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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】レジスト材料及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20230426BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20230426BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230426BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20230426BHJP
   G03F 7/038 20060101ALN20230426BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/20 501
G03F7/20 521
C08F220/10
G03F7/038 601
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020012234
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2020140203
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019033684
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
(72)【発明者】
【氏名】大橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 敬之
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-181697(JP,A)
【文献】特開2014-235432(JP,A)
【文献】特開2020-122957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
C08F 220/10
G03F 7/038
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースポリマー、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する酸発生剤、並びに下記式(A-1)又は(A-2)で表される環式アンモニウムカチオン及びカルボン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、ハロゲン化フェノキシドアニオン又はハロゲン化物アニオンからなる塩化合物を含むクエンチャーを含むレジスト材料。
【化1】
(式中、R1は、単結合、又は炭素数1~30のm価炭化水素基であり、ヒドロキシ基、チオール基、エステル結合、チオエステル結合、チオノエステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アミド結合、スルホニル基、スルホン酸エステル結合、スルトン環、ラクタム環及びカーボネート基から選ばれる少なくとも1種を有していてもよいが、芳香環上にヨウ素原子が結合した芳香族基は含まない。
2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、R2とR3とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
4及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~12のアルコキシカルボニル基である。
5は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基又は炭素数6~12のアリール基である。
環Rは、式中の窒素原子とともに構成される炭素数2~10の脂環式基である。
mは、1~6の整数である。)
【請求項2】
下記式(f1)~(f3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含むベースポリマー、並びに下記式(A-1)又は(A-2)で表される環式アンモニウムカチオン及びカルボン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、ハロゲン化フェノキシドアニオン又はハロゲン化物アニオンからなる塩化合物を含むクエンチャーを含むレジスト材料。
【化2】
(式中、R A は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1 は、単結合、フェニレン基、-O-Z 11 -、-C(=O)-O-Z 11 -又は-C(=O)-NH-Z 11 -であり、Z 11 は、炭素数1~6のアルカンジイル基若しくは炭素数2~6のアルケンジイル基、又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2 は、単結合、-Z 21 -C(=O)-O-、-Z 21 -O-又は-Z 21 -O-C(=O)-であり、Z 21 は、炭素数1~12のアルカンジイル基であり、カルボニル基、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい。
3 は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、-O-Z 31 -、-C(=O)-O-Z 31 -又は-C(=O)-NH-Z 31 -であり、Z 31 は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
21 ~R 28 は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。また、R 23 、R 24 及びR 25 のいずれか2つが又はR 26 、R 27 及びR 28 のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
Aは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。
- は、非求核性対向イオンである。)
【化3】
(式中、R 1 は、単結合、又は炭素数1~30のm価炭化水素基であり、ヒドロキシ基、チオール基、エステル結合、チオエステル結合、チオノエステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アミド結合、スルホニル基、スルホン酸エステル結合、スルトン環、ラクタム環及びカーボネート基から選ばれる少なくとも1種を有していてもよいが、芳香環上にヨウ素原子が結合した芳香族基は含まない。
2 及びR 3 は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、R 2 とR 3 とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
4 及びR 6 は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~12のアルコキシカルボニル基である。
5 は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基又は炭素数6~12のアリール基である。
環Rは、式中の窒素原子とともに構成される炭素数2~10の脂環式基である。
mは、1~6の整数である。)
【請求項3】
前記カルボン酸アニオンが、下記式(B-1)又は(B-2)で表されるものであり、スルホンアミドアニオンが下記式(B-3)で表されるものであり、ハロゲン化フェノキシドアニオンが下記式(B-4)で表されるものである請求項1又は2記載のレジスト材料。
【化4】
(式中、R7は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価炭化水素基である。
8は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の2価炭化水素基である。
9Aは、フッ素原子、炭素数1~10のフッ素化アルキル基又はフッ素化フェニル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。R9Bは、水素原子、又は炭素数1~10の1価炭化水素基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。また、R9AとR9Bとが、互いに結合してこれらが結合する原子と共に環を形成してもよい。
Xは、フッ素原子、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
10は、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~6のアシロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキルスルホニルオキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、-NR10A-C(=O)-R10B又は-NR10A-C(=O)-O-R10Bである。R10Aは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。R10Bは、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基である。
p及びqは、1≦p≦5、0≦q≦3及び1≦p+q≦5を満たす整数である。)
【請求項4】
更に、有機溶剤を含む請求項1~3のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項5】
前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位、又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである請求項1~4のいずれか1項記載のレジスト材料。
【化5】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、酸不安定基である。Y1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y2は、単結合又はエステル結合である。)
【請求項6】
化学増幅ポジ型レジスト材料である請求項5記載のレジスト材料。
【請求項7】
前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものである請求項1~4のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項8】
化学増幅ネガ型レジスト材料である請求項7記載のレジスト材料。
【請求項9】
更に、界面活性剤を含む請求項1~8のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項記載のレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて露光したレジスト膜を現像する工程とを含むパターン形成方法。
【請求項11】
前記高エネルギー線が、波長365nmのi線、波長193nmのArFエキシマレーザー光又は波長248nmのKrFエキシマレーザー光である請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記高エネルギー線が、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線である請求項1記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。特に、スマートフォンの普及によるロジックメモリー市場の拡大が微細化を牽引している。最先端の微細化技術としては、ArF液浸リソグラフィーのダブルパターニングによる10nmノードのデバイスの量産が行われており、次世代には同じくダブルパターニングによる7nmノードの量産準備が進行中である。次次世代の5nmノードとしては、極端紫外線(EUV)リソグラフィーが候補に挙がっている。
【0003】
ロジックデバイスにおいて微細化が進行する一方で、フラッシュメモリーにおいては3D-NANDと呼ばれるゲートが積層されたデバイスとなって、積層数が増えることによって容量が増大している。積層数が増えると、これを加工するためのハードマスクが厚くなり、フォトレジスト膜も厚くなっている。ロジックデバイス向けレジストは薄膜化し、一方3D-NAND向けレジストは厚膜化している。
【0004】
微細化が進行し、光の回折限界に近づくにつれて、光のコントラストが低下してくる。光のコントラストの低下によって、ポジ型レジスト膜においてはホールパターンやトレンチパターンの解像性や、フォーカスマージンの低下が生じる。レジストの厚膜化は、以前の旧世代デバイス用のレジストの膜厚に戻るわけであるが、より一層の寸法均一性が要求されており、以前のフォトレジストでは対応できない。寸法が小さくなることによる光のコントラスト低下によるレジストパターンの解像性低下を防ぐために、あるいはレジスト厚膜化において寸法均一性を向上させるために、レジスト膜の溶解コントラストを向上させる試みが行われている。
【0005】
酸発生剤を添加し、光あるいは電子線(EB)の照射によって酸を発生させて脱保護反応を起こす化学増幅ポジ型レジスト材料、及び酸による極性変化反応又は架橋反応を起こす化学増幅ネガ型レジスト材料にとって、酸の未露光部分への拡散を制御してコントラストを向上させる目的でのクエンチャーの添加は、非常に効果的であった。そのため、多くのアミンクエンチャーが提案された(特許文献1、2)。
【0006】
酸触媒による極性変化を伴うアミンクエンチャーが提案されている。特許文献3では、酸不安定基を有するアミンクエンチャーが提案されている。このものは、窒素原子側にカルボニル基が配置された3級エステルの酸による脱保護反応によってカルボン酸が発生し、アルカリ溶解性が向上するものである。しかしこの場合、窒素原子側の分子量が大きくできないため酸拡散制御能は低いし、コントラストの向上効果は僅かである。特許文献4では、酸によるtert-ブトキシカルボニル基の脱保護反応によってアミノ基が発生するクエンチャーが提案されている。これは、露光によってクエンチャーが発生する機構であり、コントラストを高めるのとは逆効果である。露光若しくは酸によってクエンチャーが消失する機構又はクエンチ能が低下する機構によってコントラストは向上する。特許文献5では、酸によってアミン化合物が環を形成してラクタム構造になるクエンチャーが提案されている。強塩基のアミン化合物が弱塩基のラクタム化合物に変化することによって、酸の活性度が変化してコントラストが向上するものである。
【0007】
ArFレジスト材料用の(メタ)アクリレートポリマーに用いられる酸不安定基は、α位がフッ素で置換されたスルホン酸が発生する光酸発生剤を使うことによって脱保護反応が進行するが、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸やカルボン酸が発生する酸発生剤では脱保護反応が進行しない。α位がフッ素で置換されたスルホン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩に、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩を混合すると、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩は、α位がフッ素で置換されたスルホン酸とイオン交換を起こす。光によって発生したα位がフッ素で置換されたスルホン酸は、イオン交換によってスルホニウム塩やヨードニウム塩に逆戻りするために、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸やカルボン酸のスルホニウム塩やヨードニウム塩はクエンチャーとして機能する。カルボン酸が発生するスルホニウム塩やヨードニウム塩をクエンチャーとして用いるレジスト組成物が提案されている(特許文献6)。
【0008】
スルホニウム塩型及びヨードニウム塩型クエンチャーは、光酸発生剤と同様に光分解性である。つまり、露光部分は、クエンチャーの量が少なくなる。露光部分には酸が発生するので、クエンチャーの量が減ると、相対的に酸の濃度が高くなり、これによってコントラストが向上する。しかしながら、露光部分の酸拡散を抑えることができないため、酸拡散制御が困難になる。
【0009】
スルホニウム塩型及びヨードニウム塩型クエンチャーは、波長193nmの光を吸収するため、スルホニウム塩型及びヨードニウム塩型酸発生剤と併用するとレジスト膜の前記光の透過率が低下する。これによって、特に膜厚が100nm以上のレジスト膜においては、現像後のパターンの断面形状がテーパー形状となる。膜厚100nm以上、特に150nm以上のレジスト膜においては、高透明なクエンチャーが必要である。
【0010】
酸の拡散を抑えるために露光後のベーク(PEB)温度を下げることは効果的である。しかしながら、この場合、溶解コントラストが低下するため、これによる解像性やエッジラフネス(LWR)の劣化が発生する。酸の拡散が抑えられ、かつ高いコントラストを発現する新しいコンセプトのレジスト材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2001-194776号公報
【文献】特開2002-226470号公報
【文献】特開2002-363148号公報
【文献】特開2001-166476号公報
【文献】特開2012-137729号公報
【文献】国際公開第2008/066011号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
酸を触媒とする化学増幅レジスト材料において、ラインパターンのLWRやホールパターンの寸法均一性(CDU)を低減させることが可能で、かつ感度も向上させることができるクエンチャーの開発が望まれている。このためには、酸の拡散距離を一段と小さくして、同時にコントラストを向上させる必要があり、相反する特性の両方を向上させる必要がある。
【0013】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、ポジ型レジスト材料においてもネガ型レジスト材料においても、高感度かつLWRやCDUが小さいレジスト材料、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、3級エステル構造を有する環式アンモニウム塩化合物をクエンチャーとして用いることによって、LWR及びCDUが小さく、コントラストが高く解像性に優れ、プロセスマージンが広いレジスト材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
したがって、本発明は、下記レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
1.ベースポリマー、並びに下記式(A-1)又は(A-2)で表される環式アンモニウムカチオン及びカルボン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、ハロゲン化フェノキシドアニオン又はハロゲン化物アニオンからなる塩化合物を含むクエンチャーを含むレジスト材料。
【化1】
(式中、R1は、単結合、又は炭素数1~30のm価炭化水素基であり、ヒドロキシ基、チオール基、エステル結合、チオエステル結合、チオノエステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アミド結合、スルホニル基、スルホン酸エステル結合、スルトン環、ラクタム環及びカーボネート基から選ばれる少なくとも1種を有していてもよいが、芳香環上にヨウ素原子が結合した芳香族基は含まない。
2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、R2とR3とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
4及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~12のアルコキシカルボニル基である。
5は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基又は炭素数6~12のアリール基である。
環Rは、式中の窒素原子とともに構成される炭素数2~10の脂環式基である。
mは、1~6の整数である。)
2.前記カルボン酸アニオンが、下記式(B-1)又は(B-2)で表されるものであり、スルホンアミドアニオンが下記式(B-3)で表されるものであり、ハロゲン化フェノキシドアニオンが下記式(B-4)で表されるものである1のレジスト材料。
【化2】
(式中、R7は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価炭化水素基である。
8は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の2価炭化水素基である。
9Aは、フッ素原子、炭素数1~10のフッ素化アルキル基又はフッ素化フェニル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。R9Bは、水素原子、又は炭素数1~10の1価炭化水素基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。また、R9AとR9Bとが、互いに結合してこれらが結合する原子と共に環を形成してもよい。
Xは、フッ素原子、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
10は、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~6のアシロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキルスルホニルオキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、-NR10A-C(=O)-R10B又は-NR10A-C(=O)-O-R10Bである。R10Aは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。R10Bは、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基である。
p及びqは、1≦p≦5、0≦q≦3及び1≦p+q≦5を満たす整数である。)
3.更に、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する酸発生剤を含む1又は2のレジスト材料。
4.更に、有機溶剤を含む1~3のいずれかのレジスト材料。
5.前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位、又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである1~4のいずれかのレジスト材料。
【化3】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、酸不安定基である。Y1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y2は、単結合又はエステル結合である。)
6.化学増幅ポジ型レジスト材料である5のレジスト材料。
7.前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものである1~4のいずれかのレジスト材料。
8.化学増幅ネガ型レジスト材料である7のレジスト材料。
9.更に、界面活性剤を含む1~8のいずれかのレジスト材料。
10.前記ベースポリマーが、更に、下記式(f1)~(f3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含む1~9のいずれかのレジスト材料。
【化4】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、フェニレン基、-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-又は-C(=O)-NH-Z11-であり、Z11は、炭素数1~6のアルカンジイル基若しくは炭素数2~6のアルケンジイル基、又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2は、単結合、-Z21-C(=O)-O-、-Z21-O-又は-Z21-O-C(=O)-であり、Z21は、炭素数1~12のアルカンジイル基であり、カルボニル基、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい。
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-であり、Z31は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
21~R28は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。また、R23、R24及びR25のいずれか2つが又はR26、R27及びR28のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
Aは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。
-は、非求核性対向イオンである。)
11.1~10のいずれかのレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて露光したレジスト膜を現像する工程とを含むパターン形成方法。
12.前記高エネルギー線が、波長365nmのi線、波長193nmのArFエキシマレーザー光又は波長248nmのKrFエキシマレーザー光である11のパターン形成方法。
13.前記高エネルギー線が、EB又は波長3~15nmのEUVである11のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0016】
前記環式アンモニウム塩化合物は、窒素原子を有している酸拡散を抑えるクエンチャーである。更に、酸分解性の3級エステル構造を有しているので、露光部分は酸によって分解し、分子量の小さい環式アンモニウム塩化合物に変化する。これによって、露光部分の酸の活性度が向上し、コントラストを向上させることができる。これによって、低拡散で高コントラスト感度を向上させ、かつLWRやCDUを小さくすることが可能である。これらによって、高感度、低LWRかつ低CDUのレジスト材料を構築することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、ベースポリマー、及び3級エステル構造を有する環式アンモニウム塩化合物を含むクエンチャーを含む。
【0018】
[3級エステル構造を有する環式アンモニウム塩化合物]
前記3級エステル構造を有する環式アンモニウム塩化合物は、下記式(A-1)又は(A-2)で表される環式アンモニウムカチオン、及びカルボン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、ハロゲン化フェノキシドアニオン又はハロゲン化物アニオンからなるものである。
【化5】
【0019】
式(A-1)及び(A-2)中、R1は、単結合、又は炭素数1~30のm価炭化水素基であり、ヒドロキシ基、チオール基、エステル結合、チオエステル結合、チオノエステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アミド結合、スルホニル基、スルホン酸エステル結合、スルトン環、ラクタム環及びカーボネート基から選ばれる少なくとも1種を有していてもよいが、芳香環上にヨウ素原子が結合した芳香族基は含まない。
【0020】
前記m価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。前記m価炭化水素基としては、炭素数1~30のアルカン、炭素数2~30のアルケン、炭素数2~30のアルキン、炭素数3~30の環式飽和炭化水素、炭素数3~30の環式不飽和炭化水素、炭素数6~30の芳香族炭化水素等の炭化水素から、m個の水素原子が脱離して得られる基が挙げられる。
【0021】
式(A-1)及び(A-2)中、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、R2とR3とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R4及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~12のアルコキシカルボニル基である。R5は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基又は炭素数6~12のアリール基である。
【0022】
前記炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。前記直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。
【0023】
前記直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~12のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、n-ウンデシルオキシカルボニル基、n-ドデシルオキシカルボニル基、n-トリデシルオキシカルボニル基、n-ペンタデシルオキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、1-プロペニルオキシカルボニル基、2-プロペニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0024】
前記炭素数2~6のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。前記炭素数2~6のアルキニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。前記炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
【0025】
これらのうち、R2及びR3としては、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。R5としては、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基が好ましい。R4及びR6としては、水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~6のアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0026】
式(A-1)及び(A-2)中、環Rは、式中の窒素原子とともに構成される炭素数2~10の脂環式基である。このような脂環式基としては、シクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン等の環式炭化水素の1つの炭素原子が窒素原子で置換された構造を有する基が挙げられる。
【0027】
式(A-1)及び(A-2)中、mは、1~6の整数であるが、1~4の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
【0028】
式(A-1)で表されるカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】
【化20】
【0043】
【化21】
【0044】
【化22】
【0045】
【化23】
【0046】
【化24】
【0047】
【化25】
【0048】
【化26】
【0049】
【化27】
【0050】
【化28】
【0051】
【化29】
【0052】
【化30】
【0053】
【化31】
【0054】
【化32】
【0055】
【化33】
【0056】
【化34】
【0057】
【化35】
【0058】
【化36】
【0059】
【化37】
【0060】
【化38】
【0061】
【化39】
【0062】
【化40】
【0063】
【化41】
【0064】
【化42】
【0065】
【化43】
【0066】
【化44】
【0067】
【化45】
【0068】
【化46】
【0069】
【化47】
【0070】
【化48】
【0071】
【化49】
【0072】
【化50】
【0073】
【化51】
【0074】
【化52】
【0075】
【化53】
【0076】
式(A-2)で表されるカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化54】
【0077】
【化55】
【0078】
前記環式アンモニウム塩化合物は、アニオンとしてカルボン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、ハロゲン化フェノキシドアニオン又はハロゲン化物アニオンを含む。
【0079】
前記カルボン酸アニオンとしては、下記式(B-1)又は(B-2)で表されるものが好ましい。前記スルホンアミドアニオンとしては、下記式(B-3)で表されるものが好ましい。前記ハロゲン化フェノキシドアニオンとしては、下記式(B-4)で表されるものが好ましい。

【化56】
【0080】
式(B-1)中、R7は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいはこれらの基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、エステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、スルホキシド基、カーボネート基、カーバメート基、スルホン基、アミノ基、アミド結合、ヒドロキシ基、チオール基、ニトロ基、ハロゲン原子等を含んでいてもよい。
【0081】
式(B-2)中、R8は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の2価炭化水素基である。前記2価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~30のアルカンジイル基、炭素数2~30のアルケンジイル基、炭素数2~30のアルキンジイル基、炭素数6~20のアリーレン基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいはこれらの基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、エステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、スルホキシド基、カーボネート基、カーバメート基、スルホン基、アミノ基、アミド結合、ヒドロキシ基、チオール基、ニトロ基、ハロゲン原子等を含んでいてもよい。
【0082】
式(B-3)中、R9Aは、フッ素原子、炭素数1~10のフッ素化アルキル基又はフッ素化フェニル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。R9Bは、水素原子、又は炭素数1~10の1価炭化水素基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。また、R9AとR9Bとが、互いに結合してこれらが結合する原子と共に環を形成してもよい。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基、炭素数6~10のアリール基等が挙げられる。
【0083】
式(B-4)中、Xは、フッ素原子、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。R10は、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~6のアシロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~4のアルキルスルホニルオキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、-NR10A-C(=O)-R10B又は-NR10A-C(=O)-O-R10Bである。R10Aは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。R10Bは、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基である。p及びqは、1≦p≦5、0≦q≦3及び1≦p+q≦5を満たす整数である。
【0084】
10、R10A及びR10Bで表される炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシロキシ基及び炭素数1~4のアルキルスルホニルオキシ基のアルキル部としては、前述したアルキル基のうち、それぞれ炭素数1~6のもの、炭素数1~5のもの及び炭素数1~4のものが挙げられる。
【0085】
10Bで表される炭素数2~8のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0086】
これらのうち、R10としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数2~4のアシロキシ基、-NR10A-C(=O)-R10B又は-NR10A-C(=O)-O-R10B等が好ましい。
【0087】
前記カルボン酸アニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化57】
【0088】
【化58】
【0089】
【化59】
【0090】
【化60】
【0091】
【化61】
【0092】
【化62】
【0093】
【化63】
【0094】
【化64】
【0095】
【化65】
【0096】
【化66】
【0097】
【化67】
【0098】
【化68】
【0099】
【化69】
【0100】
【化70】
【0101】
【化71】
【0102】
【化72】
【0103】
【化73】
【0104】
【化74】
【0105】
【化75】
【0106】
【化76】
【0107】
前記スルホンアミドアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化77】
【0108】
【化78】
【0109】
【化79】
【0110】
【化80】
【0111】
【化81】
【0112】
【化82】
【0113】
【化83】
【0114】
【化84】
【0115】
【化85】
【0116】
【化86】
【0117】
前記ハロゲン化フェノキシドアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化87】
【0118】
【化88】
【0119】
【化89】
【0120】
前記ハロゲン化物アニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
【0121】
前記環式アンモニウム塩化合物は、例えば、カルボン酸クロリド化合物と3級のヒドロキシ基を有するアミン化合物とのエステル化反応により合成された化合物と、カルボン酸化合物又はスルホンアミド化合物との中和反応によって合成することができる。
【0122】
前記環式アンモニウム塩化合物は、レジスト材料中において酸拡散を制御するクエンチャーとして機能するだけでなく、酸分解性の3級エステル基を有しているために、酸によって分解して分子量が小さくなる。アミノ基含有物の分子量が小さくなると、酸拡散能が低下し、酸の反応性が向上する。酸によって前記環式アンモニウム塩化合物の分子量が小さくなるのは、露光領域である。未露光領域は高い酸拡散制御能が保持され、露光領域は酸拡散が向上し、これによって未露光部と露光部の反応性の差が大きくなることによって反応のコントラストが向上する。酸拡散を抑えつつ、コントラストを向上することが可能になる。
【0123】
本発明のレジスト材料中、前記環式アンモニウム塩化合物の含有量は、後述するベースポリマー100質量部に対し、感度と酸拡散抑制効果の点から0.001~50質量部が好ましく、0.01~40質量部がより好ましい。前記環式アンモニウム塩化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0124】
前記環式アンモニウム塩化合物は、酸分解する前の未露光部分においては脂溶性が高いのでアルカリ現像液に溶解しづらく、酸分解後は分子量が小さい環式アンモニウム塩化合物とカルボン酸化合物とに分解してアルカリ溶解性が向上するため、特にアルカリ現像においてその効果を発揮し、すなわち未露光部分ではパターンの膜減りを抑え、露光部分ではパターン底部のスカムの発生を防止する効果がある。特にレジスト膜の膜厚が100nm以上の場合、露光部分でのパターン底部におけるスカム発生防止効果が高い。
【0125】
[ベースポリマー]
本発明のレジスト材料に含まれるベースポリマーは、ポジ型レジスト材料の場合、酸不安定基を含む繰り返し単位を含む。酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記式(a1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1ともいう。)、又は下記式(a2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2ともいう。)が好ましい。
【化90】
【0126】
式(a1)及び(a2)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、酸不安定基である。Y1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y2は、単結合又はエステル結合である。なお、前記ベースポリマーが繰り返し単位a1及び繰り返し単位a2を共に含む場合、R11及びR12は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0127】
繰り返し単位a1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RA及びR11は、前記と同じである。
【化91】
【0128】
繰り返し単位a2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RA及びR12は、前記と同じである。
【化92】
【0129】
式(a1)及び(a2)中、R11及びR12で表される酸不安定基としては、例えば、特開2013-80033号公報、特開2013-83821号公報に記載のものが挙げられる。
【0130】
典型的には、前記酸不安定基としては、下記式(AL-1)~(AL-3)で表されるものが挙げられる。
【化93】
【0131】
式(AL-1)及び(AL-2)中、RL1及びRL2は、それぞれ独立に、炭素数1~40の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~40のアルキル基が好ましく、炭素数1~20のアルキル基がより好ましい。式(AL-1)中、aは、0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
【0132】
式(AL-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0133】
式(AL-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0134】
前記ベースポリマーは、更に、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位bを含んでもよい。繰り返し単位bを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【化94】
【0135】
【化95】
【0136】
【化96】
【0137】
前記ベースポリマーは、更に、他の密着性基として、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、シアノ基、又はカルボキシ基を含む繰り返し単位cを含んでもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【0138】
【化97】
【0139】
【化98】
【0140】
【化99】
【0141】
【化100】
【0142】
【化101】
【0143】
【化102】
【0144】
【化103】
【0145】
【化104】
【0146】
【化105】
【0147】
【化106】
【0148】
前記ベースポリマーは、更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位dを含んでもよい。繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化107】
【0149】
前記ベースポリマーは、更に、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位eを含んでもよい。
【0150】
前記ベースポリマーは、更に、重合性不飽和結合を含むオニウム塩に由来する繰り返し単位fを含んでもよい。好ましい繰り返し単位fとしては、下記式(f1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f1ともいう。)、下記式(f2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f2ともいう。)及び下記式(f3)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f3ともいう。)が挙げられる。なお、繰り返し単位f1~f3は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【化108】
【0151】
式(f1)~(f3)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z1は、単結合、フェニレン基、-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-又は-C(=O)-NH-Z11-であり、Z11は、炭素数1~6のアルカンジイル基若しくは炭素数2~6のアルケンジイル基、又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z2は、単結合、-Z21-C(=O)-O-、-Z21-O-又は-Z21-O-C(=O)-であり、Z21は、炭素数1~12のアルカンジイル基であり、カルボニル基、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい。Aは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。Z3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-であり、Z31は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。なお、前記アルカンジイル基及びアルケンジイル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0152】
式(f1)~(f3)中、R21~R28は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数2~10のアシロキシ基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、カルボニル基、エーテル結合又はエステル結合で置換されていてもよい。また、R23、R24及びR25のいずれか2つが又はR26、R27及びR28のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
【0153】
式(f1)中、M-は、非求核性対向イオンである。前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン、トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン、メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミド酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチド酸イオンが挙げられる。
【0154】
前記非求核性対向イオンとしては、更に、下記式(f1-1)で表されるα位がフッ素で置換されたスルホン酸イオン、下記式(f1-2)で表されるα及びβ位がフッ素で置換されたスルホン酸イオン等が挙げられる。
【化109】
【0155】
式(f1-1)中、R31は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、又は炭素数6~20のアリール基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、ラクトン環又はフッ素原子を含んでいてもよい。前記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0156】
式(f1-2)中、R32は、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアシル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のアリールオキシ基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基又はラクトン環を含んでいてもよい。前記アルキル基、アシル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0157】
繰り返し単位f1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RA及びM-は、前記と同じである。
【化110】
【0158】
繰り返し単位f2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【化111】
【0159】
【化112】
【0160】
【化113】
【0161】
【化114】
【0162】
【化115】
【0163】
繰り返し単位f3を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【化116】
【0164】
【化117】
【0165】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってLWRが改善される。なお、繰り返し単位fを含むベースポリマーを用いる場合、後述する添加型酸発生剤の配合を省略し得る。
【0166】
ポジ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基を含む繰り返し単位a1又はa2を必須とする。この場合、繰り返し単位a1、a2、b、c、d、e及びfの含有比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、0≦b≦0.75、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、a1+a2+b+c+d+e+f=1.0である。
【0167】
一方、ネガ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基は必ずしも必要ではない。このようなベースポリマーとしては、繰り返し単位bを含み、必要に応じて更に繰り返し単位c、d、e及び/又はfを含むものが挙げられる。これらの繰り返し単位の含有比率は、0<b≦1.0、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0.2≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0.3≦b≦1.0、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、b+c+d+e+f=1.0である。
【0168】
前記ベースポリマーを合成するには、例えば、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱し、重合を行えばよい。
【0169】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。重合時の温度は、好ましくは50~80℃である。反応時間は、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~20時間である。
【0170】
ヒドロキシ基を含むモノマーを共重合する場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0171】
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりにアセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後前記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンにしてもよい。
【0172】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~60℃である。反応時間は、好ましくは0.2~100時間、より好ましくは0.5~20時間である。
【0173】
前記ベースポリマーは、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~30,000である。Mwが小さすぎるとレジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じやすくなる。
【0174】
更に、前記ベースポリマーにおいて分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。パターンルールが微細化するに従って、MwやMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、前記ベースポリマーのMw/Mnは、1.0~2.0、特に1.0~1.5と狭分散であることが好ましい。
【0175】
前記ベースポリマーは、組成比率、Mw、Mw/Mnが異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0176】
[酸発生剤]
本発明のレジスト材料は、強酸を発生する酸発生剤(以下、添加型酸発生剤ともいう。)を含んでもよい。ここでいう強酸とは、化学増幅ポジ型レジスト材料の場合はベースポリマーの酸不安定基の脱保護反応を起こすのに十分な酸性度を有している化合物、化学増幅ネガ型レジスト材料の場合は酸による極性変化反応又は架橋反応を起こすのに十分な酸性度を有している化合物を意味する。このような酸発生剤を含むことで、前述した環式アンモニウム塩化合物がクエンチャーとして機能し、本発明のレジスト材料が、化学増幅ポジ型レジスト材料又は化学増幅ネガ型レジスト材料として機能することができる。前記酸発生剤としては、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)が挙げられる。光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいかなるものでも構わないが、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生するものが好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、オキシム-O-スルホネート型酸発生剤等がある。光酸発生剤の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0122]~[0142]に記載されているものが挙げられる。
【0177】
また、光酸発生剤として、下記式(1-1)で表されるスルホニウム塩や、下記式(1-2)で表されるヨードニウム塩も好適に使用できる。
【化118】
【0178】
式(1-1)及び(1-2)中、R101、R102、R103、R104及びR105は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。また、R101、R102及びR103のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、式(f1)~(f3)中のR21~R28の説明において前述したものと同様のものが挙げられる。
【0179】
式(1-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化119】
【0180】
【化120】
【0181】
【化121】
【0182】
【化122】
【0183】
【化123】
【0184】
【化124】
【0185】
【化125】
【0186】
【化126】
【0187】
【化127】
【0188】
【化128】
【0189】
式(1-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化129】
【0190】
式(1-1)及び(1-2)中、X-は、下記式(1A)~(1D)から選ばれるアニオンである。
【化130】
【0191】
式(1A)中、Rfaは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、後述するR107の説明において述べるものと同様のものが挙げられる。
【0192】
式(1A)で表されるアニオンとしては、下記式(1A')で表されるものが好ましい。
【化131】
【0193】
式(1A')中、R106は、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R107は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~38の1価炭化水素基を表す。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が好ましく、酸素原子がより好ましい。前記1価炭化水素基としては、微細パターン形成において高解像性を得る点から、特に炭素数6~30であるものが好ましい。
【0194】
前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、イコサニル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基等の1価飽和環状脂肪族炭化水素基;アリル基、3-シクロヘキセニル基等の1価不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。また、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基として、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基、3-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいはこれらの基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0195】
式(1A')で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2007-145797号公報、特開2008-106045号公報、特開2009-7327号公報、特開2009-258695号公報等に詳しい。また、特開2010-215608号公報、特開2012-41320号公報、特開2012-106986号公報、特開2012-153644号公報等に記載のスルホニウム塩も好適に用いられる。
【0196】
式(1A)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Acはアセチル基である。
【化132】
【0197】
【化133】
【0198】
【化134】
【0199】
【化135】
【0200】
式(1B)中、Rfb1及びRfb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基を表す。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、前記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。Rfb1及びRfb2として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfb1とRfb2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-N--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、この場合、Rfb1とRfb2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0201】
式(1C)中、Rfc1、Rfc2及びRfc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、前記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。Rfc1、Rfc2及びRfc3として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfc1とRfc2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-C--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、この場合、Rfc1とRfc2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0202】
式(1D)中、Rfdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、前記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0203】
式(1D)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2010-215608号公報及び特開2014-133723号公報に詳しい。
【0204】
式(1D)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化136】
【0205】
なお、式(1D)で表されるアニオンを含む光酸発生剤は、スルホ基のα位にフッ素は有していないが、β位に2つのトリフルオロメチル基を有していることに起因して、レジストポリマー中の酸不安定基を切断するには十分な酸性度を有している。そのため、光酸発生剤として使用することができる。
【0206】
光酸発生剤として、下記式(2)で表されるものも好適に使用できる。
【化137】
【0207】
式(2)中、R201及びR202は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価炭化水素基である。R203は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の2価炭化水素基である。また、R201、R202及びR203のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。LAは、単結合、エーテル結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の2価炭化水素基である。XA、XB、XC及びXDは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。ただし、XA、XB、XC及びXDのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。kは、0~3の整数である。
【0208】
前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等の1価飽和環状炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0209】
前記2価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基等の直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基;シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の2価飽和環状炭化水素基;フェニレン基、ナフチレン基等の2価不飽和環状炭化水素基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基で置換されていてもよく、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、又はこれらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子が好ましい。
【0210】
式(2)で表される光酸発生剤としては、下記式(2')で表されるものが好ましい。
【化138】
【0211】
式(2')中、LAは、前記と同じ。RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R301、R302及びR303は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、前記R107の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。x及びyは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、zは、0~4の整数である。
【0212】
式(2)で表される光酸発生剤としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RHFは前記と同じであり、Meはメチル基である。
【化139】
【0213】
【化140】
【0214】
【化141】
【0215】
前記光酸発生剤のうち、式(1A')又は(1D)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が小さく、かつレジスト溶剤への溶解性にも優れており、特に好ましい。また、式(2')で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が極めて小さく、特に好ましい。
【0216】
本発明のレジスト材料が添加型酸発生剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。前記ベースポリマーが繰り返し単位fを含むことで、及び/又は添加型酸発生剤を含むことで、本発明のレジスト材料は、化学増幅レジスト材料として機能することができる。
【0217】
[有機溶剤]
本発明のレジスト材料には、有機溶剤を配合してもよい。前記有機溶剤としては、前述した各成分及び後述する各成分が溶解可能なものであれば、特に限定されない。このような有機溶剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン等のケトン類、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0218】
本発明のレジスト材料において、前記有機溶剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、100~10,000質量部が好ましく、200~8,000質量部がより好ましい。
【0219】
[その他の成分]
前述した成分に加えて、界面活性剤、溶解阻止剤、架橋剤等を目的に応じて適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記ベースポリマーが触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料とすることができる。この場合、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。
【0220】
前記界面活性剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0165]~[0166]に記載されたものが挙げられる。界面活性剤を添加することによって、レジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明のレジスト材料において、前記界面活性剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.0001~10質量部が好ましい。
【0221】
ポジ型レジスト材料の場合は、溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。前記溶解阻止剤としては、分子量が好ましくは100~1,000、より好ましくは150~800で、かつ分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物の該フェノール性ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として0~100モル%の割合で置換した化合物、又は分子内にカルボキシ基を含む化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として平均50~100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、トリスフェノール、フェノールフタレイン、クレゾールノボラック、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、コール酸のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した化合物等が挙げられ、例えば、特開2008-122932号公報の段落[0155]~[0178]に記載されている。
【0222】
本発明のレジスト材料がポジ型レジスト材料の場合、前記溶解阻止剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましい。前記溶解阻止剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0223】
一方、ネガ型レジスト材料の場合は、架橋剤を添加することによって、露光部の溶解速度を低下させることによりネガティブパターンを得ることができる。前記架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換された、エポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の二重結合を含む化合物等が挙げられる。これらは、添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0224】
前記エポキシ化合物としては、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0225】
前記メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0226】
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0227】
グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0228】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0229】
アジド化合物としては、1,1'-ビフェニル-4,4'-ビスアジド、4,4'-メチリデンビスアジド、4,4'-オキシビスアジド等が挙げられる。
【0230】
アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0231】
本発明のレジスト材料がネガ型レジスト材料の場合、架橋剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。
【0232】
本発明のレジスト材料には、前述した環式アンモニウム塩化合物以外のクエンチャー(以下、その他のクエンチャーという。)を配合してもよい。前記クエンチャーとしては、従来型の塩基性化合物が挙げられる。従来型の塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。特に、特開2008-111103号公報の段落[0146]~[0164]に記載の第1級、第2級、第3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物等が好ましい。このような塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を更に抑制したり、形状を補正したりすることができる。
【0233】
また、その他のクエンチャーとして、特開2008-158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸の、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸は、カルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるために必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸又はカルボン酸が放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸は脱保護反応を起こさないために、クエンチャーとして機能する。
【0234】
その他のクエンチャーとしては、更に、特開2008-239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーが挙げられる。これは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0235】
本発明のレジスト材料において、その他のクエンチャーの含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましく、0~4質量部がより好ましい。クエンチャーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0236】
本発明のレジスト材料には、スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための撥水性向上剤を配合してもよい。前記撥水性向上剤は、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。前記撥水性向上剤としては、フッ化アルキル基を含む高分子化合物、特定構造の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を含む高分子化合物等が好ましく、特開2007-297590号公報、特開2008-111103号公報等に例示されているものがより好ましい。前記撥水性向上剤は、アルカリ現像液や有機溶剤現像液に溶解する必要がある。前述した特定の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を含む繰り返し単位を含む高分子化合物は、ポストエクスポージャーベーク(PEB)中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明のレジスト材料において、撥水性向上剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。
【0237】
本発明のレジスト材料には、アセチレンアルコール類を配合することもできる。前記アセチレンアルコール類としては、特開2008-122932号公報の段落[0179]~[0182]に記載されたものが挙げられる。本発明のレジスト材料において、アセチレンアルコール類の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましい。
【0238】
[パターン形成方法]
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0239】
例えば、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi2、SiO2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.01~2μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間プリベークし、レジスト膜を形成する。
【0240】
次いで、高エネルギー線を用いて、前記レジスト膜を露光する。前記高エネルギー線としては、紫外線、遠紫外線、EB、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等が挙げられる。前記高エネルギー線として紫外線、遠紫外線、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等を用いる場合は、目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量が好ましくは1~200mJ/cm2程度、より好ましくは10~100mJ/cm2程度となるように照射する。高エネルギー線としてEBを用いる場合は、露光量が好ましくは0.1~100μC/cm2程度、より好ましくは0.5~50μC/cm2程度で目的のパターンを形成するためのマスクを用いて又は直接描画する。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でもKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、EB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに好適であり、特にEB又はEUVによる微細パターニングに好適である。
【0241】
露光後、ホットプレート上又はオーブン中で、好ましくは30~150℃、10秒~30分間、より好ましくは50~120℃、30秒~20分間PEBを行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0242】
露光後又はPEB後、ポジ型レジスト材料の場合は、0.1~10質量%、好ましくは2~5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒~3分間、好ましくは5秒~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。ネガ型レジスト材料の場合はポジ型レジスト材料の場合とは逆であり、すなわち光を照射した部分は現像液に不溶化し、露光されなかった部分は溶解する。
【0243】
酸不安定基を含むベースポリマーを含むポジ型レジスト材料を用いて、有機溶剤現像によってネガティブパターンを得ることもできる。このときに用いる現像液としては、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2-フェニルエチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0244】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3~10のアルコール、炭素数8~12のエーテル化合物、炭素数6~12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0245】
具体的に、炭素数3~10のアルコールとしては、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、tert-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール等が挙げられる。
【0246】
炭素数8~12のエーテル化合物としては、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ-sec-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-ペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0247】
炭素数6~12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6~12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6~12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
【0248】
芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
【0249】
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0250】
現像後のホールパターンやトレンチパターンを、サーマルフロー、RELACS技術又はDSA技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト層からの酸触媒の拡散によってレジストの表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~170℃であり、時間は、好ましくは10~300秒であり、余分なシュリンク剤を除去しホールパターンを縮小させる。
【実施例
【0251】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0252】
レジスト材料に用いたクエンチャー1~35の構造を以下に示す。クエンチャー1~35は、カルボキシ基を有する化合物及び3級ヒドロキシ基を有するアミノ化合物のエステル化によって得られた化合物と、カルボン酸化合物又はスルホンアミド化合物とを混合することによって合成した。
【化142】
【0253】
【化143】
【0254】
【化144】
【0255】
【化145】
【0256】
【化146】
【0257】
[合成例]ベースポリマー(ポリマー1~3)の合成
各モノマーを組み合わせて、溶剤であるTHF中で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後、単離、乾燥して、以下に示す組成のベースポリマー(ポリマー1~3)を得た。得られたベースポリマーの組成は1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPC(溶剤:THF、標準:ポリスチレン)により確認した。
【化147】
【0258】
[実施例1-1~1-31、比較例1-1~1-6]
(1)レジスト材料の調製
界面活性剤としてオムノバ社製Polyfox636を100ppm溶解させた溶剤に、表1~3に示される組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料を調製した。
【0259】
表1~3中、各成分は、以下のとおりである。
・有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0260】
・酸発生剤:PAG1、PAG2(下記構造式参照)
【化148】
【0261】
・撥水剤ポリマー:撥水剤ポリマー1(下記構造式参照)
【化149】
【0262】
・比較クエンチャー1~6(下記構造式参照)
【化150】
【0263】
(2)ArF液浸露光評価
表1~3に示す各レジスト材料を、日産化学工業(株)製反射防止膜ARC-29Aを78nmの膜厚で成膜したシリコンウエハー上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、膜厚300nmのレジスト膜を形成した。これをArF液浸エキシマレーザースキャナー((株)ニコン製NSR-S610C、NA1.00、σ0.98/0.78、輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて、ウエハー上寸法が100nmホール、300nmピッチのマスクを用いて露光を行った。なお、液浸液としては水を用いた。露光後、表1~3に記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行い、寸法が100nm、300nmピッチのホールパターンを形成した。
(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(CG4000)を用いて、ホール寸法が100nmで形成されるときの露光量を測定し、これを感度とした。また、50個のホールパターンの寸法を測定し、寸法バラツキ(CDU、3σ)を求めた。結果を表1~3に併記する。
【0264】
【表1】
【0265】
【表2】
【0266】
【表3】
【0267】
[実施例2~1~2-8、比較例2-1~2-3]
(1)レジスト材料の調製
界面活性剤としてオムノバ社製Polyfox636を100ppm溶解させた溶剤に、表4に示される組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料を調製した。なお、表4中、PAG3、添加クエンチャー1及び2は以下のとおりであり、DAAはジアセトンアルコールであり、その他の成分は、前述のとおりである。
【化151】
【0268】
【化152】
【0269】
(2)EUV露光評価
表4に示す各レジスト材料を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を膜厚20nmで成膜したSi基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークし、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。これを、ASML社製EUVスキャナーNXE3300(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ46nm、+20%バイアスのホールパターンのマスク)を用いて露光し、ホットプレート上で表4記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行い、実施例2-1~2-7、比較例2-1及び2-2では寸法23nmのホールパターンを、実施例2-8及び比較例2-3ではドットパターンを形成した。
(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(CG5000)を用いて、ホール又はドット寸法が23nmで形成されるときの露光量を測定し、これを感度とした。また、50個のホールパターン又はドットパターンの寸法を測定し、寸法バラツキ(CDU、3σ)を求めた。結果を表4に併記する。
【0270】
【表4】
【0271】
表1~4に示した結果より、3級エステル構造を有する環式アンモニウム塩化合物を含む本発明のレジスト材料は、CDUが小さいことがわかった。