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特許7271443半導体処理で使用するための静電チャック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】半導体処理で使用するための静電チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230501BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230501BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019566224
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 US2018034998
(87)【国際公開番号】W WO2018222635
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】15/612,423
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴム・トロイ・アラン
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213456(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0081717(KR,A)
【文献】特開2003-124296(JP,A)
【文献】特表2014-505362(JP,A)
【文献】特開2005-018992(JP,A)
【文献】特開2016-213463(JP,A)
【文献】特表2002-512448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理するための半導体基板処理装置であって、
半導体基板が処理され得る処理ゾーンを含む真空チャンバと、
前記真空チャンバと流体連通し、前記真空チャンバの中にプロセスガスを供給するためのプロセスガス源と、
前記プロセスガス源からのプロセスガスが、前記真空チャンバの前記処理ゾーンに供給される際に通過するシャワーヘッドモジュールと、
処理中に半導体基板を支持するように構成されている上面を有するセラミック材料製のプラテン、及び、前記プラテンを支持する上部ステムフランジを有するセラミック材料製のステムを含む静電チャックを含む、基板台座モジュールと、を備え、
前記プラテンは、前記プラテン内に埋設されている同一平面の電極を含み、前記同一平面の電極は、外側RF電極、第1内側静電クランプ電極及び第2内側静電クランプ電極を含み、前記外側RF電極は、リング状電極、及び前記リング状電極から前記プラテンの中央部分まで延びる少なくとも1つの半径方向に延びる供給ストリップを含み、前記プラテンは前記外側RF電極の半径方向に延びる少なくとも一つの供給ストリップと電気的に接続されている第1の端子と、前記第1内側静電クランプ電極と電気的に接続されている第2の端子と、前記第2内側静電クランプ電極と電気的に接続されている第3の端子とを備え
前記第1、第2及び第3の端子は、前記プラテン内の開口部を通って軸線方向に延び、前記第2及び第3の端子は、前記第1の端子の位置を通る対角線に沿って整列されている、半導体基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体基板処理装置であって、前記第1内側静電クランプ電極は、前記リング状電極の内側に第1のD字形内側静電クランプ電極を含み、前記第2内側静電クランプ電極は、前記リング状電極の内側に第2のD字形内側静電クランプ電極を含み、前記半径方向に延びる供給ストリップは、前記プラテンを対角線状に横切って延び、180°離れた2つの位置において前記リング状電極に接続され、前記第1及び第2のD字形内側静電クランプ電極は、前記半径方向に延びる供給ストリップを挟んで対向する、半導体基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体基板処理装置であって、前記第1の端子はプラテンの中心に位置し、前記第2の端子は前記第1の端子から半径方向にオフセットし、前記第3の端子は前記第1の端子から半径方向にオフセットしている、半導体基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体基板処理装置であって、(a)前記プラテンは窒化アルミニウムで作製され、前記同一平面の電極はタングステンで作製され、(b)前記プラテンはリフトピンを収容するように構成されている3つの貫通孔を含み、及び/又は(c)前記プラテンは少なくとも300mmの直径を有する、半導体基板処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体基板処理装置はさらに、前記同一平面の電極の下方において前記プラテンに内に埋設されている抵抗加熱器を備え、前記抵抗加熱器の各々は、前記プラテンの下側から延びる一以上の第4の端子に接続され、前記第1、第2、第3および一以上の第4の端子は、前記ステムの内側に位置する軸線方向に延びる供給ロッドに接続され、前記軸線方向に延びる供給ロッドは、前記ステムが有する中空部の下端を越えて延びている、半導体基板処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体基板処理装置であって、前記プラテンは、前記リング状電極の内側に第1、第2、第3、及び第4の静電クランプ電極を含み、少なくとも1つの半径方向に延びる前記供給ストリップは、前記プラテンを横切って対角線状に延びる2つの供給ストリップを備え、前記供給ストリップの各々は、180°離れた2つの位置において前記リング状電極に接続され、前記供給ストリップは、対角線状に延びる前記供給ストリップの間に位置する前記第1、第2、第3、及び第4の静電クランプ電極と、前記プラテンの前記中央部分において交差している、半導体基板処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体基板処理装置であって、前記リング状電極は、前記第1内側静電クランプ電極の周りに延びるセラミック材料の第1の連続壁と、前記第2内側静電クランプ電極の周りに延びるセラミック材料の第2の連続壁とによって前記第1及び第2内側静電クランプ電極から分離され、前記第1及び第2の連続壁は同じ幅を有し、セラミック材料の前記第1及び第2の連続壁の幅は、半径方向に延びる前記供給ストリップの幅よりも小さい、半導体基板処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体基板処理装置であって、前記同一平面上の電極の下方において前記プラテンに内に埋設されている抵抗加熱器を更に備え、前記抵抗加熱器の各々は、前記プラテン内の開口部を通って軸線方向に延びる一以上の第4の端子に接続されている、半導体基板処理装置。
【請求項9】
半導体基板が処理され得る処理ゾーンを含む真空チャンバ内で半導体基板を処理するために有用な静電チャックであって、
処理中に半導体基板を支持するように構成されている上面を有するセラミック材料製のプラテンと、
前記プラテン内に埋設されている同一平面上の電極と、前記同一平面上の電極は、外側RF電極、第1内側静電クランプ電極、及び第2内側静電クランプ電極を含み、前記外側RF電極は、リング状電極、及び前記リング状電極から前記プラテンの中央部分まで延びる少なくとも1つの半径方向に延びる供給ストリップを含み、
前記外側RF電極の前記半径方向に延びる供給ストリップと電気的に接続されている第1の端子と、
前記第1内側静電クランプ電極と電気的に接続されている第2の端子と、
前記第2内側静電クランプ電極と電気的に接続されている第3の端子と、
を備え
前記第1、第2及び第3の端子は、前記プラテン内の開口部を通って軸線方向に延び、前記第2及び第3の端子は、前記第1の端子の位置を通る対角線に沿って整列されている、静電チャック。
【請求項10】
請求項に記載の静電チャックであって、前記プラテンは、前記リング状電極の内側に前記第1及び第2内側静電クランプ電極を含み、少なくとも1つの前記半径方向に延びる供給ストリップは、前記プラテンを対角線状に横切って延びる単一の供給ストリップを備え、前記単一の供給ストリップは、180°離れた2つの位置において前記リング状電極に接続され、前記第1及び第2内側静電クランプ電極は、前記単一の供給ストリップを挟んで対向する、静電チャック。
【請求項11】
請求項に記載の静電チャックであって、前記プラテンは、前記リング状電極の内側に第1、第2、第3、及び第4の静電クランプ電極を含み、少なくとも1つの前記半径方向に延びる供給ストリップは、前記プラテンを横切って対角線状に延びる2つの供給ストリップを備え、前記供給ストリップの各々は、180°離れた2つの位置において前記リング状電極に接続され、前記供給ストリップは、対角線状に延びる前記供給ストリップの間に位置する前記第1、第2、第3、及び第4の静電クランプ電極と、前記プラテンの前記中央部分において交差している、静電チャック。
【請求項12】
請求項に記載の静電チャックであって、前記第1の端子はプラテンの中央部分に位置し、前記第2の端子は前記第1の端子から半径方向にオフセットし、前記第3の端子は前記第1の端子から半径方向にオフセットしている、静電チャック。
【請求項13】
請求項に記載の静電チャックであって、前記同一平面上の電極の下方において前記プラテンに内に埋設されている同一平面上の抵抗加熱器を更に備え、前記抵抗加熱器の各々は、前記プラテン内の開口部を通って軸線方向に延びる一以上の第4の端子に接続されている、静電チャック。
【請求項14】
請求項に記載の静電チャックであって、(a)前記プラテンは窒化アルミニウムで作製され、前記同一平面上の電極はタングステンで作製され、(b)前記プラテンはリフトピンを収容するように構成されている貫通孔を含み、及び/又は(c)前記プラテンは少なくとも300mmの直径を有する、静電チャック。
【請求項15】
請求項に記載の静電チャックであって、前記リング状電極は、前記第1内側静電クランプ電極の周りに延びるセラミック材料の第1の連続壁と、前記第2内側静電クランプ電極の周りに延びるセラミック材料の第2の連続壁とによって前記第1及び第2内側静電クランプ電極から分離され、前記第1及び第2の連続壁は同じ幅を有する、静電チャック。
【請求項16】
請求項15に記載の静電チャックであって、セラミック材料の前記第1及び第2の連続壁の幅は、前記半径方向に延びる供給ストリップの幅よりも小さい、静電チャック。
【請求項17】
請求項に記載のプラテンと、前記プラテンの下側に拡散接合されている上端部を有する中空セラミックステムとを含む基板台座モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載の基板台座モジュールであって、前記同一平面上の電極の下方において前記プラテン内に埋設されている抵抗加熱器を更に備え、前記抵抗加熱器の各々は、前記プラテンの下側から延びる一以上の第4の端子に接続され、前記第1、第2、第3および一以上の第4の端子は、前記中空セラミックステムの内側に位置する軸線方向に延びる供給ロッドに接続され、前記供給ロッドは、前記中空セラミックステムの下端を越えて延びている、基板台座モジュール。
【請求項19】
請求項17に記載の基板台座モジュールであって、前記プラテンは、前記リング状電極の内側に前記第1及び第2内側静電クランプ電極を含み、少なくとも1つの前記半径方向に延びる供給ストリップは、前記プラテンを対角線状に横切って延びる単一の供給ストリップを備え、180°離れた2つの位置において前記リング状電極に接続され、前記第1及び第2内側静電クランプ電極は、前記単一の供給ストリップを挟んで対向する、基板台座モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を処理するための半導体基板処理装置に関し、薄膜を堆積するように動作可能なプラズマ強化化学気相堆積処理装置に特定の用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
半導体基板処理装置は、エッチング、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、パルス堆積層(PDL)、プラズマ強化パルス堆積層(PEPDL)、及びレジスト除去を含む技術によって、半導体基板を処理するために使用される。半導体基板処理装置の一種には、上部電極及び下部電極を含む反応チャンバを含むプラズマ処理装置があり、そこでは反応チャンバ内で半導体基板を処理するために、無線周波数(RF)電力が電極間に印加され、プロセスガスをプラズマに励起させる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、半導体基板が処理されてよい処理ゾーンを含む真空チャンバと、真空チャンバの中にプロセスガスを供給するための、真空チャンバと流体連通しているプロセスガス源と、プロセスガス源からのプロセスガスが、真空チャンバの処理ゾーンに供給される際に通過するシャワーヘッドモジュールと、処理中に半導体基板を支持するように構成された上面を有するセラミック材料製のプラテンを含む基板台座モジュールと、プラテンを支持する上部ステムフランジを有するセラミック材料製のステムと、プラテン内に埋設された同一平面上の電極と、を備え、電極は、外側RF電極、及び内側静電クランプ電極を含み、外側RF電極は、リング状電極、及びリング状電極からプラテンの中央部分まで延びる少なくとも1つの半径方向に延びるリード線を含み、プラテンのセラミック材料及び電極は、単一の焼結ステップで作製された単一構造体からなる、半導体基板を処理するための半導体基板処理装置が開示される。
【0004】
一実施形態によると、プラテンは、リング状電極の内側に第1及び第2のD字形静電クランプ電極を含み、半径方向に延びるリード線は、プラテンを対角線状に横切って延び、180°離れた2つの位置において、リング状電極に接続され、第1及び第2のD字形電極は、半径方向に延びるリード線を挟んで対向する。プラテンは、プラテンの中心にある第1の端子、第1の端子から半径方向にオフセットした第2の端子、及び第1の端子から半径方向にオフセットした第3の端子を含むことができ、第1の端子はリング状電極の半径方向に延びるリード線に電気的に接続され、第2の端子は第1のD字形電極に電気的に接続され、第3の端子は第2のD字形電極に電気的に接続されている。第1、第2、及び第3の端子は、プラテン内の開口部を通って軸線方向に延びることができ、第2及び第3の端子は、第1の端子の位置を通る対角線に沿って整列させることができる。
【0005】
別の構成では、プラテンは、リング状電極の内側に第1、第2、第3、及び第4の静電クランプ電極を含むことができ、少なくとも1つの半径方向に延びる供給ストリップは、プラテンを横切って対角線状に延びる2つの供給ストリップを含み、各供給ストリップは、180°離れた2つの位置においてリング状電極に接続され、供給ストリップは、対角線状に延びる供給ストリップの間に位置する第1、第2、第3、及び第4の静電クランプ電極と、プラテンの中央において交差している。
【0006】
プラテンは任意の好適なセラミック材料で作製することができ、電極は任意の好適な導電性材料で作製することができる。例えば、プラテンは窒化アルミニウムで作製することができ、電極はタングステンで作製することができる。プラテンは、リフトピンを収容するように構成された3つの貫通孔を含むことができ、プラテンは少なくとも300mmの直径を有することができる。
【0007】
静電クランプ電極がD字形電極である実施形態では、リング状電極は、第1のD字形電極の周りに延びるセラミック材料の第1の連続壁と、第2のD字形電極の周りに延びるセラミック材料の第2の連続壁とによってD字形電極から分離され得る。セラミック材料の第1及び第2の壁は、同じ幅を有することができ、セラミック材料の第1及び第2の壁の幅は、半径方向に延びるリード線の幅よりも小さい。
【0008】
本明細書では、半導体基板が処理されてよい処理ゾーンを含む真空チャンバ内で半導体基板を処理するのに有用な静電チャックも開示される。静電チャックは、処理中に半導体基板を支持するように構成された上面を有するセラミック材料で作られたプラテンと、プラテンに埋設された同一平面上の電極とを含む。電極は、外側RF電極、及び内側静電クランプ電極を含み、外側RF電極は、リング状電極、及びリング状電極からプラテンの中央部分まで延びる少なくとも1つの半径方向に延びるリード線を含み、プラテンのセラミック材料及び電極は、単一の焼結ステップで作製された単一構造体かr成る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本明細書に開示される実施形態による化学堆積装置の概要を示す概略図である。
【0010】
図2図2は、電力分配回路が同一平面上の3つの電極の下方に位置している、セラミック高温チャックの上面図を示す。
【0011】
図3図3は、図2に示す同一平面上の電極、及び電極の下方の電力分配回路の分解図である。
【0012】
図4図4は、図3に示すチャックの底面図である。
【0013】
図5図5は、プラテンを備えるセラミック高温静電チャックの上面斜視図であり、外側リング状電極が、プラテンの下側の中央に位置する端子に電気的に接続できる、半径方向に延びるリード線を含む。
【0014】
図6図6は、図5に示すプラテンの底面斜視図である。
【0015】
図7図7は、図5に示すプラテンの電気的接続部を示す破断図である。
【0016】
図8図8は、図5に示すプラテンの下側の斜視図である。
【0017】
図9図9は、図5に示すプラテンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、本明細書で開示される装置及び方法の完全な理解を提供するために、多数の特定の実施形態が記述されている。しかし、当業者には明らかなように、本実施形態は、これらの特定の詳細なしで、又は代替の要素若しくはプロセスを使用することにより実施され得る。その他の場合、本明細書で開示される実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように、良く知られたプロセス、手順、及び/又は構成要素は詳細には説明されていない。本明細書で使用する場合、「約」という用語は、±10%を指す。
【0019】
以下説明するように、本実施形態は、化学気相堆積装置又はプラズマ強化化学気相堆積装置などの半導体基板処理装置において、半導体基板を処理するための装置及び関連する方法を提供する。装置及び方法は、処理中の半導体基板が約550℃を超える温度に、例えば、約550℃~約650℃、又はそれを超える温度に加熱される高温堆積プロセスなどの、半導体基板の高温処理と併用した使用に特に適用可能である。
【0020】
本明細書で開示される実施形態は、好ましくは、プラズマ強化化学堆積装置(すなわち、PECVD装置、PEALD装置、又はPEPDL装置)であるが、これらに限定されない。
【0021】
図1は、本明細書で開示される実施形態を実施するように構成された、様々な半導体基板プラズマ処理装置の構成要素を図示する簡単なブロック図を提供する。図示するように、半導体基板プラズマ処理装置100は、処理ゾーン内にプラズマを閉じ込める役割を担う真空チャンバ102を含み、プラズマは、上部RF電極(図示せず)を有するシャワーヘッドモジュール104を含むキャパシタ型システムが、下部RF電極(図示せず)を内部に有する基板台座モジュール106と連係して生成される。少なくとも1つのRF発生器が、真空チャンバ102内の半導体基板108の上面の上方の処理ゾーンの中にRFエネルギーを供給して、真空チャンバ102の処理ゾーンの中に供給されたプロセスガスをプラズマに励起し、その結果、真空チャンバ102内でプラズマ堆積プロセスが実行されるように動作可能である。例えば、高周波RF発生器110及び低周波RF発生器112はそれぞれ、シャワーヘッドモジュール104の上部RF電極に接続されたマッチングネットワーク114に接続されてよく、その結果、真空チャンバ102内の半導体基板108の上方の処理ゾーンにRFエネルギーが供給されてよい。
【0022】
マッチングネットワーク114によって真空チャンバ102の内部に供給されるRFエネルギーの電力及び周波数は、プロセスガスからプラズマを生成させるために十分である。一実施形態では、高周波RF発生器110と低周波RF発生器112の両方が使用され、代替の実施形態では、高周波RF発生器110のみが使用される。あるプロセスでは、高周波RF発生器110は、約2~100MHzの周波数で、好ましい実施形態では、13.56MHz又は27MHzで動作させてよい。低周波RF発生器112は、約50kHz~2MHzで、好ましい実施形態では、約350~600kHzで動作させてよい。プロセスパラメータは、チャンバの容積、基板サイズ、及び他の要因に基づいてスケーリングされてよい。同様に、プロセスガスの流量は、真空チャンバ又は処理ゾーンの自由体積に依存する場合がある。
【0023】
基板台座モジュール106の上面は、真空チャンバ102内での処理中に半導体基板108を支持する。基板台座モジュール106は、半導体基板を保持するチャック、並びに/又は、堆積及び/若しくはプラズマ処理プロセスの前、最中、及び/若しくは後に、半導体基板を上下させるリフトピンを含み得る。別の実施形態では、基板台座モジュール106は、堆積及び/又はプラズマ処理プロセスの前、最中、及び/又は後に、半導体基板を上下させるキャリアリングを含み得る。チャックは、静電チャック、機械式チャック、又は産業及び/又は研究での使用に利用可能な様々な他の種類のチャックであってよい。静電チャックを含む基板台座モジュール用のリフトピンアセンブリの詳細は、同一出願人による米国特許第8,840,754号明細書に見出すことができ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。基板台座モジュール用のキャリアリングの詳細は、同一出願人による米国特許第6,860,965号明細書に見出すことができ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。裏面ガス供給部116が、処理中に基板台座モジュール106を通して、半導体基板の下面の下方の領域に熱伝達ガス又はパージガスを供給するように動作可能である。基板台座モジュール106はその内部に下部RF電極を含み、下部RF電極は好ましくは処理中に接地され、代替実施形態では、下部RF電極は処理中にRFエネルギーが供給されてよい。
【0024】
半導体基板プラズマ処理装置100の真空チャンバ102内で半導体基板を処理するために、プロセスガスが、入口120及びシャワーヘッドモジュール104を介して、プロセスガス源118から真空チャンバ102の中に導入され、そこでRFエネルギーを用いてプロセスガスがプラズマに形成され、これにより半導体基板の上面に膜が堆積されてよい。一実施形態では、複数のソースガスライン122が加熱されたマニホールド124に接続されてよい。ガスは、事前に混合されるか、又は別々にチャンバに供給されてよい。半導体基板処理中にシャワーヘッドモジュール104を通して正しいガスが確実に送達されるように、適切なバルブ及び質量流量制御メカニズムが用いられる。処理中、裏面熱伝達ガス又はパージガスが、基板台座モジュール106上で支持された半導体基板の下面の下方の領域に供給される。好ましくは、処理は、化学気相堆積処理、プラズマ強化化学気相堆積処理、原子層堆積処理、プラズマ強化原子層堆積処理、パルス堆積層処理、又はプラズマ強化パルス堆積層処理のうちの少なくとも1つである。
【0025】
特定の実施形態では、システムコントローラ126を使用して、堆積時、堆積後処理時、及び/又は他のプロセス動作時のプロセス条件を制御する。コントローラ126は、典型的には、1つ以上のメモリデバイス及び1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、CPU又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタル入力/出力接続、ステッパモーター制御ボードなどを含んでよい。
【0026】
特定の実施形態では、コントローラ126は、装置の動作の全てを制御する。システムコントローラ126は、処理動作のタイミング、低周波RF発生器112及び高周波RF発生器110の動作周波数及び動作出力、前駆体並びに不活性ガス及びそれらの相対的混合物の流量及び温度、基板台座モジュール106の上面で支持される半導体基板108及びシャワーヘッドモジュール104のプラズマに暴露される表面の温度、真空チャンバ102の圧力、並びに特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令一式を含む、システム制御ソフトウェアを実行する。いくつかの実施形態では、コントローラに関連付けられたメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムを使用してよい。
【0027】
高温チャックは通常、セラミックプラテンと、プラテンの下側に接合された小径のセラミックステムを含む。例えば、同一出願人による米国特許出願公開第2016/0340781号明細書、第2016/0336213号明細書、及び第2016/0333475号明細書が参照され、これらの各々の全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0028】
図2は、セラミック体(図示せず)内に埋設された、同一平面上の3つの電極202、204、206を有するプラテン200を示す。電極202は、D字形静電クランプ電極204及び206を取り囲む外側リング状電極である。外側リング状電極202に電力を供給するために、電力分配回路208(図3参照)が電極202、204、206の下方のセラミック体内に埋設され、垂直に延びる導電性ビア210が外側リング電極202を電力分配回路208に接続する。電力分配回路208は、外側リング状電極202の下にある外側リング212と、外側リング212を横切って対角線状に延びるアーム214とを含む。電力分配回路208は、プラテンの下側の中央付近に位置する電力供給端子(図示せず)から電力を供給することを可能にする。静電クランプ電極204、206は、電力分配回路208のアーム214間の空間内のプラテンの下側の中央付近に位置する電力供給端子(図示せず)に接続される。
【0029】
図4は、プラテン200の下側を示し、電極202、204、206の配置を、セラミック体224に取り付けられた中空セラミックステム222の内側に位置する端子216、218、220と共に見ることができる。端子216は静電クランプ電極204に取り付けられ、端子220は静電クランプ電極206に取り付けられ、端子218は電力分配回路208のアーム214の交点に取り付けられている。したがって、プラテン200を製造するには、複数の焼結ステップを実行して、電極202、204、206の下方のセラミック体224内に導電性電力分配回路を埋設する必要があり、その結果、アーム214及びリング212がインダクタとして機能する場合があり、ウェハの処理中に望ましくないインダクタンス効果が生成される。セラミック体224は、プラテン200の支持面上でウェハを昇降させるためのリフトピン(図示せず)が通るように寸法決めされた3つの貫通孔226を含む。
【0030】
図5は、静電クランプ電極304、306を取り囲む外側リング状電極302を有するプラテン300を備える静電チャックを示す。外側リング状電極302は、電力分配回路の必要性を無くすように設計されている。図示するように、外側リング状電極302は、リング状電極302を対角線状に横切って延びる半径方向に延びるリード線(電力供給ストリップ)302aを含む。リード線302aにより、プラテン300の下側中央にある端子(図示せず)を外側リング状電極302に電気的に接続することが可能になる。静電チャックは、好ましくは、反対の極性を有する1対以上のクランプ電極を有する双極チャックである。例えば、静電チャックは、外側リング状電極302を横切って対角線状に延びる供給ストリップによって分離された4つのクランプ電極を含み得る。かかる場合、供給ストリップは垂直であり、クランプ電極は、外側リング状電極302と対角線状に延びる供給ストリップとによって形成される4つの四分円形状の内側に配置されることになる。
【0031】
図6は、中空セラミックステム322がセラミック体324に取り付けられている、プラテン300の下側を示す。端子316は静電クランプ電極304に取り付けられ、端子320は静電クランプ電極306に取り付けられ、端子318はリング状外側電極302のリード線302aに取り付けられている。セラミック体324は、プラテン300の支持面上でウェハを昇降させるためのリフトピン(図示せず)が通るように寸法決めされた3つの貫通孔326を含む。
【0032】
プラテン300は、個々の半導体ウェハの連続処理のための、基板サポートモジュールの高温静電チャックとして使用でき、プラテン300は単一の焼結ステップで作製された単一構造体であって、同一平面上の静電クランプ電極及びRF電極、並びに同一平面上の電極の下方にある1つ以上の加熱器を提供する。前述のように、従来のプラテン設計では、RF電極及び静電クランプ電極の下方に埋設された電力分配回路は、ウェハ処理中に望ましくないインダクタンス効果を生成させる電力分配電極アームを含んでいた。電力分配電極アームを排除することにより面外のインダクタを排除し、単一の焼結ステップを実施することにより製造プロセスを簡素化することが可能である。加えて、外側リング状電極302を対角線状に横切って延びる供給ストリップ302aを設けることにより、処理中のウェハの上方のRF場への外乱の悪影響を最小限に抑えることが可能である。
【0033】
プラテン300及びステム322は、好ましくはセラミック材料製であり、プラテン300の底面は、ろう付け、摩擦溶接、拡散接合、又は他の好適な技術などによって、ステム322の上端においてフランジに接合させることができる。ステム322の内部は、電力供給リード線、1つ以上の熱電対リード線、及び1つ以上のガス供給管を含むことができ、ガス供給管はアルゴン(Ar)などの不活性ガス、又はヘリウム(He)などの熱伝達ガスを供給し、ガスは、好適な流体通路を介して、プラテン300の支持面上に配置された半導体基板の下側に伝達される。
【0034】
電力リード線は、プラテン300に埋設された電極に高周波(RF)、直流(DC)、及び/又は交流(AC)を供給する1つ以上の供給ロッドであり得る。プラテン300は、好ましくは、酸化アルミニウム(アルミナ)、イットリア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は他の好適な材料又は組み合わせなどの焼結セラミック材料の単一構造体である。各電極は、好ましくは平面構成を有し、好ましくは導電性金属材料(例えば、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、コバルト)で作製されるか、又は導電性非金属材料(酸化アルミニウム-炭化タンタル、酸化アルミニウム-炭化ケイ素、窒化アルミニウム-タングステン、窒化アルミニウム-タンタル、酸化イットリウム-モリブデン)で作製されている。電極は、プラテンのセラミック材料と同時焼成される粉末材料から形成され得る。例えば、電極は、プラテンの本体を形成するセラミック材料の層と同時焼成される導電性ペーストで形成することができる。例えば、ペーストは、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)の導電性金属粉末を含み得る。代替として、電極は、所望の電極パターンを有する堆積材料から、又はエッチングされて所望の電極パターンが形成された堆積された膜から形成することができる。更にまた、電極は、前形成されたグリッド、プレート、ワイヤメッシュ、又は他の好適な電極材料及び/若しくは構成を含むことができる。一実施形態では、電極は、DC電源によって給電されてDCチャッキング電圧(例えば、約200~約2000ボルト)を供給する少なくとも1つの静電クランプ電極、RF電源によって給電されてRFバイアス電圧(例えば、約50~約3000ワットの電力レベルで約400KHz~約60MHzの1つ以上の周波数)を供給する少なくとも1つのRF電極、並びに/又は、好適な回路を介してDC及びRF電源により給電される少なくとも1つの電極、を含む。
【0035】
プラテンは、セラミック材料内に同一平面上の電極を配置し、単一の焼結ステップを実行して、焼結されたセラミック材料内に電極を埋設させることにより作製できる。セラミックチャックの製造技術の例は、同一出願人による米国特許第5,880,922号明細書、及び同第6,483,690号明細書、同第8,637,194号明細書に見出すことができ、その開示は本明細書に参照として組み込まれる。例えば、半径方向に延びる一体化されたリード線を有する外側リング状電極、及びESC電極は、窒化アルミニウムのグリーンシート上にスクリーン印刷することができ、窒化アルミニウムのグリーンシート又は他の好適な誘電体材料をスクリーン印刷された電極上に配置することができ、結果として得られたコンパクトを加熱プレス成形し焼結してプラテンを形成することができる。焼結されたセラミック材料の下側に延びる孔内の端子を各電極に結合させることができ、ステムをプラテンの下側に結合させることができる。
【0036】
図7は、導電性グリッドなどの導電性電極304、306と、内部に埋設された外側リング状電極302(図示せず)に電気的に接続された供給ストリップ電極302aと、中空セラミック支持ステム322と、を含むプラテン300を示す。プラテン300及びステム322は、好ましくは、窒化アルミニウムなどのセラミック材料で作製され、プラテン300の底面は、ろう付け、摩擦溶接、拡散接合、又は他の好適な技術などによって、ステム322の上端に接合される。中央に配置された導電性管330はステム322の内側に配置され、管330の上端は埋設された供給ストリップ電極302aに電気的に接続されている。管330の出口は、プラテン300の上面のガス通路342(図9参照)と流体連通している。管330には、アルゴン(Ar)若しくは窒素(N2)などの不活性ガス、又はヘリウム(He)などの熱伝達ガスを供給することができ、ガスは、ガス通路342を介して、プラテン300上に支持された半導体基板(図示せず)の下側に送達される。管330の外面は、密閉封止によってプラテン300に封止することができる。ステム322の内側には、抵抗加熱器340a、340bなどの他の電極に電力を供給する電気供給ロッド338、及び、プラテン300内の静電クランプ電極304、306に電力を供給する追加の供給ロッド336、などの他の構成要素も収容されている。ロッド336は、ガスを、出口を通してプラテン300上に支持されたウェハの下側に供給するために中空であり得る。
【0037】
プラテン300上に支持されたシリコンウェハ上への膜の堆積などの、半導体基板の処理中に、プラテン300は、約20℃から500℃以上の範囲の温度間を反復してよい。300mmウェハを処理するためには、プラテン300は最大約25.4mm(約1インチ)の厚さ、及び381mm(約15インチ)の直径を有することができ、ステム322は76.2mm(約3インチ)の直径を有することができ、ステム322の底部とプラテン300の上面との間の距離は127mm(約5インチ)とすることができる。管330、336は、約4mmの直径及び約177.8~203.2mm(約7~8インチ)の長さを有することができる。ステム322の内側は、パラジウム/ロジウム(Pd/Rh)コーティングされたステンレス鋼又はニッケル(Ni)ロッドなどの電気フィード線などの構成要素を収容する。
【0038】
供給ロッド338は、ステム322の内面の内側で円周方向に間隔を空けた位置に配置された、ニッケル(Ni)ロッドなどの中実の金属ロッドとすることができ、2つの外側導電性供給ロッド336(任意選択的に、プラテン300の上面にガスを供給するための中空ロッドであり得る)は、静電クランプ電極304、306に電気的に接続されている。中実の供給ロッド338は、プラテン300内に埋設された抵抗加熱器340a、340bに、静電クランプ電極304、306の下方の位置において電力を供給することができる。中央管330と供給ストリップ302aとの間、供給ロッド336と電極304、306との間、及び供給ロッド338と加熱器340a、340bとの間の電気接続は、同一出願人による米国特許第9,088,085号明細書に開示されるように、中実の端子/スタッド/ソケットを含むことができ、その開示は本明細書に参照として組み込まれる。プラテン300の製造中、管330及び供給ロッド336、338は、好適な焼結及び/又はろう付け技術を介して、プラテン300及び電極302、304、306に結合され得る。
【0039】
図8は、基板台座モジュール106の底面斜視図を示す。図示するように、中央管330、供給ロッド338、及び外側管336は、ステム322の下端から外向きに延びている。
【0040】
図9は、基板台座モジュール106の断面図である。図示するように、中央管330は供給ストリップ電極302aに電気的に接続され、2つの供給ロッド338は、電極302、304、306の下方の位置においてプラテン300内に埋設された1つ以上の抵抗加熱器340a、340bに電気的に接続されている。例えば、一対の供給ロッド338を内側加熱器に接続することができ、別の一対の供給ロッド338を外側加熱器に接続することができる。所望であれば、単一の加熱器又は2つ以上の加熱器を、任意の所望の幾何学的配置でプラテン300内に埋設させることができる。中央管330は、プラテン300の上面の出口342にガスを供給する。
【0041】
半導体基板処理装置の基板台座モジュールを、その特定の実施形態を参照して詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱しない範囲で、様々な変更及び修正を行うこと及び等価物を使用することができることが、当業者には明らかであろう。
図1
図2
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