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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法及び積層構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/46 V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019112039
(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2020205331
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】種子田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】清水 規良
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/119680(WO,A1)
【文献】特開2010-192547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上の剥離層と、を備えた支持基板を準備する工程と、
前記剥離層上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層にビアホールを形成する工程と、
前記ビアホール内及び前記絶縁層上に第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層を研磨する工程と、
を有し、
前記支持基板を準備する工程と前記第1の導電層を研磨する工程との間に、
前記支持体上で前記剥離層の側面を露出させる工程と、
前記支持体上に前記剥離層の前記側面を覆う保護材を形成する工程と、
を有し、
前記支持基板を準備する工程と前記絶縁層を形成する工程との間に、前記剥離層の前記側面を露出させる工程を有し、
前記絶縁層を形成する工程において、前記保護材として前記絶縁層の一部により前記剥離層の前記側面を覆い、
前記支持基板を準備する工程と前記剥離層の前記側面を露出させる工程との間に、
前記剥離層上に開口部を備えた成膜マスクを形成する工程と、
前記第1の導電層が接続される第2の導電層を前記開口部内に形成する工程と、
を有し、
前記剥離層の前記側面を露出させる工程と前記絶縁層を形成する工程との間に、前記成膜マスクを除去する工程を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1の導電層の研磨を化学機械的研磨法により行うことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1の導電層を形成する工程の後に、
前記絶縁層上に前記第1の導電層に接続される多層配線を形成する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記多層配線を形成する工程の後に、
前記剥離層を前記絶縁層から剥離する工程と、
実装基板に設けられた電極パッドに前記第1の導電層を電気的に接続する工程を有することを特徴とする請求項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
支持体と、
前記支持体上の剥離層と、
前記剥離層上の絶縁層と、
前記絶縁層に形成されたビアホールと、
前記ビアホール内の第1の導電層と、
を有し、
前記剥離層の側面は前記支持体の側面よりも内側に位置し、
前記支持体上に前記剥離層の前記側面を覆う保護材を有し、
前記保護材は前記絶縁層の一部であり、
前記支持体の上面は、
前記剥離層に覆われている第1領域と、
前記剥離層から露出する第2領域と、
を有し、
前記第2領域は、前記第1領域よりも前記支持体の下面側にあることを特徴とする積層構造。
【請求項6】
前記支持体は、前記第1領域及び前記第2領域に連なる第1面を有し、
前記保護材は、前記第1面及び前記第2領域に接することを特徴とする請求項5に記載の積層構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板の製造方法及び積層構造に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板の製造方法の一つでは、剥離層を有する支持基板上に樹脂層を形成し、樹脂層内に導電ビアを形成し、樹脂層上に微細配線を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-251313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の方法では、導電ビアの形成の際に金属層の研磨を行うことがあるが、金属層の研磨の際に、剥離層が剥離してしまうことがある。
【0005】
本開示は、研磨の際の剥離層の剥離を抑制することができる配線基板の製造方法及び積層構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、支持体と、前記支持体上の剥離層と、を備えた支持基板を準備する工程と、前記剥離層上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層にビアホールを形成する工程と、前記ビアホール内及び前記絶縁層上に第1の導電層を形成する工程と、前記第1の導電層を研磨する工程と、を有し、前記支持基板を準備する工程と前記第1の導電層を研磨する工程との間に、前記支持体上で前記剥離層の側面を露出させる工程と、前記支持体上に前記剥離層の前記側面を覆う保護材を形成する工程と、を有し、前記支持基板を準備する工程と前記絶縁層を形成する工程との間に、前記剥離層の前記側面を露出させる工程を有し、前記絶縁層を形成する工程において、前記保護材として前記絶縁層の一部により前記剥離層の前記側面を覆い、前記支持基板を準備する工程と前記剥離層の前記側面を露出させる工程との間に、前記剥離層上に開口部を備えた成膜マスクを形成する工程と、前記第1の導電層が接続される第2の導電層を前記開口部内に形成する工程と、を有し、前記剥離層の前記側面を露出させる工程と前記絶縁層を形成する工程との間に、前記成膜マスクを除去する工程を有する配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、研磨の際の剥離層の剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
図2】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
図3】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
図4】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
図5】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
図6】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
図7】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
図8】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その8)である。
図9】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その9)である。
図10】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その10)である。
図11】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その11)である。
図12】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その12)である。
図13】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その13)である。
図14】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その14)である。
図15】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その15)である。
図16】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その16)である。
図17】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その17)である。
図18】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その18)である。
図19】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
図20】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
図21】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
図22】第2の実施形態における電極パッドのくびれの形状の一例を示す断面図である。
図23】第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
図24】第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
図25】第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
図26】第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
図27】第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
図28】第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
図29】第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、配線基板の製造方法に関する。図1図18は、第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0011】
第1の実施形態では、支持体を含む第1の配線構造体10を形成し、第1の配線構造体10上に第2の配線構造体20を形成し、第1の配線構造体10及び第2の配線構造体20の積層構造30から支持体を取り除き、別途、準備したビルドアップ基板40上に積層構造30を実装する。
【0012】
第1の実施形態では、まず、図1に示すように、支持基板100を準備する。支持基板100は支持体101と、密着層102と、剥離層103と、エッチストップ層104と、シード層105とを有する。本開示においては、便宜上、支持体101の密着層102、剥離層103、エッチストップ層104及びシード層105側の面を上面といい、他方の面を下方という。但し、配線基板は天地逆の状態で用いることができ、また、任意の姿勢で用いることができる。
【0013】
密着層102は支持体101の上面101A上に形成され、剥離層103は密着層102上に形成されている。エッチストップ層104は剥離層103上に形成され、シード層105はエッチストップ層104上に形成されている。例えば、剥離層103は無機物の層である。例えば、密着層102は、支持体101上のチタン層と、チタン層上の銅層とを有し、剥離層103を支持体101に密着させる。エッチストップ層104は、シード層105のウェットエッチングに用いられるエッチング液に対してエッチング耐性を有する。シード層105の材料は、例えば銅等の金属である。エッチストップ層104の材料は、例えばチタン等の金属である。
【0014】
支持基板100には、平面視で、配線を形成する配線部100Aと、配線部100Aを取り囲む平面視で環状の外周部100Bとが設けられている。
【0015】
次いで、図2に示すように、シード層105上に、開口部191xを有するめっきレジスト層191を形成する。例えば、開口部191xは、配線部100A内でパッドを形成する予定の領域に設けられる。めっきレジスト層191は成膜マスクの一例である。
【0016】
その後、図3に示すように、シード層105をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、開口部191xに銅等からなる金属めっき層111を形成する。金属めっき層111は第2の導電層の一例である。
【0017】
続いて、図4に示すように、外周部100Bにおいて、めっきレジスト層191、シード層105、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102を平面視で環状に除去する。この結果、支持体101上で剥離層103の側面103Aが露出する。つまり、剥離層103の側面103Aが支持体101の側面よりも内側に位置するようになる。また、支持体101上で剥離層103とエッチストップ層104との界面及び剥離層103と密着層102との界面も露出する。つまり、これら界面が支持体101の側面よりも内側に位置するようになる。めっきレジスト層191、シード層105、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102は、例えばダイシングソーを用いた加工により除去することができる。支持体101の表面の一部を除去してもよい。例えば、めっきレジスト層191、シード層105、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102を除去する幅は、2mm~3mm程度である。例えば、めっきレジスト層191、シード層105、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102を除去する深さは、支持体101の表面も含めて30μm~40μm程度である。
【0018】
次いで、図5に示すように、めっきレジスト層191を除去する。更に、金属めっき層111をマスクにしてシード層105をウェットエッチングにより除去する。この結果、エッチストップ層104の表面が露出する。また、シード層105と金属めっき層111とを含む電極パッド112が形成される。
【0019】
その後、図6に示すように、密着層102、剥離層103及びエッチストップ層104の側面と、エッチストップ層104の表面と、電極パッド112の側面及び表面とを覆う絶縁層120を形成する。絶縁層120は保護材の一例である。
【0020】
絶縁層120は、例えば、樹脂層121と、樹脂層121上の樹脂層122と、樹脂層122上の樹脂層123とを含む。樹脂層122は、ガラス繊維等の補強部材に絶縁性樹脂を含浸させて形成されている。樹脂層122の補強部材に含浸される絶縁性樹脂は、例えば熱硬化により硬化する。樹脂層121及び123は、熱硬化性の樹脂を含むが、ガラス繊維などの補強部材を含まない。樹脂層121及び123がフィラー等を含んでもよい。例えば、樹脂層122は樹脂層121及び123よりも厚く、樹脂層121を樹脂層122よりも支持基板100側に位置させる。絶縁層120は、支持体101の下面101B上にも形成する。
【0021】
続いて、図7に示すように、支持体101の上面101A側の絶縁層120に電極パッド112に到達するビアホール120xを形成する。ビアホール120xは、例えばレーザ加工により形成することができる。ビアホール120xの形成後に、デスミア処理を行い、ビアホール120xの底部に露出する電極パッド112の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0022】
次いで、図8に示すように、例えば無電解めっき法により、支持体101の上面101A側で、絶縁層120の表面と、ビアホール120xの内壁面と、電極パッド112の表面とにシード層131を形成する。
【0023】
その後、図9に示すように、各電極パッド112の上方に開口部192xを有するめっきレジスト層192をシード層131上に形成する。
【0024】
続いて、図10に示すように、シード層131をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、開口部192xに銅等からなる金属めっき層132を形成する。シード層131及び金属めっき層132は第1の導電層の一例である。
【0025】
次いで、図11に示すように、めっきレジスト層192を除去し、金属めっき層132をマスクにしてシード層131をウェットエッチングにより除去する。
【0026】
その後、図12に示すように、化学機械的研磨(chemical mechanical polishing:CMP)法により、金属めっき層132が絶縁層120と面一になるように金属めっき層132及びシード層131を研磨する。この結果、ビアホール120x内にシード層131と金属めっき層132とを含む導電ビア133が形成される。
【0027】
このようにして、絶縁層120と、絶縁層120内の導電ビア133と、導電ビア133に接続された電極パッド112とを備えた第1の配線構造体10が形成される。
【0028】
金属めっき層132及びシード層131の研磨の際に樹脂層123の上面を研磨してもよい。その場合、積層時に表面に生じた樹脂層123の上面のうねりが研磨により除去され、より平坦な面が得られる。樹脂層123の上面の平坦度が高ければ、樹脂層123の上面に形成される第2の配線構造体20の配線をより微細にすることが可能となる。
【0029】
続いて、図13に示すように、例えばセミアディティブ法により、絶縁層120及び導電ビア133上に絶縁層141及び配線151を形成し、絶縁層141及び配線151上に絶縁層142及び配線152を形成し、絶縁層142及び配線152上に絶縁層143及び配線153を形成し、絶縁層143及び配線153上に絶縁層144及び配線154を形成する。
【0030】
このようにして、絶縁層141~144と、配線151~154とを備えた第2の配線構造体20が形成され、第1の配線構造体10と第2の配線構造体20との積層構造30が得られる。第2の配線構造体20に含まれる絶縁層、配線の数は特に限定されない。第2の配線構造体20は多層配線の一例である。
【0031】
次いで、図14に示すように、エッチストップ層104から剥離層103とともに密着層102及び支持体101を剥離する。この剥離では、例えば、外周部100Bにて、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102の側面よりも配線部100A側の部分で、積層構造30を切断する。この結果、剥離層103とエッチストップ層104との界面が露出する。従って、剥離層103をエッチストップ層104から容易に剥離することができる。剥離層103の剥離に伴ってエッチストップ層104が露出する。
【0032】
その後、図15に示すように、エッチストップ層104を除去し、電極パッド112の端面112Aを露出する。エッチストップ層104は、シード層105のウェットエッチングに用いるエッチング液とは異なるエッチング液を用いてウェットエッチングすることができる。従って、第1の配線構造体10の下面において電極パッド112の端面112Aがエッチングされることがなく、荒れの少ない平滑な面に保たれる。また、支持体101の上面101Aと同様に、エッチストップ層104の上面が平坦であるため、端面112Aと樹脂層121の下面とが面一となる。
【0033】
続いて、図16に示すように、第1の配線構造体10の下面に、電極パッド112の端面112Aを被覆する接着層50を形成する。端面112Aと第1の配線構造体10の下面とが面一であるため、第1の配線構造体10の下面に形成される接着層50の厚さを均一にすることができる。接着層50としては、例えばエポキシを主剤とするNCF(non-conductive film)を用いることができる。
【0034】
図17に示すように、別途、ビルドアップ基板40を準備する。ビルドアップ基板40は、例えば、コア層160と、コア層160の上面に積層されたビルドアップ層170と、コア層160の下面に積層されたビルドアップ層180とを有する。ビルドアップ層170の上面には、電極パッド171が形成され、ビルドアップ層180の下面には、電極パッド181が形成されている。電極パッド171の材料は、例えば銅等の導電体である。電極パッド171は、ビルドアップ基板40が積層構造30に接合される際の接続端子として用いられる。電極パッド181の材料は、例えば銅等の導電体である。電極パッド181は、ビルドアップ基板40がマザーボード等の外部部品に接合される際の接続端子として用いられる。また、コア層160の内部、ビルドアップ層170の内部及びビルドアップ層180の内部には、電極パッド171と電極パッド181とを電気的に接続する配線が形成されている。ビルドアップ基板40は実装基板の一例である。ビルドアップ層170、ビルドアップ層180に含まれる絶縁層、配線の数は特に限定されない。
【0035】
そして、図18に示すように、第1の配線構造体10と第2の配線構造体20との積層構造30をビルドアップ基板40に実装する。このとき、電極パッド112と電極パッド171とを、はんだ172により接合する。接着層50は、積層構造30の下面(つまり、第1の配線構造体10の下面)とビルドアップ基板40の上面との間に配置され、積層構造30の側面の一部を被覆した状態で積層構造30とビルドアップ基板40とを接着する。上述のように、接着層50の厚さが均一であるため、積層構造30とビルドアップ基板40との接着時に、接着層50が第1の配線構造体10の下面から外方へ均等に押し出され、電極パッド112の端面112Aに残存しにくい。従って、電極パッド112と電極パッド171との間での接着層50の噛み込みを回避し、優れた接続信頼性を得ることができる。
【0036】
このようにして配線基板を製造することができる。
【0037】
第1の実施形態では、金属めっき層132及びシード層131の研磨の際に、剥離層103の側面103A、剥離層103とエッチストップ層104との界面及び剥離層103と密着層102との界面が絶縁層120により覆われている。このため、剥離の起点の発生を抑制することができる。従って、研磨の際に剥離層103に厚さ方向に垂直な方向(面内方向)の応力が作用するものの、剥離層103の剥離を抑制することができる。また、CMP法による研磨では、研磨スラリーを剥離層103まで到達することを抑制することができる。この点でも剥離層103の剥離を抑制することができる。
【0038】
更に、第1の実施形態では、ダイシングソー等を用いて支持体101上で剥離層103の側面103A等を露出する際に、めっきレジスト層191及びシード層105によりエッチストップ層104の上面を覆っているため、剥離層103等の加工で生じたパーティクル等によるエッチストップ層104の上面の汚染を抑制することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、電極パッド112の形状の点で第1の実施形態と相違する。図19図21は、第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0040】
第2の実施形態では、まず、第1の実施形態と同様にして、開口部191xを有するめっきレジスト層191の形成までの処理を行う(図2参照)。次いで、図19に示すように、シード層105をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、開口部191xに銅等からなる金属めっき層211を形成する。金属めっき層211としては、シード層105よりも粒界密度が小さい層を形成する。例えば、シード層105をスパッタ法により形成しておくことで、金属めっき層211の粒界密度をシード層105の粒界密度よりも小さくすることができる。
【0041】
その後、図20に示すように、第1の実施形態と同様にして、ダイシングソーを用いた加工等により、外周部100Bにおいて、めっきレジスト層191、シード層105、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102を除去する。この結果、支持体101上で剥離層103の側面103Aが露出する。つまり、剥離層103の側面103Aが支持体101の側面よりも内側に位置するようになる。また、支持体101上で剥離層103とエッチストップ層104との界面及び剥離層103と密着層102との界面も露出する。つまり、これら界面が支持体101の側面よりも内側に位置するようになる。
【0042】
続いて、図21に示すように、めっきレジスト層191を除去する。更に、金属めっき層211をマスクにしてシード層105をウェットエッチングにより除去する。この結果、エッチストップ層104の表面が露出する。また、シード層105と金属めっき層211とを含む電極パッド212が形成される。シード層105と金属めっき層211との間で粒界密度が異なるため、シード層105のウェットエッチングの際に、シード層105と金属めっき層211との境界部分も優先的にエッチングされる。従って、電極パッド212の外側面212Bのうちシード層105と金属めっき層111との境界部分213に対応する領域にくびれ214が形成される。
【0043】
金属めっき層211の粒界密度がシード層105の粒界密度よりも小さいため、くびれ214は、シード層105と金属めっき層211との境界部分213に対して非対称な形状に形成される。具体的には、例えば、図22に示すように、くびれ214は、境界部分213よりも上側の面の傾斜が境界部分213よりも下側の面の傾斜よりも大きい形状に形成される。図22は、くびれ214の形状の一例を示す断面図である。
【0044】
電極パッド212の形成後には、第1の実施形態と同様にして、絶縁層120の形成(図6参照)以降の処理を行う。このようにして配線基板を製造することができる。
【0045】
第2の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、第2の実施形態では、電極パッド212に形成されたくびれ214と絶縁層120との接触面積が大きくなるため、電極パッド212と絶縁層120との間の密着性をより向上することができる。
【0046】
第1の実施形態及び第2の実施形態において、剥離層103の側面103A等を露出する処理を、めっきレジスト層191及びシード層105を除去した後に行ってもよい。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、剥離層103の側面103Aを覆う保護材の構成の点で第1の実施形態と相違する。図23図29は、第3の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0048】
第3の実施形態では、まず、第1の実施形態と同様にして、金属めっき層111の形成までの処理を行う(図3参照)。次いで、図23に示すように、シード層105、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102の全体を残したまま、めっきレジスト層191を除去する。更に、金属めっき層111をマスクにしてシード層105をウェットエッチングにより除去する。この結果、エッチストップ層104の表面が露出する。また、シード層105と金属めっき層111とを含む電極パッド112が形成される。
【0049】
その後、図24に示すように、第1の実施形態と同様にして、絶縁層120を形成する。
【0050】
続いて、図25に示すように、外周部100Bにおいて、絶縁層120、エッチストップ層104、剥離層103及び密着層102に、支持体101まで到達し、平面視で環状の開口部320xを形成する。この結果、支持体101上で剥離層103の側面103Aが露出する。また、支持体101上で剥離層103とエッチストップ層104との界面及び剥離層103と密着層102との界面も露出する。開口部320xは、例えばダイシングソーを用いた加工により形成することができる。支持体101の表面の一部を除去してもよい。
【0051】
次いで、図26に示すように、第1の実施形態と同様にして、支持体101の上面101A側の絶縁層120に電極パッド112に到達するビアホール120xを形成する。ビアホール120xの形成後に、デスミア処理を行い、ビアホール120xの底部に露出する電極パッド112の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0052】
その後、第1の実施形態と同様にして、シード層131の形成(図8参照)から金属めっき層132をマスクにしたシード層131のウェットエッチング(図11参照)までの処理を行う。第3の実施形態では、図27に示すように、開口部320x内にもシード層131及び金属めっき層132が形成される。開口部320x内のシード層131及び金属めっき層132は保護材の一例である。
【0053】
続いて、図28に示すように、CMP法により、金属めっき層132が絶縁層120と面一になるように金属めっき層132及びシード層131を研磨する。この結果、ビアホール120x内にシード層131と金属めっき層132とを含む導電ビア133が形成される。
【0054】
このようにして、絶縁層120と、絶縁層120内の導電ビア133と、導電ビア133に接続された電極パッド112とを備えた第1の配線構造体10が形成される。
【0055】
次いで、図29に示すように、第1の実施形態と同様にして、第2の配線構造体20を形成し、エッチストップ層104から剥離層103とともに密着層102及び支持体101を剥離する。この剥離では、例えば、外周部100Bにて、開口部320xよりも配線部100A側の部分で、積層構造30を切断する。この結果、剥離層103とエッチストップ層104との界面が露出する。従って、剥離層103をエッチストップ層104から容易に剥離することができる。剥離層103の剥離に伴ってエッチストップ層104が露出する。
【0056】
剥離層103、密着層102及び支持体101の剥離後には、第1の実施形態と同様にして、エッチストップ層104の除去(図15参照)以降の処理を行う。このようにして配線基板を製造することができる。
【0057】
第3の実施形態では、金属めっき層132及びシード層131の研磨の際に、剥離層103の側面A、剥離層103とエッチストップ層104との界面及び剥離層103と密着層102との界面が、開口部320x内の金属めっき層132及びシード層131により覆われている。このため、剥離の起点の発生を抑制することができる。従って、研磨の際に剥離層103に厚さ方向に垂直な方向(面内方向)の応力が作用するものの、剥離層103の剥離を抑制することができる。また、CMP法による研磨では、研磨スラリーを剥離層103まで到達することを抑制することができる。この点でも剥離層103の剥離を抑制することができる。
【0058】
第3の実施形態に、第2の実施形態の電極パッド212を適用してもよい。
【0059】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 第1の配線構造体
20 第2の配線構造体
30 積層構造
40 ビルドアップ基板
100 支持基板
101 支持体
102 密着層
103 剥離層
103A 側面
104 エッチストップ層
105、131 シード層
111、132 金属めっき層
112 電極パッド
120 絶縁層
121、122、123 樹脂層
133 導電ビア
320x 開口部
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