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特許7267203ノボラック樹脂およびゴム組成物における使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ノボラック樹脂およびゴム組成物における使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 61/12 20060101AFI20230424BHJP
   C08G 8/22 20060101ALI20230424BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20230424BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20230424BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C08L61/12
C08G8/22
C08K5/13
C08L7/00
C08L9/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019547667
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018020302
(87)【国際公開番号】W WO2018160750
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】62/464,894
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519312463
【氏名又は名称】スミトモ ケミカル アドバンスト テクノロジーズ エルエルシー ディー・ビー・エー スミカ エレクトロニック マテリアルズ
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板橋 太門
(72)【発明者】
【氏名】マクノートン,デビッド ピー
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】ウォークアップ,シー マイケル
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-339844(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101235166(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C08G 4/00- 16/06
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(I)
【化1】
(式中、Rは、水素原子またはアラルキル基であり、RおよびRの少なくとも一方はアルキレン架橋であり、RおよびRの他方はアルキレン架橋または水素原子である)により定義される単位を含む樹脂と;
(ii)式(II)
【化2】
(式中、Rは、水素原子またはアラルキル基である)により定義される未反応レゾルシノール化合物とを含むレゾルシノールノボラック樹脂組成物であって、式(I)及び式(II)中の全レゾルシノール芳香環の1モル%~10モル%がアラルキル化され、レゾルシノールノボラック樹脂組成物がパステルまたはプリルに加工された形態である加工品
【請求項2】
アラルキル基がスチレンでアラルキル化され、アルキレン架橋がメチレン架橋である、請求項1に記載の加工品
【請求項3】
(i)アルデヒドまたはケトンと、(ii)アラルキル置換レゾルシノールおよびレゾルシノールとの反応生成物を含む、レゾルシノールノボラック樹脂組成物であって、レゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの総モルに対するアラルキル置換レゾルシノールのモルは、0.01:1~0.1:1であり、前記レゾルシノールノボラック樹脂組成物はパステルまたはプリルに加工された形態である加工品
【請求項4】
レゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの総モルに対するアラルキル置換レゾルシノールのモルが、0.01:1~0.09:1である、請求項3に記載の加工品
【請求項5】
アルデヒドまたはケトンが、ホルムアルデヒド、メチルホルムセル、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、アセトン、およびメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項3または4に記載の加工品
【請求項6】
アラルキル置換レゾルシノールが、スチリルレゾルシノールまたはメチルスチリルレゾルシノールである、請求項3から5のいずれか一項に記載の加工品
【請求項7】
(ii)アラルキル置換レゾルシノールおよびレゾルシノールに対する(i)アルデヒドまたはケトンのモル比が、0.5:1~1:1である、請求項3から6のいずれか一項に記載の加工品
【請求項8】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物がパステルまたはプリルに加工された形態である加工品を製造するための方法であって、
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂を形成する工程が、触媒としてのトルエンスルホン酸の存在下において、(i)アルデヒドまたはケトンを(ii)アラルキル置換レゾルシノールおよびレゾルシノールと反応させるステップを含み、レゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの総モルに対するアラルキル置換レゾルシノールのモルは、0.01:1~0.1:1である、方法。
【請求項9】
アルデヒドまたはケトンが、ホルムアルデヒド、メチルホルムセル、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、アセトン、およびメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アラルキル置換レゾルシノールが、スチリルレゾルシノールまたはメチルスチリルレゾルシノールである、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
(ii)アラルキル置換レゾルシノールおよびレゾルシノールに対する(i)アルデヒドまたはケトンのモル比が、0.5:1~1:1である、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(1)天然ゴム、合成ゴムまたはそれらの組合せから選択される100重量部のジエンゴム成分と、(2)スチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレンおよびp-メチルスチレンからなる群から選択される1種または複数の化合物でアラルキル化された1モル%~10モル%のレゾルシノールを有する0.1~10重量部のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂からなる加工品とを含み、前記アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂からなる加工品はパステルまたはプリルに加工された形態である、改善されたゴム組成物。
【請求項13】
100重量部のジエンゴム成分に対して0.1~10部のメチレンドナーをさらに含む、請求項12に記載のゴム組成物。
【請求項14】
合成ゴムが、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン-イソプレンゴム、エチレンプロピレンコポリマーおよびエチレンプロピレンジエンゴムからなる群から選択される、請求項12または13に記載のゴム組成物。
【請求項15】
ヘキサメチレンテトラミン、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミンおよびエステル化メチロールメラミンからなる群から選択されるメチレンドナーをさらに含む、請求項12から14のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権に関する記述
本出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる、2017年2月28日出願の米国仮特許出願第62/464,894号の利益を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は、アラルキル置換レゾルシノール樹脂組成物、およびアラルキル置換レゾルシノール樹脂組成物を使用して調製されたゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術の簡単な説明
レゾルシノール樹脂、特にノボラック樹脂は、過剰のレゾルシノールの存在下でのレゾルシノールとアルデヒドまたはケトンとの反応生成物を含む。多くの有用なレゾルシノール樹脂は、レゾルシノールおよびアルデヒドから形成され、したがってしばしばレゾルシノール-アルデヒド樹脂またはレゾルシノール-アルデヒドノボラック樹脂と呼ばれる。
【0004】
レゾルシノール樹脂は、ゴム物品の製造において有用である。一般に、レゾルシノール樹脂は、ゴム配合物中で結合剤および硬化剤として使用される。結合剤としては、レゾルシノール樹脂は、ゴム複合材中の各種有機および無機構成成分に対するゴムの接着を有利に促進する。例えば、多くのゴム複合材は、鋼線補強または繊維補強複合材であり、レゾルシノール樹脂は、ゴムと鋼線または繊維コードとの間の接着を促進するために広く使用されている。
【0005】
レゾルシノール樹脂は、多くの場合過剰のレゾルシノールを用いて生成され、すなわち樹脂は、一般に10~20%の未反応または遊離レゾルシノールを有する。遊離レゾルシノールの量は、重要な特性のバランスを取る際に重大な因子となり得る。例えば、遊離レゾルシノールの量が低減されると(これはアルデヒドの相対量を増加させることにより達成され得る)、樹脂の軟化点が上昇し、それにより従来の調合温度でゴムと調合する場合に困難が生じる。
【0006】
しかしながら、遊離レゾルシノールの存在は問題となり得る。例えば、遊離レゾルシノールはゴム混合中に揮発し得るが、そのような揮発はしばしば発煙と呼ばれ、それによりゴム混合プロセスに追加的な問題がもたらされる。さらに、遊離レゾルシノールの存在は、レゾルシノール樹脂の吸湿性に寄与し、これが一方で保存および取扱い上の問題をもたらす。
【0007】
樹脂の製造中のレゾルシノールを改質する、またはそれに置換基を付加することにより、これらの樹脂中の遊離レゾルシノールの量を低減する研究がなされている。この改質は、発煙に利用され得る遊離レゾルシノールの量を低減するが、レゾルシノール分子上の反応部位の数も3つの位置(2、4、および6)から2つ以下まで低減する。改質レゾルシノール樹脂はまた、水分を吸収しにくい。したがって、レゾルシノール樹脂を改質することにより、発煙性が低く、また吸湿性が低い樹脂が生成されている。これらの改質樹脂は、しばしばスチレン化レゾルシノール樹脂と呼ばれるが、従来、スチレンをレゾルシノールと約0.4:1のモル比で反応させることにより形成される改質樹脂を使用して生成される。例えば、米国特許第5,049,641号は、スチレンをレゾルシノールと少なくとも0.25:1のモル比で反応させることにより形成される改質レゾルシノールを使用したレゾルシノール樹脂の合成を教示している。これに関連して、米国特許第5,021,522号は、メチレン受容体として使用されるアラルキル化フェノール樹脂を用いて調製される改善された加硫性ゴム組成物を教示している。これらのメチレン受容体は、フェノール基当たり少なくとも10モル%のアラルキル化を含む。
【0008】
これらのスチレン化樹脂は、有利にも、標準的な樹脂より発煙性が低く、また吸湿性がより低いが、脆性、より低い反応性を特徴とし、またゴム化合物においてより高いヒステリシスをもたらす。樹脂粒子の破壊により示される脆性は、破壊された樹脂粒子が微粉としても知られる微粒子を形成し、これがゴム調合現場での発塵をもたらし、また保存中の樹脂の圧密の可能性を増加させるため、問題となる。より長い硬化時間、例えばt’90により示される樹脂のより低い反応性は、ゴム調合現場における使用中、はるかにより低いスループットおよびより低い生産能力をもたらす。ゴム化合物の増加したtanδにより示される高ヒステリシスは、最終的なゴム物品の使用中の発熱性の指標であり、多くのゴム物品において不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、標準的な樹脂(すなわち非改質レゾルシノールを用いて生成されたもの)とスチレン化樹脂との間の妥協が周知であり、当業者は多くの場合、いくつかの因子に基づいてその2つの間で選択を行う。例えば、標準的な樹脂は依然として商業的に重要であり、当業者は、発煙および吸湿性に関連する問題に対応するために他の手段を使用する。別の例として、環境管理が不十分である、または高い湿度が問題となる製造場所では、スチレン化樹脂の低い反応性が許容され得る。それにもかかわらず、レゾルシノール樹脂を引き続き改善することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明の態様は、(i)式(I)
【化1】
(式中、R1は、水素原子またはアラルキル基であり、R2およびR3の少なくとも一方はアルキレン架橋であり、R2およびR3の他方はアルキレン架橋または水素原子である)により定義される単位を含む樹脂と;(ii)式(II)
【化2】
(式中、R1は、水素原子またはアラルキル基である)により定義される未反応レゾルシノール化合物とを含むレゾルシノールノボラック樹脂組成物であって、式(I)により定義される単位のモルおよび式(II)により定義される化合物のモル当たり1モル超40モル未満のアラルキル基を含む組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の態様は、(i)アルデヒドまたはケトンと、(ii)アラルキル置換レゾルシノールおよびレゾルシノールとの反応生成物を含む、レゾルシノールノボラック樹脂組成物であって、レゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの総モルに対するアラルキル置換レゾルシノールのモルは、0.01:1~0.4:1である組成物を提供する。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物を形成するための方法であって、(i)アルデヒドまたはケトンを(ii)アラルキル置換レゾルシノールおよびレゾルシノールと反応させるステップを含み、レゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの総モルに対するアラルキル置換レゾルシノールのモルは、0.01:1~0.4:1である方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の態様は、少なくとも一部には、全レゾルシノール芳香環の1モル%~40モル%がスチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレンおよびp-メチルスチレンからなる群から選択される1種または複数の化合物でアラルキル化されたアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物の発見に基づく。予想外にも、比較的低いレベルのアラルキル化では、樹脂は、標準的な樹脂(すなわちアラルキル化を含まないもの)および従来のスチレン化樹脂の両方と比較して有利に低い脆性を特徴とすることが発見された。したがって、従来技術は遊離レゾルシノールを低減するために著しいレベルのアラルキル化を有する樹脂を教示しているが、ここで予想外にも、低レベルのアラルキル化が、より高いレベルのアラルキル化では観察されない利点を提供することが発見された。したがって、本発明の態様は、改質樹脂、および低レベルのアラルキル化を有するこれらの樹脂を作製するための方法に関する。さらに、これらの改質樹脂は、標準的なレゾルシノール樹脂および従来のスチレン化樹脂を含むゴム組成物に勝る利点を示す、硬化ゴム組成物を含むゴム組成物を提供することが観察された。したがって、他の実施形態は、本明細書において定義されるような改質樹脂を使用して調製されるゴム組成物および加硫物に関する。
【0014】
本発明のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物はまた、アラルキル置換レゾルシノール樹脂組成物、アラルキル化レゾルシノール樹脂組成物、またはスチレン化レゾルシノール樹脂組成物と呼ぶこともできる。これらの組成物は、(i)レゾルシノール単位を含有する樹脂、および(ii)未反応(すなわち未結合)レゾルシノール化合物(すなわちレゾルシノールモノマー)を含む。樹脂中のレゾルシノール単位は、レゾルシノール単位およびアラルキル置換レゾルシノール単位(またはアラルキル化レゾルシノール単位)を含む。当業者には、樹脂中の単位、特にレゾルシノール単位が、例えば縮合反応によりアルデヒドまたはケトンと反応したレゾルシノールまたはアラルキル置換レゾルシノールに由来することが理解される。未反応レゾルシノール化合物は、レゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの両方を含む。
【0015】
1つまたは複数の実施形態において、アラルキル置換レゾルシノール樹脂は、式(I)
【化3】
(式中、R1は、水素原子またはアラルキル基であり、R2およびR3の少なくとも一方はアルキレン架橋であり、R2およびR3の他方はアルキレン架橋または水素原子である)により定義される1つまたは複数のレゾルシノール単位を含む。式(I)において用いられている構造は、メチレン架橋が芳香環上の2、4、または6位に結合し得ることを表すことを意図する。また、置換基R1は、特にR1がアラルキル基である場合、2、4、または6位に位置し得る。当業者には、ヒドロキシル基、R1、R2、またはR3に結合していない芳香環内の任意の炭素原子は、水素原子を含むことが理解される。1つまたは複数の実施形態において、レゾルシノール化合物は、式(II)
【化4】
(式中、R1は、水素原子またはアラルキル基である)により定義され得る。
【0016】
1つまたは複数の実施形態において、アラルキル基は、アラルキルジエニル化合物とレゾルシノールとの反応の残基である。特定の実施形態において、アラルキルジエニル化合物は、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、およびp-メチルスチレンを含む。当業者には理解されるように、スチレンがレゾルシノールと反応する場合、式(III)により定義されるレゾルシノール化合物は、
【0017】
【化5】
を生成し得、アラルキル置換基(すなわち-C(CH3)(H)(C65))は、スチリル置換基またはスチリル基と呼ぶことができる。当業者には、スチリル置換基または基が、レゾルシノールとの反応後のスチレンの残基であることが理解される。したがって、式(III)のレゾルシノール化合物は、4-スチリルレゾルシノール、またはより一般的にスチリルレゾルシノールと呼ぶことができる。同様に、アラルキル置換基が代替としてアルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、またはp-メチルスチレンに由来する場合、置換基は、代替として総称的にメチルスチリル置換基または基と呼ぶことができ、化合物は、メチルスチリルレゾルシノールと呼ぶことができる。当業者には、スチリル置換基(またはメチルスチリル置換基)が、レゾルシノール環上の他の場所、例えば2または6位にも結合し得ることが理解される。
【0018】
本発明の態様によれば、本発明のアラルキル置換レゾルシノール樹脂組成物は、(i)レゾルシノール単位(例えば式(I)により定義される)のモルおよび(ii)レゾルシノール化合物(例えば式(II)により定義される化合物)のモル当たり、40モル未満、他の実施形態では14モル未満、他の実施形態では13モル未満、他の実施形態では10モル未満、他の実施形態では9.5モル未満、他の実施形態では9.0モル未満のアラルキル基を含む。これらの、または他の実施形態において、本発明のアラルキル置換レゾルシノール樹脂組成物は、(i)レゾルシノール単位(例えば式(I)により定義される)のモルおよび(ii)レゾルシノール化合物(例えば式(II)により定義される化合物)のモル当たり、1モル超、他の実施形態では1.5モル超、他の実施形態では2.0モル超、他の実施形態では2.5モル超、他の実施形態では3.5モル超、他の実施形態では4.0モル超のアラルキル基を含む。1つまたは複数の実施形態において、本発明のアラルキル置換レゾルシノール樹脂組成物は、(i)レゾルシノール単位(例えば式(I)により定義される)のモルおよび(ii)レゾルシノール化合物(例えば式(II)により定義される化合物)のモル当たり、約1モル~約40、他の実施形態では約1モル~約14モル、他の実施形態では約1モル~約13モル、他の実施形態では約1モル~約10モル、他の実施形態では約1モル~約9.0モル、他の実施形態では約1モル~約9.5モルのアラルキル基を含む。
【0019】
本発明において使用されるレゾルシノール化合物は、レゾルシノールを、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、およびp-メチルスチレンからなる群から選択される1種または複数の化合物(すなわちアラルキルジエニル化合物)と反応させることにより調製される。
【0020】
1つまたは複数の実施形態において、レゾルシノール化合物は、レゾルシノールに対するアラルキルジエニル化合物の適切なモル比でそれらを反応させることにより調製され、レゾルシノール化合物の総モルに対して40モル%未満、他の実施形態では14モル%未満、他の実施形態では13モル%未満、他の実施形態では10モル%未満、他の実施形態では9.5モル%未満、他の実施形態では9.0モル%未満のアラルキル基を含む結果的な組成物が提供される。これらの、または他の実施形態において、レゾルシノール化合物は、レゾルシノールに対するアラルキルジエニル化合物の適切なモル比でそれらを反応させることにより調製され、レゾルシノール化合物の総モルに対して1モル%超、他の実施形態では1.5モル%超、他の実施形態では2.0モル%超、他の実施形態では2.5モル%超、他の実施形態では3.0モル%超、他の実施形態では3.5モル%超のアラルキル基を含む結果的な組成物が提供される。これらの、または他の実施形態において、結果的な組成物は、レゾルシノール化合物の総モルに対して1モル%~40モル%、他の実施形態では1モル%~14モル%、他の実施形態では1モル%~13モル%、他の実施形態では1モル%~10モル%、他の実施形態では1モル%~9.5モル%、他の実施形態では1モル%~9.0モル%のアラルキル基を含む。
【0021】
当業者には、特定のノボラック樹脂組成物中のいくつかのレゾルシノール芳香環が複数のアラルキル基を含有してもよく、一方他のレゾルシノール芳香環がアラルキル基を全く含まなくてもよいことが理解される。しかしながら、モルパーセントはレゾルシノール環の数に対するアラルキル基の数を説明しているため、このことがモル%により表されるようなアラルキル基の定量化を改変することはない。1つまたは複数の実施形態において、所望のアラルキル化の程度は、例えばアラルキル化度が高いレゾルシノール組成物をアラルキル化度がより低い(ゼロを含む)レゾルシノール組成物とブレンドすることにより達成され得る。
【0022】
アラルキル化反応は、レゾルシノールを、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、およびp-メチルスチレンからなる群から選択される1種または複数の所望量の化合物と反応させることにより行われる。この反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。場合により、溶媒が有益となり得る。好適な溶媒の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アルキルアルコールおよびアセトンを含む。
【0023】
商業的に実現可能となるためには、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、およびp-メチルスチレンからなる群から選択される1種または複数の化合物とレゾルシノールとの反応は、触媒される必要がある。好適な触媒の例は、フリーデル-クラフツ触媒および酸触媒である。酸触媒の例は、塩酸、硫酸、リン酸、および亜リン酸等の無機酸を含む。有機酸触媒の例は、アルキルおよびアリールスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含む。有用な触媒は、アリールスルホン酸触媒である。触媒の量は、レゾルシノール100部当たり触媒0.01~10部の範囲内であってもよい。アラルキル化反応は、一般に、50℃~180℃の間の温度で行われる。
【0024】
1つまたは複数の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、一般に、レゾルシノール化合物をアルデヒドまたはケトンと反応させることにより調製される。レゾルシノールに対するアルデヒドまたはケトンのモル比は、約0.50:1~1:1、他の実施形態では約0.52:1~約0.68:1、他の実施形態では約0.54:1~約0.66:1、他の実施形態では約0.56:1~0.64:1、他の実施形態では約0.57:1~約0.62:1で変動し得る。
【0025】
1つまたは複数の実施形態において、アルデヒドまたはケトンは、ホルムアルデヒド、メチルホルムセル、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、アセトン、およびメチルエチルケトンからなる群から選択され得る。特定の実施形態において、アルデヒドまたはケトンは、ホルムアルデヒドまたはメチルホルムセルである。
【0026】
上記で示唆されたように、所望の樹脂は、まずレゾルシノールをアラルキルジエニル化合物と反応させ、次いでレゾルシノール化合物をケトンまたはアルデヒドと反応させることにより調製され得る。また、レゾルシノールをアラルキル化すると同時にそれをアルデヒドまたはケトンと反応させることも可能である。特定の実施形態において、レゾルシノールをまずアラルキル化し、次いでアラルキル置換レゾルシノールおよびレゾルシノール(すなわちアラルキルジエニル化合物と反応していないレゾルシノール)の両方を含むアラルキル化レゾルシノール組成物を、アルデヒドまたはケトンと反応させる。代替の実施形態において、レゾルシノールノボラック樹脂が調製された後に(すなわちレゾルシノールまたはアルデヒドまたはケトンの反応後に)樹脂がアラルキル化され得る。
【0027】
アラルキル化レゾルシノール組成物をアルデヒドまたはケトンと反応させる実施形態において、反応に供されるアラルキル化レゾルシノール組成物は、組成物中のレゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの総モルに対するアラルキル置換レゾルシノールのモルの比により特徴付けることができる。1つまたは複数の実施形態において、組成物中のレゾルシノールおよびアラルキル置換レゾルシノールの総モルに対するアラルキル置換レゾルシノールのモルは、0.01:1~0.4:1、他の実施形態では0.01:1~0.14:1、他の実施形態では0.01:1~0.13:1、他の実施形態では0.01:1~0.10:1、他の実施形態では0.01:1~0.09:1、他の実施形態では0.01:1~0.095:1であってもよい。
【0028】
1つまたは複数の実施形態において、本発明のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物は、10wt%超、他の実施形態では11wt%超、他の実施形態では12wt%超の遊離レゾルシノール(すなわち未結合またはアルデヒドもしくはケトンと反応していないレゾルシノール)を含んでもよい。これらの、または他の実施形態において、本発明のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物は、25wt%未満、他の実施形態では23wt%未満、他の実施形態では20wt%未満の遊離レゾルシノールを含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂は、約10~約25wt%、他の実施形態では約11~約23wt%、他の実施形態では約12~約20wt%の遊離レゾルシノールを含んでもよい。当業者には理解されるように、遊離レゾルシノールは、液体クロマトグラフィーにより測定され得る。
【0029】
1つまたは複数の実施形態において、本発明のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物は、約90~約120℃、他の実施形態では約95~約115℃の軟化点を特徴とし得る。樹脂の軟化点は、ASTM E28およびASTM D6090の最新版に準拠した方法に従って決定され得、これらは参照することにより全体が本明細書に組み込まれる。この方法は、Mettler軟化点装置を用いることができ、これは、制御ユニットModel FP-90または同等のもの、炉Model FP-83または同等のもの、ならびにカートリッジアセンブリ、タイマー、磁器蒸発皿(直径約3インチ)、およびホットプレートを含み得る。方法は、0.257インチ開口に穿孔された(Fドリル)ピッチ型のカップ、および440ステンレス鋼ボール(直径0.2500インチ、カップを通過しなければならない)を使用し得る。装置は、ASTM D6090に従って較正され得る。樹脂試料(約15グラム)は、ホットプレート表面上の磁器またはアルミニウム蒸発皿の中で、600~650°Fで約4分間溶融され得る。溶融後、試料を、少なくとも溶融樹脂の温度まで予熱されたカップ内に注ぎ込むことができる。カップに注ぎ込まれる樹脂試料の量は、固化後に過剰量が加熱されたスパチュラまたはパテナイフで除去され得るような量であるべきである。次いで、試料をデシケータ内で室温まで冷却することができ、次いでボールが樹脂の上に載置されるようにカートリッジを組み立てることができる。次いで、組み立てられたカートリッジを、85℃または予測軟化点より10~15℃低い温度に予め設定され得る炉内に置く。加熱速度は、1℃/分に設定され得る。次いで、カートリッジを所定位置に固定されるまで回転させることができる。30秒後、軟化点装置の操作を開始し、それにより完全な軟化点測定を行うことができる。
【0030】
アラルキル化レゾルシノール組成物(例えばレゾルシノール含有組成物)とアルデヒドまたはケトンとの縮合反応は、触媒の非存在下、または触媒の存在下で行うことができる。有用な触媒は、従来の酸触媒を含む。好適な酸触媒の例は、上に記載されている。1つまたは複数の実施形態において、反応は、50℃~200℃の温度範囲内で行うことができる。溶媒の使用は任意選択的であり、好適な溶媒は上記のものと同じである。
【0031】
1つまたは複数の実施形態において、本発明のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂は、粉末、フレーク、パステル、またはプリルの形態であってもよい。特定の実施形態において、アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂は、パステルまたはプリルの形態である。
【0032】
本発明のゴム組成物に関して、ゴム組成物は、任意の天然ゴム、合成ゴムまたはそれらの組合せを含み得るゴム成分を含んでもよい。合成ゴムの例は、これらに限定されないが、スチレンブタジエンコポリマー、ポリイソプレン、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、エチレン-プロピレンコポリマーおよびエチレン-プロピレン-ジエンゴムを含む。
【0033】
ゴム組成物はまた、そのような組成物中に使用される通常の添加剤の1種または複数を含んでもよい。そのような添加剤の例は、カーボンブラック、コバルト塩、ステアリン酸、シリカ、ケイ酸、硫黄、過酸化物、酸化亜鉛、充填剤、酸化防止剤および軟化油を含む。
【0034】
1つまたは複数の実施形態において、本発明のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物は、多くの場合、ゴムを補強材料に接着するために使用される。補強材料は、任意選択で、接着剤等と事前に反応またはそれでコーティングされてもよい。本発明は、補強材料が接着剤材料で事前にコーティングされているかまたはそれと事前に反応されているかに関わらず利用可能性を有する。好適な補強材料の例は、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド、グラスファイバー、鋼、黄銅被覆鋼、および亜鉛めっき鋼を含む。
【0035】
ゴム組成物はまた、メチレンドナー成分の1種または複数を含んでもよい。メチレンドナー成分は、加硫中、加熱後にホルムアルデヒドを生成する任意の化合物である。そのような化合物の例は、米国特許第3,751,331号に記載されている。これは、参照することにより本明細書に組み込まれる。好ましいメチレンドナー化合物は、ヘキサメチレンテトラミン、ジ-メチロールメラミン、トリ-メチロールメラミン、テトラ-メチロールメラミン、ペンタ-メチロールメラミン、ヘキサ-メチロールメラミン、およびそれらの混合物である。メチロールメラミンは、ヘキサメトキシメチロールメラミンのように完全または部分的にエーテル化またはエステル化されていてもよい。メチレンドナーは、ゴム100部当たり約0.1~15部、または他の実施形態ではゴム100部当たり0.1~10部の濃度で存在してもよい。アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂に対するメチレンドナーの比は、1:10~10:1であってもよい。
【0036】
理解されるように、ゴム成分、添加剤、補強材料およびメチレンドナー化合物は公知である。さらに、組成物の加硫方法は公知である。本発明の改善は、アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂に関連する。
【0037】
ゴム化合物中のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂組成物の量は、通常、ゴム100重量部当たり0.5~10重量部である。他の実施形態において、量は、1~5部であってもよい。
【0038】
ゴム組成物は、そのような組成物を調製および使用する従来の手法で調製および使用される。
【0039】
本発明に従って生成されるゴム組成物は、様々なゴム用途またはゴム用品に使用され得る。本発明の未硬化および硬化ゴム組成物は、タイヤ用途に使用されてもよく、またはタイヤの一部、例えばタイヤトレッド、ベルトスキムストック(belt skim stock)、側壁、ビード化合物、カーカス、もしくはタイヤの他の領域を調製するために使用されてもよい。他の用途は、エンジンマウントおよびブッシングに有用なゴム製品を含む。本発明の未硬化および硬化ゴム組成物が使用され得る、または調製に使用され得る用途のさらに他の例は、工業的または機械的ゴム用品、例えばホース、空気圧ベルト、およびコンベヤベルトを含む。
【0040】
実施例
以下のノボラック樹脂を調製し、下記の表2~4において特定されるような様々な特性に関して試験した。
【0041】
比較例1
レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例1】
【0042】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、2.2gのスチレンを約15分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、97.0gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例2】
【0043】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、8.8gのスチレンを約15分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例3】
【0044】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、13.3gのスチレンを約15分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例4】
【0045】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、19.5gのスチレンを約15分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例5】
【0046】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、22.0gのスチレンを約15分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例6】
【0047】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、30.5gのスチレンを約30分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例7】
【0048】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、43.6gのスチレンを約60分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例8】
【0049】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、87.0gのスチレンを約100分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【0050】
比較例2
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、111.0gのスチレンを約120分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、96.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【0051】
比較例3
レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、105.0gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例9】
【0052】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、19.5gのスチレンを約15分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、105.0gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例10】
【0053】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、30.5gのスチレンを約30分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、105.0gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【0054】
比較例4
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
167.9gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.5gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、79.4gのスチレンを約100分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、76.5gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.2gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【0055】
比較例5
レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、84.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例11】
【0056】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、11.0gのスチレンを約15分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、84.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【実施例12】
【0057】
アラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂
230.0gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.7gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、30.5gのスチレンを約30分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、84.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.3gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【0058】
比較例6
レゾルシノールノボラック樹脂
167.9gのレゾルシノールをフラスコに投入し、120℃~135℃に加熱した。次いで、0.5gのp-トルエンスルホン酸を添加し、10分間混合した。次いで、温度を120℃~135℃に維持しながら、95.3gのスチレンを約100分の期間にわたり流動的にフラスコに投入した。全てのスチレンを投入した後、温度を150℃~155℃に上昇させ、150℃~155℃で15分間維持した。次いで、62.0gの37%ホルムアルデヒド溶液を60分の期間にわたり流動的に反応器に投入し、この間に温度は下降して還流が生じた。全てのホルムアルデヒドを添加した後、混合物を還流下で15分間保持した。次いで、0.2gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。次いで、145℃への大気圧蒸留により水を除去した。真空を印加し、蒸留を160℃まで継続した。温度が160℃に達したら、真空を開放し、樹脂をフラスコから出した。
【0059】
ゴム組成物の調製
上記実施例に記載のアラルキル置換レゾルシノールノボラック樹脂およびレゾルシノールノボラック樹脂を含有するゴム化合物を、表1に示す組成に従って調製した。
【0060】
【表1】
【0061】
樹脂およびゴム特性の評価
上述の手順を使用して、樹脂の軟化点を決定した。
【0062】
遊離レゾルシノールは、液体クロマトグラフィーにより決定した。
【0063】
1H-NMRを使用して、アラルキル化されたレゾルシノール芳香環のモル%を決定した。
【0064】
脆性は、Tyler Ro-Tap Model B振動篩を用いて測定した。No.8メッシュ篩(開口2.38mm)を使用した。50グラムの、ノボラック樹脂のプリルの試料をシーブ内に置き、これを30分間振盪させた。最終的に底皿に溜まった粉砕粒子/微粉を回収し、秤量した。粉砕粒子/微粉のパーセンテージを計算した。
【0065】
T’90は、ASTM D-5289に従い、Alpha Technologies MDR Rheometer(MDR2000)で150℃、0.5°アークおよび1.67Hzで測定した。
【0066】
MDR2000レオメータ試験データから得られたパラメータに従い、ゴム化合物を150℃、10トン圧力で硬化させた。化合物ヒステリシスまたは発熱性の指標であるtanδは、TA Instrumentsレオメータ(ARES)を用い、5.0%ねじりせん断歪みで1Hzおよび60℃で測定した。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
本発明をある程度詳細に説明したが、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により定義されることを理解されたい。