(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】周波数共用の判定装置、判定方法および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20230427BHJP
H04W 16/18 20090101ALI20230427BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W16/18
(21)【出願番号】P 2020023393
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 陸
(72)【発明者】
【氏名】村上 友規
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 泰司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 重信
(72)【発明者】
【氏名】安部 功将
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-195363(JP,A)
【文献】特開2014-204182(JP,A)
【文献】特開2012-127747(JP,A)
【文献】国際公開第2014/207934(WO,A1)
【文献】長谷 良裕 外4名,地形を考慮した利用可否判断を行うホワイトスペースデータベース,電子情報通信学会技術研究報告 IEICE Technical Report Vol.113 No.457,2014年02月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次利用されている無線信号の周波数の二次利用の可否を判定する周波数共用の判定装置において、
二次利用者の無線信号を送信する装置の設置位置を中心とした予め決められた間隔の環状線、または推定された二次利用者の無線信号の受信レベルの等高線と、前記中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔の放射線との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域に含まれる交点をセンシング地点として決定する決定部と、
前記センシング地点毎に測定された一次利用者の受信レベルに対する前記センシング地点毎に推定された二次利用者の受信レベルの比率が全ての前記センシング地点で予め決められた判定閾値以下の場合に、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用が可能と判定する判定部と
を有することを特徴とする周波数共用の判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の周波数共用の判定装置において、
前記決定部は、前記センシング地点を決定するときに、推定された二次利用者の受信レベルの分散が予め決められた範囲より大きい場合は前記環状線の間隔および前記放射線の角度間隔の少なくとも一方を小さくし、前記分散が前記範囲より小さい場合は前記環状線の間隔および前記放射線の角度間隔の少なくとも一方を大きくする
ことを特徴とする周波数共用の判定装置。
【請求項3】
一次利用されている無線信号の周波数の二次利用の可否を判定する周波数共用の判定方法において、
二次利用者の無線信号を送信する装置の設置位置を中心とした予め決められた間隔の環状線、または推定された二次利用者の無線信号の受信レベルの等高線と、前記中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔の放射線との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域に含まれる交点をセンシング地点として決定する決定処理と、
前記センシング地点毎に測定された一次利用者の受信レベルに対する前記センシング地点毎に推定された二次利用者の受信レベルの比率が全ての前記センシング地点で予め決められた判定閾値以下の場合に、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用が可能と判定する判定処理と
を行うことを特徴とする周波数共用の判定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の周波数共用の判定方法において、
前記決定処理では、前記センシング地点を決定するときに、推定された二次利用者の受信レベルの分散が予め決められた範囲より大きい場合は前記環状線の間隔および前記放射線の角度間隔の少なくとも一方を小さくし、前記分散が前記範囲より小さい場合は前記環状線の間隔および前記放射線の角度間隔の少なくとも一方を大きくする
ことを特徴とする周波数共用の判定方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の周波数共用の判定方法で行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする周波数共用の判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用の可否を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットをはじめとする無線端末の急速な普及に伴い、無線ネットワーク上のトラヒック量が急激に増大している。増大する無線トラヒックを収容するために、時空間的に空いている周波数を二次的かつ動的に利用することで、無線容量を増大させる周波数共用技術が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。また、周波数共用については、周波数の一次利用者に干渉を与えないことが大前提であるため、周波数の共用前に干渉を与えうる領域(以下、干渉領域と称する)における一次利用者の無線信号の受信レベル(信号強度や受信電力など)を測定して調査(センシング)する必要がある(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Q.Zhao and B.M.Sadler,"A Survey of Dynamic Spectrum Access," in IEEE Signal Processing Magazine,vol.24,no.3,pp.79-89,May 2007.
【文献】長谷良裕,岩元啓,田代諭拡,鈴木誠,森川博之,“地形を考慮した利用可否判断を行うホワイトスペースデータベース,”信学技報,vol.113,no.457,SR2013-96,pp.1-8,2014年3月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一次利用者と二次利用者とが無線信号の周波数を共用する場合、二次利用者の無線信号が一次利用者の無線信号に与える干渉の影響がないことを確かめるために、干渉領域における一次利用者の無線信号をセンシングして周波数共用の可否を判定する必要がある。非特許文献2では、干渉領域における50mのメッシュの交点の全てをセンシング地点とする手法が記載されている。しかし、干渉領域のメッシュの交点の全てをセンシングして、周波数共用の可否を判定するには時間を要するという課題がある。
【0006】
本発明は、一次利用されている無線信号を二次利用する領域でセンシングして周波数共用の可否を判定する時間を短縮することができる周波数共用の判定装置、判定方法および判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用の可否を判定する周波数共用の判定装置において、二次利用者の無線信号を送信する装置の設置位置を中心とした予め決められた間隔の環状線、または推定された二次利用者の無線信号の受信レベルの等高線と、前記中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔の放射線との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域に含まれる交点をセンシング地点として決定する決定部と、前記センシング地点毎に測定された一次利用者の受信レベルに対する前記センシング地点毎に推定された二次利用者の受信レベルの比率が全ての前記センシング地点で予め決められた判定閾値以下の場合に、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用が可能と判定する判定部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明は、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用の可否を判定する周波数共用の判定方法において、二次利用者の無線信号を送信する装置の設置位置を中心とした予め決められた間隔の環状線、または推定された二次利用者の無線信号の受信レベルの等高線と、前記中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔の放射線との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域に含まれる交点をセンシング地点として決定する決定処理と、前記センシング地点毎に測定された一次利用者の受信レベルに対する前記センシング地点毎に推定された二次利用者の受信レベルの比率が全ての前記センシング地点で予め決められた判定閾値以下の場合に、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用が可能と判定する判定処理とを行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る周波数共用の判定プログラムは、前記判定方法で行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る周波数共用の判定装置、判定方法および判定プログラムは、判定精度への影響を抑えつつセンシング地点の数を削減することにより、一次利用されている無線信号を二次利用する領域でセンシングして周波数共用の可否を判定する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る周波数共用の判定装置の一例を示す図である。
【
図2】センシング地点の第1の決定方法の一例を示す図である。
【
図3】センシング地点の第2の決定方法の一例を示す図である。
【
図4】比較例のセンシング地点の決定方法を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る周波数共用の判定装置が行う処理の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る周波数共用の判定装置が行う処理の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る周波数共用の判定装置、判定方法および判定プログラムの実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る周波数共用の判定装置100の一例を示す。
図1において、判定装置100は、一次利用されている無線信号を二次利用する領域でセンシングして周波数共用の可否を判定する装置である。なお、判定装置100は、専用のハードウェアで構成されてもよいし、予め決められた周波数共用の判定処理を行うプログラムとコンピュータによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0014】
図1において、判定装置100は、干渉データベース101、センシング地点決定部102、測定結果取得部103、DU比(Desired to Undesired signal ratio)計算部104および共用判定部105を有する。
【0015】
干渉データベース101は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶媒体で構成され、二次利用者の無線信号を送信する装置の設置位置、アンテナに関する情報(アンテナ高、指向特性、利得など)、無線信号の送信電力、一次利用者のサービスエリア、二次元または三次元(標高データを含む)の地図情報などの情報が予め記憶されている。また、干渉データベース101には、後述する周波数共用を判定するためのDU比の判定閾値や分散の範囲などの情報が予め記憶されている。
【0016】
センシング地点決定部102は、干渉データベース101の情報に基づいて、二次利用する干渉領域において一次利用されている無線信号をセンシングする地点を決定する処理を行う。なお、センシング地点の決定方法については後で詳しく説明する。ここで、本実施形態では、シミュレーションは、センシング地点決定部102が行うものとするが、後述のDU比計算部104が行ってもよいし、別にシミュレーション部を設けてもよい。なお、シミュレーションは、干渉データベース101に記憶されている情報(二次利用者の無線信号を送信する装置の設置位置、アンテナに関する情報(アンテナ高、指向特性、利得など)、無線信号の送信電力、二次元または三次元(標高データを含む)の地図情報など)に基づいて行われる。例えば特許文献1に記載の方法により、受信レベルの推定が可能である。
【0017】
測定結果取得部103は、センシング地点決定部102が決定したセンシング地点毎の一次利用者の無線信号の受信レベル(信号強度や受信電力など)の測定結果を取得する処理を行う。測定結果は、例えば作業者がセンシング地点に出向いて、スペクトラムアナライザーなどの測定器により受信レベルを測定し、判定装置100に入力される。或いは、複数のセンシング端末を分散して配置しておき、センシング地点に近いセンシング端末から測定結果を取得するようにすれば無人での測定も可能である。なお、この場合、センシング地点に近い(予め設定した範囲内としてもよい)センシング端末が無いときは、当該センシング地点を選択しないようにしてもよい。
【0018】
DU比計算部104は、一次利用者の無線信号の受信レベルU(Undesired signal)に対する二次利用者の無線信号の受信レベルD(Desired signal)の比率(D/U)を計算する処理を行う。ここで、一次利用者の無線信号Uの受信レベルは、センシング地点での実測値を用い、二次利用者の無線信号Dの受信レベルは、シミュレーションなどにより推定したセンシング地点での推定値を用いる。
【0019】
共用判定部105は、DU比計算部104が計算したセンシング地点毎のDU比に基づいて、周波数共用の可否を判定する処理を行う。例えば、共用判定部105は、DU比が全てのセンシング地点において、予め決められた判定閾値以下の場合に、一次利用されている無線信号の周波数の二次利用が可能と判定する。
【0020】
このようにして、周波数共用の判定装置100は、二次利用する干渉領域において一次利用されている無線信号のセンシングを行い、周波数共用の可否を判定することができる。特に、本実施形態では、後述するセンシング地点の決定方法により、センシング地点の数を削減するので、一次利用者の無線信号の測定やDU比の計算などに要する時間を短縮することができる。
【0021】
[センシング地点の決定方法の例]
(1)第1の決定方法:センシング地点の第1の決定方法として、センシング地点決定部102は、二次利用者の無線信号を送信する装置の設置位置を中心とした予め決められた間隔の環状線と、中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔の放射線との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域に含まれる交点をセンシング地点に決定する。
【0022】
図2は、センシング地点の第1の決定方法の一例を示す。
図2において、二次利用者の無線信号を送信する装置201(送信装置201)の設置位置を中心とした間隔aの環状線203-1から203-8と、中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔bの放射線204-1から204-6との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域202に含まれる交点(205-1から205-10)がをセンシング地点に決定される。
【0023】
(2)第2の決定方法:センシング地点の第2の決定方法として、センシング地点決定部102は、シミュレーションなどで推定された二次利用者の無線信号の受信レベルの等高線と、中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔の放射線との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域に含まれる交点をセンシング地点に決定する。
【0024】
図3は、センシング地点の第2の決定方法の一例を示す。
図3において、二次利用者の無線信号を送信する装置201の設置位置を中心とした等高線206-1から206-3と、中心から放射状に延びる予め決められた角度間隔cの放射線207-1から207-4との交点のうち、一次利用者のサービスエリアである干渉領域202に含まれる交点(208-1から208-7)がセンシング地点に決定される。
【0025】
ここで、比較例のセンシング地点の決定方法について説明する。
図4は、比較例のセンシング地点の決定方法を示す。
図4の比較例では、二次利用者の無線信号を送信する装置201の設置位置を原点として、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ50mの間隔でメッシュ状に区切り、メッシュの交点のうち一次利用者のサービスエリアである干渉領域202に含まれる交点(黒丸印)をセンシング地点に決定する。例えば
図4の場合、交点を座標(X,Y)で表すと、座標(2,3)、(2,4)、(2,5)、(3,3)、(3,4)、(3,5)、(4,2)、(4,3)、(4,4)、(4,5)、(5,2)、(5,3)、(5,4)、(5,5)、(6,2)、(6,3)、(6,4)、(6,5)、(7,2)、(7,3)、(7,4)、(7,5)、(8,2)、(8,3)、(8,4)、(9,2)、(9,3)、(9,4)の合計28点がセンシング地点に決定される。
【0026】
このように、比較例のセンシング地点の決定方法は、二次利用者の無線信号を送信する装置201の設置位置の近傍であっても遠方であっても同じ間隔(同じ密度)のセンシング地点が選択される。つまり、比較例のセンシング地点の密度は、(遠方部分での密度)=(近傍部分での密度)の関係にある。これに対して、本実施形態に係る判定装置100は、第1の決定方法および第2の決定方法のいずれにおいても、二次利用者の無線信号を送信する装置201の設置位置の遠方部分でのセンシング地点の数が近傍部分でのセンシング地点の数よりも少なくなっている。つまり、本実施形態に係る判定装置100におけるセンシング地点の密度は、(遠方部分での密度)<(近傍部分での密度)の関係にある。
【0027】
これにより、本実施形態に係る判定装置100では、周波数共用の判定を行うセンシング地点の数が比較例の場合よりも削減され、判定に要する時間を短縮することができる。なお、一般的に無線信号の自由空間損失は、送信位置から遠方部分ほど変化が少ないので、遠方部分のセンシング地点の数を削減しても判定精度への影響は少ない。
【0028】
次に、本実施形態に係る判定装置100が行う処理の流れについて説明する。
【0029】
図5は、本実施形態に係る周波数共用の判定装置100が行う処理の一例を示す。なお、
図5の各処理は、
図1で説明した判定装置100を構成する各ブロックにより実行される。
【0030】
ステップS101において、センシング地点決定部102は、干渉データベース101の情報に基づいて干渉領域を抽出する。
【0031】
ステップS102において、センシング地点決定部102は、
図2で説明した第1の決定方法または
図3で説明した第2の決定方法により、センシング地点を決定する。
【0032】
ステップS103において、センシング地点決定部102は、ステップS102で決定された各センシング地点の二次利用者の無線信号の受信レベルをシミュレーションにより推定する。
【0033】
ステップS104において、測定結果取得部103は、ステップS102で決定されたセンシング地点で測定された一次利用者の無線信号の受信レベルを取得する。
【0034】
ステップS105において、DU比計算部104は、ステップS104で取得された各センシング地点における一次利用者の無線信号の受信レベルに対するステップS103で推定された各センシング地点における二次利用者の無線信号の受信レベルの比率をセンシング地点毎のDU比として計算する。
【0035】
ステップS106において、DU比計算部104は、全てのセンシング地点でのDU比が周波数の共用が可能な値であるか否かを判定する。具体的には、DU比計算部104は、(各センシング地点のDU比)≦(干渉データベース101に記憶された判定閾値)を満たすか否かを判定する。そして、全てのセンシング地点において、DU比≦判定閾値を満たす場合はステップS107に進み、何れかのセンシング地点においてDU比≦判定閾値を満たさない場合(DU比>判定閾値となる場合)はステップS108に進む。ここで、判定閾値は、例えば一次利用者の無線方式に応じて必要な誤り率が得られるDU比(マージンを含んでもよい)に設定される。
【0036】
ステップS107において、共用判定部105は、二次利用者による干渉領域の利用が可能であり、二次利用者が干渉領域を利用しても一次利用者への影響はない、と判定する。
【0037】
ステップS108において、共用判定部105は、二次利用者による干渉領域の利用が不可であり、二次利用者が干渉領域を利用すると一次利用者への影響がある、と判定する。
【0038】
このようにして、本実施形態に係る判定装置100は、一次利用されている無線信号を二次利用する領域でセンシングして周波数共用の可否を判定することができる。特に、本実施形態では、センシング地点の数を削減することにより、センシング地点における一次利用者の無線信号の測定やDU比の計算などに要する時間を削減することができる。
【0039】
[応用例]
図6は、本実施形態に係る周波数共用の判定装置100が行う処理の応用例を示す。
図6の処理では、
図5に示すステップS103とステップS104との間において、各センシング地点における二次利用者の無線信号の受信レベルの分散を判定する処理を行い、分散に応じてセンシング地点の間隔を調整するステップS201からステップS204までの処理が実行される。なお、分散の代わりに標準偏差を用いてもよい。
【0040】
ステップS201において、センシング地点決定部102は、ステップS103で推定された各センシング地点における二次利用者の無線信号の受信レベルの分散を算出する。
【0041】
ステップS202において、センシング地点決定部102は、ステップS201で算出した分散が予め決められた範囲(所定範囲)内にあるか否かを判別し、分散が所定範囲内にある場合(所定範囲の最小値≦分散≦所定範囲の最大値)は、決定されたセンシング地点が適正であると判断してステップS105の処理に進み、分散が所定範囲よりも大きい場合(分散>所定範囲)はステップS203の処理に進み、分散が所定範囲よりも小さい場合(分散<所定範囲)はステップS204の処理に進む。ここで、所定範囲は、例えば平均値を基準にして設定することができる。
【0042】
ステップS203において、先に説明した第1の決定方法の場合、センシング地点決定部102は、環状線の間隔および放射線の角度間隔の少なくとも一方を小さくしてステップS102の処理に戻り、分散が所定範囲内になるまで同様の処理を繰り返し実行する。なお、先に説明した第2の決定方法の場合、センシング地点決定部102は、等高線の間隔および放射線の角度間隔の少なくとも一方を小さくしてステップS102の処理に戻り、分散が所定範囲内になるまで同様の処理を繰り返し実行する。
【0043】
ステップS204において、先に説明した第1の決定方法の場合、センシング地点決定部102は、環状線の間隔および放射線の角度間隔の少なくとも一方を大きくしてステップS102の処理に戻り、分散が所定範囲内になるまで同様の処理を繰り返し実行する。なお、先に説明した第2の決定方法の場合、センシング地点決定部102は、等高線の間隔および放射線の角度間隔の少なくとも一方を大きくしてステップS102の処理に戻り、分散が所定範囲内になるまで同様の処理を繰り返し実行する。
【0044】
このように、本応用例に係る判定装置100は、センシング地点における二次利用者の無線信号の受信レベルの分散が所定範囲になるように、環状線の間隔(または等高線の間隔)および放射線の角度間隔の少なくとも一方を調整することにより、判定精度を維持しつつ、センシング地点の数を削減することができる。
【0045】
以上、説明したように、本発明に係る周波数共用の判定装置、判定方法および判定プログラムは、一次利用されている無線信号を二次利用する領域でセンシングして周波数共用の可否を判定する時間を短縮することができる。
【0046】
なお、上述の実施形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上述の実施形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0047】
100・・・判定装置;101・・・干渉データベース;102・・・センシング地点決定部;103・・・測定結果取得部;104・・・DU比計算部;105・・・共用判定部;201・・・送信装置;202・・・干渉領域;203・・・環状線;204,207・・・放射線;206・・・等高線