に前記磁性支持体を捕捉し、前記作用電極に電圧を印加することによって前記発光剤を発光させ、前記発光剤の発光量を計測装置により計測する分析処理を行う制御装置と、を備えた生体分子分析装置において、
前記溶液は、前記反応補助剤である前記第一の脂肪族アミンからカチオンラジカルを介して生成されて前記発光剤の発光に作用する第一の中性ラジカルと、カチオンラジカルを介さずに前記第二の脂肪族アミンの電極上での酸化反応に続く窒素・炭素間結合の解離に応じて生成され、前記発光剤の発光に作用する第二の中性ラジカルと、を含むことを特徴とする生体分子分析装置。
【請求項11】
フローセルと、
前記フローセルの内部に配置された作用電極、対抗電極、及び参照電極と、
被験物質、発光剤が標識された前記被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁性支持体、及び、前記発光剤の反応を補助する反応補助剤としての直鎖状のアルキル鎖のみを有する第一の脂肪族アミンとアルキル鎖中に不飽和結合を有する第二の脂肪族アミンを含む溶液をフローセル中に流入させ、磁力発生装置による磁場によって、作用電極上に前記磁性支持体を捕捉し、前記作用電極に電圧を印加することによって前記発光剤を発光させ、前記発光剤の発光量を計測装置により計測する分析処理を行う制御装置と、を備えた生体分子分析装置において、
前記溶液は、前記反応補助剤である前記第一の脂肪族アミンからカチオンラジカルを介して生成されて前記発光剤の発光に作用する第一の中性ラジカルと、カチオンラジカルを介さずに前記第二の脂肪族アミンの電極上での酸化反応に続く窒素・炭素間結合の解離に応じて生成され、前記発光剤の発光に作用する第二の中性ラジカルと、を含むことを特徴とする生体分子分析装置。
【請求項12】
フローセルと、
前記フローセルの内部に配置された作用電極、対抗電極、及び参照電極と、
被験物質、発光剤が標識された前記被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁性支持体、及び、前記発光剤の反応を補助する反応補助剤としての直鎖状のアルキル鎖のみを有する第一の脂肪族アミンとアルキル鎖中にヒドロキシル基およびハロゲン原子を有する第二の脂肪族アミンを含む溶液をフローセル中に流入させ、磁力発生装置による磁場によって、作用電極上に前記磁性支持体を捕捉し、前記作用電極に電圧を印加することによって前記発光剤を発光させ、前記発光剤の発光量を計測装置により計測する分析処理を行う制御装置と、を備えた生体分子分析装置において、
前記溶液は、前記反応補助剤である前記第一の脂肪族アミンからカチオンラジカルを介して生成されて前記発光剤の発光に作用する第一の中性ラジカルと、カチオンラジカルを介さずに前記第二の脂肪族アミンの電極上での酸化反応に続く窒素・炭素間結合の解離に応じて生成され、前記発光剤の発光に作用する第二の中性ラジカルと、を含むことを特徴とする生体分子分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体分子分析方法および生体分子分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気化学発光(ECL:Electrogenerated Chemi Luminescence)法を基にした、生体分子分析方法が開発されている。ECL法は、作用電極、対抗電極及び参照電極を有するフローセル中に、アミンなどの反応補助剤、ルテニウム錯体などの発光材を含む溶液を入れ、反応補助剤の酸化電位以上の電位を印可することで、反応補助剤のラジカル種を生成させ、そのラジカル種と発光材との反応により、発光材の励起状態を形成させ、その発光を測定する方法である。
【0003】
このようなECL法に係るものとして、例えば、特許文献1には、発光材で修飾された抗体と分析対象分子を含むサンドイッチ複合体を磁気微粒子などの支持体上に形成し、それを電極上に磁場などの外部力で固定させた後、電圧を印可することでECLを発生させ、分析対象分子の濃度に依存するECL発光強度を測定することにより、分析対象分子の濃度を推定する技術が開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、反応補助剤としてトリプロピルアミン(TPrA)、発光材としてルテニウムビピリジル錯体を用いた系に関して、ECLの発生する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-502964号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Wujian Miao, Jai-Pil Choi, and Allen J. Bard, “The Tris(2,2‘-bipyridine)ruthenium(II), (Ru(bpy)3^2+)/Tri-n-propylamine (TPrA) System Revisited - A New Route Involving TPrA・+ Cation Radicals”, Journal of American Chemical Society 124(48), (2002), pp 14478-14485
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ECL法を基にした生体分子分析方法は、がんや心臓疾患の早期診断のための血中マーカーの定量化に用いるための研究が盛んにおこなわれ、また、一部は臨床診断に応用されつつあり、そのような分野においては、検出感度のさらなる高感度化が求められている。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ECLの発光効率を高めることにより、検出感度を高めることができる生体分子分析方法および生体分子分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、被験物質、発光剤が標識された前記被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁性支持体、及び、前記発光剤の反応を補助する反応補助剤を含む溶液をフローセル中に流す流入工程と、磁力発生装置による磁場によって、作用電極上に前記磁性支持体を捕捉する捕捉工程と、前記作用電極に電圧を印加することによって前記発光剤を発光させる発光工程と、前記発光剤の発光量を計測する計測工程とを有する生体分子分析方法において、前記発光工程は、前記反応補助剤からカチオンラジカルを介して生成される第一の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、カチオンラジカルを介さずに生成される第二の中性ラジカルの前記発光剤への作用による発光と、を含むものとする。
【発明の効果】
【0010】
ECLの発光効率を高めることにより、検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係る生体分子分析装置の要部を抜き出して模式的に示す図。
図2】電気化学発光の基本原理を説明する図。
図3】磁気微粒子の直径と単位表面積当たりのルテニウム錯体分子数の関係を示すグラフ。
図4】ECLの発光強度を観察した様子の一例を示す図。
図5】磁気粒子の直径とECLの発光強度との関係を示す図。
図6】マイクロ電極と発光材を固定した面との距離とECL発光強度との関係を調べるのに用いた測定システムを示す図。
図7】発光材を固定した面と電極との距離とECL発光強度との関係を示す図。
図8】ラジカル種の移動とECL発光強度との関係を示す図。
図9】第1の実施の形態に係る電気化学発光の反応過程を説明する図。
図10】第一のアミン化合物に対する第二のアミン化合物の添加量を変えた場合のECL発光強度の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、第1の実施の形態を図1図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る生体分子分析装置の要部を抜き出して模式的に示す図である。
【0015】
図1において、生体分子分析装置100は、フローセル101と、フローセル101の内部に配置された作用電極102、対抗電極103、及び参照電極104と、被験物質、発光剤が標識された被験物質を認識する抗体を含む複合体が表面に形成された磁気ビーズ106(磁性支持体)、及び、発光剤の反応を補助する反応補助剤を含む溶液(後に詳述)をフローセル101中の流路110に流入させ、磁石位置制御装置108によってフローセル101及び作用電極102の近傍に移動された磁石107(磁力発生装置)による磁場によって、作用電極102上に磁気ビーズ106を捕捉し、制御装置105によって作用電極102に電圧を印加することで発光剤を発光させ、発光剤の発光量を電気化学発光検出装置109により計測する分析処理を行う制御装置105とを備えている。制御装置105は、生体分子分析装置100の全体の動作を制御するものであり、磁石位置制御装置108による磁石107の位置の制御、ポテンシオスタット(電圧制御装置)としての各電極への印加電圧の制御、電気化学発光検出装置109による検出結果の解析処理の制御などを行う。
【0016】
本実施の形態は、試料中の生体分子を、免疫認識を利用して捕捉・標識を行うことで分析するものであり、特に、免疫認識によって形成されるサンドイッチ錯体の支持体として磁気微粒子を用いる場合について説明するものである。本実施の形態のように、支持体に磁気微粒子を用いることで、反応物と未反応物を磁気分離することが可能となり、高速かつ高感度な分析を行うことができる。
【0017】
この場合、サンドイッチ錯体は、磁気微粒子と分析対象生体分子を結びつける捕獲抗体と、生体分子、生体分子を結びつけるラベル材に結びつけられた検出抗体とから形成される。その結果、サンドイッチ錯体は、磁気微粒子上に固定される。磁気微粒子は電極上に外部磁力等により捉えられる。そのため、ルテニウムビピリジル錯体などのラベル材は、直接電極により酸化還元されることはない。そのため、電極によって酸化還元され、その影響をラベル材に反映させる、いわゆる反応補助剤が必要になる。本実施の形態では、反応補助剤としてトリプロピルアミン(Tripropylamine: TPrA)を用い、電極表面で形成された反応補助剤のラジカル種がラベル材と反応するようにすることで、ラベル材の活性種を形成させて、その失活過程における電気化学発光(ECL:Electrogenerated ChemiLuminescence)を生じさせる。
【0018】
まず、本実施の形態における電気化学発光(ECL:Electrogenerated Chemi Luminescence)発生の基本原理について説明する。
【0019】
図2は、電気化学発光(ECL)発生の基本原理を説明する図である。
【0020】
図2においては、反応補助剤としてトリプロピルアミン(TPrA)を、発光材としてルテニウムビピリジル錯体(Ru)を用いた系について示している。
【0021】
図2では、まず、TPrAが電極上で酸化され、TPrAカチオンラジカルが生成する。その後、TPrAカチオンラジカルがプロトン引き抜き反応によってTPRAラジカル(中性)が生じる。ルテニウムビピリジル錯体(2+)とTPrAラジカル(中性)とが反応し、ルテニウムビピリジル錯体(1+)が生成する。さらに、TPrAカチオンラジカルとルテニウムビピリジル錯体(1+)が反応することで、ルテニウムビピリジル錯体(2+)の励起状態が形成され、これが発光することでECLが生じる。
【0022】
ECLの発光効率は、反応補助剤のラジカル種の寿命内にラジカル種が磁気微粒子上のルテニウム錯体に到達する確率と関係しており、その到達確率を上げることで発光効率を上げることができると考えられる。そこで、発光確率を上げる方法を検討するにあたり、まず、磁気微粒子の直径とECLの発光強度の関係を得るべく以下の検証を行った。
【0023】
図3は、磁気微粒子の直径と単位表面積当たりのルテニウム錯体分子数の関係を示すグラフである。
【0024】
図3の関係を得るにあたり、まず、磁気微粒子として、ストレプトアビジンを表面にコートしてある、直径2.8μm(thermo fisher社製 Dynabeads M-270 Streptavidin)、直径1μm(thermo fisher社製 Dynabeads MyOne Streptavidin T1)、直径0.5μm(ademtech社製 Bio-MasterBeads Streptavidin 500nm)、直径0.3μm(ademtech社製 Bio-Adembeads Streptavidin 300nm)を用意した。また、抗体(Abcam社製 ab403)に対して、同仁化学社製Biotin Labeling Kit -SHを用いて、ビオチンを修飾した後、ルテニウムビピリジル錯体標識分子(Sigma Aldrich社製 Bis(2,2′-bipyridine)-4′-methyl-4-carboxybipyridine-ruthenium N-succinimidyl ester-bis(hexafluorophosphate))と反応させることで、ルテニウムビピリジル錯体標識を施した、ビオチン化抗体を作製した。このルテニウムビピリジル錯体標識を施したビオチン化抗体とストレプトアビジンコートした磁気微粒子とを反応させることで、ルテニウムビピリジル錯体が固定された、各種サイズの磁気微粒子を得た。
【0025】
また、磁気微粒子上のルテニウム錯体の量は、誘導結合プラズマ質量分析計で定量した。所定量の磁気微粒子分散液に硝酸・塩酸混合液を加え、酸分解装置により80℃で溶解させて、試料を調整した。質量分析計の測定方法は、内標準法により測定し、内標準元素にY(20ng/ml)を用いた。磁気微粒子の濃度は、各メーカーから提供されるデータシート記載の値を採用した。これらの値から、図3に示した関係が得られる。
【0026】
図4は、ECLの発光強度を観察した様子の一例を示す図である。また、図5は、磁気粒子の直径とECLの発光強度との関係を示す図である。
【0027】
ECLの発光強度計測においては、磁気微粒子を集団として観察すると、磁気微粒子が重なって基板上に固定されてしまい発光強度に影響が出ること、また、発光強度が基板上の磁気微粒子数に大きく依存するがその数を正確に把握し補正することが困難であることなどの理由から、1個の磁気微粒子ごとにその発光強度を求めることとした。
【0028】
具体的には、作用電極、対抗電極、及び参照電極(Ag/AgCl)を配置した、電極間距離0.5mmのフローセルを用意し、そこに、ルテニウムビピリジル錯体を固定した各種サイズ(直径)の磁気微粒子溶液を封入した。同一条件でサイズの異なる磁気微粒子からの発光を計測するため、直径2.8μmと0.3μmの磁気微粒子、直径2.8μmと0.5μmの磁気微粒子、直径2.8μmと1μmの磁気微粒子の組をそれぞれ一緒にフローセルに封入し、両者の発光強度の違いをそれぞれの組において計測した。計測は、フローセルを顕微鏡下に置き、対物レンズ(×100)で発光を集めた後、EM-CCD(Electro Multiplying Charge Coupled Device:電子増倍CCD、浜松フォトニクス社製9100-13)で発光画像を取得した。図4には、直径2.8μmと1μmの磁気微粒子を観察した画像を例として示している。数値処理には、画像処理ソフトImageJを用い、輝点を囲む一定の面積内のピクセル当たりの強度の積算値を求め、輝点のない領域をバックグラウンド(BG)として差し引くことで信号値を算出した。
【0029】
また、この信号値とルテニウム錯体分子数との比を算出し、その比を直径2.8μmの磁気微粒子の値との比率として求めた。図5に示すように、ECL発光効率は、磁気微粒子の直径が小さくなるほど顕著に増大しており、直径2.8μmに比べて1.0μmでは約2倍、直径0.3μmでは約7倍、ECL発光効率が高くなっている。したがって、支持体として用いる磁気微粒子を小径化することにより、ECL発光を増加させる、発光効率を向上することができるという知見を得た。特に、直径が1μm以下の磁気微粒子を用いることにより、より高い発光効率の向上が期待できる。
【0030】
図5においては、本実施の形態における検証結果との比較例として、従来技術(非特許文献1参照)における、マイクロ電極と基板(ルテニウム錯体が固定されている)との距離とECL発光強度との関係を実線で示し、また、距離が1μm以下の範囲において予想される関係を外挿線(点線)で示している。
【0031】
図5から明らかなように、本実施の形態においては、従来技術から予想される結果と著しく異なり、ルテニウム錯体と電極との距離が1μmよりも短くなるとECL発光効率が大きく向上する。これは、言い換えると、直径1μm以下の磁気微粒子を用いることで、はるかに大きくECL発光効率を向上することができることを示している。
【0032】
ここでさらに、磁気微粒子の小径化の効果を確認するため、発光面の近傍に配置したマイクロマニピュレータを用い、マイクロ電極とルテニウム錯体を固定した基板との距離とECL発光強度との関係を調べた。
【0033】
図6は、マイクロ電極と発光材を固定した面との距離とECL発光強度との関係を調べるのに用いた測定システムを示す図である。
【0034】
図6に示すように測定システムにはマイクロマニピュレータ(SECM(Scanning Electrochemical Microscopy):CH Instruments社製 CHI910B)を用い、作用電極には直径1.3mmの白金ワイヤー(Pt electrode)を、対抗電極には白金線を、参照電極にはAg/AgCl(3M)を用いた。また、基板には、ルテニウムビピリジル錯体を固定したITO(酸化スズドープ酸化インジウム)ガラス基板を用いた。あらかじめ、ITOガラス基板表面にアミノシランを塗布しておき、この上に、ルテニウムビピリジル錯体標識分子(Sigma Aldrich社製 Bis(2,2′-bipyridine)-4′-methyl-4-carboxybipyridine-ruthenium N-succinimidyl ester-bis(hexafluorophosphate))を反応させてルテニウムビピリジル錯体を固定した。
【0035】
また、反応補助剤としてTPrAを180mM溶かしたリン酸バッファー(pH6.8)を微小容器に入れ、対抗電極、参照電極、ITOガラス基板を浸し、さらに白金マイクロ電極を溶液中に挿入し、その挿入位置をSECM装置で制御した。微小容器の底には直径3mm程度の貫通穴を設け、Oリングで液漏れを遮断し、倒立顕微鏡の試料台に設置した。ECL発光はこの貫通穴を通して対物レンズ(×4)で集光した後、EM-CCD(浜松フォトニクス社製9100-13)で発光画像を取得した。電流をモニターしながら白金マイクロ電極をITO基板に接近させ、電極がITO基板に接触すると、電極の面積が極端に広くなることからスパイク状に電流の増大が認められた。この電極位置を、基準(距離0(ゼロ))とした。電極の位置を基板からの距離で、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.5μm、0.7μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.8μmと変化させ、また、電圧を0Vから1.4Vまで掃引してその時のECL発光像を取得した。
【0036】
図7は、発光材を固定した面と電極との距離とECL発光強度との関係を示す図である。
【0037】
図7においては、ECL発光強度を距離2.8μmでのECL発光強度で規格化して示している。本検証では、電極の位置がITO基板に近くなるほど、電圧掃引に伴ってECL発光像が明るく輝くことが確認できた。図7では、図6で示した、磁気微粒子の直径とECL発光強度との関係と同様に、基板と電極との距離が1μm以下となるとECL発光強度が急激に増加していることがわかる。また、その増加比率は、図6で示した場合と非常によく一致していることが分かる。
【0038】
以上のように、磁気微粒子の直径とECL発光強度の関係、及び、ルテニウム錯体と電極間の距離の関係は、非常に良い相関が得られた。また、その関係は、従来技術から予想される結果とは全く異なることが分かった。すなわち、これらの結果は、ルテニウム錯体が電極に近い位置(<1μm)に配置されている場合と、遠い位置(>1μm)に配置されている場合とでは、異なる仕組みでECLの発光が起こることを示している。さらにいえば、ルテニウム錯体が電極に近い位置(<1μm)に配置されている場合にECL発光強度が向上する要因は、電極近傍でのラジカル種の存在量が多いためと考えられる。また、電極から遠い位置ではECLの発光強度が低下している(すなわち、ラジカル種の効果が消失している)ことから、ラジカル種の寿命は非常に短いものと考えられる。
【0039】
電極上で生じたラジカル種は拡散で分散すると考えると、拡散係数D、時間tで到達する距離dは下記の(式1)で与えられる。
t=d2/(36D) ・・・(式1)
【0040】
図8は、ラジカル種の移動時間とECL発光強度との関係を示す図である。
【0041】
図8においては、拡散係数Dを5×10^-6(cm/s)とし、距離dを到達時間に変換し、ECL発光強度を最大値で規格化した後、対数を取っている。図8においては、長寿命成分と短寿命成分の2成分が存在していることが分かる。長寿命成分(到達距離1μm以上の領域)の半減時間は0.3ms~0.7msである。これは、従来技術における、電子スピン共鳴で求められたTPrAのカチオンラジカルの寿命(0.2ms)に非常に近い値である。一方、短寿命成分の寿命は約5μsであり、寿命の短いラジカル種が関与していることが分かる。
【0042】
また、最大のECL発光強度を生じる電位を調べると、約1.4V(対Ag/AgCl)であり、この電位で生じるラジカル種は、TPrAの酸化反応で生じるものと考えられる。脂肪族アミンのカチオンラジカル種の反応素過程は古くから知られており、例えば、電極上での酸化反応で生じたカチオンラジカルから、炭素-窒素原子間の結合の開裂が起こり、生成した中性ラジカル(不対電子は窒素原子に局在)は非常に短寿命である(例えば、Journal of American Chemical Society 34, (1969), pp 1821-1826、等参照)。さらに、この中性ラジカルは、他の脂肪族アミン分子からプロトンを引き抜き、他の脂肪族アミン分子の中性ラジカル(不対電子はα炭素原子に局在)を生じる。結果的に、TPrAの中性ラジカル(不対電子はα炭素原子に局在)ができることになるため、ルテニウム錯体の励起状態(図2参照)を作るうえで欠かせないラジカル種が、基本原理における反応過程(以降、第一の反応過程と称する)とは異なる、新たな反応過程(以降、第二の反応過程と称する)でより多く生成されることになる。中間生成物の中性ラジカル(不対電子は窒素原子に局在)は非常に短寿命であることから、この新たな反応過程(第二の反応過程)は電極近傍でのみ有効に働いているものと考えられる。
【0043】
図9は、本実施の形態に係る電気化学発光の反応過程を説明する図である。
【0044】
電極近傍の領域では、TPrAのカチオンラジカルからプロトンが引き抜かれて中性ラジカル(不対電子はα炭素原子に局在)が生成されるという第一の反応過程に加えて、電極上での酸化に伴いC-N結合が開裂されて中性ラジカル(不対電子は窒素原子に局在)が生じ、他の脂肪族アミン分子から水素を引き抜くことで中性ラジカル(不対電子はα炭素原子に局在)が生じる、第二の反応過程によっても中性ラジカルが生じるため、より高い効率でルテニウム錯体の励起状態が形成され、ECL発光強度が高くなる。
【0045】
第二の反応過程におけるECL発光メカニズムは、磁気微粒子が直径1μm以下(より好ましくは、直径0.5μm以下)であれば有効に働き、ECL発光強度が著しく増加する。すなわち、磁気微粒子として直径1μm位下(より好ましくは、直径0.5μm以下)のものを用いることで、新たな反応過程におけるECL発光が生じるので、高感度化を図ることができる。さらに、用いる磁気微粒子の粒径を調整することで、検出感度を調整できる。したがって、少なくとも二種類以上の粒径を有する磁性粒子を支持体として具備し、被験物質の種類に応じて、使用する磁性粒子を選択することで、最適の感度で分析することができる。
【0046】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態を、図10を参照しつつ詳細に説明する。
【0047】
本実施の形態は、第1の実施の形態に示したような径の小さい磁気微粒子を用いる場合には集磁に時間がかかり、スループットが低下するという懸念に鑑み、磁気微粒子としてハンドリングしやすい直径1μm以上(より好ましくは2.8μm程度)の磁気微粒子を用いた場合にも、第一の反応過程における反応補助剤(以降、第一の反応補助剤または第一のアミン化合物と称する)とは異なる特定のアミン化合物(以降、第二の反応補助剤または第二のアミン化合物と称する)を添加することによって第二の反応過程に準ずる新たな反応過程(以降、第三の反応過程と称する)を経ることにより、検出感度の高感度化を図るものである。
【0048】
本実施の形態においては、具体的には、溶液中に、電気化学的酸化に伴ってC-N結合が開裂されるアミン化合物(脂肪族アミン)を第二のアミン化合物として添加する。この第二のアミン化合物を添加することにより、アルキル基を消失した2級アミンラジカルが生成し、これが第一の反応補助剤のアミンから水素を引き抜き、第一の反応補助剤の中性ラジカルが生成する(以降、第三の反応過程と称する)。すなわち、第一の反応補助剤のアミンが電極上で酸化されたカチオンラジカルを経由してその中性ラジカルが形成される第一の反応過程に加えて、第三の反応過程によって中性ラジカルが形成される。
【0049】
このように、本実施の形態においては、第一の反応過程に加えて第二の反応過程を経るように構成することで、(1)中性ラジカル種の生成量が増える、(2)第二の反応過程の方が第一の反応過程よりも中性ラジカルの生成速度が速い、(3)ECL発光に必須の第一の反応補助剤のカチオンラジカルを経由しないためにカチオンラジカルの量を保持したまま第一の反応補助剤の中性ラジカル種を形成することができる、という効果をえることができる。すなわち、第二のアミン化合物を添加することにより、ECLの発光量を格段に向上することができる。
【0050】
なお、第二のアミン化合物に必要な条件は、電気化学的酸化に伴ってC-N結合が開裂されることであり、C-N結合開裂後に形成されるカルボカチオンの安定性が担保されることである。そのためには、第二のアミン化合物は、電荷の非局在化に適する構造を有することが好ましく、不飽和結合を有することが好ましい。すなわち、第二のアミン化合物(第二の反応補助剤)としては、例えば、1-アリルピペリジンや、1-アリルピロリジンなどが挙げられる。
【0051】
また、カルボカチオンの安定性に有利な構造として、解離する炭素鎖内にヒドロキシル基、あるいは、ハロゲン基を有することが好ましい。
【0052】
さらに、第二のアミン化合物に必要な条件は、電極上で酸化しやすいことが必要であり、また、低エネルギーの最高被占軌道が有利である。そのためには、分岐構造を有するアミンであることが好ましい。すなわち、第二のアミン化合物(第二の反応補助剤)としては、例えば、ジイソブチルーイソブチルアミン、ジイソブチループロピルアミン、N,N-ジプロピル-N-(セコ-ブチル)アミン、N,N-ジ(セコーブチル)-N-プロピルアミンなどが挙げられる。
【0053】
なお、第一のアミン化合物(第一の反応補助剤)としては、高い発光強度を示すTPrAを用いることが好ましいが、脂肪族アミンとしては、各々のアルキル基が炭素原子数1~4である第一、第二および第三アルキルアミンのような脂肪族アミン、或いは、置換脂肪族アミンを用いてもよい。具体的には、第一のアミン化合物として、例えば、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)-オクタン、1-ピペリジンエタノール、1,4-ピペラジン-ビス-(エタン-スルホン酸)およびトリーイソプロピルアミンなどを用いてもよい。
【0054】
図10は、第一のアミン化合物に対する第二のアミン化合物の添加量を変えた場合のECL発光強度の変化を示す図である。図10においては、第一のアミン化合物としてTPrA、第二のアミン化合物としてジプロピル-イソブチルアミン(dipropyl-isobutylamine: DPIBA)を用い、その混合割合を変えながらECL発光強度を計測している。
【0055】
図10に示すように、TPrA単独(180mM)の場合に比較して、DPIBAを添加していくとECL発光強度が増加し、DPIBAの添加量が50mMの場合にECL発光強度が最大値(極大値)を示した。また、さらにDPIBAの添加量を増やすとECL発光強度が減少に転じている。
【0056】
また、DPIBA単独(180mM)の場合には、ECL発光強度が極端に弱いことから、DPIBAだけを用いる場合は反応補助剤としての機能が非常に低いと考えられる。
【0057】
一方で、TPrA(180mM)に、単独では反応補助機能の低いアミン化合物(DPIBA10mM)を加えることでECL強度が飛躍的に高くなっている。したがって、TPrAにDPIBAを加えていくことで、TPrA単独での反応に加えて、第二の反応過程に準ずる第三の反応過程で生じるTPrA中性ラジカル形成が大きく寄与したため、ECL発光強度が高くなったものと考えられる。
【0058】
また、DPIBAを50mM以上加えると、TPrAの酸化反応とDPIBAの酸化反応が競合して起きてしまい、結果として反応補助剤の働きの悪いDPIBAの反応過程の影響が出てしまい、最終的なECL発光強度が減少してしまったものと考えられる。
【0059】
以上のように、TPrAに代表される直鎖状のアルキル鎖のみを有する脂肪族アミン(第一の反応補助剤)と、DPIBAに代表される電極上での酸化反応に続き窒素・炭素間結合の解離を引き起こす脂肪族アミン(第二の反応補助剤)の、少なくとも二種類の脂肪族アミンを反応補助剤として用いることで、ECLの発光強度を著しく強くすることができ、高感度化を実現することができる。
【0060】
また、被験物質の種類に応じて、直鎖状のアルキル鎖のみを有する脂肪族アミン(第一の反応補助剤)と、電極上での酸化反応に続き窒素・炭素間結合の解離を引き起こす脂肪族アミン(第二の反応補助剤)の少なくとも二種類の脂肪族アミンの含有割合を調整することで検出感度を調整できるため、検出に最適な感度で分析を行うことができる。
【0061】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0062】
101…フローセル、102…作用電極、103…対抗電極、104…参照電極、105…制御装置、106…磁気ビーズ(磁性支持体)、107…磁石(磁力発生装置)、108…磁石位置制御装置、109…電気化学発光検出装置、110…流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10