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特許7267653微生物不活性化カートリッジ及び微生物不活性化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】微生物不活性化カートリッジ及び微生物不活性化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/014 20060101AFI20230425BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61L9/014
A61L9/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022133776
(22)【出願日】2022-08-25
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2022014613
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】本島 厳
(72)【発明者】
【氏名】安原 亮
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-033537(JP,A)
【文献】特開平11-077031(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114662(WO,A1)
【文献】特開2006-142274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
B01J 20/00-20/34
F24F 8/158、8/22
C02F 1/28、 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭を保持する活性炭カートリッジと、
前記活性炭カートリッジが保持する活性炭に紫外線を照射する紫外線照射カートリッジと、
を備え、
前記活性炭カートリッジは、前記紫外線照射カートリッジに対して着脱可能に形成され、
前期活性炭カートリッジに保持される前期活性炭は直径80nm以上120nm以下の細孔を含み、
前記活性炭の直径80nm以上120nm以下の細孔量は、直径50nm以下の細孔量よりも多い
ことを特徴とする微生物不活性化カートリッジ。
【請求項2】
前記活性炭カートリッジは、
一方端に開口部が形成され、他方端から空気を排出する活性炭用ケースと、
前記開口部から挿入され前記活性炭を保持する活性炭保持部と、
を有し、
前記紫外線照射カートリッジは、
一方端から空気が流入し、他方端に開口部が形成される紫外線用ケースと、
前記紫外線用ケースの一方端の内側に設置されるユニット保持部と、
前記ユニット保持部に保持される紫外線ユニットと、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の微生物不活性化カートリッジ。
【請求項3】
前記活性炭保持部は、一方端側から他方端側に向けて小径となる円錐の側面形状を有する
ことを特徴とする請求項に記載の微生物不活性化カートリッジ。
【請求項4】
前記紫外線ユニットは、先端に設置され紫外線を拡散及び整形させる拡散部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の微生物不活性化カートリッジ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の微生物不活性化カートリッジと、
前記微生物不活性化カートリッジを着脱可能な本体と、
前記本体内に収納され電力を供給する電源と、
前記本体内に収納され前記電源により駆動するポンプと、
前記本体内に収納され前記ポンプを介して前記微生物不活性化カートリッジから送られた空気を外部に排出する管路と、
を備えることを特徴とする微生物不活性化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の微生物を不活性化させる微生物不活性化カートリッジ及び微生物不活性化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体の上方と下方に出風口と入風口が設けられ、並びに本体内部に下から上に、プレフィルタネット、活性炭顆粒ケース、複数層の紫外線殺菌ランプ及び高密度ガラス繊維フィルタネット(HEPA)及び吸い込みファンが設けられ、空気が入風口より進入後に、これらフィルタの阻止、衝撃、付着等の方式により汚染源が除去され、さらに多層の紫外線殺菌ランプにより直接病原菌を殺し、並びに活性炭顆粒により除臭し、こうして病原菌退治と空気清浄を達成すると共に、修理やろ材交換時の感染を防止する病院用空気浄化設備が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3103406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された設備は、大型であって、狭い空間に用いることはできない。また、特許文献1に記載された設備は、浮遊する病原菌を退治するために複数の紫外線殺菌ランプを用いており、効率的な病原菌退治をすることができない。特に、特許文献1に記載された発明は、ウイルスの吸着に関しては何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、小型でありながら、効率的に微生物を不活性化させ、ウイルスの吸着量を増大することができる微生物不活性化カートリッジ及び微生物不活性化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる微生物不活性化カートリッジは、
活性炭を保持する活性炭カートリッジと、
前記活性炭カートリッジが保持する活性炭に紫外線を照射する紫外線照射カートリッジと、
を備え、
前記活性炭カートリッジは、前記紫外線照射カートリッジに対して着脱可能に形成され、
前記活性炭カートリッジに保持される前記活性炭は直径80nm以上120nm以下の細孔を含み、
前記活性炭の直径80nm以上120nm以下の細孔量は、直径50nm以下の細孔量よりも多い
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる微生物不活性化カートリッジ及び微生物不活性化装置によれば、小型でありながら、効率的に微生物を不活性化させ、ウイルスの吸着量を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の微生物不活性化装置を示す。
図2】第1実施形態の微生物不活性化装置の断面図を示す。
図3】本実施形態の微生物不活性化装置の活性炭の細孔直径と細孔量の関係を示す。
図4】第2実施形態の微生物不活性化装置の断面図を示す。
図5】第3実施形態の微生物不活性化装置の断面図を示す。
図6】本実施形態の微生物不活性化装置に設置可能な追加カートリッジを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明にかかる一実施形態の微生物不活性化装置1を説明する。本実施形態の微生物不活性化装置1は、空気中の細菌及びウイルス等の微生物を内部で不活性化させた後、空気を外部に排出するものである。
【0010】
図1は、本実施形態の微生物不活性化装置1を示す。図2は、第1実施形態の微生物不活性化装置の断面図を示す。
【0011】
本実施形態の微生物不活性化装置1は、本体2と、微生物不活性化カートリッジ10と、を備える。図1に示すように、本実施形態の生物不活性化装置1は、一例として、救急車又はドクターヘリ内等の狭い空間で用いられ、患者100のマスク101からチューブ102を介して呼気を吸入し、微生物不活性化カートリッジ10で微生物を不活性化して、本体2から排出する。
【0012】
このように、本実施形態の微生物不活性化装置1は、患者等の呼気に含まれるウイルス又は細菌等の微生物を大幅に不活性化した後、排出することができる。したがって、医療従事者、救急救命士、及び、家族等の感染リスクを低減することができる。
【0013】
図2に示すように、微生物不活性化装置1は、中空の本体2と、本体2内に収納され電力を供給する電源3と、本体2内に収納され電源3により駆動するポンプ4と、本体2内に収納されポンプ4を介して微生物不活性化カートリッジ10からの空気を外部に排出する管路5と、を備える。微生物不活性化カートリッジ10は、本体2に対して着脱可能に形成される。
【0014】
微生物不活性化カートリッジ10は、活性炭を保持する活性炭カートリッジ20と、活性炭カートリッジ20が保持する活性炭に紫外線を照射する紫外線照射カートリッジ30と、を有する。活性炭カートリッジ20は、紫外線照射カートリッジ30に対して着脱可能である。本実施形態の活性炭カートリッジ20は、紫外線照射カートリッジ30内に挿入される。本実施形態の微生物不活性化装置1は、空気の流れにおいて、上流に紫外線照射カートリッジ30を配置し、下流に活性炭カートリッジ20を配置している。
【0015】
このように、微生物不活性化カートリッジ10において、活性炭カートリッジ20は、紫外線照射カートリッジ30内に着脱可能に挿入されるので、活性炭カートリッジ20が紫外線照射カートリッジ30内に収納され、微生物不活性化カートリッジ10全体の体積が小さくなり、小型でありながら、効率的に微生物を不活性化することができる。
【0016】
活性炭カートリッジ20は、一方端に開口部21aが形成され、他方端に管路5に接続されて空気を排出する第1流通部21bを有する円筒形の活性炭用ケース21と、開口部21aから挿入され第1流通部21bに向けて小径となる略円錐の側面形状を有する活性炭保持部22と、活性炭用ケース21及び活性炭保持部22の開口に設置される円形のフィルタ23と、を有する。
【0017】
活性炭用ケース21は、カップの底の中央に小さな孔が開いた形状である。なお、活性炭用ケース21は、角筒形でもよい。活性炭用ケース21が角筒形の場合には、活性炭保持部22は角錐の側面形状となり、フィルタ23は角形で形成される。フィルタ23は埃等を除去する繊維フィルタ等でよい。なお、フィルタ23は装着しなくてもよい。
【0018】
図3は、本実施形態の微生物不活性化装置の活性炭の細孔直径と細孔量の関係を示す。活性炭保持部22に用いられる活性炭は、直径80nm以上120nm以下の細孔制御されたものが好ましい。図3に示すように、従来のヤシ殻活性炭と比較して細孔量を約120倍多く形成することができる。また、ウイルスのサイズは、約80nm以上120nm以下であるので、ウイルスの吸着量を増大させることができる。
【0019】
ここで、活性炭の細孔制御について説明する。活性炭は、アルカリ土類金属酸化物の結晶子サイズによって活性炭の細孔サイズを制御することができるほか、用いる有機質樹脂の種類によって活性炭の細孔分布を制御することができる。より具体的には、有機質樹脂をアルカリ土類金属化合物と混合し、非酸化性雰囲気で加熱焼成した後、混合物を酸性水溶液で処理すると、アルカリ土類金属酸化物が可溶性の塩として水に溶解し、これを濾過・水洗して乾燥すると、活性炭を得ることができる。
【0020】
本実施形態の活性炭は、直径80nm以上120nm以下の細孔を形成するため、アルカリ土類金属化号物として酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、又は、酢酸マグネシウム等のマグネシウム化合物の粉末を使用する。マグネシウム化合物を有機質樹脂と混合し、焼成した後、酸性水溶液で処理し、濾過・水洗して乾燥させる。すると、直径80nm以上120nm以下の細孔制御された活性炭が生成される。
【0021】
活性炭保持部22に保持される活性炭は、表面に溝を形成してもよい。溝を形成することで、活性炭への紫外線の照射面積を増加させることができ、より効率的に微生物を不活性化することができる。溝は、空気の流れの上流から下流へ向かって直線状又は螺旋状等に形成すればよい。また、活性炭の表面に凹凸を形成し、活性炭への紫外線の照射面積を増加させてもよい。
【0022】
紫外線照射カートリッジ30は、一方端にチューブ等に接続されて空気が流入する第2流通部31aを有し、他方端に開口部31bが形成される円筒形の紫外線用ケース31と、紫外線用ケース31の一方端の内側に設置されるユニット保持部32と、ユニット保持部32に保持される紫外線ユニット33と、紫外線ユニット33の先端に設置される拡散部34と、を備える。
【0023】
紫外線用ケース31は、カップの底の中央に小さな孔が開いた形状である。なお、活性炭用ケース21が角筒形の場合、紫外線用ケース31は角筒形でもよい。また、紫外線用ケース31の内側面31cは紫外線を反射させるためにコーティング等の表面処理をしてもよい。
【0024】
ユニット保持部32は、中央に形成される保持ケース32aと、保持ケース32aから放射方向に延びる複数の脚部32bと、を有する。複数の脚部32bの放射状に延びた一端は紫外線用ケース31の一方端の内側に設置され、複数の脚部32bの他端は中央で接続され、保持ケース32aを支持する。
【0025】
紫外線ユニット33は、紫外線を照射する光源を含む。本実施形態の紫外線ユニット33の光源は、紫外線レーザーであるが、ランプやLED等でもよい。紫外線レーザーを使用することで、高強度の安定した照射を実現することができる。
【0026】
拡散部34は、紫外線ユニット33の先端に設置され、紫外線ユニット33から照射された紫外線を拡散する。拡散部34は、レンズ又は回折光学素子等の拡散板でよい。拡散部34は、紫外線を整形することができる。例えば、活性炭保持部22の開口部21aの形状にあわせて整形すれば、活性炭への紫外線の照射面積が最大となり、効率的に微生物を不活性化することができる。
【0027】
微生物不活性化カートリッジ10は、紫外線用ケース31の他方端の開口部31bから、活性炭用ケース21の一方端の開口部21a側を挿入し、紫外線用ケース31の他方端の開口部31bに、活性炭用ケース21の他方端側の外周面21cを嵌め込むことで、形成される。活性炭用ケース21は、紫外線用ケース31に対して着脱可能である。活性炭用ケース21を紫外線用ケース31に嵌め込むと、活性炭保持部22と紫外線ユニット33は対向する。
【0028】
したがって、微生物不活性化カートリッジ10は、活性炭保持部22が劣化した場合、劣化した活性炭カートリッジ20を紫外線照射カートリッジ30から取り外し、新しい活性炭カートリッジ20を紫外線照射カートリッジ30に交換することができる。また、微生物不活性化カートリッジ10は、紫外線ユニット33が故障した場合、活性炭カートリッジ20を紫外線照射カートリッジ30から取り外し、新しい紫外線照射カートリッジ30に活性炭カートリッジ20を装着することができる。
【0029】
活性炭カートリッジ20及び紫外線照射カートリッジ30は、それぞれ交換可能であって、劣化又は故障したカートリッジのみ交換すればよいので、経費を節約することができる。
【0030】
微生物不活性化カートリッジ10は、本体2に対して着脱可能である。微生物不活性化カートリッジ10を本体2に取り付ける際は、活性炭カートリッジ20の第1流通部21bを管路5に挿入すればよい。微生物不活性化カートリッジ10を本体2から取り外す際は、活性炭カートリッジ20の第1流通部21bから管路5を抜けばよい。
【0031】
本体2は、微生物不活性化カートリッジ10自体を挿入する受け部2aを有すると好ましい。受け部2aによって、微生物不活性化カートリッジ10の移動を少なくすることができ、微生物不活性化カートリッジ10を本体2に安定して装着することができる。
【0032】
図1及び図2に示す第1実施形態の微生物不活性化装置1は、患者100のマスク101からチューブ102を介して微生物不活性化カートリッジ10に呼気を吸入する。吸入された呼気の微生物は、活性炭カートリッジ20の活性炭保持部22に捕捉される。微生物が捕捉された空気は、活性炭保持部22を通過して、第1流通部21bから本体2の管路5へ排出される。活性炭保持部22に捕捉された微生物は、紫外線照射カートリッジ30の紫外線ユニット33から照射された紫外線によって不活性化される。
【0033】
図4は、第2実施形態の微生物不活性化装置1の断面図を示す。
【0034】
第2実施形態の微生物不活性化装置1は、第1実施形態と同様の構造を有する微生物不活性化カートリッジ10を、本体2に対して逆向きに取り付けたものである。
【0035】
第2実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、本体2に対して着脱可能である。微生物不活性化カートリッジ10を本体2に取り付ける際は、紫外線照射カートリッジ30の第2流通部31aを管路5に挿入すればよい。微生物不活性化カートリッジ10を本体2から取り外す際は、紫外線照射カートリッジ30の第2流通部31aを管路5から抜けばよい。なお、紫外線照射カートリッジ30の第2流通部31aと管路5は、直接接続せず、紫外線照射カートリッジ30の第2流通部31aと管路5の間にアダプター等を用いて間接的に接続してもよい。
【0036】
図4に示す第2実施形態の微生物不活性化装置1は、紫外線照射カートリッジ30の第2流通部31aから空気を吸入する。吸入された空気の微生物は、活性炭カートリッジ20の活性炭保持部22に捕捉される。微生物が捕捉された後の空気は、活性炭保持部22を通過して、第1流通部21bから本体2の管路5へ排出される。活性炭保持部22に捕捉された微生物は、紫外線照射カートリッジ30の紫外線ユニット33から照射された紫外線によって不活性化される。
【0037】
このように、第2実施形態の微生物不活性化装置1は、本体2に対して微生物不活性化カートリッジ10を誤って逆向きに取り付けたとしても使用可能なので、ストレス無く安心して取り付けることができる。
【0038】
図5は、第3実施形態の微生物不活性化装置1の断面図を示す。
【0039】
第1実施形態の微生物不活性化装置1は、マスク101及びチューブ102を用いて患者等の呼気内のウイルス又は細菌等を不活性化する例であるが、この例に限らず、病院の室内等の広い空間の空気に用いられてもよい。第3実施形態の微生物不活性化装置1は、マスク101及びチューブ102を用いず、広い第2流通部31aを用いて多くの空気を吸入する構造としたものである。
【0040】
このように、第3実施形態の微生物不活性化装置1は、広い空間に含まれるウイルス又は細菌等の微生物を大幅に不活性化した後、排出することもできる。したがって、広い空間での人々の感染リスクを低減することができる。なお、図4に示した第2実施形態も第1流通部21bを広くして、多くの空気を吸入する構造とし、同様の効果を有するものとしてよい。
【0041】
また、活性炭用ケース21、活性炭保持部22、及び、紫外線用ケース31の形状は、他の形状でもよい。例えば、図5に示したように、活性炭用ケース21を活性炭保持部22にあわせた円錐側面状に形成し、先端に第1流通部21bを形成してもよい。この場合、紫外線用ケース31は、活性炭用ケース21の開口部21a側を保持する構造としてもよく、活性炭用ケース21を覆うような別体の蓋を設けてもよい。
【0042】
さらに、紫外線ユニット33の光源は、複数でもよい。光源を複数用いる場合、活性炭保持部22に効率的に照射できるように配置することが好ましい。
【0043】
図6は本実施形態の微生物不活性化装置1に設置可能な追加カートリッジ40,50,60を示す。
【0044】
図6(a)は、ヘリカル型追加カートリッジ40を示す。ヘリカル型追加カートリッジ40は、螺旋状の通路が形成されており、通路の壁面に活性炭を付着させる。ヘリカル型追加カートリッジ40は、第1接続部42を図1に示したチューブ102に接続し、第2接続部43を微生物不活性化カートリッジ10の第1流通部21b又は第2流通部31aに接続し、使用すればよい。
【0045】
図6(b)は、巻貝型追加カートリッジ50を示す。巻貝型追加カートリッジ50は、巻貝状の通路が形成されており、通路の壁面に活性炭を付着させる。巻貝型追加カートリッジ40は、第1接続部52を図1に示したチューブ102に接続し、第2接続部53を微生物不活性化カートリッジ10の第1流通部21b又は第2流通部31aに接続し、使用すればよい。
【0046】
図6(c)は、ベルヌーイ型追加カートリッジ60を示す。ベルヌーイ型追加カートリッジ60は、ベルヌーイの定理によって流速を向上させるように通路が形成されており、通路の壁面に活性炭を付着させる。ベルヌーイ型追加カートリッジ60は、第1接続部62を図1に示したチューブ102に接続し、第2接続部63を微生物不活性化カートリッジ10の第1流通部21b又は第2流通部31aに接続し、使用すればよい。
【0047】
このように、微生物不活性化装置1は、追加カートリッジ40,50,60を設置することができるので、より多くの微生物を捕獲することができる。
【0048】
以上、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、活性炭を保持する活性炭カートリッジ20と、活性炭カートリッジ20が保持する活性炭に紫外線を照射する紫外線照射カートリッジ30と、を備え、活性炭カートリッジ20は、紫外線照射カートリッジ30に対して着脱可能に形成され、活性炭カートリッジ20に保持される活性炭は、直径80nm以上120nm以下に細孔制御される。したがって、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、小型でありながら、効率的に微生物を不活性化することができ、多くの微生物を捕獲することができる。特に、ウイルスのサイズは、約80nm以上120nm以下であるので、ウイルスの吸着量を増大させることができる。
【0049】
また、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、活性炭カートリッジ20に保持される活性炭は、表面に溝が形成される。したがって、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、小型でありながら、多くの微生物を捕獲することができる。
【0050】
また、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、一方端に開口部21aが形成され、他方端から空気を排出する活性炭用ケース21と、開口部21aから挿入され活性炭を保持する活性炭保持部22と、を有し、紫外線照射カートリッジ30は、一方端から空気が流入し、他方端に開口部31bが形成される紫外線用ケース31と、紫外線用ケース31の一方端の内側に設置されるユニット保持部32と、ユニット保持部32に保持される紫外線ユニット33と、を備える。したがって、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、活性炭カートリッジ20と紫外線照射カートリッジ30の構造をコンパクトにまとめることができる。
【0051】
また、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、活性炭保持部22は、一方端側から他方端側に向けて小径となる円錐の側面形状を有する。したがって、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、多くの微生物を捕獲することができる。多くの微生物を捕獲することができる。
【0052】
また、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10では、紫外線ユニットは、先端に設置され紫外線を拡散及び整形させる拡散部を有する。したがって、本実施形態の微生物不活性化カートリッジ10は、活性炭保持部22の活性炭に効率的に紫外線を照射することができる。
【0053】
また、本実施形態の微生物不活性化装置100は、前記微生物不活性化カートリッジ10と、微生物不活性化カートリッジ10を着脱可能な本体2と、本体2内に収納され電力を供給する電源3と、本体2内に収納され電源3により駆動するポンプ4と、本体2内に収納されポンプ4を介して微生物不活性化カートリッジ10から送られた空気を外部に排出する管路5と、を備える。したがって、本実施形態の微生物不活性化装置100は、小型でありながら、効率的に微生物を不活性化することができる。
【0054】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…微生物不活性化装置、2…本体、3…電源、4…ポンプ、5…管路、
10…微生物不活性化カートリッジ、
20…活性炭カートリッジ、21…活性炭用ケース、22…活性炭保持部、23…フィルタ、
30…紫外線カートリッジ、31…紫外線用ケース、32…ユニット保持部、33…紫外線ユニット
【要約】

【課題】 小型でありながら、効率的に微生物を不活性化させ、ウイルスの吸着量を増大する微生物不活性化カートリッジ及び微生物不活性化装置を提供する。
【解決手段】 微生物不活性化カートリッジ1は、活性炭を保持する活性炭カートリッジ20と、活性炭カートリッジ20が保持する活性炭に紫外線を照射する紫外線照射カートリッジ30と、を備え、活性炭カートリッジ20は、紫外線照射カートリッジ30に対して着脱可能に形成され、活性炭カートリッジ20に保持される活性炭は、直径80nm以上120nm以下に細孔制御されることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6