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特許7267010略図オーバレイを対話的かつ動的に更新する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】略図オーバレイを対話的かつ動的に更新する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
G05B23/02 301W
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018532089
(86)(22)【出願日】2016-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 US2016066903
(87)【国際公開番号】W WO2017106482
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-16
(31)【優先権主張番号】62/269,006
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/048,183
(32)【優先日】2016-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴーダマチャンドラン バラジ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーリー ブレント アレン
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-504711(JP,A)
【文献】特開平6-175626(JP,A)
【文献】特開2014-102567(JP,A)
【文献】特開平10-320036(JP,A)
【文献】特開平6-259004(JP,A)
【文献】特開2012-252651(JP,A)
【文献】特開平11-249730(JP,A)
【文献】特開2006-133971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対話式診断略図オーバレイを動的に更新するコンピュータ実施方法であって、
それぞれ複雑なシステムの1つの設計要素に対応する複数の静的図形オブジェクトを含む第1の図面を表示するステップと、
診断略図オーバレイを特定するステップであって、前記診断略図オーバレイが、
それぞれ前記複数の静的図形オブジェクトのうちの1つの静的図形オブジェクトに位置合わせされる複数のフィールドと、
それぞれが前記複数のフィールドの1つのフィールドに関連付けられ、設計要素動作状態または設計要素動作パラメータのうちの1つに対応する複数の動的図形オブジェクトとを含む、診断略図オーバレイを特定するステップと、
第1の時間インスタンスで前記静的図形オブジェクトの少なくともいくつかに対して、前記設計要素動作状態を検出するそれぞれのセンサを用いて設計要素動作状態を判定し、システムコントローラを用いて設計要素動作パラメータを判定するステップと、
更新された診断略図オーバレイとして、前記第1の図面とともに、前記診断略図オーバレイのそれぞれのフィールドに判定した動作状態および判定した動作パラメータを表示するステップと
を含み、
複数の設計要素動作パラメータが、前記複数のフィールドのうちの単一のフィールドに対応する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記複雑なシステムは、1つもしくは複数の温度感知トランスデューサ、1つもしくは複数の圧力感知トランスデューサ、1つもしくは複数の位置センサ、電気導体、またはスイッチを含む複数の設計要素をさらに備える、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記判定するステップが、少なくとも1つの設計要素に対する複数の設計要素動作パラメータを取り出すことを含む、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
1つの設計要素に対して取り出される前記複数の設計要素動作パラメータが、前記複雑なシステムの動作または試験のうちの1つのためにソフトウェアから取り出されるものである、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
1つの設計要素に対して取り出される前記複数の設計要素動作パラメータが、瞬時電圧値と、瞬時温度測定値または瞬時圧力測定値のうちの1つとを含む、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記判定するステップ中に、前記複雑なシステムを動作または試験するためにプロセッサによって実行されるソフトウェアから、少なくともいくつかの設計要素動作パラメータまたは設計要素動作状態が取り出される、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記複雑なシステムの少なくとも1つの設計要素が、
前記判定するステップがその開閉状態を取り出すことを含むスイッチ、または
前記判定するステップがその通電または遮断状態を取り出すことを含むリレーを含む、 請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記第1の図面または前記診断略図オーバレイのうちの1つに示されている図形オブジェクトのユーザ選択に応答して、それぞれ前記複雑なシステムの1つの設計要素に対応する第2の組の静的図形オブジェクトを含む第2の図面を特定するステップと、
前記第2の図面を表示するステップと
をさらに含む、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記ユーザ選択に応答して、第2の診断略図オーバレイを特定するステップと、前記第2の診断略図オーバレイを前記第2の図面に位置合わせして表示するステップとをさらに含む、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
複数の設計要素を有する複雑なシステムの1つまたは複数の設計要素の動作状態または動作条件を判定するシステムであって、
プロセッサと、
表示デバイスと、
メモリとを備え、前記メモリは、
それぞれ複雑なシステムの1つの設計要素に対応する複数の静的図形オブジェクトを含む第1の図面を前記表示デバイス上に表示することを開始し、
それぞれ前記複数の静的図形オブジェクトのうちの1つの静的図形オブジェクトに位置合わせされる複数のフィールドと、
それぞれが前記複数のフィールドの1つのフィールドに関連付けられ、設計要素動作状態または設計要素動作パラメータのうちの1つに対応する複数の動的図形オブジェクトとを含む、診断略図オーバレイを特定し、
ある時間インスタントで前記静的図形オブジェクトの少なくともいくつかに対して、前記設計要素動作状態を検出するそれぞれのセンサを用いて設計要素動作状態を判定し、システムコントローラを用いて設計要素動作パラメータを判定し、
更新された診断略図オーバレイとして、前記第1の図面とともに前記表示デバイス上に、前記診断略図オーバレイのそれぞれのフィールドに判定した動作状態および判定した動作パラメータの表示を開始する
ために、前記プロセッサによって実行可能な命令を含
複数の設計要素動作パラメータが、前記複数のフィールドのうちの単一のフィールドに対応する、システム。
【請求項11】
前記複雑なシステムが、少なくとも1つの処理チャンバを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
設計要素動作状態または設計要素動作パラメータの少なくとも1つを判定するために前記プロセッサによって実行可能な前記命令が、少なくとも1つの設計要素に対する複数の設計要素動作パラメータを取り出すための命令を含む、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
設計要素動作状態または設計要素動作パラメータの少なくとも1つを判定するために前記プロセッサによって実行可能な前記命令が、前記複雑なシステムを動作または試験するためにプロセッサによって実行可能なソフトウェア命令から、設計要素動作パラメータまたは設計要素動作状態のうちの少なくとも1つを取り出すための命令を含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、複雑なシステムを集合的に形成する個別の設計要素の健全性および/または性能を監視および/または判定する技法に関し、より詳細には、マイクロ電子デバイス製造システムの一部として個別の設計要素の健全性および/または性能を監視および/または判定する技法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断システムは、多種多様な産業の技師および専門家によって使用される。たとえば、自動車、トラック運送、重量機器、および航空機の産業において、診断試験システムは、車載コンピュータ障害またはトラブルコード表示、対話式診断、マルチスコープおよびマルチメータ機能、ならびに電子サービスマニュアルを提供する。医療産業では、診断システムは、身体機能の監視および病状の診断、ならびに医療機器の異常を検出するためのシステム診断を提供する。
診断システムには、文字の命令は理解または解釈するのが冗長または困難に感じられる可能性があるという欠点がある。ある時点で、複雑なシステム内のトラブルまたは障害箇所を特定したいと考えた技師は、電気略図の多くのページをスクロールして潜在的なトラブル箇所を特定し、その後、特定した各設計要素の冗長な手動測定を実行して、どの構成要素が妥当な許容誤差の範囲内で動作していないかを判定することが必要になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つまたは複数の静的略図を1つまたは複数の対応する診断オーバレイとともに表示して、たとえば静的略図内に示された1つまたは複数の設計要素を潜在的なトラブル箇所として特定することを容易にするシステムおよび方法が、本明細書に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つまたは複数の実施形態では、対話式診断略図オーバレイを動的に更新するコンピュータ実施方法は、複数の静的図形オブジェクトを含む第1の図面を表示するステップを含む。各静的図形オブジェクトは、複雑なシステムの1つの設計要素に対応する。この方法は、診断略図オーバレイを特定するステップをさらに含む。診断略図オーバレイは、それぞれ複数の静的図形オブジェクトのうちの1つの静的図形オブジェクトに位置合わせされる複数のフィールドと、それぞれ複数のフィールドのうちの1つのフィールドに関連付けられ、設計要素動作状態または設計要素動作パラメータのうちの1つに対応する複数の動的図形オブジェクトとを含む。この方法は、第1の時間インスタンスで静的図形オブジェクトの少なくともいくつかに対して設計要素動作状態または設計要素動作パラメータの少なくとも1つを判定するステップと、更新された診断略図オーバレイとして、第1の図面とともに、判定した動作状態および判定した動作パラメータを表示するステップとをさらに含む。
いくつかの実施形態では、対話式診断略図オーバレイを動的に更新する方法は、それぞれ複雑なシステムの1つの設計要素に対応する複数の静的図形オブジェクトを表示するステップと、設計要素動作状態または設計要素動作パラメータの少なくとも1つを判定するステップと、判定した動作状態および判定した動作パラメータを、更新された診断略図オーバレイとして、静的図形オブジェクトとともに表示するステップとを含む。
いくつかの実施形態では、複数の設計要素を有する複雑なシステムの1つまたは複数の設計要素の動作状態または動作条件を判定するシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、表示デバイスと、メモリとを含み、メモリは、複数の静的図形オブジェクトを含む第1の図面を表示デバイス上に表示するために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を含む。各静的図形オブジェクトは、複雑なシステムの1つの設計要素に対応する。メモリ内に記憶される命令は、診断略図オーバレイを特定するために少なくとも1つのプロセッサによってさらに実行可能である。診断略図オーバレイは、それぞれ複数の静的図形オブジェクトのうちの1つの静的図形オブジェクトに位置合わせされる複数のフィールドと、それぞれ複数のフィールドのうちの1つのフィールドに関連付けられ、設計要素動作状態または設計要素動作パラメータのうちの1つに対応する複数の動的図形オブジェクトとを含む。メモリ内に記憶される命令は、ある時間インスタントで静的図形オブジェクトの少なくともいくつかに対して設計要素動作状態または設計要素動作パラメータの少なくとも1つを判定し、更新された診断略図オーバレイとして、第1の図面とともに表示デバイス上に、判定した動作状態および判定した動作パラメータの表示を開始するために、少なくとも1つのプロセッサによってさらに実行可能である。
【0005】
追加の実施形態および特徴について、一部は以下の説明に記載するが、一部は本明細書の考察によって当業者には明らかになるか、または開示する実施形態の実施によって習得され得る。開示する実施形態の特徴および利点は、本明細書に記載する手段、組合せ、および方法によって実現および達成することができる。
開示する実施形態の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現することができる。本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうるため、添付の図面は、添付の開示に合致する例示的な実施形態のみを示しており、限定的と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本開示に合致する実施形態による静的設計要素を含む図面に対する診断略図オーバレイの生成および更新を適用することができる例示的な複雑なシステムを示すブロック概略図である。
図1B】本開示の1つまたは複数の実施形態によるトラブルシューティング動作の一部として動的オーバレイを準備することができる図1Aの例示的な複雑なシステムに適合しているサブシステムの構成要素の内部配置を示す立面図である。
図2】本開示の一実施形態による図1Bのチャンバのサブシステム、図1Aのクラスタツール内に示すチャンバおよび他の構成要素のいずれか、または何らかの他の複雑なシステムのサブシステムを含むことができる回路200の設計要素に対応する複数の静的図形オブジェクトとして表された例示的な図面である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による図2に示す図面の設計要素を表す静的図形オブジェクトにそれぞれ位置合わせされた空白のフィールドを示し、これらのフィールドが動的図形オブジェクトで埋められると図2の図面に対する診断略図オーバレイを形成することを示す図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による図2に示す図面の上の図3の例示的なオーバレイの重畳を示す図である。
図5】本開示に合致する1つまたは複数の実施形態による、それぞれ静的図形オブジェクトとして表されかつ複雑なシステムに対する略図の一部を形成する複数の設計要素を含む図面に位置合わせして表示された動的に更新される図形オブジェクトの対話式診断略図オーバレイを動的に更新する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
理解を容易にするために、可能な場合、複数の図に共通の同一の要素を指すために、同一の参照番号を使用した。これらの図は、原寸に比例して描かれたものではなく、見やすいように簡略化されていることがある。さらに、一実施形態の要素および特徴は、さらなる記述がなくても、本開示に合致する他の実施形態に有益に組み込むことができる。
本開示に合致する実施形態は、概して、複雑なシステムを形成するように互いに結合された複数の相互依存する設計要素を示す1つまたは複数の静的略図に対する対話式に動的に更新される診断略図オーバレイを提供し、これを実行する方法およびシステムを含む。例示を目的として、基板上のデバイスおよび相互接続の形成および製造で使用されるクラスタツールなどの処理システムは、多くの相互依存する設計要素を備えることができる。設計要素の非限定的な例には、温度感知トランスデューサ、圧力感知トランスデューサ、処理チャンバ内へガスを流しもしくは処理チャンバからのガスを排気するためにバルブを開閉し、もしくは密封リッドの完全な(もしくは不完全な)閉鎖を検出するように作動するスイッチ、基板の位置を検出する位置センサ、支持プラットフォーム、ならびに/または基板輸送機構、リレー、およびコンタクト、さらにはそれぞれの構成要素を互いにおよび/もしくは電力供給につなぐ受動的相互接続ワイアの1つまたは複数が含まれる。
【0008】
1つまたは複数の実施形態によれば、複雑なシステムの設計要素に関連付けられた動作状態パラメータおよび動作状態の瞬時値が、複雑なシステムを動作および/または試験するために使用されるソフトウェアおよびハードウェアドライバから取り出され、これらの値は、対応する設計要素に位置合わせされた略図オーバレイの1つまたは複数のフィールドを埋めるために利用される。たとえばクラスタツールなどの複雑なシステムを動作させるためにプロセッサによって実行されるソフトウェアは、典型的には、ガス流量、圧力、および温度の測定値として、そのような動作状態パラメータの表示を開始するように構成される。複雑なシステムを動作させるためのハードウェアおよび関連するドライバは、実時間トランスデューサ信号(たとえば電圧信号)を収集および使用するように構成することができ、これらの信号から、そのような測定値を直接または間接的に導出することができる。本明細書の発明者らは、そのような信号を使用して、静的図面に対する診断略図オーバレイを動的に更新することもでき、その結果、設計要素の実際の挙動を視覚化して、動作不良を起こしている構成要素および他の障害の特定を容易にし、かつ/または他の構成要素が1組の所与の動作条件に対して正常な許容誤差の範囲内で機能していることを確認することができることを認めた。
【0009】
本開示に合致する実施形態による静的設計要素を含む図面に対する診断略図オーバレイの生成および更新を適用することができる複雑なシステムの一例として、基板を処理するための複数の処理チャンバを備えるクラスタツール10が、図1Aに示されている。しかし、本開示の範囲は、基板処理システムに限定されるものではなく、基板処理配置の図1Aおよび図1Bの図は、図を簡単にしかつ説明をわかりやすくすることのみを目的とする。実際には、本明細書に記載の教示は、略図形式で表すことが可能な設計要素の任意の複雑な配置に適用可能である。本開示に合致する他の実施形態は、多機能のプリンタシステム、自動車および航空機システム、油圧システムなど多数の他の複雑なシステムに適用可能である。
【0010】
図1Aのクラスタツール10は、デュアルバッファチャンバ、複数プロセスチャンバ半導体処理ツール、またはデュアルバッファチャンバクラスタツールとすることができる。クラスタツール10は、カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.から入手可能な様々な付属チャンバを有するEndura(登録商標)プラットフォームとすることができる。クラスタツール10には、半導体製造工場の1つの区域から別の区域への基板の取扱いおよび輸送のための1つまたは複数の前方開口型統一ポッド(FOUP72)を有するファクトリインターフェース(FI70)を取り付けることができる。各FOUPは、固定のカセットを有するコンテナであり、自動化された材料取扱いシステムとともに使用される前方開口型インターフェースを有しており、FOUPの内部が周囲の製造工場環境から分離されているため、基板上の粒子数を低減させるために使用することができる。
FI70は、FOUP72から基板を取り出して、処理シーケンスを開始する。クラスタツール10は、多角形構造60内に配置された第1のバッファチャンバ40および第2のバッファチャンバ50ならびに第1の基板移送位置24および第2の基板移送位置26を有する。第1のバッファチャンバ40は、低品質の真空バッファとすることができ、第2のバッファチャンバ50は、高品質の真空バッファとすることができる。基板移送位置はそれぞれ、チャンバとすることができる。
【0011】
第1のロードロックチャンバ32および第2のロードロックチャンバ34を、多角形構造60の一方の側に配置することができる。第1のガス抜きチャンバ28および第2のガス抜きチャンバ30を、多角形構造の概して両側に、第1のロードロックチャンバ32および第2のロードロックチャンバ34に隣接して配置することができる。第1のプロセスチャンバ12および第2のプロセスチャンバ14を含む第1の対のプロセスチャンバを、多角形構造60の概して両側に、第1のガス抜きチャンバ28、第2のガス抜きチャンバ30、および第1のバッファチャンバ40に隣接して配置することができる。第1のプロセスチャンバ12および第2のプロセスチャンバ14はそれぞれ、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能な基板上に膜を形成するためのVersa(商標)Wプラズマ気相堆積(PVD)チャンバとすることができる。第3のプロセスチャンバ16および第4のプロセスチャンバ18を含む第2の対のプロセスチャンバを、多角形構造60の概して両側に、第2のバッファチャンバ50に隣接して配置することができる。第3のプロセスチャンバ16および第4のプロセスチャンバ18はそれぞれ、例示を目的として、Applied Materials,Inc.からやはり入手可能なFalcon TTN PVDチャンバとすることができる。第5のプロセスチャンバ20および第6のプロセスチャンバ22を含む第3の対のプロセスチャンバを、多角形構造60の概して両側に、第3のプロセスチャンバ16、第4のプロセスチャンバ18、および第2のバッファチャンバ50に隣接して配置することができる。第3の対のプロセスチャンバは、たとえばApplied Materials,Inc.からやはり入手可能なシリコン含有層を堆積させるためのチャンバとすることができる。
【0012】
プロセスおよびロードロックチャンバは、それぞれ第1の環境46および第2の環境56を生じる複数のスリットバルブ(いずれも図示せず)によって、第1のバッファチャンバ40および第2のバッファチャンバ50から選択的に分離することができる。多角形構造60は、第1のバッファチャンバ40および第2のバッファチャンバ50を分離する中心壁62を有する。第1の基板移送位置24および第2の基板移送位置26は、中心壁62を通って第1のバッファチャンバ40および第2のバッファチャンバ50へ進む個々の通路を提供する。第1の基板移送位置24および第2の基板移送位置26は、複数のスリットバルブ(図示せず)によって、隣接する第1のバッファチャンバ40および第2のバッファチャンバ50から選択的に分離される。たとえば、第1のバッファチャンバ40と第1の基板移送位置24との間に1つのスリットバルブを設けることができ、第1の基板移送位置24と第2のバッファチャンバ50との間に1つの追加のスリットバルブを設けることができ、第1のバッファチャンバ40と第2の基板移送位置26との間に1つのスリットバルブを設けることができ、第2のバッファチャンバ50と第2の基板移送位置26との間に1つのスリットバルブを設けることができる。スリットバルブを使用することで、各チャンバ内の圧力を個々に制御することが可能になる。加えて、第1の基板移送位置24および第2の基板移送位置26はそれぞれ、対応する基板を各位置で支持するための基板ペデスタル(図示せず)をそれぞれ有することができる。
【0013】
第1のバッファチャンバ40は、第1のロードロックチャンバ32、第2のロードロックチャンバ34、第1のガス抜きチャンバ28、第2のガス抜きチャンバ30、第1のプロセスチャンバ12、第2のプロセスチャンバ14、第1の基板移送位置24、および第2の基板移送位置26によって囲まれる。第1のプロセスチャンバ12、第2のプロセスチャンバ14、第1のガス抜きチャンバ28、第2のガス抜きチャンバ30、第1のロードロックチャンバ32、および第2のロードロックチャンバ34はそれぞれ、さらなるスリットバルブ(図示せず)によって、第1のバッファチャンバ40から選択的に分離される。第1のバッファチャンバ40内には、第1のロボット基板輸送機構42、たとえばマルチブレードロボットが位置する。他のタイプの輸送機構に置き換えることもできる。図示の第1のロボット基板輸送機構42は、基板44の1つまたは複数を支持する基板輸送ブレード48を有することができる。基板輸送ブレード48は、第1のバッファチャンバ40を囲むチャンバとの間で基板を個々に搬送するために、第1のロボット基板輸送機構42によって使用される。
【0014】
第2のバッファチャンバ50は、第3のプロセスチャンバ16、第4のプロセスチャンバ18、第5のプロセスチャンバ20および第6のプロセスチャンバ22、第1の基板移送位置24、ならびに第2の基板移送位置26によって囲まれる。第2のバッファチャンバ50内には、第2のロボット基板輸送機構52、たとえばマルチブレードロボットが位置する。他のタイプの輸送機構に置き換えることもできる。図示の第2のロボット基板輸送機構52は、基板54の1つまたは複数を支持する基板輸送ブレード58を有することができる。基板輸送ブレード58は、第2のバッファチャンバ50を囲むチャンバとの間で個々の基板を搬送するために、第2のロボット基板輸送機構52によって使用される。
【0015】
第1のバッファチャンバ40および第2のバッファチャンバ50は、ターボ分子ポンプなどのポンピング機構(図示せず)に接続された真空ポートを有することができる。真空ポートの構成および位置は、個々のシステムに対する設計基準に応じて変動することができる。基板処理は、たとえば、第1のバッファチャンバ40および第2のバッファチャンバ50をポンピング機構によって真空状態まで排気することから開始することができる。第1のロボット基板輸送機構42は、ロードロックチャンバの1つ(たとえば第1のロードロックチャンバ32)から基板44を取り出し、その基板を第1の処理段階、たとえば第1のガス抜きチャンバ28へ搬送する。第1のガス抜きチャンバ28は、その後の処理に備えて、その上に形成された構造を含む基板44をガス抜きするために使用することができる。
【0016】
次の処理段階で、基板は、基板の1つまたは複数の層を製造するために、第3のプロセスチャンバ16または第4のプロセスチャンバ18へ搬送することができる。第1のロボット基板輸送機構42が基板を搬送しなくなった後、第1のロボット基板輸送機構42は、第1のバッファチャンバ40を取り囲むまたは第1のバッファチャンバ40に隣接する1つまたは複数の他のチャンバ内の基板に対処することができる。基板を処理し、プラズマ気相堆積(PVD)段階で基板上に材料を堆積させた後、次いで基板を第2の処理段階へ動かすことができ、以下同様である。たとえば、次いで基板をたとえば第5の処理チャンバ20または第6の処理チャンバ22へ動かすことができる。
【0017】
処理チャンバが第2のバッファチャンバ50に隣接して位置する場合、基板を基板移送位置の1つ(たとえば第1の基板移送位置24)へ輸送することができる。第1のバッファチャンバ40および第1の基板移送位置24を分離するスリットバルブ(図示せず)が開放される。第1のロボット基板輸送機構42が、基板を第1の基板移送位置24へ輸送する。第1のロボット基板輸送機構42に接続された基板輸送ブレード48が、基板をペデスタル上に残して、第1の基板移送位置24から取り外される。第1のバッファチャンバ40および第1の基板移送位置24を分離するスリットバルブが閉鎖された後、第2のバッファチャンバ50および第1の基板移送位置24を分離する第2のスリットバルブ(図示せず)が開放され、第2のロボット基板輸送機構52に接続された基板輸送ブレード58を第1の基板移送位置24内へ挿入して基板を取り出すことが可能になる。基板が第2のバッファチャンバ50内に入った後、第2のスリットバルブは閉鎖され、第2のロボット基板輸送機構52は、第2のバッファチャンバ50および第2のロボット基板輸送機構52によって対処される適当な1つまたは一続きの処理チャンバへ、基板を自由に動かすことができる。基板処理が終了した後、基板はFI70上のFOUP72の1つへ装入され、適宜基板移送位置を通って戻される。
【0018】
第1のバッファチャンバ40内に位置決めされた位置感知トランスデューサ(図示せず)は、電気信号を提供し、この電気信号から、基板輸送ブレード48および関連する基板44の角位置が、ハードウェアドライバおよびメモリ82内に記憶された関連するオペレーティングソフトウェアによって判定され、制御システム80のプロセッサ84によって実行される。たとえば温度および圧力センサ(図示せず)などの他のトランスデューサも、クラスタツール10の様々なチャンバ間に分散されており、信号を生成し、この信号から、メモリ82内に記憶された関連するオペレーティングソフトウェアに応じて、各チャンバ内の温度および圧力状態を、それぞれの温度および圧力測定値として導出および表示することができる。様々な動作条件は、オペレーティングソフトウェアのユーザインターフェースを介して操作者に図表によって提示され、ユーザインターフェースおよび関連する測定値が、ユーザ入力に応答して制御システム80の表示デバイス86上に表示される。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、制御システム80のメモリ82は、表示デバイス86上に、複数の静的図形オブジェクトを含む第1の図面の表示を開始するためにプロセッサ84によって実行可能な命令をさらに含む。実施形態では、各静的図形オブジェクトは、クラスタツール10の1つの設計要素に対応する。設計要素の例には、位置感知トランスデューサ、圧力感知トランスデューサ、温度感知トランスデューサ、スリットバルブおよび/またはガス流バルブなどのバルブ、処理チャンバリッドスイッチなどのスイッチ、ワイアおよび端子ブロックなどの電気コネクタ、DC電力バイアス回路などの電気要素が含まれる。一実施形態では、制御システム80で収集されるユーザ入力は、診断または試験手順に関連する電気略図を特定し、制御システム80は、それに応答して、特定された略図を(たとえば、第1の図面として)取り出し、表示デバイス86に表示する。
【0020】
1つまたは複数の実施形態によれば、制御システム80のメモリ82は、複数のフィールドを含む診断略図オーバレイを特定するためにプロセッサ84によって実行可能な命令をさらに含み、複数のフィールドのうちの各フィールドは、複数の静的図形オブジェクトのうちの1つの静的図形オブジェクトとしてディスプレイ内に表される設計要素に位置合わせされる。オーバレイは、複数の動的図形オブジェクトをさらに含む。一実施形態では、1つまたは複数の図形オブジェクトが各フィールドに関連付けられる。動的図形オブジェクトで埋められたとき、これらのフィールドは、特定の図面にカスタマイズされた診断略図オーバレイを集合的に形成し、いくつかの実施形態では、静的図形オブジェクトによって表される各設計要素(またはそのような設計要素の部分集合)の最近もしくは実時間の動作状態および/または実時間の動作パラメータを反映することができる。
【0021】
一実施形態では、制御システム80からアクセス可能なデータベースは、クラスタツール10の構成要素のそれぞれの設計要素に関連付けられた複数の静的図形オブジェクトを含む1つまたは複数の略図、ならびに1つまたは複数の動的オーバレイを含む。いくつかの実施形態では、データベースは、静的図形設計要素を含む図面と対応する診断略図オーバレイとの間の関連付けを行うデータテーブルを含む。各図面および/またはオーバレイは、他の図面およびオーバレイへの参照を含むことができ、これらの参照は、さらなるユーザ入力によって(たとえば、ハイパテキストマーク付け言語リンクをクリックすることによって)選択し、制御システム80にその後の図面-オーバレイ対を表示させることができる。
実施形態では、制御システム80のメモリ82は、ある時間インスタントで静的図形オブジェクトの少なくともいくつかの設計要素動作状態または設計要素動作パラメータの少なくとも1つを判定するためにプロセッサ84によって実行可能な命令をさらに含む。設計要素動作状態の例には、スイッチもしくはバルブの開閉状態、またはリレーの通電もしくは遮断状態が含まれる。設計要素動作パラメータの例には、測定値(たとえば、トランスデューサ出力から導出される瞬時圧力、温度、もしくは角位置)、および/またはそこから対応する測定値が導出される瞬時電圧もしくはインピーダンス値が含まれる。一実施形態では、設計要素動作パラメータおよび設計要素動作状態は、クラスタツール10を動作させるために使用されるソフトウェアおよび/またはハードウェアドライバから取り出される。
【0022】
実施形態では、プロセッサ84によって命令が実行されると、制御システム80は、静的図形オブジェクトの相互接続されたグループ分けとして設計要素を示す図面に重ね合わせた動的に更新される診断略図オーバレイとして、動作状態および判定した動作パラメータの表示を開始する。図1Aのクラスタツール10などの複雑なシステムの動作および診断評価は、通常の生産方式に応じて、または別法として特定の観察された挙動に基づいて選択された診断方式に応じて、複雑なシステムの1つまたは複数の構成要素を動作させることによって実現することができる。複雑なシステムの1つのそのような構成要素を図1Bに示すが、本開示の態様は、広範な複雑なシステムおよびその構成要素に関連するため、そのような図は例示のみを目的とする。
【0023】
図1Bは、1つまたは複数の基板処理および/または基板試験動作を実行するために使用することができるチャンバ100を示す。チャンバ100は、上部プロセスアセンブリ108、プロセスキット150、およびペデスタルアセンブリ120を含み、処理領域110内に配置された基板105を処理するように構成することができる。チャンバ100は、図1Aに示すクラスタツール10の第1のプロセスチャンバ12または第2のプロセスチャンバ14として働くタングステンPVD堆積チャンバとすることができる。プロセスキット150は、一体型の接地シールド160、下部プロセスキット165、および絶縁リングアセンブリ180を含む。図示の形態では、チャンバ100は、ターゲット132Aから基板105上へ単一の材料を堆積させることが可能な物理的気相堆積またはPVDチャンバとも呼ばれるスパッタリングチャンバを構成する。
【0024】
チャンバ100は、チャンバ本体101を含み、チャンバ本体101は、処理領域110またはプラズマゾーンを密閉する側壁104、底壁106、および上部プロセスアセンブリ108を有する。チャンバ本体101は、典型的には、ステンレス鋼の溶接板または単体のアルミニウムブロックから製造される。一実施形態では、側壁はアルミニウムを含み、底壁はステンレス鋼板を含む。側壁104は、概して、チャンバ100からの基板105の入口および出口を提供するためのスリットバルブ(図示せず)を含む。チャンバ100の上部プロセスアセンブリ108内の構成要素は、接地シールド160、ペデスタルアセンブリ120、およびカバーリング170と協働して、処理領域110内に形成されたプラズマを基板105より上の領域に閉じ込める。
【0025】
ペデスタルアセンブリ120は、チャンバ100の底壁106から支持される。ペデスタルアセンブリ120は、処理中に基板105とともに堆積リング172を支持する。ペデスタルアセンブリ120は、リフト機構122によってチャンバ100の底壁106に結合され、リフト機構122は、上部処理位置と下部移送位置との間でペデスタルアセンブリ120を動かすように構成される。加えて、下部移送位置では、リフトピン123がペデスタルアセンブリ120を通って、ペデスタルアセンブリ120から距離をあけて基板を位置決めし、単一のブレードロボット(図示せず)などの基板移送機構がチャンバ100の外部に配置された状態で、基板の交換を容易にする。典型的には、処理領域110をペデスタルアセンブリ120の内部およびチャンバの外部から分離するために、ペデスタルアセンブリ120と底壁106との間にベローズ124が配置される。
ペデスタルアセンブリ120は、概して、プラットフォームハウジング128に密封して結合された支持体126を含む。プラットフォームハウジング128は、典型的には、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属材料から製造される。概して、支持体126を温度調整するために、プラットフォームハウジング128内に冷却板(図示せず)が配置される。
【0026】
支持体126は、アルミニウムまたはセラミックから構成することができる。基板支持体126は、処理中に基板105を受け取って支持する基板受け面127を有し、基板受け面127は、ターゲットアセンブリ132のターゲット132Aのスパッタリング表面(たとえば第1の表面133)に対して実質上平行である。支持体126はまた、基板105の張り出しエッジ105Aの手前で終わる周辺エッジ129を有する。支持体126は、静電チャック、セラミック体、ヒータ、またはこれらの組合せとすることができる。一実施形態では、支持体126は、中に埋め込まれた電極(たとえば、導電層125)を有する誘電体を含む静電チャックである。
誘電体は、典型的には、熱分解性窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ、または同等の材料などの熱伝導率の高い誘電体材料から製造される。ペデスタルアセンブリ120および支持体126の他の態様は、以下でさらに記載する。一実施形態では、導電層125は、基板105と支持体126との間の熱伝達を改善するために、静電チャック電力供給143によって導電層125にDC電圧が印加されたとき、基板受け面127上に配置された基板105が基板受け面127に静電チャックされるように構成される。別の実施形態では、RFバイアスコントローラ141も導電層125に結合され、その結果、処理中に基板上の電圧を維持して、基板105の表面とのプラズマ相互作用に影響を与えることができる。
【0027】
チャンバ100は、システムコントローラ190によって制御されており、システムコントローラ190は、概して、チャンバ100の制御および自動化を容易にするように設計され、典型的には、中央処理装置(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、および支持回路(またはI/O)(図示せず)を含む。CPUは、様々なシステム機能、基板の動き、チャンバプロセス、および支持ハードウェア(たとえば、センサ、ロボット、モータなど)を制御し、プロセス(たとえば、基板支持体温度、電力供給変数、チャンバプロセス時間、I/O信号など)を監視するために工業的な環境で使用される任意の形態のコンピュータプロセッサとすることができる。メモリは、CPUに接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピディスク、ハードディスク、または任意の他の形態のローカルもしくは遠隔のデジタルストレージなど、容易に入手可能なメモリの1つまたは複数とすることができる。ソフトウェア命令およびデータは、CPUに命令するためにメモリ内にコード化して記憶することができる。支持回路もまた、従来どおりプロセッサを支持するためにCPUに接続される。支持回路は、キャッシュ、電力供給、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含むことができる。
【0028】
システムコントローラ190によって可読のプログラム(またはコンピュータ命令)は、どのタスクが基板上で実行可能であるかを判定する。実施形態では、プログラムは、システムコントローラ190によって可読のソフトウェアであり、動きの監視、実行、および制御に関係するタスク、ならびにチャンバ100内で実行される様々なプロセス方策タスクおよび方策プロセスを実行するためのコードを含む。たとえば、システムコントローラ190は、ペデスタルアセンブリ120を動作させるための基板位置決め命令セット、チャンバ100へのスパッタリングガスの流れを設定するようにガス流量制御バルブを動作させるためのガス流量制御命令セット、チャンバ100内の圧力を維持するようにスロットルバルブまたはゲートバルブを動作させるためのガス圧力制御命令セット、基板または側壁104それぞれの温度を設定するようにペデスタルアセンブリ120または側壁104内の温度制御システム(図示せず)を制御するための温度制御命令セット、およびチャンバ100内のプロセスを監視するためのプロセス監視命令セットを含むプログラムコードを含むことができる。
【0029】
システムコントローラ190のプロセッサによって実行されるソフトウェアは、電圧(ボルト)、抵抗(オーム)、および電流(アンペア)、ならびに/または様々な温度、圧力、位置、およびガス流センサからの他のアナログもしくはデジタル出力などの実時間動作パラメータデータを、システムコントローラ190に収集させ、メモリ内に記憶させ、処理させる。システムコントローラ190は、収集したデータから、特定の基板処理方策に対する設定点に関するフィードバックおよびコンプライアンスとして使用するために、温度、圧力、およびガス流の実際の値を導出する。同じ理由で、システムコントローラ190は、たとえばスリットバルブ、リッド位置スイッチ、リレーなどの様々なデバイスの動作状態または状況を監視する。本開示に合致する実施形態では、システムコントローラ190によって収集されるデータを使用して、診断略図オーバレイの動的図形オブジェクトを更新することができる。
チャンバ100はまた、たとえばスパッタリング堆積物を構成要素の表面から取り除くため、腐食した構成要素を交換もしくは修理するため、またはチャンバ100を他のプロセスに適合させるために、チャンバ100から容易に取り出すことができる様々な構成要素を備えるプロセスキット150を含む。一実施形態では、プロセスキット150は、絶縁リングアセンブリ180と、接地シールド160と、基板105の張り出しエッジの手前で終わる支持体126の周辺エッジ129の周りに配置するためのリングアセンブリ168とを備える。
【0030】
ターゲットアセンブリ132は、チャンバ100内にターゲット132A、ボンディング層132B、およびバッキング板132Cを含む。ターゲット132Aは、チャンバ100の処理領域110に接触している第1の表面133と、第1の表面133とは反対側の第2の表面135とを有する。一実施形態では、DC電力供給182の直流(DC)電力供給182Aからターゲット132Aへ、処理領域110内に形成されたプラズマにエネルギーが供給される。約1.5kWまたは2.0kWなど、約1kW~約3.0kWの範囲内の電力レベルで、DC電力をターゲットへ印加することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ100内に配置された基板105上に薄膜を形成するプロセスは、基板支持体に結合されたRFバイアスとともに、ターゲット132Aに結合されたDC電源のみを使用することができる。しかし、図1Bでは、DC電源のみがターゲットに結合されているが、いくつかの実施形態では、チャンバは、RFとDC電源の両方をターゲットに結合することができる。
【0031】
上部プロセスアセンブリ108はまた、RF電力供給(図示せず)、アダプタ102、モータ193、およびリッドアセンブリ130を備えることができる。リッドアセンブリ130は、概して、ターゲットアセンブリ132、マグネトロンシステム189、およびリッド囲壁191を備える。上部プロセスアセンブリ108は、図1Bに示すように、閉鎖位置にあるとき、側壁104によって支持される。リッドアセンブリの絶縁リングアセンブリ180と、ターゲットアセンブリ132と、アダプタ102との間には、これらの間の真空漏れを防止するために、セラミックターゲットアイソレータ136が配置される。アダプタ102は、側壁104に密封可能に結合することができ、上部プロセスアセンブリ108および下部プロセスキット165の取り外しを助けるように構成することができる。
処理位置にあるとき、ターゲットアセンブリ132のターゲット132Aは、アダプタ102に隣接して配置され、チャンバ100の処理領域110に露出される。ターゲット132Aは、PVDまたはスパッタリングプロセス中に基板105上に堆積される材料を含む。絶縁リングアセンブリ180は、ターゲット132Aをシールド160およびチャンバ本体101から電気的に絶縁するために、ターゲット132Aとシールド160およびチャンバ本体101との間に配置される。
【0032】
処理中、ターゲットアセンブリ132は、RF電力供給(図示せず)および/または直流(DC)電力供給182内に配置された電源によって、処理チャンバの接地領域(たとえば、チャンバ本体101およびアダプタ102)に対してバイアスがかけられる。一実施形態では、RF電力供給は、ターゲット132AへRFエネルギーを効率的に供給するように構成されたRF電力供給およびRFマッチ(いずれも図示せず)を備える。一例では、RF電力供給は、約0~約4.5kWの電力で約13.56MHz~約60MHzの周波数のRF電流を生成することが可能である。一例では、DC電力供給182内のDC電力供給182Aは、約0~約2.5kWのDC電力を供給することが可能である。別の例では、RF電力供給は、ターゲットで約15~約45kW/m2のRF電力密度を生成することが可能であり、DC電力供給182は、約15~約45kW/m2の電力密度を供給することが可能である。
【0033】
処理中、ガス源142から導管144を介して処理領域110へ、アルゴンなどのガスが供給される。ガス源142は、ターゲット132Aに勢いよく当たってターゲット132Aから材料をスパッタリングすることが可能なアルゴン、クリプトン、ヘリウム、またはキセノンなどの非反応性ガスを含むことができる。ガス源142はまた、スパッタリング材料と反応して基板上に層を形成することが可能な酸素含有ガスまたは窒素含有ガスのうちの1つまたは複数などの反応性ガスを含むことができる。使用済みプロセスガスおよび副生成物は、排気口146を通ってチャンバ100から排気される。排気口146は、使用済みプロセスガスを受け取り、使用済みプロセスガスを排気導管148へ誘導する。排気導管148は、チャンバ100内の処理領域110内の圧力を制御するために調整可能な位置ゲートバルブ147を有する。排気導管148は、クライオポンプなどの排気ポンプ149に接続される。典型的には、処理中のチャンバ100内のスパッタリングガスの圧力は、真空環境などの大気圧以下のレベル、たとえば約1.0ミリトル~約10.0ミリトルの圧力に設定される。一実施形態では、処理圧力は、約2.5ミリトル~約6.5ミリトルに設定される。このガスから、基板105とターゲット132Aとの間にプラズマが形成される。プラズマ内のイオンは、ターゲット132Aの方へ加速し、ターゲットアセンブリ132のターゲット132Aから材料が外れる。外れたターゲット材料は、基板上に堆積する。
【0034】
図1Bに示すチャンバ100のリッド囲壁191は、概して、導電性壁185、中央供給部184、および遮蔽部186を備える。図1Bの構成で、導電性壁185、中央供給部184、ターゲットアセンブリ132のバッキング板132C、およびモータ193の一部分は、裏面領域134を密閉して形成する。裏面領域134は、ターゲットアセンブリ132のバッキング板132Cの裏面上に配置された密封領域である。裏面領域は、概して、チャンバ100を要するプロセス中に流動液で充填される。流動液は、そのようなプロセス中にターゲット132Aで生成される熱を除去する。一実施形態では、導電性壁185および中央供給部184は、モータ193およびマグネトロンシステム189を支持するように構成され、その結果、モータ193が処理中にマグネトロンシステム189を回転させることができる。
【0035】
実施形態では、マグネトロンシステム189は、ターゲット132Aの中心点の周りを回転することができ、マグネトロンシステム189は、ターゲット132Aの第2の表面135に隣接して配置され、処理領域110内で第1の表面133に隣接して磁場を生じさせる。生じた磁場は、電子およびイオンを閉じ込め、プラズマ密度を増大させ、スパッタリング速度を増大させる働きをする。本開示に合致する一実施形態によれば、マグネトロンシステム189は、ソースマグネトロンアセンブリ420を含み、ソースマグネトロンアセンブリ420は、回転板413、外側極424、および内側極425を備える。外側極424および内側極425はそれぞれ、複数の磁石423を備える。マグネトロンシステム189およびその結果得られる磁場は、堆積プロセス中にターゲットからのイオンの衝撃に影響を与え、粒子サイズおよび膜密度などの薄膜特性の制御を可能にする。
【0036】
一実施形態では、モータ193によって電力供給される回転シャフト193Aが、中心軸に沿って延び、回転板413およびソースマグネトロンアセンブリ420を支持する。処理中、スパッタリングにより、ターゲットアセンブリ132のターゲット132Aが大幅に加熱される。したがって、裏面領域134は、ターゲットアセンブリ132のバッキング板132Cに密封され、水などの冷却液で充填される。冷却液は、冷却装置(図示せず)および冷却水を循環させる送水管系(図示せず)によって冷却することができる。回転シャフト193Aは、回転シール(図示せず)を通ってチャンバ100を貫通し、マグネトロンシステム189は、裏面領域134内に配置された液体中に浸漬される。
プロセスはまた、チャンバ内の基板支持体(支持体126)を加熱することを含むことができる。支持体126、またはその上に配置された基板は、約200℃~約900℃の範囲内の温度まで加熱することができる。一実施形態では、基板または支持体は、約250℃~約400℃の範囲内の温度まで加熱することができる。たとえば、基板または基板支持体は、約250℃、約300℃、約350℃、または約400℃まで加熱することができる。
チャンバ100内の条件を監視するために、圧力感知トランスデューサP1、P2、および温度感知トランスデューサT1、T2が、チャンバ100内に含まれる。どちらもシステムコントローラ190によって動作される、第1のプロセスガスの流れを許可または制限するためのバルブV1、およびスイッチS1、ならびにリッドアセンブリ130がチャンバ100の処理領域110を密封する設置または閉鎖位置にあるかどうかを判定するためのスイッチ(図示せず)も含まれる。追加のバルブおよびスイッチも、チャンバ100に付属させることができ、前述のセンサ、バルブ、およびスイッチは、例示のみを目的として本明細書に図示および記載されている。
【0037】
次に図2を参照すると、図1Bのチャンバ100のサブシステム、図1Aのクラスタツール10内に示すチャンバおよび他の構成要素のいずれか、または何らかの他の複雑なシステムのサブシステムを備えることができる回路200の設計要素を表す静的図形オブジェクトを含む例示的な図面(たとえば、第1の図面)が示されている。回路200のそれぞれの設計要素は、個別の電気導体、端子ブロックなどによってともに結合され、回路を形成する。図2には、チャンバ100に対する電気形式の接続を示すが、他の複雑なシステム(本開示で実施されるオーバレイ手法が等しく適する)は、システムを形成する設計要素の少なくともいくつかの間で他の形式の相互接続を使用することができる。たとえば、油圧回路内では、可撓性および/または剛性の油圧ラインによって、油圧源を油圧シリンダなどの要素に結合することができる。別法または追加として、1つまたは複数の流体ラインによって、真空源または圧力源を結合して、それぞれチャンバの排気または加圧を可能にすることができる。
【0038】
図2に見られるように、設計要素は、概して202-1~202-25で示すスイッチ、概して204-1、204-2、および204-3で示すリレー、概して206-1~206-7で示す発光ダイオード(LED)、ダイオード208-1~208-6、ならびに概して210で示す温度または圧力センサを含む。端子ブロック(図示せず)のそれぞれの端子に、出力O1~O22が接続され、それにより回路200のトラブルシューティング中に電圧、電流、および/またはインピーダンス測定値を得るためにマルチメータまたは他の測定デバイスの使用が容易になる。様々な設計要素の動作状態は、時間とともに、または特定の事象もしくは処理条件の有無に応じて、変化することがあり(たとえば、オン状態もしくはオフ状態に切り換えられる場合がある)、かつ/または変化しうる値を反映することができる(たとえば、圧力または温度センサ210にかかる電圧は、圧力または温度の変化に比例して、反比例して、またはそのような変化によって決まるその他の形で変化し、導出される圧力または温度測定値の基準を形成することができる)。しかし、設計要素自体は、回路200の一部のままであると考えられ、したがって設計要素は、静的図形オブジェクトとして表示される(すなわち、設計要素は時間とともに変化しない)。
【0039】
図3は、たとえば図2の回路200などの対応する概略図面の設計要素にそれぞれマッピングされた複数のフィールド302を示す。動的図形オブジェクトで埋められたとき、フィールド302は、診断略図オーバレイ300の基準を形成する。図3に示すフィールド302は、空白の状態(たとえば、1つまたは複数の動的図形オブジェクトで更新する前)で示されている。実施形態では、動的図形オブジェクトは、規則的な間隔で更新される。別法または追加として、動的図形オブジェクトは、ユーザ命令の受け取りに応答して更新することができる。動的図形オブジェクトの少なくともいくつかは、設計要素の動作状態(たとえば、スイッチのオンもしくはオフ状態、リレーの通電もしくは遮断状態、リレーコンタクトの開閉状態、または発光ダイオードの点灯もしくは消灯状態)、設計要素の動作パラメータなどに対応することができる。他の動的図形オブジェクトは、たとえば回路200および診断略図オーバレイ300が関連付けられたシステムの動作を監視するソフトウェアから判定される設計要素によって供給される瞬時圧力、温度、または位置測定値などの動作パラメータを含むことができる。追加の動作パラメータは、そこから測定値が導出される基本電圧、電流、および/またはインピーダンス値を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、各動的図形オブジェクトは、それぞれの動的図形オブジェクトを介して複数の形式の情報の図形表示を容易にするために、複数のフィールドを含む。いくつかの実施形態では、動的図形オブジェクトは、対応する静的図形オブジェクトに関連付けられた設計要素の動的に更新される動作状態を提示するためのフィールドを含む。いくつかの実施形態では、動的図形オブジェクトは、対応する静的図形要素に関連付けられた設計要素の動的に更新される動作パラメータを提示するためのフィールドを含む。いくつかの実施形態では、動的図形オブジェクトの少なくともいくつかは、対応する静的図形オブジェクトに関連付けられた設計要素の動的に更新される動作状態を提示するためのフィールドと、同じ静的図形要素に関連付けられた設計要素の動的に更新される動作パラメータを提示するための別個のフィールドとを含む。
単一の静的図形オブジェクトを示す図面に、1つまたは複数のオーバレイを関連付けることができる。一実施形態では、特定の1組のトラブルシューティング徴候の特定に対応するユーザ入力の結果、同じ図面に関連付けられた1つまたは複数のオーバレイから1つのオーバレイを選択することができる。関連付けが行われた後、特定されたオーバレイは、該当する図面上に重ね合わされ、または他の形で組み合わされる。オーバレイ動作の例示的な結果を図4に示す。一実施形態では、図形オブジェクトの色または何らかの他の視覚的属性(たとえば、形状、破線か実線か、表示が点滅するかどうかなど)を使用して、所与の1組のプロセス条件に対する対応する設計要素の予期される動作に一致および/または不一致の動作状態または動作パラメータを伝えることができる。
【0041】
図4で、たとえば、リレー204-1~204-3のそれぞれを表すように表示された静的図形オブジェクトは、適当に通電された動作状態を示すためのオーバレイとして緑色の動的図形オブジェクトによって示されており、スイッチ202-1~202-23および202-25のそれぞれもまた、適当に閉鎖された動作状態を示すためのオーバレイとして緑色の動的図形オブジェクトによって示されている。他方では、スイッチ202-24は、その設計要素の予期される動作状態に一致しないことを表すために、赤色の動的図形オブジェクトを有するものとして示されている。他の実施形態では、配色または他の形式の設計表現は、そのような状態が所与の1組の処理条件にとって適当かどうかにかかわらず、視覚的に区別可能な動作状態(たとえば、開閉)のみを伝えることができる。
【0042】
図4は、センサ210に位置合わせされたオーバレイフィールド内にいかなる動的図形オブジェクトも示さないが、実施形態では、そのようなフィールドは、摂氏度単位の温度の測定値(または、たとえばPSI単位の圧力の測定値)と、温度または圧力測定値を導出するためにオペレーティングソフトウェア(図示せず)によって取り出されて使用される対応する電圧値との両方を含むこともできる。
図5は、本開示に合致する1つまたは複数の実施形態による、それぞれ静的図形オブジェクトとして表されかつシステム略図の一部を形成する複数の設計要素を含む図面に位置合わせして表示された動的に更新される図形オブジェクトの対話式診断略図オーバレイを動的に更新する方法500を示す。
方法500は、502で始まり、504へ進む。504で、方法500は、複数の静的図形オブジェクトを含む第1の図面の選択を受け取る。静的図形オブジェクトはそれぞれ、複雑なシステムの1つの設計要素に対応する。実施形態では、第1の図面は、複数の静的図形オブジェクト間の動作接続を示す概略図面または青図面として配置される。方法500は505へ進む。505で、この方法は第1の図面を表示し、506へ進む。
【0043】
506で、この方法は、受け取った選択に対応する診断略図オーバレイを特定する。1つまたは複数の実施形態によれば、各診断略図オーバレイは、それぞれ複数の静的図形オブジェクトのうちの1つの静的図形オブジェクトに位置合わせされる複数の動的図形オブジェクトと、それぞれ複数の静的図形オブジェクトのうちの1つの静的図形オブジェクトに位置合わせされる複数のフィールドとの一方または両方を含む。506から、方法500は508へ進む。
508で、更新周波数または時間インスタンスカウンタNが、カウンタ値をゼロに設定することによって初期化される。510で、時間インスタンスカウンタの値は、1だけ増分される。510から、方法500は512へ進む。
512で、方法500は、第1の時間インスタンスTNで静的図形オブジェクトの少なくともいくつかに対して設計要素動作状態または設計要素動作パラメータの少なくとも1つを判定する。いくつかの実施形態では、設計要素は、1つもしくは複数の温度感知トランスデューサ、1つもしくは複数の圧力感知トランスデューサ、1つもしくは複数の位置センサ、電気導体、一定の電圧および/もしくは電流レベルを有する電源、ならびに/または複数のスイッチを含む。
【0044】
一実施形態では、判定するステップは、複雑なシステムを動作および/または試験するためにシステムコントローラによって実行されるソフトウェアから、1つまたは複数の設計要素に対する複数の設計要素動作パラメータを取り出すことを含む。取り出された複数の設計要素動作パラメータは、この設計要素に関連付けられた単一のフィールドに対応することができ、または別法として複数のフィールドに対応することができる。所与の設計要素に対して取り出すことができる設計要素動作パラメータの例には、たとえば温度もしくは圧力感知トランスデューサによって出力される瞬時電圧値、および/または対応する瞬時電圧値から導出される瞬時温度測定値もしくは瞬時圧力測定値が含まれる。
1つまたは複数の実施形態によれば、判定するステップ中に、複雑なシステムを動作または試験するためにプロセッサによって実行されるソフトウェアから、少なくともいくつかの設計要素動作パラメータまたは設計要素動作状態が取り出される。いくつかの実施形態では、オーバレイが動的に更新される複雑なシステムの少なくとも1つの設計要素は、スイッチを含み、判定するステップは、スイッチの開閉状態を取り出すことを含む。いくつかの実施形態では、オーバレイが動的に更新される複雑なシステムの少なくとも1つの設計要素は、リレーを含み、判定するステップは、リレーの通電または遮断状態を取り出すことを含む。
【0045】
方法500は514へ進み、更新された診断略図オーバレイとして、505で表示した図面とともに、判定した動作状態および/または判定した動作パラメータを表示する。516で、方法500は、オーバレイのさらなるトラブルシューティングおよび動的更新が適当かどうかを判定する。さらなるトラブルシューティングおよび動的更新が適当な場合、方法500は510に戻り、時間インスタンスカウンタNを増分し、512~516のさらなる反復を実行する。さらなるトラブルシューティングおよび動的更新が適当でない場合、方法500は518で終了する。
いくつかの実施形態では、516は、サブプロセス(図示せず)として、第1の図面または診断略図オーバレイのうちの1つに示されている図形オブジェクトのユーザ選択に応答して、それぞれ複雑なシステムの1つの設計要素に対応する第2の組の静的図形オブジェクトを含む第2の図面を特定するステップと、第2の図面を表示するステップとを含むことができる。516で、同じユーザ入力に応答して、方法500は、第2の診断略図オーバレイを特定し、第2の診断略図オーバレイを第2の図面に位置合わせして表示することができる。このような実施形態では、516により、方法500は508へ戻り、時間インスタンスカウンタNを再び初期化するはずである。
【0046】
上記は、本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示に合致する他のさらなる実施形態も考案することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5