(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】エチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒およびエチレン-イソオレフィン系共重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20230502BHJP
C08F 210/16 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F210/16
(21)【出願番号】P 2019077668
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 彩樹
(72)【発明者】
【氏名】成毛 翔子
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-263050(JP,A)
【文献】特開2004-197057(JP,A)
【文献】特開2018-016819(JP,A)
【文献】特開平10-204112(JP,A)
【文献】国際公開第2006/022355(WO,A1)
【文献】特開2003-055411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/6592
C08F 210/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)、
【化1】
(式中、M
1はジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部を炭素数1~20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。R
1、R
2、R
3は、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部を炭素数1~20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。)
粘土化合物を一般式(2)で表される有機化合物にて変性した有機変性粘土(B-1)、
【化2】
(式中、R
4~R
6は各々独立して炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、上記炭素数1~30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1~30の炭化水素基の一部を炭素数1~30のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1~30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、M
2は周期表第15族の原子であり、[A
-]はアニオンである。)
メチルアルミノキサン(B-2)及び(メチル-イソブチル)アルミノキサン(B-3)からなる群より選択される1種以上である活性化助触媒(B)、
及び有機アルミニウム化合物(C)を含むメタロセン系触媒であることを特徴とするエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒。
【請求項2】
有機変性粘土(B-1)が、スメクタイト族ヘクトライトであることを特徴とする請求項1に記載のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒。
【請求項3】
有機アルミニウム化合物(C)が、下記一般式(3)で表される有機アルミニウム化合物(C)であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒。
【化3】
(式中、R
7は炭素数1~20の炭化水素基であり、R
8は各々独立して炭素数1~20の炭化水素基、水素原子または塩素原子である。)
【請求項4】
請求項1~3に記載のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を用い、エチレンとイソオレフィンとの共重合を行うことを特徴とするエチレン-イソオレフィン系共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率良く耐熱性、耐放射線性、耐酸化性等に優れたエチレン-イソオレフィン系共重合体が製造できる新規なエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒およびそれを用いたエチレン-イソオレフィン系共重合の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合によりポリオレフィンを製造する方法として、遷移金属化合物および有機金属化合物の組み合わせからなる触媒系を用いることはすでに知られており、メタロセンとメチルアルミノキサンを用いたメタロセン触媒が、オレフィン系重合体を製造する際に、高い活性を示すことを開示している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
メタロセン触媒は、メタロセン化合物の構造を変えることで、その重合性能が大きく変化させることが可能であり、得られるポリマーの性質をコントロールすることが可能であるため、様々なメタロセン化合物が合成され、オレフィン重合用触媒の構成成分として用いる検討が行われている(例えば、非特許文献1参照)。たとえば、シクロペンタジエニル基とインデニル基をイソプロピレン架橋で結合したジルコニウム錯体を用いた短鎖分岐ポリエチレンの製造方法に関する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、シクロペンタジエニル基の特定部位に置換基を有する錯体をオレフィン重合触媒に用いた技術が開示されている(例えば、特許文献3~5参照)。さらに、特定の部位に置換基を有するインデニル基を用いた錯体をオレフィン重合触媒に用いた技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【0004】
メタロセン触媒の助触媒成分についても検討が行われており、メチルアルミノキサンに代わる助触媒として、有機カチオンでイオン交換した粘土化合物が開示され、スラリー重合プロセスでの高い重合活性と良好なモルフォロジーを有するポリマーの製造が行われている(例えば、特許文献7~9参照)。
【0005】
更に、ポリオレフィン系樹脂としての性能を改質したポリオレフィン系共重合体としてエチレン/1,1-2置換α-オレフィン共重合体の製造方法(例えば、特許文献10参照)、ポリイソブチレン-ポリオレフィン共重合体(例えば、特許文献11参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭58-19309号公報
【文献】特開平05-43619号公報
【文献】特許第3192186号公報
【文献】特許第33205384号公報
【文献】特許第3537234号公報
【文献】特許第3717542号公報
【文献】特開平7-224106号公報
【文献】特開平10-324708号公報
【文献】特開平11-335408号公報
【文献】特開2004-263050号公報
【文献】特開2004-175953号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】Chem.Rev.,100,1205(2000).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1~9、非特許文献1等に提案される各種重合触媒においては、エチレン、プロピレン等の汎用とされるオレフィン類の重合検討はなされているが、イソオレフィン類に代表される特殊オレフィン類についての具体的な検討はなされていない。そして、エチレンの共重合成分としてプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン等に代表されるα-オレフィン成分は、その構造上3級炭素を有するものとなる。該3級炭素は、放射線、紫外線、酸化等に対して不安定性であり、該3級炭素構造を有するエチレン系重合体は耐熱性、耐放射線性等に課題を有する可能性を持ち、その対策として耐熱性安定剤、耐候剤、耐紫外線安定剤等を配合することが一般的になされてきた。
【0009】
また、特許文献10に提案された製造方法においては、その触媒の重合活性は極めて低く、その生産効率はもとより、分子量も低く性能についても課題を有するものであった。また、特許文献11に提案されたポリイソブチレン-ポリオレフィン共重合体は、ブロック共重合体であると共に、その重合方法もカチオン重合に関するものであり、新規な重合触媒を提案するものではなかった。
【0010】
そこで、本発明は、効率良く耐熱性、耐放射線性、耐酸化性等に優れるエチレン-イソオレフィン系共重合体を製造することが可能となる特定の構造を有する遷移金属化合物、特定の活性化助触媒および有機アルミニウム化合物を組み合わせたメタロセン系触媒である新規なエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒およびそれを用いたエチレン-イソオレフィン系共重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する遷移金属化合物、活性化助触媒および有機アルミニウム化合物を組み合わせたメタロセン系触媒である新規なエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒により、効率良く耐熱性、耐放射線性、耐酸化性等に優れるエチレン-イソオレフィン系共重合体を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0013】
【0014】
(式中、M1はジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部を炭素数1~20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。R1、R2、R4は、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部を炭素数1~20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。)
で表される遷移金属化合物(A)、粘土化合物を一般式(2)
【0015】
【0016】
(式中、R4~R6は各々独立して炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、上記炭素数1~30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1~30の炭化水素基の一部を炭素数1~30のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1~30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、M2は周期表第15族の原子であり、[A-]はアニオンである。)
で表される有機化合物にて変性した有機変性粘土(B-1)、メチルアルミノキサン(B-2)及び(メチル-イソブチル)アルミノキサン(B-3)からなる群より選択される1種以上である活性化助触媒(B)、
及び有機アルミニウム化合物(C)を含むメタロセン系触媒であるエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒、さらには、それを用いたエチレン-イソオレフィン系共重合体の製造方法に関するものである。
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒は、遷移金属化合物(A)、活性化助触媒(B)及び有機アルミニウム化合物(C)を含んでなるメタロセン系触媒である。
【0019】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を構成する遷移金属化合物(A)は、下記一般式(1)
【0020】
【0021】
(式中、M1はジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部を炭素数1~20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。R1、R2、R3は、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部を炭素数1~20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1~20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。)
で表される化合物である。
【0022】
そして、一般式(1)において、Xの炭素数1~30の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、ネオヘキシル基、2,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチル-2-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,3-ジメチル-2-ブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2-(1-シクロヘキセニル)エチル基、n-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、ゲラニル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、シクロドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、オレイル基、ベヘニル基、フェニル基等を例示することができる。
【0023】
炭素数1~30のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基等を例示することができる。
【0024】
炭素数1~30のアルキルアミノ基としては、前記炭素数1~30の炭化水素基を置換基として有するアミノ基であり、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等を例示することができる。
【0025】
炭素数1~30のアルキルシリル基としては、前記炭素数1~30の炭化水素基を置換基として有するシリル基であり、例えばトリメチルシリル基、トリtert-ブチルシリル基、ジtert-ブチルメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等を例示することができる。
【0026】
上記炭素数1~30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したものとしては、例えばメトキシメチレン基、エトキシメチレン基等を例示することができる。
【0027】
上記炭素数1~30の炭化水素基の一部を炭素数1~30のアルキルアミノ基に置換したものとしては、例えばジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基等を例示することができる。
【0028】
上記炭素数1~30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものとしては、例えばトリメチルシリルメチレン基、tert-ブチルジメチルシリルメチレン基等を例示することができる。
【0029】
そして、一般式(1)において、R1、R2およびR3の炭素数1~30の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、ネオヘキシル基、2,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチル-2-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,3-ジメチル-2-ブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2-(1-シクロヘキセニル)エチル基、n-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、ゲラニル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、シクロドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、オレイル基、ベヘニル基、フェニル基等を例示することができる。
【0030】
炭素数1~30のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基等を例示することができる。
【0031】
炭素数1~30のアルキルアミノ基としては、前記炭素数1~30の炭化水素基を置換基として有するアミノ基であり、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等を例示することができる。
【0032】
炭素数1~30のアルキルシリル基としては、前記炭素数1~30の炭化水素基を置換基として有するシリル基であり、例えばトリメチルシリル基、トリtert-ブチルシリル基、ジtert-ブチルメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等を例示することができる。
【0033】
上記炭素数1~30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したものとしては、例えばメトキシメチレン基、エトキシメチレン基等を例示することができる。
【0034】
上記炭素数1~30の炭化水素基の一部を炭素数1~30のアルキルアミノ基に置換したものとしては、例えばジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基等を例示することができる。
【0035】
上記炭素数1~30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものとしては、例えばトリメチルシリルメチレン基、tert-ブチルジメチルシリルメチレン基等を例示することができる。
【0036】
遷移金属化合物(A)の具体的な例として、次に挙げる化合物を例示することができる。ジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロライド、フェニル(メチル)メチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、フェニル(メチル)メチレン(インデニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロライド等を挙げることができる。
【0037】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を構成する活性化助触媒(B)は、有機変性粘土(B-1)、メチルアルミノキサン(B-2)及び(メチル-イソブチル)アルミノキサン(B-3)からなる群より選択される1種以上のものである。
【0038】
該有機変性粘土(B-1)は、以下の一般式(2)
【0039】
【0040】
(式中、R4~R6は各々独立して炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、上記炭素数1~30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1~30の炭化水素基の一部を炭素数1~30のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1~30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、M2は周期表第15族の原子であり、[A]はアニオンである。)
で表される有機化合物にて変性したものである。
【0041】
そして、一般式(2)において、R4、R5およびR6の炭素数1~30の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、ネオヘキシル基、2,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチル-2-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,3-ジメチル-2-ブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2-(1-シクロヘキセニル)エチル基、n-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、ゲラニル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、シクロドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、オレイル基、ベヘニル基、フェニル基等を例示することができる。
【0042】
炭素数1~30のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基等を例示することができる。
【0043】
炭素数1~30のアルキルアミノ基としては、前記炭素数1~30の炭化水素基を置換基として有するアミノ基であり、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等を例示することができる。
【0044】
炭素数1~30のアルキルシリル基としては、前記炭素数1~30の炭化水素基を置換基として有するシリル基であり、例えばトリメチルシリル基、トリtert-ブチルシリル基、ジtert-ブチルメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等を例示することができる。
【0045】
上記炭素数1~30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したものとしては、例えばメトキシメチレン基、エトキシメチレン基等を例示することができる。
【0046】
上記炭素数1~30の炭化水素基の一部を炭素数1~30のアルキルアミノ基に置換したものとしては、例えばジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基等を例示することができる。
【0047】
上記炭素数1~30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものとしては、例えばトリメチルシリルメチレン基、tert-ブチルジメチルシリルメチレン基等を例示することができる。
【0048】
M2は、周期律表第15族の原子であり窒素原子またはリン原子を例示することができる。
【0049】
M2が窒素原子である場合の一般式(2)で表される有機化合物の具体例としては、N,N-ジメチル-ベヘニルアミン塩酸塩、N-メチル-N-エチル-ベヘニルアミン塩酸塩、N-メチル-N-n-プロピル-ベヘニルアミン塩酸塩、N,N-ジオレイル-メチルアミン塩酸塩、N,N-ジメチル-オクタデカンアミン塩酸塩、N,N-ジメチル-ヘキサデカンアミン塩酸塩等の化合物および上記化合物の塩酸塩をフッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩または硫酸塩に置き換えた化合物を例示することができる。
【0050】
M2がリン原子であるものの具体例としては、P,P-ジメチル-ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P-ジエチル-ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P-ジプロピル-ベヘニルホスフィン塩酸塩等の化合物および上記化合物の塩酸塩をフッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩または硫酸塩に置き換えた化合物を例示することができる。
【0051】
[A-]はアニオンであり、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロリン酸イオンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
また、有機変性粘土(B-1)を構成する粘土化合物としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等を挙げることが出来、中でも特に活性に優れるエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を構成するものとなることからスメクタイト族ヘクトライトに属するものであることが好ましい。
【0053】
有機変性粘土(B-1)は、粘土化合物の層間に上記一般式(2)で示される有機化合物より誘導される有機イオンを導入したものであり、有機化合物変性処理を行う際には、粘土化合物の濃度は0.1~30重量%、処理温度は0~150℃の条件を選択して処理を行うことが好ましい。また、有機化合物は固体として調製して溶媒に溶解させて使用しても良いし、溶媒中での化学反応により有機化合物の溶液を調製してそのまま使用しても良い。粘土化合物と有機化合物の反応量比については、粘土化合物の交換可能なカチオンに対して当量以上の有機化合物を用いることが好ましい。処理溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;エチルアルコール、メチルアルコール等のアルコール類;エチルエーテル、n-ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランまたは水等を用いることができ、好ましくは、アルコール類または水を単独もしくは溶媒の一成分として用いることである。
【0054】
また、有機変性粘土(B-1)の粒径は特に制限されるものではなく、中でも触媒を調製する際の取り扱い性に優れることから、1~100μmであることが好ましい。粒径を調節する方法も特に制限されず、大きな粒子を粉砕して適切な粒径にしても、小さな粒子を造粒して適切な粒径にしても良く、あるいは粉砕と造粒を組み合わせても良い。また、粒径の調節は未変性の粘土に行っても、変性後の有機変性粘土に行っても良い。粉砕を行う際には、インパクトミル、回転ミル、カスケードミル、カッターミル、ケージミル、衝撃式粉砕機、コニカルミル、コロイドミル、コンパウンドミル、ジェットミル、振動ミル、スタンプミル、チューブミル、ディスクミル、タワーミル、媒体攪拌ミル、ハンマーミル、ピンミル、フレットミル、ペブルミル、ボールミル、摩砕機、遊星ミル、リングボールミル、リングロールミル、ロッドミル、ローラーミル、ロールクラッシャー等を用いることが出来る、造粒を行う際には、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等いずれの方法を用いてもよい。
【0055】
メチルアルミノキサン(B-2)、(メチル-イソブチル)アルミノキサン(B-3)としては、市販品であってもよく、例えば(商品名)TMAO-200(メチルアルミノキサンタイプ)(東ソー・ファインケム株式会社製)、(商品名)MMAO-3A((メチル-イソブチル)アルミノキサンタイプ)(東ソー・ファインケム株式会社製)、固体状ポリメチルアルミノキサン等を例示することができる。
【0056】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を構成する有機アルミニウム化合物(C)は、遷移金属化合物(A)、および活性化助触媒(B)と共に用いるものであり、有機アルミニウム化合物と称する範疇に属するものであればよく、中でも特に活性に優れるエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を構成するものとなることから、下記一般式(3)
【0057】
【0058】
(式中、R7は炭素数1~20の炭化水素基であり、R8は各々独立して炭素数1~20の炭化水素基、水素原子または塩素原子である。)
で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましく、R7、R8の炭素数1~20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、ネオヘキシル基、2,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチル-2-ブチル基、等を例示することができ、具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0059】
本発明は、遷移金属化合物(A)(以下、(A)成分と記すこともある)、活性化助触媒(B)(以下、(B)成分と記すこともある)である有機変性粘土(B-1)(以下、(B-1)成分と記すこともある)、メチルアルミノキサン(B-2)(以下、(B-2)成分と記すこともある)、(メチルイソブチル)アルミノキサン(B-3)(以下、(B-3)成分と記すこともある)と有機アルミニウム化合物(C)(以下、(C)成分と記すこともある)とを組み合わせることにより、効率良く耐熱性、耐放射線性、耐酸化性等に優れたエチレン-イソオレフィン系共重合体を製造することが可能となるエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を提供するものである。その際の(A)成分、(B)成分、および(C)成分の割合については、エチレンとイソオレフィンの共重合活性を示す範囲であれば任意であり、特に重合活性に優れるエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を提供することが可能となることから、(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比は(A)成分:(C)成分=100:1~1:100000の範囲が好ましく、特に1:1~1:10000の範囲であることが好ましい。また、(A)成分と(B)成分は、重量比で(A)成分:(B)成分=10:1~1:10000であることが好ましく、特に3:1~1:1000の範囲であることが好ましい。
【0060】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の調製方法としては任意であり、例えば該触媒を構成する(A)成分、(B)成分および(C)成分に対して不活性な溶媒中又は重合を行うモノマーを溶媒として用い、混合する方法などを挙げることができる。また、これらの成分を混合・反応させる際の添加順に関しても任意であり、更に処理を行う温度、処理時間に関しても任意である。
【0061】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒は、エチレンとイソブテン,2-メチル-1-ペンテン等のイソオレフィンの共重合性に優れ、耐熱性、耐放射線性、耐酸化性等に優れるエチレン-イソオレフィン系共重合体を提供することが可能となるものであり、その際の重合プロセスとしては、例えばスラリー重合法、気相重合法、高圧重合法、溶液重合法、塊状重合法を挙げることが出来る。そして、気相重合法の場合には、粒子形状の整ったエチレン-イソオレフィン系共重合体を効率よく安定的に生産することができる。また、スラリー重合法、溶液重合法等の液相での重合を行う際の溶媒は、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。
【0062】
また、重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件については任意であり、中でも共重合反応効率に優れることから重合温度は-100~300℃、重合時間は10秒~20時間、重合圧力は常圧~3000kg/cm2Gの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて、2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られるエチレン-イソオレフィン系共重合体は、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
【0063】
また、本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒を用いる際には、その目的であるエチレン-イソオレフィン系共重合体の性能を逸脱しない範囲において、プロピレン、ブテン等の他のオレフィン成分を添加することもできる。
【0064】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒は、その主鎖上に3級炭素を有しないことから、耐放射線性、耐酸化性に優れることから耐熱性にも優れるエチレン-イソオレフィン系共重合体を容易に効率的に製造することが可能となり、該エチレン-イソオレフィン系共重合体は各種用途への展開が可能となる。
【発明の効果】
【0065】
本発明は、特定の構造を有する遷移金属化合物(A)、活性化助触媒(B)及び有機アルミニウム化合物(C)を用いることにより、効率良く耐熱性、耐放射線性、耐酸化性等に優れたエチレン-イソオレフィン系共重合体が製造できる新規なエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒およびエチレン-イソオレフィン系共重合体の製造方法を提供するものである。
【実施例】
【0066】
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、断りのない限り用いた試薬等は市販品、あるいは既知の方法に従って合成したものを用いた。
【0067】
~有機変性粘土の粉砕~
ジェットミル(セイシン企業社製(商品名)CO-JET SYSTEM α MARK III)を用い、粉砕後の粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製(商品名)MT3000)を用いてエタノールを分散剤として測定した。
【0068】
~触媒の調製、重合および溶媒精製~
全て不活性ガス雰囲気下で行った。
【0069】
~トリイソブチルアルミニウム~
ヘキサン溶液(20wt%)は東ソーファインケム(株)製のヘキサン溶液(20%)を用いた。
【0070】
~末端メチル基数~
FT-IR(PERKIN ELMER社製 (商品名)SPECTRUM ONE)によって測定した。
【0071】
実施例1
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF-3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸15.0g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(株式会社テツタニ社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより122gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
【0072】
(2)エチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを607mg、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12.5wt%)。
【0073】
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られたエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を1.0g(固形分125mg、ジルコニウム換算5μmol相当)加え、70℃に昇温後、イソブテンを48g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。60分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで70gのエチレン-イソブテン共重合体を得た。その際の重合活性は、14kg/mmolZrであり高い重合活性を示した。また、末端メチル基数は28個/1000炭素数を有するエチレン-イソブテン共重合体であることを確認した。
【0074】
実施例2
(1)粘土の変性
実施例1の(1)と同等の方法により粘土の変性を実施した。
【0075】
(2)エチレン-イソオレフィン共重合体製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでフェニル(メチル)メチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを545mg、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12.5wt%)。
【0076】
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られたエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を1.0g(固形分125mg、ジルコニウム換算5μmol相当)加え、70℃に昇温後、イソブテンを48g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。60分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで55gのエチレン-イソブテン共重合体を得た。その際の重合活性は11kg/mmolZrであり、高い重合活性を示した。また、末端メチル基数は25個/1000炭素数であり、エチレン-イソブテン共重合体であることを確認した。
【0077】
実施例3
(1)粘土の変性
実施例1の(1)と同等の方法により粘土の変性を実施した。
【0078】
(2)エチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロライドを694mg、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えてエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.5wt%)。
【0079】
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られたエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を1.0g(固形分125mg、ハフニウム換算5μmol相当)加え、70℃に昇温後、イソブテンを48g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。60分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで60gのエチレン-イソブテン共重合体を得た。その際の重合活性は12kg/mmolHfであり、高い重合活性を示した。また、末端メチル基数は30個/1000炭素数であり、エチレン-イソブテン共重合体であることの確認を行った。
【0080】
さらに、2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られたエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を1.0g(固形分125mg、ハフニウム換算5μmol相当)加え、70℃に昇温後、2-メチル-1-ペンテンを60g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。60分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで26gのエチレン-2-メチル-1-ペンテン共重合体を得た。その際の重合活性は5kg/mmolHfであり、高い重合活性を示した。また、末端メチル基数は25個/1000炭素数であり、エチレン-2-メチル-1-ペンテン共重合体であることを確認した。
【0081】
実施例4
(1)エチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒懸濁液の調製
100mLのフラスコを窒素置換した後に、トルエンを26.2g(30.2mL)、固体状ポリメチルアルミノキサンのトルエン懸濁液(東ソーファインケム(株)製)10.9g(ポリメチルアルミノキンサン12.1重量%(トルエン懸濁液中)、アルミニウム原子41重量%(ポリメチルアルミノキサン中))、及びジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを61mg添加して、室温で12時間攪拌することにより、エチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:3.6wt%)。
【0082】
(2)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られたエチレン-イソオレフィン系重合体製造用触媒の懸濁液を1.4g(固形分50mg、ジルコニウム換算3.8μmol相当)加え、70℃に昇温後、イソブテンを48g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。60分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで30gのエチレン-イソブテン共重合体を得た。その際の重合活性は8kg/mmolZrであり、高い重合活性を示した。また、末端メチル基数は21個/1000炭素数であり、エチレン-イソブテン共重合体であることを確認した。
【0083】
実施例5
(1)エチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒懸濁液の調製
100mLのフラスコを窒素置換した後に、トルエンを26.2g(30.2mL)、固体状ポリメチルアルミノキサンのトルエン懸濁液(東ソーファインケム(株)製)10.9g(ポリメチルアルミノキンサン12.1重量%(トルエン懸濁液中)、アルミニウム原子41重量%(ポリメチルアルミノキサン中))、及びジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロライドを69mg添加して、室温で12時間攪拌することにより、エチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:3.6wt%)。
【0084】
(2)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を3.5g(固形分125mg、ハフニウム換算9.6μmol相当)加え、70℃に昇温後、イソブテンを48g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。60分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで50gのエチレン-イソオレフィン共重合体を得た。その際の重合活性は5kg/mmolHfであり、高い重合活性を示した。また、末端メチル基数は20個/1000炭素数であり、エチレン-イソブテン共重合体であることの確認を行った。
【0085】
比較例1
(1)触媒溶液の調製
予め乾燥し、窒素雰囲気下にした攪拌装置を備えたガラス容器に、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ハフニウムジクロライドを23.7mg(36.8μmol)秤量し、トルエン2.8mlにより溶解し、トリ(イソブチル)アルミニウムのトルエン溶液(トリ(イソブチル)アルミニウム 20wt%)をアルミニウム換算で1.87mmol(2.1ml)加えて1時間攪拌した。予め乾燥し、窒素雰囲気下にした攪拌装置を備えた別のガラス容器に、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを17.9mg(22.3μmol)秤量し、トルエン3.5mlにより溶解した溶液に、前記の混合溶液3.0mlを加え、触媒溶液とした。
【0086】
(2)重合
予め乾燥し、窒素雰囲気下にした攪拌装置を備えた100mlステンレス製反応器に、トルエン24ml、トリ(イソブチル)アルミニウムのトルエン溶液(トリ(イソブチル)アルミニウム 20wt%)をアルミニウム換算で0.85mmol、上記(1)で得た触媒溶液5ml(ハフニウム換算で17.2μmol)を加えた。次に、イソブテンを21.5g(0.38mol)導入し、次いでエチレン分圧が0.14MPaとなるように設定し、室温で1時間共重合反応を行った。未反応のエチレンとイソブテンを脱圧除去し、重合を停止し、得られたポリマーを真空乾燥することにより、3.03gのポリマーを得た。得られたポリマーはイソブテン含量36.5mol%のエチレン-イソブテン共重合体であったが、その重合活性は0.2kg/mmolHfと低いものであった。
【0087】
比較例2
(1)触媒溶液の調製
予め乾燥し、窒素雰囲気下にした攪拌装置を備えたガラス容器に、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを30.9mg(55.5μmol)秤量し、トルエン1.7mlにより溶解し、トリ(イソブチル)アルミニウムのトルエン溶液(トリ(イソブチル)アルミニウム 20wt%)をアルミニウム換算で2.80mmol(3.3ml)加えて1時間攪拌した。予め乾燥し、窒素雰囲気下にした攪拌装置を備えた別のガラス容器に、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを31.0mg(38.7μmol)秤量し、トルエン7.8mlにより溶解した溶液に、前記の混合溶液3.5mlを加え、触媒溶液とした。
【0088】
(2)重合
予め乾燥し、窒素雰囲気下にした攪拌装置を備えた100mlステンレス製反応器に、トルエン24ml、トリ(イソブチル)アルミニウムのトルエン溶液(トリ(イソブチル)アルミニウム 20wt%)をアルミニウム換算で0.85mmol、上記(1)で得た触媒溶液5ml(ジルコニウム換算で17.2μmol)を加えた。次に、イソブテンを21.5g(0.38mol)導入し、次いでエチレン分圧が0.14MPaとなるように設定し、室温で20分間共重合反応を行った。未反応のエチレンとイソブテンを脱圧除去し、重合を停止し、得られたポリマーを真空乾燥することにより、0.79gのポリマーを得た。得られたポリマーはイソブテン含量5.9mol%のエチレン-イソブテン共重合体であったが、その重合活性は0.05kg/mmolZrと低いものであった。
【0089】
比較例3
(1)粘土の変性
実施例1の(1)と同等の方法により粘土の変性を実施した。
【0090】
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでエチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを419mg、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.5wt%)。
【0091】
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を1.0g(固形分125mg、ジルコニウム換算5μmol相当)加え、70℃に昇温後、イソブテンを48g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、60分経過後に脱圧し、エチレン-イソブテン共重合体の製造を試みた。得られたスラリーを濾別後、乾燥することで56gのポリマーを得た。このポリマーの末端メチル基数は確認できず、イソブテンの導入はみられず、ポリエチレンであることを確認した。エチレンとイソブテンの共重合活性は示されないものであった。
【0092】
比較例4
(1)粘土の変性
実施例1の(1)と同等の方法により粘土の変性を実施した。
【0093】
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコウムジクロライドを586mg、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.5wt%)。
【0094】
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を1.0g(固形分125mg、ジルコニウム換算5μmol相当)加え、70℃に昇温後、イソブテンを48g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。60分経過後に脱圧し、エチレン-イソブテン共重合体の製造を試みた。得られたスラリーを濾別後、乾燥することで34gのポリマーを得た。このポリマーの末端メチル基数は確認できず、イソブテンの導入は見られず、ポリエチレンであることを確認した。エチレンとイソブテンの共重合活性は示されないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のエチレン-イソオレフィン系共重合体製造用触媒により製造されるエチレン-イソオレフィン系共重合体は、耐放射線性、耐酸化性に優れることから各種用途への展開が可能となり、その産業的価値は極めて高いものである。