(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-27
(45)【発行日】2023-05-10
(54)【発明の名称】機械部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C21D 9/00 20060101AFI20230428BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20230428BHJP
C22C 38/54 20060101ALI20230428BHJP
C21D 1/06 20060101ALI20230428BHJP
C23C 8/22 20060101ALI20230428BHJP
C21D 9/32 20060101ALN20230428BHJP
C21D 9/28 20060101ALN20230428BHJP
【FI】
C21D9/00 A
C22C38/00 301N
C22C38/54
C21D1/06 A
C23C8/22
C21D9/32 A
C21D9/28 A
(21)【出願番号】P 2018115350
(22)【出願日】2018-06-18
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【氏名又は名称】横井 宏理
(74)【代理人】
【識別番号】100101085
【氏名又は名称】横井 健至
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【氏名又は名称】横井 知理
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健介
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸治
(72)【発明者】
【氏名】平塚 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和弥
【審査官】鈴木 葉子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭62-024499(JP,B2)
【文献】特開平02-156063(JP,A)
【文献】特開平06-108226(JP,A)
【文献】特開2016-156037(JP,A)
【文献】国際公開第2011/132722(WO,A1)
【文献】特開2005-154784(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105239017(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00-38/60
C21D 1/02- 1/84
C21D 9/00- 9/44, 9/50
C23C 8/00-12/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、C:0.13~0.30%、Cr:0.90~2.00%を含有し、
さらに選択的成分として、Si:0.15~0.80%、Mn:0.90%以下、Ni:0.40%以下、
Mo:0.15%以下、Nb:0.01~0.10%、
V:0.20%以下、Ti:0.01~0.05%、B:0.005%以下、Al:0.035%以下、N:0.008%~
0.018%のうち1種以上を含有し、
残部がFeおよび不可避不純物とする化学成分を有する鋼材を用いた機械部品であって、表面の炭素濃度が0.8~1.5%を満たすように浸炭され、さらに最表面を含む層である表面層の組織は球状化炭化物が分散するマルテンサイト組織及び残留オーステナイト組織から成り、アスペクト比が1.5以下の該球状化炭化物数が全炭化物数の90%以上であり、旧オーステナイト粒界上の炭化物に関して、旧オーステナイト粒界上の該球状化炭化物の個数が占める割合は全炭化物数の40%以下である該機械部品の製造方法であり、
該化学成分の該鋼材から形成された素材を準備する工程と、
該素材に対して、加熱温度を850~1050℃とし、該素材の表面の炭素濃度が0.8~1.5%を満たすように浸炭して該素材表面に表面層を形成する工程と、
該表面層におけるA
cm点(℃)より高い温度から、A
1点(℃)よりも50℃以上低い温度である冷却終了温度までの温度範囲を平均5℃/sec以下の速度で冷却してパーライト組織もしくはベイナイト組織とする工程と、
該素材の該表面層におけるA
cm点(℃)以下の加熱温度で球状化焼なましして該パーライト組織若しくは該ベイナイト組織中の炭化物を球状化する工程と、
該素材の該表面層におけるA
cm点(℃)以下に加熱してから焼入れしてマルテンサイト組織を形成し、次いで焼戻しする工程、
を経る機械部品の製造方法。
【請求項2】
該旧オーステナイト粒界上の該球状化炭化物は、粒径の大きさの90%以上が粒径1μm以下である、
請求項1に記載の機械部品の製造方法。
【請求項3】
該旧オーステナイト粒界の粒径が15μm以下である、請求項2に記載の機械部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高面圧が負荷される機械構造用鋼からなる部品に用いられる、耐ピッチング特性および靱性に優れる機械部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械部品、例えば、歯車やシャフトなどの高面圧を受ける部品は、鋼材を熱間鍛造、冷間鍛造、切削などの工法により部品形状に成形したのち、ガス浸炭や真空浸炭など浸炭処理を施してから使用に供されている。さらに必要に応じて、研削やショットピーニングなどの追加処理を施す場合がある。浸炭処理は鋼をオーステナイト化温度以上の高温に加熱することで、鋼に対する炭素の固溶限を高めた状態にしたのち、鋼部品の表面から炭素を内部に侵入させる処理である。
【0003】
一般的には、浸炭により鋼部品の表面に0.7~0.8%の炭素を侵入させる。その後、浸炭温度から直接的に焼入れするか、浸炭温度から一般的な焼入れ温度まで冷却してから焼入れするか、もしくは、浸炭処理後にいったん冷却し再加熱してから焼入れする、といった処理手順での焼入れ、およびそれに続く焼戻しが行われる。
それとは対照的に、浸炭状態の鋼部品と同様の熱履歴のみを与えると、鋼中の炭素はオーステナイト中への固溶限の制限により、鋼中に固溶できないものが炭化物として鋼中に残存する。このような鋼中に残存した炭化物は、粒界に析出すると、靱性に対して悪影響がある。
【0004】
近年、燃費の向上を目的とした、自動車などのトランスミッションに代表される駆動系ユニットの小型軽量化に伴い、歯車やシャフト類への負荷は益々増大する傾向にある。特に歯車では、歯面のピッチング発生による短寿命化や歯元折損の可能性がある。
【0005】
これらの問題に対して、歯車の歯面の耐ピッチング性を高める技術として、準高温から高温においても分解しにくい炭化物、例えばFe3CであるセメンタイトやM23C6型の炭化物などを積極的に析出させて硬度を高め、焼戻し軟化抵抗性の向上を志向した高濃度浸炭法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
鋼部品の表面の炭素濃度を1.2%以上の高濃度にすることで、炭化物を微細かつ大量に析出させ、さらに焼戻し軟化抵抗性の向上を志向する、高濃度浸炭法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
これらの高濃度浸炭法は、粒界に粗大な炭化物が析出することにより、靱性に対する悪影響を及ぼすことが指摘されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照。)。
【0006】
特許文献3では、高濃度浸炭を行った後、パーライト変態を起こす冷却速度で空冷による徐冷を行って、表層の組織をパーライトと成し、しかる後にパーライト組織中のセメンタイトを細かく分断させることで、炭化物中に、1μm以下の炭化物が90%以上を占める微細炭化物として生じせしめる、加熱および冷却条件によって、高周波焼入れを行う製造方法が提案されている。
【0007】
特許文献3では、高周波焼入れの短い時間でパーライト組織中の層状の細くかつ長く伸びたセメンタイトを分断させるので、アスペクト比が1.5以下の球状化セメンタイトの割合は低いものとなっている。靱性の観点からすると、いまだ十分なものとはいえないものであった。特許文献4による場合も、同様に靱性の点でいまだ十分とはいえなかった。
【0008】
一方、特許文献5では、質量%で、Cの含有量が0.55~1.10%と、炭素を多く含有する鋼であって、焼入れ後の組織がマルテンサイト組織と球状化炭化物の二相組織からなり、全セメンタイトに占める球状化セメンタイト率や、旧オーステナイト粒界上のセメンタイト率を制御することによる高硬度かつ靱性に優れた鋼が提案されている。この鋼の炭素濃度は、浸炭法による処理を行った後の鋼部品の表面炭素濃度とほぼ同じである。ところが、この鋼では、鋼部品内部まで炭素濃度が高いために、浸炭法により処理された内部の炭素濃度が低い鋼部品に比べると、十分な靱性が得られない場合があるなど、硬度とのバランスをはかりつつも、さらにより靱性を高めることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2002-348615号公報
【文献】特開2006-161141号公報
【文献】特開2010-90437号公報
【文献】特開2016-50350号公報
【文献】特開2017-57479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願の発明が解決しようとする課題は、高面圧が負荷される部品として用いるための、耐ピッチング特性及び靱性に優れた機械部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、質量%で、C:0.13~0.30%、Cr:0.90~2.00%を含有し、さらにSi、Mn、Ni、Mo、Nb、V、Ti、B、Al、Nのうち1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼材で形成された素材を準備する工程と、該素材に対して、加熱温度850~1050℃とし、
該素材の表面層の炭素濃度が0.8~1.5%を満たすように該素材を浸炭する工程と、
該素材の表面層におけるAcm点(℃)より高い温度から、A1点(℃)よりも50℃以上低い温度である冷却終了温度までの温度範囲を平均5℃/sec以下の速度で冷却して、該表面層をパーライト組織もしくはベイナイト組織とする工程と、
該表面層におけるAcm点(℃)以下の加熱温度で球状化焼なましして該パーライト組織もしくは該ベイナイト組織の炭化物を球状化する工程と、
該素材の該表面層におけるAcm点(℃)以下に加熱してから焼入れし、次いで焼戻しする工程、
を経る機械部品の製造方法である。
【0012】
本発明の第2の手段は、質量%で、C:0.13~0.30%、Cr:0.90~2.00%を含有し、さらにSi、Mn、Ni、Mo、Nb、V、Ti、B、Al、Nのうち1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物とする化学成分を有する鋼材を用いた機械部品であって、表面の炭素濃度が0.8~1.5%を満たすように浸炭され、さらに最表面を含む層である表面層における組織は球状化炭化物が分散するマルテンサイト組織及び残留オーステナイト組織から成り、アスペクト比が1.5以下の球状化炭化物
が全炭化物の90%以上であり、旧オーステナイト粒界上の炭化物に関して、旧オーステナイト粒界上の球状化炭化物の個数が占める割合は全炭化物数の40%以下である機械部品の製造方法であり、
該化学成分の鋼材から形成された素材を準備する工程と、
該素材に対して、加熱温度を850~1030℃とし、該表面層の炭素濃度が0.8~1.5%を満たすように浸炭する工程と、
該表面層におけるAcm点(℃)より高い温度から、A1点(℃)よりも50℃以上低い温度である冷却終了温度までの温度範囲を平均5℃/sec以下の速度で冷却してパーライト組織もしくはベイナイト組織とする工程と、
該表面層におけるAcm点(℃)以下の加熱温度で球状化焼なましして該パーライト組織もしくはベイナイト組織中の炭化物を球状化する工程と、
該素材の該表面層におけるAcm点(℃)以下に加熱してから焼入れしてマルテンサイト組織を形成し、次いで焼戻しする工程、
を経る機械部品の製造方法である。
【0013】
本発明の第3の手段は、さらに旧オーステナイト粒界上の該球状化炭化物は、その大きさの90%以上が粒径1μm以下である機械部品である前記第2の手段に記載の機械部品の製造方法である。
【0014】
本発明の第4の手段は、さらに旧オーステナイト粒界は平均粒径の大きさが15μm以下である機械部品である前記第3の手段に記載の機械部品の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の手段に記載の製造方法によると、上記手段に記載の鋼材を用いて高面圧が負荷される機械部品に用いるための耐ピッチング特性および靱性に優れる機械部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の製造方法の工程を示す模式図である。
【
図2】実施形態の製造方法の工程手順を示すフローチャートである。
【
図3】本発明により製造された機械部品の一例の断面図である。
【
図4】本発明により製造された機械部品の一例の表面層の組織図である。
【
図5】(a)はローラーピッチング試験片の形状を示す図で、(b)はローラーピッチング試験の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明を実施するための形態を記載するに先立って、本願における浸炭処理前の機械構造用鋼の鋼材の化学成分の限定の理由および本願の発明における工程の限定の理由について説明する。
【0018】
C:0.13~0.30%
Cは、鋼部品の芯部の焼入性、鍛造性および機械加工性に影響する元素である。そして、Cが0.13%未満では十分な芯部の硬さが得られず、強度が低下するので、Cは0.13%以上の添加が必要であり、望ましくは、0.16%以上の添加がよい。一方、Cは、多いと、素材の硬さを増加し、被削性および鍛造性などの加工性を阻害する元素であるから、Cが過多になると、素材の芯部硬さが過剰となり、靭性が劣化する。そこで、Cは0.30%以下にする必要があり、望ましくは0.28%以下にするとよい。したがって、Cは0.13~0.30%とし、望ましくは0.16~0.28%とする。
【0019】
Cr:0.90~2.00%
Crは、焼入性を向上させる元素であり、また、球状化焼なましによる炭化物の球状化を容易にする元素である。これらの効果を得るためには、Crは0.90%以上が必要であり、望ましくは1.00%以上とするとよい。一方、Crは、過剰に添加するとセメンタイトが脆くなり、靭性を劣化させる元素である。また、Crは多いと、浸炭阻害を起こし、素材硬さの低減につながるほか、浸炭時に粗大炭化物を形成し、耐ピッチング性の低下につながる元素である。そこで、Crは2.00%以下にする必要があり、望ましくは1.90%以下にするとよい。したがって、Crの含有量は0.90~2.00%とし、望ましくは1.50%より大きく1.90%以下とする。
【0020】
本発明の製造方法により耐ピッチング特性と靱性に優れる機械部品を得るためには、炭化物の形状と分布の制御が重要となる。炭化物は、主体がセメンタイト(Fe3C)であり、更に、M23C6型炭化物(主にCr23C6)、(FeCr)3Cを含んでもよい。炭化物の主要構成元素はFe、Cr、Cであることから、CとCrが炭化物の形状や分布に大きく影響する。そこで、本発明では、鋼に添加されるCとCrの成分について、上記のとおり規定している。
他方、他の添加元素については、本発明において重要な炭化物の形成や分布に関しては、CやCrほどには影響を大きく与えるものではない。そこで、以下の選択的成分については、機械構造用肌焼き鋼として一般的な添加量であれば適用できる。
【0021】
(選択的成分)
Si、Mn、Ni、Mo、Nb、V、Ti、B、Al、Nのうち1種以上
Si、Mn、Ni、Mo、Nb、V、Ti、B、Al、Nについては、要求される用途に応じて、そのうち1種以上を選択して使用する元素である。
なお、これらの成分が選択的成分として添加される場合には、たとえば、以下のような範囲であることが望ましい。
【0022】
Siを含有する場合は0.15~0.80%が望ましい。
Siは、鋼部品の焼戻し軟化抵抗性を高め、ピッチング特性向上にも有効な元素である。さらに、Si添加量が0.15%以上になると、粒界酸化深さが低減するので、ピッチング特性の向上には、Siは0.15%以上である必要がある。一方、Siは多いと、浸炭阻害を起こし、耐ピッチング強度劣化につながる元素である。そこで、Siは0.80%以下にする必要がある。
【0023】
Mnを含有する場合は0.90%以下が望ましい。
Mnは、多いと靭性を低下させる元素である。そこで、Mnは0.90%以下にする必要がある。
【0024】
Pは0.030%以下が望ましい。
Pは、鋼中に不可避的に含有される不純物元素であり、粒界に偏析し、靭性を劣化させる元素である。そこで、Pは0.030%以下にする必要がある。
【0025】
Sは0.030%以下が望ましい。
Sは、鋼中に不可避的に含有される不純物元素であり、Mnと結びついてMnSを形成し、靭性を劣化させる元素である。そこで、Sは0.030%以下にする必要がある。P、Sなどを含めた不可避不純物の総量は1.0%未満に規制することが望ましい。
【0026】
Alを含有する場合は0.020%以上が望ましい。
Alは、Nと結合してAlNを生成するため、結晶粒の粗大化の抑制に有効な元素である。結晶粒の粗大化は、靱性を劣化させる。そこで、Alは0.020%以上にする必要がある。
【0027】
Nを含有する場合は0.008%以上が望ましい。
Nは、鋼中でAl窒化物やNb窒化物といった窒化物として微細に析出し、鋼部品の靭性などの強度を低下させる要因となる結晶粒の粗大化の抑制に有効な元素である。その効果を得るためには、Nは0.008%以上にする必要がある。
【0028】
Ni、Mo、VやBは靭性を向上させるためには有効な元素である。
【0029】
Bを含有する場合は、Tiを0.01~0.05%とすることが望ましい。
Tiは、B添加時に、Bによる焼入性の改善効果を発揮させる元素である。その焼入性の改善のためには、窒素とTiを結合させてTi窒化物を形成させる必要がある。そこで、Tiを0.01%以上添加する。なお、このTiの添加量はNの添加量の3.4倍以上であることが望ましい。
【0030】
Nbを含有する場合は0.01~0.10%が望ましい。
Nbは、浸炭時に炭化物または炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化させるのに有効な元素である。また、Nbは結晶粒を微細化することで、粒界酸化の深さを浅くするとともに、粒界酸化となるき裂が生成した際にもき裂長さが短くなる。しかし、Nbが0.01%未満では、き裂長さが小さくなる効果は得られない。一方、Nbは0.10%を超えると結晶粒微細化の効果は飽和する。
【0031】
本発明の製造方法の素材材料に用いられる鋼材は、質量%で、C:0.13~0.30%、Cr:0.90~2.00%を含有し、さらにSi、Mn、Ni、Mo、Nb、V、Ti、B、Al、Nのうち1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる。
【0032】
本発明の機械部品は、以下の各工程を含む手順にて製造することができる。手順の一例を、時間と処理温度の関係を示す線として
図1に模式的に示す。
(i)鋼材より機械部品形状の素材を準備する工程と、
(ii)素材に対し、加熱温度850~1050℃とし、素材の表面層の炭素濃度が質量%で0.8~1.5%を満たすように浸炭する工程と、
(iii)素材の表面層におけるA
cm点(℃)より高い温度から、A
1点(℃)よりも50℃以上低い温度である冷却終了温度までの温度範囲を平均5℃/sec以下の速度で冷却してパーライト組織もしくはベイナイト組織とする工程と、
(iv)素材の表面層におけるA
cm点(℃)以下の加熱温度で球状化焼なましする工程と、
(v)素材の表面層におけるA
cm点(℃)以下に加熱してから焼入れし、次いで焼戻しする工程を含む。
以下にこれらの工程の理由を個別に説明する。
【0033】
図2に処理工程のフローチャートを示す。
(i) 鋼材より機械部品形状の素材を準備する工程
鋼材を鍛造などで粗成形し、機械加工により目的の機械部品と同じ形状の素材を成形する。機械部品1の一例の歯車断面を
図3に示す。素材は、以下の工程を経て、機械部品1とされる。
【0034】
(ii) 素材に対し、加熱温度を850~1050℃とし、素材の表面層の炭素濃度が0.8~1.5%を満たすように浸炭する工程
工程(ii)を経た素材は、芯部4と、芯部4の表面を被覆する浸炭層2と、より構成される。浸炭層2は、素材の表面側に表面層3を持つ。表面層3は最表面から少なくとも0.3mmの深さをもつ。本願の工程の効果を得るためには、加熱温度はAcm点(℃)より高い温度である必要がある。素材の加熱温度が高いほど、短時間で所定の炭素濃度まで浸炭することができる。素材の加熱温度が高すぎると加熱炉の寿命を低下させる。そこで、素材の加熱温度を850~1050℃とする。
素材の表面層3の炭素濃度が0.8%未満では、目的とする炭化物を十分に析出させることができにくい。一方、素材の表面層3の炭素濃度が1.5%を超えると、オーステナイト粒界上にアスペクト比が1.5を超える炭化物を形成し、靭性が低下する。そこで、表面層3の炭素濃度を0.8~1.5%を満たすように浸炭する。
炭素濃度が低いほど靱性の観点から好ましく、高いほど硬さの観点から好ましいことから、双方のバランスをはかって、表面層3の炭素濃度は、0.85~1.20%であれば、更に好ましい。
表面層3の炭素濃度とは、素材の表面から0.3mmの深さまでの範囲の領域での平均炭素濃度を意味する。浸炭の方法は、ガス浸炭、真空浸炭あるいは浸炭窒化のいずれかによる方法でもよい。
なお、冷却の際にはそれに続く工程で処理するか、いったん任意に冷却し、再度所定の加熱温度まで加熱した後、それに続く工程で処理するかは、どちらでも良い。
【0035】
(iii) 表面層3におけるA
cm点(℃)より高い温度から、A
1点(℃)よりも50℃以上低い温度である冷却終了温度までの温度範囲を平均5℃/sec以下の速度で冷却する工程
本願の工程の効果を得るためには、炭化物を適度な大きさおよび適度な面積率で分布しておく必要がある。そのためには、浸炭後に、焼入れすることなく部品素材をいったん冷却した後、所定の熱処理を行う必要がある。
上記の工程とする理由は、浸炭中に部品素材中に過飽和に固溶したCの一部を、炭化物として析出させるためである。冷却後の表面層の組織はパーライト組織もしくはベイナイト組織より成る。
そこでこれらの温度領域間での冷却速度を、平均5℃/sec以下とする。平均5℃/secよりも速い冷却速度で冷却された場合は、マルテンサイトが生成することにより、炭化物が過飽和に固溶したまま冷却されるため、それに続く工程で十分な大きさの炭化物が殆ど析出せず、かつ析出しても微細に留まるため、炭化物の成長が不十分であり、所望の靭性や耐ピッチング性が得られないこととなる。
本工程の冷却をする際には、いったん室温まで冷却するか、
図1に示されるように表面層3におけるA
1点を下回った後に、それに続く工程へと進めるかは、どちらでもよい。
【0036】
(iv) 素材の表面層3におけるAcm点(℃)以下の加熱温度で球状化焼なましする工程
本願の工程の効果を得るためには、炭化物を適度な大きさに成長させ、適度な面積率で分布しておく必要がある。そのためには、Acm点(℃)以下の加熱温度で球状化焼なましする必要がある。なお、Acm点とは、加熱時、過共析鋼中の炭化物が完全に溶解する温度のことである。
上記の工程とする理由は、仮に、表面層3にAcm点(℃)以上の加熱温度で、球状化焼なましを行うと、炭化物が全て素材中に固溶してしまうために、本願の工程の効果を得ることができないからである。
なお、本工程の冷却をする際には、いったん室温まで冷却するか、Ar1点を下回った後に、それに続く工程に進めるかは、どちらでもかまわない。
【0037】
(v) 素材の表面層3におけるAcm点(℃)以下に加熱してから焼入れし、次いで焼戻しする工程
本願の工程の効果を得るためには、炭化物を適度な大きさに成長させ、適度な面積率で分布しておく必要がある。また、機械部品1として使用可能な硬さを得る必要がある。そのために、熱処理炉で再加熱してから焼入れすることが必要である。
そこで、上記の工程とする理由は、表面層5におけるAcm点(℃)を超える加熱温度で焼入を行うと、炭化物が素材中に固溶してしまうために、本願の工程の効果を得ることができないからである。したがって加熱温度はできるだけ低い方が望ましい。一方で、加熱温度が低すぎると、機械部品1の芯部領域において、芯部が完全にオーステナイト化せず部分的に軟質なフェライトが残存し、疲労強度が低下するため、芯部のAr3点(℃)よりも高い温度で焼入を行うのが望ましい。
【0038】
さて、上記の工程を含む製造方法で得られる機械部品のさらなる特性について以下に詳述する。
【0039】
(イ) 表面層3は球状化炭化物5が分散したマルテンサイト組織7及び残留オーステナイト組織7から成り、アスペクト比が1.5以下の球状化炭化物5が全炭化物の90%以上の機械部品1が得られること
球状化炭化物5の長径/短径の比で定義するアスペクト比は、球状化の指標である。そして、アスペクト比が大きな形状の、例えば板状あるいは柱状に近い形状の炭化物は、その形状に起因して変形時に応力集中源となり、さらに、き裂発生の起点となって靭性を低下させる。そこで、靭性向上の観点から、炭化物は球状に近いことが望ましい。そして、球状化炭化物5のアスペクト比が1.5以下であれば、き裂発生の起点となる有害性を下げることができる。
そこで、アスペクト比が1.5以下の球状化炭化物5の割合が大きいほど好ましい。本発明の製造方法によると、アスペクト比が1.5以下の球状化炭化物5は全炭化物数の90%以上を得ることができ、さらに望ましくは95~100%とすることもできる。
【0040】
(ロ) 旧オーステナイト粒界6上の炭化物に関して、旧オーステナイト粒界6上の球状化炭化物の個数が占める割合は全炭化物数の40%以下とできること
本発明の手段の鋼材の成分組成は、浸炭による機械部品の表面領域における炭素濃度からみて過共析の範囲である。そして、過共析鋼において耐衝撃特性を劣化させる脆性破壊の形態は、主に旧オーステナイト粒界5に沿った粒界破壊である。この原因となるのは、旧オーステナイト粒界6上の炭化物、すなわち特に粒界に沿った編目上の炭化物、であり、この粒界に析出して存在する炭化物は粒内の炭化物よりも破壊の起点となり易くかつ有害性が高い。したがって、このような炭化物が粒界上に存在すると好ましくない。そこで、本発明の製造方法により、旧オーステナイト粒界上の球状化炭化物の個数が占める割合は全炭化物の40%以下とすることができる。また、望ましくは20%以下、さらに望ましくは5%以下から0%とすることもできる。
【0041】
(ハ) 旧オーステナイト粒界6上の球状化炭化物5は、粒径の大きさの90%以上が粒径1μm以下とできること
炭化物が旧オーステナイト粒界上に存在することは好ましくない。特に、粒界に沿った網目状の炭化物やそれに類似するような粗大な炭化物は粒界破壊の起点となる危険が増加する。本発明によると、球状化炭化物5は、有害性の低い粒径1μm以下の粒径の大きさのものが90%以上とできる。さらに、望ましくは95~100%とすることもできる。
なお、ここでいう%とは、走査型電子顕微鏡の5000倍程度で観察できる炭化物の全個数を100%とした時の割合である。上記の倍率で観察できない非常に微細な炭化物は靭性に与える影響が小さいため考慮しない。
図4では、旧オーステナイト粒界上の球状化炭化物は大きさが小さいため、表れておらず、図示されていない。
【0042】
(ニ) 旧オーステナイト粒界6は、粒径の大きさが15μm以下であること
旧オーステナイト粒界6の差渡しの大きさである粒径Aは、微細化することで、粒界破壊もしくはへき開破壊の破面単位を小さくすることができ、破壊に要するエネルギーを大きくすることができるので、靭性を向上させることができる。そこで、結晶粒径の微細化は硬度を下げることなく靭性を向上させる方法として非常に有効である。
本願の製造方法は、その微細な炭化物を析出させた状態で最終の焼入れを行い、その際、比較的低温で焼入れを行うことによって、旧オーステナイト粒界6の粒径Aを微細に維持することができる。
なお、一方、旧オーステナイト粒界6の粒径Aが15μmを超えると、靱性を向上させる効果が小さくなる。特に、浸炭時の加熱温度を1050℃以上にすることは、たとえ最終の焼入れを行ったとしても、旧オーステナイト粒界6を粗くしてしまう。そこで、旧オーステナイト粒界6の粒径Aは、大きさが15μm以下とできることが有用である。
【0043】
次いで、発明を実施するための形態について、実施例を用いて説明する。なお、化学成分における、%は質量%である。
【0044】
表1に示す化学成分を有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼を、100kg真空溶解炉で溶製した。これらの鋼を1250℃で、直径32mmの棒鋼に鍛伸した後、925℃で1時間の焼ならしを行った。
供試材のうち、供試材No.1~6は本願請求範囲の化学成分を有する。供試材No.7~9は本願請求範囲の化学成分から外れる。
そして、
図5の(a)に示すローラーピッチング試験片(小ローラー)(1)の粗形に加工(粗加工)した。この粗加工の際には、試験部(2)の仕上げ加工を実施しており、つかみ部(3)のみ、以降の熱処理後に研削仕上げを行うために、片肉0.2mmの余肉を付与した。また、10RCノッチのシャルピー衝撃試験片(1)の粗形に加工した。粗加工の際には、ノッチ面以外について以降の熱処理後に浸炭層を除去する加工を行うために片肉2mmの余肉を付与した。
【0045】
【0046】
次に、表1に示す供試材No.のそれぞれについて、表2に示す加熱条件で試験片の表面炭素濃度が表2となるようにガス浸炭を実施し、その後、表2に示す冷却速度で、200℃以下まで冷却した。次に表2に示した再加熱温度で保持する球状化焼なましを実施した。更に、表2に示した再加熱温度で保持後、焼入れを行い、その後、180℃で1.5時間保持した後に空冷する焼き戻しを実施して、ローラーピッチング試験片(小ローラー)(1)とシャルピー衝撃試験片にそれぞれ仕上げた。
実施鋼部品No.および比較鋼部品No.の数値の2桁目の値は、表1の供試材No.の成分組成に相当することを意味している。
(たとえば表2の実施鋼部品No.11およびNo.12は2桁目の値が1であるから、表1の供試材No.1の成分組成のものに対する熱処理条件を示すものであり、表2の実施鋼部品No.21およびNo.22は、2桁目の数値が2であるから、表1の供試材No.2の成分組成のものに対する熱処理条件を示している。)
また、表2における実施鋼部品No.および比較鋼部品No.の数値の1桁目の値は、1桁目の値が1ないし2の場合は、本願請求範囲の熱処理条件を充足している場合を意味しており、1桁目が3ないし4の場合は本願請求範囲の熱処理条件から外れることを意味している。
(たとえば、表2の比較鋼部品No.71は、2桁目の数値が7であるから、表1の供試材No.7のように本願の成分範囲から外れた成分組成のものを、1桁目の値が1であるから、本願請求範囲内の熱処理条件で処理していることを示している。また、表2の比較鋼部品No.23は、2桁目の値が2であるから、供試材No.2の成分組成のものであって、1桁目が3であるから、本願請求範囲から外れた熱処理条件で処理していることを意味している。)
【0047】
【0048】
次に、上記で作製した、
図5の(a)に示すローラーピッチング試験片(小ローラー)(1)と、すべりを付与した状態で油膜を介して小ローラーと接触させる
図5の(b)に見られる大ローラー試験片(4)とを用いて、表3に示す条件で、
図5(b)に示すローラーピッチング試験を行った。示された条件の中で、滑り率が-40%とは、小ローラーの周速度に対して大ローラーの周速度が40%遅いことを意味する。潤滑油のATF(Automatic Transmission Fluid)とは、車両の自動変速装置に使用される潤滑油を意味する。大ローラークラウニング量が150Rとは、小ローラーと当接する大ローラー外周面の回転軸方向の形状が半径150mmの円弧であることを意味する。
【0049】
【0050】
ローラーピッチング試験は、振動計を用いて、剥離および変形過多による振動過多を検出し、試験停止する仕様とし、試験停止サイクルを試験片の寿命値とした。また、靭性評価のための室温でのシャルピー衝撃試験を行った。
【0051】
なお、結晶粒度の調査は、上記の焼戻しまでを完了したローラーピッチング試験片(小ローラー)(1)を切断して試片とし、表層から内部にかけての断面が観察できるようにこの試片を樹脂中に埋込を行ってから、被検部位の鏡面研磨を行ない、粒界腐食を行ってから、光学顕微鏡により最表面から表面下0.3mmまでの範囲にかけての平均的な視野を撮影し、平均結晶粒径(直径)を求めた。
【0052】
また、炭化物の観察については、上記と同様に試片を樹脂中に埋込みを行なってから、被検部位の鏡面研磨の後、ナイタールで腐食し、走査型電子顕微鏡により最表面から表面下0.3mmまでの範囲にかけての平均的な視野を撮影し、
図4に示す炭化物を識別して示すミクロ組織の画像を得た。識別した炭化物について、画像解析により炭化物のアスペクト比が1.5以下の炭化物率(%)、旧オーステナイト粒界上の炭化物の個数率(%)、旧オーステナイト粒界上の粒径1μm超えの炭化物率(%)、旧オーステナイト粒界の平均粒径(μm)をそれぞれ確認した。
なお、焼戻し後に、切削、研削、研磨、ショットブラスト、ショットピーニング、ハードショットピーニング、微粒子ショットピーニングのいずれか1種または複数種の表面処理を行う場合には、その処理面を表層として上記と同様の観察を行うものとする。
【0053】
上記の試験結果を表4に示す。シャルピー衝撃値と耐ピッチング性は、比較鋼部品No.81を基準とした。比較鋼部品No.81は、表1の供試材No.8の成分組成であり、これはJIS規定のSCr420に相当する鋼である。すなわち、表4の各No.の鋼のシャルピー衝撃値は、SCr420に相当する鋼を用いて製造した比較鋼部品No.81のシャルピー衝撃値の値を基準として相対的な比として示したものである。そして、シャルピー衝撃値比が比較鋼部品No.81に比して1.5以上を示すならば、その鋼部品の靭性は良好であるとした。
また、表4の各No.の鋼部品の耐ピッチング性は、比較鋼部品のNo.81のピッチング発生までの、サイクル数を1としたときの比でもって、表4に示している。このとき、ピッチング発生までのサイクル数比が2.0以上あれば、耐ピッチング性が良好であるとした。
【0054】
【0055】
表1、表2に示すように、表1の成分組成の供試材No.1~7(本願の成分組成範囲内の鋼)を用いて、表2に記載の850~1030℃の温度で加熱し、表面層炭素濃度が0.8~1.5%となるように浸炭した後、0.2~5.0℃/sで200℃まで冷却し、その後、810~860℃まで再加熱して保持する球状化焼なまし後、150℃で焼き戻したものを実施鋼部品No.11~62とした。
このとき、表4に示すように、まず、アスペクト比が1.5以下の炭化物が実施鋼部品No.11~62では90~98%と、90%以上を示した。すなわち、アスペクト比の大きな炭化物は、変形時に、その形状に起因して応力集中源となり、き裂発生の起点となり靭性を低下させるが、そうした炭化物が少ないことから、靱性が低下せず、向上している。
【0056】
また、実施鋼部品No.11~62について、旧オーステナイト粒界上の球状化炭化物5の個数が占める割合は全炭化物数の11~40%で、40%以下となった。また、供試材No.1~7(本願の成分組成範囲内の鋼)では、粒径の大きさが粒径1μmを超えた旧オーステナイト粒界上の球状化炭化物5は3~7%であり、すなわち、旧オーステナイト粒界上の球状化炭化物5は、粒径の大きさの90%以上が粒径1μm以下であった。旧オーステナイト粒界に析出して存在する炭化物(特に粒界に沿った網目状の炭化物)は、粒内の炭化物よりも破壊の起点となり易くかつ有害性が高いところ、本発明では粒界上の炭化物が40%以下に低減されており、有害性が小さい1μm以下のものが90%以上を占めた。
【0057】
また、実施鋼部品No.11~62の旧オーステナイト粒界は粒径の大きさは、4~8μmであった。旧オーステナイト粒径は、微細化することで、粒界破壊もしくはへき開破壊の破面単位を小さくすることができ、破壊に要するエネルギーを大きくすることができるため、靭性を向上させることができるのであるから、本発明鋼を用いた機械構造用鋼部品は、靱性が向上している。
そして、実施鋼部品No.11~62は、比較鋼部品No.81を1.0としたシャルピー衝撃比が1.6~2.5であり、1.5以上と高い靱性を示した。
同様に、実施鋼部品No.11~62は、比較鋼部品No.81を1.0とした場合のピッチング発生までのサイクル数の比が、2.2~2.9を示し、耐ピッチング性が良好であった。
このように、本発明の製造方法で製造された機械部品は、いずれも耐ピッチング特性と靱性に優れるものとなる。
【0058】
本発明の実施形態について上記のように説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 歯車(機械部品)
2 浸炭層
3 表面層
4 芯部
5 球状化セメンタイト(球状化炭化物)
6 旧オーステナイト粒界
7 マルテンサイト組織または残留オーステナイト組織
8 ローラーピッチング試験片(小ローラー)
9 試験部
10 つかみ部
11 大ローラー試験片
A 粒径