(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】重合性化合物並びにそれを使用した液晶組成物及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
C07D 319/06 20060101AFI20230502BHJP
C09K 19/38 20060101ALI20230502BHJP
C09K 19/54 20060101ALI20230502BHJP
C09K 19/56 20060101ALI20230502BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230502BHJP
C07C 69/54 20060101ALN20230502BHJP
C07C 69/734 20060101ALN20230502BHJP
C07C 69/92 20060101ALN20230502BHJP
【FI】
C07D319/06 CSP
C09K19/38
C09K19/54 Z
C09K19/56
G02F1/13 500
C07C69/54 Z
C07C69/734 Z
C07C69/92
(21)【出願番号】P 2018187412
(22)【出願日】2018-10-02
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】林 正直
(72)【発明者】
【氏名】木村 正臣
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079333(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/114093(WO,A1)
【文献】特開2005-173586(JP,A)
【文献】特開2015-168826(JP,A)
【文献】国際公開第2017/041893(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 69/54
C07C 69/734
C07C 69/92
C07D 319/06
C09K 19/38
C09K 19/54
C09K 19/56
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(i)で表される化合物。
【化1】
(式中、
R
1はP-Sp-を表し、
R
2は炭素原子数1~40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はP-Sp-を表し、
該アルキル基中の-CH
2-は-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-NH-、-OCOO-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよいが-O-は連続にはならなく、
Pは下記一般式(P-1)、(P-2)、(P-3)、(P-5)、(P-6)、(P-8)、(P-13)及び(P-14)
【化2】
(式中、黒点は結合手を表す。)
で表される基からなる群より選ばれる基を表し、
Spは炭素原子数1~18の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、
該アルキレン基の-CH
2-は、-CH=CH-、-O-、-COO-、又は-OCO-で置換されてもよく、-CH
2-の水素はフッ素に置換されてもよく、
A、C及びDはそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基から選択される環構造を表し、
該環構造は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくはP-Sp-で置換されていてもよく、
Bは、フェニレン基又はナフチレン基を表し、
Z
1及びZ
2はそれぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CH
2-CH
2COO-、-OCOCH
2―CH
2-、-CH
2-CH(CH
3)COO-、-OCOCH(CH
3)―CH
2-、-OCH
2CH
2O-、又は炭素原子数2~20のアルキレン基を表し、
このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH
2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、
Z
31及びZ
32はそれぞれ独立して、下記式(Z3-1)~(Z3-3)
【化3】
(式中、黒点は結合手を表す。)
から選ばれる基、又は単結合を表すが、
Z
31及び/又はZ
32の少なくとも一つは(Z3-1)~(Z3-3)のいずれかであり、
l、m及びnはそれぞれ独立して、0、1、2の整数を表し、
l+m+nは3以下であり、
Z
4は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CH
2-CH(CH
3)COO-、-OCOCH(CH
3)―CH
2-、又は炭素原子数1~20の直鎖又は分岐アルキレン基を表し、
該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH
2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、
K
i1は
一般式(K-11)
【化4】
で表される基を表し、
X
K1及びY
K1はそれぞれ独立して、酸素原子を表し、
Z
K1は、酸素原子を表
し、
A、C、D、Z
1、Z
2、Z
32、Z
4、
K
i1
、X
K1、Y
K1、
Z
K1
、P及びSpが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
【請求項2】
請求項
1に記載の一般式(i)で表される化合物、該一般式(i)で表される化合物とは異なる他の重合性化合物及び非重合性液晶化合物を含有する液晶組成物。
【請求項3】
前記一般式(i)で表される化合物の含有量が0.01~5質量%である請求項
2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
前記重合性化合物として、下記式(P-2-1)~(P-2-25)
【化6】
【化7】
【化8】
(式(P-2-1)~(P-2-25)中、
a、bは、2~10の整数を表す。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する、請求項
2又は
3に記載の液晶組成物。
【請求項5】
誘電率異方性が負である請求項
2~
4のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
請求項
2~
5のいずれか一項に記載の液晶組成物を用いた二つの基板のうち少なくとも一方の基板が配向膜を有さない液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性化合物、並びにそれを使用した液晶組成物、及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶ディスプレイでは、液晶を配列させるために、電極上にポリイミド配向膜(PI)層が設けられている。しかし、PI層の製膜には多大なコストを要するため、近年では、PI層を省きつつも、液晶分子の配向を実現するための方法が検討されている。
【0003】
例えば特許文献1には、負の誘電異方性を有する極性化合物の混合物を基礎とし、少なくとも1種類の自発配向性添加剤を含有することを特徴とする液晶媒体が開示され、この液晶媒体が配向層を一切有さないディスプレイにおける使用に高度に適している旨が記載されている。そして、特許文献1では、VA(Vertical Alignment)方式の液晶ディスプレイにおいて自発配向性添加剤として、水酸基を有する特定の化合物が用いられている。また特許文献2では、自発配向性添加剤として重合性基を有する特定の化合物が開示されている。
【0004】
一方、IPS(In Plane Switching)方式、FFS(Fring Field Switching)方式の液晶ディスプレイにおいても配向膜を不要とする配向性添加剤が求められている。そのために、液晶分子を水平に配向させる配向性添加剤が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2014-524951号公報
【文献】特開2015-168826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献2に記載されている配向性添加剤を用いた場合、液晶分子を水平に配向させる配向規制力に乏しく、配向ムラや電気光学特性において十分でない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、液晶組成物に添加した際に十分な配向規制力を有し、PI層を設けなくとも液晶分子をムラなく均一に水平方向に一軸配向させることを可能にすることができる極性基を有する重合性化合物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、PI層を設けなくとも液晶分子の水平方向に一軸配向が可能な液晶組成物、及び該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般式(i)で表される化合物を提供する。
【0009】
【0010】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はP-Sp-を表し、該アルキル基中の-CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-NH-、-OCOO-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよいが-O-は連続にはならなく、Pは重合性基を表し、Spはスペーサー基又は単結合を表し、
A、C及びDはそれぞれ独立して、2価の芳香族基、2価の複素芳香族基、2価の脂肪族基、2価の複素脂肪族基を表し、これらの環構造中の水素原子はハロゲン原子、又はP-Sp-、及びーZ4-Kilで置換されていてもよく、
Bは、3価の芳香族基を表し、
Z1及びZ2はそれぞれ独立して、単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2-CH2COO-、-OCOCH2―CH2-、-CH=C(CH3)COO-、-OCOC(CH3)=CH-、-CH2-CH(CH3)COO-、-OCOCH(CH3)―CH2-、-OCH2CH2O-、又は炭素原子数2~20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、
Z31及びZ32はそれぞれ独立して、下記(Z3-1)~(Z3-5)から選ばれる基、又は単結合を表すが、Z3及び/又はZ32の少なくとも一つは(Z3-1)~(Z3-5)のいずれかであり、両端の黒点は結合手を表し、
【0011】
【0012】
l、m及びnはそれぞれ独立して、0、1、2の整数を表し、
Z4は、単結合、-O-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CH2-CH(CH3)COO-、-OCOCH(CH3)―CH2-、又は炭素原子数1~20の直鎖又は分岐アルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、
Ki1は一般式(K-1)~(K-18)
【0013】
【0014】
から選ばれる基基を表し、WK1は、メチン基又は窒素原子を表すが、メチン基中の水素原子は炭素原子数1~6の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されてもよく、
XK1及びYK1はそれぞれ独立して、-CH2-、酸素原子又は硫黄原子を表し、
ZK1は、酸素原子又は硫黄原子を表し、UK1、VK1及びSK1は、それぞれ独立して、メチン基又は窒素原子を表し、TK1は、それぞれ独立して一般式(T-1)~(T-6)
【0015】
【0016】
から選ばれる基を表し、ST1は、単結合、炭素原子数1~15個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-C(=CH2)-又は-OCO-に置換されてもよく、RT1は、炭素原子数1~5のアルキル基を表し、当該アルキル基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-C(=CH2)-又は-OCO-に置換されてもよく、RT2及びRT3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基を表し、一般式(i)で表される化合物は少なくとも一つのP-Sp-基を有し、A、C、D、Z1、Z2、Z3、Z4、Ki1、WK1、XK1、YK1、ZK1、TK1、UK1、VK1、SK1、ST1、RT1、RT2、RT3、P及びSpが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
また、本発明は、一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有する、液晶組成物、及びそれを用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、PI層を設けなくとも液晶分子の均一な水平配向を可能とし、表示ムラが無く高信頼性を有する重合性化合物、液晶組成物、及び該液晶組成物を用いた液晶表示素子の提供が可能となる。また、従来の化合物より電圧保持率(VHR)の低下懸念が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態の重合性化合物は、一般式(i)で表される化合物である。
【0019】
【0020】
一般式(i)中のZ31及びZ32はそれぞれ独立して下記(Z3-1)~(Z3-5)、及び単結合から選択される基であるが、Z3及び/又はZ32の少なくとも一つは(Z3-1)~(Z3-5)のいずれかであり、両端の黒点は結合手を表す。
【0021】
【0022】
一般式(i)で表される化合物は、特に一般式(Z3-1)~(Z3-5)で表される光官能基構造、極性部位を有するため、液晶組成物に用いられた際に、液晶組成物(液晶層)を挟持する基板に吸着し、偏向光を照射することにより偏向方向に沿った二量化、又は異性化を起こし、液晶分子を水平配向させた状態で保持することができる。したがって、本実施形態の重合性化合物を用いた液晶組成物によれば、PI層を設けなくとも液晶分子を配向させ、電圧印加によるスイッチングが可能となる。このように、一般式(i)で表される化合物は、液晶組成物における液晶分子の配向を助けるために好適に使用される。使用する偏向光の波長として365nmを主に使用する場合は、Z3として(Z3-1)、(Z3-3)、(Z3-5)が好ましく、313nmの波長は使用する場合は、(Z3-1)、(Z3-2)、(Z3-4)が好ましく、配向安定性、及び信頼性の面で(Z3-1)、及び(Z3-2)がより好ましい。
【0023】
加えて、本発明者らは、本実施形態の一般式(i)で表される重合性化合物が一般式(K-1)~(K-18)で表される部分構造を有することで、液晶分子の配向のみならず、配向性の安定性向上や、高信頼性を確保できることを見出した。
【0024】
一般式(i)中のKilは、以下の一般式(K-1)~(K-18)で表される基を表す。
【0025】
【0026】
式中WK1は、-メチン基又は窒素原子を表すが、メチン基中の水素原子は炭素原子数1~6の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されてもよく、XK1及びYK1は、それぞれ独立して、-CH2-、酸素原子又は硫黄原子を表し、ZK1は、酸素原子又は硫黄原子を表し、UK1、VK1及びSK1は、それぞれ独立して、メチン基又は窒素原子を表し、TK1は、それぞれ独立して一般式(T-1)~(T-6)
【0027】
【0028】
で表される基を表し、ST1は、単結合、炭素原子数1~15個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-C(=CH2)-又は-OCO-に置換されてもよく、RT1は、炭素原子数1~5のアルキル基を表し、当該アルキル基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-C(=CH2)-又は-OCO-に置換されてもよく、RT2及びRT3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基を表す。
【0029】
一般式(K-1)~(K-18)で表される部分構造としては、液晶の配向性を重要視する場合は、一般式(K-1)、(K-2)、(K-5)、(K-8)、(K-11)、(K-13)、(K-14)、(K-15)、(K-17)、及び(K-18)が好ましく、信頼性を重要視する場合は(K-1)、(K-9)、(K-11)、(K-13)、及び(K-15)が好ましい。配向性と信頼性の両立を考えた場合に(K-11)、(K-13)及び(K-15)がより好ましい。また(K-13)~(K-18)においてTK1は、一般式(T-1)、(T-3)及び(T-4)で表される基が好ましく、特に(T-1)及び(T-3)がより好ましい。一般式(T-3)中のST1は、単結合、炭素原子数1~10個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~10個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表すことが好ましく、炭素原子数1~7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素原子数2~7の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数1~3の直鎖状アルキル基が好ましく、該アルキル基又はアルキレン基中の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-C(=O)-又は-C(=CH2)-で置換されていることが好ましい。一般式(T-3)中のRT1は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~5のアルキル基を表し、当該アルキル基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-C(=O)-、-C(=CH2)-又は-OCO-に置換されていることが好ましく、炭素原子数1~3の直鎖状アルキル基が好ましい。一般式(T-3)中に、少なくとも2個以上の第二級炭素原子は-C(=O)を含むことが好ましい。
【0030】
一般式(T-6)中のRT2及びRT3は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基を表すが、水素原子を表すことが好ましい。
【0031】
一般式(K-13)(K-17)の好ましい例としては以下の(K-1-1)~(K-1-4)、(K-3-1)、及び(K-5-1)が、配向性や反応性の点から好ましく、特に好ましくは式(K-1-1)、(K-1-3)、及び(K-3-1)が挙げられる。
【0032】
【0033】
(式中、Pは重合性基を表し、RT4、RT5及びRT6はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nT1及びnT2はそれぞれ独立して0又は1を表し、nT3はそれぞれ独立して0~3の整数を表し、複数存在するRT4、RT5、RT6、nT1、nT2及びnT3は同一であっても異なっていてもよい。)
式(i)中のZ1及びZ2は、好ましくは単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-OCH2CH2O-、又は炭素原子数1~10のアルキレン基、又はこのアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換された基をそれぞれ表し、より好ましくは、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-OCH2CH2O-、炭素原子数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-が-O-、-COO-又は-OCO-で置換された基で置換された基を表し、Z1及びZ2は更に好ましくは、単結合、-COO-、-OCO-、-OCH2CH2O-、又は炭素原子数2のアルキレン基(エチレン基(-CH2CH2-))若しくはエチレン基中の-CH2-の1個が-O-で置換された基(-CH2O-、-OCH2-)、若しくはエチレン基中の-CH2-の1個が-COO-、-OCO-で置換された基(-CH2-CH2COO-、-OCOCH2-CH2-)である。Z4は、単結合、-O-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CH2-CH(CH3)COO-、-OCOCH(CH3)―CH2-、又は炭素原子数1~20の直鎖又は分岐アルキレン基(該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよい)を表すが、好ましくは、-COO-、-OCO-、-OCH2CH2O-、又は炭素原子数2のアルキレン基(エチレン基(-CH2CH2-))若しくはエチレン基中の-CH2-の1個が-O-で置換された基(-CH2O-、-OCH2-)、若しくは炭素数2~8アルキル基中の-CH2-の1個がーO-、-COO-、-OCO-で置換された基である。
R1及びR2は、好ましくはP-Sp-、水素原子、炭素原子数1~20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表し、該アルキル基中の-CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-COO-、-OCO-又は-OCOO-で置換されてもよいが-O-は連続にはならなく、より好ましくは、P-Sp-、炭素原子数1~18の直鎖又は分岐のアルキル基、該アルキル基中の-CH2-は、-CH=CH-、-O-、-OCO-で置換(ただし-O-は連続にはならない)されても良い。液晶表示素子の信頼性を向上させる観点から、R1及びR2は、P-Sp-、炭素原子数は2~6のアルキル基が特に好ましい。Pはそれぞれ独立して以下の一般式(P-1)~一般式(P-14)で表される群より選ばれる置換基を表すことが好ましい。取り扱いの簡便性、反応性の点から、式(P-1)、(P-2)が、さらに好ましい。
【0034】
【0035】
(式中、右端の黒点は結合手を表す。)
式(i)中、Spは、好ましくは炭素原子数1~18の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、より好ましくは炭素原子数2~15の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、更に好ましくは炭素原子数2~8の直鎖状アルキレン基又は単結合を表す。該アルキル基の-CH2-は、-CH=CH-、-O-、-COO-、又は-OCO-で置換されてもよく、-CH2-の水素はフッ素に置換されてもよい。
【0036】
一般式(i)で表される化合物は少なくとも一つのP-Sp-基を有するが、配向性を向上させる観点から、2つ以上又は3つ以上のP-Sp-基を有することが好ましい。一般式(i)において2つ以上又は3つ以上のP-Sp-基が存在する場合、より好ましくはR2が、炭素原子数1~40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表し、2つ又は3つ以上のP-Sp-基が一般式(i)中の式(Z3-1)~(Z3-5)から選ばれる基よりもR1側の位置に存在していることことがより好ましい。
【0037】
一般式(i)中の環Bは、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、1,2,4-フェニレントリイル、1,3,4-フェニレントリイル基がより好ましい。
【0038】
環A、C及び環Dは、2価の環芳香族基、2価の環複素芳香族基、2価の環脂肪族基、又は2価の環複素脂肪族基、2価の環芳香族基、2価の環複素芳香族基、2価の環脂肪族基、又は2価の環複素脂肪族基が好ましく、具体的には、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、クロマン-3,7-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基が好ましく、該環構造は無置換であるか又はL1で置換されていることが好ましい。L1は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、P-Sp-若しくはZ4-Ki1が好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換された基であることがより好ましい。環A、C及び環D間は、より好ましくは炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、ハロゲン原子、若しくはP-Sp-で置換されていてもよい、1,4-フェニレン基、2,6-ナフタレン基、1,4-シクロヘキシル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイルである。l、m及びnは、0、1、2の整数を表すが、l+m+n≦1であることが好ましく、l+m+n≦2であることが好ましく、l+m+n≦3がより好ましい。
【0039】
一般式(i)のより具体的な例としては、下記式(R-1)~(R-66)に表すがこれに限られたものではない。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
(式中、R1、R2、Z4、Ki1は、それぞれ独立して一般式(i)中のR1、R2、Z4、Ki1とそれぞれ同じ意味を表す。)
化合物(i)のより具体的な化合物の例として、下記(P-1-1)から(P-1-58)に表す。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
(製法1)一般式(P-1-4)に表される化合物の製造
4‘-ブロモ-2’-メトキシ-[1,1‘-ビフェニル]-4-オールと塩化ベンジルとの炭酸カリウムを用いたエーテル化反応を行い、次いで、酢酸溶媒下、臭化水素酸を加え110℃で加熱することにより (S-1)に示す4‘-(ベンジルオキシ)-4-ブロモ-[1,1‘-ビフェニル]-2-オールを得る。その後5-(3-クロロプロピル)-2,2-ジメチルー1,3-ジオキサンとの炭酸カリウムを用いたエーテル化反応をより(S-2)を得る。更に白金触媒を用いた接触水素還元により脱ベンジル化を行い(S-3)を得る。更に酢酸パラジウムを用いたターシャリーブチルアクリレートとの溝呂木-ヘック反応により(S-4)を得ることができる。その後、6-クロロヘキシルメタクリレートとのエーテル化反応、更にギ酸による脱ターシャリーブチル工程、p-トルエンスルホン酸を触媒に用いたアセトンジメチルアセタールとのアセタール化により(S-5)を得て、更に3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピルメタクリレートとの縮合剤を用いたエステル化反応、10%塩酸溶液により脱アセタール化反応により目的物(P-1-4)を得ることができる。
【0064】
【0065】
(製法2)一般式(P-1-6)に表される化合物の製造
4‘-ブロモ-2’-フルオロ[1,1‘-ビフェニル]-4-オールとパラホルムとのホルミル化反応によりアルデヒド基を導入した後、パラジウム触媒下、2-ブトキシ-1,2-オキサボロランと反応させ、(S-6)に示すフェノール誘導体を得る。次いで、塩化ベンジルによりフェノール基に保護をかけて(S-7)に示すアルコール化合物を合成し、更にテトラヒドロ-2H-ピランにより水酸基をTHP基で保護し下記(S-7)に示す化合物を得る。更に水素化ホウ素ナトリウムによりアルデヒド基を水酸基に還元し(S-8)を得て、メタンスルホン酸=(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチルとの水素化ナトリウムを用いたエーテル化により(S-9)に示す化合物を得ることができる。次いで、接触水素還元反応で脱ベンジル化を行い、4-(3-(メタクロイルオキシ)プロピル)桂皮酸との脱水縮合剤を用いたエステル化反応により(S-11)を得る。更に1%程度の希薄な塩酸でTHP基を脱離させた後、メタクリル酸との脱水縮合剤を用いたエステル化反応、10%塩酸による脱アセタール化により目的物(P-1-6)を得ることができる。
【0066】
【0067】
【0068】
(製法3)一般式(P-1-11)に表される化合物の製造
4-ブロモフェノールと塩化アリルとのエーテル化反応を行った後、ジエチルアニリン溶媒中で120℃で加熱攪拌することにより(S-12)に示す2-アリル-4-ブロモフェノールを得る。更にテトラヒドロ-2H-ピランにより水酸基をTHP基で保護した後、更に酢酸パラジウムを用いたターシャリーブチルアクリレートとの溝呂木-ヘック反応により(S-13)を得ることができる。その後、1%程度の希薄な塩酸でTHP基を脱離させた後、3-クロロプロパノールとのエーテル化反応させ(S-14)を得ることができる。次に中間体(S-14)とメタクロロ過安息香酸(m-CPBA)を加えた後、トリブロモ酢酸を添加し反応させ、さらにジアザビシクロウンデセン(DBU)を加え、アリル部位をカーボネート化させた(S-15)を得る。更にメタクリル酸との脱水縮合剤を用いたエステル化反応をさせた後、ギ酸によりターシャリーブチル基を脱離させて桂皮酸誘導体(S-16)を得ることができる。その後、5-ペンチルフェノールとの脱水縮合剤を用いたエステル化反応させ目的物(P-1-11)を得ることができる。
【0069】
【0070】
【0071】
(製法4)一般式(P-1-20)に表される化合物の製造
スルホン酸=(5-エチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチルと4-ブロモ-3-ヒドロキシベンゾアルデヒドとのエーテル化反応により(S-17)に示す化合物を得る。更にパラジウム触媒下、2-ブトキシ-1,2-オキサボロランと反応させ、(S-18)に示すアルコール誘導体を得る。その後、Wittig反応、1%塩酸によるTHP基を脱離させ(S-19)に示すジオール化合物を得ることができる。更にメタクリル酸との脱水縮合剤を用いたエステル化反応をさせ目的物(P-1-20)を得る。
【0072】
【0073】
(液晶組成物)
一般式(i)で表される化合物を液晶組成物用に添加する場合は、本発明の一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上添加してもよく、一般式(i)で表される化合物に加えて、液晶組成物に用いられる公知の重合性化合物、酸化防止剤等を更に含有していてもよい。
【0074】
化合物(i)の含有量は、好ましくは0.01~50質量%であるが、その下限値は、液晶分子を更に好適に配向させられる観点から、液晶組成物全量を基準として、好ましくは、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1質量%以上である。化合物(i)の含有量の上限値は、応答特性に優れる観点から、液晶組成物全量を基準として、好ましくは、50質量%以下、30質量%以下、10質量%以下であり、7質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、又は3質量%以下である。 本願発明の液晶組成物として使用する液晶分子は、単独で液晶相を示す化合物であっても、2種以上を勘合した際に液晶相を示す化合物であっても良い。
【0075】
2種以上の液晶分子を混合して使用する場合には、種々の組み合わせが可能であるが、少なくとも1種類は以下の一般式(II)を含み、液晶組成物の誘電率異方性が正の場合は、更に以下の一般式(IIIa)、(IIIb)又は(IIIc)を含み、液晶組成物の誘電率異方性が負の場合は、以下の一般式(IVa)、(IVb)又は(IVc)で表される化合物を含有しても良い。
【0076】
一般式(II)で表される化合物を以下に示す。
【0077】
【0078】
(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
M21、M22及びM23はお互い独立して
(a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基及び
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、
oは0、1又は2を表し、
L21及びL22はお互い独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=CH-、-CH=N-N=CH-又は-C≡C-を表し、L22が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、M23が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。)
一般式(II)で表される化合物において、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されたもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されたものも含む。)が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から6のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が特に好ましい。
【0079】
M21、M22及びM23はお互い独立してトランス-1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個のCH2基が酸素原子に置換されているものを含む)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上のCH基は窒素原子に置換されているものを含む)、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、1,4-フェニレン基又は1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基がより好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が特に好ましい。oは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましい。L21及びL22はお互い独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=CH-、-CH=N-N=CH-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-又は-CH2O-がより好ましく、単結合又は-CH2CH2-が更に好ましい。
【0080】
上記の選択肢の組み合わせにより形成される構造のうち、-CH=CH-CH=CH-、-C≡C-C≡C-及び-CH=CH-C≡C-は化学的な安定性から好ましくない。またこれら構造中の水素原子がフッ素原子に置き換わったものも同様に好ましくない。また酸素同士が結合する構造、硫黄原子同士が結合する構造及び硫黄原子と酸素原子が結合する構造となることも同様に好ましくない。また窒素原子同士が結合する構造、窒素原子と酸素原子が結合する構造及び窒素原子と硫黄原子が結合する構造も同様に好ましくない。
【0081】
更に詳述すると、一般式(II)は具体的な構造として以下の一般式(II-A)から一般式(II-P)からなる群で表される化合物が好ましい。
【0082】
【0083】
(式中、R23及びR24はそれぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基、炭素数2から10のアルケニル基又は炭素数3から10のアルケニルオキシ基を表す。)
R23及びR24はそれぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基又は炭素数2から10のアルケニル基がより好ましく、炭素数1から5のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基が更に好ましい。
【0084】
一般式(II-A)から一般式(II-P)で表される化合物中、一般式(II-A)、一般式(II-B)、一般式(II-C)、一般式(II-E)、一般式(II-H)、 一般式(II-I)、一般式(II-I)又は一般式(II-K)で表される化合物が好ましく、一般式(II-A)、一般式(II-C)、一般式(II-E)、一般式(II-H)又は一般式(II-I)で表される化合物が更に好ましい。
【0085】
本願発明では一般式(II)で表される化合物を少なくとも1種を含有するが、1種~10種含有することが好ましく、2種~8種含有することが特に好ましく、一般式(II)で表される化合物の含有率の下限値は5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、30質量%であることが特に好ましく、上限値としては80質量%が好ましく、70質量%が更に好ましく、60質量%が更に好ましい。
【0086】
液晶組成物の誘電率異方性が正の場合は、更に一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)
【0087】
【0088】
(式中R31、R32及びR33はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
M31、M32、M33、M34、M35、M36、M37及びM38はお互い独立して、
(d) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい)、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基及び、
(f) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(d)、基(e)又は基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37及びL38はお互い独立して単結合、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-を表し、M32、M34、M35、M37、M38、L31、L33、L35、L36及び/又はL38が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
X31、X32、X33、X34、X35、X36及びX37はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、
Y31、Y32及びY33はお互い独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基又はジフルオロメトキシ基を表し、
p、q、r、s及びtはお互い独立して、0、1又は2を表すが、q+r及びs+tは2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することが好ましい。
【0089】
一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物において、R31、R32及びR33はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基、炭素数1~15の直鎖状アルキル基又は炭素数2~15のアルケニル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されているもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されているものも含む。)が好ましく、炭素数1~10の直鎖状アルキル基、炭素数1~10の直鎖状アルコキシ基又は炭素数2~10アルケニル基がより好ましく、炭素数1~8の直鎖状アルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基が特に好ましい。
【0090】
M31、M32、M33、M34、M35、M36、M37及びM38はお互い独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられているものも含む。)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は窒素原子に置き換えられているものも含む)、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基で表す基(各々の基はそれぞれ水素原子がシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されているものも含む。)が好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基又は3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基がより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基が更に好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基が特に好ましい。
【0091】
L31、L32、L33、L34、L35、L36、L37及びL38はお互い独立して単結合、-OCO-、-COO-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-又は-C≡C-がより好ましく、単結合又は-CH2CH2-が特に好ましい。X31、X32、X33、X34、X35、X36及びX37はお互い独立して水素原子又はフッ素原子をし、Y31、Y32及びY33はお互い独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基又は炭素原子数1~12のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基又は炭素原子数1~12のアルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子を表すことが特に好ましい。p、q、r、s及びtはお互い独立して、0、1又は2を表すが、q+r及びs+tは2以下を表す。
【0092】
上記の選択肢の組み合わせにより形成される構造のうち、-CH=CH-CH=CH-、-C≡C-C≡C-及び-CH=CH-C≡C-は化学的な安定性から好ましくない。またこれら構造中の水素原子がフッ素原子に置き換わったものも同様に好ましくない。また酸素同士が結合する構造、硫黄原子同士が結合する構造及び硫黄原子と酸素原子が結合する構造となることも同様に好ましくない。また窒素原子同士が結合する構造、窒素原子と酸素原子が結合する構造及び窒素原子と硫黄原子が結合する構造も同様に好ましくない。
【0093】
具体的には以下の一般式(IIIa-1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0094】
【0095】
(式中、R34は炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、L39及びL40はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-を表し、M38は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、X32は水素原子又はフッ素原子を表し、p1は0又は1を表し、Y34はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)
更に具体的には以下の一般式(IIIa-2a)~一般式(IIIa-4d)
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
(式中、R34は炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、X31及びX32はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y31はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましく、
【0100】
【0101】
(式中、R34は炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、Y31はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造も好ましい。
【0102】
一般式(IIIb)は具体的な構造として以下の一般式
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
(式中、R35は炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、Y35はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましく、
一般式(IIIc)は具体的な構造として以下の一般式
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
(式中、R36は炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、Y36はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましい。
【0111】
一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種を含有するが、1種~10種含有することが好ましく、2種~8種含有することが特に好ましく、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群の含有率の下限値は5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが好ましく、上限値は80質量%が好ましく、70質量%が好ましく、60質量%が好ましく、50質量%が更に好ましい。
液晶組成物の誘電率異方性が負の場合は、更に一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)
【0112】
【0113】
(式中R41、R42、R43、R44、R45及び、R46はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
M41、M42、M43、M44、M45、M46、M47、M48及びM49はお互い独立して、
(g) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられてもよい)、
(h) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)及び、
(i) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(g)、基(h)又は基(i)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
L41、L42、L43、L44、L45、L46、L47、L48及びL49はお互い独立して単結合、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-を表し、M42、M43、M45、M46、M48、M49、L41、L43、L44、L46、L47及び/又はL49が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
X41、X42、X43、X44、X45、X46、X47及びX48はお互い独立して水素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表すが、X41及びX42の何れか一つはフッ素原子を表し、X43、X44及びX45の何れか一つはフッ素原子を表し、X46、X47及びX48の何れか一つはフッ素原子を表すが、X46及びX47は同時にフッ素原子を表すことはなく、X46及びX48は同時にフッ素原子を表すことはなく、Gはメチレン基又は-O-を表し、
u、v、w、x、y及びzはお互い独立して、0、1又は2を表すが、u+v、w+x及びy+zは2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することが好ましい。
【0114】
また、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)で表される化合物において、R41、R42、R43、R44、R45及びR46はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基、炭素数1~15の直鎖状アルキル基又は炭素数2~15のアルケニル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されているもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されているものも含む。)が好ましく、炭素数1~10の直鎖状アルキル基、炭素数1~10の直鎖状アルコキシ基又は炭素数2~10アルケニル基がより好ましく、炭素数1~8の直鎖状アルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基が特に好ましい。M41、M42、M43、M44、M45、M46、M47、M48及びM49はお互い独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられているものも含む。)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられているものも含む)、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基で表す基(各々の基に含まれる水素原子がそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されているものも含む。)が好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基がより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基が更に好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基が特に好ましい。L41、L42、L43、L44、L45、L46、L47、L48及びL49はお互い独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCO-、-COO-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-CH2CH2-、-OCH2-又は-CH2O-がより好ましい。X41、X42、X43、X44、X45、X46及びX47はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Gはメチレン基又は-O-を表し、u、v、w、x、y及びzはお互い独立して、0、1又は2を表すが、u+v、w+x及びy+zは2以下で表す。
【0115】
上記の選択肢の組み合わせにより形成される構造のうち、-CH=CH-CH=CH-、-C≡C-C≡C-及び-CH=CH-C≡C-は化学的な安定性から好ましくない。またこれら構造中の水素原子がフッ素原子に置き換わったものも同様に好ましくない。また酸素同士が結合する構造、硫黄原子同士が結合する構造及び硫黄原子と酸素原子が結合する構造となることも同様に好ましくない。また窒素原子同士が結合する構造、窒素原子と酸素原子が結合する構造及び窒素原子と硫黄原子が結合する構造も同様に好ましくない。
【0116】
一般式(IVa)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVa-1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0117】
【0118】
(式中、R47及びR48はお互い独立して炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、L50、L51及びL52はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-を表し、M50は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、u1及びv1はそれぞれ独立して0又は1を表す。)
更に具体的には以下の一般式(IVa-2a)~一般式(IVa-3i)
【0119】
【0120】
【0121】
(式中、R47及びR48はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表す。)で表される構造が好ましく、R47及びR48がそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシル基が更に好ましい。
【0122】
一般式(IVb)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVb-1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0123】
【0124】
(式中、R49及びR50はお互い独立して炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、L52、L53及びL54はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-を表し、M51、M52及びM53は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、w1及びx1は独立して0、1又は2を表すが、w1+x1は2以下を表す。)
更に具体的には以下の一般式(IVb-2a)~(IVb-3l)
【0125】
【0126】
【0127】
(式中、R49及びR50はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表す。)で表される構造が好ましい。
【0128】
一般式(IVc)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVc-1a)及び一般式(IVc-1b)で示される構造を表すことが好ましい。
【0129】
【0130】
(式中、R51及びR52はお互い独立して炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表し、L56、L57及びL58はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-又は-C≡C-を表し、M54、M55及びM56は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、y1及びz1は独立して0、1又は2を表すが、y1+z1は2以下を表す。)
更に具体的には以下の一般式(IVc-2a)~(IVc-2g)
【0131】
【0132】
(式中、R51及びR52はお互い独立して炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシル基又は炭素原子数2~8のアルケニル基を表す。)
第三成分として使用する一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種を含有するが、2種~10種含有することが好ましく、2種~8種含有することが特に好ましく、含有率の下限値が5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることがより好ましく、上限値が80質量%であることが好ましく、70質量%であることが好ましく、60質量%であることが好ましく、50質量%であることが好ましい。
【0133】
本願発明の液晶組成物において、Δnは0.08~0.25の範囲であることが好ましい。
【0134】
本願発明の液晶組成物において、Δεは液晶表示素子の表示モードによって、正又は負のΔεを有するものを用いることができる。VAモードの液晶表示素子においては、負のΔεを有する液晶組成物を使用する。その場合のΔεは、-1以下が好ましく、-2以下がより好ましい。
【0135】
本願発明の液晶組成物は、広い液晶相温度範囲(液晶相下限温度と液晶相上限温度の差の絶対値)を有するが、液晶相温度範囲が100℃以上であることが好ましく、120℃以上がより好ましい。また、液晶相上限温度は70℃以上であることが好ましく、80℃以上がより好ましい。更に、液晶相下限温度は-20℃以下であることが好ましく、-30℃以下がより好ましい。本願発明の液晶組成物は、上記の化合物以外に、STN液晶用のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。
本発明では、本発明の重合性化合物のみでも良いが液晶の配向安定性を向上させるにはメソゲン構造を有する重合性液晶化合物を併用することが好ましい。重合性化合物は、液晶組成物に用いられる公知の重合性化合物であってよい。重合性化合物の例としては、一般式(P)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0136】
【0137】
(式中、
Zp1は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニルオキシ基又は-Spp2-Rp2を表し、
Rp1及びRp2は、以下の式(R-I)~式(R-VIII):
【0138】
【0139】
(式中、
*でSpp1と結合し、
R2~R6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5個のアルキル基又は炭素原子数1~5個のハロゲン化アルキル基を表し、
Wは、単結合、-O-又はメチレン基を表し、
Tは、単結合又は-COO-を表し、
p、t及びqは、それぞれ独立して、0、1又は2を表す。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はスペーサー基を表し、
Lp1及びLp2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-OCH2CH2O-、-CO-NRa-、-NRa-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CRa-COO-、-CH=CRa-OCO-、-COO-CRa=CH-、-OCO-CRa=CH-、-COO-CRa=CH-COO-、-COO-CRa=CH-OCO-、-OCO-CRa=CH-COO-、-OCO-CRa=CH-OCO-、-(CH2)z-C(=O)-O-、-(CH2)z-O-(C=O)-、-O-(C=O)-(CH2)z-、-(C=O)-O-(CH2)z-、-CH2(CH3)C-C(=O)-O-、-CH2(CH3)C-O-(C=O)-、-O-(C=O)-C(CH3)CH2、-(C=O)-O-C(CH3)-CH2、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF2-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-又は-C≡C-(式中、Raはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、zは1~4の整数を表す。)を表し
Mp2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基又は単結合を表すが、Mp2は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは-Rp1で置換されていてもよく、
Mp1は、以下の式(i-11)~(ix-11):
【0140】
【0141】
(式中、*でSpp1と結合し、**でLp1、Lp2又はZp1と結合する。)
のいずれかを表し、Mp1上の任意の水素原子は、炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Rp1で置換されていてもよく、
Mp3は、以下の式(i-13)~(ix-13):
【0142】
【0143】
(式中、*でZp1と結合し、**でLp2と結合する。)
のいずれかを表し、Mp3上の任意の水素原子は、炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Rp1で置換されていてもよく、
mp2~mp4は、それぞれ独立して0、1、2又は3を表し、
mp1及びmp5は、それぞれ独立して1、2又は3を表し、
Zp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Rp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Rp2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Spp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Spp2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Lp1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Mp2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(P)で表される重合性液晶化合物の具体的な例として(P-2-1)~(P-2-25)に表す。ここでa、bは、2~10の整数を表す。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
また本願発明の重合性化合物を含有する液晶組成物は、光重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために光重合開始剤を含有しても良い。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。特にアセトフェノン類、ベンジルケタール類が好ましく、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「オムニラッド184」、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン「オムニラッド1173」、2-メチル-1-[(メチルチオ)フェニル]-2-モリホリノプロパン-1「オムニラッド907」、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン「オムニラッド369」)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリノ-フェニル)ブタン-1-オン「オムニラッド379」、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルフォスフィンオキサイド「オムニラッドTPO」、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニル-フォスフィンオキサイド「オムニラッド819」(IGM Resins株式会社製)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)],2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン「イルガキュア651」、エタノン「イルガキュアOXE01」)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)「イルガキュアOXE02」、「イルガキュアOXE04」(BASF株式会社製)、「アデカアークルズNCI-831」、「アデカアークルズNCI-930」、「アデカアークルズN-1919」(ADEKA社製)、2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp-ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ-ドプレキンソップ社製「カンタキュア-ITX」)とp-ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、「エサキュア ONE」、「エサキュアKIP150」、「エサキュアKIP160」、「エサキュア1001M」、「エサキュアA198」、「エサキュアKIP IT」、「エサキュアKTO46」、「エサキュアTZT」(lamberti株式会社製)、「スピードキュアBMS」、「スピードキュアPBZ」、「ベンゾフェノン」(LAMBSON社製)等が挙げられる。さらに、光カチオン開始剤としては、光酸発生剤を用いることができる。光酸発生剤としてはジアゾジスルホン系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、フェニルスルホン系化合物、スルフォニルピリジン系化合物、トリアジン系化合物及びジフェニルヨードニウム化合物などが挙げられる。
【0148】
本願発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β-ナフチルアミン類、β-ナフトール類、ニトロソ化合物等や下記(AD-1)~(AD-11)等のヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005~1質量%の範囲が好ましく、0.02~0.5質量%が更に好ましく、0.03~0.1質量%が特に好ましい。安定剤の具体的構造を下記の(AD-1)~(AD-11)に示す。
【0149】
【0150】
【0151】
(液晶表示素子)
本実施形態の液晶組成物は、液晶表示素子に適用される。液晶表示素子は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であってよい。液晶表示素子は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型又はECB型の液晶表示素子であってよく、好ましくはIPS(FFS)型の液晶表示素子である。
【0152】
本実施形態の液晶表示素子では、一般式(i)で表される化合物を含有する液晶組成物が用いられているため、第一基板2及び第二基板3の液晶層4側にポリイミド配向膜等の配向膜が設けられている必要がない。すなわち、本実施形態の液晶表示素子は、二つの基板のうち少なくとも一方の基板がポリイミド配向膜等の配向膜を有さない構成をとることができる。
【実施例】
【0153】
以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない
(実施例1)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4‘-ベンジルオキシ-4-ブロモ-[1,1’-ビフェニル]-2-オール 36g、(5-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール 30g、炭酸カリウム 20g、N,N-ジメチルホルムアミド300mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル300ml、テトラヒドロフラン100mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し(1)で表される化合物32gを得た。
【0154】
【0155】
次いで、上記化合物(1)32gをテトラヒドロフラン150mlに溶解させ5%プラチナカーボン1gを加え、オートクレーブに入れて50℃に加熱し5時間攪拌し、0.5kPaの水素圧で接触水素還元を行った。反応終了後、プラチナカーボンをろ過し溶媒を留去した。濃縮物を撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に加えた。更にターシャリーブチルアクリレート 12g、トリエチルアミン 10g、酢酸パラジウム 0.6g、ジメチルホルムアミド 200mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を100℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、2%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のアルミナカラムにより精製を行い式(2)に示す化合物28.5gを得た。
【0156】
【0157】
更に撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記化合物(2)28.5g、3-クロロプロパノール 8.5g、炭酸カリウム 12.5g、N,N-ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル300ml、テトラヒドロフラン100mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し(3)で表される化合物27gを得た。
【0158】
【0159】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記化合物(3)27g、メタクリル酸 11g、ジメチルアミノピリジン 1.4g、ジクロロメタン 120mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 16gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、5%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のアルミナカラムにより精製を行い、式(4)で表される化合物30.5gを得た。
【0160】
【0161】
その後、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記化合物(4)30.5g、ジクロロメタン 150mlを仕込み、ギ酸50mlを室温でゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を40℃に加熱し1時間反応させた。反応終了後、反応液を10℃以下に冷却し純水150mlをゆっくり加えた。更にジクロロメタン50mlを加え、有機層を純水、飽和炭酸水素ナトリウム、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ溶媒を留去した。濃縮物を撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に加え、更にp-トルエンスルホン酸 1.2g、アセトニトリル120ml加えた。次いで2,2-ジメトキシプロパン 6gを室温でゆっくり滴下する。滴下終了後、1時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル200ml、テトラヒドロフラン50mlを加え、飽和塩化アンモニウム溶液、水、飽和食塩水で有機層を洗浄し溶媒を留去し、式(5)で表される化合物24.5gを得た。
【0162】
【0163】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記化合物(5)24.5g、4-ペンチルフェノール7.2g、ジメチルアミノピリジン 0.6g、ジクロロメタン 160mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 6gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。更に濃縮物を撹拌装置を備えた反応容器に加え、テトラヒドロフラン100mlを加え後、10%塩酸15mlをゆっくり滴下し40℃で2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル200ml、テトラヒドロフラン50mlを加え、飽和水、飽和食塩水で有機層を洗浄し溶媒を留去し、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、式(P-1-59)で表される目的化合物21gを得た。
【0164】
【0165】
(実施例2)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に実施例1の化合物(P-1-59)10g、ジクロロメタン 100mlを加え10℃以下に冷却する。次いで、クロロギ酸エチル 2gをゆっくり滴下する。滴下終了後、30分攪拌する。次いでトリエチトリエチルアミン 1.9gを滴下する。反応終了後。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。その後、シリカカラムによる精製を行い式(P-1-60)で表される目的化合物 6gを得た。
【0166】
【0167】
(実施例3)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4‘-ブロモ-3’-ヒドロキシアセトフェノン 21g、2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン 30g、0炭酸カリウム 20g、N,N-ジメチルホルムアミド300mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル300ml、テトラヒドロフラン100mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し式(6)で表される化合物29gを得た。
【0168】
【0169】
次いで拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記化合物(6)29g、4-(3-ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾアルデヒド 16g、水酸化バリウム8水和物 27g、メタノール200mlを加え45℃で6時間反応させた。反応終了後、飽和塩化アンモニウム溶液、酢酸エチル300ml、テトラヒドロフラン100mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し式(7)で表される化合物33gを得た。
【0170】
【0171】
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の化合物(7)33g、2-ブトキシ-1,2-オキサボロラン 18g、炭酸カリウム 13g、トリエチルアミン 0.7g、塩化パラジウム(II) 1.2g、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2‘,6’-ジイソプロポキシ-1,1‘-ビフェニル 6.2g、テトラヒドロフラン100mlを仕込み、70℃で10時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル200mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した後、アルミナカラムで精製を行い式(8)で表される化合物 21gを得た。
【0172】
【0173】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記化合物(8)21g、メタクリル酸7.4g、ジメチルアミノピリジン 0.6g、ジクロロメタン 160mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 13gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。更に濃縮物を撹拌装置を備えた反応容器に加え、テトラヒドロフラン100ml、メタノール10mlを加え後、1%塩酸15mlをゆっくり滴下し2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル200ml、テトラヒドロフラン50mlを加え、飽和水、飽和食塩水で有機層を洗浄し溶媒を留去し、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、式(P-1-61)で表される目的化合物21gを得た。
【0174】
【0175】
(実施例4)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4‘-ブロモ-3’-ヒドロキシアセトフェノン 21g、メタンスルホン酸=(2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-イル)メチル 25g、炭酸カリウム 20g、N,N-ジメチルホルムアミド300mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル300ml、テトラヒドロフラン100mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し式(6)で表される化合物29gを得た。
【0176】
【0177】
次いで、実施例3と同様な手法により式(P-1-62)で表される目的化合物21gを得た。
【0178】
【0179】
(実施例5)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4‘-ベンジルオキシ-4-ブロモ-[1,1’-ビフェニル]-2-オール 36g、メタンスルホン酸 (2,2,2-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル 21g、炭酸カリウム 20g、N,N-ジメチルホルムアミド300mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル300ml、テトラヒドロフラン100mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し(10)で表される化合物28.5gを得た。
【0180】
【0181】
次いで、上記化合物(10)28.5gをテトラヒドロフラン150mlに溶解させ5%プラチナカーボン1gを加え、オートクレーブに入れて50℃に加熱し5時間攪拌し、0.5kPaの水素圧で接触水素還元を行った。反応終了後、プラチナカーボンをろ過し溶媒を留去した。濃縮物を撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に加えた。更にターシャリーブチルアクリレート 11g、トリエチルアミン 9g、酢酸パラジウム 0.6g、ジメチルホルムアミド 200mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を100℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、2%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のアルミナカラムにより精製を行い式(11)に示す化合物20gを得た。
【0182】
【0183】
更に撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記化合物(11)20g、3-クロロプロパノール 8.5g、炭酸カリウム 12.5g、N,N-ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル300ml、テトラヒドロフラン100mlを加え有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去し(12)で表される化合物20.5gを得た。
【0184】
【0185】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記化合物(12)20.5g、メタクリル酸 6g、ジメチルアミノピリジン 0.6g、ジクロロメタン 60mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 8.5gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、5%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のアルミナカラムにより精製を行い、式(13)で表される化合物22gを得た。
【0186】
【0187】
その後、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記化合物(13)22g、ジクロロメタン 120mlを仕込み、ギ酸50mlを室温でゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を40℃に加熱し1時間反応させた。反応終了後、反応液を10℃以下に冷却し純水150mlをゆっくり加えた。更にジクロロメタン50mlを加え、有機層を純水、飽和炭酸水素ナトリウム、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ溶媒を留去した。濃縮物を撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に加え、更にp-トルエンスルホン酸 1g、アセトニトリル120ml加えた。次いで2,2-ジメトキシプロパン 3gを室温でゆっくり滴下する。滴下終了後、1時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチル200ml、テトラヒドロフラン50mlを加え、飽和塩化アンモニウム溶液、水、飽和食塩水で有機層を洗浄し溶媒を留去し、式(14)で表される化合物18.5gを得た。
【0188】
【0189】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記化合物(14)18.5g、1-メトキシエタノール 3.3g、ジメチルアミノピリジン 0.4g、ジクロロメタン 60mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 5.3gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。更に濃縮物を撹拌装置を備えた反応容器に加え、テトラヒドロフラン100mlを加え後、10%塩酸15mlをゆっくり滴下し40℃で2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル200ml、テトラヒドロフラン50mlを加え、飽和水、飽和食塩水で有機層を洗浄し溶媒を留去し、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、式(P-1-63)で表される目的化合物12gを得た。
【0190】
【0191】
(実施例6)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、2-ヒドロキシ-5-((テトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)ベンズアルデヒド 21g、4-(6-(ベンジルオキシ)ヘキシルオキシ安息香酸 33g、ジメチルアミノピリジン 1.2g、ジクロロメタン 250mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 15gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。更に2倍量(重量比)のアルミナカラムにより精製を行い、式(15)で表される化合物45gを得た。
【0192】
【0193】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム 1.5g、エタノール 20mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ちながら、上記化合物(15)45gのテトラヒドロフラン溶液100mlをゆっくり滴下した。滴下終了後に反応容器を室温に戻し、1時間反応させた。反応終了後、飽和塩化アンモニウム溶液150mlをゆっくり加え、酢酸エチル200mlにより有機層を抽出し、水、飽和食塩水により洗浄した後、溶媒を留去し、式(16)で表される化合物を42g得た。
【0194】
【0195】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、水素化ナトリウム 6g、N,N-ジメチルホルムアミド 100mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ちながら、上記化合物(16)42gのテトラヒドロフラン溶液80mlをゆっくり滴下した。滴下終了後に反応容器を室温に戻し、メタンスルホン酸 (2,2,2-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル 24gのテトラヒドロフラン溶液50mlをゆっくり滴下させ反応させた。滴下終了後、反応容器を50℃に加熱して更に3時間反応反応させた。終了後、飽和塩化アンモニウム溶液150mlをゆっくり加え、酢酸エチル300mlにより有機層を抽出し、水、飽和食塩水により洗浄した後、溶媒を留去し、式(17)で表される化合物を38g得た。
【0196】
【0197】
次いで、上記化合物(17)38gをテトラヒドロフラン150mlに溶解させ5%パラジウムカーボン2gを加え、オートクレーブに入れて50℃に加熱し5時間攪拌し、0.5kPaの水素圧で接触水素還元を行った。反応終了後、パラジウムカーボンをろ過し溶媒を留去した。濃縮物を撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に加え、メタクリル酸 6.5g、ジメチルアミノピリジン 0.6g、ジクロロメタン 150mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 9gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、濃縮物を撹拌装置を備えた反応容器に加え、テトラヒドロフラン100ml、メタノール10mlを加え後、1%塩酸15mlをゆっくり滴下し2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル200ml、テトラヒドロフラン50mlを加え、飽和水、飽和食塩水で有機層を洗浄し溶媒を留去し、2倍量(重量比)のアルミナカラムにより精製を行い、式(18)で表される化合物21gを得た。
【0198】
【0199】
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記化合物(18) 21g、(E)-3-(4-(3-メタクロイルオキシ)プロピルオキシ)フェニル)アクリル酸 11g、ジメチルアミノピリジン 0.6g、ジクロロメタン 150mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 6gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、アルミナカラムにより精製を行い、式(19)で表される化合物35gを得た。
【0200】
【0201】
撹拌装置を備えた反応容器に加え、テトラヒドロフラン150mlを加え後、10%塩酸15mlをゆっくり滴下し40℃で2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル200ml、テトラヒドロフラン50mlを加え、飽和水、飽和食塩水で有機層を洗浄し溶媒を留去した。次いで、撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に濃縮物を加え、トリエチルアミン 11gを仕込み氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でメチルマロニルクロリド 2gをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン150mlを加え、水、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い、式(P-1-64)で表される目的化合物29gを得た。
【0202】
【0203】
(実施例7)
下記に示すとおりの化合物と混合比率で構成される組成物:
【0204】
【0205】
上記液晶組成物LC-1を100質量部に対して、下記の重合性化合物(P-2-8)を0.3質量部添加した組成物を(LC-1)とした。
【0206】
【0207】
さらに、実施例1で合成した化合物(P-1-59)を(LC-1)100質量部に対して0.6質量部添加し、液晶組成物(LC-1M1)を調製した。この組成物は、保存安定性に優れ、-20℃(48時間)でも析出は見られなかった。次いで液晶組成物(LC-1M1)について、以下の評価試験を行った。
(水平配向性の評価試験)
透明な共通電極からなる透明電極層及びカラーフィルタ層を具備した配向膜を有さない第一の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有する画素電極層を有する配向膜を有さない第二の基板(画素電極基板)とを作製した。これら第一の基板および第一の基板における液晶層に接する側に、それぞれオゾン処理の時間を30秒間行なった。第一の基板上に液晶組成物を滴下し、第二の基板上で挟持し、シール材を常圧で110℃2時間の条件で硬化させ、セルギャップ3.2μmの液晶セルを得た。
さらに、得られた液晶セルが100℃の温度になるように加熱し、この温度にて、365nmにおける照度が100m/cm2である直線偏光UV光を200秒間照射した。このとき光源は、高圧水銀ランプとし、ワイヤーグリッドを介することにより直線偏光UVの照射を行なった。
このときの配向性および滴下痕などの配向ムラを、偏光顕微鏡を用いて観察し、以下の5段階で評価した。
【0208】
A:端部なども含め、全面に渡り均一に一軸水平配向
B:ごく僅かに配向欠陥が見られるレベル
C:配向欠陥が見られるが、許容できるレベル
D:端部なども含め、配向欠陥が多く許容できないレベル
E:配向不良がかなり劣悪
(残存モノマー量の評価試験)
上記(水平配向性の評価試験)にて使用したセルに、さらに、東芝ライテック社製のUV蛍光ランプを120分間照射した(313nmにおける照度1.7mW/cm2)後の、重合性化合物(P-1-46)の残存量をHPLCにて定量し、残存モノマー量を決定した。モノマーの残存量に応じて、以下の4段階で評価した。
【0209】
A:30ppm未満
B:30ppm以上50ppm未満。
【0210】
C:50m以上200ppm未満
D:200ppm以上
(電圧保持率の評価試験)
上記(残存モノマー量の評価試験)と同様の処理を行なうことにより作製したセルに対して、 周波数0.6Hz,印加電圧1Vの条件下で333Kにおける電圧保持率(VHR)(%)を測定した。装置は、東陽テクニカ社製LCM-2を使用し、以下の4段階で評価した。
【0211】
A:98.0%以上
B:95.0%以上98.0%未満
C:75.0%以上95.0%未満
D:75.0%以下
水平配向性の評価試験の結果、均一な水平配向を示した(レベルA)。残存モノマー量の評価試験では、残存量が30ppm未満(レベルA)であった。更にこのセルのVHRは
97%(レベルB)で良好な結果であった。
(実施例8)
液晶組成物(LC-1)100質量部に対して実施例2で合成した化合物(P-1-60)に表される化合物0.6質量部添加し、液晶組成物(LC-1M2)を調製した。この組成物は、保存安定性に優れ、-20℃(48時間)でも析出は見られなかった。次いで液晶組成物(LC-1M2)について、実施例7と同様の評価試験を行った。水平配向性の評価試験の結果、僅かに配向欠陥が見られるレベルを示した(レベルB)。残存モノマー量は、残存量が30ppm未満(レベルA)であった。更にこのセルのVHRは95%(レベルB)で良好な結果であった。
(実施例9)液晶組成物の調整
液晶組成物(LC-1)100質量部に対して実施例3で合成した化合物(P-1-61)に表される化合物0.6質量部添加し、液晶組成物(LC-1M3)を調製した。この組成物は、保存安定性に優れ、-20℃(48時間)でも析出は見られなかった。次いで液晶組成物(LC-1M3)について、実施例7と同様の評価試験を行った。水平配向性の評価試験の結果、配向欠陥が見られるが許容できるレベルを示した(レベルC)。残存モノマー量は、残存量が50ppm未満(レベルB)であった。更にこのセルのVHRは97%(レベルB)で良好な結果であった。
(実施例10)液晶組成物の調整
液晶組成物(LC-1)100質量部に対して実施例4で合成した化合物(P-1-62)に表される化合物0.6質量部添加し、液晶組成物(LC-1M4)を調製した。この組成物は、保存安定性に優れ、-20℃(48時間)でも析出は見られなかった。次いで液晶組成物(LC-1M4)について、実施例7と同様の評価試験を行った。水平配向性の評価試験の結果、僅かに配向欠陥が見られるレベルを示した(レベルB)。残存モノマー量は、残存量が50ppm未満(レベルB)であった。更にこのセルのVHRは96%(レベルB)で良好な結果であった。
(実施例11)液晶組成物の調整
液晶組成物(LC-1)100質量部に対して実施例5で合成した化合物(P-1-63)に表される化合物0.6質量部添加し、液晶組成物(LC-1M5)を調製した。この組成物は、保存安定性に優れ、-20℃(48時間)でも析出は見られなかった。次いで液晶組成物(LC-1M5)について、実施例7と同様の評価試験を行った。水平配向性の評価試験の結果、均一な配向を示した(レベルA)。残存モノマー量は、残存量が50ppm未満(レベルB)であった。更にこのセルのVHRは98%(レベルA)で良好な結果であった。
(実施例12)液晶組成物の調整
液晶組成物(LC-1)100質量部に対して実施例6で合成した化合物(P-1-64)に表される化合物0.6質量部添加し、液晶組成物(LC-1M6)を調製した。この組成物は、保存安定性に優れ、-20℃(48時間)でも析出は見られなかった。次いで液晶組成物(LC-1M6)について、実施例7と同様の評価試験を行った。水平配向性の評価試験の結果、僅かに配向欠陥が見られるレベルを示した(レベルB)。残存モノマー量は、残存量が30ppm未満(レベルA)であった。更にこのセルのVHRは98%(レベルA)で良好な結果であった。
(比較例1)
液晶組成物(LC-1)100質量部に対して下記化合物(P-1-65)に表される化合物0.6質量部添加し、液晶組成物(LC-1M7)を調製した。この組成物は、保存安定性に優れ、-20℃(48時間)で析出が見られた。次いで液晶組成物(LC-1M7)について、実施例7と同様の評価試験を行った。水平配向性の評価試験の結果、 D:配向不良がかなり劣悪(レベルD)。残存モノマー量は、残存量が50ppm以上(レベルC)であった。更にこのセルのVHRは93%(レベルC)であった。
【0212】