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▶ ラピスセミコンダクタ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20230501BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20230501BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20230501BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230501BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20230501BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20230501BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20230501BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01L25/08 B
H01L21/60 311Q
H01L23/12 501P
H01L23/30 R
H01L21/56 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022042865
(22)【出願日】2022-03-17
(62)【分割の表示】P 2018084420の分割
【原出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2022069676
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】黒木 康平
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-192867(JP,A)
【文献】特開2008-218926(JP,A)
【文献】特開2015-159449(JP,A)
【文献】特開2005-191436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00-25/18
H01L 21/301、21/56、21/60、21/78
H01L 23/12、23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の第1電極を有する第1半導体チップと、
前記第1半導体チップの前記表面と隙間を隔てて配置され、前記第1電極の各々に接続された複数の第2電極を表面に有する内周領域、及び前記内周領域を囲み、前記内周領域の厚さよりも薄い厚さを有する外周領域を有する第2半導体チップと、
前記第1半導体チップの前記表面と前記内周領域との間、及び前記第1半導体チップの前記表面と前記外周領域との間にそれぞれ充填された封止樹脂と、
を備え、
前記第2半導体チップは、前記内周領域において、半導体基板、前記半導体基板上に形成される第1絶縁膜、前記第1絶縁膜上に形成される第2絶縁膜、及び前記第2絶縁膜上に形成される第3絶縁膜を含み、前記外周領域において、前記第3絶縁膜を含まず、前記半導体基板及び前記第1絶縁膜を含む
半導体装置。
【請求項2】
前記第1電極の各々と前記第2電極の各々とを接合する接合部材を含み、
前記接合部材の側面が、前記封止樹脂によって覆われている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体チップは、平面視において前記第2半導体チップを囲む複数の柱状電極を有し、
前記封止樹脂が、前記柱状電極の各々と前記第2半導体チップとの間に充填されている
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記外周領域は、前記内周領域の厚さよりも薄い厚さを有する第1外周領域と、前記第1外周領域を囲み、前記第1外周領域の厚さよりも薄い最外周領域と、
を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記外周領域は、前記内周領域と前記第1外周領域との間に、前記内周領域の厚さよりも薄い厚さを有し且つ前記第1外周領域の厚さよりも厚い厚さを有する第2外周領域を更に含む
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2半導体チップは複数の配線層を有し、前記第2外周領域の前記第1絶縁膜上に配置される前記複数の配線層のうち最上層に配置される最上層配線は前記第1絶縁膜上に形成される前記第2絶縁膜に被覆され、前記第2外周領域の前記第2絶縁膜の表面は前記第2絶縁膜上に形成される前記第3絶縁膜から露出する
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2半導体チップは、前記第2電極が設けられた面と交差する側面に、前記第2半導体チップの内周側に凹んだ凹部を有する
請求項5または請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記内周領域における前記第2半導体チップの厚さは、前記最外周領域における前記第2半導体チップの厚さの3倍以上である
請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記封止樹脂の、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に充填される部分と、前記柱状電極の各々と前記第2半導体チップとの間に充填される部分とが、互いに同じサイズのフィラーを含む
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2半導体チップは、内周側から外周側に向けて、厚さが段階的に薄くなっている
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
WL-CSP(ウエハレベルチップサイズパッケージ)は、ウエハプロセスで再配線、電極の形成、樹脂封止及びダイシングまでを行う半導体装置のパッケージング技術である。また、積層された複数の半導体チップを含むマルチチップWL-CSPも知られている。
【0003】
マルチチップWL-CSPは、パッケージの平面サイズが、パッケージ内に収容されたいずれかの半導体チップの平面サイズと略同じになること、及びパッケージの高さが、パッケージ内に収容された複数の半導体チップの積層体の高さと略同じになることから、半導体装置の高性能化を図りつつ、パッケージサイズを小さくすることが可能となる。また、複数の半導体チップ間の接続がフリップチップボンディングにより行われるので、ワイヤーボンディングが不要となり、半導体チップ間の通信の遅延が抑制されるなど性能の向上が可能となる。
【0004】
特許文献1には、半導体ウエハ上に柱状電極を形成する工程と、半導体ウエハ上に第2半導体チップをフリップチップボンディングする工程と、半導体ウエハ上に、柱状電極及び第2半導体チップを覆うように封止する封止部を形成する工程と、柱状電極の上面及び第2半導体チップの上面が露出するように封止部及び第2半導体チップを研削する工程と、を含む半導体装置の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-218926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチチップWL-CSPの課題の一つとして、半導体チップ間の接合における信頼性向上が挙げられる。
【0007】
半導体チップ間の接合における信頼性向上を図る方法の1つとして、半導体チップ間に形成される隙間に、封止樹脂を充填し、硬化させることで、半導体チップ同士の接合部を固定する方法が考えられる。
【0008】
しかし、封止樹脂は比較的高い粘度を有していることから、半導体チップ間に形成される隙間にまんべんなく封止樹脂を充填することは容易ではない。半導体チップ間に形成される隙間に封止樹脂の未充填部が発生すると、半導体チップ間の接合における信頼性が低下する。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、半導体チップ間に形成される隙間への封止樹脂の充填を促進させることで、半導体チップ間の接合における信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置は、表面に複数の第1電極を有する第1半導体チップと、前記第1半導体チップの前記表面と隙間を隔てて配置され、前記第1電極の各々に接続された複数の第2電極を表面に有する内周領域、及び前記内周領域を囲み、前記内周領域の厚さよりも薄い厚さを有する外周領域を有する第2半導体チップと、前記第1半導体チップの前記表面と前記内周領域との間、及び前記第1半導体チップの前記表面と前記外周領域との間にそれぞれ充填された封止樹脂と、を備え、前記第2の半導体チップは、前記内周領域において、半導体基板、第1絶縁膜、前記第1絶縁膜上に形成される第2絶縁膜、及び前記第2絶縁膜上に形成される第3絶縁膜を含み、前記外周領域において、前記第3絶縁膜を含まず、前記半導体基板及び前記第1絶縁膜を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体チップ間に形成される隙間への封止樹脂の充填を促進させることができ、半導体チップ間の接合における信頼性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの構成の一例を示す平面図である。
図3図2における3-3線に沿った断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの構成の一例を示す断面図である。
図5A】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5C】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5D】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5E】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5F】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5G】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5H】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5I】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5J】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5K】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5L】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5M】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5N】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5O】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5P】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図5Q】本発明の実施形態に係る第1半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6A】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6B】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6C】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6D】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6E】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6F】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6G】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6H】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6I】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6J】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6K】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6L】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6M】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6N】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6O】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6P】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図6Q】本発明の実施形態に係る第2半導体チップの準備工程の一例を示す断面図である。
図7A】本発明の実施形態に係るパッケージング工程の一例を示す断面図である。
図7B】本発明の実施形態に係るパッケージング工程の一例を示す断面図である。
図7C】本発明の実施形態に係るパッケージング工程の一例を示す断面図である。
図7D】本発明の実施形態に係るパッケージング工程の一例を示す断面図である。
図7E】本発明の実施形態に係るパッケージング工程の一例を示す断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る第2半導体チップの構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各図面において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符号を付している。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置1の全体構成を示す断面図である。図2は、半導体装置1を構成する第1半導体チップ101を電極形成面S11側から眺めた平面図である。図3は、図2における3-3線に沿った断面図である。図4は、半導体装置1を構成する第2半導体チップ102の断面図である。
【0015】
半導体装置1は、第1半導体チップ101と、第1半導体チップ101に積層された第2半導体チップ102と、第1半導体チップ101及び第2半導体チップ102を封止する封止樹脂90とを有する。半導体装置1は、パッケージの形態が、マルチチップWL-CSPの形態を有する。すなわち、半導体装置1は、パッケージの平面サイズが、第1半導体チップ101の平面サイズと略同じであり、且つパッケージの高さが、第1半導体チップ101及び第2半導体チップ102の積層体と略同じである。
【0016】
以下に、第1半導体チップ101の構成について図2及び図3を参照しつつ説明する。第1半導体チップ101を構成する半導体基板10の表面には、トランジスタ、抵抗素子及びキャパシタ等の回路素子(図示せず)が形成されている。半導体基板10の表面はSiO等の絶縁体からなる層間絶縁膜11で覆われている。層間絶縁膜11の表面には、半導体基板10に形成された回路素子に接続されたチップ電極12およびチップ電極12の表面を部分的に露出させる開口部を有するパッシベーション膜(保護膜)13が設けられている。第1半導体チップ101は、層間絶縁膜11によって互いに電気的に分離された複数の配線層を有し、上記複数の配線層のうち、最上層に設けられた最上層配線14が、チップ電極12と同じ層(すなわち、層間絶縁膜11の表面)に設けられている。最上層配線14は、パッシベーション膜13によって覆われている。
【0017】
パッシベーション膜13の表面は、ポリイミドまたはPBO(ポリベンゾオキサゾール)等の感光性有機系絶縁部材で構成される、厚さ10μm程度の下層絶縁膜21で覆われている。下層絶縁膜21には、チップ電極12の表面を部分的に露出させる開口部が設けられている。
【0018】
下層絶縁膜21の表面には、第1UBM(Under Bump Metallurgy)膜31を介して再配線40が設けられている。第1UBM膜31は、例えば、Ti膜及びCu膜を含む積層膜によって構成されている。Ti膜は、下層絶縁膜21と再配線40との密着性を高めるための密着層として機能する。Cu膜は、再配線40を電解めっき法によって形成するためのシード層として機能する。再配線40は、例えばCu等の導電体によって構成され、下層絶縁膜21の開口部において、第1UBM膜31を介してチップ電極12に接続されている。第1UBM膜31を構成するCu膜は、再配線40を構成するCuに取り込まれる。従って、下層絶縁膜21と再配線40との間には、密着層として機能するTi膜が介在する構造となる。第1UBM膜31を構成するCu膜を含む再配線40の厚さは、例えば5μm程度であり、第1UBM膜31を構成するTi膜の厚さは例えば150nm程度である。
【0019】
下層絶縁膜21及び再配線40の表面は、ポリイミドまたはPBO等の感光性有機系絶縁部材で構成される上層絶縁膜22で覆われている。上層絶縁膜22の再配線40の表面を覆う部分の厚さは、例えば5μm程度である。
【0020】
ここで、第1半導体チップ101は、内周領域R11及び内周領域R11を囲む外周領域R12を有する。上層絶縁膜22は、外周領域R12内の柱状電極35の形成位置に、再配線40を部分的に露出させる開口部22Aを有し、内周領域R11内のチップ間接合電極34の形成位置に、再配線40を部分的に露出させる開口部22Bを有する。
【0021】
内周領域R11には、厚さ5μm程度の複数のチップ間接合電極34が設けられている。チップ間接合電極34の各々は、平面視において上層絶縁膜22の開口部22Bの各々を内包する位置に設けられ、再配線40の、開口部22Bにおいて露出した部分に、第2UBM膜32を介して接続されている。チップ間接合電極34は、例えばSnAgを含む半田への拡散が生じない金属によって構成されている。チップ間接合電極34の材料として例えば、Niを好適に用いることが可能である。
【0022】
外周領域R12には、チップ間接合電極34の各々を囲むように複数の柱状電極35が設けられている。柱状電極35の各々は、平面視において上層絶縁膜22の開口部22Aの各々を内包する位置に設けられ、再配線40の、開口部22Aにおいて露出した部分に、第2UBM膜32を介して接続されている。柱状電極35の材料として、加工が容易なCuを好適に用いることが可能である。柱状電極35は、例えば円柱形状を有している。なお、図2に示すように、柱状電極35の一部は、再配線40を介してチップ間接合電極34に接続されていてもよい。上層絶縁膜22の表面から柱状電極35の頂部までの高さは、例えば150~250μmであり、好ましくは200μm程度である。
【0023】
第2UBM膜32は、再配線40と柱状電極35との間及び再配線40とチップ間接合電極34との間に設けられている。第2UBM膜32は、第1UBM膜31と同様、密着層として機能する厚さ150nm程度のTi膜及びシード層として機能する厚さ300nm程度のCu膜を含む積層膜によって構成されている。第2UBM膜32を構成するCu膜は、柱状電極35を構成するCuに取り込まれる。従って柱状電極35と再配線40との間には、密着層として機能するTi膜が介在する構造となる。一方、チップ間接合電極34と再配線40との間には、Ti膜及びCu膜を含む積層膜が介在する構造となる。
【0024】
次に、第2半導体チップ102の構成について図4を参照しつつ説明する。第2半導体チップ102を構成する半導体基板50の表面には、トランジスタ、抵抗素子及びキャパシタ等の回路素子(図示せず)が形成されている。半導体基板50の表面はSiO等の絶縁体からなる層間絶縁膜51で覆われている。層間絶縁膜51の表面には、半導体基板50に形成された回路素子に接続されたチップ電極52、およびチップ電極52の表面を部分的に露出させる開口部を有するパッシベーション膜53が設けられている。第2半導体チップ102は、層間絶縁膜51によって互いに電気的に分離された複数の配線層を有し、上記複数の配線層のうち、最上層に設けられた最上層配線54が、チップ電極52と同じ層(すなわち、層間絶縁膜51の表面)に設けられている。最上層配線54は、パッシベーション膜53によって覆われている。
【0025】
パッシベーション膜53の表面は、ポリイミドまたはPBO等の感光性有機系絶縁部材で構成される、厚さ10μm程度の下層絶縁膜61で覆われている。下層絶縁膜61には、チップ電極52の表面を部分的に露出させる開口部が設けられている。
【0026】
下層絶縁膜61の表面には、第3UBM膜71を介して再配線80が設けられている。第3UBM膜71は、例えば、Ti膜及びCu膜を含む積層膜によって構成されている。Ti膜は、下層絶縁膜61と再配線80との密着性を高めるための密着層として機能する。Cu膜は、再配線80を電解めっき法によって形成するためのシード層として機能する。再配線80は、例えばCu等の導電体によって構成され、下層絶縁膜61の開口部において、第3UBM膜71を介してチップ電極52に接続されている。第3UBM膜71を構成するCu膜は、再配線80を構成するCuに取り込まれる。従って、下層絶縁膜61と再配線80との間には、密着層として機能するTi膜が介在する構造となる。第3UBM膜71を構成するCu膜を含む再配線80の厚さは、例えば5μm程度であり、第3UBM膜31を構成するTi膜の厚さは例えば150nm程度である。
【0027】
下層絶縁膜61及び再配線80の表面は、ポリイミドまたはPBO等の感光性有機系絶縁部材で構成される上層絶縁膜62で覆われている。上層絶縁膜62の再配線80の表面を覆う部分の厚さは、例えば5μm程度である。上層絶縁膜62は、チップ間接合電極74の形成位置に再配線80を部分的に露出させる開口部62Aを有する。
【0028】
第2半導体チップ102は、厚さ5μm程度の複数のチップ間接合電極74を有する。チップ間接合電極74の各々は、第1半導体チップ101のチップ間接合電極34の各々に対応している。チップ間接合電極74の各々は、平面視において上層絶縁膜62の開口部62Aの各々を内包する位置に設けられ、再配線80の、開口部62Aにおいて露出した部分に、第4UBM膜72を介して接続されている。チップ間接合電極74は、例えばSnAgを含む半田への拡散が生じない金属によって構成されている。チップ間接合電極74の材料として例えば、Niを好適に用いることが可能である。
【0029】
チップ間接合電極74の表面には、例えばSnAg系の半田により構成される接合部材92が設けられている。接合部材92は、Sn、Ag及びCuを含んでいることが好ましく、直径65~85μm、高さ60~80μm程度のボール状の形状を有していることが好ましい。
【0030】
本実施形態に係る第2半導体チップ102において、パッシベーション膜53の端部53Eは、層間絶縁膜51の端部51Eよりも第2半導体チップ102の内周側に配置されている。下層絶縁膜61の端部61Eは、パッシベーション膜53の端部53Eよりも第2半導体チップ102の内周側に配置されている。上層絶縁膜62の端部62Eは、パッシベーション膜53の端部53Eよりも第2半導体チップ102の内周側であって、下層絶縁膜61の端部61Eよりも第2半導体チップ102の外周側に配置されている。すなわち、下層絶縁膜61は、その全体が上層絶縁膜62によって覆われており、上層絶縁膜62から露出しない構造となっている。なお、層間絶縁膜51の端部51E、パッシベーション膜53の端部53E、下層絶縁膜61の端部61E及び上層絶縁膜62の端部62Eは、それぞれ、第2半導体チップ102の主面と平行な方向における端部である。
【0031】
また、第2半導体チップ102を構成する半導体基板50は、チップ間接合電極74が設けられた電極形成面S21と交差する側面に、第2半導体チップの内周側に凹んだ凹部55を有する。これにより、半導体基板50の電極形成面S21とは反対側の裏面S22の側に、層間絶縁膜51の端部51Eよりも第2半導体チップ102の外周側に突き出した突出部56が形成される。
【0032】
ここで、第2半導体チップ102の上層絶縁膜62が延在する範囲を内周領域R21と定義し、第2半導体チップ102の内周領域R21を囲む領域を外周領域R22と定義する。更に、外周領域R22内における層間絶縁膜51が延在する範囲を第1外周領域R23と定義し、第1外周領域R23を囲む領域を最外周領域R24と定義する。チップ間接合電極74は、内周領域R21に設けられている。
【0033】
第2半導体チップ102は、内周領域R21において、半導体基板50、層間絶縁膜51、下層絶縁膜61及び上層絶縁膜62を含む。第2半導体チップ102は、第1外周領域R23において、上層絶縁膜62及び下層絶縁膜61を含まず、半導体基板50及び層間絶縁膜51を含む。第2半導体チップ102は、最外周領域R24において、層間絶縁膜51、下層絶縁膜61及び上層絶縁膜62を含まず、半導体基板50(突出部56)を含む。
【0034】
第2半導体チップ102の内周領域R21における厚さT1は、半導体基板50の裏面S22から上層絶縁膜62の表面までの距離に相当し、例えば、200~250μm程度である。第2半導体チップ102の第1外周領域R23における厚さT2は、半導体基板50の裏面S22から層間絶縁膜51の表面までの距離に相当し、例えば、180~230μm程度である。第2半導体チップ102の最外周領域R24における厚さT3は、半導体基板50の突出部56の厚さに相当し、例えば、40~60μm程度である。なお、常にT3<T2<T1が成立するものとする。半導体基板50の凹部55の、半導体基板50の厚さ方向における深さは、例えば、120~190μm程度である。
【0035】
このように、第2半導体チップ102は、外周側から内周側に向けて、厚さが段階的に厚くなっている。換言すれば、第2半導体チップ102は、その主面と平行な方向における端部位置が、第2半導体チップ102の厚さ方向に沿って変化する段差構造を有する。
【0036】
第2半導体チップ102の第1外周領域R23における幅は、半導体基板50の凹部55の端面から上層絶縁膜62の端部62Eまでの距離に相当し、例えば、5~20μm程度である。第2半導体チップ102の最外周領域R24における幅は、半導体基板50の凹部55の幅に相当し、例えば、15~60μm程度である。
【0037】
次に、第1半導体チップ101及び第2半導体チップ102を含む半導体装置1の構成について図1を参照しつつ説明する。
【0038】
第1半導体チップのチップ間接合電極34の各々と、第2半導体チップ102のチップ間接合電極74とが接合部材92を介して接合されている。すなわち、第1半導体チップ101の電極形成面S11と第2半導体チップの電極形成面S21とが向かい合った状態で、両チップが接合されている。これにより、第2半導体チップ102の半導体基板50に形成された回路素子(図示せず)は、第1半導体チップ101の半導体基板10に形成された回路素子(図示せず)に接続されるか、再配線40及び柱状電極35を介して外部接続端子91に接続される。
【0039】
第1半導体チップ101の電極形成面S11と第2半導体チップ102の電極形成面S21との間には、隙間300が形成されている。隙間300の長さは、例えば、50~80μmであり、好ましくは60~70μmである。
【0040】
本実施形態において、第2半導体チップ102のサイズは、第1半導体チップ101のサイズよりも小さく、第2半導体チップ102は、第1半導体チップ101の内周領域R11に内包される領域に搭載され、複数の柱状電極35に囲まれている。柱状電極35は、一端部が第1半導体チップ101の再配線40に接続され、他端部(頂部)が第2半導体チップ102の裏面S22にまで達している。平面視における、柱状電極35から第2半導体チップ102までの距離は、例えば700μm以下であり、好ましくは500~600μmである。
【0041】
封止樹脂90は、第2半導体チップ102及び柱状電極35を内部に埋め込むように第1半導体チップ101の電極形成面S11の側に設けられている。封止樹脂90は、第1半導体チップ101と、第2半導体チップ102の内周領域R21との間(すなわち、隙間300)、及び第1半導体チップ101と、第2半導体チップ102の外周領域R22との間にそれぞれ充填される。また、封止樹脂90は、柱状電極35と第2半導体チップ102との間に充填される。接合部材92の側面は、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間に形成された隙間300に充填された封止樹脂90によって覆われる。第1半導体チップ101の裏面S12から、封止樹脂90の表面までの厚さは、例えば350~550μm程度であり、好ましくは400~500μm程度である。
【0042】
柱状電極35の頂部及び第2半導体チップ102の電極形成面S21とは反対側の裏面S22は、封止樹脂90の表面から露出している。封止樹脂90の表面から露出した柱状電極35の頂部には、外部接続端子91が設けられている。外部接続端子91は、例えば、SnAg系の半田により構成されている。半導体装置1は、外部接続端子91を介して実装基板(図示せず)に実装される。
【0043】
なお、本実施形態では、第2半導体チップ102の裏面S22が、封止樹脂90の表面から露出した形態を例示したが、第2半導体チップ102の裏面S22が封止樹脂90によって覆われていてもよい。この場合、第2半導体チップの裏面S22を覆う封止樹脂90の厚さは、例えば30μm程度である。
【0044】
以下に、半導体装置1の製造方法について説明する。半導体装置1の製造工程は、第1半導体チップ101の準備工程、第2半導体チップ102の準備工程、及び第1半導体チップ101と第2半導体チップ102とを接合して封止するパッケージング工程を含む。
【0045】
はじめに、第1半導体チップ101の準備工程について、図5A図5Qを参照しつつ説明する。
【0046】
第1半導体チップ101のウエハプロセスが完了した半導体ウエハを用意する(図5A)。第1半導体チップ101のウエハプロセスは、半導体基板10上にトランジスタ等の回路素子(図示せず)を形成する工程、半導体基板10の表面にSiO等の絶縁体で構成される層間絶縁膜11を形成する工程、層間絶縁膜11の表面にチップ電極12を形成する工程及び層間絶縁膜11の表面にチップ電極12を部分的に露出させるようにパッシベーション膜13を形成する工程を含む。
【0047】
次に、例えば、スピンコート法を用いて、第1半導体チップ101の表面に、ポリイミドまたはPBO等の感光性有機系絶縁部材を塗布することで、パッシベーション膜13及びチップ電極12の表面を覆う下層絶縁膜21を形成する。続いて、下層絶縁膜21に露光及び現像処理を施すことにより、チップ電極12の表面を部分的に露出させる開口部21Aを下層絶縁膜21に形成する。その後、熱処理によって下層絶縁膜21を硬化させる(図5B)。
【0048】
次に、下層絶縁膜21の表面、開口部21Aにおいて露出するチップ電極12の表面を覆う第1UBM膜31を形成する(図5C)。第1UBM膜31は、例えば、スパッタ法を用いて、Ti膜及びCu膜を順次成膜することで形成される。Ti膜は、下層絶縁膜21と再配線40との密着性を高めるための密着層として機能する。Cu膜は、再配線40を電解めっき法によって形成するためのシード層として機能する。
【0049】
次に、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて、第1UBM膜31の表面に、再配線40のパターンに対応した開口部200Aを有するレジストマスク200を形成する(図5D)。レジストマスク200は、第1UBM膜31上に感光性のレジストを塗布し、感光性のレジストに露光及び現像処理を施すことで形成される。
【0050】
次に、電界めっき法を用いて、第1UBM膜31の表面に再配線40を形成する(図5E)。具体的には、めっき液に半導体基板10の表面を浸漬し、第1UBM膜31に接続されためっき電極(図示せず)に電流を供給する。これにより、第1UBM膜31(シード層)の露出部分に金属が析出し、第1UBM膜31上に再配線40が形成される。再配線40の材料として、例えばCuを用いることができる。この場合、第1UBM膜31を構成するシード層は、再配線40のCuに取り込まれる。従って、再配線40と下層絶縁膜21との間に、密着層として機能するTi膜が介在する構造となる。
【0051】
再配線40の形成後、公知のアッシングプロセスまたは有機溶剤などを用いてレジストマスク200を除去する。その後、第1UBM膜31の、レジストマスク200で覆われていた不要部分を、再配線40をマスクとして除去する(図5F)。
【0052】
次に、例えば、スピンコート法を用いて、上記の各処理を経ることによって形成された構造体の表面に、ポリイミドまたはPBO等の感光性有機系絶縁部材を塗布することで、下層絶縁膜21及び再配線40の表面を覆う上層絶縁膜22を形成する。続いて、上層絶縁膜22に露光及び現像処理を施すことにより、再配線40の表面を部分的に露出させる第1開口部22A及び第2開口部22Bを上層絶縁膜22に形成する。第1開口部22Aは、平面視において柱状電極35が形成される領域に内包される領域に形成される。第2開口部22Bは、平面視においてチップ間接合電極34が形成される領域に内包される領域に形成される。その後、熱処理によって上層絶縁膜22を硬化させる(図5G)。
【0053】
次に、上層絶縁膜22の表面、第1開口部22A及び第2開口部22Bにおいて露出する再配線40の表面を覆う第2UBM膜32を形成する(図5H)。第2UBM膜32は、例えば、スパッタ法を用いて、Ti膜及びCu膜を順次成膜することで形成される。Ti膜は、上層絶縁膜22と柱状電極35及びチップ間接合電極34との密着性を高めるための密着層として機能する。Cu膜は、柱状電極35及びチップ間接合電極34を電解めっき法によって形成するためのシード層として機能する。
【0054】
次に、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて、第2UBM膜32の表面に、チップ間接合電極34の形成予定位置に開口部201Aを有するレジストマスク201を形成する(図5I)。レジストマスク201は、第2UBM膜32上に感光性のレジストを塗布し、感光性のレジストに露光及び現像処理を施すことで形成される。レジストマスク201の開口部201Aは、上層絶縁膜22の第2開口部22Bを内包し、第2開口部22Bを露出させる。
【0055】
次に、電界めっき法を用いて、レジストマスク201の開口部201Aにおいて露出した第2UBM膜32の表面にチップ間接合電極34を形成する(図5J)。具体的には、めっき液に半導体基板10の表面を浸漬し、第2UBM膜32に接続されためっき電極(図示せず)に電流を供給する。これにより、第2UBM膜32(シード層)の露出部分に金属が析出し、第2UBM膜32上にチップ間接合電極34が形成される。チップ間接合電極34は、第2UBM膜32を介して再配線40に接続される。チップ間接合電極34の材料として、SnAgを含む半田への拡散が生じないNiを好適に用いることが可能である。この場合、再配線40の表面の、第2開口部22Bにおいて露出する部分に、Ti、Cu及びNiが積層される構造となる。
【0056】
次に、公知のアッシングプロセスまたは有機溶剤などを用いてレジストマスク201を除去する(図5K)。
【0057】
次に、第2UBM膜32及びチップ間接合電極34の表面を覆うように、上記の各処理を経ることによって形成された構造体の表面に第1層目のドライフィルム211を貼り付ける。第1層目のドライフィルム211は、感光性を有するフィルム状のレジスト部材であり、例えば、貼り付け機を用いて貼り付けられる。その後、第1層目のドライフィルム211に露光及び現像処理を施すことで、柱状電極35の形成予定位置に開口部211Aを形成する。第1層目のドライフィルム211の開口部211Aは、上層絶縁膜22の第1開口部22Aを内包し、開口部22Aを露出させる(図5L)。
【0058】
次に、電界めっき法を用いて、第1層目のドライフィルム211の開口部211Aにおいて露出した第2UBM膜32の表面に柱状電極35を形成する(図5M)。具体的には、めっき液に半導体基板10の表面を浸漬し、第2UBM膜32に接続されためっき電極(図示せず)に電流を供給する。これにより、第2UBM膜32(シード層)の露出部分に金属が析出し、第2UBM膜32上に柱状電極35の下層部分35aが形成される。なお、柱状電極35の下層部分35aの上面の高さ位置が、第1層目のドライフィルム211の上面の高さ位置よりも低くなるように、下層部分35aを形成することが好ましい。柱状電極35の材料として、加工が容易なCuを好適に用いることが可能である。この場合、第2UBM膜32を構成するシード層として機能するCu膜は、柱状電極35を構成するCuに取り込まれる。従って柱状電極35と再配線40との間には、密着層として機能するTi膜が介在する構造となる。
【0059】
次に、第1層目のドライフィルム211の表面に第2層目のドライフィルム212を貼り付ける。第2層目のドライフィルム212は、第1層目のドライフィルム211と同様、感光性を有するフィルム状のレジスト部材であり、例えば、貼り付け機を用いて貼り付けられる。その後、第2層目のドライフィルム212に露光及び現像処理を施すことで、柱状電極35の形成予定位置に開口部212Aを形成する。すなわち、第2層目のドライフィルム212の開口部212Aは、第1層目のドライフィルムの開口部211Aに連通し、第2層目のドライフィルム212の開口部212Aにおいて柱状電極35の下層部分35aが露出する(図5N)。
【0060】
次に、電界めっき法を用いて、第2層目のドライフィルム212の開口部212Aにおいて露出した柱状電極35の下層部分35aの表面に、柱状電極35の上層部分35bを形成する(図5O)。具体的には、めっき液に半導体基板10の表面を浸漬し、第2UBM膜32に接続されためっき電極(図示せず)に電流を供給する。これにより、柱状電極35の下層部分35aの表面に金属が析出し、柱状電極35の下層部分35aの表面に柱状電極35の上層部分35bが形成される。なお、柱状電極35の上層部分35bの上面の高さ位置が、第2層目のドライフィルム212の上面の高さ位置よりも高くなるように、上層部分35bを形成することが好ましい。
【0061】
柱状電極35の形成後、有機剥離液などを用いて第1層目のドライフィルム211及び第2層目のドライフィルム212を除去する(図5P)。
【0062】
次に、第2のUBM膜32の、第1層目のドライフィルム211で覆われていた不要部分を、柱状電極35及びチップ間接合電極34をマスクとして除去する(図5Q)。これにより、チップ間接合電極34及び柱状電極35を形成するためのめっき処理に用いられるめっき電極(図示せず)も除去される。
【0063】
次に、第2半導体チップ102の準備工程について、図6A図6Qを参照しつつ説明する。
【0064】
第2半導体チップ102のウエハプロセスが完了した半導体ウエハを用意する(図6A)。第2半導体チップ102のウエハプロセスは、半導体基板50上にトランジスタ等の回路素子(図示せず)を形成する工程、半導体基板50の表面にSiO等の絶縁体で構成される層間絶縁膜51を形成する工程、層間絶縁膜51の表面にチップ電極52を形成する工程及び層間絶縁膜51の表面にチップ電極52を部分的に露出させるようにパッシベーション膜53を形成する工程を含む。第2半導体チップ102を含む半導体ウエハは、回路素子が形成される素子形成領域と、素子形成領域を区画するスクライブライン110を備える。層間絶縁膜51は半導体基板50の表面全体を被覆し、パッシベーション膜53は、素子形成領域を被覆する。パッシベーション膜53は、スクライブライン110を露出させる開口部53Aを備える。
【0065】
次に、例えば、スピンコート法を用いて、第2半導体チップ102の表面に、ポリイミドまたはPBO等の感光性有機系絶縁部材を塗布することで、パッシベーション膜53、チップ電極52及びスクライブライン110の表面を覆う下層絶縁膜61を形成する。続いて、下層絶縁膜61に露光及び現像処理を施すことにより、チップ電極52の表面を部分的に露出させる開口部61A及びスクライブライン110を露出させる開口部61Bを下層絶縁膜61に形成する。下層絶縁膜61の端部61Eは、パッシベーション膜53の端部53Eよりも第2半導体チップ102の内周側に配置される。その後、熱処理によって下層絶縁膜61を硬化させる(図6B)。
【0066】
次に、下層絶縁膜61の表面、開口部61Aにおいて露出するチップ電極52の表面を覆う第3UBM膜71を形成する(図6C)。第3UBM膜71は、例えば、スパッタ法を用いて、Ti膜及びCu膜を順次成膜することで形成される。Ti膜は、下層絶縁膜61と再配線80との密着性を高めるための密着層として機能する。Cu膜は、再配線80を電解めっき法によって形成するためのシード層として機能する。
【0067】
次に、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて、第3UBM膜71の表面に、再配線80のパターンに対応した開口部400Aを有するレジストマスク400を形成する(図6D)。レジストマスク400は、第3UBM膜71上に感光性のレジストを塗布し、感光性のレジストに露光及び現像処理を施すことで形成される。
【0068】
次に、電界めっき法を用いて、第3UBM膜71の表面に再配線80を形成する(図6E)。具体的には、めっき液に半導体基板50の表面を浸漬し、第3UBM膜71に接続されためっき電極(図示せず)に電流を供給する。これにより、第3UBM膜71(シード層)の露出部分に金属が析出し、第3UBM膜71上に再配線80が形成される。再配線80の材料として、例えばCuを用いることができる。この場合、第3UBM膜71を構成するシード層は、再配線80のCuに取り込まれる。従って、再配線80と下層絶縁膜61との間に、密着層として機能するTi膜が介在する構造となる。
【0069】
再配線80の形成後、公知のアッシングプロセスまたは有機溶剤などを用いてレジストマスク400を除去する。その後、第3UBM膜71の、レジストマスク400で覆われていた不要部分を、再配線80をマスクとして除去する(図6F)。
【0070】
次に、例えば、スピンコート法を用いて、上記の各処理を経ることによって形成された構造体の表面に、ポリイミドまたはPBO等の感光性有機系絶縁部材を塗布することで、下層絶縁膜61、再配線80及びスクライブライン110を覆う上層絶縁膜62を形成する。続いて、上層絶縁膜62に露光及び現像処理を施すことにより、再配線80の表面を部分的に露出させる開口部62A及びスクライブライン110を露出させる開口部62Bを上層絶縁膜62に形成する。開口部62Aは、平面視においてチップ間接合電極74が形成される領域に内包される領域に形成される。上層絶縁膜62の端部62Eは、パッシベーション膜53の端部53Eよりも第2半導体チップ102の内周側に配置され、下層絶縁膜61の端部61Eよりも第2半導体チップ102の外周側に配置される。その後、熱処理によって上層絶縁膜62を硬化させる(図6G)。
【0071】
次に、上層絶縁膜62の表面、開口部62Aにおいて露出する再配線80の表面を覆う第4UBM膜72を形成する(図6H)。第4UBM膜72は、例えば、スパッタ法を用いて、Ti膜及びCu膜を順次成膜することで形成される。Ti膜は、上層絶縁膜62とチップ間接合電極74との密着性を高めるための密着層として機能する。Cu膜は、チップ間接合電極74を電解めっき法によって形成するためのシード層として機能する。
【0072】
次に、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて、第4UBM膜72の表面に、チップ間接合電極74の形成予定位置に開口部401Aを有するレジストマスク401を形成する(図6I)。レジストマスク401は、第4UBM膜72上に感光性のレジストを塗布し、感光性のレジストに露光及び現像処理を施すことで形成される。レジストマスク401の開口部401Aは、上層絶縁膜62の開口部62Aを内包し、開口部62Aを露出させる。
【0073】
次に、電界めっき法を用いて、レジストマスク401の開口部401Aにおいて露出した第4UBM膜72の表面にチップ間接合電極74を形成する(図6J)。具体的には、めっき液に半導体基板50の表面を浸漬し、第4UBM膜72に接続されためっき電極(図示せず)に電流を供給する。これにより、第4UBM膜72(シード層)の露出部分に金属が析出し、第4UBM膜72上にチップ間接合電極74が形成される。チップ間接合電極74は、第4UBM膜72を介して再配線80に接続される。チップ間接合電極74の材料として、SnAgを含む半田への拡散が生じないNiを好適に用いることが可能である。この場合、再配線80の表面の、開口部62Aにおいて露出する部分に、Ti、Cu及びNiが積層される構造となる。
【0074】
次に、電解めっき法を用いて、チップ間接合電極74上にSnAg系の半田により構成される接合部材92を形成する(図6K)。具体的には、レジストマスク401を残したまま、めっき液に半導体基板50の表面を浸漬し、第4UBM膜72に接続されためっき電極(図示せず)に電流を供給する。これにより、チップ間接合電極74の表面に金属が析出し、チップ間接合電極74上に接合部材92が形成される。
【0075】
次に、公知のアッシングプロセスまたは有機溶剤などを用いてレジストマスク401を除去する(図6L)。次に、チップ間接合電極74をマスクとして、上層絶縁膜62の表面及びスクライブライン110の表面を覆う、第4UBM膜72の不要部分を除去する(図6M)。
【0076】
次に、第2半導体チップ102の電極形成面にフラックスを塗布した後、第2半導体チップ102にリフロー処理を施すことで、接合部材92の形状をボール状にする(図6N図6O)。
【0077】
次に、半導体基板50を含む半導体ウエハのスクライブライン110に沿って、半導体基板50に溝120を形成する(図6P)。溝120は、半導体基板50を貫通しない深さで形成される。例えば、溝120の幅に対応した幅を有するダイシングブレード(図示せず)を、スクライブライン110に沿って走査することで溝120を形成することができる。なお、溝120の形成の前または後に、半導体基板50の厚さが所望の厚さとなるように、半導体基板50の裏面S22を研削してもよい。溝120の形成の後に半導体基板50の裏面S22を研削する場合には、研削により後退する半導体基板50の裏面S22が、溝120の底部に達しないように研削を行う。
【0078】
次に、溝120の形成に用いたダイシングブレードの幅よりも小さい幅を有するダイシングブレード(図示せず)を、溝120の内側に挿入して、半導体基板50を含む半導体ウエハをスクライブライン110に沿って切断する。これにより、半導体基板50の側面に、凹部55及び突出部56が形成されると共に、第2の半導体チップ102が個片化される(図6Q)。
【0079】
次に、パッケージング工程について、図7A図7Eを参照しつつ説明する。
【0080】
はじめに、第1半導体チップ101を用意する(図7A)。次に、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102とを接合する(図7B)。具体的には、第2半導体チップ102のチップ間接合電極74上に形成された接合部材92を第1半導体チップ101のチップ間接合電極34に接触させた状態でリフロー処理を行う。これにより、第1半導体チップ101のチップ間接合電極34の各々と、第2半導体チップ102のチップ間接合電極74とが、接合部材92を介して電気的及び機械的に接合される。第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間には、チップ間接合電極34、74及び接合部材92の厚みに応じた隙間300が形成される。
【0081】
次に、第1半導体チップ101の電極形成面S11の側に、第2半導体チップ102及び柱状電極35を内部に埋め込むように封止樹脂90を形成する(図7C)。封止樹脂90の形成は、例えば、コンプレッションモールドまたはスクリーン印刷により行うことが可能である。封止樹脂90は、第1半導体チップ101と、第2半導体チップ102の内周領域R21との間(すなわち隙間300)、及び第1半導体チップ101と、第2半導体チップ102の外周領域R22との間にそれぞれ充填される。また、封止樹脂90は、柱状電極35と第2半導体チップ102との間に充填される。接合部材92の側面は、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間に形成された隙間300に充填された封止樹脂90によって覆われる。なお、封止樹脂90の隙間300に充填される部分と、封止樹脂90の第2半導体チップ102と柱状電極35との間に充填される部分には、互いに同一サイズのフィラーが含まれる。
【0082】
次に、封止樹脂90の、柱状電極35の頂部及び第2半導体チップ102の裏面S22を覆う部分を研削により除去することにより、柱状電極35の頂部及び第2半導体チップ102の裏面S22を露出させる(図7D)。封止樹脂90の研削には、グラインダを用いることが可能である。なお、第2半導体チップ102の裏面S22を封止樹脂90で覆うパッケージ形態とする場合、柱状電極35の頂部の高さ位置を、第2半導体チップ102の裏面S22の高さ位置よりも高い位置に配置し、封止樹脂90の研削により柱状電極35の頂部のみを露出させる。
【0083】
次に、封止樹脂90から露出した柱状電極35の頂部に外部接続端子91を形成する(図7E)。外部接続端子91は、例えば、柱状電極35の頂部に例えばSnAgを含む半田ボールを搭載した後にリフロー処理を行うことで形成される。また、スクリーン印刷により柱状電極35の頂部に例えばSnAgを含む導体ペーストを形成した後にリフロー処理を行うことで外部接続端子91を形成することも可能である。
【0084】
本発明の実施形態に係る半導体装置1及びその製造方法によれば、第2半導体チップ102は、厚さが相対的に厚い内周領域R21と、厚さが相対的に薄い外周領域R22を有する。すなわち、第2半導体チップ102は、内周側から外周側に向けて、厚さが段階的に薄くなっており、その側面に段差構造を有する。換言すれば、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間に形成された隙間は、内周側から外周側に向けて段階的に広くなる。これにより、封止樹脂90が、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間に形成される隙間300に向けて流動する経路の幅を広くすることができ、隙間300への封止樹脂90の流入を促進させることができる。更に、封止樹脂90が第2半導体チップ102の側面に形成された段差構造に沿って流動することで、隙間300への封止樹脂90の流入を更に促進させることができる。これにより、隙間300への封止樹脂90の充填を促進させることができ、隙間300において、封止樹脂90の未充填が生じるリスクを抑制することができる。従って、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との接合に用いられる接合部材92の側面をまんべんなく封止樹脂90で覆うことが可能となり、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との接合における信頼性を高めることが可能となる。
【0085】
ここで、半田ボール等の半田端子を有する半導体装置をプリント基板に実装する場合、半導体装置とプリント基板との間に形成される隙間に、アンダーフィル材を充填することで半田端子を固定することが一般的に行われている。これにより、半導体装置とプリント基板との接合における信頼性が確保される。
【0086】
一方、本実施形態に係る半導体装置1において、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間に形成される隙間300にアンダーフィル材を充填する場合について考える。半導体装置1において、第2半導体チップ102の周囲は柱状電極35によって囲まれている。第2半導体チップ102と柱状電極35との間隔は極めて狭いことから、アンダーフィル材を供給するためのディスペンサのノズルが、柱状電極35と干渉し、ノズル先端を、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との接合部の近傍に配置することが困難である。つまり、本実施形態に係る半導体装置1によれば、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間に形成される隙間300に、アンダーフィル材を充填することは困難であると考えられる。
【0087】
しかし、本実施形態に係る半導体装置1によれば、上記したように、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との間に形成される隙間300への封止樹脂90の充填を促進させることができるので、アンダーフィル材を用いることなく、接合部材92を固定することが可能であり、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102との接合における信頼性を高めることが可能である。
【0088】
また、封止樹脂90が、第1半導体チップ101、第2半導体チップ102を封止する封止部材として機能すると共に、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102の間に形成される隙間300に充填されて接合部材92の側面を覆うことで、接合部材92の機械的強度を補強する補強部材としても機能する。従って、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102の間に形成される隙間300に、封止樹脂90とは異なるアンダーフィル材等の補強部材を別途充填する場合と比較して、工程数を少なくすることができる。すなわち、本実施形態に係る半導体装置1によれば、高い信頼性を有するマルチチップWL-CSPを低コストで製造することが可能となる。
【0089】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置1Aの構成を示す断面図である。図9は、半導体装置1Aを構成する、本発明の第2の実施形態に係る第2半導体チップ102Aの構成を示す断面図である。
【0090】
第2の実施形態に係る第2半導体チップ102Aは、上層絶縁膜62の端部62Eの位置が、第1の実施形態に係る第2半導体チップ102と異なる。すなわち、第2半導体チップ102Aにおいて、パッシベーション膜53の端部53Eは、層間絶縁膜51の端部51Eよりも第2半導体チップ102Aの内周側に配置されている。下層絶縁膜61の端部61Eは、パッシベーション膜53の端部53Eよりも第2半導体チップ102Aの内周側に配置されている。上層絶縁膜62の端部62Eは、下層絶縁膜61の端部61Eよりも第2半導体チップ102Aの内周側に配置されている。すなわち、第2半導体チップ102Aにおいて、下層絶縁膜61の端部61Eは、上層絶縁膜62から露出した構造となっている。
【0091】
ここで、第2半導体チップ102Aの上層絶縁膜62が延在する範囲を内周領域R21と定義し、第2半導体チップ102Aの内周領域R21を囲む領域を外周領域R22と定義する。更に、外周領域R22内における、層間絶縁膜51が延在し、下層絶縁膜61が延在しない範囲を第1外周領域R23と定義し、外周領域R22内における下層絶縁膜61が延在する範囲を第2外周領域R25と定義し、第1外周領域R23を囲む領域を最外周領域R24と定義する。チップ間接合電極74は、内周領域R21に設けられている。
【0092】
第2半導体チップ102Aは、内周領域R21において、半導体基板50、層間絶縁膜51、下層絶縁膜61及び上層絶縁膜62を含む。第2半導体チップ102Aは、第2外周領域R25において、上層絶縁膜62を含まず、下層絶縁膜61、半導体基板50及び層間絶縁膜51を含む。第2半導体チップ102Aは、第1外周領域R23において、上層絶縁膜62及び下層絶縁膜61を含まず、半導体基板50及び層間絶縁膜51を含む。第2半導体チップ102Aは、最外周領域R24において、層間絶縁膜51、下層絶縁膜61及び上層絶縁膜62を含まず、半導体基板50(突出部56)を含む。
【0093】
第2半導体チップ102Aの内周領域R21における厚さT1は、半導体基板50の裏面S22から上層絶縁膜62の表面までの距離に相当し、例えば、200~250μm程度である。第2半導体チップ102Aの第1外周領域R23における厚さT2は、半導体基板50の裏面S22から層間絶縁膜51の表面までの距離に相当し、例えば、180~230μm程度である。第2半導体チップ102Aの最外周領域R24における厚さT3は、半導体基板50の突出部56の厚さに相当し、例えば、40~60μm程度である。第2半導体チップ102Aの第2外周領域R25における厚さT4は、半導体基板50の裏面S22から下層絶縁膜61の表面までの距離に相当し、例えば、190~240μm程度である。なお、常にT3<T2<T4<T1が成立するものとする。半導体基板50の凹部55の、半導体基板50の厚さ方向における深さは、例えば、120~190μm程度である。
【0094】
このように、第2半導体チップ102Aは、内周側から外周側に向けて、厚さが段階的に厚くなっている。換言すれば、第2半導体チップ102Aは、その主面と平行な方向における端部位置が、第2半導体チップ102Aの厚さ方向に沿って変化する段差構造を有し、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102Aとの間に形成された隙間は、内周側から外周側に向けて段階的に広くなる。
【0095】
第2半導体チップ102Aの第1外周領域R23における幅は、半導体基板50の凹部55の端面から下層絶縁膜61の端部61Eまでの距離に相当し、例えば、5~20μm程度である。第2半導体チップ102Aの第2外周領域R25における幅は、下層絶縁膜61の端部61Eから上層絶縁膜62の端部62Eまでの距離に相当し、例えば、5~10μm程度である。
【0096】
第2の実施形態に係る半導体装置1Aによれば、第1の実施形態に係る半導体装置1と同様、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102Aとの間に形成される隙間300への封止樹脂90の充填を促進させることができる。これにより、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102Aとの接合に用いられる接合部材92の側面をまんべんなく封止樹脂90で覆うことが可能となり、第1半導体チップ101と第2半導体チップ102Aとの接合における信頼性を高めることが可能となる。
【0097】
ここで、一般的に、素子形成領域及び素子形成領域を区画するスクライブラインを縮小することで、1枚の半導体ウエハから得られる半導体チップの数を増加させることができる。特に、回路素子が形成されないスクライブラインの幅を縮小することで、回路素子の縮小を行うことなく、1枚の半導体ウエハから得られる半導体チップの数を増加させることができる。しかし、スクライブラインの幅が縮小された場合、下層絶縁膜を上層絶縁膜で被覆するための領域の確保が困難となる。
【0098】
そこで、上層絶縁膜の端部を下層絶縁膜の表面上に配置するという構成により、スクライブラインの幅が縮小された半導体チップにおいても、再配線層を上層絶縁膜により被覆することが可能となり、再配線層が大気に晒されることにより腐食を生じ長期信頼性の低下を生じるという問題を解決することが可能となる。また、チップ端部の最上層配線はパッシベーション膜により保護されているため、上層絶縁膜を備えた一般的なWL-CSPにおいては、最上層配線上のパッシベーション膜を下層絶縁膜により被覆することは不要である。
【0099】
しかし、マルチチップWL-CSPを構成する半導体チップにおいては、上層絶縁膜上を封止樹脂により封止する形態であるため、上層絶縁膜で被覆された下層絶縁膜から露出する領域、特にチップ電極より外周側に配置された、パッシベーション膜でのみ被覆された最上層配線が、封止樹脂によるフィラーアタックにより、断線などの不具合を生じるおそれがある。
【0100】
本実施形態に係る第2半導体チップ102Aは、複数の配線層のうち、最上層に設けられた最上層配線54が、チップ電極52よりも第2半導体チップ102Aの外周側に設けられている。最上層配線54は、パッシベーション膜53及び下層絶縁膜61によって覆われている。このように、最上層配線54がパッシベーション膜53及び下層絶縁膜61によって覆われることで、最上層配線54がパッシベーション膜53でのみ被覆される場合と比較して、フィラーアタックによる断線などの不具合を生じるリスクを抑制することができる。これにより、マルチチップWL-CSPの長期信頼性を確保することが可能となる。
【0101】
なお、チップ間接合電極34は、本発明における第1電極の一例である。チップ間接合電極74は、本発明における第2電極の一例である。層間絶縁膜51は、本発明における第1絶縁膜の一例である。下層絶縁膜61は、本発明における第2絶縁膜の一例である。上層絶縁膜62は、本発明における第3絶縁膜の一例である。
【符号の説明】
【0102】
1、1A 半導体装置
10、50 半導体基板
11、51 層間絶縁膜
12、52 チップ電極
13、53 パッシベーション膜
14、54 最上層配線
21、61 下層絶縁膜
22、62 上層絶縁膜
34、74 チップ間接合電極
35 柱状電極
40、80 再配線
55 凹部
56 突出部
90 封止樹脂
91 外部接続端子
92 接合部材
101 第1半導体チップ
102、102A 第2半導体チップ
110 スクライブライン
120 溝
300 隙間
R11 内周領域
R12 外周領域
R21 内周領域
R22 外周領域
R23 第1外周領域
R24 最外周領域
R25 第2外周領域
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図5N
図5O
図5P
図5Q
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図6M
図6N
図6O
図6P
図6Q
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9