(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ステム
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20230421BHJP
H01L 23/04 20060101ALI20230421BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20230421BHJP
【FI】
H01L23/02 D
H01L23/02 F
H01L23/04 A
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2019174482
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海沼 正夫
(72)【発明者】
【氏名】松末 明洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-146756(JP,A)
【文献】特開2006-073776(JP,A)
【文献】特開2017-179597(JP,A)
【文献】特開昭63-007652(JP,A)
【文献】特開2011-059571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B6/26-6/27
G02B6/30-6/34
G02B6/42-6/43
H01L21/54
H01L23/00-23/04
H01L23/06-23/26
H01L23/29
H01L23/34-23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01L33/00
H01L33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成されたステム本体と、
前記貫通孔の内壁面を含む、前記ステム本体の表面に形成され、凹凸又は空隙を有するニッケルめっき膜と、
前記ステム本体の貫通孔に設けられてリードを固定し、前記貫通孔において一部が前記ニッケルめっき膜の凹凸又は空隙に格納される固定部材と、
を有
し、
前記固定部材は、
前記貫通孔において一部が前記ニッケルめっき膜の空隙に格納されるとともに、前記空隙から露出する前記ステム本体の表面に接触することを特徴とするステム。
【請求項2】
前記貫通孔は、非円形状であることを特徴とする請求項1に記載のステム。
【請求項3】
前記貫通孔に複数の前記リードが固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のステム。
【請求項4】
前記ステム本体は、金属により形成され、
前記固定部材は、前記ステム本体を形成する金属よりも熱膨張係数が小さい絶縁性材料により形成されることを特徴とする請求項1に記載のステム。
【請求項5】
前記金属は、鉄であり、
前記絶縁性材料は、ガラスであることを特徴とする請求項
4に記載のステム。
【請求項6】
前記ニッケルめっき膜は、
前記ステム本体を形成する金属が前記ニッケルめっき膜に対して拡散して形成された凸部を有し、
前記固定部材は、
外周面の、前記ニッケルめっき膜の凸部に対応する位置に、該凸部が格納される凹部を有することを特徴とする請求項
4又は
5に記載のステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光素子等の半導体素子が搭載されるステムは、貫通孔が形成されたステム本体が形成され、リードがガラス等の絶縁性材料からなる固定部材を介してステム本体の貫通孔に固定されることにより、製造される。
【0003】
固定部材は、ステム本体の貫通孔に嵌め込まれ、リードが挿通される。そして、固定部材が溶融された後に固化されることにより、リードが固定部材を介してステム本体の貫通孔に固定される。ステム本体の貫通孔は、原則として円形状に形成されるが、例えば長孔形状などの非円形状に形成される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ステム本体に非円形状の貫通孔が形成されたステムでは、貫通孔に嵌め込まれた固定部材に対してステム本体からの応力が均等に付与されない。すなわち、固定部材には、溶融後の固化過程において、熱膨張係数が互いに異なる固定部材及びステム本体の膨張及び収縮によりステム本体から応力が付与されるが、この応力には非円形状の貫通孔の内壁面に沿って周方向にばらつきが生じることになる。
【0006】
このようにステム本体から固定部材へ付与される応力にばらつきが生じた状態で、ステム本体に対して半導体素子の実装や半導体素子を保護するキャップの設置等が行われると、熱や衝撃によりステム本体と固定部材との間に隙間が生じることがある。この結果、固定部材が嵌め込まれた非円形状の貫通孔において、ステム本体と固定部材との間の隙間から外気が流入するリークが発生するという問題がある。貫通孔でのリークの発生は、ステム本体に実装された半導体素子の品質を劣化させる要因となり、好ましくない。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、貫通孔でのリークの発生を抑制することができるステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示するステムは、一つの態様において、貫通孔が形成されたステム本体と、前記貫通孔の内壁面を含む、前記ステム本体の表面に形成され、凹凸又は空隙を有するニッケルめっき膜と、前記ステム本体の貫通孔に設けられてリードを固定し、前記貫通孔において一部が前記ニッケルめっき膜の凹凸又は空隙に格納される固定部材と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示するステムの一つの態様によれば、貫通孔でのリークの発生を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例に係るステムの構成の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、ステムを上方向から見た平面図である。
【
図3】
図3は、固定部材の設置態様の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、Niめっき膜の厚さに対する、ステム本体の表面状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示するステムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。
【0012】
[実施例]
[ステムの構成]
図1は、実施例に係るステム1の構成の一例を示す断面図である。以下では、説明の便宜上、
図1における紙面に向かって上側の面を上面と呼び、紙面に向かって下側の面を下面と呼ぶ。ただし、ステム1は、例えば上下反転して用いられてもよく、任意の姿勢で用いられてよい。
図1に示すように、ステム1は、ステム本体10と、固定部材20と、電気信号用リード30と、固定部材40と、給電用リード50とを有する。
【0013】
ステム本体10は、例えば、金属により円板状に形成され、ステム1を構成する各種の部品を搭載する基材である。ステム本体10を形成する金属としては、例えば鉄が用いられる。ステム本体10の上面には、光素子等の半導体素子が搭載される素子搭載領域Rが形成されている。ステム本体10の上面のうち素子搭載領域Rを囲む位置には、ステム本体10を厚さ方向に貫通する複数のリード用貫通孔10a、10bが形成されている。
【0014】
図2は、ステム1を上方向から見た平面図である。
図2には、円板状にステム本体10の上面が示されている。
図2のI-I線における断面が
図1に示すステム1の断面に相当する。
図2に示すように、ステム本体10には、リード用貫通孔10aと、リード用貫通孔10bとが形成されている。リード用貫通孔10aは、円形状に形成されており、固定部材20を介して1つの電気信号用リード30が固定されている。一方、リード用貫通孔10bは、非円形状に形成されている。本実施例では、リード用貫通孔10bは、長孔形状に形成されている。リード用貫通孔10bには、固定部材40を介して3つの給電用リード50が固定されている。1つのリード用貫通孔10bに3つの給電用リード50が固定されることにより、リード間のピッチが小さくなり、リードの実装密度が向上する。
【0015】
また、リード用貫通孔10a、10bの内壁面を含む、ステム本体10の表面には、ステム本体10の表面の腐食を防止するためのニッケル(Ni)めっき膜が形成されている。Niめっき膜の詳細については、後述する。
【0016】
図1に戻る。固定部材20は、ステム本体10を形成する金属よりも熱膨張係数が小さい絶縁性材料により形成され、ステム本体10のリード用貫通孔10aに設けられている。固定部材20を形成する絶縁性材料としては、例えばガラスが用いられる。固定部材20は、電気信号用リード30が挿通される孔を有し、該孔に挿通される電気信号用リード30をリード用貫通孔10aに固定する。具体的には、固定部材20は、ステム本体10のリード用貫通孔10aに嵌め込まれ、電気信号用リード30が挿通される。そして、固定部材20が溶融された後に固化されることにより、電気信号用リード30が固定部材20を介してステム本体10のリード用貫通孔10aに固定される。
【0017】
電気信号用リード30は、例えば、円柱状に形成されており、ステム本体10の素子搭載領域R上の半導体素子へ供給される高周波信号である電気信号を伝送する。電気信号用リード30は、ステム本体10のリード用貫通孔10aに固定部材20を介して固定されている。
【0018】
固定部材40は、ステム本体10を形成する金属よりも熱膨張係数が小さい絶縁性材料により形成され、ステム本体10のリード用貫通孔10bに設けられている。固定部材40を形成する絶縁性材料としては、例えばガラスが用いられる。固定部材40は、給電用リード50が挿通される孔を有し、該孔に挿通される給電用リード50をリード用貫通孔10bに固定する。具体的には、固定部材40は、ステム本体10のリード用貫通孔10bに嵌め込まれ、給電用リード50が挿通される。そして、固定部材40が溶融された後に固化されることにより、給電用リード50が固定部材40を介してステム本体10のリード用貫通孔10bに固定される。固定部材40の設置態様については、後述する。
【0019】
給電用リード50は、例えば、円柱状に形成されており、ステム本体10の素子搭載領域Rに搭載された半導体素子を駆動するための電流を供給するためのリードである。給電用リード50は、ステム本体10のリード用貫通孔10bに固定部材40を介して固定されている。
【0020】
[固定部材の設置態様]
次に、
図3を参照して、固定部材40の設置態様について詳細に説明する。
図3は、固定部材40の設置態様の一例を示す図である。固定部材40は、ステム本体10のリード用貫通孔10bに設けられて給電用リード50をリード用貫通孔10bに固定する。リード用貫通孔10bは、長孔形状(
図2参照)に形成されている。
【0021】
リード用貫通孔10bの内壁面を含む、ステム本体10の表面には、Niめっき膜70が形成されている。Niめっき膜70は、ステム本体10の表面を部分的に露出させる空隙70aを有する。例えば、Niめっき膜70は、Niめっき膜70を形成する複数の結晶粒間の境界である結晶粒界の位置に空隙70aを有する。そして、リード用貫通孔10bにおいて、固定部材40の一部がNiめっき膜70の空隙70aに格納されている。さらに、固定部材40の一部が空隙70aから露出するステム本体10の表面に接触している。
【0022】
また、Niめっき膜70は、ステム本体10を形成する金属がNiめっき膜70に対して拡散して形成された凸部70bを有する。例えば、Niめっき膜70は、空隙70aが形成されてない領域に凸部70bを有する。凸部70bは、空隙70aと共にステム本体10に所定の表面粗さを付与している。ステム本体10の表面粗さ(例えば算術平均粗さRa)は、例えば、2.5~3.4μmの範囲内である。そして、固定部材40は、外周面の、Niめっき膜70の凸部70bに対応する位置に、該凸部70bが格納される凹部を有する。
【0023】
ところで、ステム本体10に例えば長孔形状などの非円形状にリード用貫通孔10bが形成される場合、リード用貫通孔10bに嵌め込まれた固定部材40に対してステム本体10からの応力が均等に付与されない。すなわち、固定部材40には、溶融後の固化過程において、熱膨張係数が互いに異なる固定部材40及びステム本体10の膨張及び固化によりステム本体10から応力が付与されるが、この応力にはリード用貫通孔10bの内壁面に沿って周方向にばらつきが生じる。
【0024】
このようにステム本体10から固定部材40へ付与される応力にばらつきが生じた状態で、ステム本体10に対して半導体素子の実装や半導体素子を保護するキャップの設置等が行われると、熱や衝撃によりステム本体10と固定部材40との間に隙間が生じる。この結果、固定部材40が嵌め込まれた非円形状のリード用貫通孔10bにおいて、ステム本体10と固定部材40との間の隙間から外気が流入するリークが発生するという問題がある。
【0025】
そこで、本実施例のステム1では、
図3に示したように、Niめっき膜70にステム本体10の表面を部分的に露出させる空隙70aを形成し、且つリード用貫通孔10bにおいて固定部材40の一部をNiめっき膜70の空隙70aに格納させている。
【0026】
Niめっき膜70に空隙70aを形成し、且つリード用貫通孔10bにおいて固定部材40の一部をNiめっき膜70の空隙70aに格納させることで、アンカー効果を発現し、固定部材40とリード用貫通孔10bとの密着性を高めることができる。このため、非円形状のリード用貫通孔10bに嵌め込まれた固定部材40に対してステム本体10からの応力が均等に付与されない場合でも、リード用貫通孔10bが固定部材40により安定的に封止され、リード用貫通孔10bでのリークを抑制することができる。
【0027】
また、本実施例のステム1では、固定部材40の一部をNiめっき膜70の空隙70aに格納させるとともに、空隙70aから露出するステム本体10の表面に接触させている。これにより、固定部材40とリード用貫通孔10bとの密着性をより高めることができ、リード用貫通孔10bでのリークをより抑制することができる。
【0028】
また、本実施例のステム1では、Niめっき膜70に凸部70bを形成し、固定部材40の外周面の、Niめっき膜70の凸部70bに対応する位置に該凸部70bが格納される凹部を形成している。これにより、アンカー効果を発現し、固定部材40とリード用貫通孔10bとの密着性をより高めることができ、リード用貫通孔10bでのリークをより抑制することができる。
【0029】
[ステムの製造方法]
図1に示したステム1は、例えば以下のような製造方法により製造することができる。まず、円形状のリード用貫通孔10a及び長孔形状のリード用貫通孔10bが形成されたステム本体10が形成される。ステム本体10は、鉄などの金属に例えば冷間鍛造プレス等のプレス加工が施されることにより、形成される。
【0030】
続いて、ステム本体10の表面にNiめっき膜70が形成される。このとき、リード用貫通孔10aの内壁面及びリード用貫通孔10bの内壁面を含む、ステム本体10の表面全体にNiめっき膜70が形成される。Niめっき膜70は、例えばステム本体10の表面に電解Niめっきが施されることにより、形成される。
【0031】
続いて、リード用貫通孔10aに固定部材20が嵌め込まれ、リード用貫通孔10bに固定部材40が嵌め込まれる。
【0032】
続いて、固定部材20の孔に電気信号用リード30が挿通され、固定部材40の孔に給電用リード50が挿通される。これにより、ステム本体10、固定部材20、電気信号用リード30、固定部材40及び給電用リード50を有する中間構造体が形成される。
【0033】
続いて、固定部材20及び固定部材40を溶融する温度(例えば、1000℃)で中間構造体が加熱される。中間構造体が加熱されると、固定部材20及び固定部材40が溶融される。その後、中間構造体が冷却されて、固定部材20及び固定部材40が固化される。
【0034】
固定部材20及び固定部材40が溶融された後に固化されることにより、電気信号用リード30が固定部材20を介してリード用貫通孔10aに固定され、給電用リード50が固定部材40を介してリード用貫通孔10bに固定される。ここで、固定部材40の溶融時に加えられる熱により、Niめっき膜70が再結晶化され、再結晶化後のNiめっき膜70における結晶粒界の位置に、ステム本体10の表面を部分的に露出させる空隙70aが形成される。そして、リード用貫通孔10bにおいて、固定部材40の一部がNiめっき膜70の空隙70aに格納される。また、固定部材40の溶融時に加えられる熱により、ステム本体10を形成する金属がNiめっき膜70に対して拡散してNiめっき膜70に凸部70bが形成される。そして、リード用貫通孔10bにおいて、固定部材40の外周面の、Niめっき膜70の凸部70bに対応する位置に、該凸部70bが格納される凹部が形成される。この結果、リード用貫通孔10bにおいて、アンカー効果を発現させて、固定部材40とリード用貫通孔10bとの密着性を高めることができ、リード用貫通孔10bでのリークを抑制することができる。
【0035】
ここで、空隙70a及び凸部70bが形成されるためのNiめっき膜70の厚さについて、
図4を参照して説明する。
図4は、Niめっき膜70の厚さに対する、ステム本体10の表面状態の一例を示す図である。
図4には、Niめっき膜70の厚さが4.5μmである場合のステム本体10の表面状態を示すトレース
図101、102が示されている。また、
図4には、Niめっき膜70の厚さが5μmである場合のステム本体10の表面状態を示すトレース
図103、104が示されている。トレース
図101とトレース
図103とは、ステム本体10の表面に電解Niめっきが施された後のステム本体10の表面状態を示している。トレース
図102とトレース
図104とは、固定部材40が溶融及び固化された後のステム本体10の表面状態を示している。各トレース図には、表面粗さが併せて示されている。
【0036】
図4から、Niめっき膜70の厚さが4.5μmである場合、Niめっき膜70の厚さが5μmである場合と比較して、固定部材40が溶融及び固化された後のステム本体10の表面が粗いことが確認される。すなわち、
図4から、Niめっき膜70の厚さが4.5μmである場合、再結晶化後のNiめっき膜70における結晶粒界の位置に空隙70aが形成されることが推測される。さらに、
図4から、Niめっき膜70の厚さが4.5μmである場合、ステム本体10を形成する金属がNiめっき膜70に対して拡散してNiめっき膜70に凸部70bが形成されることが推測される。これらのことから、Niめっき膜70の厚さは、5.0μmよりも小さい範囲であることが好ましく、4.5μm以下の範囲であることがより好ましい。これにより、Niめっき膜70に空隙70a及び凸部70bを安定的に形成することができる。
【0037】
なお、Niめっき膜70を形成する前か後に、Niめっき膜70の表面を化学的に荒らして凹凸及び空隙を形成してもよい。
【0038】
中間構造体が冷却されて、固定部材20及び固定部材40が固化されると、中間構造体の表面全体にNi/Auめっき膜が形成される。Ni/Auめっき膜は、例えば中間構造体の表面に電解Niめっきが施された後に電解Auめっきが施されることにより、形成される。これにより、
図1に示したステム1が完成する。
【0039】
以上のように、実施例に係るステム1は、ステム本体10と、Niめっき膜70と、固定部材40とを有する。ステム本体10には、リード用貫通孔10bが形成される。リード用貫通孔10bは、例えば、非円形状である。Niめっき膜70は、リード用貫通孔10bの内壁面を含む、ステム本体10の表面に形成され、空隙70aを有する。固定部材40は、ステム本体10のリード用貫通孔10bに設けられて給電用リード50を固定し、リード用貫通孔10bにおいて一部がNiめっき膜70の空隙70aに格納される。これにより、リード用貫通孔10bでのリークの発生を抑制することができる。
【0040】
また、実施例に係るステム1において、固定部材40は、リード用貫通孔10bにおいて一部がNiめっき膜70の空隙70aに格納されるとともに、空隙70aから露出するステム本体10の表面に接触する。これにより、固定部材40とリード用貫通孔10bとの密着性をより高めることができ、リード用貫通孔10bでのリークをより抑制することができる。
【0041】
また、実施例に係るステム1において、Niめっき膜70は、ステム本体10を形成する金属がNiめっき膜70に対して拡散して形成された凸部70bを有する。そして、固定部材40は、外周面の、Niめっき膜70の凸部70bに対応する位置に、該凸部70bが格納される凹部を有する。これにより、固定部材40とリード用貫通孔10bとの密着性をより高めることができ、リード用貫通孔10bでのリークをより抑制することができる。
【0042】
なお、円形状のリード用貫通孔10aにおいても本発明を適用することができる。すなわち、Niめっき膜70に空隙70aを形成し、且つリード用貫通孔10aにおいて固定部材20の一部をNiめっき膜70の空隙70aに格納させることで、アンカー効果を発現し、固定部材20とリード用貫通孔10aとの密着性を高めることができる。これにより、リード用貫通孔10aでのリークの発生を抑制することができる。
【0043】
また、上述の説明では、Niめっき膜70に空隙70aを形成し、且つリード用貫通孔10bにおいて固定部材40の一部をNiめっき膜70の空隙70aに格納させる例を説明したが、開示技術はこれに限定されない。例えば、Niめっき膜70に凹凸を形成し、且つリード用貫通孔10bにおいて固定部材40の一部をNiめっき膜70の凹凸に格納させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ステム
10 ステム本体
10a、10b リード用貫通孔
20、40 固定部材
30 電気信号用リード
50 給電用リード
70 Niめっき膜
70a 空隙
70b 凸部
R 素子搭載領域