(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-26
(45)【発行日】2023-05-09
(54)【発明の名称】放射源モジュール及びリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230427BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
(21)【出願番号】P 2019566359
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2018065113
(87)【国際公開番号】W WO2018234061
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-02
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パテル,フリシケス
(72)【発明者】
【氏名】マ,ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ナキボグル,ギュネス
(72)【発明者】
【氏名】リプマ,アルベルト,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ネット,アントニウス,ヨハヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルヘーズ,レンス,ヘンリカス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ゾンクァン
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-165638(JP,A)
【文献】特開2007-005124(JP,A)
【文献】特開2011-023403(JP,A)
【文献】特開2013-084892(JP,A)
【文献】特表2015-515141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を供給するように構成された燃料供給デバイスと、
前記燃料をプラズマに励起するように構成された励起デバイスと、
前記プラズマにより放出された放射を収集し、前記放射をビーム出口に誘導するように構成されたコレクタと、
前記プラズマにより生成されたデブリを収集するように構成され、その中を通過する導管を有する
1つ以上のコンポーネントを有するデブリ軽減システムと、
前記導管中を循環する熱伝導流体を選択的に加熱又は冷却することによって、前記コンポーネントの
1つ以上の温度を選択的に上昇又は低下させるように構成された温度制御システムと、
を備え
、
前記温度制御システムが、前記燃料の融点より低い第1の温度に前記コンポーネントの1つ以上を冷却する第1のモードで動作可能であり、前記燃料の融点より高い第2の温度に前記コンポーネントの1つ以上を加熱する第2のモードで動作可能である、
放射源。
【請求項2】
前記熱伝導流体が水を含む、請求項
1に記載の放射源。
【請求項3】
前記熱伝導流体が、大気圧より高い圧力である、請求項
2に記載の放射源。
【請求項4】
前記熱伝導流体が、本質的に空気、人口空気、又は窒素から構成される、請求項1に記載の放射源。
【請求項5】
前記温度制御システムが、前記コンポーネント
の1つ以上から戻ってくる熱伝導流体から前記コンポーネント
の1つ以上に向かっていく熱伝導流体に熱を伝達するように構成された熱交換器を備える、請求項
4に記載の放射源。
【請求項6】
前記温度制御システムが、前記熱交換器の低温側に能動的流れ制御デバイスを備える、請求項
5に記載の放射源。
【請求項7】
前記コレクタ及び前記デブリ軽減システムを取り囲む真空チャンバをさらに備え、前記温度制御システムの全ての能動的流れ制御デバイスが前記真空チャンバの外側にある、請求項1から
6のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項8】
前記コンポーネント
の1つ以上が、放射源チャンバ壁と、オブスキュレーション部材と、スクラバと、羽根と、熱シールドと、燃料供給軌道のための側板と、液滴キャッチャと、デブリバケットとから構成される群から選択される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項9】
前記デブリ軽減システムが、それぞれがその中を通過する導管を有する複数のコンポーネントを備え、前記温度制御システムが、前記熱伝導流体を各コンポーネントに循環させるように構成された複数の独立制御可能な回路を備える、請求項1から
8のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項10】
前記複数の独立制御可能な回路が、第1のコンポーネントのセットを前記燃料の融点より低い温度に維持し、第2のコンポーネントのセットを前記燃料の融点より高い温度に維持するように構成された第1の回路を備える、請求項
9に記載の放射源。
【請求項11】
前記デブリ軽減システムが、それぞれがその中を通過する導管を有する複数のコンポーネントを備え、前記温度制御システムが、前記熱伝導流体を前記複数のコンポーネントに順次循環させるように構成された回路を備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項12】
前記燃料供給デバイスが、前記燃料としてスズの液滴を供給するように構成された液滴生成器を備える、請求項1から
11のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項13】
前記励起源がレーザを含む、請求項1から
12のいずれか一項に記載の放射源。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の放射源と、
パターニングデバイスを前記放射源からの放射で照明するように構成された照明システムと、
前記パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように配置された投影システムと、
を備えたリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2017年6月23日に出願された米国出願第62/523,911号及び2017年10月6日に出願された米国出願第62/569,105号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、EUV放射用の放射源、及びそのような放射源を使用したリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)から基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上へパターンを投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するためにリソグラフィ装置により使用される放射の波長は、その基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。5~20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置は、従来のリソグラフィ装置(例えば193nmの波長を有する電磁放射を使用し得る)よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0005】
[0005] EUV放射は、燃料、例えばスズを励起して後に放射を放出するプラズマを形成するプラズマ源によって生成することができる。燃料は、レーザ(この場合の放射源はレーザ生成プラズマ源(LPP源)と称される)又は放電(この場合の放射源は放電生成プラズマ源(DPP源)と称される)によって励起することができる。プラズマ源は、有用なEUV放射だけでなく、多くの他の放射、及びサイズが電子サイズから燃料の小粒子サイズまである多くの微粒子デブリを放出する。リソグラフィ装置内の光学素子が汚染されるとその性能に深刻な影響を与えるため、デブリがリソグラフィ装置の主要部に侵入するのを防ぐことが重要である。
【0006】
[0006] したがって、放射源は、デブリを捕捉したり、その他デブリが放射源モジュールを出てリソグラフィ装置のその他の部分に侵入することを防いだりする様々な要素を有するデブリ軽減システムを備える。デブリ軽減システムの一部の要素、例えば羽根などは、燃料デブリを捕捉することが意図され、燃料デブリがこのような要素に接触したときに固化するように燃料の融点未満の温度に維持される。しかしながら、これによって、例えばスズウールなどの望ましくない形での燃料堆積物の成長が助長されるため、このような要素の温度は低すぎてはいけない。デブリ軽減システムの他の要素は、堆積した燃料が流れ去ることができるように燃料融点より高い温度に維持される。また、通常、燃料融点未満に維持されるデブリ軽減システムのこれらの要素は、堆積した燃料を除去できるように定期的に燃料融点より高い温度に加熱する必要がある。
【0007】
[0007] したがって、プラズマ放射源の既知のデブリ軽減システムは、デブリ軽減システムの各要素を各目標温度に加熱又は冷却する様々な加熱システム及び冷却システムを有している。既知の加熱システムは、電気ヒータを使用してプラズマから吸収されたエネルギーを補足する。電気ヒータは、加熱される要素に直接取り付けることができる。又は空気を加熱し、その後、各要素を加熱するのに使用することができる。既知の冷却システムは、水を使用して、場合によっては冷却される要素と水で満たされた導管との間のガス充填ギャップを使用して冷却を行う。既知の加熱及び冷却システムは複雑かつ非効率的であり、デブリ軽減システムの要素に望ましくない大きな温度勾配をもたらす恐れがある。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の目的は、EUV放射用の改良された放射源を提供することである。
【0009】
[0009] 本発明によれば、
燃料を供給するように構成された燃料供給デバイスと、
燃料をプラズマに励起するように構成された励起デバイスと、
プラズマにより放出された放射を収集し、放射をビーム出口に誘導するように構成されたコレクタと、
プラズマにより生成されたデブリを収集するように構成され、その中を通過する導管を有するコンポーネントを有するデブリ軽減システムと、
導管中を循環する熱伝導流体を選択的に加熱又は冷却することによって、コンポーネントの温度を選択的に上昇又は低下させるように構成された温度制御システムと、
を備えた放射源が提供される。
【0010】
[0010] 本発明の別の態様によれば、
間にギャップが画定される第1の壁層と第2の壁層とを備え、第1の壁層が熱源に曝され、第2の壁層が冷却源に曝された真空チャンバ壁と、
ギャップに接続され、ギャップにガスを供給するように構成されたガス供給デバイスと、
ガス供給デバイスに接続され、真空チャンバ壁を横切る熱流を制御するようにギャップ内のガスの圧力を制御するように構成されたコントローラと、
を備えた真空チャンバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] これより添付の概略図を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【0012】
【
図1】本発明のある実施形態に係るリソグラフィ装置及び放射源を備えたリソグラフィシステムを示す。
【
図7】エンドプレートを取り外した状態の
図6のキャップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0012]
図1は、本発明の一実施形態に係る多層リフレクタを備えたリソグラフィシステムを示している。リソグラフィシステムは、放射源SOとリソグラフィ装置LAとを備える。放射源SOは、極端紫外(EUV)放射ビームBを生成するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、放射ビームBを、パターニングデバイスMAに入射する前に調節するように構成される。投影システムは、(既にマスクMAによりパターン付与された)放射ビームBを基板W上に投影するように構成される。基板Wは、以前に形成されたパターンを含んでよい。その場合、リソグラフィ装置は、基板Wに以前に形成されたパターンにパターン付与された放射ビームBを位置合わせする。
【0014】
[0013] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSはいずれも、外部環境から隔離できるように構築及び配置されてよい。大気圧より低い圧力のガス(例えば水素)が放射源SOに提供されてよい。真空が照明システムIL及び/又は投影システムPSに提供されてよい。大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)が照明システムIL及び/又は投影システムPSに提供されてよい。
【0015】
[0014]
図1に示す放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と称されることもある形式のものである。例えばCO2レーザであり得るレーザ1は、レーザビーム2を介して、燃料放出器3から提供されるスズ(Sn)などの燃料へとエネルギーを付与するように配置される。以下の説明ではスズに言及するが、任意の適切な燃料が使用されてよい。燃料は例えば液体形態をとってよく、例えば金属又は合金であってよい。燃料放出器3は、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿ってスズを例えば液滴の形で誘導するように構成されたノズルを備えてよい。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4でスズに入射する。スズへのレーザエネルギーの付与によってプラズマ形成領域4にプラズマ7が生成される。EUV放射を含む放射がプラズマ7から、プラズマのイオンの脱励起及び再結合の間に放出される。
【0016】
[0015] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(より一般的には法線入射放射コレクタと称されることがある)によって集光及び集束される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなど所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層構造(以下でさらに説明する)を有してよい。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有してよい。以下で考察されるように、第1焦点がプラズマ形成領域4にあってよく、第2焦点が中間焦点6にあってよい。
【0017】
[0016] レーザ1は、放射源SOから分離していてよい。その場合、レーザビーム2は、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を備えるビームデリバリシステム(図示せず)の助けにより、レーザ1から放射源SOへと受け渡されてよい。レーザ1は放射源SOとともに、放射システムと見なすことができる。
【0018】
[0017] コレクタ5により反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは、プラズマ形成領域4の像を形成する点6に集束され、これは照明システムILにとって仮想放射源としての役割を果たす。放射ビームBが集束される点6は、中間焦点と称されることがある。放射源SOは、中間焦点6が放射源の閉鎖構造9における開口(ビーム出口)8又はその近傍に位置するように配置される。
【0019】
[0018] 放射ビームBは放射源SOから、放射ビームを調節するように構成される照明システムILに入る。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11とを含んでよい。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は協働して、放射ビームBに所望の断面形状及び所望の角度分布を提供する。放射ビームBは、照明システムILを通過し、支持構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビームBを反射しパターン付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれに代わる、他のミラー又はデバイスを含んでよい。ファセットフィールドミラーデバイス10、ファセット瞳ミラーデバイス11及び照明システムの他のリフレクタは、以下でさらに説明される多層構造を有してよい。
【0020】
[0019] パターニングデバイスMAでの反射に続いて、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに進入する。パターニングデバイスは、以下でさらに説明される多層構造を有するリフレクタを備えてよい。投影システムは、放射ビームBを基板テーブルWTにより保持された基板W上に投影するように構成された複数のミラーを備える。投影システムPSは、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャより小さいフィーチャを有する像を形成するように放射ビームに縮小係数を適用してよい。例えば縮小係数4が適用されてよい。投影システムPSは
図1において2つのミラーを有しているが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6つのミラー)を含んでよい。ミラー、及び投影システムPSの任意の他のリフレクタは、以下でさらに説明される多層構造を有してよい。
【0021】
[0020]
図1に示す放射源SOは、図示されていないコンポーネントを含んでよい。放射源に例えばスペクトルフィルタが設けられてよい。スペクトルフィルタは、EUV放射に関して実質的に透過性を有するが、赤外線放射などの他の放射の波長をブロックしてよい。
【0022】
[0021]
図2は、放射源SOをより詳細に示している。放射源SOは、以上で特定したコンポーネントの他に、デブリ軽減システム20と温度制御システム300とを備える。デブリ軽減システム20は、放射源SOの閉鎖構造9(真空チャンバとも称される)内に配置された様々なコンポーネントを備える。デブリ軽減システム20の関連コンポーネントには、熱伝導流体を循環させるための導管301が設けられる。導管301は、大部分が真空チャンバ9の外側に位置する温度制御システム300に接続される。特に、バルブやポンプなどの温度制御システムの全ての能動的制御デバイスは、真空チャンバ9の外側に位置する。
【0023】
[0022] 温度制御システム300は、デブリ軽減システム20の各コンポーネントを加熱又は冷却するために熱伝導流体を選択的に加熱又は冷却するように構成される。放射源が動作しているとき、デブリ軽減システムの一部のコンポーネントは、プラズマ7を励起するのに使用されるエネルギーをビーム出口8から出ていく有用なEUV放射に変換する効率がかなり低いために高い熱負荷を受ける。したがって、放射源が動作している間、デブリ軽減システムの各種コンポーネントは冷却し続ける必要がある。以下でさらに考察されるように、デブリ軽減システム20のコンポーネントの中には燃料(例えばスズ)の融点未満の温度に冷却するのが望ましいコンポーネントがある一方、燃料の融点より高い温度に維持するのが望ましいコンポーネントもある。
【0024】
[0023] デブリ軽減システム20の各種コンポーネントにはデブリが堆積するため、放射システム20のこのようなコンポーネントは、堆積した燃料を融解して流出させる(drain away)ことができるように、定期的に燃料の融点より高い温度に加熱される。放射源はこの間は動作していないため、デブリ軽減システム20のコンポーネントの温度を十分に上げるためにかなりの熱注入が必要になる可能性がある。
【0025】
[0024] 一般に、デブリ軽減システム20の最大のコンポーネントは、コレクタ5からビーム出口8までの放射経路の周囲に円錐状に設置された一セットの羽根21である。羽根21は、プラズマ7から排出されたデブリの大部分を収集し、そこからのデブリの飛散を最小限に抑えるように構成される。
【0026】
[0025] デブリ軽減システム20はまた、羽根21を流れ落ちる液体燃料を収集するために配置されたデブリバケット22と、液滴生成器3が放出した液滴の軌道上のプラズマ形成位置4の後ろに配置された液滴キャッチャ23とを備える。液滴生成器3とプラズマ形成位置4との間の液滴の軌道を保護する側板24もある。プラズマ形成位置4とビーム出口8の間の放射源の光軸の真上に、微粒子デブリがプラズマ7からビーム出口8に直接移動するのを防ぐためのオブスキュレーション部材26(水平オブスキュレーションバーと称されることもある)が配置される。オブスキュレーション部材26は、1つの羽根21から突出する支柱により支持されたディスクを備えてよい。真空チャンバ9からガスを抽出し、抽出したガスからデブリを除去する排出スクラバ27を設ける。真空チャンバの上部は、中間焦点を密着包囲し、ビーム出口8を画定する円錐部9Aとキャップ9Bとを備える。
【0027】
[0026] 前述のように、羽根21は、使用時に最も多くの燃料デブリを受け止め、燃料デブリがその上で固化し、結果としてリソグラフィ装置内での循環を許容せず収集されるように冷却される。したがって、固体燃料は非常に短時間で羽根上に堆積する可能性があり、羽根上の固化した燃料の成長の形態を制御するために羽根21の温度を制御することが望ましい。燃料がスズである場合、羽根21の温度が低すぎる、例えば約150℃である場合、堆積するスズはスズウールを形成する。スズウールは細かいスズ繊維を含む比較的低密度のスズの形態である。したがって、スズウールの形態でのスズの堆積物は、スズがよりコンパクトな形態で堆積した場合よりもさらに羽根から突出する。したがって、スズウールがコレクタ5からビーム出口8への有用な放射ビームを妨害するリスクがある。
【0028】
[0027] デブリ軽減システムのコンポーネント、特に羽根の温度はまた、他の望ましくない現象、例えばスズスピッティング及びスズの滴下に影響を与える。スズスピッティングは、表面上の溶融スズが真空チャンバ内に存在する水素と反応したときに起こり、結果としてスズ粒子が真空チャンバ内に放出され、ビームからのエネルギーを吸収したり、リソグラフィ装置の他の部分に進入したりする恐れがある。スズの滴下は、大量の溶融スズが堆積し表面から分離したときに起こる。この結果、スズの大きな滴がコレクタ5に落下して、その反射性を低減させる恐れがある。デブリ軽減システムのコンポーネントの既知の冷却システムは、依然としていくつかのコンポーネントにわたる大きい温度勾配をもたらす恐れがあり、その結果、コンポーネントの温度を十分に制御して望ましくない現象を低減させることが困難になる。
【0029】
[0028]
図2に示すように、本発明の実施形態に係る温度制御システム300は、デブリ軽減システム20の関連コンポーネント内に設けられた導管301に熱伝導流体、この場には水を循環させる。ある実施形態では、温度調節システム300は、デブリ軽減システム20の次のコンポーネント、すなわち羽根21、側板24、スクラバ27、デブリバケット22、液滴キャッチャ23、中間焦点キャップ9B、下部コーン28、液滴生成器3及び熱シールド29のうちの一部又は全てに熱伝導流体を循環させるように構成される。
【0030】
[0029]
図2の実施形態では、温度制御システム300は、2つの高圧水回路310a、310bを備える。一部の例では単一の回路を使用することができ、他の例では3つ以上の回路が望ましいこともある。
【0031】
[0030] 高圧水回路310aは、羽根21、オブスキュレーション26及びスクラバ27の温度を制御するように構成される。必要に応じて水を加熱する電気ヒータ302が設けられる一方、必要な場合に循環水を冷却する熱交換器306が使用される。熱交換器306は、リソグラフィ装置の他の部分を冷却するために使用される主水供給部320に接続される。還流水を熱交換器306に送るかどうかを制御するのにバルブ304が使用される。水を循環させ、回路内を適切な圧力に維持して水の沸騰を防ぐポンプ305を高圧水回路310aに設ける。圧力の関数である水の沸騰温度のグラフである
図3から、高圧水回路310内の圧力を約50バールに維持することによって、水が沸騰するリスクを伴わずに水を200~250℃の範囲内の温度で循環できることを確実にできることが分かる。
【0032】
[0031] また、デブリ軽減システム20の関連コンポーネントを急速に冷却したい場合に、例えば約22℃の冷水を主水供給部320から高圧水回路310aに提供できるように、制御バルブ303、332及び331を設ける。
【0033】
[0032] この実施形態の第2の高圧水回路310bは、液滴生成器3、デブリバケット22及び液滴キャッチャ23の温度を制御するように構成される。これらのコンポーネントは、望ましくは燃料の融点より高く、第1の高圧水回路310aを使用して温度制御される羽根21及びオブスキュレーション部材26よりも高い温度に維持される。第2の高圧水回路310bは、必要に応じて水を加熱する電気ヒータ311と、主水供給部320からの水と熱交換を行うことによって必要な場合に水を冷却する熱交換器316とを備える。回路内の水の流れを制御し、適切な圧力に維持するように流量制御バルブ313及びポンプ314が機能する。第1の高圧水回路310aと同様に、急速に冷却したい場合に、主供給部320からの冷水を回路に直接誘導できるようにするバルブ312及び315を設ける。
【0034】
[0033] 燃料としてスズを使用する本発明のある実施形態では、第1の回路310aは、デブリ軽減システム20の関連コンポーネントを約200℃に維持するように構成される。したがって、導管301に水が200℃で供給される。羽根21及びオブスキュレーション部材26などのコンポーネントは放射源が動作しているときに高い熱負荷を受けるため、導管301からの還流水は温度が上昇している可能性がある。約10~50lpmの流量を維持することによって、還流水の温度が約210℃より高くならないことを保証することができる。代替的な燃料が使用される場合は異なる温度範囲が適用されてよく、ソースの出力及び変換効率に応じて異なる流量が適切であってよい。羽根21及び水平オブスキュレーションバー26から堆積した燃料を除去したい場合は、導管301に進入した水が、堆積したスズを融解するためにより高い温度、例えば約250℃に加熱される。
【0035】
[0034] 第2の高圧水回路310bでは、導管301に約250℃の温度で水が供給されるように関連コンポーネントを燃料の融点よりも高い温度に維持することが望ましい。水は液滴キャッチャ3などのコンポーネントを加熱することを目的とするため、回路を流れると水の温度低下が起こる。約10~50lpmの範囲内に流量を維持することによって、還流液の温度があまり下がらないこと、例えば約245℃以上を保証しながら関連コンポーネントに十分な熱を伝達することができる。
【0036】
[0035] 本発明のこの実施形態は、従来技術のシステムと比べて多くの利点を提供する。高圧水回路を使用して温度を制御することによって、温度勾配の優れた制御を達成し、温度設定点を容易に変更することが可能である。加熱時間及び冷却時間を短縮することによって装置のスループットを改善することができる。本発明の実施形態は、全ての関連制御手段及び能動コンポーネントを真空チャンバの外側に配置できるため容易に修理可能である。交換や修理を必要とする可能性がある部品を真空チャンバ内に配置する必要がない。デブリ管理システムのコンポーネントの加熱と冷却の両方に同じ流体を使用することによって、システム全体がかなり簡素化され、必要なコンポーネントの数が少なくなる。上記の構成はまた、電力使用の点で効率的である。
【0037】
[0036] 上記の本発明の実施形態では、熱伝導流体として、水の代わりに油などの別の液体を使用することができることに留意されたい。しかしながら、熱容量が高く、例えば油よりも安全性の問題が少ないため水が望ましい。
【0038】
[0037] 本発明に係る放射源の別の実施形態が
図4に示されている。
図4の放射源の部品のうち、特にデブリ軽減システムに関連する先の実施形態におけるのと同じものは、同様の参照符号によって示され、簡単にするために本明細書ではこれ以上説明されない。
図4の放射源SOは、
図1に示したようなリソグラフィ装置とともに使用することができる。
【0039】
[0038]
図4の放射源SOでは、熱伝導流体として加熱したガス、例えば空気が使用される。本発明の実施形態では、加熱した空気は、装置の周囲の環境から供給される大気又は人口空気であってよい。
図2の実施形態と同様に、熱伝導流体、この場合にはガスがデブリ軽減システム20のコンポーネント内に設けられた導管401を通して導かれる。これによって、製造及び動作の簡素化という第1の実施形態におけるのと同じ優位性が達成される。
【0040】
[0039]
図4の実施形態の温度調節システム400は、マニホールドに加圧空気を供給するファン407を備え、デブリ軽減システム20の各コンポーネントの導管401に向かうマニホールドからのガス流が制御バルブ408a、408b、408cによって制御される。導管401に向かって流れるガスは、初めに導管401から帰還してくるガスから熱を回収する熱交換器406によって加熱される。次に、必要に応じて、特に加熱段階においてガスをさらに加熱するように制御された電気ヒータ402を通過する。導管401を流れたガスは1つの帰還路にまとめられる。帰還路は、システムから熱を除去したい場合はガスが冷却器403を通過できるように、又は例えば加熱段階においては冷却器403を迂回するバイパスチャネル405を通過できるように構成される。帰還ガスが冷却器403を流れるかバイパスチャネル405を流れるかを制御する制御バルブ404が設けられる。その後、帰還ガスは熱交換器406を通過して、導管401に向かって流れるガスに熱を引き渡す。そして帰還ガスはポンプ407によって再循環される。
【0041】
[0040] 熱交換器406を設け、ポンプ407及び制御バルブ408a~408cを熱交換器406の低温側に配置することによって、温度上昇に耐えることができるポンプ及びバルブを設ける必要がなく、したがって、システムの保守性及びコストが改善される。
【0042】
[0041] この実施形態において温度を制御可能なデブリ軽減システムのコンポーネントには、下部コーン、オブスキュレーション部材、スクラバ、羽根21、熱シールド、デブリバケット及び液滴キャッチャが含まれる。分かりやすくするために、
図4にはこれらのコンポーネントの全てが示されているわけではない。羽根21などのより大きいコンポーネントについては、均一な熱流を確保するために必要に応じて複数の導管401を並列に設けてよい。独立した回路の数は、所要の熱流及び所望の設定点に従って異なる可能性がある。1つのヒータ402を設けるだけでなく、各流路に別々のヒータを設けることができる。必要なら、異なる回路からの帰還流路を熱交換器406の後ろで結合することができる。
【0043】
[0042] 空気などのガスは、
図2の実施形態で使用された水と比較して熱容量が比較的低いことを考慮して、より高い流量が必要となる可能性がある。ある実施形態では、ガスの総流量は約1000~3000slmであってよい。このような流量を得るためには大きなポンプや多くのポンプが必要となる可能性があり、したがって、このようなポンプを例えば製造工場のサブフロアの、リソグラフィ装置から離れた場所に配置することが望ましい可能性がある。このような場所は、ポンプからリソグラフィ装置への振動の伝達を低減する点で有利である。
【0044】
[0043]
図5は、キャップと称されることもある上部コーン9bの温度を制御するための構成を示している。上部コーン9bは、放射源の出口開口を取り囲み、プラズマ及び励起レーザビームからかなりの熱負荷HLを受ける。したがって、スズの堆積を制御するために同時に温度を制御しながら上部コーン9bから熱を除去することが必要である。温度制御は、フィードバック制御又はフィードフォワード制御又はその両方の組み合わせに基づくことができる。フィードフォワード制御は、リソグラフィ装置の動作状態、例えば露光が進行中であるかどうかに基づくことができる。ある実施形態では、上部コーンの温度を約200℃の目標温度に制御したり、約600℃の目標温度に制御したりすることが望ましい。
【0045】
[0044] 本発明のある実施形態では、上部コーン9bの少なくとも一部は、一緒になってその間にギャップ99を画定する2つの層、すなわち内層961及び外層962から構築される。ギャップ内のガスの圧力を制御することによって2層構造を横切る熱伝導を制御する温度制御システム900が配置される。温度制御システム900は、質量流量コントローラ902を介してギャップ99に接続されるガス供給部901を備える。質量流量コントローラ902は、目標質量流量を満たすために、制御可能バルブ及び質量流量計を、バルブの開口度を制御するコントローラとともに備えてよい。圧力温度センサ903がギャップ99内のガスの圧力及び温度を測定し、コントローラ904、例えばPIDコントローラに接続される。コントローラ904は、ギャップ99内の所望のガスの圧力及び温度を達成するように質量流量コントローラ902に対する設定点を提供する。
【0046】
[0045] 必要なときにギャップ99からガスを除去するために、ギャップ99には計測バルブ906を介して真空ポンプ905も接続される。ギャップ99から除去されたガスは装置の主排出部908に送られる。等価起動時に使用されるバイパスバルブ907が設けられてよい。
【0047】
[0046] ある実施形態では、ギャップ99は真空チャンバ9の内部から完全には密閉されていない。したがって、ギャップ99と真空チャンバ9の主部との間でガス交換GEが行われることになる。多くの場合、ギャップ99から主真空チャンバ9の内部への正味のガス流が生じることになり、その結果、ギャップ99内の圧力を所望のレベルに維持するのにガス流の平衡化が必要になる。一方、他の実施形態では、ギャップ99は、ギャップ99内の圧力を上昇させたいときにのみガスの流入が必要な場合に効果的に完全密閉されてよい。ギャップ99を通過する流れを維持することによって、ガス圧をより高速に制御できる可能性がある。
【0048】
[0047] ギャップ99を横切る熱流は、ギャップ99内のガスの圧力に依存する。本発明のある実施形態では、ギャップ99内のガスの圧力は0.01Pa~500Paの範囲内に維持される。望ましくは、ギャップ内のガスは、すべり流領域(slip flow regime)にある。ある実施形態では、ギャップ内のガスのクヌーセン数は約1以上である。クヌーセン数が約1以上である場合、ギャップ通過熱伝導は圧力に強く依存する。外層962は、例えば水性温度調節システムによって比較的低い温度に維持され、その結果、真空チャンバの内部は、チャンバ内の熱源とギャップ99を横切る熱伝導のバランスをとることによって所望の温度に維持される。本発明のある実施形態では、ギャップ99の幅は3mmであり、その結果、クヌーセン数を計算するのに使用される代表的な物理的長さスケールLが約6mmとなる。ギャップの幅は、約1mm~10mm、望ましくは2mm~5mmであってよい。ガスが水素である場合は、3mmギャップのクヌーセン数は、約10Paの圧力及び200℃、並びに約20Paの圧力及び650℃で1より大きくなる。本発明のある実施形態において、ギャップ内のガスに水素を使用することは都合がよい可能性がある。なぜなら水素はプラズマデブリを軽減するための装置の一部である真空チャンバ9内に既に存在しているからである。しかしながら、窒素、ヘリウム、アルゴン及びネオン又はこれらの混合物のような不活性ガスなどの他のガスを使用することもできる。
【0049】
[0048]
図6から
図8は、本発明のある実施形態に係るエンドキャップ9bの一例を示している。上部コーン9bは、例えばアルミニウムで作られており、(プラズマに面する)内層961の内部表面とギャップ99を画定する表面とに銅又はモリブデンコーティングが設けられてよい。内層961及び外層962は、その間の空間がギャップ99を形成する入れ子式のコーンとして構築することができる。エンドプレート964及び965はギャップを密閉するために設けられる。エンドプレート964、965は、インコネルなどのニッケルクロム基合金で形成することができる。ギャップ99を画定する表面上の銅又はモリブデンコーティングには2つの利点がある。1つ目は水素脆化に耐性があることであり、2つ目はギャップを横切る熱伝導がギャップ内のガスの圧力によってより適切に制御されるように低い放射率を有することである。
【0050】
[0049] 上部コーン9bはまた、アルミニウム、モリブデン、タングステン、スチール、銅、ニッケル及びこれらの混合物などの金属から、又は窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ホウ素、グラファイト及び石英などの非金属から構築することができる。
【0051】
[0050]
図9及び10は、エンドキャップ9bの代替的な構造を示している。
図9及び10の実施形態では、内層961’及び外層962’には、相補的な羽根98のセットが設けられる。交互配置された羽根98は、依然としてギャップを所望の数mm、例えば1mm~10mmの厚さに維持しながら、ギャップ99を横切る熱伝導を増加させるようにギャップ99の面積を増大させる効果を有する。
図9は、エンドシールプレートを取り外したエンドキャップ9bの端面図を示し、
図10は内層961のみを示す。羽根98は、内側及び外側部品が一体形成される場合、上部コーン9bにより形成されるコーンの軸を含む平面に延在して組み立てを支援することが分かる。羽根の代替的な構成は、上部コーンの2つの部品自体がより小さい部品から組み立てられる場合に使用することができる。
【0052】
[0051] 交互配置された羽根があることによって、ギャップ内のガス流を遅らせることができる。ギャップ内の圧力の均一性を改善するために、ギャップの周囲に間隔を置いて配置された複数のガスインレット及び/又はアウトレットを設けることができる。代替的又は付加的に、ギャップ周囲のガス流を支援する1つ以上の円周溝又は開口を設けることができる。
【0053】
[0052] ある実施形態では、ギャップ99は複数のセグメントに分割され、セグメント内のガスの圧力を独立に制御することができる。ギャップは、リングを形成するように軸方向にセグメント化することも、セクターを形成するように円周方向にセグメント化することもできる。真空チャンバ壁の隣接する部分から第1の壁層を隔絶する熱バリアを設けることができる。
【0054】
[0053] 必要に応じてコーン内部にヒータを設けて、他の熱源が不十分である場合に真空チャンバを高温に維持できる可能性がある。
【0055】
[0054] 本実施形態は、他のシステムでは達成不可能な、高温での真空チャンバの制御を可能にする。本実施形態は、例えばバルブ及びポンプなどの修理を必要とする可能性がある全てのコンポーネントを真空チャンバの外側に配置するという利点を有する。これによって、修理が必要な場合に真空を破壊する必要がなくなる。
【0056】
[0055] ある実施形態では、本発明の放射源はマスク検査装置の一部を形成してよい。マスク検査装置は、EUV放射を使用してマスクを照明し、結像センサを使用してマスクから反射した放射をモニタすることができる。結像センサが受け取った像は、マスクに欠陥があるか否かを決定するのに使用される。マスク検査装置は、結像センサにおけるマスクの像を解析し、その解析からマスクに欠陥があるかどうかを決定するように構成されたプロセッサを備えてよい。プロセッサはさらに、マスクがリソグラフィ装置で使用されるとき、検出したマスク欠陥が基板上に投影された像に許容できない欠陥を生じさせるかどうかを決定するように構成されてよい。
【0057】
[0056] ある実施形態では、本発明の放射源はメトロロジ装置の一部を形成してよい。メトロロジ装置は、基板上のレジストに形成された投影パターンの基板上に既に存在しているパターンに対するアライメントを測定するのに使用されてよい。この相対アライメントの測定はオーバーレイと称されることがある。メトロロジ装置は、ターゲットのクリティカルディメンジョン(CD)を測定するのに使用されてよい。メトロロジ装置は、例えばリソグラフィ装置にすぐ隣接して配置されてよく、基板(及びレジスト)が処理される前にオーバーレイ及び/又はCDを測定するのに使用されてよい。メトロロジ装置は解像度を上げるためにEUV放射を使用することができる。
【0058】
[0057] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態はその他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(又はその他の基板)或いはマスク(又はその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと称されることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0059】
[0058] 「EUV放射」という用語は、5~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含するものと見なしてよい。EUV放射は、10nm未満、例えば6.7nm又は6.8nmなどの5~10nmの範囲内の波長を有してよい。
【0060】
[0059] 説明した放射源はレーザ生成プラズマLPP源であるが、本発明は他のタイプの放射源に適用されてもよい。例えばEUV放出プラズマは、放電を使用して燃料(例えばスズ)をプラズマ状態に変換することによって生成することができる。このタイプの放射源は放電生成プラズマ(DPP)源と称されることがある。放電は、放射源の一部を形成し得る、又は放射源SOに電気的接続を介して接続された独立エンティティであり得る電源によって生成することができる。
【0061】
[0060] 本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書に記載されているリソグラフィ装置はその他の適用例も可能であることを理解されたい。可能なその他の適用例には、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ(LED又はOLEDディスプレイ)、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0062】
[0061] 本発明の特定の実施形態について上記で説明してきたが、本発明は上記以外に実施可能であることは理解されるであろう。上記の説明は、限定ではなく例示を目的としている。したがって、以下に明記されている特許請求の範囲の範囲を逸脱せずに上記のように本発明に対して変更を行うことが可能であることは当業者に明らかであろう。本発明の他の態様は、番号付き条項に記載されている。
[条項1]
間にギャップが画定される第1の壁層と第2の壁層とを備え、前記第1の壁層が熱源に曝され、前記第2の壁層が冷却源に曝された真空チャンバ壁と、
前記ギャップに接続され、前記ギャップにガスを供給するように構成されたガス供給デバイスと、
前記ガス供給デバイスに接続され、前記真空チャンバ壁を横切る熱流を制御するように前記ギャップ内の前記ガスの圧力を制御するように構成されたコントローラと、
を備えた真空チャンバ。
[条項2]
前記コントローラが、前記ギャップ内の前記ガスの圧力を0.01Paから500Paの範囲内に制御するように構成される、条項1に記載の真空チャンバ。
[条項3]
前記ギャップが、1から10mm、望ましくは2から5mmの範囲内の幅を有する、条項1又は2に記載の真空チャンバ。
[条項4]
前記ガス供給デバイスが、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン、及びこれらの混合物から構成される群から選択されたガスを供給するように構成される、条項1、2又は3のいずれか一項に記載の真空チャンバ。
[条項5]
前記第1の壁層及び/又は前記第2の壁層が、アルミニウム、モリブデン、タングステン、スチール、銅、ニッケル及びこれらの混合物から構成される群から選択された材料から作られる、条項1から4のいずれか一項に記載の真空チャンバ。
[条項6]
前記第1の壁層及び/又は前記第2の壁層が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ホウ素、グラファイト、及び石英から構成される群から選択された材料から作られる、条項1から4のいずれか一項に記載の真空チャンバ。
[条項7]
前記第1の壁層及び/又は前記第2の壁層が、前記ギャップを画定する表面上に複数の羽根を有する、条項1から6のいずれか一項に記載の真空チャンバ。
[条項8]
前記第1の壁層及び/又は前記第2の壁層が、少なくとも1つの羽根を横切る溝を有する、条項7に記載の真空チャンバ。
[条項9]
前記ギャップが複数のセクションに分割され、前記コントローラが前記ガスの圧力をセクションごとに独立に制御するように構成される、条項1から8のいずれか一項に記載の真空チャンバ。
[条項10]
前記ガス供給デバイスが、前記ギャップへの前記ガスの流入を制御するバルブを備え、前記コントローラが前記バルブを制御するように構成される、条項1から9のいずれか一項に記載の真空チャンバ。
[条項11]
前記ギャップに接続され、前記ギャップからガスを抽出するように構成された真空ポンプをさらに備え、前記コントローラが前記真空ポンプを制御するように構成される、条項1から10のいずれか一項に記載の真空チャンバ。
[条項12]
前記第1の壁層を前記真空チャンバ壁の隣接部から隔絶する熱バリアをさらに備えた、条項1から11のいずれか一項に記載の真空チャンバ。