(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】高圧ガス設備監視システム及び高圧ガス設備監視方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230501BHJP
F17C 13/12 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H04N7/18 D
F17C13/12 301Z
H04N7/18 U
(21)【出願番号】P 2022082253
(22)【出願日】2022-05-19
【審査請求日】2022-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】野口 明之
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-054060(JP,A)
【文献】特開2017-091009(JP,A)
【文献】特開2021-002229(JP,A)
【文献】実開平01-084185(JP,U)
【文献】特開2002-204445(JP,A)
【文献】特開2021-135515(JP,A)
【文献】特表2018-525169(JP,A)
【文献】特開2005-048581(JP,A)
【文献】特開2002-047861(JP,A)
【文献】特開2022-059287(JP,A)
【文献】特開2021-135516(JP,A)
【文献】特開2021-062963(JP,A)
【文献】野口明之(外1名),ガス業界のデジタル革新を実現した新たなガス供給システム インテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS),月刊自動認識,日本,日本工業出版株式会社,,2020年09月10日,第33巻, 第10号,P.23-27
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
F17C 13/00
G08B 25/00
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガスが充填されたガス容器を収納する1以上の収納庫と、
収納庫の内部を録画するカメラと、
前記カメラによって録画された収納庫の内部の録画データを保存する録画サーバと、
前記1以上の収納庫の内部におけるイベントの発生をトリガーとして録画データにタイムスタンプを付与する付与部と、
入力された指示に応じて、前記録画サーバに保存されている録画データを表示する表示装置と、
を備え
、
前記カメラは、前記付与部によりタイムスタンプが付与された録画データを含む所定期間分の録画データをイベント録画データとして前記録画サーバに送信し、
前記録画サーバは、前記カメラから送信された前記イベント録画データを前記録画データとして保存する高圧ガス設備監視システム。
【請求項2】
前記1以上の収納庫は、前記表示装置に対してイベント発生に関するイベント情報を通知し、
前記表示装置は、通知された前記イベント情報を表示し、選択された前記イベント情報で示されるイベントに応じた前記イベント録画データを表示する、
請求項
1に記載の高圧ガス設備監視システム。
【請求項3】
前記表示装置は、選択された前記イベント情報で示されるイベントに応じた前記イベント録画データを前記録画サーバに要求する際、少なくとも前記イベント録画データを録画したカメラの識別情報と、前記イベントが発生した時刻情報とを含む要求信号を前記録画サーバに送信し、
前記録画サーバは、保存しているイベント録画データの中から、前記要求信号に含まれるカメラの識別情報で特定されるカメラで録画されたイベント録画データであって、前記イベントが発生した時刻情報で示される時刻と付与されたタイムスタンプで示される時刻とが一致するイベント録画データを前記表示装置に提供する、
請求項
2に記載の高圧ガス設備監視システム。
【請求項4】
前記カメラは、動体検知機能を有し、収納庫内部で行われている作業において前記動体検知機能により異常の有無を検出し、
前記1以上の収納庫は、前記カメラにより異常が検出された場合にアラートを発報する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の高圧ガス設備監視システム。
【請求項5】
前記カメラは、熱を検知する熱感知センサにより得られる収納庫内部の熱に関する情報を、撮影した画像に合成することで画像上に温度分布を表示する機能、又は、熱を検知する機能を有し、いずれかの機能により得られた結果に基づいて収納庫内部における発火の有無を検出し、
前記1以上の収納庫は、前記カメラにより発火が検出された場合にアラートを発報する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の高圧ガス設備監視システム。
【請求項6】
前記ガス容器を搬送するボンベ搬送用台車をさらに備え、
前記1以上の収納庫は、シリンダーキャビネットであり、
前記カメラは、動体検知機能を有し、前記ボンベ搬送用台車と、前記シリンダーキャビネットとが接続されたか否かを前記動体検知機能により検出し、
前記シリンダーキャビネットは、前記カメラにより前記ボンベ搬送用台車と、前記シリンダーキャビネットとが接続されていないと判断された場合、アラートを発報する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の高圧ガス設備監視システム。
【請求項7】
前記ガス容器を搬送するボンベ搬送用台車をさらに備え、
前記1以上の収納庫は、シリンダーキャビネットであり、
前記カメラは、動体検知機能を有し、前記ボンベ搬送用台車が、前記シリンダーキャビネットの前に位置しているか否かを前記動体検知機能により検出し、
前記シリンダーキャビネットは、前記ボンベ搬送用台車が、前記シリンダーキャビネットの前に位置していると判断された場合、扉を開放する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の高圧ガス設備監視システム。
【請求項8】
前記カメラは、動体検知機能を有し、前記動体検知機能によりユーザの動きを検出し、
前記1以上の収納庫は、検出された前記ユーザの動きに応じた処理を実行させる、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の高圧ガス設備監視システム。
【請求項9】
高圧ガスが充填されたガス容器を収納する1以上の収納庫の内部を録画し、
録画された収納庫の内部の録画データを保存し、
前記1以上の収納庫の内部におけるイベントの発生をトリガーとして録画データにタイムスタンプを付与し、
タイムスタンプが付与された録画データを含む所定期間分の録画データをイベント録画データとして送信し、
送信された前記イベント録画データを前記録画データとして保存し、
入力された指示に応じて、保存されている録画データを表示する、
高圧ガス設備監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ガス設備監視システム及び高圧ガス設備監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス供給設備で利用される高圧ガスは、危険性を伴うため安全に十分考慮して取り扱う必要がある。高圧ガスが充填された容器(以下「ガス容器」という。)は、シリンダーキャビネットに収納されて利用される(例えば、特許文献1参照)。シリンダーキャビネット10において、ガス容器の設置、利用するガス容器の変更及びガス容器の取り外しは、基本的に作業員により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、ガス容器の設置、利用するガス容器の変更及びガス容器の取り外し等を人手で行うため、容器交換作業においてトラブルが発生する場合がある。さらに、ガス供給設備では、ガス漏洩等のトラブルが発生する場合もある。従来では、このようなトラブルが発生した際の原因を解析するために、作業手順の再確認、設備の老朽化、メンテナンスの実施の有無等の確認を行う。そのため、トラブルが発生した際の原因を解析するために多くの時間を要してしまうという問題があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、高圧ガスを利用する施設内におけるトラブル発生時の原因を解析するために要する時間を短縮することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、高圧ガスが充填されたガス容器を収納する1以上の収納庫と、収納庫の内部を録画するカメラと、前記カメラによって録画された収納庫の内部の録画データを保存する録画サーバと、入力された指示に応じて、前記録画サーバに保存されている録画データを表示する表示装置と、を備える高圧ガス設備監視システムである。
【0007】
本発明の態様2は、態様1の高圧ガス設備監視システムであって、前記1以上の収納庫内部におけるイベントの発生をトリガーとして録画データにタイムスタンプを付与する付与部をさらに備え、前記カメラは、前記付与部によりタイムスタンプが付与された録画データを含む所定期間分の録画データをイベント録画データとして前記録画サーバに送信し、前記録画サーバは、前記カメラから送信された前記イベント録画データを前記録画データとして保存する。
【0008】
本発明の態様3は、態様2の高圧ガス設備監視システムであって、前記1以上の収納庫は、前記表示装置に対してイベント発生に関するイベント情報を通知し、前記表示装置は、通知された前記イベント情報を表示し、選択された前記イベント情報で示されるイベントに応じた前記イベント録画データを表示する。
【0009】
本発明の態様4は、態様3の高圧ガス設備監視システムであって、前記表示装置は、選択された前記イベント情報で示されるイベントに応じた前記イベント録画データを前記録画サーバに要求する際、少なくとも前記イベント録画データを録画したカメラの識別情報と、前記イベントが発生した時刻情報とを含む要求信号を前記録画サーバに送信し、前記録画サーバは、保存しているイベント録画データの中から、前記要求信号に含まれるカメラの識別情報で特定されるカメラで録画されたイベント録画データであって、前記イベントが発生した時刻情報で示される時刻と付与されたタイムスタンプで示される時刻とが一致するイベント録画データを前記表示装置に提供する。
【0010】
本発明の態様5は、態様1から4のいずれか一項の高圧ガス設備監視システムであって、前記カメラは、動体検知機能を有し、収納庫内部で行われている作業において前記動体検知機能により異常の有無を検出し、前記1以上の収納庫は、前記カメラにより異常が検出された場合にアラートを発報する。
【0011】
本発明の態様6は、態様1から5のいずれか一項の高圧ガス設備監視システムであって、前記カメラは、熱を検知する熱感知センサにより得られる収納庫内部の熱に関する情報を、撮影した画像に合成することで画像上に温度分布を表示する機能、又は、熱を検知する機能を有し、いずれかの機能により得られた結果に基づいて収納庫内部における発火の有無を検出し、前記1以上の収納庫は、前記カメラにより発火が検出された場合にアラートを発報する。
【0012】
本発明の態様7は、態様1から6のいずれか一項の高圧ガス設備監視システムであって、前記ガス容器を搬送するボンベ搬送用台車をさらに備え、前記1以上の収納庫は、シリンダーキャビネットであり、前記カメラは、動体検知機能を有し、前記ボンベ搬送用台車と、前記シリンダーキャビネットとが接続されたか否かを前記動体検知機能により検出し、前記シリンダーキャビネットは、前記カメラにより前記ボンベ搬送用台車と、前記シリンダーキャビネットとが接続されていないと判断された場合、アラートを発報する。
【0013】
本発明の態様8は、態様1から7のいずれか一項の高圧ガス設備監視システムであって、前記ガス容器を搬送するボンベ搬送用台車をさらに備え、前記1以上の収納庫は、シリンダーキャビネットであり、前記カメラは、動体検知機能を有し、前記ボンベ搬送用台車が、前記シリンダーキャビネットの前に位置しているか否かを前記動体検知機能により検出し、前記シリンダーキャビネットは、前記ボンベ搬送用台車が、前記シリンダーキャビネットの前に位置していると判断された場合、扉を開放する。
【0014】
本発明の態様9は、態様1から8のいずれか一項の高圧ガス設備監視システムであって、前記カメラは、動体検知機能を有し、前記動体検知機能によりユーザの動きを検出し、前記1以上の収納庫は、検出された前記ユーザの動きに応じた処理を実行させる。
【0015】
本発明の一態様は、高圧ガスが充填されたガス容器を収納する1以上の収納庫の内部を録画し、録画された収納庫の内部の録画データを保存し、入力された指示に応じて、保存されている録画データを表示する、高圧ガス設備監視方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、高圧ガスを利用する施設内におけるトラブル発生時の原因を解析するために要する時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態における高圧ガス設備監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態における録画サーバの構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態における管理サーバの構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態における容器テーブルの一例を示す図である。
【
図5】実施形態における管理テーブルの一例を示す図である。
【
図6】監視アプリケーションの起動時に表示される表示画像の一例を示す図である。
【
図7】リアルタイムにシリンダーキャビネット内の状態を監視するための表示画像の一例を示す図である。
【
図8】イベント発生時のシリンダーキャビネット内の状態を監視するための表示画像の一例を示す図である。
【
図9】実施形態における高圧ガス設備監視システムの録画データの保存処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図10】実施形態における高圧ガス設備監視システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、実施形態における高圧ガス設備監視システム1の構成例を示す図である。高圧ガス設備監視システム1は、ガス供給設備等の高圧ガスを利用する施設内の監視を行うシステムである。高圧ガス設備監視システム1は、複数のシリンダーキャビネット10と、録画サーバ20と、管理サーバ30とを備える。複数のシリンダーキャビネット10、録画サーバ20及び管理サーバ30は、ネットワーク40を介して通信可能に接続される。ネットワーク40は、LAN(Local Area Network)である。
【0020】
以下の説明では、複数のシリンダーキャビネット10、録画サーバ20及び管理サーバ30は、1つの顧客の1つの工場等の施設に設けられているものとして説明する。すなわち、以下の説明では、高圧ガス設備監視システム1は、1つの施設内における異常の監視を行う場合について説明する。
【0021】
シリンダーキャビネット10は、ガス容器B内に充填された高圧ガスを半導体製造装置に供給する設備であり、1つのシリンダーキャビネット10で複数のガス容器Bを収納する収納庫である。シリンダーキャビネット10は、扉を開閉し、その内側の格納スペースに一対のガス容器Bを幅方向に並立した状態で格納する。シリンダーキャビネット10では、何れか一方のガス容器Bからガスを供給している間に、何れか他方のガス容器Bを交換することで、ガスの供給を中断することなく行うことが可能となっている。
【0022】
シリンダーキャビネット10には、それ以外にも、例えば、ガス容器Bと接続される配管や、扉の開閉、弁の開閉や圧力の監視、ガス漏れの監視等を行うための機器を収納した制御ボックス12及び半導体製造装置等に接続するための配管を収納した配管用ボックス(不図示)などが設けられている。制御ボックス12には、PLC(Programmable Logic Controller)のような制御装置や、管理サーバ30と通信するための通信部が備えられ、通信部によって扉の開閉の情報、弁の開閉の情報、圧力の監視結果、ガス漏れの監視結果及びガス容器Bの残量の情報などの容器情報が管理サーバ30に送信される。
【0023】
さらに、シリンダーキャビネット10は、イベントの発生をトリガーとして、イベントが発生したことを示すイベント情報を管理サーバ30に通知する。ここで、イベントとは、施設内で行われる作業(例えば、ガス容器Bの交換作業の開始)、作業において発生するトラブル(例えば、ガス容器Bの交換誤り)、作業後又は作業によらず発生する可能性のあるトラブル(例えば、ガス漏洩や発火)等を含む。イベント情報には、シリンダーキャビネット10の識別情報、イベントの発生した時刻情報、発生したイベントの内容、タグ、装置名等の情報が含まれる。
【0024】
シリンダーキャビネット10は、1以上のカメラ15を備える。カメラ15は、シリンダーキャビネット10の内部を録画する。カメラ15は、例えばネットワークカメラである。シリンダーキャビネット10は、可燃性のある高圧ガスを収納するため、電気部品の露出は極力ない方が好ましい。そのため、カメラ15は、ドーム型のネットワークカメラが望ましく、レンズ部分のみをシリンダーキャビネット10内に突出させるように設置される。カメラ15には、PoE(Power over Ethernet(登録商標))を利用して電力が供給される。
【0025】
カメラ15は、シリンダーキャビネット10の内部を常時撮影することで得られた時系列の録画データ(以下「リアルタイム録画データ」という。)を、ネットワーク40を介して録画サーバ20に送信する。さらに、カメラ15は、シリンダーキャビネット10の制御装置、又は、自装置で検出したイベントの発生をトリガーとして、録画データにタイムスタンプを付与する。タイムスタンプとして付与される時刻は、シリンダーキャビネット10がイベント情報に含めたイベントの発生した時刻情報で示される時刻である。これにより、管理サーバ30に通知されたイベント発生の時刻と、イベント発生時の録画データとを対応付けることができる。このように、カメラ15は、少なくともシリンダーキャビネット10内部を撮影する撮影部と、タイムスタンプを付与する付与部と、録画データを送信する通信部と、カメラ15を制御する制御部とを備える。
【0026】
カメラ15は、タイムスタンプを付与した録画データを含む所定期間分の録画データ(以下「イベント録画データ」という。)を、ネットワーク40を介して録画サーバ20に送信する。ここで、イベント録画データは、イベントが発生した時の前後の映像を含む録画データである。すなわち、イベント録画データには、イベントが発生した時の録画データのみならず、イベントが発生する所定期間前(例えば、イベントが発生する数秒前)からイベントが発生した時までの録画データと、イベントが発生した時点から所定期間後(例えば、イベントが発生した時点から数秒後)までの録画データとが含まれる。なお、イベント録画データとして、イベントが発生する前の期間と、イベントが発生した後の期間の保存期間をどのくらいの長さとするのかは予め設定される。
【0027】
カメラ15には、動体検知機能、収音機能、音声出力機能及び熱を検知する機能のいずれかが備えられてもよい。カメラ15が動体検知機能を備える場合、カメラ15はシリンダーキャビネット10内部で行われている作業において動体検知機能により異常の有無を検出する。シリンダーキャビネット10内部で行われている作業における異常とは、例えば交換すべきガス容器Bと異なるガス容器B(例えば、高圧ガスを供給しているガス容器B)に作業員が手を触れようとする場合や、作業と関係の無い工具が検出された場合等である。シリンダーキャビネット10では、収納しているガス容器Bのうちいずれのガス容器Bで高圧ガスを供給しているのか把握している。そのため、動体検知機能により検出された作業員の手と、シリンダーキャビネット10からの情報(いずれのガス容器Bで高圧ガスを供給しているのかを示す情報)とに基づいて、カメラ15において、交換すべきガス容器Bと異なるガス容器Bに作業員が手を触れると判断した場合に、シリンダーキャビネット10内部で行われている作業における異常が発生したと判断する。カメラ15によりシリンダーキャビネット10内部で行われている作業における異常が発生したと判断された場合、シリンダーキャビネット10はアラートを発報する。これにより、誤作業前に作業員に注意を促すことができる。この場合、カメラ15は、イベント録画データを録画サーバ20に送信してもよい。
【0028】
カメラ15が熱を検知する機能(カメラのサーモグラフィ機能)を備える場合、カメラ15は検知した熱に基づいて、シリンダーキャビネット10内部における発火の有無を検出する。カメラ15によりシリンダーキャビネット10内部における発火が発生したと判断された場合、シリンダーキャビネット10はアラートを発報する。この場合、カメラ15は、イベント録画データを録画サーバ20に送信してもよい。
【0029】
熱を検知する熱感知センサが、シリンダーキャビネット10内部(例えば、カメラ15と併設)に備えられる場合、カメラ15は熱感知センサにより得られるシリンダーキャビネット10内部の熱に関する情報を、撮影した画像に合成することで画像上に温度分布を表示するように構成されてもよい。熱感知センサは、熱源となる物体又は生物が発する遠赤外線を検出し、遠赤外線の強度を解析することで温度分布を生成する。温度分布は、遠赤外線の強度に応じて色分けされた分布を表す。カメラ15は、熱感知センサにより得られるシリンダーキャビネット10内部の熱に関する情報として温度分布を取得する。カメラ15は、撮影した画像に、取得した温度分布を合成することで画像上に温度分布を表示する。そして、カメラ15は、画像上に温度分布を表示した結果に基づいて、シリンダーキャビネット10内部における発火の有無を検出する。カメラ15によりシリンダーキャビネット10内部における発火が発生したと判断された場合、シリンダーキャビネット10はアラートを発報する。
【0030】
録画サーバ20は、カメラ15から送信された録画データ(リアルタイム録画データと、イベント録画データ)を保存するサーバである。録画サーバ20は、大容量の記憶装置を備え、各シリンダーキャビネット10に設置された各カメラ15から送信された録画データをカメラ15毎に分類して記憶装置に保存する。録画サーバ20は、管理サーバ30からの要求に応じて、記憶装置に保存している録画データの中から、要求された録画データを管理サーバ30に提供する。
【0031】
管理サーバ30は、設備内の監視を行う装置である。管理サーバ30は、シリンダーキャビネット10から種々の情報(例えば、圧力の監視結果、ガス漏れの監視結果、ガス容器Bの残量の情報及びイベント情報)を受信する。さらに、管理サーバ30は、シリンダーキャビネット10から通知されたイベント情報をアラート一覧として画面上に表示する。管理サーバ30は、画面上に表示したアラート一覧のうち、選択されたイベント情報で示されるイベントに応じた録画データを表示する。管理サーバ30は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。管理サーバ30は、表示装置の一態様である。
【0032】
なお、高圧ガス設備監視システム1は、ユーザが持ち歩き可能な可搬型の通信装置を備えてもよい。可搬型の通信装置は、例えばスマートフォン、タブレット端末及びノートパソコン等である。可搬型の通信装置は、管理サーバ30と同様の機能を備え、同様の処理を行う。可搬型の通信装置は、表示装置の一態様である。
【0033】
図2は、実施形態における録画サーバ20の構成の一例を示す図である。録画サーバ20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0034】
通信部21は、カメラ15及び管理サーバ30との間で通信を行う。例えば、通信部21は、各カメラ15から送信された録画データを受信する。例えば、通信部21は、録画データを管理サーバ30に送信する。
【0035】
記憶部22には、常時録画データ221及びイベント録画データ222が記憶される。常時録画データ221は、カメラ15から送信されたリアルタイム録画データであり、例えば各カメラ15で常時録画された時系列の録画データである。イベント録画データ222は、カメラ15から送信されたイベント録画データであり、例えばイベント発生時に録画された録画データである。記憶部32は、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの大容量の記憶装置を用いて構成される。
【0036】
制御部23は、録画サーバ20全体を制御する。制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部23は、プログラムを実行することによって、記録部231及び提供部232の機能を実現する。
【0037】
記録部231及び提供部232のうち一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記憶媒体である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0038】
記録部231及び提供部232の機能の一部は、予め録画サーバ20に搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムが録画サーバ20にインストールされることで実現されてもよい。
【0039】
記録部231は、通信部21によって受信された録画データを記憶部22に記録する。例えば、記録部231は、通信部21によってリアルタイム録画データが受信された場合には、カメラ15毎に分類して記憶部22の常時録画データ221に記録する。例えば、記録部231は、通信部21によってイベント録画データが受信された場合には、カメラ15毎に分類して記憶部22のイベント録画データ222に記録する。
【0040】
提供部232は、管理サーバ30からの要求に応じて、要求された録画データを管理サーバ30に提供する。具体的には、提供部232は、管理サーバ30からリアルタイム録画データが要求された場合、指定されたカメラ15で録画されたリアルタイム録画データを管理サーバ30に提供する。この際、提供部232は、指定されたカメラ15で録画された最新の録画データをリアルタイムに管理サーバ30に提供する。提供部232は、管理サーバ30からイベント録画データが要求された場合、要求されたイベント録画データを管理サーバ30に提供する。提供部232は、要求されたイベント録画データを検索する際、管理サーバ30からの要求に含まれるカメラ15の識別情報と、時刻情報とを参照して、要求されたイベント録画データの撮影元のカメラ15を特定し、時刻情報で示される時刻とタイムスタンプとを比較することで、要求されたイベント録画データを特定する。
【0041】
図3は、実施形態における管理サーバ30の構成の一例を示す図である。管理サーバ30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、操作部34と、表示部35とを備える。
【0042】
通信部31は、シリンダーキャビネット10及び録画サーバ20との間で通信を行う。例えば、通信部31は、シリンダーキャビネット10から種々の情報及びイベント情報を受信する。例えば、通信部31は、録画サーバ20から送信された録画データを受信する。
【0043】
記憶部32には、監視アプリケーション321、容器テーブル322、管理テーブル323及び表示用情報324が記憶される。監視アプリケーション321は、管理サーバ30において高圧ガス設備監視システム1の監視を行うためのアプリケーションプログラムである。監視アプリケーション321が起動されると、表示部35の画面上に専用のアプリ画面が表示される。容器テーブル322は、ガス容器Bに関する情報が登録されたテーブルである。管理テーブル323は、ガス容器Bを管理するための情報が登録されたテーブルである。表示用情報324は、シリンダーキャビネット10から得られる情報(例えば、種々の情報やイベント情報)や、録画サーバ20から得られる録画データ等の表示部35に表示するための情報である。記憶部32は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0044】
制御部33は、管理サーバ30全体を制御する。制御部33は、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部33は、プログラムを実行することによって、取得部331、表示制御部332及び要求部333の機能を実現する。
【0045】
取得部331、表示制御部332及び要求部333のうち一部または全部は、ASICやPLD、FPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記憶媒体である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0046】
取得部331、表示制御部332及び要求部333の機能の一部は、予め管理サーバ30に搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムが管理サーバ30にインストールされることで実現されてもよい。
【0047】
取得部331は、各種情報を取得する。例えば、取得部331は、シリンダーキャビネット10から得られる情報(例えば、種々の情報やイベント情報)や、録画サーバ20から得られる録画データを取得する。
【0048】
表示制御部332は、監視アプリケーション321を起動して表示部35の表示画面を制御する。
【0049】
要求部333は、操作部34を介して入力された要求に応じて、録画サーバ20に対して録画データを要求する。
【0050】
操作部34は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、タッチパネル、ボタン等の既存の入力装置を用いて構成される。操作部34は、ユーザの指示を管理サーバ30に入力する際にユーザによって操作される。例えば、操作部34は、録画データの要求指示、画面の切替指示等を受け付ける。
【0051】
表示部35は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置である。表示部35は、各種情報を表示する。表示部35は、画像表示装置を管理サーバ30に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部35は、情報を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。
【0052】
図4は、実施形態における容器テーブル322の一例を示す図である。
容器テーブル322には、容器番号に対応付けて、ガス名、濃度、品質保証期限、初期充填量、製造日及び残量の情報が登録されている。容器番号は、ガス容器Bを識別するための識別情報を表す。ガス名は、ガス容器Bに充填されているガスの名称を表す。濃度は、ガス容器Bに充填されているガスの濃度を表す。品質保証期限は、ガス容器Bに充填されているガスの品質が保証されている期限を表す。初期充填量は、納品時にガス容器Bに充填されているガスの量を表す。初期充填量は、容器情報における充填量に相当する。製造日は、ガス容器Bにガスが充填された日を表す。残量は、ガス容器Bに残っているガスの量を表す。残量の情報は、シリンダーキャビネット10から所定のタイミングで送信される。
【0053】
図5は、実施形態における管理テーブル323の一例を示す図である。
管理テーブル323には、収納庫情報に対応付けて、タグ識別情報、搬入日及び搬出日の情報が登録されている。収納庫情報は、シリンダーキャビネット10に関する情報を表す。
図5では、収納庫情報として、収納庫識別情報、カメラ識別情報、収納庫名称、設置位置情報が登録されている。収納庫識別情報は、シリンダーキャビネット10を識別するための識別情報を表す。カメラ識別情報は、シリンダーキャビネット10に備えられているカメラ15を識別するための識別情報を表す。収納庫名称は、シリンダーキャビネット10の名称を表す。設置位置情報は、シリンダーキャビネット10が設置されている位置情報を表す。設置位置情報は、緯度経度で表されてもよい。
【0054】
タグ識別情報は、ガス容器Bに取り付けられる電子タグを識別するための識別情報を表す。ガス容器Bに電子タグが取り付けられることで、ガス容器Bの設置場所が変更になったとしても電子タグの情報に基づいてガス容器Bの位置を管理することができる。シリンダーキャビネット10には、電子タグから情報を読み取る読取装置(不図示)が備えられる。搬入日は、ガス容器Bが収納庫(シリンダーキャビネット10)に搬入された日を表す。搬出日は、ガス容器Bが収納庫に搬出された日を表す。なお、管理テーブル323には、必ずしもすべての情報が登録されている必要はない。
【0055】
次に、ユーザが、管理サーバ30を操作して監視アプリケーション321を起動したことに応じて、管理サーバ30の表示部35に表示される情報について説明する。
図6は、監視アプリケーション321の起動時に表示される表示画像IM1の一例を示す図である。表示画像IM1は、例えばGUI(Graphical User Interface)である。
図6に示す表示画像IM1には、例えば、領域R1及びR2それぞれに異なる情報が表示される。表示画像IM1の領域R1には、表示部35に表示させる表示画像を切り替えるための複数の項目が表示される。例えば、
図6では、領域R1には、ダッシュボード、カメラ等の項目が表示されている。なお、これらは一例であり、領域R1にはその他の項目(例えば、設定の項目、メンテナンスの項目など)が表示されてもよい。
【0056】
ダッシュボードの項目は、表示部35の領域R2にダッシュボード画面の画像を表示させるための項目である。なお、
図6では、ダッシュボード画面の画像が表示されている。カメラの項目は、表示部35の画面上に、選択したカメラ15のリアルタイム録画データを表示させるための項目である。カメラの項目は、ユーザが、リアルタイムにシリンダーキャビネット10内の状態を監視したい場合に選択される。例えば、ユーザが領域R1に表示されているカメラの項目を選択して、特定のカメラ15を選択されると、管理サーバ30の表示部35には、
図7の表示画像IM2が表示される。
【0057】
図7は、リアルタイムにシリンダーキャビネット10内の状態を監視するための表示画像IM2の一例を示す図である。表示画像IM2は、例えばGUIである。
図7に示す表示画像IM2には、例えば、表示画像inf1が重畳して表示されている。表示画像inf1は、選択したカメラ15で録画され、録画サーバ20から提供されるリアルタイム録画データである。ユーザは、表示画像inf1を見ることで、リアルタイムにシリンダーキャビネット10の内部の状態を監視することができる。
【0058】
図6に戻って説明を続ける。表示画像IM1の領域R2には、管理サーバ30の記憶部32に記憶されている情報に基づく内容が表示される。例えば、領域R2には、現在警報件数、残量低下情報及び本日のタスクなどの件数を示す情報、供給設備に関する情報、アラート一覧、カレンダー、他のステータス情報及びタスクカレンダー等が表示される。現在警報件数の件数は、イベント情報の数を表す。残量低下情報の件数は、シリンダーキャビネット10から通知された残量情報のうち、残量が閾値未満のガス容器Bの数を表す。本日のタスクの件数は、当日に作業者が行う予定として登録したタスクの数を表す。本日のタスクの件数は、タスクカレンダー(アラート一覧の右側に表示)に事前に登録された情報に基づいて表示される。
【0059】
供給設備に関する情報は、高圧ガス設備監視システム1に設置されている設備に関する情報である。
図6では、一例として高圧ガス設備監視システム1に設置されている設備として、複数のシリンダーキャビネット10(
図6では、XX_C/C、X1_C/C、…、XZ_C/C)が表示されている。なお、
図6では示していないが、シリンダーキャビネット10の残量情報に基づいて、各シリンダーキャビネット10の表示を変更してもよい。例えば、残量が100のシリンダーキャビネット10は残量が100であることがわかるような表示で表示してもよい。
【0060】
アラート一覧には、シリンダーキャビネット10から通知されたイベント情報が表示される。アラート一覧に表示されているイベント情報は、ユーザによる確認が完了するとアラート一覧から削除されてもよい。ここでユーザによる確認完了は、不図示の確認完了ボタンが選択されることであってもよいし、一度選択されたことであってもよい。アラート一覧には、発生日時、タグ、場所、装置名、ガス名、状態レベル及びビデオの項目が表示されている。発生日時の項目には、イベントが発生した日時の情報が表示される。タグの項目には、イベントが発生した対象となるガス容器Bに取り付けられる電子タグの識別情報が表示される。なお、イベント発生の原因がガス容器B以外の場合には、タグの項目には情報が表示されなくてもよい。
【0061】
場所の項目には、イベントが発生した場所の情報が表示される。装置名の項目には、イベントが発生した装置(設備)の名称が表示される。ガス名の項目には、イベントが発生した装置に保存されているガス名が表示される。状態レベルの項目には、発生したイベントの内容(例えば、ガス漏れ、発火検出、誤作業など)が表示される。ビデオの項目には、イベントが発生した際の録画データが確認可能であることを示す情報が表示される。
【0062】
ユーザがアラート一覧に表示されているイベント情報におけるビデオボタンを選択すると、管理サーバ30の表示部35には、
図8の表示画像IM3が表示される。
図8は、イベント発生時のシリンダーキャビネット10内の状態を監視するための表示画像IM3の一例を示す図である。表示画像IM3は、例えばGUIである。
図8に示す表示画像IM3には、例えば、表示画像inf2が重畳して表示されている。表示画像inf2は、ユーザが選択したイベント情報に関するイベント録画データである。ユーザは、表示画像inf2を見ることで、イベント発生時におけるシリンダーキャビネット10の内部の状態を監視することができる。
【0063】
表示画像inf2には、イベント録画データの他に、時刻情報及び各種ボタンが表示されている。例えば、表示画像inf2における“20XX/Y1/ZZ”はイベント録画データの時間を表す。表示ボタンは、指定日時の録画データを表示するためのボタンである。ライブ開始ボタンは、リアルタイム録画データの表示を再開するためのボタンである。ユーザによりライブ開始ボタンが選択されると、管理サーバ30の表示部35には、
図7の表示画像IM2が表示される。なお、ライブ開始ボタンが選択された場合に表示される表示画像IM2は、イベント録画データを録画したカメラ15でリアルタイムに録画されているリアルタイム録画データである。
【0064】
停止ボタンは、映像再生を停止するためのボタンである。コマ送りボタンは、録画データをコマ送りで再生するためのボタンである。再生ボタンは、録画データを再生するためのボタンである。早送りボタンは、録画データを早送り再生するためのボタンである。10秒戻しボタンは、10秒前の録画データを表示させるためのボタンである。10秒送りボタンは、10秒後の録画データを表示させるためのボタンである。このように、ユーザが各種のボタンを操作することで、イベントが発生した前後におけるシリンダーキャビネット10内の状態も把握することができる。
【0065】
図6に戻って説明を続ける。他のステータス情報には、例えばガスの発注の状況を示す情報等が表示される。タスクカレンダー詳細には、タスクカレンダーに登録されたタスクの詳細が表示される。
【0066】
図9は、実施形態における高圧ガス設備監視システム1の録画データの保存処理の流れを示すシーケンス図である。
シリンダーキャビネット10のカメラ15は、シリンダーキャビネット10内を常時録画する(ステップS101)。カメラ15は、常時録画することによって得られるリアルタイム録画データを、ネットワーク40を介してリアルタイムに録画サーバ20に送信する(ステップS102)。なお、カメラ15と、録画サーバ20との間には、1以上の中継装置が設けられてもよい。
【0067】
録画サーバ20の通信部21は、カメラ15から送信されたリアルタイム録画データを受信する。記録部231は、通信部21によって受信されたリアルタイム録画データを、カメラ15の識別情報で分類して記憶部22に保存する(ステップS103)。各シリンダーキャビネット10の各カメラ15により、常時録画が行われている。記録部231は、各カメラ15でリアルタイムに録画されたリアルタイム録画データを時系列順にカメラ15毎に分類して記憶部22に保存する。
【0068】
シリンダーキャビネット10が、イベントの発生を検出したとする(ステップS104)。例えば、シリンダーキャビネット10においてガス漏れが検出されたとする。シリンダーキャビネット10は、イベントの発生が検出された時刻の情報をカメラ15に通知する。カメラ15は、通知された時刻の情報に基づいてタイムスタンプを付与する録画データを特定し、特定した録画データにタイムスタンプを付与する(ステップS105)。具体的には、カメラ15は、通知された時刻の情報で示される時刻に録画された録画データを特定し、特定した録画データにタイムスタンプを付与する。録画データに付与されるタイムスタンプは、シリンダーキャビネット10から通知された時刻の情報である。カメラ15は、タイムスタンプが付与された録画データを基準に前後所定期間分の録画データを含むイベント録画データを生成し、生成したイベント録画データを、ネットワーク40を介して録画サーバ20に送信する(ステップS106)。
【0069】
なお、カメラ15によってイベントの発生が検出されてもよい。この場合、カメラ15は、イベントの発生と、イベントの発生の検出時刻とをシリンダーキャビネット10の制御装置に通知する。カメラ15は、イベントの発生の検出時刻に基づいてタイムスタンプを付与する録画データを特定し、特定した録画データにタイムスタンプを付与する。カメラ15は、タイムスタンプが付与された録画データを基準に前後所定期間分の録画データを含むイベント録画データを生成し、生成したイベント録画データを、ネットワーク40を介して録画サーバ20に送信する。
【0070】
録画サーバ20の通信部21は、カメラ15から送信されたイベント録画データを受信する。記録部231は、通信部21によって受信されたイベント録画、カメラ15の識別情報で分類して記憶部22に保存する(ステップS107)。
【0071】
シリンダーキャビネット10は、イベントの発生を検出した後、又は、カメラ15からイベントの発生の通知を受けた後、管理サーバ30に対してイベント情報を送信する(ステップS108)。管理サーバ30の通信部31は、シリンダーキャビネット10から送信されたイベント情報を受信する。取得部331は、通信部31によって受信されたイベント情報を記憶部32に表示用情報324として保存する(ステップS109)。
【0072】
以上の処理が高圧ガス設備監視システム1の録画データの保存処理の流れであるが、イベントが検出されていない間は、ステップS104からステップS109までの処理は実行されない。
【0073】
図10は、実施形態における管理サーバ30の録画データ表示処理の流れを示すシーケンス図である。
表示制御部332は、ユーザの操作に応じて、監視アプリケーション321を起動する(ステップS201)。監視アプリケーション321が起動すると、表示制御部332は表示部35の画面上に表示画像IM1(ダッシュボード)を表示させる(ステップS202)。その後、表示制御部332は、ユーザの操作に応じた画像を表示部35に表示させる(ステップS203)。ここで、ユーザによりアラート一覧のビデオボタンが選択されたとする。
【0074】
要求部333は、ユーザにより選択されたビデオボタンに応じたイベント情報に関するイベント録画データの提供を録画サーバ20に要求する(ステップS204)。具体的には、まず要求部333は、ユーザにより選択されたビデオボタンに対応付けられているタグ、場所及び装置名等に基づいてカメラ15を特定する。次に、要求部333は、特定したカメラ15の識別情報と、イベントの発生した時刻情報とを含む要求信号を生成する。そして、要求部333は、生成した要求信号を、通信部31を介して録画サーバ20に送信する。
【0075】
録画サーバ20の通信部21は、管理サーバ30から送信された要求信号を受信する。提供部232は、要求信号に含まれるカメラ15の識別情報と、イベントの発生した時刻情報とに基づいて、イベント録画データ222の中から要求されたイベント録画データを取得する。具体的には、提供部232は、イベント録画データ222の中から、カメラ15の識別情報で特定されるカメラ15で録画されたイベント録画データであって、イベントの発生した時刻情報で示される時刻と付与されたタイムスタンプで示される時刻とが一致するイベント録画データを、要求されたイベント録画データとして取得する。提供部232は、取得したイベント録画データを、通信部21を介して管理サーバ30に送信する(ステップS205)。
【0076】
管理サーバ30の通信部31は、録画サーバ20から送信されたイベント録画データを受信する。表示制御部332は、受信されたイベント録画データを表示部35に表示する(ステップS206)。
【0077】
以上のように構成された高圧ガス設備監視システム1によれば、高圧ガスを利用する施設内におけるトラブル発生時の原因を解析するために要する時間を短縮することが可能となる。具体的には、高圧ガス設備監視システム1では、ガス容器Bを収納する1以上のシリンダーキャビネット10と、シリンダーキャビネット10の内部を録画するカメラ15と、カメラ15によって録画されたシリンダーキャビネット10の内部の録画データを保存する録画サーバ20と、入力された指示に応じて、録画サーバ20に保存されている録画データを表示する管理サーバ30とを備える。これにより、ユーザは、シリンダーキャビネット10の内部の状態が録画された映像を見ることができる。したがって、トラブルが発生した際に、どのような作業が行われたのか、シリンダーキャビネット10の内部の状態がどのような状態であったのかを容易に把握することができる。その結果、確認作業を短時間で行うことができる。そのため、高圧ガスを利用する施設内におけるトラブル発生時の原因を解析するために要する時間を短縮することが可能になる。
【0078】
さらに、高圧ガス設備監視システム1では、カメラ15において、シリンダーキャビネット10内部におけるイベントの発生をトリガーとして録画データにタイムスタンプを付与し、タイムスタンプが付与された録画データを含む所定期間分の録画データであるイベント録画データを録画サーバ20に送信する。録画サーバ20は、カメラ15から送信されたイベント録画データを保存する。これにより、イベント発生時を含む所定期間分の録画データを保存することができる。したがって、ユーザは、イベント録画データを見ることで、イベント発生前後のシリンダーキャビネット10内部の状態を把握することができる。そのため、高圧ガスを利用する施設内におけるトラブル発生時の原因を解析するために要する時間を短縮することが可能になる。
【0079】
以下、高圧ガス設備監視システム1の変形例について説明する。
(変形例1)
カメラ15が動体検知機能を備える場合、高圧ガス設備監視システム1においてカメラ15の動体検知機能を、自動運転によりガス容器Bの搬送を行うボンベ搬送用台車と、シリンダーキャビネット10との接続に用いるように構成されてもよい。ここで、ボンベ搬送用台車は、ガス容器Bの搬送を自走で行う搬送車両と、ガス容器Bの搬出及び搬入を自動で行う搬出入用ロボットとで構成される。搬送車両は、AGV(Automated Guided Vehicle)と呼ばれる無人搬送車であり、自動運転によりガス容器Bの搬送を行うものである。搬出入用ロボットは、搬送車両の上部に設置されて、ガス容器Bの搬出及び搬入を自動で行うものである。このようなボンベ搬送用台車は、起立した状態のガス容器Bをスライドさせながら、シリンダーキャビネット10との間で、ガス容器Bの搬出及び搬入を自動で行うことが可能となっている。そのため、ボンベ搬送用台車と、シリンダーキャビネット10とが接続されていない場合には、ガス容器Bの搬出及び搬入ができなくなってしまう。そこで、高圧ガス設備監視システム1では、カメラ15の動体検知機能を利用して、ボンベ搬送用台車と、シリンダーキャビネット10とが接続されたか否かを検出するように構成されてもよい。カメラ15により、ボンベ搬送用台車と、シリンダーキャビネット10とが接続されていないと判断された場合、シリンダーキャビネット10はアラート発報をするか、又は、管理サーバ30に対してアラートを通知する。
【0080】
(変形例2)
カメラ15が動体検知機能を備える場合、高圧ガス設備監視システム1においてカメラ15の動体検知機能を、シリンダーキャビネット10の自動扉の開閉に用いるように構成されてもよい。従来では、センサ等により、ボンベ搬送用台車がシリンダーキャビネット10に近づいてきたことを検知した際にシリンダーキャビネット10は自動扉を開き、ボンベ搬送用台車がシリンダーキャビネット10から離されたことを検知した際にシリンダーキャビネット10は自動扉を閉じる構成であった。この場合、センサの誤検知により関係の無いシリンダーキャビネット10の自動扉の開閉を行ってしまう場合も想定される。そこで、高圧ガス設備監視システム1では、カメラ15の動体検知機能を利用して、ボンベ搬送用台車がシリンダーキャビネット10の前に位置しているか否かを検出するように構成されてもよい。カメラ15により、ボンベ搬送用台車がシリンダーキャビネット10の前に停止していると判断された場合、シリンダーキャビネット10は自動扉を開く制御を行う。一方、シリンダーキャビネット10の自動扉が開いている状態で、カメラ15により、ボンベ搬送用台車がシリンダーキャビネット10の前に停止していないと判断された場合、シリンダーキャビネット10は自動扉を閉じる制御を行う。
【0081】
(変形例3)
カメラ15が動体検知機能を備える場合、高圧ガス設備監視システム1においてユーザのジェスチャに応じた処理を行うように構成されてもよい。ユーザのジェスチャと、ジェスチャに応じた処理とは予めカメラ15に記憶されているものとする。ジェスチャに応じた処理としては、例えばボンベ搬送用台車を移動させる処理、シリンダーキャビネット10に設けられるタブレット端末の認証を解除する処理、シリンダーキャビネット10の自動扉の開く又は閉じる処理等である。なお、ジェスチャに応じた処理は、これらに限られない。カメラ15が、ボンベ搬送用台車を移動させる処理を実行するための所定のサインを検出すると、カメラ15はシリンダーキャビネット10を介してジェスチャに応じた処理の情報を管理サーバ30に通知する。管理サーバ30は、通知された情報に従って、ボンベ搬送用台車に移動指示を送信して、ボンベ搬送用台車をユーザの位置(例えば、所定のサインを検出したカメラ15が備えられるシリンダーキャビネット10の位置)まで移動させる。
【0082】
(変形例4)
高圧ガス設備監視システム1は、遠隔地に位置するユーザが、カメラ15により録画されている録画データを見ながら作業指示が可能となるように構成されてもよい。この場合、録画サーバ20は、録画データを要求するユーザが操作する通信装置に対して、要求された録画データをリアルタイムで提供する。これにより、遠隔地にいるユーザであっても所望のシリンダーキャビネット10内の映像をリアルタイムで見ることができる。そして、遠隔地にいるユーザは、通信装置、又は、その他の手段で、現場で作業する作業員に対して指示することで遠隔地にいても作業指示が可能になる。
【0083】
(変形例5)
カメラ15が収音機能と音声出力機能とを備える場合、高圧ガス設備監視システム1において音声認識による操作、メンテナンス手順読み出しとアンサーバック又は異音発生時の警報発報等を行うように構成されてもよい。カメラ15が収音機能(マイク)を備える場合、シリンダーキャビネット10内において集音することができる。カメラ15は、収音した音に基づいて、異音の有無を検出し、異音が発生した場合には、アラートを発報してもよい。
【0084】
(変形例6)
上述した実施形態では、シリンダーキャビネット10内におけるイベントの発生に応じて、イベント録画データの保存を行う構成を示したが、他の設備におけるイベントの発生に応じて、イベント録画データの保存を行うように構成されてもよい。例えば、高圧ガス設備監視システム1は、ガス容器Bの保管に用いられるボンベストッカーのような収納庫におけるイベントの発生に応じて、イベント録画データの保存を行うように構成されてもよいし、ガス供給設備に設置される他の設備におけるイベントの発生に応じて、イベント録画データの保存を行うように構成されてもよい。
【0085】
(変形例7)
上述した実施形態では、カメラ15において録画データに対してタイムスタンプを付与して録画サーバ20に送信する構成を示したが、シリンダーキャビネット10の制御装置において録画データに対してタイムスタンプを付与してもよいし、クラウド上に設けられたサーバにおいて録画データに対してタイムスタンプを付与してもよい。この場合、シリンダーキャビネット10の制御装置、又は、クラウド上に設けられたサーバは、タイムスタンプを付与する付与部を備える。
【0086】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10…シリンダーキャビネット, 12…制御ボックス, 15…カメラ, 20…録画サーバ, 30…管理サーバ, 21…通信部, 22…記憶部, 23…制御部, 221…録画データ, 231…記録部, 232…提供部, 31…通信部, 32…記憶部, 33…制御部, 34…操作部, 35…表示部, 331…取得部, 332…表示制御部, 333…要求部, 321…監視アプリケーション, 322…容器テーブル, 323…管理テーブル, 323…管理テーブル, 324…表示用情報
【要約】 (修正有)
【課題】高圧ガスを利用する施設内におけるトラブル発生時の原因を解析するために要する時間を短縮する高圧ガス設備監視システム及び高圧ガス設備監視方法を提供する。
【解決手段】高圧ガス設備監視システム1は、高圧ガスが充填されたガス容器を収納する1以上の収納庫(シリンダーキャビネット10)と、収納庫の内部を録画し、収納庫内部におけるイベントの発生をトリガーとして、タイムスタンプを付与し、録画データを録画サーバへ送るカメラ15と、カメラから送られてきた録画データを保存する録画サーバ20と、入力された指示に応じて、録画サーバに保存されている録画データを表示する表示装置である管理サーバ30と、を備える。
【選択図】
図1