(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】マーカ保持体、マーカ敷設方法および制御方法
(51)【国際特許分類】
E01F 11/00 20060101AFI20230426BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230426BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20230426BHJP
【FI】
E01F11/00
G08G1/00 X
G05D1/02 A
(21)【出願番号】P 2019116774
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 道治
(72)【発明者】
【氏名】中田 正明
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141869(WO,A1)
【文献】特開2000-355914(JP,A)
【文献】米国特許第04685824(US,A)
【文献】特開平05-265543(JP,A)
【文献】米国特許第04925335(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0229265(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
G08G 1/00
E01F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走路に敷設されるマーカを保持するマーカ保持体であって、
間隔を空けて前記マーカを保持する保持部材を含み、
該保持部材は、
多層構造をなす連続シート状のテープであって、前記走路に前記マーカを敷設する施工の際、前記マーカを保持する状態で
前記走路をなす路面に接合される接合面を備え
、
前記マーカは、小片シート状をなしていると共に、多層構造をなす前記保持部材の層間に保持されているマーカ保持体。
【請求項2】
請求項1において、前記保持部材は
、前記接合面とは反対側の表面には防滑構造が設けられているマーカ保持体。
【請求項3】
請求項1
または2において、入射した電磁波の少なくとも一部を再起反射する反射部が、前記マーカに対応する位置に設けられているマーカ保持体。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項において、前記マーカは、磁気を発生する磁気マーカであるマーカ保持体。
【請求項5】
請求項1
または2において、前記マーカは、磁気を発生する磁気マーカ
であって、当該マーカは、酸化鉄を主原料とすると共に、入射した電磁波の少なくとも一部を再起反射する反射部としての粒状物が分散配置された磁石であるマーカ保持体。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項において、前記多層構造をなす保持部材のうちのいずれかの層と前記マーカとの間に、シート状のRFIDタグが配設されているマーカ保持体。
【請求項7】
請求項3において、前記保持部材の層のうち、前記接合面とは反対側にあって前記マーカを覆う層は、電磁気的な透明あるいは半透明の層であって、前記マーカの表面には、前記反射部としての反射シートが積層されているマーカ保持体。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項において、前記接合面には接着剤が配設されているマーカ保持体。
【請求項9】
車両の走路にマーカを敷設するための方法であって、
間隔を空けて前記マーカを保持する保持部材を含む請求項1~
8のいずれか1項に記載のマーカ保持体を取り扱い、
前記マーカを保持する状態の前記保持部材を、走路をなす路面に接合することで前記マーカを敷設するマーカ敷設方法。
【請求項10】
車両の走路に敷設されたマーカを利用して自動操舵により車両を走行させるための制御方法であって、
前記マーカは、間隔を空けて前記マーカを保持する保持部材を含む請求項3または5に記載のマーカ保持体を、走路をなす路面に接合することで敷設され、
車両の前方のマーカを電磁気的に検出することで前方の走路の形状を把握する処理と、
前方の走路の形状に応じて車両を自動操舵する処理と、
車両の真下に位置するマーカを検出することで当該マーカに対する車両の横ずれ量を計測する処理と、
前記マーカに対する横ずれ量によって車線内の車両の位置を調整する処理と、を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走路に敷設されるマーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より道路用のマーカとして、磁気的に検出可能な磁気マーカが知られている(例えば、特許文献1参照。)。磁気マーカは、例えば、車両に搭載された磁気センサを利用して検出可能である。例えば車線の中央に沿って配列された磁気マーカを利用すれば、自動操舵制御や車線逸脱警報や自動運転などの各種の運転支援を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば全長200kmの高速道路に数m間隔で磁気マーカを配列する場合、1車線当たり数万個に及ぶ磁気マーカを施工する必要があるので、マーカ1個当たりの施工コストを抑える必要がある。
【0005】
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、マーカの施工コストを抑えることが可能なマーカ保持体およびマーカ施工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両が走行する走路に敷設されるマーカを保持するマーカ保持体であって、
間隔を空けて前記マーカを保持する保持部材を含み、
該保持部材は、走路に前記マーカを敷設する施工の際、前記マーカを保持する状態で走路をなす路面に接合される接合面を備えているマーカ保持体にある。
【0007】
また本発明の一態様は、前記一態様のマーカ保持体を取り扱い、車両の走路にマーカを敷設するための方法である。本発明に係るマーカ敷設方法では、マーカを保持する状態の前記保持部材を、走路をなす路面に接合することでマーカを敷設する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るマーカ保持体の保持部材は、間隔を空けてマーカを保持している。この保持部材は、走路をなす路面に対する接合面を有している。マーカを保持する状態の保持部材を路面に接合すれば、効率良くマーカを敷設可能である。
【0009】
このように本発明に係るマーカ保持体及びこのマーカ保持体を利用するマーカ敷設方法は、効率良くマーカを敷設するために有用であり、敷設の際の施工コストの低減に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】マーカテープの長手方向に沿う断面の構造を示す断面図。
【
図6】マーカテープの敷設作業を実施する作業車両の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、道路用の磁気マーカ10を保持するマーカテープ1に関する例である。この内容について、
図1~
図11を用いて説明する。
マーカテープ1(
図1)は、連続シート状のテープの一例であるキャリアテープ11によって複数の磁気マーカ10が保持されたマーカ保持体の一例である。マーカテープ1では、例えば2mの間隔を空けて複数の磁気マーカ10が連続的に保持されている。例えば
図2のように、車両5の走路をなす車線500の中央に沿ってこのマーカテープ1を貼り付けて接合すれば、車線500に沿って2m間隔で磁気マーカ10を敷設できる。マーカテープ1では、施工の際、磁気マーカ10の間隔である2mを計測等する必要性が少ない。マーカテープ1を路面50に接合するだけで、隣り合う磁気マーカ10の2mの間隔を精度高く実現できる。
【0012】
保持部材の一例をなすキャリアテープ11(
図1、
図2)は、幅200mm厚さ1mmポリエチレン製の連続シートである。キャリアテープ11の材質は、ポリエチレンのほか、ポリエステル、ナイロン、ガラスクロス等であっても良い。キャリアテープ11の裏側の表面は、磁気マーカ10の保持面であると共に、路面50に対する接合面115になっている。
【0013】
磁気マーカ10が路面50側となるようにマーカテープ1を施工すれば、キャリアテープ11により磁気マーカ10を保護でき、磁気マーカ10の耐久性を向上できる。なお、マーカテープ1を路面50に接合する際の接着剤として、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤を利用できるほか、溶融状態のアスファルトを利用することも良い。
【0014】
キャリアテープ11では、接合面115の反対側の表面側に、細かい砂利や砂などの滑り止め骨材111Bが混入する樹脂材料の層である防滑層111が形成されている(
図3)。防滑層111の基材をなす樹脂材料としては、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等の樹脂材料のほか、アスファルトなどの高分子材料を採用しても良い。防滑層111が形成されたキャリアテープ11の表面は、凸凹の防滑面110になっている。防滑構造の一例をなす凸凹の防滑面110によれば、車両5が走行する際のタイヤのグリップ力を向上できる。
【0015】
磁気マーカ10(
図1~
図4)は、車両が走行する走路に敷設されるマーカの一例である。磁気マーカ10は、例えば等方性フェライトマグネットなどの磁石がシート状に形成された磁石シートである。磁気マーカ10は、直径100mm、厚さ1.5mmの円形シート状を呈する。
【0016】
磁気マーカ10は、例えば、等方性フェライトラバーマグネットよりなる大判シート状の中間シート(図示略)を得た後、打ち抜き加工により円形状を打ち抜いて作製できる。磁気マーカ10の外周は、打ち抜きの際の切断面のままであっても良い。一般に、酸化鉄を主原料とするフェライトラバーマグネットは、酸化等による劣化のおそれが少なく、切断面に保護層やコーティング層を設ける必要性が少ないからである。
【0017】
次に、マーカテープ1の作製方法、マーカテープ1を利用した磁気マーカ10の敷設方法の一例を説明する。
(マーカテープの作製方法)
マーカテープ1は、例えば
図5の作製装置3を用いて作製可能である。作製装置3は、キャリアテープ11を巻回したロール11Rをセットする巻出し軸31と、作業面300にキャリアテープ11を沿わせるガイドローラ35と、キャリアテープ11を巻き取る巻取り軸32と、を備えている。
【0018】
作製装置3では、巻出し軸31にセットされたロール11Rからキャリアテープ11が巻き出され、ガイドローラ35を経由して、キャリアテープ11の先端が巻取り軸32に固定される。キャリアテープ11の表面(接合面115側の表面)に磁気マーカ10を配置する作業中では、作業面300に沿ってキャリアテープ11が一定速度で通過するように巻出し軸31及び巻取り軸32の回転速度が制御される。なお、作製装置3が取り扱うキャリアテープ11は、予め防滑面110が形成されたものであると良い。
【0019】
作製装置3は、作業面300上のキャリアテープ11に対して、略一定の時間間隔で順次、磁気マーカ10を貼り付けることで、マーカテープ1を作製する。磁気マーカ10を保持するマーカテープ1は、巻取り軸32に巻き取られてマーカロール1Rとなる。なお、キャリアテープ11に対する磁気マーカ10の貼り付けには、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等の接着剤を利用できるほか、アスファルトを接着剤として利用しても良い。なお、磁気マーカ10の貼り付けた後のマーカテープ1の接合面115に、接着剤の接着力を高めるプライマーや、接着剤などを塗布等により配設することも良い。
【0020】
(磁気マーカの敷設方法)
マーカテープ1は、例えば
図6の作業車両4により路面50に敷設される。作業車両4は、路面50を洗浄する洗浄装置41、路面50を加熱する加熱装置43、マーカテープ1を路面50に供給する供給装置45、マーカテープ1を路面50に押し付ける加圧装置47等を装備している。この作業車両4では、洗浄装置41、加熱装置43、供給装置45、加圧装置47が、前側から順番に配置されている。
【0021】
作業車両4は、高圧水流を噴射して路面50を洗浄した後(洗浄装置41)、バーナーの火炎により路面50を加熱する(加熱装置43)。作業車両4は、このように路面50を加熱することで、路面50を形成するアスファルトを溶融状態にする。マーカテープ1は、マーカロール1Rから巻き出されて路面50に供給され(供給装置45)、加圧ローラ470により路面50に押し付けられ加圧される(加圧装置47)。このとき、溶融状態のアスファルトが、マーカテープ1を路面50に接合するための接着剤として機能する。
【0022】
なお、加熱装置43に代えて、プライマーを路面50に塗布する装置を採用することも良い。この場合には、マーカテープ1の接合面115に予め接着剤を設けておくと良い。路面に塗布されたプライマーは、接着剤の接着力を高めるために有効である。
【0023】
上記のごとくマーカテープ1では、キャリアテープ11の表面に2m間隔で磁気マーカ10が保持されている。このマーカテープ1を車線500の中央に沿って接合すれば、車線500の中央に沿って2m間隔で磁気マーカ10を敷設できる(
図2参照。)。2m間隔の磁気マーカ10は、例えば、車線逸脱警報や車線維持機能や自動運転などの各種の運転支援に利用できる。マーカテープ1を利用すれば、車線方向における磁気マーカ10の配置間隔の精度確保が容易になる。マーカテープ1では、磁気マーカ10が予め2m間隔でキャリアテープ11に保持されているからである。磁気マーカ10の敷設に当たっては、車線500の幅方向にマーカテープ1を位置合わせすれば良い。
【0024】
以上のように、マーカ保持体の一例をなすマーカテープ1を利用すれば、効率良く磁気マーカ10を敷設でき、磁気マーカ10の施工コストを抑制できる。このマーカテープ1を車線500に沿って接合するだけで、一定の間隔を空けて磁気マーカ10を敷設できる。このマーカテープ1では、路面50と接する側の表面(接合面115)に磁気マーカ10が保持されている。マーカテープ1をなすキャリアテープ11は、磁気マーカ10を保護するシートとして機能するため、磁気マーカ10の耐久性の向上に役立つ。
【0025】
磁気マーカ10とは反対側のマーカテープ1の表面、すなわち路面50となる表面は、車両5のタイヤのグリップ力を高める凸凹の防滑面110(防滑構造の一例)となっている。本例では、滑り止め骨材111Bを含む樹脂よりなる防滑層111の凸凹の表面を、防滑面110として例示している。これに代えて、車幅方向に沿う畝108を設けた防滑面110(
図7)や、くさび形状を呈する畝108が形成された凸凹の防滑面110(
図8)等を、防滑構造として採用することもできる。畝108は、キャリアテープ11の表面に樹脂材料を塗布して形成しても良く、プレス加工等によりキャリアテープ11を変形させて形成しても良い。
【0026】
また、ガラスクロスなどのメッシュ状のシートが表面側に積層されたキャリアテープを採用しても良い。メッシュ状のシートの表面は、凸凹の防滑面になり得る。さらに、メッシュ状のシートの表面に、滑り止め骨材を含有する樹脂材料を塗布することも良い。この場合には、防滑性を一層向上できる。
【0027】
なお、キャリアテープ11と磁気マーカ10との間に、シート状のRFIDタグ(図示略)を挟み込むことも良い。例えば、絶対位置を測定する測位装置、磁気マーカ10を検出する検出装置、RFIDタグの識別情報であるタグIDを読み取るタグリーダ、記憶装置を備える作業車両を、施工後のマーカテープ1に沿って走行させると良い。このとき、磁気マーカ10の絶対位置を測位すると共に、RFIDタグから読み出したタグIDをひも付けて記憶することで、マーカ情報のデータベースを生成すると良い。タグリーダを備える一般の車両は、磁気マーカ10を検出したとき、同時に読み取ったタグIDを利用してデータベースを参照することで、検出した磁気マーカ10の絶対位置などのマーカ情報を取得できる。マーカ情報には、絶対位置の情報のほか、道路の種別情報や、交通情報を含めることも良い。例えば、車両側からアクセス可能なサーバ装置がデータベースを記憶している場合であれば、渋滞情報などのリアルタイムの交通情報をマーカ情報に含めることも良い。
【0028】
本例では、マーカの一例として磁気マーカ10を例示している。マーカとしては、磁気マーカ10のほか、電波を送信する無線タグなどの電波マーカや、カメラによって読み取り可能であって画像処理等により情報を読み取り可能なパターンのマーカであっても良い。あるいは、反射マーカなどのポジションマーカであっても良い。
【0029】
電磁気的に透明あるいは半透明のキャリアテープを採用すると共に、入射した電磁波の少なくとも一部を再起反射する反射部の一例をなす反射シートを磁気マーカの表面に積層することも良い。この場合には、車載ユニットであるライダーユニットやミリ波レーダユニット等を利用して電磁気的に磁気マーカを検出できる。ライダーユニット等によれば、レーダー光を利用して、例えば、車両の前方100m程度までの磁気マーカ10を検出可能である。例えば、前方の磁気マーカ10の配置から前方の車線形状を把握することも良い。磁気センサを備える車両であれば、車両の真下に位置する磁気マーカを磁気的に検出でき、さらに、その磁気マーカに対する車両の横ずれ量を計測できる。例えば、前方の車線形状に応じて車両を自動操舵する一方、磁気マーカに対する横ずれ量によって車線内の車両の位置を調整すれば、自動操舵制御の精度を向上できる。
【0030】
なお、反射シートは、磁気マーカ10とは反対側のキャリアテープ11の表面に貼り付けることも良い。この場合のキャリアテープ11は、電磁気的に透明あるいは半透明でなくても良い。
さらに、反射シートに代えて、再帰反射塗料による塗膜層を反射部の一例として採用しても良い。再帰反射塗料は、例えば、直径数10~100μmの高屈折率のガラスビーズ球が混入された塗料である。この再帰反射塗料による塗膜層を、磁石シート10の表面、あるいはキャリアテープ11の表面に設けると良い。
また、反射部をなす直径数10~100μmの高屈折率のガラスビーズ球が内部に分散配置され、一部のガラスビーズ球が表面に露出している磁気マーカを採用することも良い。
図7や
図8で例示した畝108を樹脂材料により形成するに当たり、磁気マーカ10に対応する位置の畝108のみ、ガラスビーズ球が混入された樹脂材料で形成しても良い。
【0031】
キャリアテープ11の裏側(磁気マーカ10が保持された側)を被うベーステープ12(
図9)を採用することも良い。保持部材の一例をなすベーステープ12は、例えば、キャリアテープ11と同じ幅の連続シート状のテープであっても良い。この場合、多層構造をなすキャリアテープ11とベーステープ12との層間に磁気マーカ10を挟み込んで保持すると良い。
図9のマーカテープ1によれば、施工前の磁気マーカ10の損傷等のおそれを一層低減できると共に、施工後の磁気マーカ10の耐久性を一層向上できる。ベーステープ12に代えて、磁気マーカ10を覆う小片シート状のベースシート(図示略)を採用しても良い。なお、
図9のマーカテープ1では、ベーステープ12の表面が接合面115になる。
【0032】
連続状の布シートをキャリアテープ11(
図10)として採用することも良い。糸や繊維の織物である布シートの表面には、糸などが織り込まれて凸凹が表れている。布シートの凸凹の表面は、キャリアテープ11の凸凹の防滑面110として利用可能である。なお、エポキシ等の樹脂材料を布シートに含浸させたキャリアテープ11であっても良い。
また、連続状の保持部材として、編込みヒモ11Aを採用することも良い(
図11)。編込みヒモ11Aは、編み込みによる凸凹が表面に現れており、この凸凹の表面が防滑面110として機能する。例えば、編込みヒモ11Aの長手方向に間隔を空けて磁気マーカ10を接合してマーカ保持体1を作製できる。なお、磁気マーカに対してヒモを貫通させても良い。編込みヒモ11Aよりも細いヒモを採用しても良い。細いヒモであれば、タイヤのグリップに影響を与えるおそれが少ないので、防滑構造を省略しても良い。伸びの少ないケブラーのヒモを採用することも良い。
【0033】
本例では、キャリアテープ11の表面のうち、路面に対する接合面側の表面に磁気マーカが配置されたマーカテープ1を例示している。キャリアテープ11の反対側の表面に、磁気マーカが配置されたマーカテープであっても良い。この場合、磁気マーカの表面のうち、キャリアテープとは反対側の表面側に防滑層を設けることも良い。また、磁気マーカの表面のうち、キャリアテープとは反対側の表面側に、反射シートを積層したり、再帰反射塗料による塗膜層を形成することも良い。
【0034】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0035】
1 マーカテープ(マーカ保持体)
10 磁気マーカ(マーカ)
11 キャリアテープ(保持部材)
12 ベーステープ(保持部材)
110 防滑面(防滑構造)
115 接合面
3 作製装置
4 作業車両
5 車両
50 路面
500 車線(走路)