(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】方法及びレーザ・ダイシング・システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20230424BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20230424BHJP
B23K 26/046 20140101ALI20230424BHJP
【FI】
H01L21/78 B
H01L21/78 C
B23K26/53
B23K26/046
(21)【出願番号】P 2021559123
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2019092014
(87)【国際公開番号】W WO2020252729
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ワン・フェイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シャンビン
(72)【発明者】
【氏名】リ・ヨンウェイ
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028388(JP,A)
【文献】特開2014-011358(JP,A)
【文献】特開2019-024038(JP,A)
【文献】特開2017-033972(JP,A)
【文献】特開2012-000636(JP,A)
【文献】特開2008-055484(JP,A)
【文献】特開2007-165850(JP,A)
【文献】特開2019-029489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/53
B23K 26/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合構造体をダイシングする方法であって、
前記接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することと、
前記一連のアブレーション構造と前記接合構造体の接合界面との間の相対位置を決定することであって、前記接合
界面は第1のウェハと第2のウェハとの間にある、相対位置を決定することと、
前記一連のアブレーション構造と前記接合界面との間の前記相対位置に基づいて、レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定することと、
一連のパルスレーザを有する前記レーザビームを生成することと、
前記走査パターンに従って前記接合構造体内で前記レーザビームを移動させて、前記接合構造体内に前記一連のアブレーション構造を形成することと、
を含
み、
前記一連のアブレーション構造を形成するための前記走査パターンを決定することは、第1の切断レベルから第2の切断レベルに延在する複数のアブレーションストライプを決定することを含み、
前記第1の切断レベルは、垂直方向に沿った第1の切断深さだけ前記第1のウェハへの前記接合界面から離れたレベルであり、
前記第2の切断レベルは、前記垂直方向に沿った第2の切断深さだけ前記第2のウェハへの前記接合界面から離れたレベルである
方法。
【請求項2】
前記一連のアブレーション構造と
前記接合
界面との間の
前記相対位置を決定することは、前記接合構造体の前記第1のウェハ内の
前記第1の切断レベルと、前記第2のウェハ内の
前記第2の切断レベルとを決定することを含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
焦点面又は焦点深度の少なくとも一方を決定することは、前記接合界面上の焦点面、並びに前記第1の切断レベル及び前記第2の切断レベルを網羅する焦点深度を決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記走査パターンに従って前記接合構造体内で前記レーザビームを移動させて、前記接合構造体内に前記一連のアブレーション構造を形成することは、
前記焦点面上に前記レーザビームを収束させて一連の集束レーザスポットを形成することと、
前記一連の集束レーザスポットを前記接合界面に沿って第1の水平位置から第2の水平位置に移動させることと、
を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
接合構造体をダイシングする方法であって、
接合界面で接合された第1のウェハ及び第2のウェハを有する、接合構造体の上面及び底面を薄くすることと、
前記第1のウェハ及び前記第2のウェハ内に、前記接合構造体の第1の部分と第2の部分との間にある一連のアブレーション構造を形成することと、
前記接合構造体の前記第1の部分及び前記第2の部分を前記一連のアブレーション構造に沿って分離することと、
を含
み、
前記接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することは、
前記接合構造体内に前記一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することを含み、
前記一連のアブレーション構造を形成するための前記走査パターンを決定することは、第1の切断レベルから第2の切断レベルに延在する複数のアブレーションストライプを決定することを含み、
前記第1の切断レベルは、垂直方向に沿った第1の切断深さだけ前記第1のウェハへの前記接合界面から離れたレベルであり、
前記第2の切断レベルは、前記垂直方向に沿った第2の切断深さだけ前記第2のウェハへの前記接合界面から離れたレベルである
方法。
【請求項6】
前記接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することは
、
前記一連のアブレーション構造と前記接合構造体の接合界面との間の相対位置を決定することであって、前記接合
界面は
前記第1のウェハと
前記第2のウェハとの間にある、相対位置を決定することと、
前記一連のアブレーション構造と前記接合界面との間の前記相対位置に基づいて、レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定することと、
一連のパルスレーザを有する前記レーザビームを生成することと、
前記走査パターンに従って前記接合構造体内で前記レーザビームを移動させて、前記接合構造体内に前記一連のアブレーション構造を形成することと、
を含む請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記一連のアブレーション構造と
前記接合
界面との間の
前記相対位置を決定することは、前記接合構造体の前記第1のウェハ内の
前記第1の切断レベル及び前記第2のウェハ内の
前記第2の切断レベルを決定することを含
む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定することは、前記接合界面上の焦点面、並びに前記第1の切断レベル及び前記第2の切断レベルを網羅する焦点深度を決定することを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
接合構造体をダイシングするレーザ・ダイシング・システムであって、
一連のパルスレーザを生成するように構成されたレーザ源と、
一連の集束レーザスポットを提供するように構成された、前記レーザ源に結合された光モジュールと、
前記レーザ源及び前記光モジュールに結合されたコントローラであって、前記接合構造体内の前記一連の集束レーザスポットを移動させて、間に接合界面を有する、前記接合構造体内の第1及び第2のウェハ内に一連のアブレーション構造を形成するように構成された、コントローラと、
を備え
、
前記コントローラは、
前記接合構造体内の前記一連のアブレーション構造の走査パターンを決定することを行うようにさらに構成され、
前記一連のアブレーション構造を形成するための前記走査パターンを決定するために、前記コントローラは、第1の切断レベルから第2の切断レベルに延在する複数のアブレーションストライプを決定するように構成され、
前記第1の切断レベルは、垂直方向に沿った第1の切断深さだけ前記第1のウェハへの前記接合界面から離れたレベルであり、
前記第2の切断レベルは、前記垂直方向に沿った第2の切断深さだけ前記第2のウェハへの前記接合界面から離れたレベルである
レーザ・ダイシング・システム。
【請求項10】
前記コントローラは
、
前記一連のアブレーション構造と前記接合構造体の接合界面との間の相対位置を決定することと、
前記一連のアブレーション構造と前記接合界面との間の前記相対位置に基づいて、レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定することと、
一連のパルスレーザを有する前記レーザビームを生成することと、
前記走査パターンに従って前記接合構造体内の前記レーザビームを移動させて、前記接合構造体内に前記一連のアブレーション構造を形成することと、
を行うようにさらに構成される、請求項
9に記載のレーザ・ダイシング・システム。
【請求項11】
前記一連のアブレーション構造と前記接合
界面との間の前記相対位置を決定するために、前記コントローラは、前記接合構造体の前記第1のウェハ内の
前記第1の切断レベル及び前記第2のウェハ内の
前記第2の切断レベルを決定するように構成され
、請求項
10に記載のレーザ・ダイシング・システム。
【請求項12】
前記レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定するために、前記コントローラは、前記接合界面上の焦点面、並びに前記第1の切断レベル及び前記第2の切断レベルを網羅する焦点深度を決定するように構成される、請求項
10に記載のレーザ・ダイシング・システム。
【請求項13】
前記レーザ源の前記焦点深度は、約20μm~約70μmの範囲内であり、
隣接するアブレーションストライプ間の間隔は、10μm~約60μmの範囲内である、請求項
12に記載のレーザ・ダイシング・システム。
【請求項14】
前記第1のウェハ及び前記第2のウェハの厚さは、それぞれ約30μm~約80μmの範囲内である、請求項
13に記載のレーザ・ダイシング・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、接合構造体のレーザダイシングのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、ウェハは、集積回路を形成する別個のダイにダイシングされる。ウェハをダイシングする一般的な方法には、機械的ソーイング及びレーザダイシングが含まれる。機械的ソーイング法は、ウェハ内の異なるダイを機械的に分離するためにダイシングソーを使用することを含むことが多い。レーザダイシング方法は、光学素子を介して超短パルス高出力レーザの出力を方向付けることを含むことが多い。ダイシングプロセスは、所望の回路を形成するためにさらにパッケージ化された個々の回路チップを製造することができる。
【発明の概要】
【0003】
接合構造体のレーザダイシングのためのシステム及び方法の実施形態。
【0004】
一例では、接合構造体のダイシング方法は、以下の工程を含む。第1に、接合構造体内又はその近くに一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することができる。次いで、一連のアブレーション構造と接合構造体の接合界面との間の相対位置を決定することができる。接合面は、第1のウェハと第2のウェハとの間であってもよい。レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも1つは、アブレーション構造及び接合界面の中又は近くの相対位置に基づいて決定することができる。さらに、レーザビームを決定することができる。使用されるレーザは、パルスレーザの一種である。さらに、走査パターンに従ってレーザビームを接合構造体内で移動させて、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することができる。
【0005】
別の例では、接合構造体をダイシングする方法は、接合構造体の上面及び底面を薄くすることを含む。接合構造体は、接合界面で接合された第1のウェハ及び第2のウェハを有することができる。方法はまた、第1のウェハ及び第2のウェハ内に一連のアブレーション構造を形成することを含むことができる。一連のアブレーション構造は、接合構造体の第1の部分と第2の部分との間にあってもよい。方法はまた、接合構造体の第1の部分及び第2の部分を一連のアブレーション構造に沿って分離することを含むことができる。
【0006】
別の例では、接合構造体をダイシングするためのレーザ・ダイシング・システムは、一連のパルスレーザを生成するように構成されたレーザ源と、一連の集束レーザスポットを提供するように構成された、レーザ源に結合された光モジュールと、レーザ源及び光モジュールに結合されたコントローラとを含む。コントローラは、接合構造体内の一連の集束レーザスポットを移動させて、接合構造体内の第1及び第2のウェハ内に一連のアブレーション構造を形成するように構成されてもよい。第1のウェハ及び第2のウェハは、間に接合界面を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、説明と共に、本開示の原理を説明し、当業者が本開示を作成及び使用することを可能にするのにさらに役立つ。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、接合構造体のレーザダイシングのための例示的なシステムの概略図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なコントローラの概略図を示す。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なレーザ・ダイシング・プロセスを示す。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、別の例示的なレーザ・ダイシング・プロセスを示す。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、レーザ・ダイシング・プロセスにおいてアブレーション構造を形成するための例示的な走査パターンを示す。
【
図3D】本開示のいくつかの実施形態による、焦点面及び焦点深度を有するレーザビームを示す。
【
図3E】本開示のいくつかの実施形態による、レーザ・ダイシング・プロセスにおいてアブレーション構造を形成するための別の例示的な走査パターンを示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、接合構造体の例示的な製造プロセスを示す。
【
図5】いくつかの実施形態による、接合構造体をダイシングする方法のフローチャートを示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、接合構造体を製造する方法のフローチャートを示す。
【0008】
本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の構成及び配置について説明されるが、これは例示のみを目的として行われることを理解すべきである。当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の構成及び配置を使用できることを認識するであろう。本開示が様々な他の用途にも使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0010】
本明細書における「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「例示的な実施形態(an example embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含む必要はない可能性があることに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内である。
【0011】
一般に、用語は、文脈における使用から少なくとも部分的に理解され得る。例えば、本明細書で使用される「1つ又は複数」という用語は、文脈に少なくとも部分的に依存して、任意の特徴、構造、もしくは特性を単数の意味で説明するために使用されてもよく、又は特徴、構造、もしくは特性の組み合わせを複数の意味で説明するために使用されてもよい。同様に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は「その(the)」などの用語は、文脈に少なくとも部分的に依存して、単数形の用法を伝えるか、又は複数形の用法を伝えると理解されてもよい。さらに、「に基づく」という用語は、必ずしも排他的な要因のセットを伝達することを意図していないと理解されてもよく、代わりに、文脈に少なくとも部分的に依存して、必ずしも明示的に説明されていない追加の要因の存在を可能にしてもよい。
【0012】
本明細書で使用される場合、「名目/名目上」という用語は、製品又はプロセスの設計段階中に設定される、構成要素又はプロセス動作の特性又はパラメータの所望の又は目標の値を、所望の値より上及び/又は下の値の範囲と共に指す。値の範囲は、製造プロセスにおけるわずかな変動又は公差に起因し得る。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、対象の半導体デバイスに関連する特定の技術ノードに基づいて変化し得る所与の量の値を示す。特定の技術ノードに基づいて、用語「約」は、例えば、値の10~30%(例えば、値の±10%、±20%、又は±30%)の範囲内で変化する所与の量の値を示すことができる。
【0013】
既存のレーザ・ダイシング・システムでは、ウェハは、ダイシング前に薄くされることが多い。例えば、ウェハは、ウェハダイシングプロセスのために数十ミクロンまで薄くされる場合がある。薄くされたウェハは、従来の機械的ソーイング法及びレーザアブレーション法を使用して脆くなる可能性があり、製造歩留まりを低下させる。例えば、機械的ソーイング法は、ウェハを押圧するために機械的ソー/ブレードの使用を含むことが多い。ダイシングプロセスは高熱を発生させる可能性があり、これにはウェハが過熱するのを防ぐための冷却手段(例えば、冷却水)が必要である。また、ウェハ表面にチッピングやデブリが発生する可能性がある。レーザアブレーション法は、レーザビームを用いてウェハ表面を溶融/気化させながら溝を彫ることにより機能する。表面の溶融/気化の結果として、ウェハ表面に熱損傷及びデブリが形成される可能性がある。ウェハの洗浄は、製造コストを増加させる可能性があり、無駄な領域は、生産歩留まりに影響を及ぼす可能性がある。ダイシングプロセスを改善するために、ステルスダイシング、例えば、レーザビームを使用してウェハの内側にステルスダイシング層を形成し、外力を使用してSD層に沿ってウェハを分離することが、ウェハの損傷及び製造コストを低減するために使用される。しかしながら、既存のステルスダイシング方式は、単一ウェハのダイシングに限定される。
【0014】
本開示による様々な実施形態は、接合構造体をレーザダイシングするためのシステム及び方法を提供する。本開示のシステム及び方法を使用して、2つ以上の接合ウェハを有する接合構造体を、より断面がより均一で、接合表面の表面上の損傷及び無駄な領域を少なくダイシングして分離することができる。接合構造体内に形成されたアブレーション構造は、2つ以上の接合ウェハ内にあってもよく、垂直方向(例えば、z軸)に沿って互いに位置合わせされてもよく、ダイシングプロセス後に接合構造体が分離されるときにより均一な断面を提供する。一実施形態では、レーザビームの焦点面を調整して、レーザビームを各ウェハのそれぞれの切断レベルに集束させることができる。レーザビームが接合構造体内で水平に移動し続けると、接合構造体内の各切断レベルに沿って水平にアブレーション構造を形成することができる。別の実施形態では、レーザの焦点面は、2つの接合されたウェハの間の接合界面に位置する。レーザビームは、接合界面から2つの接合ウェハの切断レベルまでの距離をカバーする焦点深度を有する。レーザエネルギーは、焦点深度に沿って垂直に分布することができるため、レーザビームが接合界面に集束されると、接合されたウェハ内及び接合界面の至る所にアブレーション構造(例えば、アブレーションストライプ/溝)を形成することができる。レーザビームは、接合界面に焦点を合わせながら水平に移動することができ、複数のアブレーションストライプが、接合されたウェハ内及び接合界面の至る所に形成され得る。アブレーション構造に沿って部品を分離するために、ダイシングされた接合ウェハに横方向の外力を加えることができる。
【0015】
開示されたシステム及び方法は、従来のダイシング方法を超える多くの利点を有する。例えば、ダイシングプロセスの冷却のために冷却水は必要とされない。アブレーション構造が接合構造体内に形成されるため、デブリはほとんど又は全く形成されない。ソー/ブレードの移動によって引き起こされる不均一な応力及び衝撃を回避することができる。ウェハに加えられる損傷がわずかである。ダイシングプロセスから生じる傷は、数ミクロン未満に制御することができ、ウェハ上の使用可能領域が増加する。また、接合ウェハのダイシングは同時又はほぼ同時であり得るため、1回のダイシングプロセスの後に接合ウェハを分離することができ、それによって接合ウェハを別々に切断する方法と比較してダイシング時間を短縮する。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、接合構造体のレーザダイシングのための例示的なシステム100の概略図を示す。システム100は、レーザ源102と、光モジュール104と、ステージ106と、コントローラ108とを含むことができる。レーザ源102は、ファイバレーザ、固体レーザ、ガスレーザ、及び半導体レーザを含むがこれらに限定されない任意の適切なタイプのレーザ源とすることができる。レーザ源102は、接合構造体によって強く吸収又は反射されない透過性波長でなければならない任意の適切な波長の一連のパルスレーザを含むレーザビーム116を生成するように構成することができる。シリコンウェハ切断の場合、波長は、内部レーザアブレーションを実現するために1μmより長くてもよく、レーザエネルギーを最大限に利用し、集束レーザビームが接合構造体の内部にダイシングトレースを生成するときにウェハの上部へのいかなる損傷も回避する。
【0017】
いくつかの実施形態では、レーザ源102によって生成されたレーザビーム116は、単一の波長、又は2つもしくは3つの異なる波長など複数の波長を有する。異なる波長を有するレーザビーム116は、別々に、同時に、又は交互に生成することができる。いくつかの実施形態では、レーザ源102によって生成されるレーザビーム116の波長は、1μmより長くてもよい。いくつかの実施形態では、レーザ源102の出力周波数は、10kHz~1,000kHzである。いくつかの実施形態では、レーザ源102の平均出力は5W~500Wである。上記で開示されたレーザビーム116及びレーザ源102のパラメータは例示のみを目的としていることが理解される。
【0018】
光モジュール104は、レーザ源102に光学的に結合することができ、走査ユニット112及び焦点ユニット114を含むことができる。光モジュール104は、レーザ源102によって生成された一連のパルスレーザに基づいて、試料101上に一連の集束レーザスポットを提供するように構成することができる。例えば、一連のパルスレーザは、焦点面上の水平位置に一連の集束レーザスポットを形成することができる。いくつかの実施形態では、光モジュール104は、コントローラ108に動作可能に結合され、コントローラ108から制御信号及び命令を受信する。走査ユニット112は、コントローラ108の制御に基づいて、レーザビーム116の少なくとも一部が試料101に放射する方向を変更するように構成することができる。すなわち、走査ユニット112は、コントローラ108によって制御されるように、試料101に向かって走査速度で走査角内でレーザビーム116を走査することができる。いくつかの実施形態では、走査ユニット112は、ガルバノメータ及び/又は偏光子を含む。走査ユニット112は、任意の他の適切な走査ミラー及び走査屈折光学系をさらに含むことができる。
【0019】
焦点ユニット114は、レーザビーム116の各々を集束させて一連の集束レーザスポットを形成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、焦点ユニット114は、それを通してレーザビーム116の焦点面がz軸に沿った所望の位置(例えば、垂直方向)で決定される、1つ又は複数の集束レンズを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の集束レンズは、コントローラ108に電気的及び機械的に結合されるので、コントローラ108は、レーザビーム116の焦点面がz軸に沿って所望の位置に位置することを可能にするように、1つ又は複数の集束レンズの配置(例えば、配向及びそれらの間の距離)を制御することができる。一連の集束レーザスポットを焦点面上に形成し、試料101内にアブレーション構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、集束レーザスポットの各々の寸法は、0.2μm~5μmが好ましく、例えば0.2μm、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μmなど、これらの値のいずれかによる下端で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内である。各集束レーザスポットの形状は、例えば、円形、長方形、正方形、不規則、又は任意の適切な形状を含むことができる。いくつかの実施形態では、各集束レーザスポットは、1μm~5μmの直径を有する実質的に丸い形状を有する。一連の集束レーザスポットの寸法は、実質的に同じであっても異なっていてもよいことが理解される。レーザビーム116のビームを集束レーザスポットに集束させることにより、エネルギー密度を大幅に増加させることができる。
【0020】
ステージ106は、試料101を保持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ステージ106は、ダイシングプロセス中に試料101を保持するためのウェハホルダ又は任意の適切なステージを含む。いくつかの実施形態では、ステージ106は、コントローラ108の制御に基づいて、光モジュール104が、レーザビーム116と試料101との間の相対的な水平移動に基づいて、x軸及び/又はy軸に沿ってレーザビーム116を走査することができるように、水平に(例えば、
図1の矢印によって示されるように、x軸及び/又はy軸に沿って)移動するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、所望の寸法のアブレーション構造を形成することができるように、一連の集束レーザスポットが試料101の各位置(例えば、一連の集束レーザスポットを形成する)で十分な長さとなるように収束するのを可能とするように所望の速度で移動するようにステージ106を制御することができる。いくつかの実施形態では、ステージ106は、z軸に沿って垂直にも移動するように構成される。
【0021】
コントローラ108は、レーザ源102、光モジュール104、及び/又はステージ106に動作可能に結合され、制御信号及び命令を介してレーザ源102、光モジュール104、及び/又はステージ106の動作を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、光モジュール104とステージ106との間の相対的な水平移動を引き起こすように構成されるので、レーザビーム116が試料101内の走査パターンに従って走査することができる。いくつかの実施形態では、走査パターンは、試料101の2つの部分(例えば、2つのダイ)を分離するための一連の集束レーザスポットを形成する、レーザビーム116が移動して収束するパターンであってもよい。言い換えれば、走査パターンは、一連のアブレーション構造が形成される(例えば、一連の集束レーザスポットによって)順序を表す。例えば、走査パターンは、レーザ・ダイシング・プロセスによって分離される2つの部品間の経路であってもよい。一連のアブレーション構造は、試料101内の2つの部分の間の走査パターンに沿って(例えば、一連の集束レーザスポットによって)形成することができる。いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造が形成される順序は、レーザビーム116が走査パターンに沿って移動して収束する方向に少なくとも依存する。2つの部分は、その後、一連のアブレーション構造が位置する垂直面で分離されてもよい。例えば、コントローラ108は、ステージ106が水平に移動するときに光モジュール104がレーザビーム116を走査するように、制御信号及び命令を光モジュール104及びステージ106に送信することができる。制御信号は、試料101内のある水平位置で異なる焦点面に収束するように、又は試料101内の単一の焦点面に収束するようにレーザビームを制御することができる。コントローラ108はまた、ステージ106の移動方向及び速度並びにレーザビーム116によって形成される一連の集束レーザスポットの出力密度を制御するように構成される。走査パターンは、コンピュータプログラムを実行することによって決定することができ、又はオペレータが手動で決定することもできる。
【0022】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、システム100は、動作中に試料101を監視するように構成された検出モジュール110をさらに含む。いくつかの実施形態では、検出モジュール110は、試料101のビデオ及び/又は画像を記録することができるカメラ及び/又は熱カメラを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、検出モジュール110に結合されているので、監視データ(例えば、画像)は、リアルタイムで検出モジュール110からコントローラ108に送信される。いくつかの実施形態では、監視データは、試料101と一連のパルスレーザとの間の相対的な水平移動、並びにアブレーション構造のサイズ及び/又は形状を含む。いくつかの実施形態では、検出モジュール110は、一連の集束レーザスポットのリアルタイム出力密度を検出し、それをコントローラ108に送信するレーザ出力メータを含む。コントローラ108は、レーザ源102の出力及び/又は光モジュール104の配置を調整することができるので、一連の集束レーザスポットの出力密度、並びにアブレーション構造のサイズ及び形状がそれぞれの所望の値に達することができる。次いで、コントローラ108及び/又はオペレータは、リアルタイムで動作(例えば、一連の集束レーザスポットの走査パターン及び/又は出力密度)を監視することができる。検出モジュール110は、システム100の一部、又はシステム100とは別個のスタンドアロンデバイスであり得ることが理解される。
【0023】
いくつかの実施形態では、システム100は、試料101内の集束レーザスポット(例えば、焦点面に焦点を合わせるときに一連のパルスレーザによって形成される)の位置を較正するように構成された較正ユニット(図示せず)をさらに含む。コントローラ108は、較正ユニットによって実施された較正に基づいて、試料101内の一連の集束レーザスポットを移動させるようにステージ106を制御するように構成することができる。
【0024】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なコントローラ108の概略
図200を示す。コントローラ108は、レーザ源102、光モジュール104、及び/又はステージ106の動作を制御することができ、例えば、走査パターンに従って試料101内のレーザビーム116を生成、収束、及び移動させることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、試料101のダイシング作業の状態を示す検出データを受信し、検出データに基づいて試料101に関する作業(例えば、走査パターン、一連のパルスレーザの移動速度、及び/又は試料101内のダイシングされた/残りの部分)を示す制御命令をレーザ源102、光モジュール104、及び/又はステージ106に提供する。
【0025】
図2に示すように、コントローラ108は、通信インターフェース202、プロセッサ204、メモリ206、及び記憶装置208を含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、集積回路(IC)チップ(特定用途向け集積回路(ASIC)もしくはフィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)として実装される)、又は専用機能を有する別個のデバイスなどの、単一のデバイス内に異なるモジュールを有する。コントローラ108の1つ又は複数の構成要素は、システム100の一部としてレーザ源102及び/又は光モジュール104と共に位置することができ、代替でスタンドアロンのコンピューティングデバイス、クラウド、又は別の遠隔地に配置することができる。コントローラ108の構成要素は、集積デバイス内にあってもよく、又は異なる位置に分散されてもよいが、ネットワーク(図示せず)を介して互いに通信することができる。例えば、プロセッサ204は、プロセッサ搭載型、スタンドアロンコンピュータ内のプロセッサ、もしくはクラウドプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0026】
通信インターフェース202は、通信ケーブル、無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、電波などの無線ネットワーク、全国規模のセルラネットワーク、及び/又はローカル無線ネットワーク(例えば、Bluetooth(商標)又はWiFi)、あるいは他の通信方法を介して、レーザ源102、光モジュール104、ステージ106、又は検出モジュール110などの構成要素との間でデータを送受信することができる。いくつかの実施形態では、通信インターフェース202は、データ通信接続を提供するための統合サービス・デジタル・ネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、又はモデムとすることができる。別の例として、通信インターフェース202は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するためのローカル・エリア・ネットワーク(LAN)カードとすることができる。無線リンクは、通信インターフェース202によって実装することもできる。そのような実装形態では、通信インターフェース202は、ネットワークを介して様々なタイプの情報を表すデジタル・データ・ストリームを搬送する電気信号、電磁信号、又は光信号を送受信することができる。
【0027】
プロセッサ204は、任意の適切なタイプの汎用又は専用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、又はマイクロコントローラを含むことができる。プロセッサ204は、レーザ源102、光モジュール104、及びステージ106の制御に専用の別個のプロセッサモジュールとして構成することができる。代替で、プロセッサ204は、レーザ源102、光モジュール104、及びステージ106の制御とは無関係の他の機能を実施するための共有プロセッサモジュールとして構成することができる。
【0028】
図2に示すように、プロセッサ204は、走査パターン決定ユニット210、レーザ源制御ユニット212、光モジュール制御ユニット214、ステージ制御ユニット216などの複数のモジュールを含むことができる。これらのモジュール(及び任意の対応するサブモジュール又はサブユニット)は、他の構成要素と共に使用するように、又はプログラムの一部を実行するように設計されたプロセッサ204のハードウェアユニット(例えば、集積回路の一部)とすることができる。プログラムはコンピュータ可読媒体に格納することができ、プロセッサ204によって実行されると、それは1つ又は複数の機能を実施することができる。
図2は、1つのプロセッサ204内のすべてのユニット210~216を示しているが、これらのユニットは、互いに近接又は遠隔に配置された複数のプロセッサ間に分散されてもよいと考えられる。
【0029】
走査パターン決定ユニット210は、一連のアブレーション構造を形成するために走査パターンを決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、走査パターン決定ユニット210は、試料101内の分離されるダイの位置及び寸法、試料101内の切断レベルの数、焦点面上の一連の集束レーザスポットの出力密度、一連のパルスレーザの焦点深度などに基づいて走査パターンを決定する。走査パターンは、オペレータによって手動で決定することもできる。具体的には、走査パターン決定ユニット210は、一連の集束レーザスポットのサイズ及び/又は形状、並びに一連のアブレーション構造が試料101内に形成される順序を決定することができる。例えば、走査パターン決定ユニット210は、試料101における切断レベルの数に基づいて、レーザビーム116が収束する焦点面と、ステージ106が水平方向に移動する際の一連のアブレーション構造の形成順序とを決定してもよい。一例では、走査パターンは、各々が試料101のウェハ内に分布し、垂直方向に沿って互いに位置合わせされたスポットの複数の列を形成するための順序を含むことができる。別の例では、走査パターンは、試料101の接合界面にわたって垂直に位置合わせされた複数のストライプの順序を含むことができる。走査パターンの詳細な説明は、以下の
図3D及び
図3Eで説明する。
【0030】
レーザ源制御ユニット212は、走査パターンを示す制御命令をレーザ源102に提供するように構成することができる。制御命令は、レーザ源102に、レーザダイシング工程の前及び最中に、走査パターンに基づいて一連のパルスレーザに関連する様々なパラメータを初期化及び調整させることができる。いくつかの実施形態では、レーザ源102のパワーは、レーザビーム116が焦点面に収束するときに一連の集束レーザスポットのサイズ、形状、及び/又は焦点深度に影響を及ぼすようにレーザ源制御ユニット212によって制御される。例えば、試料101内の2つの切断深さにそれぞれ沿って(例えば、
図3Aに示す例を参照すると)アブレーション構造を形成することと比較して、走査パターンが、試料101の2つの切断レベルの間に延在する(例えば、
図3Bに示す例を参照すると)アブレーション構造を形成する順序に対応する場合、レーザ源制御ユニット212は、より高い出力を提供することができるので、十分なレーザエネルギーをアブレーション構造が形成された領域に分布することができる。別の例では、レーザ源制御ユニット212は、試料101内の切断レベルの数にかかわらず一定のパワーを提供することができる。レーザ源102のパワーは、試料101内にアブレーション構造を形成させるのに十分であり得る。
【0031】
光モジュール制御ユニット214は、走査パターンを示す制御命令を光モジュール104に提供するように構成することができる。制御命令は、光モジュール104に、光モジュール104内の光学部品の配置を初期化及び調整させることができる。光学部品は、焦点面上に一連の集束レーザスポットを形成するために、それぞれが試料101内のレーザビーム116を成形及び集束するための所望の方向に面する1つ又は複数の集束レンズを含むことができる。光モジュール制御ユニット214は、各集束レンズの位置、各集束レンズの向き、及び/又は2つの集束レンズ間の距離を制御することができるので、レーザビーム116が所望の出力密度で所望の焦点面(例えば、一連の集束レーザスポットを形成する)に収束することができる。いくつかの実施形態では、光モジュール制御ユニット214は、ダイシング工程中にレーザビーム116の焦点面を変更するために、又はレーザビーム116の焦点深度を変更するために、1つもしくは複数の集束レンズの位置、1つもしくは複数の集束レンズの向き、及び/又は2つの集束レンズ間の距離を調整する。
【0032】
ステージ制御ユニット216は、走査パターンを示す制御命令をステージ106に提供するように構成することができる。制御命令は、ステージ106に、走査パターンに従って所望の方向に沿って、例えば水平に移動させることができる。ステージ106は、パルスレーザの所望の速度及び/又は繰り返しで移動することができ、これは、焦点面上の一連の集束レーザスポットの出力密度に影響を及ぼす可能性がある。
【0033】
メモリ206及び/又は記憶装置208は、プロセッサ204が動作する必要があり得る任意のタイプの情報を記憶するために提供される任意の適切なタイプの大容量記憶装置を含むことができる。メモリ206及び記憶装置208は、ROM、フラッシュメモリ、ダイナミックRAM、及びスタティックRAMを含むがこれらに限定されない、揮発性もしくは不揮発性、磁気、半導体、テープ、光学、取り外し可能、取り外し不能、もしくは他の種類の記憶装置又は有形(すなわち、非一時的)コンピュータ可読媒体とすることができる。メモリ206及び/又は記憶装置208は、本明細書に開示されるレーザ源102、光モジュール104、及びステージ106の制御機能を実行するためにプロセッサ204によって実行され得る1つ又は複数のコンピュータプログラムを格納するように構成することができる。例えば、メモリ206及び/又は記憶装置208は、レーザ源102、光モジュール104、及びステージ106の動作を制御し、データを処理して制御命令及び任意の他の制御信号を生成するためにプロセッサ204によって実行され得るプログラム(複数可)を格納するように構成することができる。
【0034】
メモリ206及び/又は記憶装置208は、プロセッサ204によって使用される情報及びデータを格納するようにさらに構成することができる。例えば、メモリ206及び/又は記憶装置208は、レーザ源102のパワー及び光モジュール104の配置を制御するためのパラメータを格納するように構成することができる。様々なタイプのデータは、各検出及び/又は走査の直後に、恒久的に格納されてもよく、定期的に除去されてもよく、又は無視されてもよい。
【0035】
図3A及び
図3Bは、いくつかの実施形態による、例示的なレーザ・ダイシング・プロセス300及び320を示す。
図3Cは、いくつかの実施形態による、
図3Aに示すレーザ・ダイシング・プロセスの走査パターンを示す。
図3Dは、いくつかの実施形態による、
図3Bに示すレーザ・ダイシング・プロセスにおける焦点面及び焦点深度を有するレーザビームを示す。
図3Eは、いくつかの実施形態による、
図3Bに示すレーザ・ダイシング・プロセスの走査パターンを示す。
図5は、いくつかの実施形態による、
図3A及び
図3Bに示すレーザ・ダイシング・プロセスを実施するための方法500のフローチャートである。方法500に示される工程は網羅的ではなく、図示された工程のいずれかの前、後、又は間に他の工程も実施できることが理解される。さらに、いくつかの工程は、同時に、又は
図5に示す順序とは異なる順序で実施されてもよい。説明を容易にするために、
図3A及び
図3Bに示すレーザ・ダイシング・プロセス300及び320は、方法500を考慮して説明される。
【0036】
図5を参照すると、方法500は工程502で開始し、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンが決定される。いくつかの実施形態では、走査パターンは、レーザビームが接合構造体に沿って移動し、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するために、接合構造体の2つの部分(例えば、2つのダイ)間の水平面(例えば、x-y平面)内の経路を含む。いくつかの実施形態では、走査パターンは、例えば、2つの部品の寸法及び位置に基づいて、コントローラ108の走査パターン決定ユニット210によって決定される。
【0037】
接合構造体は、
図1の試料101によって表すことができる。具体的には、
図3A及び
図3Bはそれぞれ、いくつかの実施形態による、試料101の構造を示す。いくつかの実施形態では、試料101は、垂直方向(例えば、z軸)に沿って接合された複数のウェハを含む。説明を容易にするために、本開示では、2つのウェハ、すなわち第1のウェハ101-1及び第2のウェハ101-2が示され説明される。第1のウェハ101-1と第2のウェハ101-2とは、接合界面101-3において互いに接触するように接合される。いくつかの実施形態では、接合界面101-3は、第1のウェハ101-1と第2のウェハ101-2との間に水平に(例えば、x軸に沿って)延在する。走査パターンは、レーザビーム116が収束して試料101の第1のウェハ101-1及び第2のウェハ101-2に一連のアブレーション構造を形成する経路を含むことができる。
【0038】
方法500は、一連のアブレーション構造と接合構造体の接合界面との間の相対位置が決定される工程504に進む。一連のアブレーション構造と接合界面との間の相対位置は、試料101の構造(例えば、ウエハの厚さ)、レーザ源102の特性(例えば、焦点面の位置及び/又は焦点深度)、及び/又は任意の他の適切な製造要件(例えば、オペレータによって決定される)などの要因に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、この工程は、走査パターン決定ユニット210によって実施される。
【0039】
図3Aは、一連のアブレーション構造と接合界面との間の例示的な相対位置を示す。いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造は、第1のウェハ101-1内の第1の切断レベル306-1に沿って水平に位置合わせされた複数の第1のアブレーションスポット302-1と、第2のウェハ101-2内の第2の切断レベル306-2に沿って水平に位置合わせされた複数の第2のアブレーションスポット302-2とを含むことがわかる。例示を目的として、
図3Aでは、複数の第1のアブレーションスポット302-1及び複数の第2のアブレーションスポット302-2が点として示されている。接合界面101-3は、複数の第1のアブレーションスポット302-1と複数の第2のアブレーションスポット302-2との間にあってもよい。第1の切断レベル306-1は、複数の第1のアブレーションスポット302-1と接合界面101-3との間の第1の切断深さD1によって分離されたレベルとして定義されてもよく、第2の切断レベル306-2は、複数の第2のアブレーションスポット302-2と接合界面101-3との間の第2の切断深さD2によって分離されたレベルとして定義されてもよい。第1の切断レベル306-1と第2の切断レベル306-2とは、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1のアブレーションスポット302-1及び第2のアブレーションスポット302-2は、垂直方向(例えば、z軸)に沿って互いに平行であってもよい。いくつかの実施形態では、複数の第1のアブレーションスポット302-1の各々は、複数の第2のアブレーションスポット302-2(例えば、対応する第2のアブレーションスポット302-2)のうちの1つと垂直に位置合わせされる。すなわち、それぞれ第1のアブレーションスポット302-1及び対応する第2のアブレーションスポット302-2は、同じ水平位置(例えば、x軸に沿って)を有する。いくつかの実施形態では、
図3Aに示すように、第1の切断深さD1は、約20μm~約40μmの範囲内、第2の切断深さD2は、約20μm~約40μmの範囲内、例えば20μm、25μm、30μm、35μm、40μmであり、これらの値のいずれかによって下端で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内にある。
【0040】
図3Bは、一連のアブレーション構造と接合界面との間の別の例示的な相対位置を示す。いくつかの実施形態では、より高いパルスレーザ出力及びより長い焦点深度の光学系を使用することによって、一連のアブレーション構造が1回の走査で実現されることがわかる。アブレーションストライプ/溝322は、接合界面101-3を横切って垂直方向に沿って、又は垂直方向に近接して位置合わせされる。アブレーションストライプ/溝322の端部は切断レベル306-1に近くてもよく、アブレーションストライプ/溝322の端部は切断レベル306-2に近くてもよい。第1の切断深さD1と第2の切断深さD2とは、互いに同じであってもよく、又は互いに異なっていてもよい。
図3Bに示すD1及びD2の値は、
図3Aに示すD1及びD2の値と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、
図3Bに示すように、第1の切断深さD1と第2の切断深さD2との合計、すなわち(D1+D2)は、約20μm~約70μmの範囲内、例えば20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μmであり、これらの値のいずれかによって下端で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内にある。第1の切断深さD1及び第2の切断深さD2の値は、それぞれ(D1+D2)の範囲に基づいて決定することができる。例えば、第1の切断深さD1は約20μm~約40μmの範囲内にあり、第2の切断深さD2は約20μm~約40μmの範囲内にある。
【0041】
方法500は、
図5に示すように、工程506に進み、レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度の少なくとも一方が決定される。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、レーザ源102と光モジュール104との間の距離、光モジュール104内の光学部品(例えば、レンズ)の配置、及び光モジュール104と切断レベル(例えば、
図3Aの第1の切断レベル306-1又は第2の切断レベル306-2)との間の距離に基づいて、レーザビーム116の1つもしくは複数の焦点面及び/又は焦点深度を決定する。いくつかの実施形態では、この工程は、走査パターン決定ユニット210、レーザ源制御ユニット212、及び光モジュール制御ユニット214によって実施される。
【0042】
図3Aに示す例では、レーザビーム116の第1の焦点面が第1の切断レベル306-1と名目上一致し、レーザビーム116の第2の焦点面が第2の切断レベル306-2と名目上一致すると判断することができる。コントローラ108は、レーザビーム116を試料101の第1の切断レベル306-1及び第2の切断レベル306-2にそれぞれ収束させるように、光モジュール104内の光学部品の配置を調整することができる。例えば、コントローラ108は、レーザ源102と光モジュール104との間及び光モジュール104と切断レベル(例えば、
図3Aの第1の切断レベル306-1又は第2の切断レベル306-2)との間の距離を決定し、距離に基づいて光モジュール104の配置を調整することができる。いくつかの実施形態では、光モジュール104は、1つ又は複数の集束レンズを含み、コントローラ108は、レーザ・ダイシング・プロセスにおいて、レーザビーム116の焦点面が第1の切断レベル306-1と名目上一致することを可能にするためにレーザビーム116の焦点距離を短くすることができるか、又はレーザビーム116の焦点面が第2の切断レベル306-2と名目上一致することを可能にするために拡大することができるように、集束レンズの配向及び/又は2つの集束レンズの間の距離を調整する。レーザビーム116は、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれ集束されて、第1のウェハ101-1に複数の第1のアブレーションスポット302-1及び第2のウェハ101-2に複数の第2のアブレーションスポット302-2を形成することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、コントローラ108はまた、レーザビーム116が第1の焦点面上及び第2の焦点面上に収束するとき(例えば、それぞれの切断レベル上の各水平位置に一連の集束レーザスポットをそれぞれ形成する)のレーザビーム116の出力密度を決定する。出力密度は、第1のアブレーションスポット302-1及び第2のアブレーションスポット302-2を形成するのに十分に高くてもよい。これは、走査パターン決定ユニット210、光モジュール制御ユニット214、レーザ源制御ユニット212により決定することができる。いくつかの実施形態では、ナノ秒又はピコ秒レベルのパルス幅を有するパルスレーザの場合、焦点(例えば、焦点面上)における一連の集束レーザスポットのパルスエネルギーは、約1μJ~約30μJの範囲内、例えば5μJ、10μJ、20μJ、30μJのパルスエネルギーであり、これらの値のいずれかによって下端で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内である。
【0044】
図3Bに示す例では、第1の切断レベル306-1及び第2の切断レベル306-2に及ぶために、レーザビーム116の焦点面が接合界面101-3及びレーザビーム116の焦点深度と一致すると判断することができる。
図3Dは、焦点面324、焦点深度(DOF)、接合界面101-3、第1の切断深さD1、及び第2の切断深さD2の空間的関係を示す。
図3Dに示すように、焦点深度は、前側焦点深度F1及び後側焦点深度F2を含む。焦点面324は、接合界面101-3と一致してもよい。レーザビーム116が焦点面324に収束するとき、前側焦点深度F1の境界342-1は第1のウェハ101-1内に位置してもよく、後側焦点深度F2の境界342-2は第2のウェハ101-2内に位置してもよい。第1の切断深さD1は、前側焦点深度F1以下であってもよく、第2の切断深さD2は、後側焦点深度F2以下であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の切断深さD1は、前側焦点深度F1に等しく、第2の切断深さD2は、後側焦点深度F2に等しい。レーザビーム116が焦点面324(例えば、接合界面101-3と一致する)に収束し、水平位置に一連の集束レーザスポットを形成すると、レーザ出力は焦点深度DOF内に垂直に分布して、接合界面101-3を横切って第1のウェハ101-1及び第2のウェハ101-2内にアブレーションストライプ/溝322を形成することができる。アブレーションストライプ/溝322の長さ(例えば、(D1+D2))は、名目上、焦点深度DOFに等しくてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、コントローラ108はまた、レーザビーム116が焦点面に収束するときのレーザビーム116の出力密度を決定する。接合界面101-3に沿った各水平位置に、一連の集束レーザスポットを形成することができる。出力密度は、接合界面101-3を横切って第1のウェハ101-1及び第2のウェハ101-2内に延在するアブレーションストライプ/溝322を形成するのに十分に高くてもよい。これは、走査パターン決定ユニット210、光モジュール制御ユニット214、レーザ源制御ユニット212により決定することができる。いくつかの実施形態では、ナノ秒又はピコ秒レベルのパルス幅を有するパルスレーザの場合、焦点における一連の集束レーザスポットのパルスエネルギーは、約1μJ~約30μJの範囲内にあり、例えば5μJ、10μJ、20μJ、30μJのパルスエネルギーであり、これらの値のいずれかによって下限で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内である。いくつかの実施形態では、レーザ源制御ユニット212は、レーザ源102の出力を調整(例えば、増加)することができるので、アブレーションストライプ/溝322を形成するために所望の出力密度に達することができる。
【0046】
方法500は、
図5に示すように、工程508に進み、レーザビームが生成される。いくつかの実施形態では、レーザビーム116が生成される。レーザビーム116は、光モジュール104を透過し、レーザ・ダイシング・プロセス中に試料101の焦点面に収束する一連のパルスレーザを含む。一連の集束レーザスポットは、前述のように、焦点面(例えば、302-1、302-2、及び/又は324)上に形成することができる。いくつかの実施形態では、この工程は、走査パターン決定ユニット210、レーザ源制御ユニット212、及び光モジュール制御ユニット214によって決定される。いくつかの実施形態では、光モジュール104の配置は、レーザビーム116の焦点面を決定する。
【0047】
方法500は、
図5に示すように、工程510に進み、走査パターンに従ってレーザビームが試料内で移動される。いくつかの実施形態では、レーザビーム116の移動は、ステージ106の水平移動によって引き起こされる。ステージ106が水平方向に沿って移動すると、レーザビーム116は、ステージ106とは反対の水平方向に沿って移動し、1つ又は複数の焦点面に収束して、対応するアブレーション構造(例えば、302又は322)を形成する。いくつかの実施形態では、ステージ106の水平移動速度は、約100mm/秒~約1000mm/秒の範囲内であり、レーザビーム116の水平移動速度を(例えば、ステージ106とは反対の方向に沿って)約100mm/秒~約1000mm/秒にする。レーザビーム116の水平移動速度は、所望のアブレーション構造を形成するために、各水平位置におけるレーザビーム116の十分な持続時間及びレーザ出力密度を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ステージ106の水平移動速度は、レーザ源102の出力に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、工程は、走査パターン決定ユニット210、レーザ源制御ユニット212、及びステージ制御ユニット216によって実施される。
【0048】
図3Aに戻って参照すると、複数の第1のアブレーションスポット302-1及び複数の第2のアブレーションスポット302-2を形成するために、レーザビーム116(すなわち、一連のパルスレーザを含む)は、ステージ106が移動するときに第1の焦点面及び第2の焦点面にそれぞれ集束され得る。各水平位置において、レーザビーム116は、第1のウェハ101-1内に第1のアブレーションスポット302-1を形成し、第2のウェハ101-2内に第2のアブレーションスポット302-2を形成するために、それぞれ所望の持続時間にわたって、第1の焦点面及び第2の焦点面上にそれぞれ収束することができる。いくつかの実施形態では、第1のアブレーションスポット302-1及び第2のアブレーションスポット302-2は、垂直方向(例えば、z軸)に沿って位置合わせされ得る。
図3Cは、レーザビーム116が収束して試料101内にアブレーションスポットを形成する例示的な順序330を示す。
【0049】
実施例Iに示すように、レーザビーム116は、最初に、所望の持続時間にわたって第1のウェハ101-1内の第1の焦点面(例えば、第1の切断レベル306-1と一致する)上に集束され得る。一連の集束レーザスポットは、第1の切断レベル306-1上に形成されてもよく、第1のアブレーションスポット331は、第1の水平位置L1(例えば、x軸に沿って、)において第1のウェハ101-1内に形成されてもよい。レーザビーム116と試料101との間の相対的な水平移動が発生する前に(例えば、ステージ106の水平移動によって引き起こされる)、レーザビーム116は、所望の持続時間にわたって第1の水平位置L1で第2の焦点面(例えば、第2の切断レベルD2と一致する)上に再集束され得る。一連の集束レーザスポットは、第2の切断レベル306-2上に形成されてもよく、第2のアブレーションスポット332は、第1の水平位置L1において第2のウェハ101-2内に形成されてもよい。レーザビーム116と試料101との間の相対的な水平移動(例えば、x軸に沿って、)が発生すると、レーザビーム116は、x軸に沿って第1の水平位置L1と位置合わせされた第2の水平位置L2に移動することができる。一連の集束レーザスポットは、第2の水平位置L2に形成され、第2の水平位置L2に別の第2のアブレーションスポット334を形成することができる。
【0050】
レーザビーム116と試料101との間の相対的な水平移動が再び発生する前に、レーザビーム116は、第2の水平位置L2で第1の焦点面に再集束され、所望の持続時間にわたって収束して、第2の水平位置L2に別の第1のアブレーションスポット333を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1のアブレーションスポット331及び他の第1のアブレーションスポット333は、x軸に沿って互いに位置合わせされてもよく、第2のアブレーションスポット332及び他の第2のアブレーションスポット334は、x軸に沿って互いに位置合わせされてもよく、第1のアブレーションスポット331及び第2のアブレーションスポット332は、z軸に沿って互いに位置合わせされてもよく、他の第1のアブレーションスポット333及び他の第2のアブレーションスポット334は、z軸に沿って互いに位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、第1のアブレーションスポット331と他の第1のアブレーションスポット333との間の間隔S1(例えば、x軸に沿って)は、約0.1μm~約5μmの範囲内であり、例えば0.1μm、0.5μm、1μm、3μm、5μmであり、これらの値のいずれかによって下端で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内である。
【0051】
アブレーションスポット331~334はまた、異なる順序で形成されてもよい。別の実施例IIでは、第1のアブレーションスポット331及び第2のアブレーションスポット332が第1の水平位置L1に形成された後、レーザビーム116は、第2の水平位置L2に移動され、第1の焦点面に再集束されて、別の第1のアブレーションスポット333を形成することができる。レーザビーム116が第2の水平位置L2で第2の焦点面上に再集束された後に、別の第2のアブレーションスポット334が形成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションスポット331~334はまた、任意の他の適切な順序で形成されてもよい。例えば、第2の及び他の第2のアブレーションスポット332及び334は、第1の及び他の第1のアブレーションスポット331及び333がこれらの水平位置に形成される前に、それぞれの水平位置に最初に形成されてもよい。アブレーションスポット331~334を形成する具体的な順序は、本開示の実施形態によって限定されるべきではない。
【0052】
レーザビーム116は、第1の焦点面及び第2の焦点面上に繰り返し収束して、複数の第1のアブレーションスポット302-1及び複数の第2のアブレーションスポット302-2を形成することができる。いくつかの実施形態では、それぞれ第1のアブレーションスポット302-1及び対応する第2のアブレーションスポット302-2(例えば、同じ水平位置で)は、z軸に沿って位置合わせされる。複数の第1のアブレーションスポット302-1及び複数の第2のアブレーションスポット302-2は、それぞれx軸に沿って位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、複数の第1のアブレーションスポット302-1及び複数の第2のアブレーションスポット302-2は、同じx-z平面内にあってもよい。その後、試料101は、第1のアブレーションスポット302-1及び第2のアブレーションスポット302-2が位置する垂直面(例えば、x-z平面)に沿って分離され得る。
【0053】
図3Bに戻って参照すると、複数のアブレーションストライプ/溝322を形成するため、レーザビーム116は、焦点面324(例えば、接合界面101-3と一致する)に集束され、x軸に沿って移動され得る。一連の集束レーザスポットは、x軸に沿って水平位置に形成することができる。レーザビーム116の焦点深度は、一連の集束レーザスポットが水平位置に形成されるとき、第1の切断レベル306-1及び第2の切断レベル306-2に及ぶことができる。一連の集束レーザスポットは、アブレーションストライプ/溝322(例えば、レーザビーム116の焦点深度内で垂直に延在する)を形成するために、水平位置で焦点深度(例えば、接合界面101-3を横切って)内に分布することができる。
【0054】
図3Eは、レーザビーム116が収束し、試料101にアブレーションストライプ/溝を形成する例示的な順序350を示す。いくつかの実施形態では、レーザビーム116は、第1の水平位置L1で集束され、レーザビーム116の焦点深度内に分布される一連の集束レーザスポットを形成することができる。レーザストライプ/溝352は、第1の水平位置L1に形成されてもよい。ステージ106が移動すると、レーザビーム116と試料101との間の相対的な水平移動は、レーザビーム116を試料101内の第2の水平位置L2に移動させ、収束させてアブレーションストライプ/溝354を形成することができる。レーザビーム116は、第3の水平位置L3及び第4の水平位置L4に移動され続け、アブレーションストライプ/溝356及び358を順次形成することができる。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び第4の水平位置は、焦点面324と一致する接合界面101-3上にある。各アブレーションストライプ/溝(例えば、352~358)は、第1のウェハ101-1及び第2のウェハ101-2の両方内に分布してもよい。レーザビーム116は、ステージ106がx軸に沿って移動するにつれて焦点面324に繰り返し集束されて、接合界面101-3を横切って第1のウェハ101-1及び第2のウェハ101-2内に延在する複数のアブレーションストライプ/溝322を形成することができる。いくつかの実施形態では、隣接するアブレーションストライプ/溝(例えば、352及び354)間の間隔S2(例えば、x軸に沿って)は、約0.1μm~約5μmの範囲内、例えば0.1μm、0.5μm、1μm、3μm、5μmであり、これらの値のいずれかによって下端で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内である。その後、試料101は、アブレーションストライプ/溝322が位置する垂直面(例えば、x-z平面)に沿って分離されてもよい。
【0055】
図3A及び
図3Bに示すレーザ・ダイシング・プロセスでは、第1のウェハ101-1及び第2のウェハ101-2のアブレーション構造の一部が垂直方向に沿って位置合わせされているため、レーザダイシング工程によって形成された断面は、従来のレーザ・ダイシング・プロセスによって形成された断面よりも均一で一貫性がある可能性がある。より少ない損傷が試料101に生じ得る。一方、試料101に形成される汚染及び廃棄領域を少なくすることができる。
【0056】
図4は、いくつかの実施形態による、試料の一部の前処理及び分離を伴うレーザダイシング方法400を示す。
図6は、
図4に示すレーザダイシング法のフローチャート600を示す。方法400に示される工程は網羅的ではなく、図示された工程のいずれかの前、後、又は間に他の工程も実施できることが理解される。さらに、工程のいくつかは、同時に、又は
図4に示す順序とは異なる順序で実施されてもよい。説明を容易にするために、フローチャート600の工程は、
図4に示す製造プロセスを考慮して説明される。
【0057】
図6を参照すると、方法600は工程602で開始し、接合構造体の上面及び底面が薄くされる。いくつかの実施形態では、接合構造体の上面は、底面の前に薄くされる。
図4Aは、対応する工程を示す。
図4Aに示すように、接合構造体401は、接合界面402に沿って接合された第1のウェハ401-1及び第2のウェハ401-2を含む。第1のウェハ401-1の第1のデバイス部403-1及び第2のデバイス部403-2は、第2のウェハ401-2の第1のデバイス部404-1及び第2のデバイス部404-2とそれぞれ接合されてもよい。デバイス部は、メモリアレイ及び周辺回路などの任意の適切な半導体デバイス/回路を含むことができる。
【0058】
接合構造体401の上面(例えば、第1のウェハ401-1の上面)は、例えば、第1のウェハ401-1の基板の一部又は全体を除去するために、最初に薄くすることができる。次いで、接合構造体401の底面(例えば、第2のウェハ401-2の底面)は、例えば、第2のウェハ401-2の基板の一部又は全体を除去するために、薄くすることができる。平坦化手段405は、接合構造体401の底面に適用される薄化プロセスを示すために図示されている。第1のウェハ401-1及び第2のウェハ401-2は各々、垂直方向(例えば、z軸)に沿って所望の厚さに薄くすることができ、これは後続のレーザダイシング工程に適している。いくつかの実施形態では、第1のウェハ401-1及び第2のウェハ401-2の各々の厚さは、約30μm~約80μmの範囲内、例えば30μm、50μm、80μmであり、これらの値のいずれかによって下端で境界付けられた任意の範囲、又はこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内である。いくつかの実施形態では、第1のウェハ401-1及び第2のウェハ401-2の各々の厚さは約50μmである。接合構造体401の上面及び底面はそれぞれ、任意の適切な平坦化プロセス(例えば、化学機械平坦化)及び/又はリセスエッチングによって薄くすることができる。
【0059】
方法600は、
図6に示すように、工程604に進み、一連のアブレーション構造が、接合構造体内に、接合構造体の第1の部分と第2の部分との間に形成される。
図4Bは、対応する工程を示す。例示目的のため、ドットは、接合構造体401内の垂直面408に沿って分布した一連のアブレーション構造406を表すように図示されている。
【0060】
いくつかの実施形態では、アブレーション構造406は、接合構造体401の第1の部分407-1と第2の部分407-2とを分離するために形成される。接合された第1のデバイス部403-1及び404-1は、第1の部分407-1内に位置し、接合された第2のデバイス部403-2及び404-2は、第2の部分407-2内に位置する。アブレーション構造406は、第1のウェハ401-1及び第2のウェハ401-2に分布されてもよく、垂直面408内で垂直方向(例えば、z軸)に沿って位置合わせされてもよい。一例として、垂直面408は、接合構造体401の第1の部分407-1と第2の部分407-2とを分離する方向(例えば、x-z平面に垂直なy軸)に沿って(例えば、第1の部分407-1内の接合された第1のデバイス部403-1及び404-1と、第2の部分407-2内の接合された第2のデバイス部403-2及び404-2とを分離するために)延在する。いくつかの実施形態では、接合構造体401は、
図3A及び
図3Bに示す試料101と同様又は同一であり、一連のアブレーション構造406は、
図3Aのアブレーションスポット302及び/又は
図3Bのアブレーションストライプ/溝322と同様又は同一であり得る。一連のアブレーション構造406を形成するプロセスの詳細な説明は、
図3A~
図3Eの説明を参照することができ、ここでは繰り返さない。
【0061】
方法600は、
図6に示すように、工程606に進み、接合構造体の第1の部分及び第2の部分は、一連のアブレーション構造が位置する平面に沿って分離される。いくつかの実施形態では、接着テープが、接合構造体の第1の部分及び第2の部分の一方を互いに分離するための横方向の力を加えるために、接合構造体の上面及び底面の一方に付与される。いくつかの実施形態では、接着テープを第1の部分及び第2の部分の各々に付与して、第1の部分及び第2の部分の1つ又は複数に少なくとも1つの横方向の力を加えることができる。横方向の力は、名目上、水平方向(例えば、一連のアブレーション構造が延在する方向に垂直な方向)に沿っていてもよい。横方向の力は、水平方向と角度を有する力の水平成分とすることもできる。いくつかの実施形態では、横方向力及び横方向成分はそれぞれ、一連のアブレーション構造406が位置する平面から離れる方向を指す水平方向に沿っている。
【0062】
図4Cは、対応する工程を示す。
図4Cに示すように、接合構造体401の第1の部分407-1(例えば、ダイ)及び第2の部分407-2(例えば、別のダイ)が分離される前に、第1の接着テープ409-1が第1の部分407-1の底面に貼り付けられ、第2の接着テープ409-2が第2の部分407-2の底面に貼り付けられる。第2の接着テープ409-2に横方向の力を加えて、第2の部分407-2を第1の部分407-1から引き離す。一例として、横方向の力はy軸に沿って向く。次いで、接合構造体401は、垂直面408に沿って第1の部分407-1及び第2の部分407-2として分離されてもよい。したがって、垂直面408での接合構造体401の分割によって引き起こされる断面408-1及び408-2を、第1の部分407-1及び第2の部分407-2上に形成することができる。
【0063】
本開示の別の態様は、上述したように、実行されると、1つ又は複数のプロセッサに方法を実施させる命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体を対象とする。コンピュータ可読媒体は、揮発性もしくは不揮発性、磁気、半導体、テープ、光学、取り外し可能、取り外し不能、もしくは他のタイプのコンピュータ可読媒体又はコンピュータ可読記憶装置を含むことができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、開示されているように、格納されたコンピュータ命令を有する記憶装置又はメモリモジュールであってもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、格納されたコンピュータ命令を有するディスク又はフラッシュドライブであってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、接合構造体をダイシングする方法は、以下の工程を含む。第1に、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することができる。次いで、一連のアブレーション構造と接合構造体の接合界面との間の相対位置を決定することができる。接合面は、第1のウェハと第2のウェハとの間であってもよい。レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度の少なくとも1つは、一連のアブレーション構造と接合界面との間の相対位置に基づいて決定することができる。さらに、レーザビームを決定することができる。レーザビームは、一連のパルスレーザを有する。さらに、走査パターンに従ってレーザビームを接合構造体内で移動させて、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造と接合面との間の相対位置を決定することは、接合構造体の第1のウェハ内の第1の切断レベル及び第2のウェハ内の第2の切断レベルを決定することを含む。第1の切断レベルは、垂直方向に沿った第1の切断深さだけ第1のウェハへの接合界面から離れたレベルであってもよく、第2の切断レベルは、垂直方向に沿った第2の切断深さだけ第2のウェハへの接合界面から離れたレベルであってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することは、第1の切断レベルに沿った複数の第1のアブレーションスポット及び第2の切断レベルに沿った複数の第2のアブレーションスポットを決定することを含み、焦点面及び焦点深度の少なくとも一方を決定することは、第1の切断レベルで第1の焦点面及び第2の切断レベルで第2の焦点面を決定することを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、走査パターンに従って接合構造体内のレーザビームを移動させて接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することは、第1の水平位置で、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれレーザビームを収束させて、第1の切断レベルで第1のウェハ内に第1のアブレーションスポットと、第2の切断レベルで第2のウェハ内に第2のアブレーションスポットとを形成することを含む。第1及び第2のアブレーションスポットは、垂直に位置合わせされてもよい。工程はまた、第2の水平位置で、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれレーザビームを収束させて、第1の切断レベルで第1のウェハ内に別の第1のアブレーションスポットと、第2の切断レベルで第2のウェハ内に別の第2のアブレーションスポットとを形成することを含む。第1及び他の第1のアブレーションスポットは、水平に位置合わせされてもよく、第2及び他の第2のアブレーションスポットは、水平に位置合わせされてもよく、他の第1及び他の第2のアブレーションスポットは、垂直に位置合わせされてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1の焦点面及び第2の焦点面でレーザビームを収束させることは、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれ一連の集束レーザスポットを形成するように光モジュールの配置を調整することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1のウェハ内に他の第1のアブレーションスポット及び第2のウェハ内に他の第2のアブレーションスポットを形成することは、第2の切断レベルに沿って、第2のウェハ内の第1の水平位置から第2の水平位置にレーザビームを水平に移動させて、レーザビームを第2の焦点面に収束させること、及び第2のウェハ内に他の第2のアブレーションスポットを形成することのうちの一方を含む。工程はまた、第2の水平位置で第1の焦点面上にレーザビームを収束させて、第1のウェハ内に他の第1のアブレーションスポットを形成することを含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造を形成するため走査パターンを決定することは、第1の切断レベルから第2の切断レベルまで延在する複数のアブレーションストライプを決定することを含み、焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定することは、接合界面上の焦点面、並びに第1の切断レベル及び第2の切断レベルを網羅する焦点深度を決定することを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、走査パターンに従って接合構造体内のレーザビームを移動させて接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することは、焦点面上にレーザビームを収束させて一連の集束レーザスポットを形成することと、一連の集束レーザスポットを接合界面に沿って第1の水平位置から第2の水平位置に移動させることとを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、接合構造体をダイシングする方法は、接合構造体の上面及び底面を薄くすることを含む。接合構造体は、接合界面で接合された第1のウェハ及び第2のウェハを有することができる。方法はまた、第1のウェハ及び第2のウェハ内に一連のアブレーション構造を形成することを含むことができる。一連のアブレーション構造は、接合構造体の第1の部分と第2の部分との間にあってもよい。方法はまた、接合構造体の第1の部分及び第2の部分を一連のアブレーション構造に沿って分離することを含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することは、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することと、一連のアブレーション構造と接合構造体の接合界面との間の相対位置を決定することとを含む。接合面は、第1のウェハと第2のウェハとの間であってもよい。工程はまた、一連のアブレーション構造と接合界面との間の相対位置に基づいてレーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定することと、レーザビームを生成することとを含むことができる。レーザビームは、一連のパルスレーザを有することができる。工程は、走査パターンに従って接合構造体内のレーザビームを移動させて、接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することをさらに含むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造と接合面との間の相対位置を決定することは、接合構造体の第1のウェハ内の第1の切断レベル及び第2のウェハ内の第2の切断レベルを決定することを含む。第1の切断レベルは、垂直方向に沿った第1の切断深さだけ第1のウェハへの接合界面から離れたレベルであってもよく、第2の切断レベルは、垂直方向に沿った第2の切断深さだけ第2のウェハへの接合界面から離れた距離であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することは、第1の切断レベルに沿った複数の第1のアブレーションスポット及び第2の切断レベルに沿った複数の第2のアブレーションスポットを決定することを含み、レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定することは、第1の切断レベルで第1の焦点面及び第2の切断レベルで第2の焦点面を決定することを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、走査パターンに従って接合構造体内のレーザビームを移動させて接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することは、第1の水平位置で、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれレーザビームを収束させて、第1の切断レベルで第1のウェハ内に第1のアブレーションスポットと、第2の切断レベルで第2のウェハ内に第2のアブレーションスポットとを形成することを含む。第1及び第2のアブレーションスポットは、垂直に位置合わせされてもよい。工程はまた、第2の水平位置で、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれレーザビームを収束させて、第1の切断レベルで第1のウェハ内に別の第1のアブレーションスポットと、第2の切断レベルで第2のウェハ内に別の第2のアブレーションスポットとを形成することを含んでもよい。第1及び他の第1のアブレーションスポットは、水平に位置合わせされてもよく、第2及び他の第2のアブレーションスポットは、水平に位置合わせされてもよく、他の第1及び他の第2のアブレーションスポットは、垂直に位置合わせされてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の焦点面及び第2の焦点面でレーザビームを収束させることは、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれ一連の集束レーザスポットを形成するように光モジュールの配置を調整することを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1のウェハ内に他の第1のアブレーションスポット及び第2のウェハ内に他の第2のアブレーションスポットを形成することは、第2の切断レベルに沿って、第2のウェハ内の第1の水平位置から第2の水平位置にレーザビームを水平に移動させて、レーザビームを第2の焦点面に収束させること、及び第2のウェハ内に他の第2のアブレーションスポットを形成することのうちの一方を含む。工程はまた、第2の水平位置で第1の焦点面上にレーザビームを収束させて、第1のウェハ内に他の第1のアブレーションスポットを形成することを含むことができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定することは、第1の切断レベルから第2の切断レベルまで延在する複数のアブレーションストライプを決定することを含み、レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも1つを決定することは接合界面上の焦点面、並びに第1の切断レベル及び第2の切断レベルを網羅する焦点深度を決定することを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、走査パターンに従って接合構造体内のレーザビームを移動させて接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成することは、焦点面上にレーザビームを収束させて一連の集束レーザスポットを形成することと、一連の集束レーザスポットを接合界面に沿って第1の水平位置から第2の水平位置に移動させることとを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、接合構造体の第1の部分と第2の部分とを分離することは、接合構造体の第1の部分又は第2の部分の少なくとも一方に横方向の力を加えることを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、接合構造体の第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方に横方向の力を加えることは、接合構造体の第1の部分又は第2の部分の少なくとも一方に接着テープを貼付することと、一連のアブレーション構造から離れる方向を指す方向に沿って接着テープに横方向の力を加えることとを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、接合構造体をダイシングするためのレーザ・ダイシング・システムは、一連のパルスレーザを生成するように構成されたレーザ源と、一連の集束レーザスポットを提供するように構成された、レーザ源に結合された光モジュールと、レーザ源及び光モジュールに結合されたコントローラとを含む。コントローラは、接合構造体内の一連の集束レーザスポットを移動させて、接合構造体内の第1及び第2のウェハ内に一連のアブレーション構造を形成するように構成されてもよい。第1のウェハ及び第2のウェハは、間に接合界面を有することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、コントローラは、接合構造体内の一連のアブレーション構造のパターンを決定し、一連のアブレーション構造と接合構造体の接合界面との間の相対位置を決定し、一連のアブレーション構造と接合界面との間の相対位置に基づいてレーザビームの1つもしくは複数の焦点面又は焦点深度のうちの少なくとも一方を決定し、レーザビームを有するレーザビームを生成し、走査パターンに従って接合構造体内のレーザビームを移動させて接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するようにさらに構成される。
【0085】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造と接合面との間の相対位置を決定するために、コントローラは、接合構造体の第1のウェハ内の第1の切断レベル及び第2のウェハ内の第2の切断レベルを決定するように構成される。第1の切断レベルは、垂直方向に沿って第1の切断深さだけ第1のウェハへの接合界面から離れたレベルであってもよく、第2の切断深さは、垂直方向に沿って第2の切断深さだけ第2のウェハへの接合界面から離れた距離であってもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定するために、コントローラは、第1の切断レベルに沿った複数の第1のアブレーションスポット及び第2の切断レベルに沿った複数の第2のアブレーションスポットを決定するように構成される。レーザビームの1つ又は複数の焦点面及び焦点深度のうちの少なくとも一方を決定するために、コントローラは、第1の切断レベルにおける第1の焦点面及び第2の切断レベルにおける第2の焦点面を決定するように構成され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、接合構造体内でレーザビームを移動させて接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するために、コントローラは、第1の水平位置で、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれレーザビームを収束させて、第1の切断レベルで第1のウェハ内に第1のアブレーションスポットと、第2の切断レベルで第2のウェハ内に第2のアブレーションスポットとを形成するように構成される。第1及び第2のアブレーションスポットは、垂直に位置合わせされてもよい。コントローラはまた、第2の水平位置で、第1の焦点面及び第2の焦点面にそれぞれレーザビームを収束させて、第1の切断レベルで第1のウェハ内に別の第1のアブレーションスポットと、第2の切断レベルで第2のウェハ内に別の第2のアブレーションスポットとを形成するように構成され得る。第1及び他の第1のアブレーションスポットは、水平に位置合わせされてもよく、第2及び他の第2のアブレーションスポットは、水平に位置合わせされてもよく、他の第1及び他の第2のアブレーションスポットは、垂直に位置合わせされてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、レーザビームを第1の焦点面及び第2の焦点面に収束させるために、コントローラは、光モジュールの配置を調整して、第1の焦点面上及び第2の焦点面上にそれぞれ一連の集束レーザスポットを形成するように構成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、第1のウェハ内に他の第1のアブレーションスポットと、第2のウェハ内に他の第2のアブレーションスポットとを形成するために、コントローラは、第2の切断レベルに沿って、第2のウェハ内の第1の水平位置から第2の水平位置にレーザビームを水平に移動させて、レーザビームを第2の焦点面に収束させ、第2のウェハ内に他の第2のアブレーションスポットを形成するように構成される。コントローラはまた、第2の水平位置において、第1の焦点面上にレーザビームを収束させて、第1のウェハ内に他の第1のアブレーションスポットを形成するように構成されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1の切断深さは、約20μm~約40μmの範囲内であり、第2の切断深さは、約20μm~約40μmの範囲内であり、隣接する第1のアブレーションスポット間の間隔及び隣接する第2のアブレーションスポット間の間隔は、それぞれ約10μm~約60μmの範囲内である。
【0091】
いくつかの実施形態では、一連の集束レーザスポットのパルスエネルギーは、約1μJ~約30μJのパルスエネルギーの範囲内であり、レーザビームの水平移動速度は、約100mm/秒~約1000mm/秒の範囲内である。
【0092】
いくつかの実施形態では、一連のアブレーション構造を形成するための走査パターンを決定するために、コントローラは、第1の切断レベルから第2の切断レベルまで延在する複数のアブレーションストライプを決定するように構成される。レーザビームの1つもしくは複数の焦点面又はレーザビームの焦点深度のうちの少なくとも一方を決定するために、コントローラはまた、接合界面上の焦点面、並びに第1の切断レベル及び第2の切断レベルを網羅する焦点深度を決定するように構成されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、接合構造体内でレーザビームを移動させて接合構造体内に一連のアブレーション構造を形成するために、コントローラは、焦点面上にレーザビームを収束させて一連の集束レーザスポットを形成し、一連の集束レーザスポットを接合界面に沿って第1の水平位置から第2の水平位置に移動させるように構成される。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1の切断深さは、約20μm~約40μmの範囲内であり、第2の切断深さは、約20μm~約40μmの範囲内であり、隣接する第1のアブレーションスポット間の間隔及び隣接する第2のアブレーションスポット間の間隔は、それぞれ約10μm~約60μmの範囲内である。
【0095】
いくつかの実施形態では、一連の集束レーザスポットの出力密度は、約1μJ~約30μJのパルスエネルギーの範囲内であり、レーザビームの水平移動速度は、約100mm/秒~約1000mm/秒の範囲内である。
【0096】
いくつかの実施形態では、レーザ源の焦点深度は、約20μm~約70μmの範囲内である。
【0097】
いくつかの実施形態では、隣接するアブレーションストライプ間の間隔は、約10μm~約60μmの範囲内である。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1のウェハ及び第2のウェハの厚さは、それぞれ約30μm~約80μmの範囲内である。
【0099】
特定の実施形態の前述の説明は、本開示の一般的な性質を明らかにするので、他者は、当業者の技能の範囲内で知識を適用することによって、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、過度の実験を行うことなく、そのような特定の実施形態を様々な用途に容易に修正及び/又は適合させることができる。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書に提示された教示及びガイダンスに基づいて、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図されている。本明細書の表現又は用語は、本明細書の用語又は表現が教示及びガイダンスに照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく説明を目的とするものであることを理解されたい。
【0100】
本開示の実施形態は、指定された機能及びその関係の実装を示す機能的構成要素を用いて上述されている。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。指定された機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0101】
発明の概要及び要約のセクションは、発明者によって企図される本開示のすべてではないが1つ又は複数の典型的な実施形態を記載することができ、したがって、本開示及び添付の特許請求の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【0102】
本開示の幅及び範囲は、上述の典型的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。