(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】シングルビームモードを備えたマルチビーム検査装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/09 20060101AFI20230501BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20230501BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230501BHJP
H01J 37/28 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
H01J37/09 A
H01J37/09 Z
H01J37/244
H01L21/66 J
H01J37/28 B
(21)【出願番号】P 2021555244
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2020057176
(87)【国際公開番号】W WO2020200745
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾン-ウェイ
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-215969(JP,A)
【文献】特開2009-134926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0061565(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0268096(US,A1)
【文献】国際公開第2010/137257(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/197169(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/09
H01J 37/244
H01L 21/66
H01J 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作モードをサポートするサンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
一次光軸に沿って荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子ビーム放射源と、
前記荷電粒子ビームから複数の荷電粒子ビームレットを形成するように構成された第1のアパーチャプレートと、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のアパーチャプレートと、
回路を有し、前記装置の構成を変更して第1のモードと第2のモードとの間で切り替わるように構成された、コントローラと、を含み、
前記第1のモードでは、
前記第2のアパーチャプレートは前記第1の位置に配置され、
前記第1のアパーチャプレート及び前記第2のアパーチャプレートは、前記複数の荷電粒子ビームレットのうちの第1の荷電粒子ビームレットを通過させるように構成され、
前記第2のモードでは、
前記第2のアパーチャプレートは前記第2の位置に配置され、
前記第1のアパーチャプレート及び前記第2のアパーチャプレートは、前記複数の荷電粒子ビームレットのうちの前記第1の荷電粒子ビームレット及び第2の荷電粒子ビームレットを通過させるように構成さ
れ、
前記第2のアパーチャプレートはアパーチャを含み、
前記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、前記第2のアパーチャプレートは、前記アパーチャが前記一次光軸から離れて配置されるように、前記第2の位置に配置される、荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記第1のモードはシングルビームモードであり、前記第2のモードはマルチビームモードである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の荷電粒子ビームレットは前記一次光軸に対してオンアクシスビームレットであり、前記第2の荷電粒子ビームレットは前記一次光軸に対してオフアクシスビームレットである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のアパーチャプレートは、前記装置が前記第1のモードで動作する場合、前記第2の荷電粒子ビームレットを遮断するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のアパーチャプレートは、前記装置が前記第1のモードで動作する場合、前記荷電粒子ビーム放射源と前記第2のアパーチャプレートとの間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の荷電粒子ビームレットの経路を変更して、像面に前記荷電粒子ビーム放射源の複数の像を形成するように構成された集光レンズをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のアパーチャプレートは、前記装置が前記第1のモードで動作する場合、前記第1のアパーチャプレートと前記集光レンズとの間に配置される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記集光レンズは、前記装置が前記第1のモードで動作する場合、前記第1のアパーチャプレートと前記第2のアパーチャプレートとの間に配置される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記集光レンズは第1の偏向器及び第2の偏向器を含み、前記第2のアパーチャプレートは、前記装置が前記第1のモードで動作する場合、前記第1の偏向器と前記第2の偏向
器との間に配置される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のアパーチャプレートは、前記装置が前記第1のモードで動作する場合、前記荷電粒子ビーム放射源と前記第1のアパーチャプレートとの間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
前記装置が前記第1のモード又は前記第2のモードのいずれかで動作する場合に前記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記第1のモード又は前記第2のモードのいずれかで、前記二次電子を前記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように前記ビームセパレータを制御するための回路を含み、前記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
前記装置が前記第2のモードで動作する場合に前記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、
前記装置が前記第1のモードで動作する場合に前記二次電子を検出するように構成された第2の電子検出デバイスと、をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラは、
前記第2のモードでは、前記二次電子を前記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように前記ビームセパレータを制御し、前記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されており、
前記第1のモードでは、前記ビームセパレータを無効にして、前記二次電子を前記第2の電子検出デバイスに向けて移動させる、ための回路を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
荷電粒子ビーム放射源によって
一次光軸に沿って放射される荷電粒子ビームから複数の荷電粒子ビームレットを形成するように構成された第1のアパーチャプレートを含む荷電粒子ビーム装置を使用して、サンプルを検査する方法であって、
第2のアパーチャプレートを第2の位置から第1の位置に移動させること、を含み、
前記第2のアパーチャプレートを前記第1の位置に配置すると、前記荷電粒子ビームの単一の荷電粒子ビームレットが、前記第1及び前記第2のアパーチャプレートの組み合わせを通過することを可能にし、
前記第2のアパーチャプレートを前記第2の位置に配置すると、
前記第2のアパーチャプレートのアパーチャが前記一次光軸から離れて配置されること、及び、前記荷電粒子ビームの複数の荷電粒子ビームレットが、前記第1及び前記第2のアパーチャプレートの組み合わせを通過することを可能にする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年3月29日に出願された米国特許出願第62/826,731号、及び2020年2月25日に出願された米国特許出願第62/981,462号の優先権を主張するものであり、これらの特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、一般的に、マルチビーム検査装置に関し、より具体的には、複数の動作モードをサポートするマルチビーム検査装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、製造プロセスの間にウェーハ又はマスク上にパターン欠陥又は招かれざる粒子(残留物)が不可避的に発生し、それによって歩留まりが低下する。例えば、招かれざる粒子は、ICチップの一段とより高度化した性能要件を満たすために採用されてきた、重要フィーチャ寸法がより小さなパターンにとって、問題となり得る。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールを使用して、欠陥又は招かれざる粒子を検出してきた。これらのツールは通常、走査電子顕微鏡(SEM)を採用している。SEMでは、比較的高いエネルギーを有する一次電子のビームを減速させて、比較的に低いランディングエネルギーでサンプルに入射させ、集束させてサンプル上にプローブスポットを形成する。一次電子のこの集束したプローブスポットに起因して、表面から二次電子が生成される。二次電子には、一次電子とサンプルとの相互作用から生じる、後方散乱電子、二次電子、又はオージェ電子が含まれることがある。サンプル表面に渡ってプローブスポットをスキャンさせ二次電子を収集することにより、パターン検査ツールはサンプル表面の画像を取得することができる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本明細書で提供される実施形態は、マルチビーム検査装置について開示しており、より具体的には、複数の動作モードをサポートするマルチビーム検査装置について開示する。
【0006】
[0006] 実施形態によっては、サンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置は、複数動作モードをサポートする。荷電粒子ビーム装置は、一次光軸に沿って荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子ビーム放射源、荷電粒子ビームから複数の荷電粒子ビームレットを形成するように構成された第1のアパーチャプレート、及び、第1の位置と第2の位置との間で可動の第2のアパーチャプレート、を含む。荷電粒子ビーム装置は、コントロールも含み、このコントローラは、回路を有し、装置の構成を変更して第1のモードと第2のモードとの間で切り替わるように構成される。この装置が第1のモードで動作する場合、第2のアパーチャプレートは第1の位置に配置され、第1のアパーチャプレート及び第2のアパーチャプレートは、複数の荷電粒子ビームレットのうちの第1の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成される。この装置が第2のモードで動作する場合、第2のアパーチャプレートは第2の位置に配置され、第1のアパーチャプレート及び第2のアパーチャプレートは、複数の荷電粒子ビームレットのうちの第1の荷電粒子ビームレット及び第2の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成される。
【0007】
[0007] 実施形態によっては、荷電粒子ビーム装置を使用してサンプルを検査する方法が開示される。荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビーム放射源によって放射される荷電粒子ビームから複数の荷電粒子ビームレットを形成するように構成された第1のアパーチャプレートを含むことがある。この方法は、第2のアパーチャプレートを第2の位置から第1の位置へ移動させることを含み、第2のアパーチャプレートを第1の位置に配置すると、荷電粒子ビームの単一の荷電粒子ビームレットが第1及び第2のアパーチャプレートの組み合わせを通過できるようになり、第2のアパーチャプレートを第2の位置に配置すると、荷電粒子ビームの複数の荷電粒子ビームレットが第1及び第2のアパーチャプレートの組み合わせを通過できるようになる。
【0008】
[0008] 実施形態によっては、複数の動作モードをサポートするサンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置は、一次光軸に沿って荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子ビーム放射源と、第1の位置と第2の位置との間を移動できる可動アパーチャプレートと、回路を有し、装置の構成を変更して第1のモードと第2のモードとの間で切り替わるように構成されたコントローラと、を含む。この装置が第1のモードで動作する場合、可動アパーチャプレートは第1の位置に配置され、荷電粒子ビームから引き出された複数の荷電粒子ビームレットのうちの第1の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成される。この装置が第2のモードで動作する場合、可動アパーチャプレートは第2の位置に配置され、複数の荷電粒子ビームレットのうちの第1の荷電粒子ビームレット及び第2の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成される。
【0009】
[0009] 実施形態によっては、荷電粒子ビーム装置は、複数の電子検出デバイスも含む。実施形態によっては、第1の電子検出デバイスは、第1のモードでサンプルから発生した二次電子を検出するように構成され、一方、第2の電子検出デバイス及び/又は第3の電子デバイスは、第2のモードで二次電子を検出するように構成される。
【0010】
[0010] 本発明の他の利点が、添付の図面と併せて解釈される以下の説明から明らかになるであろう。添付の図面には、図示及び例示の目的で、本発明の特定の実施形態が記載されている。
【0011】
[0011] 本開示の上記の及び他の態様が、添付の図面と併せて解釈される例示的な実施形態の説明により、一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0012]本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
【
図2】[0013]本開示の実施形態と一致した、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システムの一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図3A】[0014]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図3B】[0014]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図3C】[0015]本開示の実施形態と一致した、
図3A及び
図3Bの可動アパーチャプレートの一実施形態の概略図である。
【
図4A】[0016]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図4B】[0016]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図5A】[0017]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図5B】[0017]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図6A】[0018]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図6B】[0018]本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図6C】[0019]本開示の実施形態と一致した、
図6A及び
図6Bの可動アパーチャプレートの一実施形態の概略図である。
【
図7A】[0020]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図7B】[0020]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図8A】[0021]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図8B】[0021]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図9A】[0022]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図9B】[0022]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図9C】[0022]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図10A】[0023]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図10B】[0023]本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイスの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツールの概略図である。
【
図10C】[0024]本開示の実施形態と一致した、
図10Bの二次電子検出デバイスの実施形態の概略図である。
【
図10D】[0024]本開示の実施形態と一致した、
図10Bの二次電子検出デバイスの実施形態の概略図である。
【
図10E】[0024]本開示の実施形態と一致した、
図10Bの二次電子検出デバイスの実施形態の概略図である。
【
図11】[0025]本開示の実施形態と一致した、マルチビーム電子ビームツールを使用してサンプルを検査する例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0026] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りの無い限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明文中に記載される実装は、本発明と一致する全ての実装を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙されるような本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。
【0014】
[0027] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路から構成される。多数の回路が、同じシリコン片上に一緒に形成されることがあり、集積回路又はICと呼ばれる。多数のより多くの回路を基板上に収めることができるように、これらの回路の寸法は劇的に減少された。例えば、スマートフォン内のICチップは、親指の爪程小さいことがありながら、20億個を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタの寸法は、人間の髪の毛の寸法の1/1000よりも小さい。
【0015】
[0028] これらの極端に小さなICを製造することは、複雑で時間がかかり高価なプロセスであり、しばしば数百にのぼる個別ステップを含む。たった1つのステップでのエラーが、完成したICにおける欠陥をもたらし、そのICを使い物にならなくする可能性がある。従って、製造プロセスの1つのゴールは、そのような欠陥を回避して、プロセスにおいて作製される機能的ICの数を最大化すること、即ち、プロセスの全体的歩留まりを向上させることである。
【0016】
[0029] 歩留まりを向上させる1つの構成要素は、チップ作製プロセスを監視して、十分な数の機能的集積回路が製造されていることを確認することである。プロセスを監視する1つの方法は、チップ回路構造を形成する様々な段階において、チップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して実行することができる。SEMを使用すると、これらの非常に小さな構造を撮像する、要するに、これらの構造の「写真」を撮ることができる。この画像を使用して、構造が適切に形成されたかどうか、及び構造が適切な位置に形成されたかどうかを判断することができる。構造に欠陥がある場合、欠陥が再び発生する可能性が低くなるようにプロセスを調節することができる。
【0017】
[0030] SEMは、一次電子の集束ビームを用いてサンプルの表面をスキャンする。一次電子はサンプルと相互作用し、二次電子を生成する。集束ビームを用いてサンプルをスキャンすることにより、且つ検出器を用いて二次電子を捕捉することにより、SEMはサンプルのスキャンされたエリアの画像を生成する。
【0018】
[0031] 高いスループットで検査するために、幾つかの検査システムは、一次電子の複数の集束ビームを使用する。複数の集束ビームがウェーハの異なる部分を同時に走査できるので、マルチビーム検査システムはシングルビーム検査システムよりも、はるかに高速でウェーハを検査することができる。しかしながら、従来のマルチビーム検査システムは、隣接する電子ビーム間のクロストークにより、検査精度及び解像度が低くなることがある。従って、一旦従来のマルチビーム検査システムがサンプル上の欠陥を検出すると、サンプルを高解像度のシングルビーム点検ツールに移して、検出された欠陥のより精密な検査を実施することが必要になる場合が多い。より新しい一部のマルチビーム検査システムは、デュアルモードサポート(例えば、マルチビームモード及びシングルビームモード)を提供するものの、シングルビームモード動作中の最大解像度は、従来のシングルビーム点検ツールで達成できる解像度よりも低くなる。
【0019】
[0032] シングルビームモード動作中の解像度が制限される主な原因の1つは、マルチビーム検査システムがシングルビームモードで動作するときには使用されないオフアクシス電子ビームの存在である。電子銃などの電子放射源は、マルチビームモードで生成するのと同じ数の電子を生成するので、オフアクシス電子ビームが最終的に下流でフィルタリングされたとしても、シングルビームモードでの電子間の悪影響は、マルチビームモードと同じ位大きくなる。例えば、
図2の放射源変換ユニット220は、
図7Aのビームレット712及び713が、サンプル上に到達しないように、
図7Bの検出器746又はアパーチャ(図示せず)によって遮断されるように調節することができる。本開示の一態様は、電子ビーム放射源の近くの使用されないオフアクシス電子ビームを、オンアクシス電子ビームに影響を与える前に除去し、それに呼応して、ツールがシングルビームモードで動作する際に、シングルビームの劣化を低減することができる、電子ビーム生成の適応的制御機構を含む。
【0020】
[0033] 図面における構成要素の相対的な寸法は、理解しやすいように誇張されていることがある。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素又はエンティティを指しており、個々の実施形態に関して異なる点のみが説明されている。本明細書で使用する場合、特段の断りが無い限り、「又は」という用語は、実行不可能である場合を除いて、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、構成要素がA又はBを含むことがあると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、構成要素はA、又はB、又はA及びBを含むことがある。第2の例として、構成要素がA、B、又はCを含むことがあると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、構成要素はA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことがある。
【0021】
[0034] ここで
図1を参照すると、
図1は本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システム100を示す概略図である。
図1に示すように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内部に配置されている。説明及び図面は電子ビームに関係しているが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に制限するために使用されるのではないことが、理解されよう。
【0022】
[0035] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の装填ポートを含むことがある。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は他の材料で作られたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、以降ではまとめて「ウェーハ」と呼ばれる)を収容するウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取ることがある。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、ウェーハを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0023】
[0036] 装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されることがあり、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、装填ロックチャンバ20内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)がウェーハを装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10に運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール40による検査にかけられる。実施形態によっては、電子ビームツール40は、シングルビーム検査ツールを含むことがある。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム検査ツールを含むことがある。
【0024】
[0037] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続されている。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を行うように構成されたコンピュータであり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像の処理機能を実行するように構成された処理回路も含むことがある。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部にあるものとして示されているが、コントローラ50はこの構造の一部とすることもできることが理解されよう。
【0025】
[0038] 本開示は、電子ビーム検査ツールを収容するメインチャンバ10の例を提供しているが、最も広い意味での本開示の態様は、電子ビーム検査ツールを収容するチャンバに限定されないことに、留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する他のツールにも適用され得ることが理解されよう。
【0026】
[0039] ここで
図2を参照すると、
図2は、本開示の実施形態と一致した、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では装置40とも呼ばれる)は、電子源201、銃アパーチャプレート271、事前ビームレット形成アパーチャアレイ272、集光レンズ210、放射源変換ユニット220、一次投影系230、電動ステージ209、及び検査されるべきサンプル208(例えば、ウェーハ又はフォトマスク)を保持するために電動ステージ209によって支持されるサンプルホルダー207を含む。マルチビーム電子ビームツール40は更に、二次投影系250及び電子検出デバイス240を含むことがある。一次投影系230は、対物レンズ231を含むことがある。ビームセパレータ233及び偏向走査ユニット232が、一次投影系230の内部に配置されることがある。電子検出デバイス240は、複数の検出素子241、242、及び243を含むことがある。
【0027】
[0040] 電子源201、銃アパーチャプレート271、事前ビームレット形成アパーチャアレイ272、集光レンズ210、放射源変換ユニット220、ビームセパレータ233、偏向走査ユニット232、及び一次投影系230は、装置40の一次光軸204と位置合わせされていることがある。二次投影系250及び電子検出デバイス240は、装置40の二次光軸251と位置合わせされていることがある。
【0028】
[0041] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含むことがあり、動作中、電子源201は、カソードから一次電子を放出するように構成され、この一次電子は抽出器及び/又はアノードによって抽出されるか又は加速されて、一次電子ビーム202を形成し、これは、(仮想の又は現実の)一次ビームクロスオーバー203を形成する。一次電子ビーム202は、一次ビームクロスオーバー203から放出されるものとして視覚化されることがある。
【0029】
[0042] 放射源変換ユニット220は、像形成素子アレイ(図示せず)、収差補償器アレイ(図示せず)、ビーム制限アパーチャアレイ(図示せず)、及びプレベンディングマイクロ偏向器アレイ(図示せず)を含むことがある。実施形態によっては、プレベンディングマイクロ偏向器アレイは、一次電子ビーム202の複数の一次ビームレット211、212、213を、ビーム制限アパーチャアレイ、像形成素子アレイ、及び収差補償器アレイに垂直に入るように偏向させる。実施形態によっては、集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させて平行ビームにし、放射源変換ユニット220に垂直に入射するように、設計される。像形成素子アレイは、複数のマイクロ偏向器又はマイクロレンズを含んで、一次電子ビーム202の複数の一次ビームレット211、212、213に影響を与え、且つ、一次ビームレット211、212、及び213のそれぞれに対して1つずつ、一次ビームクロスオーバー203の複数の(仮想の又は現実の)平行像を形成することがある。実施形態によっては、収差補償器アレイは、像面湾曲補償器アレイ(図示せず)及び非点収差補償器アレイ(図示せず)を含むことがある。フィールド湾曲補償器アレイは、複数のマイクロレンズを含んで、一次ビームレット211、212、及び213のフィールド湾曲収差を補償することがある。非点収差補償器アレイは、複数のマイクロ非点収差補正器を含んで、一次ビームレット211、212、及び213の非点収差を補償することがある。ビーム制限開口部アレイは、個々の一次ビームレット211、212、及び213の直径を制限するように構成されることがある。
図2は、例として3つの一次ビームレット211、212、及び213を示しており、放射源変換ユニット220は、任意の数の一次ビームレットを形成するように構成されてもよいことが理解されよう。コントローラ50は、放射源変換ユニット220、電子検出デバイス240、一次投影系230、又は電動ステージ209などの、
図1の荷電粒子ビーム検査システム100の様々な部分に接続されることがある。実施形態によっては、以下で更に詳細に説明するように、コントローラ50は、様々な画像及び信号の処理機能を実行することがある。コントローラ50は、様々な制御信号を生成して、荷電粒子ビーム検査システムの動作を制御することもある。
【0030】
[0043] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させるように構成される。集光レンズ210は更に、集光レンズ210の集束力を変化させることにより、放射源変換ユニット220の下流の一次ビームレット211、212、及び213の電流を調節するように構成されることがある。或いは、個々の一次ビームレットに対応するビーム制限開口部アレイ内部のビーム制限開口部の半径のサイズを変えることによって、電流を変化させることがある。電流は、ビーム制限開口部の半径のサイズ及び集光レンズ210の集束力の両方を変えることによって、変化させることがある。集光レンズ210は、第1の原理平面の位置が移動可能であるように構成され得る調節可能な集光レンズであり得る。調節可能な集光レンズは磁気性であるように構成されることがあり、これにより、オフアクシスのビームレット212及び213が回転角度を有して放射源変換ユニット220に入射することになり得る。回転角度は、集束力、又は調節可能集光レンズの第1の主平面の位置と共に変化する。従って、集光レンズ210は、集光レンズ210の集束力が変化している間に、回転角度を不変に保つように構成されることがある、回転防止集光レンズであり得る。実施形態によっては、集光レンズ210は、調節可能な回転防止集光レンズであることがあり、このレンズでは、集束力及び第1の主平面の位置が変化したときに回転角度は変化しない。
【0031】
[0044] 対物レンズ231は、検査のために、ビームレット211、212、及び213をサンプル208上に集束させるように構成されることがあり、また、現在の実施形態では、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成することがある。動作時には、偏向走査ユニット232は、一次ビームレット211、212、及び213を偏向させて、サンプル208の表面のセクション内の個々の走査エリア全体に渡ってプローブスポット221、222、及び223を走査するように構成される。銃アパーチャプレート271は、動作時に、一次電子ビーム202の周辺電子を遮断して、クーロン効果を低減するように構成される。クーロン効果は、一次ビームレット211、212、213のプローブスポット221、222、及び223の各々のサイズを拡大し、従って検査解像度を低下させることがある。実施形態によっては、事前ビームレット形成アパーチャアレイ272が、一次電子ビーム202の周辺電子を更に遮断して、クーロン効果を低減する。一次電子ビーム202は、事前ビームレット形成アパーチャアレイ272によって、3つのビームレット211、212、及び213に整えられることがある。
【0032】
[0045] サンプル208上への一次ビームレット211、212、及び213又はプローブスポット221、222、及び223の入射に応答して、サンプル208から電子が出現し、3つの二次電子ビーム261、262、及び263が生成される。二次電子ビーム261、262、及び263の各々は、通常、二次電子(50eV以下の電子エネルギーを有する)及び後方散乱電子(50eVと一次ビームレット211、212、及び213のランディングエネルギーとの間の電子エネルギーを有する)を含む。
【0033】
[0046] ビームセパレータ233は、静電双極子場を生成する静電偏向器及び磁気双極子場を生成する磁気レンズを含むウィーンフィルタ(図示せず)であり得る。動作時には、ビームセパレータ233は、静電偏向器を使用して静電双極子場を生成して、一次ビームレット211、212、及び213の個々の電子に静電力を作用させるように構成されることがある。ビームセパレータ233は、磁気双極子場を生成して電子に磁力を作用させるように構成されることもある。静電力は、磁力と大きさは等しいが方向が逆になる。従って、一次ビームレット211、212、及び213は、少なくとも実質的にゼロの偏向角で、ビームセパレータ233を少なくとも実質的に真っ直ぐに通過することがある。
【0034】
[0047] しかしながら、二次電子ビーム261、262、及び263は、二次投影系250に向けて偏向されることがあり、この二次投影系250は、その後、二次電子ビーム261、262、及び263を電子検出デバイス240の検出素子241、242、及び243に集束させる。検出素子241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出し、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの像を構築するために、コントローラ50又は信号処理システム(図示せず)に送信される対応する信号を生成するように構成される。
【0035】
[0048] 実施形態によっては、検出素子241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263をそれぞれ検出し、画像処理システム(例えば、コントローラ50)に向けて対応する強度信号出力(図示せず)を生成する。実施形態によっては、各検出素子241、242、及び243は、1つ又は複数のピクセルを含むことがある。検出素子の強度信号出力は、検出素子内の全てのピクセルによって生成される信号の合計であり得る。
【0036】
[0049] 実施形態によっては、コントローラ50は、画像取得器(図示せず)及びストレージ(図示せず)を含む画像処理システムを含むことがある。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含むことがある。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、個人用コンピュータ、任意の種類の携帯コンピュータ装置など、又はそれらの組み合わせを含むことがある。画像取得器は、媒体、中でもとりわけ導電体、光ファイバーケーブル、携帯型記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、無線ネットワーク、無線通信、又はそれらの組み合わせなどを介して、装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合されることがある。実施形態によっては、画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受け取ることがあり、画像を構築することがある。画像取得器は、このようにサンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭線を生成すること、インジケータを取得画像に重ね合わせることなど、様々な後処理機能も実施することがある。画像取得器は、取得画像の輝度及びコントラスト等の調節を実施するように構成されることがある。実施形態によっては、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の種類のコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器に結合されることがあり、スキャンされた生の画像データを元画像として保存し、且つ処理後の画像を保存するために使用されることがある。
【0037】
[0050] 実施形態によっては、画像取得器は、電子検出デバイス240から受け取った撮像信号に基づいて、サンプルの1つ又は複数の画像を取得することがある。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するためのスキャン動作に対応していることがある。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。この単一の画像は、ストレージ内に記憶されることがある。この単一の画像は、複数の領域に分割することができる元画像であり得る。これらの領域の各々は、サンプル208のフィーチャを包含する1つの撮像エリアを含むことがある。取得画像は、時系列に複数回サンプリングされた、サンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含むことがある。この複数の画像は、ストレージ内に記憶されることがある。実施形態によっては、コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを実行するように構成されることがある。
【0038】
[0051] 実施形態によっては、コントローラ50は、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含んで、検出された二次電子の分布を取得することがある。検出時間ウィンドウ中に収集された電子の分布データを、ウェーハ表面に入射する一次ビームレット211、212、213のそれぞれの対応するスキャンパスデータと組み合わせて使用して、検査中のウェーハ構造の画像を再構成することができる。再構成された画像を使用して、サンプル208の内部構造又は外部構造の様々な特徴を明らかにすることができ、それによって、再構成された画像を使用して、ウェーハ内に存在する可能性がある欠陥を明らかにすることができる。
【0039】
[0052] 実施形態によっては、コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように、電動ステージ209を制御することがある。実施形態によっては、コントローラ50は、電動ステージ209がある方向に連続的に一定の速度でサンプル208を移動できるようにすることがある。他の実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ209が、スキャンプロセスのステップに応じて、経時的にサンプル208の移動速度を変えられるようにすることがある。実施形態によっては、コントローラ50は、二次電子ビーム261、262、及び263の像に基づいて、一次投影系230又は二次投影系250の構成を調節することがある。
【0040】
[0053]
図2は、電子ビームツール40が3つの一次電子ビームを使用することを示しているが、電子ビームツール40は、2つ以上の一次電子ビームを使用してもよいことが理解されよう。本開示は、装置40で使用される一次電子ビームの数を制限するものではない。
【0041】
[0054] 実施形態によっては、マルチビーム装置は、シングルビームモード動作をサポートするための機構を提供することがある。例えば、マルチビーム装置は、複数の一次ビームレットのうちの1つだけが、サンプル(
図2のサンプル208など)の表面に到達するように、複数の一次ビームレット(
図2のビームレット211、212、及び213など)の偏向角を調節するように、偏向器アレイ(例えば、
図2の放射源変換ユニット220内の偏向器アレイ)を制御することがある。シングルモード動作をサポートするマルチビーム装置の例が、米国特許第9,691,586号に見られ、該特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。シングルビームモードを使用してサンプルのより高解像度の像を取得するために、クーロン効果を更に低減することが望ましいことがある。実施形態によっては、シングルビームモードでのマルチビーム装置が従来のシングルビーム装置と同じ位良好な解像度を有することができる場合、マルチビーム装置は、まず、マルチビーム検査を実施し、これは、通常、従来のシングルビーム装置よりも高いスループットを提供し、その後、シングルビームモードを使用して関心対象の欠陥の高解像度の点検を実施することができる。これにより、第2のステップに対して、従来のシングルビーム点検ツールの必要性がなくなることがある。更に、これにより、検査プロセスの全体的なスループットが改善されることもある、というのも、1つのツール内で高スループットの検査ステップ及び高解像度の点検ステップを実施することができるので、サンプルを第1のツールから第2のツールに移す時間を節約することができるからである。
【0042】
[0055] ここで、
図3A及び
図3Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレート373の例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール300の概略図である。マルチビーム電子ビームツール300は、マルチビーム装置(
図2のマルチビーム装置40など)の一部であり得る。
【0043】
[0056]
図2に関して前述したように、マルチビーム電子ビームツール300は、電子放射源301、銃アパーチャプレート371、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372、及び集光レンズ310を含むことがある。電子放射源301は、一次電子を放射し、一次電子ビーム302を形成するように構成される。銃アパーチャプレート371は、一次電子ビーム302の周辺電子を遮断して、検査解像度を劣化させる可能性のあるクーロン効果を低減するように構成される。実施形態によっては、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372が、一次電子ビーム302の周辺電子を更に遮断して、クーロン効果を低減する。一次電子ビーム302は、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372を通過した後で、3つの一次電子ビームレット311、312、及び313(又は他の任意の数のビームレット)に整えられることがある。電子放射源301、銃アパーチャプレート371、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372、及び集光レンズ310は、マルチビーム電子ビームツール300の一次光軸304と整列されることがある。
【0044】
[0057] 実施形態によっては、マルチビーム電子ビームツール300は、シングルビームモード及びマルチビームモードなどの、電子ビームツール300の複数の動作モードをサポートするために使用されることがある、可動アパーチャプレート373を更に含むことがある。
【0045】
[0058] シングルビームモードでは、
図3Aに示すように、可動アパーチャプレート373を、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372と集光レンズ310との間の第1の位置に移動させることがある。可動アパーチャプレート373が第1の位置に配置されると、可動アパーチャプレート373のアパーチャは、一次光軸304と整列されることがある。可動アパーチャプレート373は、シングルビームモード中に、オフアクシスビームレット(例えば、ビームレット312及び313)を遮断し、オンアクシスビームレット(例えば、ビームレット311)のみを通過させるように構成されることがある。実施形態によっては、可動アパーチャプレート373は、(
図3Cに示すような)様々なサイズの複数のアパーチャを含むことがある。そのような実施形態では、ビームの所望の電流レベルに応じて、シングルビームモード中に異なるサイズのアパーチャが選択されることがある。例えば、大電流の電子ビームが望まれる場合、より大きなアパーチャが使用されることがある。
【0046】
[0059] マルチビームモードでは、
図3Bに示すように、可動アパーチャプレート373は第2の位置に移動されることがあり、第2の位置では、可動アパーチャプレート373は、一次電子ビームレット311、312、及び313が通過するように、一次電子ビームレット311、312、及び313の経路から十分に離れている。
【0047】
[0060] ここで、
図3Cを参照すると、
図3Cは、本開示の実施形態と一致した、
図3A及び
図3Bの可動アパーチャプレート373の一実施形態の概略図である。実施形態によっては、可動アパーチャプレート373は、1つ又は複数のアパーチャを含むことがある。実施形態によっては、可動アパーチャプレート373は、電子ビームツールがシングルビームモードで動作している間に、一次電子ビームレットの電流を変化させるために、様々なサイズの複数のアパーチャを含むことがある。
図3Cは長方形の可動アパーチャプレートを示しているが、可動アパーチャプレート373は、異なる形状をしていてもよいことが理解されよう。例えば、可動アパーチャプレート373は、複数のアパーチャを備えた円形のプレートであり得る。本開示は、可動アパーチャプレート373の形状を制限するものではない。
【0048】
[0061] ここで、
図4A及び
図4Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレートの例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール400A及び400Bの概略図である。マルチビーム電子ビームツール400A及び400Bは、マルチビーム装置(
図2のマルチビーム装置40など)の一部であり得る。
【0049】
[0062]
図3A及び
図3Bに示す構成と同様に、マルチビーム電子ビームツール400A及び400Bは、電子放射源401、銃アパーチャプレート471、事前ビームレット形成アパーチャアレイ472、集光レンズ410、及び可動アパーチャプレート(例えば、473a及び473b)を含むことがある。しかしながら、
図4A及び
図4Bは、異なる構成の可動アパーチャプレートを有するマルチビーム電子ビームツールの実施形態を示している。
図4A及び
図4Bは、可動アパーチャプレートが、銃アパーチャプレート471、事前ビームレット形成アパーチャアレイ472、及び集光レンズ410などの、一次光軸404と整列した他の構造物に対して、シングルビームモードの異なる位置に移動されることがあることを示している。
【0050】
[0063] 例えば、
図4Aの可動アパーチャプレート473aは、事前ビームレット形成アパーチャアレイ472の上方で且つ銃アパーチャプレート471の下方に配置されて、シングルビームモード動作を可能にすることができる。そのような実施形態では、可動アパーチャプレート473aは、一次電子ビーム402のオフアクシス部分を切り取り、それによって、単一のビームレット、例えば、電子ビームレット411が、事前ビームレット形成アパーチャアレイ472の後で生成されるようにすることができる。
【0051】
[0064] 他方、
図4Bの可動アパーチャプレート473bは、集光レンズ410の下方に配置されて、シングルビームモード中に、全てのオフアクシスビームレット(例えば、ビームレット412及び413)を遮断し、オンアクシスビームレット(例えば、ビームレット411)のみが通過できるようにすることにより、シングルビームモード動作を可能にすることができる。
【0052】
[0065] ここで、
図5A及び
図5Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレート573の例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール500の概略図である。マルチビーム電子ビームツール500は、マルチビーム装置(
図2のマルチビーム装置40など)の一部であり得る。
【0053】
[0066] 前述した実施形態と同様に、マルチビーム電子ビームツール500は、電子放射源501、銃アパーチャプレート571、事前ビームレット形成アパーチャアレイ572、集光レンズ510、及び可動アパーチャプレート573を含むことがある。
図5A及び
図5Bは、異なる構成の可動アパーチャプレートを備えたマルチビーム電子ビームツールの更なる実施形態を示す。実施形態によっては、集光レンズ510は、一次電子ビームレットの経路を変えるために組み合わせて動作する2つ以上のレンズを含むことがある。これらの2つ以上のレンズは、静電レンズ、磁気レンズ、又は両方の組み合わせ、であり得る。例えば、
図5Aは、2つの磁気レンズ510a及び510bを含む集光レンズ510の一実施形態を示す。そのような実施形態では、
図5Bに示すように、可動アパーチャプレート573は、2つの磁気レンズ510aと510bとの間の位置に移動されて、オフアクシス電子ビームレット512、513を遮断し、それによって、シングルビームモード動作を可能にすることができる。可動アパーチャプレート573は、様々な形状をしていることがあることが理解されよう。例えば、可動アパーチャプレート573は、
図3Cに示されるような長方形のプレートであり得る。実施形態によっては、可動アパーチャプレートは、複数のアパーチャを備えた円形のプレートであり得る。そのような実施形態では、円形のアパーチャプレートが、回転して、異なるサイズのアパーチャが光軸と整列できるようにして、電子が通過できるようにすることがある。この回転する円形アパーチャプレートは、集光レンズ510内部などの、狭いスペースに適していることがある。
【0054】
[0067] ここで、
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、可動アパーチャプレート673の例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール600の概略図である。マルチビーム電子ビームツール600は、マルチビーム装置(
図2のマルチビーム装置40など)の一部であり得る。
【0055】
[0068] 前述した実施形態と同様に、マルチビーム電子ビームツール600は、電子放射源601、事前ビームレット形成アパーチャアレイ672、集光レンズ610、及び可動アパーチャプレート673を含むことがある。実施形態によっては、
図6A及び
図6Bに示すように、銃アパーチャプレートは、2つ以上のアパーチャを含む可動アパーチャプレート673と置き換えられることがあり、第1のアパーチャ(例えば、
図6Cのアパーチャ673a)はシングルビームモードで使用され、第2のアパーチャ(例えば、
図6Cのアパーチャ673b)はマルチビームモードで使用される。
【0056】
[0069] 例えば、シングルビームモードでは、
図6Aに示すように、可動アパーチャプレート673を、事前ビームレット形成アパーチャアレイ672の上方の第1の位置に移動させることがある。可動アパーチャプレート673が第1の位置に配置されると、可動アパーチャプレート673の第1のアパーチャ(例えば、
図6Cのアパーチャ673a)が一次光軸604と整列される。第1のアパーチャは、一次電子ビーム602のオフアクシス部分を切り取るように構成される小さな開口部を含むことがあり、それによって、事前ビームレット形成アパーチャアレイ672の後で単一のビームレット、例えば電子ビームレット611が生成されることになる。
【0057】
[0070] マルチビームモードでは、
図6Bに示すように、可動アパーチャプレート673は第2の位置に移動されることがある。可動アパーチャプレート673が第2の位置に配置されると、可動アパーチャプレート673の第2のアパーチャ(例えば、
図6Cのアパーチャ673b)が一次光軸604と整列される。第2のアパーチャは、一次電子ビーム602のより大きな部分を通過させることができるより大きな開口部を含むことがあり、それによって、複数のビームレット-オンアクシスビームレット(例えば、ビームレット611)及びオフアクシスビームレット(例えば、ビームレット612及び613)-が生成されることになる。そのような実施形態では、第2のアパーチャは、一次電子ビーム602の周辺電子を遮断してクーロン効果を低減しながら、一次電子ビーム602の十分に大きな部分を通過させて複数のビームレットを生成することにより、マルチビームモードで銃アパーチャアレイ(例えば、
図3Bの銃アパーチャアレイ371)として効果的に機能する。
【0058】
[0071]
図6Cは、長方形の可動アパーチャプレートを示しているが、可動アパーチャプレート673は、異なる形状をしていてもよいことが理解されよう。例えば、可動アパーチャプレート673は、複数のアパーチャを備えた円形のプレートであり得る。本開示は、可動アパーチャプレート373の形状を制限するものではない。
【0059】
[0072] ここで、
図7A及び
図7Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイス740及び746の例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール700の概略図である。
図7Aは、マルチビーム電子ビームツール700のマルチビーム動作モードを示す。
図7Bは、マルチビーム電子ビームツール700のシングルビーム動作モードを示す。
【0060】
[0073] 実施形態によっては、マルチビーム電子ビームツール700は、検査のためにビームレット711、712、及び713をサンプル708上に集束させるように構成された対物レンズ731を含むことがあり、且つ、サンプル708の表面上に3つのプローブスポット721、722、及び723を形成することがある。マルチビーム電子ビームツール700は、マルチビームモード及びシングルビームモード中に、それぞれ二次電子を検出するように構成されたマルチビーム検出デバイス740及びシングルビーム検出デバイス746を含むことがある。マルチビーム検出デバイス740は、二次光軸751と整列されることがある。シングルビーム検出デバイス746は、一次光軸704と整列されることがある。
【0061】
[0074] マルチビーム電子ビームツール700は、マルチビーム電子ビームツール700の動作モードに基づいて、異なる方向に二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータ733も含むことがある。例えば、
図7Aに示すように、マルチビームモードでは、ビームセパレータ733は、二次電子ビーム761、762、及び763を、二次光軸751に沿ってマルチビーム検出デバイス740に向けて偏向させるように構成されることがある。他方、シングルビームモードでは、
図7Bに示すように、シングルビーム検出デバイス746が二次電子ビーム761を検出することができるように、ビームセパレータ733が無効にされることがあり、シングルビーム検出デバイス746は、シングルビーム(例えば、一次ビームレット711)によって生成された二次電子の検出を強化するように特に設計されていることがある。
【0062】
[0075] ここで、
図8A及び
図8Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイス840及び846の例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール800の概略図である。
図8Aは、マルチビーム電子ビームツール800のマルチビーム動作モードを示す。
図8Bは、マルチビーム電子ビームツール800のシングルビーム動作モードを示す。
【0063】
[0076] マルチビーム電子ビームツール800は、
図7A及び
図7Bに関して前述したのと同様の態様で動作することがある。マルチビームモード中、ビームセパレータ833は、二次電子ビーム861、862、及び863を、二次光軸851と協調してマルチビーム検出デバイス840に向けて偏向させるように構成されることがある。シングルビームモード中、シングルビーム検出デバイス846が二次電子ビーム861を検出することができるように、ビームセパレータ833は無効にされるように構成されることがあり、シングルビーム検出デバイス846は、シングルビーム二次電子ビームを検出するように特に設計されていることがある。
【0064】
[0077] しかしながら、
図7A及び
図7Bのマルチビーム電子ビームツール700とマルチビーム電子ビームツール800との顕著な違いの1つは、実施形態によっては、シングルビーム検出デバイス846が可動である場合がある、ということである。例えば、マルチビームモード中、
図8Aに示すように、シングルビーム検出デバイス846は、複数のビームレット(例えば、ビームレット811、812、及び813)が通過するための空間を生み出すように、一次光軸804から離れるように移動されることがある。シングルビームモード中、
図8Bに示すように、シングルビーム検出デバイス846は、二次電子ビーム861を検出するために、一次光軸804と整列した位置に移動されることがある。シングルビーム検出デバイス846はマルチビームモード中は離れるように移動するので、シングルビーム検出デバイス846は、固定の設計(例えば、
図7Aのシングルビーム検出デバイス746)よりも大きくすることができ、シングルビームモード検査中により高解像度を提供することができる。
【0065】
[0078] ここで、
図9A、
図9B、及び
図9Cを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイス940及び946の例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール900の概略図である。マルチビーム電子ビームツール900は、マルチビーム装置(
図2のマルチビーム装置40など)の一部であり得る。
図9Aは、マルチビーム電子ビームツール900のマルチビーム動作モードを示す。
図9B及び
図9Cは、マルチビーム電子ビームツール900のシングルビーム動作モードを示す。
【0066】
[0079] マルチビーム電子ビームツール900は、
図7A及び
図7Bに関して前述したのと同様の態様で動作することがある。マルチビームモード中、ビームセパレータ933は、二次電子ビーム961、962、及び963を、第1の二次光軸951に沿ってマルチビーム検出デバイス940に向けて偏向させるように構成されることがある。
【0067】
[0080] しかしながら、
図7A及び
図7Bのマルチビーム電子ビームツール700とマルチビーム電子ビームツール900との顕著な違いの1つは、実施形態によっては、シングルビーム検出デバイス946が一次光軸904と整列されていない場合がある、ということである。そのような実施形態では、シングルビームモード中、ビームセパレータ933は、二次電子ビーム961をシングルビーム検出デバイス946に向けて偏向させるように構成されることがあり、シングルビーム検出デバイス946は、
図9Bに示すように、第2の二次光軸952と整列されていることがある。実施形態によっては、第1の二次光軸951及び第2の二次光軸952は、一次光軸904に対して対称である。しかしながら、光軸951及び952は、対称ではない場合があることが理解されよう。
【0068】
[0081]
図9Cに示すように、実施形態によっては、マルチビーム電子ビームツール900は、シングルビーム検出デバイス946の前方にエネルギーフィルタ947を更に含むことがある。エネルギーフィルタ947は、第2の二次光軸952と整列されていることもある。エネルギーフィルタ947は、通常の二次電子よりも通常はより大きなエネルギーを有する後方散乱電子の検出を強化するように構成されることがある。実施形態によっては、エネルギーフィルタ947は、一定のエネルギー準位を有する電子を選択的に通過させることがある。例えば、エネルギーフィルタ947は、後方散乱電子などの高いエネルギーの電子のみを通過させて、通常の二次電子よりもより多くの後方散乱電子が、シングルビーム検出デバイス946に到達できるように、調節されることがある。
【0069】
[0082] ここで、
図10A及び
図10Bを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、二次電子検出デバイス1046及び1080の例示的な構成を示すマルチビーム電子ビームツール1000の概略図である。
【0070】
[0083] マルチビーム電子ビームツール1000は、
図7A/7B及び
図8A/8Bに関してそれぞれ前述したマルチビーム電子ビームツール700又は800と同様の態様で動作することができる。マルチビーム電子ビームツール1000がマルチビームモードで動作する場合、ビームセパレータ1033は、二次電子ビーム1061を、マルチビーム検出デバイス1040に向けて偏向させるように構成されることがある。マルチビーム電子ビームツール1000がシングルビームモードで動作する場合、
図10A及び
図10Bで示すように、シングルビーム検出デバイス1046が二次電子ビーム1061を検出することができるように、ビームセパレータ1033は無効にされるように構成されることがあり、シングルビーム検出デバイス1046は、シングルビーム二次電子ビームを検出するように特に設計されていることがある。実施形態によっては、シングルビーム検出デバイス1046は、
図7A及び
図7Bのシングルビーム検出デバイス746と同様に固定である。実施形態によっては、シングルビーム検出デバイス1046は、
図8A及び
図8Bのシングルビーム検出デバイス846と同様に可動である。
【0071】
[0084] サンプル1008に一次ビームレット1011が入射するのに応答して、二次電子ビームがサンプル1008から発生することがある。二次電子ビームは、
図10A及び
図10Bに示すように、二次電子(1061など)及び後方散乱電子(1081、1082、及び1083など)を含むことがある。二次電子1061は、放射エネルギーが低く、従って、対物レンズ1031によって容易に集束して、シングルビーム検出デバイス1046によって検出される。後方散乱電子は放射エネルギーが高く、従って、対物レンズ1031によって集束させるのが難しい。従って、放射角度が小さい後方散乱電子(1081など)だけが、シングルビーム検出デバイス1046によって検出され得る。
【0072】
[0085] しかしながら、
図10Aに示すように、1082及び1083などの放射角度が大きい後方散乱電子は、十分に集束させることができず、シングルビームモード中にシングルビーム検出デバイス1046によって検出されないことがある。実施形態によっては、放射角度が大きいそれらの後方散乱電子(例えば、ビーム1082及び1083)を捕捉することが、欠陥検査のために有用であることがある、というのも、それらの後方散乱電子は、サンプル1008についての地形的情報及び材料情報を含むことがあるからである。
【0073】
[0086]
図10Bに示すように、実施形態によっては、追加のシングルビーム検出デバイス1080を使用して、放射角度が大きいそれらの後方散乱電子を捕捉することができる。追加のシングルビーム検出デバイス1080は、対物レンズ1031とサンプル1008との間に配置されることがある。
【0074】
[0087] 実施形態によっては、追加のシングルビーム検出デバイス1080は、
図7A及び
図7Bのシングルビーム検出デバイス746と同様に固定であることがある。そのような実施形態では、追加のシングルビーム検出デバイス1080は、マルチビーム電子ビームツール1000がマルチビームモードで動作している場合に、一次電子ビーム(例えば、
図8Aのビームレット811、812、813)及び二次電子ビーム(例えば、二次ビーム861、862、863)を遮断するのを回避するために、十分に大きな内部孔直径1095を有するように設計されることがある。
【0075】
[0088] 実施形態によっては、追加のシングルビーム検出デバイス1080は、
図8A及び
図8Bのシングルビーム検出デバイス846と同様に可動であることがある。例えば、マルチビームモード中、追加のシングルビーム検出デバイス1080は、複数のビームレットが通過するための空間を生み出すように、一次光軸1004から離れるように移動されることがある。シングルビームモード中、
図10Bに示すように、追加のシングルビーム検出デバイス1080を、一次光軸1004と整列した位置に移動させて、後方散乱電子1082及び1083などの放射角度が大きい後方散乱電子を検出することがある。
【0076】
[0089] 追加のシングルビーム検出デバイス1080は、マルチビームモード中は離れるように移動するので、追加のシングルビーム検出デバイス1080を、シングルビームモードで動作する際に後方散乱電子を収集するために最適化することができる。例えば、追加のシングルビーム検出デバイス1080の内部孔直径1095は、固定の設計よりも小さいことがあり、その結果、より大きな検出領域がもたらされる。この最適化により、より多くの後方散乱電子を捕捉する能力がもたらされることがあり、その結果、シングルビームモード検査中に、サンプル1008のより高い結像解像度及びより高い検査スループットがもたらされることがある。
【0077】
[0090] 実施形態によっては、放射角度の観点から、二次電子及び後方散乱電子を捕捉することは、欠陥検査のためにより有用であることがある、というのも、この情報は、サンプル表面上又はサンプル内側のパターンの向きと関連しているからである。従って、シングルビーム検出デバイス1046及び追加のシングルビーム検出デバイス1080は、複数の検出領域を含むか、又は
図10C、
図10D、及び
図10Eに示すようにセグメント化されることがある。
【0078】
[0091] ここで、
図10C、
図10D、及び
図10Eを参照すると、これらの図は、本開示の実施形態と一致した、
図10Bの追加のシングルビーム検出デバイス1080の例示的な実施形態の概略図を示している。実施形態によっては、追加のシングルビーム検出デバイス1080は、
図10Cに示すように、単一のリング状の検出領域1080aを含むことがある。
【0079】
[0092] サンプル(例えば、
図10Bのサンプル1008)から放射された後方散乱電子は、サンプル内部に実装されたフィーチャの形状及び向きに応じて、異なる情報を提供することができる。従って、実施形態によっては、追加の二次電子検出デバイス1080は、サンプル上のフィーチャに関係したより特定の情報を取得することができるように、複数のセグメントの検出領域を含むことがある。
【0080】
[0093]
図10Dは、追加のシングルビーム検出デバイス1080の例を示す。実施形態によっては、追加のシングルビーム検出デバイス1080は、回転方向1096に沿って配置される検出セグメント1080b、1080c、1080d、及び1080eを含むことがある。これは、後方散乱電子を、その放射方位角(円周方向の放射角度)の観点で検出することを可能にし、ある種のサンプルの欠陥検査にとっては有用である。
【0081】
[0094]
図10Eは、追加のシングルビーム検出デバイス1080の別の例を示す。実施形態によっては、追加のシングルビーム検出デバイス1080は、半径方向1097に沿って配置される検出セグメント1080f及び1080gを含むことがある。これは、後方散乱電子を、その放射半径角度(表面法線に対する放射角度)の観点で検出することを可能にし、ある種のサンプルの欠陥検査にとっては有用である。
【0082】
[0095] 実施形態によっては、
図10A及び
図10Bのシングルビーム検出デバイス1046は、単一のリング状の検出領域(例えば、
図10に示した単一のリング状の検出領域1080a)か、又は複数の検出セグメント(例えば、
図10Dの回転状に配置された検出セグメント1080b~1080e、又は
図10Eの放射状に配置された検出セグメント1080f~1080g)を含むことがある。
【0083】
[0096] ここで、
図11を参照すると、
図11は、本開示の実施形態と一致した、マルチビーム電子ビームツール(
図3Aのマルチビーム電子ビームツール300など)を使用してサンプルを検査する例示的な方法を示す流れ図である。実施形態によっては、マルチビーム電子ビームツールは、電子放射源(例えば、
図3Aの電子放射源301)、銃アパーチャプレート(例えば、
図3Aの銃アパーチャプレート371)、事前ビームレット形成アパーチャアレイ(例えば、事前ビームレット形成アパーチャアレイ372)、及び集光レンズ(例えば、
図3Aの集光レンズ310)を含むことがある。電子放射源は、一次電子を放出し、一次電子ビーム(例えば、
図3Aの一次電子ビーム302)を形成するように構成される。銃アパーチャプレートは、一次電子ビームの周辺電子を遮断して、検査解像度を劣化させる可能性のあるクーロン効果を低減するように構成される。実施形態によっては、事前ビームレット形成アパーチャアレイが、一次電子ビームの周辺電子を更に遮断して、クーロン効果を低減する。一次電子ビームは、事前ビームレット形成アパーチャアレイを通過した後で、複数の一次電子ビームレット(例えば、
図3Aの電子ビームレット311、312、及び313)に整えられることがある。
【0084】
[0097] 実施形態によっては、マルチビーム電子ビームツールは、シングルビームモード及びマルチビームモードなどの、電子ビームツールの複数の動作モードをサポートするために使用されることがある、可動アパーチャプレート(例えば、
図3A及び
図3Bの可動アパーチャプレート373)を更に含むことがある。実施形態によっては、マルチビーム電子ビームツールは、回路を有し、マルチビーム電子ビームツールの構成を変更してマルチビームモードとシングルビームモードとの間で切り替わるように構成された、コントローラを含むこともある。
【0085】
[0098] ステップ1110では、サンプルは、検査のためにマルチビーム電子ビームツールに装填される。ステップ1120では、マルチビーム電子ビームツールがマルチビームモード検査に向けて配置されると、コントローラは、可動アパーチャプレートを第1の位置から第2の位置に移動させて、サンプルのマルチビーム検査を実施する。実施形態によっては、マルチビームモードでは、可動アパーチャプレートは第2の位置に配置されることがあり、この位置では、可動アパーチャプレートは、一次ビームレットが通過するように、それらの複数の一次電子ビームレットの経路から十分に離れて配置される。
【0086】
[0099] ステップ1130では、マルチビーム電子ビームツールがシングルビームモードへと配置されると、コントローラは、可動アパーチャプレートを第2の位置から第1の位置に移動させて、サンプルの高解像度のシングルビーム検査を実施する。実施形態によっては、可動アパーチャプレートが第1の位置に配置されると、可動アパーチャプレートのアパーチャが一次光軸と整列されることがある。可動アパーチャプレートは、シングルビームモード中に、オフアクシス一次電子ビームレット(例えば、
図3Aのビームレット312及び313)を遮断し、オンアクシスビームレット(例えば、
図3Aのビームレット311)のみを通過させるように構成されることがある。
【0087】
[00100] 実施形態については、以下の条項を使用して更に説明することができる。
1.複数の動作モードをサポートするサンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
一次光軸に沿って荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子ビーム放射源と、
上記荷電粒子ビームから複数の荷電粒子ビームレットを形成するように構成された第1のアパーチャプレートと、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のアパーチャプレートと、
回路を有し、上記装置の構成を変更して第1のモードと第2のモードとの間で切り替わるように構成された、コントローラと、を含み、
上記第1のモードでは、
上記第2のアパーチャプレートは上記第1の位置に配置され、
上記第1のアパーチャプレート及び上記第2のアパーチャプレートは、上記複数の荷電粒子ビームレットのうちの第1の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成され、
上記第2のモードでは、
上記第2のアパーチャプレートは上記第2の位置に配置され、
上記第1のアパーチャプレート及び上記第2のアパーチャプレートは、上記複数の荷電粒子ビームレットのうちの上記第1の荷電粒子ビームレット及び第2の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成される、荷電粒子ビーム装置。
2.上記第1のモードはシングルビームモードであり、上記第2のモードはマルチビームモードである、条項1に記載の装置。
3.上記第1の荷電粒子ビームレットは上記一次光軸に対してオンアクシスビームレットであり、上記第2の荷電粒子ビームレットは上記一次光軸に対してオフアクシスビームレットである、条項1~2の何れか一項に記載の装置。
4.上記第2のアパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記第2の荷電粒子ビームレットを遮断するように構成される、条項1~3の何れか一項に記載の装置。
5.上記第1のアパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記荷電粒子ビーム放射源と上記第2のアパーチャプレートとの間に配置される、条項1~4の何れか一項に記載の装置。
6.上記複数の荷電粒子ビームレットの経路を変更して、像面に上記荷電粒子ビーム放射源の複数の像を形成するように構成された集光レンズ、を更に含む、条項1~5の何れか一項に記載の装置。
7.上記第2のアパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記第1のアパーチャプレートと上記集光レンズとの間に配置される、条項6に記載の装置。
8.上記集光レンズは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記第1のアパーチャプレートと上記第2のアパーチャプレートとの間に配置される、条項6に記載の装置。
9.上記集光レンズは第1の偏向器及び第2の偏向器を含み、上記第2のアパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記第1の偏向器と上記第2の偏向器との間に配置される、条項6に記載の装置。
10.上記第2のアパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記荷電粒子ビーム放射源と上記第1のアパーチャプレートとの間に配置される、条項1~4の何れか一項に記載の装置。
11.上記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
上記装置が上記第1のモード又は上記第2のモードのいずれかで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、を更に含む、条項1~10の何れか一項に記載の装置。
12.上記コントローラは、
上記第1のモード又は上記第2のモードのいずれかで、上記二次電子を上記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御するための回路を含み、ここで、上記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されている、条項11に記載の装置。
13.上記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
上記装置が上記第2のモードで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、
上記装置が上記第1のモードで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第2の電子検出デバイスと、を更に含む、条項1~10の何れか一項に記載の装置。
14.上記コントローラは、
上記第2のモードでは、上記二次電子を上記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御し、ここで、上記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されており、
上記第1のモードでは、上記ビームセパレータを無効にして、上記二次電子が上記第2の電子検出デバイスに向けて移動できるようにする、ための回路を含む、条項13に記載の装置。
15.上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されている、条項14に記載の装置。
16.上記第2の電子検出デバイスは、第3の位置と第4の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第3の位置に配置されて上記二次電子を検出し、この第3の位置では、上記第2の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第4の位置に配置され、この第4の位置では、上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項14に記載の装置。
17.上記コントローラは、
上記第2のモード中に、上記二次電子を上記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御し、ここで、上記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されており、
上記第1のモード中に、上記二次電子を上記第2の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御し、ここで、上記第2の電子検出デバイスは第2の二次光軸と整列されている、ための回路を含む、条項13に記載の装置。
18.上記第1の二次光軸及び上記第2の二次光軸は、上記一次光軸に対して対称である、条項17に記載の装置。
19.上記第2の電子検出デバイスは、上記二次電子を検出するための電子検出器と、後方散乱電子の検出を強化するための上記電子検出器の前方にあるエネルギーフィルタと、を含む、条項17及び18の何れか一項に記載の装置。
20.上記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
上記装置が上記第2のモードで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、
上記装置が上記第1のモードで動作する場合に上記二次電子の第1の部分を検出するように構成された第2の電子検出デバイスと、
上記装置が上記第1のモードで動作する場合に上記二次電子の第2の部分を検出するように構成された第3の電子検出デバイスと、を更に含む、条項1~10の何れか一項に記載の装置。
21.上記二次電子の上記第2の部分は、上記二次電子の上記第1の部分の電子よりも高いエネルギーを有する電子を含む、条項20に記載の装置。
22.上記二次電子の上記第2の部分は、上記二次電子の上記第1の部分の電子よりも大きな放射角度を有する電子を含む、条項20に記載の装置。
23.上記二次電子の上記第2の部分は、上記サンプルから放射される後方散乱電子を含む、条項20~22の何れか一項に記載の装置。
24.上記第2の電子検出デバイス及び上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されている、条項20~23の何れか一項に記載の装置。
25.上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されて、上記二次電子の上記第2の部分を検出し、
上記第2の電子検出デバイスは、第3の位置と第4の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第3の位置に配置されて上記二次電子の上記第1の部分を検出し、この第3の位置では、上記第2の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第4の位置に配置され、この第4の位置では、上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項20~23の何れか一項に記載の装置。
26.上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されて、上記二次電子の上記第1の部分を検出し、
上記第3の電子検出デバイスは、第5の位置と第6の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第3の電子検出デバイスは、上記第5の位置に配置されて上記二次電子の上記第2の部分を検出し、この第5の位置では、上記第3の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第3の電子検出デバイスは、上記第6の位置に配置され、この第6の位置では、上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項20~23の何れか一項に記載の装置。
27.上記第2の電子検出デバイスは、第3の位置と第4の位置との間で移動可能であり、
上記第3の電子検出デバイスは、第5の位置と第6の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは上記第3の位置に配置されて上記二次電子の上記第1の部分を検出し、この第3の位置では、上記第2の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、また、上記第3の電子検出デバイスは、上記第5の位置に配置されて上記二次電子の上記第2の部分を検出し、この第5の位置では、上記第3の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第4の位置に配置され、上記第3の電子検出デバイスは、上記第6の位置に配置され、これらの位置では、上記第2及び上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項20~23の何れか一項に記載の装置。
28.上記第2の電子検出デバイスが複数の検出セグメントを含むか、上記第3の電子検出デバイスが複数の検出セグメントを含むか、又は、上記第2及び第3の電子検出デバイスが複数の検出セグメントを含む、条項20~27の何れか一項に記載の装置。
29.上記第2のアパーチャプレートは第1のアパーチャを含み、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2のアパーチャプレートは、上記第1のアパーチャが上記一次光軸と整列されるように、上記第1の位置に配置され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2のアパーチャプレートは、上記第1のアパーチャが上記一次光軸から離れて配置されるように、上記第2の位置に配置される、条項1~28の何れか一項に記載の装置。
30.上記第2のアパーチャプレートは、上記第1のアパーチャよりも大きな第2のアパーチャを更に含み、
上記装置が第3のモードにあるように構成される場合、上記第2のアパーチャは第5の位置に配置され、それにより、上記第2のアパーチャが上記一次光軸と整列されて、上記第2の荷電粒子ビームレットを遮断し、且つ、上記第1のアパーチャよりもより高い電流プローブスポットを上記サンプル上に生成する、条項29に記載の装置。
31.上記第2のアパーチャプレートは第1のアパーチャ及び第2のアパーチャを含み、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2のアパーチャプレートは、上記第1のアパーチャが上記一次光軸と整列されるように、上記第1の位置に配置され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2のアパーチャプレートは、上記第2のアパーチャが上記一次光軸と整列されるように、上記第2の位置に配置される、条項1~28の何れか一項に記載の装置。
32.上記第2のアパーチャは上記第1のアパーチャよりも大きい、条項31に記載の装置。
33.上記第2のアパーチャプレートは、円形プレートである、条項1~32の何れか一項に記載の装置。
34.上記第2のアパーチャプレートは、上記一次光軸の周りを回転する、条項33に記載の装置。
35.荷電粒子ビーム放射源によって放射される荷電粒子ビームから複数の荷電粒子ビームレットを形成するように構成された第1のアパーチャプレートを含む荷電粒子ビーム装置を使用して、サンプルを検査する方法であって、
第2のアパーチャプレートを第2の位置から第1の位置に移動させること、を含み、
上記第2のアパーチャプレートを上記第1の位置に配置すると、上記荷電粒子ビームの単一の荷電粒子ビームレットが、上記第1及び上記第2のアパーチャプレートの組み合わせを通過できるようになり、
上記第2のアパーチャプレートを上記第2の位置に配置すると、上記荷電粒子ビームの複数の荷電粒子ビームレットが、上記第1及び上記第2のアパーチャプレートの組み合わせを通過できるようになる、方法。
36.第2のアパーチャプレートを上記第1の位置から上記第2の位置に移動させること、を更に含む、条項35に記載の方法。
37.上記シングル荷電粒子ビームレットは、一次光軸に対してオンアクシスの荷電粒子ビームレットである、条項35及び36の何れか一項に記載の方法。
38.上記第2のアパーチャプレートは、上記第1の位置に配置されると、オフアクシス荷電粒子ビームレットを遮断するように構成される、条項35~37の何れか一項に記載の方法。
39.複数の動作モードをサポートするサンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
一次光軸に沿って荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子ビーム放射源と、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な可動アパーチャプレートと、
回路を有し、上記装置の構成を変更して第1のモードと第2のモードとの間で切り替わるように構成された、コントローラと、を含み、
上記第1のモードでは、
上記可動アパーチャプレートは、上記第1の位置に配置され、上記荷電粒子ビームから引き出された複数の荷電粒子ビームレットのうちの第1の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成され、
上記第2のモードでは、
上記可動アパーチャプレートは、上記第2の位置に配置され、上記複数の荷電粒子ビームレットのうちの上記第1の荷電粒子ビームレット及び第2の荷電粒子ビームレットが通過できるように構成される、荷電粒子ビーム装置。
40.上記第1のモードはシングルビームモードであり、上記第2のモードはマルチビームモードである、条項39に記載の装置。
41.上記第1の荷電粒子ビームレットは上記一次光軸に対してオンアクシスビームレットであり、上記第2の荷電粒子ビームレットは上記一次光軸に対してオフアクシスビームレットである、条項39~40の何れか一項に記載の装置。
42.上記可動アパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記第2の荷電粒子ビームレットを遮断するように構成される、条項39~41の何れか一項に記載の装置。
43.事前ビームレット形成アパーチャプレートを更に含み、上記事前ビームレット形成アパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記荷電粒子ビーム放射源と上記可動アパーチャプレートとの間に配置される、条項39~42の何れか一項に記載の装置。
44.上記複数の荷電粒子ビームレットの経路を変更して、像面に上記荷電粒子ビーム放射源の複数の像を形成するように構成された集光レンズ、を更に含む、条項39~43の何れか一項に記載の装置。
45.上記可動アパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記事前ビームレット形成アパーチャプレートと上記集光レンズとの間に配置される、条項44に記載の装置。
46.上記集光レンズは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記事前ビームレット形成アパーチャプレートと上記可動アパーチャプレートとの間に配置される、条項44に記載の装置。
47.上記集光レンズは第1の偏向器及び第2の偏向器を含み、上記可動アパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記第1の偏向器と上記第2の偏向器との間に配置される、条項44に記載の装置。
48.事前ビームレット形成アパーチャプレートを更に含み、上記可動アパーチャプレートは、上記装置が上記第1のモードで動作する場合、上記荷電粒子ビーム放射源と上記事前ビームレット形成アパーチャプレートとの間に配置される、条項39~42の何れか一項に記載の装置。
49.上記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
上記装置が上記第1のモード又は上記第2のモードのいずれかで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、を更に含む、条項39~48の何れか一項に記載の装置。
50.上記コントローラは、
上記第1のモード又は上記第2のモードのいずれかで、上記二次電子を上記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御するための回路を含み、ここで、上記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されている、条項49に記載の装置。
51.上記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
上記装置が上記第2のモードで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、
上記装置が上記第1のモードで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第2の電子検出デバイスと、を更に含む、条項39~48の何れか一項に記載の装置。
52.上記コントローラは、
上記第2のモードでは、上記二次電子を上記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御し、ここで、上記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されており、
上記第1のモードでは、上記ビームセパレータを無効にして、上記二次電子が上記第2の電子検出デバイスに向けて移動できるようにする、ための回路を含む、条項51に記載の装置。
53.上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されている、条項52に記載の装置。
54.上記第2の電子検出デバイスは、第3の位置と第4の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第3の位置に配置されて上記二次電子を検出し、この第3の位置では、上記第2の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第4の位置に配置され、この第4の位置では、上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項52に記載の装置。
55.上記コントローラは、
上記第2のモード中に、上記二次電子を上記第1の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御し、ここで、上記第1の電子検出デバイスは第1の二次光軸と整列されており、
上記第1のモード中に、上記二次電子を上記第2の電子検出デバイスに向けて偏向させるように上記ビームセパレータを制御し、ここで、上記第2の電子検出デバイスは第2の二次光軸と整列されている、ための回路を含む、条項51に記載の装置。
56.上記第1の二次光軸及び上記第2の二次光軸は、上記一次光軸に対して対称である、条項55に記載の装置。
57.上記第2の電子検出デバイスは、上記二次電子を検出するための電子検出器と、後方散乱電子の検出を強化するための上記電子検出器の前方にあるエネルギーフィルタと、を含む、条項55及び56の何れか一項に記載の装置。
58.上記サンプルから生成された二次電子を偏向させるように構成されたビームセパレータと、
上記装置が上記第2のモードで動作する場合に上記二次電子を検出するように構成された第1の電子検出デバイスと、
上記装置が上記第1のモードで動作する場合に上記二次電子の第1の部分を検出するように構成された第2の電子検出デバイスと、
上記装置が上記第1のモードで動作する場合に上記二次電子の第2の部分を検出するように構成された第3の電子検出デバイスと、を更に含む、条項39~48の何れか一項に記載の装置。
59.上記二次電子の上記第2の部分は、上記二次電子の上記第1の部分の電子よりも高いエネルギーを有する電子を含む、条項58に記載の装置。
60.上記二次電子の上記第2の部分は、上記二次電子の上記第1の部分の電子よりも大きな放射角度を有する電子を含む、条項58に記載の装置。
61.上記二次電子の上記第2の部分は、上記サンプルから放射される後方散乱電子を含む、条項58~60の何れか一項に記載の装置。
62.上記第2の電子検出デバイス及び上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されている、条項58~61の何れか一項に記載の装置。
63.上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されて、上記二次電子の上記第2の部分を検出し、
上記第2の電子検出デバイスは、第3の位置と第4の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第3の位置に配置されて上記二次電子の上記第1の部分を検出し、この第3の位置では、上記第2の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第4の位置に配置され、この第4の位置では、上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項58~62の何れか一項に記載の装置。
64.上記第2の電子検出デバイスは、上記一次光軸と整列されて、上記二次電子の上記第1の部分を検出し、
上記第3の電子検出デバイスは、第5の位置と第6の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第3の電子検出デバイスは、上記第5の位置に配置されて上記二次電子の上記第2の部分を検出し、この第5の位置では、上記第3の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第3の電子検出デバイスは、上記第6の位置に配置され、この第6の位置では、上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項58~62の何れか一項に記載の装置。
65.上記第2の電子検出デバイスは、第3の位置と第4の位置との間で移動可能であり、
上記第3の電子検出デバイスは、第5の位置と第6の位置との間で移動可能であり、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは上記第3の位置に配置されて上記二次電子の上記第1の部分を検出し、この第3の位置では、上記第2の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、また、上記第3の電子検出デバイスは、上記第5の位置に配置されて上記二次電子の上記第2の部分を検出し、この第5の位置では、上記第3の電子検出デバイスは上記一次光軸と整列され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記第2の電子検出デバイスは、上記第4の位置に配置され、上記第3の電子検出デバイスは、上記第6の位置に配置され、これらの位置では、上記第2及び上記第3の電子検出デバイスは、上記一次光軸から離れて配置される、条項58~62の何れか一項に記載の装置。
66.上記第2の電子検出デバイスが複数の検出セグメントを含むか、上記第3の電子検出デバイスが複数の検出セグメントを含むか、又は、上記第2及び第3の電子検出デバイスが複数の検出セグメントを含む、条項58~65の何れか一項に記載の装置。
67.上記可動アパーチャプレートは第1のアパーチャを含み、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記可動アパーチャプレートは、上記第1のアパーチャが上記一次光軸と整列されるように、上記第1の位置に配置され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記可動アパーチャプレートは、上記第1のアパーチャが上記一次光軸から離れて配置されるように、上記第2の位置に配置される、条項39~66の何れか一項に記載の装置。
68.上記可動アパーチャプレートは、上記第1のアパーチャよりも大きな第2のアパーチャを更に含み、
上記装置が第3のモードにあるように構成される場合、上記第2のアパーチャは第5の位置に配置され、それにより、上記第2のアパーチャが上記一次光軸と整列されて、上記第2の荷電粒子ビームレットを遮断し、且つ、上記第1のアパーチャよりもより高い電流プローブスポットを上記サンプル上に生成する、条項67に記載の装置。
69.上記可動アパーチャプレートは第1のアパーチャ及び第2のアパーチャを含み、
上記装置が上記第1のモードにあるように構成される場合、上記可動アパーチャプレートは、上記第1のアパーチャが上記一次光軸と整列されるように、上記第1の位置に配置され、
上記装置が上記第2のモードにあるように構成される場合、上記可動アパーチャプレートは、上記第2のアパーチャが上記一次光軸と整列されるように、上記第2の位置に配置される、条項39~66の何れか一項に記載の装置。
70.上記第2のアパーチャは上記第1のアパーチャよりも大きい、条項69に記載の装置。
71.上記可動アパーチャプレートは、円形プレートである、条項39~70の何れか一項に記載の装置。
72.上記可動アパーチャプレートは、上記一次光軸の周りを回転する、条項71に記載の装置。
【0088】
[00101] 非一時的なコンピュータ可読媒体が提供されることがあり、この非一時的なコンピュータ可読媒体は、(例えば、
図8A及び
図8Bのビームセパレータ又はシングルビーム検出デバイスを制御して)マルチビームモードとシングルビームモードとの間で動作モードの切り替えを実行するための、コントローラ(例えば、
図1のコントローラ50)のプロセッサに対する命令を記憶する。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記録媒体、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、他の任意の光学データ記録媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM(Random Access Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、及びEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、FLASH-EPROM若しくは他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び前述のもののネットワーク化されたもの、が挙げられる。
【0089】
[00102] 本開示の実施形態は、上記で説明し、添付の図面に図示した通りの構成に限定されるものではなく、また、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を加えることができることを、理解されたい。本開示は、様々な実施形態に関連して説明されてきたが、本明細書に開示する本発明の仕様及び実施を考慮すると、本発明の他の実施形態が、当業者には明らかになるであろう。本明細書及び例は単なる例示としてみなされることが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0090】
[00103] 上記の説明は、例示することを意図しており、限定するものではない。従って、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、前述のように、修正を加えることができることが、当業者には明らかであろう。