(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】油溶性有機UV吸収剤の水性濃縮生成物形態
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230424BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230424BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20230424BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230424BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20230424BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230424BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20230424BHJP
C08K 5/3492 20060101ALI20230424BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20230424BHJP
C08F 2/24 20060101ALI20230424BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q17/04
A61Q19/00
A61K8/60
A61K8/41
A61K8/36
A61K8/35
A61K8/37
A61K8/49
A61K8/89
A61K8/55
A61K8/46
C09K3/00 104A
C09K3/00 104C
C09K3/00 104Z
C08L101/00
C08K5/00
C08K5/3492
C08F2/44 B
C08F2/24 Z
C08F220/10
(21)【出願番号】P 2020512587
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2018073127
(87)【国際公開番号】W WO2019042999
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-25
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン,ブリギッテ
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ピルンク,フランク
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532812(JP,A)
【文献】特表2010-504385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0037170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C08F2/00、6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1000nm未満の平均粒子サイズを有する水性ポリマー分散体であって、
a)ポリマー担体であって、
(b)
式
【化1】
(1)
の化合物に対応する油溶性有機UV吸収剤、ここで、油溶性有機UV吸収剤(b)とポリマー担体(a)との重量比が、担体100部当たりUV吸収剤50部超である、並びに
c)
c
1)
c
11)
ラウリルグルコシド、ココ-グルコシド、スクロースポリステアレート、及びデシルグルコシド
から選択されるノニオン性界面活性剤、及び
c
2)
c
21)
スルホコハク酸ラウリル、スルホコハク酸セチル、及びスルホコハク酸ステアリル、又はこれらのエステルの混合物
から選択されるアニオン性界面活性剤
の界面活性剤
の混合物
の存在下における、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーのヘテロ相ラジカル重合によって調製される、ポリマー担体
を含む、分散体。
【請求項2】
濃縮水性ポリマー分散体の平均粒子サイズが500nm未満である、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
分散体中の油溶性有機UV吸収剤(b)を含むポリマー担体の濃度が、20重量%~60重量%である、請求項1又は2に記載の分散体。
【請求項4】
エチレン性不飽和モノマーが、C
1~C
18アクリレート、C
1~C
18メタクリレート、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシ官能性アクリレート若しくは(メタ)アクリレート、アルコキシル化アルコールから誘導されるアクリレート若しくは(メタ)アクリレート、及び多官能性アクリレート若しくは(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項5】
(c
1)C
6~C
18アルキルグルコシドと(c
2)コハク酸のエステルとの混合物が用いられる、請求項1から
4のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項6】
(c
1)ココ-グルコシドと(c
2)スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムとの混合物が用いられる、請求項1から
4のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項7】
(A)請求項1に記載の濃縮水性ポリマー分散体、
(B)化粧品に許容される担体、及び任意選択により、
(C)エタノール
を含む、化粧品組成物。
【請求項8】
水性環境/媒体/配合物における、請求項
7に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項9】
水性噴霧配合物における、請求項
7に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項10】
紫外線防御指数(SPF)の改善のための、請求項
7に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項11】
日焼け止め中のUVフィルターの量を増加させるための、請求項
7に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項12】
耐水性の改善のための、請求項
7に記載の化粧品組成物の使用。
【請求項13】
花粉が皮膚に付着することを防止するための、化粧品組成物における、請求項1から
6のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散体の使用。
【請求項14】
UV光によって引き起こされる皮膚の損傷を回避するための、化粧品組成物における、請求項1から
6のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散体の使用。
【請求項15】
皮膚への粒子接着性を低減するための、化粧品組成物における、請求項1から
6のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の油溶性有機UV吸収剤の存在下、エチレン性不飽和モノマーのヘテロ相ラジカル重合によって調製される、特定の油溶性有機UV吸収剤を含有する、1000nm未満の粒子サイズを有する水性ポリマー分散体であって、UV吸収剤とポリマー担体との重量比が、ポリマー担体100部当たりUV吸収剤50部超である、水性ポリマー分散体に関する。
【0002】
本発明の別の態様は、UV吸収剤分を含む、このような水性ポリマー分散体を調製する方法である。この方法によって調製された水性分散体は、化粧品用途、好ましくは日焼け止めの有用な成分である。
【0003】
本発明の更なる態様は、抗花粉効果をもたらすための化粧品組成物における水性ポリマー分散体の使用である。
【0004】
本発明の別の態様は、皮膚に抗酸化効果をもたらすための化粧品組成物における水性ポリマー分散体の使用である。
【0005】
本発明の追加の態様は、皮膚への粒子接着性(particle adhesiveness)を低減するための化粧品組成物における水性ポリマー分散体の使用である。
【背景技術】
【0006】
水性相中の化粧品でUV保護するための登録済みのUVフィルターは、ごく少数しか存在しない。残念なことに、これらのUV吸収剤の使用は、非常に限定されている。例えば、周知のUV吸収剤であるフェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PBSA)は、7.2超(>7.2)の非常に狭いpH範囲でしか使用できない。そのため、皮膚の中性pHを特徴とする配合物(製剤)は、これらのUVフィルターと共に利用できない。
【0007】
同時に、油相中のUVフィルター及び水相中のUVフィルターのバランスのとれた組み合わせは、油相又は水相中のみにUVフィルターを含む配合物と比較して、特に高い保護効果を示すことは周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような配合物が示す耐水性は、ごくわずかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
UV吸収剤の存在下における、エチレン性不飽和モノマーのヘテロ相ラジカル重合によって調製される、1000nm未満の粒子サイズを有する濃縮水性ポリマー分散体であって、UV吸収剤とポリマー担体との重量比がポリマー担体100部に対してUV吸収剤50部超である濃縮水性ポリマー分散体が、予想外に高い日焼け止め効果、及び肯定的な肌触りを示すことを今回見出した。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】日焼け止め配合物の花粉接着比率の比較に関するグラフである。
【
図2】日焼け止め配合物の抗酸化有効性の比較に関するグラフである。
【
図3】日焼け止め配合物の砂接着比率の比較に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
そのため、本発明の一態様は、1000nm未満の平均粒子サイズを有する水性ポリマー分散体であって、
(a)ポリマー担体であって、
(b)p-アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、1つ以上の有機ケイ素基を含むポリマー性UV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、カンファー誘導体、s-トリアジン誘導体、トリアニリノ-s-トリアジン誘導体、メンチルアントラニレート、及びベンゾトリアゾール誘導体のクラスから選択される油溶性有機UV吸収剤、ここで、油溶性有機UV吸収剤(b)とポリマー担体(a)との重量比が、担体100部当たりUV吸収剤50部超である、並びに
(c)
c1)
(c11)C6~C18脂肪族アルコール又はC6~C18脂肪酸と、単糖類又は二糖類との縮合生成物
から選択されるノニオン(非イオン)性界面活性剤、及び
(c2)
(c21)スルホスクシネート及びスルホスクシナメート、
(c22)脂肪族アルコラート、及び
(c23)6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールとリン酸エステルとの混合物
から選択されるアニオン性界面活性剤
から選択される界面活性剤
の存在下における、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーのヘテロ相ラジカル重合によって調製される、ポリマー担体
を含む、分散体である。
【0012】
本発明において構成成分(b)として用いる油溶性UV吸収剤は、様々なクラスの周知の有機UVフィルターから選択される。このような保護物質は、例えば、GB-A-2,286,774に記載され、あるいはCosmetics & Toiletries (107)、50 et seq. (1992)から公知である。
【0013】
以下の化合物は、p-アミノ安息香酸誘導体の例である:
4-アミノ安息香酸(PABA)、式
【0014】
【化1】
のエチルジヒドロキシプロピル-PABA、式
【0015】
【化2】
[式中、m、n及びxは、同じ意味を有し、それぞれ最大25である]
のPEG-25-PABA、式
【0016】
【0017】
【0018】
以下の化合物は、サリチル酸誘導体の例である:
式
【0019】
【0020】
【0021】
【化7】
のアミルp-ジメチルアミノベンゾエート、式
【0022】
【0023】
【化9】
の4-イソプロピルベンジルサリチレート。
【0024】
以下の化合物は、ベンゾフェノン誘導体の例である:
ベンゾフェノン-3-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、ベンゾフェノン-4-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸)、及びベンゾフェノン-8-(2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)。
【0025】
以下の化合物は、ジフェニルアクリレート誘導体の例である:
オクトクリレン(2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレート)、及びオクトクリレン(エチル-2-シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレート)。
【0026】
以下の化合物は、ベンゾフラン誘導体の例である:
3-(ベンゾフラニル)-2-シアノアクリレート、2-(2-ベンゾフラニル)-5-tert-ブチルベンゾオキサゾール、及び2-(p-アミノフェニル)ベンゾフラン、並びにとりわけ式
【0027】
【0028】
以下の化合物は、1つ以上の有機ケイ素基を含有するポリマー性UV吸収剤の例である:
ベンジリデンマロネート誘導体、とりわけ式
【0029】
【化11】
[式中、R
24は水素又はメトキシであり、rは約7である]
の化合物、式
【0030】
【0031】
以下の化合物は、ケイ皮酸エステルの例である:
オクチルメトキシシンナメート(4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルエステル)、ジエタノールアミンメトキシシンナメート(4-メトキシケイ皮酸のジエタノールアミン塩)、イソアミルp-メトキシシンナメート(4-エトキシケイ皮酸2-イソアミルエステル)、2,5-ジイソプロピルメチルシンナメート、及びケイ皮酸アミド誘導体。
【0032】
以下の化合物は、カンファー誘導体の例である:
4-メチル-ベンジリデンカンファー[3-(4'-メチル)ベンジリデン-ボルナン-2-オン]、3-ベンジリデンカンファー(3-ベンジリデン-ボルナン-2-オン)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー{N-[2(及び4)-2-オキシボルナ-3-イリデン-メチル)ベンジル]アクリルアミドポリマー}、トリモニウム-ベンジリデンカンファーサルフェート[3-(4'-トリメチルアンモニウム)-ベンジリデン-ボルナン-2-オンメチルサルフェート]、テレフタリデン(terephthalydene)ジカンファースルホン酸{3,3'-(1,4-フェニレンジメチン)-ビス(7,7-ジメチル-2-オキソ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸}又はその塩、並びにベンジリデンカンファースルホン酸[3-(4'-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オン]又はその塩。
【0033】
以下の化合物は、トリアニリノ-s-トリアジン誘導体の例である:
オクチルトリアジン-[2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン、並びにUS-A-5,332,568、US-A-5,252,323、WO93/17002及びWO97/03642、及びEP-A-0517104に記載されているトリアニリノ-s-トリアジン誘導体。
【0034】
以下の化合物は、s-トリアジン化合物の例である:
2-(4'-メトキシフェニル)-4,6-ビス(2'-ヒドロキシ-4'-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{[4-(3-(2-プロピルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-[4-(2-メトキシエチルカルボキシル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{[4-(トリス(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{[4-(2''メチルプロペニルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{[4-(1',1',1',3',5',5',5'-ヘプタメチルトリシリル-2''-メチルプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{[4-(3-(2-プロピルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-[4-エチルカルボキシル)-フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン、又は2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(1-メチルピロール-2-イル)-1,3,5-トリアジン。
【0035】
以下の化合物は、ベンゾトリアゾールの例である:
2-(2-ヒドロキシ-5-メチル-フェニル)ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、以下のUV吸収剤が用いられる:
(b1)式(1)
【0037】
【化13】
のエチルヘキシルメトキシシンナメート、(b
2)式(2)
【0038】
【化14】
のビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、(b
3)式(3)
【0039】
【化15】
のベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、(b
4)式(4)
【0040】
【化16】
のブチルメトキシジベンゾイルメタン、(b
5)式(5)
【0041】
【化17】
の2-シアン-3,3-ジフェニルアクリル酸(2-エチル(ehtyl)ヘキシルエステル)、(b
6)式(6)
【0042】
【化18】
のトリス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、(b
7)式(7)
【0043】
【化19】
のベンゾフェノン-3、(b
8)式(8)
【0044】
【化20】
のベンゾフェノン-4、(b
9)式(9)
【0045】
【化21】
のポリシリコーン-15、(b
10)式(10)
【0046】
【化22】
のジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、(b
11)式(11)
【0047】
【化23】
のジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、(b
12)式(12)
【0048】
【化24】
のドロメトリゾールトリシロキサン、(b
13)式(13)
【0049】
【化25】
のエチルヘキシルジメチルPABA、(b
14)式(14)
【0050】
【化26】
のエチルヘキシルサリチレート、(b
15)式(15)
【0051】
【化27】
のエチルヘキシルトリアゾン、(b
16)式(16)
【0052】
【0053】
【化29】
のイソアミルp-メトキシシンナメート、(b
18)式(18)
【0054】
【化30】
の4-メチルベンジリデンカンファー、又は(b
1)~(b
18)の混合物。
【0055】
好ましくは、式(2)のUV吸収剤(b2)が、本水性ポリマー分散体に用いられる。
【0056】
好ましくは、分散体中の油溶性有機UV吸収剤(b)を含むポリマー担体の濃度は、20重量%~60重量%である。
【0057】
好ましくは、ヘテロ相ラジカル重合のため、1種より多くのエチレン性不飽和モノマーが用いられる。2種以上のモノマーによる重合が実行される場合、一定の架橋度をもたらすため、少なくとも1種は、2つの不飽和官能性(unsaturated functionalities)を有し得る。例えば、耐(resistence)二官能性モノマーの量は、モノマー混合物の総重量に対して0.1~20重量%で変動し得る。
【0058】
油溶性有機UV吸収剤とポリマー担体との重量比(ポリマー担体に対する油溶性有機UV吸収剤の重量比)が、100部当たり80部以上、より好ましくは100部当たり100部以上(又は100部超)、最も好ましくは100部当たり120部以上(又は120部超)である、濃縮水性ポリマー分散体の使用が好ましい。
【0059】
本発明の特定の実施形態では、ポリマー担体に対する油溶性UV吸収剤の重量比は、ポリマー担体100部当たりUV吸収剤500部~ポリマー担体100部に対してUV吸収剤100部である。
【0060】
好ましくは、平均粒子サイズは、500nm未満、より好ましくは250nm未満である。
【0061】
小滴(油/水エマルション)及び粒子(ポリマー分散体)のサイズは、動的光散乱(DLS)技法(光子相関分光法(PSC)としても知られる)、又は準弾性光散乱(QELS)を用いることによって測定することができる。この種の測定のためには、90°又は180°の固定散乱角度を有するパーティクルサイザー(NANO-flex(登録商標)180° DLS System、Particle Metrix GmbH、Meerbusch、ドイツ)を用いることができる。測定は、平均直径DINT(強度加重)をもたらす。
【0062】
濃縮水性ポリマー分散体の総固体含有量は、水性分散体の総重量に対して、例えば20重量%、例えば30重量%超、好ましくは40重量%超である。特に好ましい実施形態では、総固体含有量は、水性分散体の総重量に対して45重量%超である。
【0063】
有機UV吸収剤(b)は、室温及び大気圧において、1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満の水への溶解度を有する。
【0064】
水への溶解度とモノマー小滴への溶解度との間の適正なバランスは、重合結果に強く影響を与える。そのため、油溶性有機UV吸収剤の極性は、log pの観点からも表すことができる。
【0065】
分配係数log p(オクタノール/水)は、例えば化学化合物の環境への影響の格付けにおいて、広く用いられるパラメーターである。その計算は、W. M. Meylan、P. H. Howard、J. Pharmaceutical Sciences 84、(1995)、83-92により記載されている。
【0066】
本発明においては、油溶性有機UV吸収剤は、log p=2より大きいlog p値を有する。
【0067】
例えば、エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、アクロレイン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、無水マレイン酸、(アルキル)アクリル酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(アルキル)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ビニルハライド、又はビニリデンハライドからなる群から選択される。
【0068】
例えば、エチレン性不飽和モノマーは、式
CH2=C(Ra)-(C=Z)-Rb
[式中、
ZはO又はSであり、Raは水素又はC1~C4アルキルであり、Rbは、NH2、O-(Me+)、グリシジル、非置換C1~C18アルコキシ、少なくとも1個のN及び/若しくはO原子が介在しているC2~C100アルコキシ、若しくはヒドロキシ置換C1~C18アルコキシ、非置換C1~C18アルキルアミノ、ジ(C1~C18アルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C1~C18アルキルアミノ、若しくはヒドロキシ置換ジ(C1~C18アルキル)アミノ、-O-CH2-CH2-N(CH3)2、又は-O-CH2-CH2-N+H(CH3)2 An-であり、
An-は、1価の有機酸又は無機酸のアニオンであり、
Meは1価の金属原子又はアンモニウムイオンである]
の化合物である。
【0069】
具体的なエチレン性不飽和モノマーの例は、スチレン、イソ-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ビニルトルエン、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、又はヒドロキシエチルアクリレートである。
【0070】
エチレン性不飽和モノマーの混合物は、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ビニルトルエン、メチルメタクリレート、イソ-ブチルメタクリレートの混合物、又はメチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、及びメタクリル酸の混合物を用いることもできる。
【0071】
アニオンAn-が誘導される酸の例は、C1~C12カルボン酸、有機スルホン酸、例えばCF3SO3H若しくはCH3SO3H、鉱酸、例えばHCl、HBr若しくはHI、オキソ酸、例えばHClO4、又は錯酸、例えばHPF6若しくはHBF4である。
【0072】
少なくとも1個のO原子が介在しているC2~C100アルコキシとしてのRaの例は、式
【0073】
【化31】
[式中、
R
cは、C
1~C
25アルキル、フェニル、又はC
1~C
18アルキルによって置換されたフェニルであり、
R
dは水素又はメチルであり、
vは1~50の数である]
のものである。
【0074】
これらのモノマーは例えば、非イオン性界面活性剤から、対応するアルコキシル化アルコール又はフェノールのアクリル化によって誘導される。繰り返し単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又は両方の混合物から誘導され得る。
【0075】
好適なアクリレート又はメタクリレートモノマーの更なる例を、下に示す。
【0076】
【化32】
[式中、
An
-及びR
aは上で定義した通りの意味を有し、
R
eはメチル又はベンジルである。]
An
-は、好ましくはCl
-、Br
-、又は
-O
3S-CH
3である。
【0077】
更なるアクリレートモノマーは、
【0078】
【0079】
アクリレート以外の好適なモノマーの例は、
【0080】
【0081】
好ましくは、
Raは水素又はメチルであり、RbはNH2、グリシジル(gycidyl)、非置換若しくはヒドロキシ置換されたC1~C4アルコキシ、非置換C1~C4アルキルアミノ、ジ(C1~C4アルキル)アミノ、ヒドロキシ置換C1~C4アルキル-アミノ、又はヒドロキシ置換ジ(C1~C4アルキル)アミノであり、Zは酸素である。
【0082】
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルは、典型的にはC1~C18アルキルエステルである。
【0083】
エチレン性不飽和モノマーが、C1~C18アクリレート、C1~C18メタクリレート、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシ官能性アクリレート若しくは(メタ)アクリレート、アルコキシル化アルコールから誘導されるアクリレート若しくは(メタ)アクリレート、及び多官能性アクリレート若しくは(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物からなる群から選択される、濃縮水性ポリマー分散体が好ましい。
【0084】
特に有用なメタクリレートは、メチルメタクリレートである
【0085】
特定の実施形態では、濃縮水性ポリマー分散体は、上のモノマーのうちの少なくとも2種、及び二官能性又は多官能性である少なくとも1種のモノマーの混合物から調製され、その結果架橋ポリマーが得られる。二官能性又は多官能性モノマーの量は、モノマーの合計の重量に対して、例えば0.1~20重量%である。
【0086】
二官能性又は多官能性モノマーの典型例は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン-エトキシレート(1EO/OH)-トリアクリレート、グリセロール-プロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、ペンタエリスリトール-プロポキシレート-トリアクリレート(triacrylat)、ペンタエリスリトール-トリアクリレート(PETIA)、トリメチロールプロパン-トリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトール-テトラアクリレート(PETA)である。
【0087】
モノマー又はモノマー混合物は、好ましくは、5重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の、低い水への溶解度を有する。
【0088】
ノニオン性界面活性剤(c1)は、好ましくは、C6~C18脂肪族アルコール又はC6~C18脂肪酸と、グルコース(デキストロース)、フルクトース(レブロース)、ガラクトース、スクロース、ラクトース、及びマルトースのような、単糖類又は二糖類との縮合生成物である。
【0089】
エチルグルコシド、ヘプチルグルコシド、デシルグルコシド、ウンデシルグルコシド、オクチルドデシルグルコシドのようなC6~C18アルキルグルコシド、C3~6アルキルグルコシドジメチコン、C6~8アルキルグルコシド、C9~11アルキルグルコシド、C10~16アルキルグルコシド、C12~18アルキルグルコシド、C20~22アルキルグルコシド、ココグルコシド、ラウリルグルコシド、カプリリルグルコシド、セテアリルグルコシド、ヒドロキシステアリルグルコシド、イソステアリルグルコシド、及びミリスチルグルコシドはより好ましい。
【0090】
ココイルエチルグルコシド、ラウロイルエチルグルコシド、カプロイルエチルグルコシド、ミリストイルエチルグルコシド、オレオイルエチルグルコシド、及びタロウオイル(tallowoyl)エチルグルコシドのような脂肪酸グルコシドも好ましい。
【0091】
ラウリルグルコシド、ココ-グルコシド、スクロースポリステアレート、及びデシルグルコシドが、最も好ましい。
【0092】
本水性ポリマー分散体に好ましく用いられるアニオン性界面活性剤(c2)は、スルホスクシネート、及びスルホスクシナメート(これらの塩を含む)である。これらの化合物は、置換スルホコハク酸の塩
【0093】
【0094】
置換にかかわらず、スルホン酸基は常にイオン化されており、M+は対イオンを表す。X又はYがアルキル又は置換アルキル基を表す化合物において、残りのカルボキシル官能部分(function)も塩形態(例えば、デセス-6スルホコハク酸二ナトリウム)で存在する。X及びYの両方が、アルキル又は置換アルキル基を表す場合、スルホスクシネートはジエステル(例えばスルホコハク酸ジオクチルナトリウム)である。このカテゴリーのカルボキシル基には、相当に複雑な多官能性置換基が存在し得る。あるいは、XO又はYO基が、置換されたN原子によって置き換えられることがあり、この場合、得られるスルホスクシナメートはモノアミド(例えば、ステアリルスルホスクシナメート二ナトリウム)である。
【0095】
スルホスクシネートの例は、スルホコハク酸ジノニルアンモニウム、スルホコハク酸ラウリルアンモニウム、スルホコハク酸ラウリル二アンモニウム、スルホコハク酸ジアミルナトリウム、スルホコハク酸ジカプリルナトリウム、スルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジヘプチルナトリウム、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、スルホコハク酸セチル二ナトリウム、ココ-スルホスクシネート二ナトリウム、デセス-5スルホコハク酸二ナトリウム、デセス-6スルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸イソデシル二ナトリウム、スルホコハク酸イソステアリル二ナトリウム、ラネス-5スルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、ラウレス-9スルホコハク酸二ナトリウム、ラウレス-12スルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、オレス-3スルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸オレイル二ナトリウム、スルホコハク酸ステアリル二ナトリウム、スルホコハク酸トリデシル二ナトリウム、スルホコハク酸ジトリデシルナトリウム、又はラウレス-3スルホコハク酸マグネシウムである。
【0096】
好ましくはコハク酸のエステル、最も好ましくはスルホコハク酸ラウリル、スルホコハク酸セチル、スルホコハク酸ステアリル、又はこれらのエステルの混合物が、アニオン性界面活性剤として用いられる。脂肪族アルコラートも好ましく、セテアリル硫酸ナトリウムが最も好ましい。
【0097】
6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含む脂肪族アルコールとリン酸エステルとの混合物も好ましいアニオン性混合物(c2)であり、最も好ましくは、セチルアルコールとリン酸のエステルとの混合物である。
【0098】
好ましくは、本発明では、ノニオン性界面活性剤(c1)とアニオン性界面活性剤(c2)との混合物が用いられる。
【0099】
ノニオン性界面活性剤(c1)とアニオン性界面活性剤(c2)との好ましい混合物は、
- C6~C18アルキルグルコシドとコハク酸のエステルとの混合物、又は
- C6~C18アルキルグルコシドと、8~10個の炭素原子を含む脂肪族アルコール及びリン酸エステルの混合物との混合物である。
【0100】
ココ-グルコシド及びスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムから選択される、ノニオン性界面活性剤(c1)とアニオン性界面活性剤(c2)との混合物が、最も好ましい。
【0101】
1000nm未満の平均粒子サイズを有する濃縮水性ポリマー分散体の調製は、例えばWO2005/23878に開示されている通り、それ自体公知の方法で調製され、油溶性有機UV吸収剤の存在下、ヘテロ相ラジカル重合によって、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを重合させるステップを含み、ここで、
有機油溶性有機UV吸収剤とエチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマー担体との重量比は、ポリマー担体100部当たりUV吸収剤50部超である。
【0102】
濃縮水性ポリマー分散体を調製する方法は、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー中に、油溶性有機UV吸収剤(構成成分(b))を溶解、乳化、又は分散させるステップ、
b)界面活性剤(c)の存在下、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー中に溶解、乳化、又は分散した前記UV吸収剤の、従来型の水中油型エマルションを調製するステップ、
c)従来型のエマルションを、有機相の小滴が1000nm未満の平均直径を有するミニエマルションに均質化(ホモジナイズ)するステップ、
d)重合開始剤を添加することによって、ミニエマルションを重合させるステップ
を含み、ここで、油溶性有機UV吸収剤とエチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマー担体との重量比は、ポリマー担体100部当たりUV吸収剤50部超である。
【0103】
任意選択により、水含有量に対して通常は10重量%未満の他の水混和性溶媒が存在してもよい。本発明に有用な例示的な共溶媒は、脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、ピロリジン、N-アルキルピロリジノン、N-アルキルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、カルボン酸及びその塩、エステル、オルガノスルフィド、スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、ヒドロキシエーテル誘導体、例えばブチルカルビトール又はセロソルブ、アミノアルコール、ケトン等、並びにこれらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、及び他の水溶性又は水混和性の材料、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0104】
水、水-アルコール混合物、水-エチレングリコール若しくはプロピレングリコール混合物、水-アセトン、水-テトラヒドロフラン、又は水-ジメチルホルムアミド混合物が好ましい。
【0105】
均質化ステップb)及びc)は、通常、機械的撹拌(動(rotor)/静(stator)翼分散機)を適用した後、例えば超音波機器(J. Dispersion Sci. Technology 2002、23(1-3)、333-349)又は高圧均質化装置(APV Gaulin均質化装置(homogenizer)、微細流動化装置(Microfluidizer))のような、強力分散装置を用いることによって実行される。乳化/均質化は、連続的に又はバッチ式で実行することができる。この目的のための装置は、当技術分野において公知である。これは例えば、US5,108,654に記載されている。
【0106】
更に、保護コロイド、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、セルロース誘導体、又はビニルピロリドンを含有するコポリマーを添加し、ステップb)に従って従来型の水中油型エマルションを形成してもよい。更なる例は、「Houben-Weyl、Methoden der Organischen Chemie、Band XIV/1、Makromolekulare Stoffe、G. Thieme Verlag Stuttgart 1961、411-420」に示されている。
【0107】
重合ステップd)は、フリーラジカル重合開始剤を添加することによって実行される。
【0108】
好ましくは、フリーラジカル開始剤は、モノマー又はモノマー混合物に対して、0.01重量%~20重量%、より好ましくは0.1重量%~10重量%、最も好ましくは0.2重量%~5重量%の量で存在する。
【0109】
重合開始剤は、バッチ式で又は連続的に、反応混合物に添加され得る。
【0110】
好ましくは、構成成分b)のフリーラジカル開始剤は、ビスアゾ化合物、ペルオキシド、又は好ましくはヒドロペルオキシドである。
【0111】
特定の好ましいラジカル源は、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチル-ブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1'-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2-フェニル-アゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、ジメチル-2,2'-アゾビスイソブチレート、2-(カルバモイルアゾ)イソ-ブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2'-アゾ-ビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)、遊離塩基若しくは塩酸塩、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)、遊離塩基若しくは塩酸塩、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]-プロピオンアミド}若しくは2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド;アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t-アミルペルネオデカノエート、t-ブチルペルネオデカノエート、t-ブチルペルピバレート、t-アミルペルピバレート、ビス(2,4-ジクロロ-ベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペル2-エチルヘキサノエート、ビス-(4-クロロベンゾイル)-ペルオキシド、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペルマレイネート(permaleinate)、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルイソノナノエート(perisononaoate)、2,5-ジメチルヘキサン 2,5-ジベンゾエート、t-ブチルペルアセテート、t-アミルペルベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、2,2ビス(t-ブチルペルオキシ)プロパン、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシド、3-t-ブチルペルオキシ3-フェニルフタリド、ジ-t-アミルペルオキシド、ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)3,5-ジメチル1,2-ジオキソラン、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-メチルヘキシン-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシド、3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、p-メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ-ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、又は最も好ましくは、過酸化水素である。
【0112】
Fe化合物又はCo化合物と、ペルオキソ塩又は亜硫酸水素(bisulfite)若しくはハイドロサルファイトの塩との組み合わせを用いることもできる。これらの組み合わせは、レドックス系として公知である。
【0113】
重合温度は、用いる開始剤に依存する。通常、重合温度は20~80℃の範囲である。常圧下での重合が通常の方法である。
【0114】
あるいは、重合は、光開始剤及び電磁放射線、特に化学線(actinic radiation)によって開始することができる。
【0115】
本発明による方法で用いるのに好適な光開始剤は、原則として、電磁波を照射した場合に1種以上のフリーラジカルを形成する、任意の化合物及び混合物である。これらとしては、複数の開始剤からなる開始剤系、及び互いに独立して、又は相乗的に機能する系が挙げられる。共開始剤、例えばアミン、チオール、ボレート、エノレート、ホスフィン、カルボキシレート、及びイミダゾールに加えて、増感剤、例えばアクリジン、キサンテン、チアゼン(thiazene)、クマリン、チオキサントン、トリアジン、及び染料を用いることもできる。このような化合物及び開始剤系の記載は、例えば、Crivello J.V.、Dietliker K.K.(1999): Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints及びBradley G. (ed.) Vol. 3: Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerisation 2nd Edition、John Wiley & Son Ltd.に見出すことができる。本発明による方法のステップb)において好適な光開始剤は、不飽和基を有する開始剤、又はこのような基を有しない開始剤のいずれかであり得る。
【0116】
このような化合物及び誘導体は、例えば、以下のクラスの化合物、ベンゾイン、ベンジルケタール、アセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、アシルオキシイミノケトン、アルキルアミノ置換ケトン、例えばMichleramケトン、ペルオキシ化合物、ジニトリル化合物、ハロゲン化アセトフェノン、フェニルグリオキシレート、二量体型フェニルグリオキサレート、ベンゾフェノン、オキシム及びオキシムエステル、チオキサントン、クマリン、フェロセン、チタノセン、オニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、ボレート、トリアジン、ビスイミダゾール、ポリシラン、並びに染料から誘導される。言及したクラスの化合物からの化合物同士の組み合わせ、並びに対応する共開始剤系及び/又は増感剤との組み合わせを用いることもできる。
【0117】
最終的な分散体のpH調整は、水溶性アルキルアミン、ヒドロキシアルキル(hydroxylakyl)アミン、アミノ酸、アンモニア、水酸化アルカリ、又はアルカリ炭酸塩を添加することによって、当業者に公知の方法によって実行することができる。
【0118】
保存安定性の理由及び微生物の増殖に対する保護のため、好ましいpH範囲は6~12、より好ましい範囲は8~11、最も好ましい範囲は9.5~10.5である。
【0119】
あるいは、重合の最後に殺生物剤を添加することができる。
【0120】
重合が完了した後、揮発性構成成分、主に水は、粒子の凝集を伴わずに除去することができる。そのため、所望により、ポリマー粒子を容易に再分散させることができる。
【0121】
揮発性構成成分の蒸発は、標準法、例えば噴霧乾燥などを用いて実行することができる。
【0122】
本発明の別の態様は、
(A)請求項1に記載の水性ポリマー分散体、及び
(B)化粧品に許容される担体、及び任意選択により、
(C)エタノール
を含む化粧品組成物である。
【0123】
本発明による化粧品組成物は、好ましくは、ヒトの毛髪又は皮膚をUV照射の有害な効果から守るために用いられる。
【0124】
化粧品組成物は、好ましくは、
- 水性環境/媒体/配合物において、
- 紫外線防御指数(サンプロテクションファクター)(SPF)の改善のために、
- 水相中のUVフィルターの量を増加させ、したがって、同じ性能を維持しながら、日焼け止め配合物中のUVフィルターの全体濃度を低減させるために、及び
- 耐水性の改善のために、
用いられ得る。
【0125】
本発明の水性ポリマー分散体を含有する化粧品組成物は、抗花粉有効性において優れた性能を示すことが示されている。
【0126】
本発明はまた、花粉が皮膚に付着することを防ぐための、化粧品組成物中における本発明の水性ポリマー分散体の使用を対象とする。
【0127】
更に、本発明の水性ポリマー分散体を含有する化粧品組成物は、驚いたことに、皮膚への、特に皮脂への抗酸化効果をもたらす。
【0128】
したがって、本明細書は、UV光によって引き起こされる皮膚の損傷を回避するための、化粧品組成物中における本発明の水性ポリマー分散体の使用も記載する。
【0129】
加えて、本発明の水性ポリマー分散体を含有する化粧品組成物は、皮膚への粒子(すなわち、ダスト、砂、花粉)接着性を低減するという、優れた性能を有する。そのため、本発明の水性ポリマー分散体を含む化粧品組成物は、ダスト及び砂の多い環境、例えば砂浜及び都市内において、申し分なく用いることができる。
【0130】
化粧品又は医薬品調製物は、例えば、クリーム、ゲル、ローション、アルコール性及び水/アルコール性溶液、エマルション、ワックス/脂肪組成物、スティック調製物、粉末、又は軟膏であり得る。
【0131】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化粧品組成物は、噴霧(スプレー)配合物を表す。この噴霧配合物は、(C)エタノールを、化粧品組成物の0.1~10重量%の量で含有する。噴霧配合物は液体のままであり、エタノール耐性は増加する。
【0132】
加えて、化粧品又は医薬品調製物は、下に記載するアジュバントを更に含有してもよい。
【0133】
水含有及び油含有エマルション(例えば、W/O、O/W、O/W/O及びW/O/Wエマルション又はミクロエマルション)として、調製物は例えば、組成物の総重量に対して、0.1~30重量%、好ましくは0.1~15重量%、とりわけ0.5~10重量%の1種以上のUV吸収剤、組成物の総重量に対して、1~60重量%、とりわけ5~50重量%、好ましくは10~35重量%の少なくとも1種の油構成成分、組成物の総重量に対して、0~30重量%、とりわけ1~30重量%、好ましくは4~20重量%の少なくとも1種の乳化剤、組成物の総重量に対して、10~90重量%、とりわけ30~90重量%の水、及び0~88.9重量%、とりわけ1~50重量%の更なる化粧品に許容されるアジュバントを含有する。
【0134】
本発明による化粧品又は医薬品組成物/調製物はまた、脂肪族アルコール、脂肪酸のエステル、グリセリルエステル及び誘導体を含む天然又は合成トリグリセリド、真珠光沢ワックス、炭化水素油、シリコーン又はシロキサン(オルガノ置換ポリシロキサン)、フッ素化又はペルフルオロ化油、乳化剤、アジュバント及び添加剤、過脂肪剤、界面活性剤、稠度調節剤/増粘剤及びレオロジー調整剤、ポリマー、生体活性成分、脱臭活性成分、抗ふけ剤、抗酸化剤、ヒドロトロープ剤、保存剤(防腐剤)、細菌抑制剤、香油、着色剤、SPF増強剤としてのポリマー性ビーズ又は中空球体のような、1種以上の追加の化合物を含有し得る。
【0135】
化粧品又は医薬品調製物
化粧品又は医薬品配合物は、多様な化粧品調製物に含有される。例えば、とりわけ以下の調製物、皮膚ケア調製物、入浴用調製物、化粧パーソナルケア調製物、フットケア調製物、光保護調製物、皮膚タンニング調製物、脱色調製物、防虫剤、脱臭剤、制汗剤、難点のある(blemished)皮膚の洗浄及びケア用の調製物、化学物質形態の毛髪除去調製物(脱毛)、剃毛用調製物、香料調製物、化粧品毛髪トリートメント調製物が考慮される。
【0136】
提示形態
列挙した最終的な配合物は、多様な提示形態で、例えば、
- W/O、O/W、O/W/O、W/O/W若しくはPITエマルション、及びすべての種類のミクロエマルションとして、液体調製物の形態で、
- ゲルの形態で、
- 油、クリーム、ミルク、若しくはローションの形態で、
- 粉末、ラッカー、錠剤(タブレット)、若しくはメイクアップの形態で、
- スティックの形態で、
- 噴霧(スプレー)(噴射ガスを有する噴霧、若しくはポンプ作用噴霧)若しくはエアロゾルの形態で、
- 発泡体(フォーム)の形態で、又は
- ペーストの形態で
存在し得る。
【0137】
皮膚のための化粧品調製物として特別に重要なものは、光保護調製物、例えば、サンミルク、ローション、クリーム、油、サンブロック又はトロピカル、プレタンニング調製物又はアフターサン調製物、また、皮膚タンニング調製物、例えばセルフタンニングクリームである。特に目的のものは、日焼け防止クリーム、日焼け防止ローション、日焼け防止ミルク、及び噴霧の形態の日焼け防止調製物である。
【0138】
毛髪のための化粧品調製物として特別に重要なものは、毛髪トリートメントのための上述の調製物、とりわけ、シャンプーの形態の毛髪洗浄調製物、毛髪コンディショナー、毛髪ケア調製物、例えば、プレトリートメント調製物、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、毛髪リンス、トリートメントパック、集中毛髪トリートメント、直毛化調製物、液体毛髪セッティング調製物、毛髪フォーム、及びヘアスプレーである。特別に目的のものは、シャンプーの形態の毛髪洗浄調製物である。
【0139】
このような配合物中の他の典型的な成分は、保存剤、殺菌剤及び静菌剤、香料、染料、顔料、増粘剤、保湿剤、湿潤剤、脂肪、油、ワックス、又は化粧品及びパーソナルケア配合物の他の典型的な成分、例えば、アルコール、ポリアルコール、ポリマー、電解質、有機溶媒、ケイ素誘導体、皮膚軟化剤、乳化剤又は乳化界面活性剤、界面活性剤、分散剤、抗酸化剤、抗刺激剤、及び抗炎症剤等である。
【0140】
本発明による化粧品調製物は、日光の損傷効果に対するヒトの皮膚への優れた保護によって識別される。
【実施例】
【0141】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【0142】
A. 調製例
[実施例A1]
安定な油/水エマルションの調製のため、100gの化合物(101)
【0143】
【化36】
を、90gのメチルメタクリレート(MMA)、8gのステアリルメタクリレート(SMA)、2gのメタクリル酸(MAA)、及び0.30gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、45℃において溶解させる。230gの脱イオン水中における、26.8gの、ココ-グルコシドとスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムとグリセロールとの混合物(Plantapon(登録商標)PSC)(56重量%活性成分、BASF SE)の撹拌溶液に、油相を滴下添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0144】
エマルションを45℃まで加熱し、続いて、7.5gのH2O2(4%)及び20.5gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、55℃において3時間維持し、次いで室温に冷却し、15gのL-アルギニンを添加し、次いで20μmフィルターによって濾過する。
【0145】
得られる粒子サイズD50は165nmである。
【0146】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0147】
分散体の固形分は、45.6%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0148】
分散体のpHは、10.2である。
【0149】
[実施例A2]
安定な油/水エマルションの調製のため、80gの化合物(101)を、72gのメチルメタクリレート(MMA)、6.4gのステアリルメタクリレート(SMA)、1.6gのメタクリル酸(MAA)、及び0.24gのペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)中に、35℃において溶解させる。12.44gのラウリルグルコシド(Plantacare(登録商標) 1200UP)(51重量%活性成分、BASF SE)、2.15gのPlantacare(登録商標) 810UP(62重量%活性成分、BASF SE)、及び2.28gのスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム(Plantapon(登録商標) SUS)(100%活性成分、BASF SE)を、油相に添加し、均質化させる。次いで、189gの脱イオン水を、撹拌しながらゆっくりと添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0150】
エマルションを45℃まで加熱し、6gのH2O2(4%)を添加する。次いで16.4gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、1時間の時間をかけて投与する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、60~65℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、1.5gのアミノメチルプロパノール(AMP-90)を添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0151】
得られる粒子サイズD50は144nmである。
【0152】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0153】
分散体の固形分は、43.2%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0154】
分散体のpHは、9.8である。
【0155】
[実施例A3]
安定な油/水エマルションの調製のため、230gの脱イオン水中における、26.8gの、ココ-グルコシドとスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムとグリセロールとの混合物(Plantapon(登録商標) PSC)(56重量%活性成分、BASF SE)の溶液を、89gのメチルメタクリレート(MMA)、8gのステアリルメタクリレート(SMA)、2gのメタクリル酸(MAA)、及び1gのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)中に溶解した100gの化合物(101)の溶液に、40℃においてゆっくりと添加する。30分の撹拌及び600barにおけるAPV均質化装置による変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0156】
エマルションを40℃まで加熱し、続いて、7.5gのH2O2(4%)及び20.5gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、60℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、15gのL-アルギニンを添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0157】
得られる粒子サイズD50は136nmである。
【0158】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0159】
分散体の固形分は、44.7%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0160】
分散体のpHは、10.1である。
【0161】
[実施例A4]
安定な油/水エマルションの調製のため、68.6gの化合物(101)を、58.7gのメチルメタクリレート(MMA)、5.2gのステアリルメタクリレート(SMA)、1.3gのメタクリル酸(MAA)、及び0.2gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、35℃において溶解させる。8.03gのデシルグルコシド(Plantacare(登録商標) 2000UP)(50重量%活性成分、BASF SE)、及び3.12gのセチルリン酸カリウム(Amphisol K)(50重量%活性成分、DSM)を、油相に添加し、均質化させる。次いで、160gの脱イオン水を、撹拌しながらゆっくりと添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0162】
エマルションを45℃まで加熱し、4.9gのH2O2(4%)を添加する。次いで13.4gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、1時間の時間をかけて投与する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、70℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、1.2gのAMP-90を添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0163】
得られる粒子サイズD50は164nmである。
【0164】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0165】
分散体の固形分は、42.0%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0166】
分散体のpHは、9.9である。
【0167】
[実施例A5]
安定な油/水エマルションの調製のため、80gの化合物(101)を、72gのメチルメタクリレート(MMA)、6.4gのベヘニルアクリレート(BhA)、1.6gのメタクリル酸(MAA)、及び0.24gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、35℃において溶解させる。7.8gのラウリルグルコシド(Plantacare(登録商標) 1200UP)(51重量%活性成分、BASF SE)、及び2.0gのセテアリル硫酸ナトリウム(Lanette(登録商標) E)(100重量%活性成分、BASF)を、油相に添加し、均質化させる。次いで、188gの脱イオン水を、撹拌しながらゆっくりと添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0168】
エマルションを40℃まで加熱し、5.95gのH2O2(4%)を添加する。次いで16.4gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、1時間の時間をかけて投与する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、60~65℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、1.6gのAMP-Ultra PC 3000を添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0169】
得られる粒子サイズD50は192nmである。
【0170】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0171】
分散体の固形分は、41.0%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0172】
分散体のpHは、10.0である。
【0173】
[実施例A6]
安定な油/水エマルションの調製のため、80gの化合物(101)を、72gのメチルメタクリレート(MMA)、6.4gのステアリルメタクリレート(SMA)、1.6gのメタクリル酸(MAA)、及び0.24gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、40℃において溶解させ、2.0gのスルホコハク酸セテアリル二ナトリウム(Eumulgin(登録商標) Prisma)(100重量%活性成分、BASF SE)の懸濁液、及び210gの脱イオン水中における、スクロースポリステアレートと水素化ポリイソブテン(Emulgade(登録商標) Sucro)(80重量%活性成分、BASF SE)の混合物を添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0174】
エマルションを45℃まで加熱し、続いて、6.0gのH2O2(4%)及び16.4gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、60~65℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、2.4gのAMP Ultra PC 3000を添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0175】
得られる粒子サイズD50は230nmである。
【0176】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0177】
分散体の固形分は、40.6%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0178】
分散体のpHは、9.9である。
【0179】
[実施例A7]
安定な油/水エマルションの調製のため、202gの脱イオン水中における、15.0gのココアンホ酢酸ナトリウム(Dehyton(登録商標) MC)(40重量%活性成分、BASF SE)の溶液を、80gのメチルメタクリレート(MMA)、6.4gのラウリルメタクリレート(LMA)、1.6gのメタクリル酸(MAA)、及び0.25gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に溶解した100gの化合物(101)の溶液に、40℃においてゆっくりと添加する。30分の撹拌及び400barにおけるAPV均質化装置による変換の後、250nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0180】
エマルションを40℃まで加熱し、続いて、6.0gのH2O2(4%)及び16.4gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、60~65℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、1.5gのAMP90を添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0181】
得られる粒子サイズD50は310nmである。
【0182】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0183】
分散体の固形分は、42.1%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である
【0184】
分散体のpHは、9.8である。
【0185】
[実施例A8]
安定な油/水エマルションの調製のため、300gの化合物(101)を、270gのメチルメタクリレート(MMA)、24gのステアリルメタクリレート(SMA)、6gのメタクリル酸(MAA)、及び0.90gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、35℃において溶解させる。22.5gのスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム(Plantapon(登録商標)SUS)(100重量%活性成分、BASF SE)を、油相に添加し、均質化させる。次いで、793gの脱イオン水を、撹拌しながらゆっくりと添加する。30分の撹拌及び600barにおけるAPV均質化装置による変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。エマルションを45℃まで加熱し、22.3gのH2O2(4%)を添加する。次いで61.6gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、1時間の時間をかけて投与する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、60~65℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、5.2gのAMP-90を添加し、20μmフィルターによって濾過する。得られる粒子サイズD50は150nmである。
【0186】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0187】
分散体の固形分は、39.8%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0188】
分散体のpHは、9.9である。
【0189】
[実施例A9]
安定な油/水エマルションの調製のため、68.6gの化合物(101)を、29gのメチルメタクリレート(MMA)、29gのn-ブチルアクリレート(nBA)、5.2gのステアリルメタクリレート(SMA)、1.3gのメタクリル酸(MAA)、及び0.2gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、35℃において溶解させる。8.03gのデシルグルコシド(Plantacare(登録商標) 2000UP)(50重量%活性成分、BASF SE)、及び3.12gのAmphisol K(50重量%活性成分、DSM)を、油相に添加し、均質化させる。次いで、160gの脱イオン水を、撹拌しながらゆっくりと添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0190】
エマルションを45℃まで加熱し、4.9gのH2O2(4%)を添加する。次いで13.4gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、1時間の時間をかけて投与する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、70℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、1.2gのAMP-90を添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0191】
得られる粒子サイズD50は185nmである。
【0192】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0193】
分散体の固形分は、41.5%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0194】
分散体のpHは、9.8である。
【0195】
[実施例A10]
安定な油/水エマルションの調製のため、72gのメチルメタクリレート(MMA)、6.4gのステアリルメタクリレート(SMA)、0.5gの酢酸、及び0.25gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、40℃において溶解させた80gの化合物(101)を、182gの脱イオン水中における、35.0gのココアンホ酢酸ナトリウム(Dehyton(登録商標) MC)(40重量%活性成分、BASF SE)の溶液に、ゆっくりと添加した。30分の撹拌及び超音波処理の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0196】
エマルションを45℃まで加熱し、続いて、6.0gのH2O2(4%)及び16.4gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、60℃において1時間維持し、次いで室温に冷却し、30gのNa2CO3溶液(20%)を添加し、最後に20μmフィルターによって濾過する。
【0197】
得られる粒子サイズD50は157nmである。
【0198】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。分散体の固形分は、41.7%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)であり、分散体のpHは、10.3である。
【0199】
[実施例A11]
安定な油/水エマルションの調製のため、100gの化合物(101)を、90gのメチルメタクリレート(MMA)、8gのステアリルメタクリレート(SMA)、2gのメタクリル酸(MAA)、及び0.30gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、45℃において溶解させる。235gの脱イオン水中における、18.6gのココ-グルコシド(Plantacare(登録商標) 1200 UP及びPlantacare 810 UP)(50重量%活性成分、BASF SE)と3.1gのスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム(Plantapon(登録商標) SUS、BASF SE)との混合物の撹拌溶液に、油相を滴下添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0200】
エマルションを45℃まで加熱し、続いて、7.5gのH2O2(4%)及び20.5gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、55℃において3時間維持し、次いで室温に冷却し、15gのL-アルギニンを添加し、次いで20μmフィルターによって濾過する。
【0201】
得られる粒子サイズD50は163nmである。
【0202】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0203】
分散体の固形分は、44.15%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0204】
分散体のpHは、10.1である。
【0205】
[実施例A12]
安定な油/水エマルションの調製のため、100gの化合物(101)を、90gのメチルメタクリレート(MMA)、8gのステアリルメタクリレート(SMA)、2gのメタクリル酸(MAA)、及び0.30gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、45℃において溶解させる。235gの脱イオン水中における、18.8gのデシルグルコシド(Plantacare(登録商標) 2000UP)(50重量%活性成分、BASF SE)と2.9gのスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム(Plantapon(登録商標) SUS、BASF SE)との混合物の撹拌溶液に、油相を滴下添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0206】
エマルションを45℃まで加熱し、続いて、7.5gのH2O2(4%)及び20.5gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、55℃において3時間維持し、次いで室温に冷却し、15gのL-アルギニンを添加し、次いで20μmフィルターによって濾過する。
【0207】
得られる粒子サイズD50は176nmである。
【0208】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0209】
分散体の固形分は、44.64%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0210】
分散体のpHは、10.1である。
【0211】
[実施例A13]
安定な油/水エマルションの調製のため、100gの化合物(101)を、90gのメチルメタクリレート(MMA)、8gのステアリルメタクリレート(SMA)、2gのメタクリル酸(MAA)、及び0.30gのブタンジオールジアクリレート(BDDA)中に、45℃において溶解させる。233.6gの脱イオン水中における、18.6gのココ-グルコシド(Plantacare(登録商標) 1200 UP及びPlantacare 810 UP)(50重量%活性成分、BASF SE)と3.1gのスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム(Plantapon(登録商標) SUS、BASF SE)との混合物の撹拌溶液に、油相を滴下添加する。30分の撹拌及び超音波変換の後、200nm未満の平均小滴サイズを有する安定なエマルションを得る。
【0212】
エマルションを45℃まで加熱し、続いて、7.5gのH2O2(4%)及び20.5gのアスコルビン酸溶液(3.9%)を、反応混合物に添加する。反応混合物を、機械的撹拌機によって連続的に撹拌し、55℃において3時間維持し、次いで室温に冷却し、溶解するまで撹拌しながら、1.4gのスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム(Plantapon(登録商標) SUS、BASF SE)及び15gのL-アルギニンを添加し、次いで20μmフィルターによって濾過する。
【0213】
得られる粒子サイズD50は176nmである。
【0214】
油溶性UV吸収剤化合物の活性成分含有量は、最終的な分散体の総重量に対して20重量%である。
【0215】
分散体の固形分は、45.00%(150℃において、ハロゲンドライヤーHR73、Mettler Toledo)である。
【0216】
分散体のpHは、10.0である。
【0217】
実施例A1~A13において生成した分散体は、INCI名アクア(及び)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(及び)アクリレート/C12~22アルキルメタクリレートコポリマーを取得し、その生成物はTinosorb(登録商標) S Lite Aquaとして入手可能である。
【0218】
B. 塗布例
【0219】
【0220】
配合物の稠度を、調製後(開始時)、及び異なる温度(4℃、室温、40℃)における3カ月の保存後に評価した。
【0221】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper 12に従って行う。
【0222】
【0223】
本発明による実施例B1-2の配合物は、3カ月まで安定であるが、先行技術の配合物B1-1は、保存後にはもはや用いることができなかった。
【0224】
【0225】
配合物の粘度を決定した。
【0226】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper12に従って行う。
【0227】
【0228】
本発明による配合物B2-2は、計算値と比較して予想外に高いSPFを示し、エタノールの存在下では安定でない先行技術の配合物B2-1と比較して、エタノールに対する高い耐性を示す。
【0229】
【0230】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper12に従って行う。
【0231】
【0232】
本発明による配合物B3-2は、B3-1配合物と比較して、保存後でさえ、より高いSFP値を示す。
【0233】
【0234】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2 Mの濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper12に従って行う。
【0235】
【0236】
本発明による配合物B4は、計算及び予想より高い紫外線防御指数(サンプロテクションファクター)(SPF)を示す。
【0237】
【0238】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper 12に従って行う。
【0239】
【0240】
本発明による日焼け止め噴霧配合物B5は、計算及び予想より高いSPFを示す。
【0241】
【0242】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper 12に従って行う。
【0243】
【0244】
本発明による日焼け止め配合物B6は、計算及び予想より高いSPFを示す。
【0245】
【0246】
配合物の粘度を決定した。
【0247】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper 12に従って行う。
【0248】
【0249】
本発明による配合物B7-2は、先行技術の配合物B7-1と比較して、グリセリン及びエタノールの組み合わせにおいてより良好な安定性を示し、計算値と比較して予想外に高いSPFを示す。
【0250】
【0251】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper12に従って行う。
【0252】
【0253】
本発明による配合物B8-2は、先行技術の配合物B8-1と比較して、遥かに良好な日焼け止め性能を示す。
【0254】
【0255】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper12に従って行う。
【0256】
耐水性は、内部法50に従って決定した(in vitro耐水性)。
【0257】
【0258】
本発明による配合物B9-2及びB9-3は、先行技術の配合物B9-1と比較して、遥かに良好な日焼け止め性能を示す。Tinosorb S Lite Aquaの量を10%から12.5%に増加させることによって、耐水性もより良好となり、SPFリカバリーを31%から86%に更に改善することができる。
【0259】
【0260】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper12に従って行う。
【0261】
【0262】
本発明による配合物B10-2は、先行技術の配合物B10-1と比較して、より良好な安定性を示す。
【0263】
【0264】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper 12に従って行う。
【0265】
【0266】
配合物B11-2は、先行技術の配合物B11-1と比較して、より良好な安定性を示す。
【0267】
【0268】
サンドブラスト加工をしたPMMAプレート(Helioscience、マルセイユ、フランスにより納入)に、1.4mg/cm2の濃度でサンプルを塗布し、アトラスCPS+照射装置によって照射し、Optometrics SPF 290分析装置において試験する。試験手順は、DIN 67502に従って実行する。in vitro SPFの計算は、M. Wlokaら、Proceedings of the 8th International Conference、The Royal Society、London、Paper 12に従って行う。
【0269】
【0270】
本発明による配合物B12-2は、先行技術の配合物B12-1と比較して、より良好な安定性を示す。
【0271】
例B1~B12において先行技術のUV吸収剤として用いたTinosorb S Aquaは、以下の組成を有する。
【0272】
【0273】
【0274】
日焼け止め生成物の抗花粉有効性の試験(in-vitro)
以下の配合物を用いた。
【0275】
配合物UV-CN-17-AC010901(本発明による)
【0276】
【0277】
配合物UV-CN-16-AC112901(比較)
【0278】
【0279】
両配合における違いは、配合物UV-CN-16-AC112901(比較)は、本発明のTinosorb S Lite Aquaポリマー性分散体を含有しないことである。
【0280】
組成物の抗花粉有効性は、6gのUV-CN-17-AC010901(本発明による)又は配合物UV-CN-16-AC112901(比較)のいずれかで均一にコーティングしたPMMAボードで試験した。ボードを38℃のオーブンに、30分間入れた。
【0281】
花粉として、ファー(fir)花粉、直径約5μmを用いた。ペトリ皿において、0.2gの花粉を、PMMAボードにまんべんなく接触させた。ペトリ皿を秤量し、PMMAボードに残った花粉を測定した。ボードへの花粉付着については、次の計算を用いた。
PMMAボードに残った花粉/適用した花粉(%)
【0282】
より小さい値は、より少ない花粉がボードにとどまっていることを示す。
【0283】
試験結果を
図1に示す。明らかに、棒の異なる高さから見て取れるように、配合物UV-CN-17-AC010901(本発明による)は、UV-CN-16-AC112901(比較)より35%改善された抗花粉有効性を示す。
【0284】
皮脂に対する抗酸化効果の試験(in-vitro)
以下の配合物を用いた。
配合物UV-CN-17-AC010901(本発明による)
【0285】
【0286】
配合物UV-CN-16-AC112901(比較)
【0287】
【0288】
両配合における違いは、配合物UV-CN-16-AC112901(比較)は、本発明のTinosorb(登録商標)S Lite Aquaポリマー性分散体を含有しないことである。
【0289】
100mlのエタノール中、1gの皮脂の溶液を用いることによって、皮脂フィルムをペトリ皿中に調製した。窒素下でエタノールを蒸発させ、10mgの皮脂フィルムがペトリ皿中に残った。60gのUV-CN-17-AC010901(本発明による)又は配合物UV-CN-16-AC112901(比較)のいずれかを、皮脂フィルムペトリ皿に塗布し、均一に分布させた。ペトリ皿の短尺の外側を、アルミホイルで覆った。皿をチャンバーに置き、CPC中のUVランプによって、皿を2時間照射した。
【0290】
照射後、10mlのヘプタンを添加することによって、皮脂をペトリ皿から収集した。TBARS法を用いることによって、マロンジアルデヒド(MDA)の量を測定した。MDAは、皮脂の酸化生成物である。λ=532nmにおいて、吸光度測定を行った。
【0291】
図2において、以下の3つの試験配合物の抗酸化有効性を試験した。
【0292】
配合物UV-CN-17-AC010901(本発明による)
配合物UV-CN-16-AC112901(比較)- Tinosorb S Lite Aquaポリマー性分散体なし
ベース:いずれの日焼け止め配合物も含まない対照
【0293】
容易に見て取れるように、Tinosorb S Lite Aquaを含む配合物UV-CN-17-AC010901は、配合物UV-CN-16-AC112901より良好な抗酸化有効性を示す(約25%良好)。対照は最も多いMDA量を有し、抗酸化有効性が最も低い。
【0294】
皮膚への砂接着性の低減の試験(in vitro)
配合物112901A及びC(本発明による)
配合物112901(比較)
【0295】
【0296】
配合における違いは、配合物112901(比較)は、本発明のTinosorb S Lite Aquaポリマー性分散体を含有しないことである。
【0297】
サンケア組成物は、PMMAボードで、6gの生成物を均一に塗布することによって試験した。コーティングしたボードを38℃のオーブンに、30分間入れた。次いで、ボードを、反転させて、ペトリ皿に保持されている砂と30秒間接触させた。皿に残った砂を、再び秤量した。ボードへの砂付着については、次の計算を用いた。
PMMAボードに残った砂/適用した砂(%)
【0298】
より小さい値は、より少ない砂がボードにとどまっていることを示す。
【0299】
図3に、日焼け止め組成物112901A及び112901の間の接着比率を示す。明らかに、Tinosorb S Lite Aqua水溶液を含有する日焼け止め組成物112901Aは、同一のUV保護と共に、30%の砂接着性の低減を呈する。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
1000nm未満の平均粒子サイズを有する水性ポリマー分散体であって、
a)ポリマー担体であって、
(b)p-アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、1つ以上の有機ケイ素基を含むポリマー性UV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、カンファー誘導体、s-トリアジン誘導体、トリアニリノ-s-トリアジン誘導体、メンチルアントラニレート、及びベンゾトリアゾール誘導体のクラスから選択される油溶性有機UV吸収剤、ここで、油溶性有機UV吸収剤(b)とポリマー担体(a)との重量比が、担体100部当たりUV吸収剤50部超である、並びに
c)
c
1
)
c
11
)C
6
~C
18
脂肪族アルコール又はC
6
~C
18
脂肪酸と、単糖類又は二糖類との縮合生成物
から選択されるノニオン性界面活性剤、及び
c
2
)
c
21
)スルホスクシネート及びスルホスクシナメート、
c
22
)脂肪族アルコラート、及び
c
23
)6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールとリン酸エステルとの混合物
から選択されるアニオン性界面活性剤
から選択される界面活性剤
の存在下における、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーのヘテロ相ラジカル重合によって調製される、ポリマー担体
を含む、分散体。
項2
濃縮水性ポリマー分散体の平均粒子サイズが500nm未満である、項1に記載の分散体。
項3
分散体中の油溶性有機UV吸収剤(b)を含むポリマー担体の濃度が、20重量%~60重量%である、項1又は2に記載の分散体。
項4
エチレン性不飽和モノマーが、C
1
~C
18
アクリレート、C
1
~C
18
メタクリレート、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシ官能性アクリレート若しくは(メタ)アクリレート、アルコキシル化アルコールから誘導されるアクリレート若しくは(メタ)アクリレート、及び多官能性アクリレート若しくは(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物からなる群から選択される、項1から3のいずれか一項に記載の分散体。
項5
油溶性UV吸収剤(b)が、式
【化37】
の化合物に対応する、項1から4のいずれか一項に記載の分散体。
項6
(c
11
)が、ラウリルグルコシド、ココ-グルコシド、スクロースポリステアレート、及びデシルグルコシドから選択される、項1から5のいずれか一項に記載の分散体。
項7
(c
21
)がコハク酸のエステルから選択される、項1から5のいずれか一項に記載の分散体。
項8
(c
21
)が、スルホコハク酸ラウリル、スルホコハク酸セチル、及びスルホコハク酸ステアリル、又はこれらのエステルの混合物である、項1から5のいずれか一項に記載の分散体。
項9
(c
22
)がセテアリル硫酸ナトリウムである、項1から5のいずれか一項に記載の分散体。
項10
ノニオン性界面活性剤c
1
)とアニオン性界面活性剤c
2
)との混合物が用いられる、項1から9のいずれか一項に記載の分散体。
項11
(c
1
)C
6
~C
18
アルキルグルコシドと(c
2
)コハク酸のエステルとの混合物が用いられる、項1から10のいずれか一項に記載の分散体。
項12
(c
1
)C
6
~C
18
アルキルグルコシドと(c
2
)8~10個の炭素原子を含む脂肪族アルコール及びリン酸エステルとの混合物が用いられる、項1から10のいずれか一項に記載の分散体。
項13
(c
1
)ココ-グルコシドと(c
2
)スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムとの混合物が用いられる、項1から10のいずれか一項に記載の分散体。
項14
(A)項1に記載の濃縮水性ポリマー分散体、
(B)化粧品に許容される担体、及び任意選択により、
(C)エタノール
を含む、化粧品組成物。
項15
水性環境/媒体/配合物における、項14に記載の化粧品組成物の使用。
項16
水性噴霧配合物における、項14に記載の化粧品組成物の使用。
項17
紫外線防御指数(SPF)の改善のための、項14に記載の化粧品組成物の使用。
項18
日焼け止め中のUVフィルターの量を増加させるための、項14に記載の化粧品組成物の使用。
項19
耐水性の改善のための、項14に記載の化粧品組成物の使用。
項20
花粉が皮膚に付着することを防止するための、化粧品組成物における、項1から13のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散体の使用。
項21
UV光によって引き起こされる皮膚の損傷を回避するための、化粧品組成物における、項1から13のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散体の使用。
項22
皮膚への粒子接着性を低減するための、化粧品組成物における、項1から13のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散体の使用。