(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】ガスバリア性積層体及び包装材料
(51)【国際特許分類】
B32B 9/00 20060101AFI20230502BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230502BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20230502BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230502BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B32B9/00 A
B32B27/30 102
B32B27/36
B32B27/18 Z
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2022520245
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2021046418
(87)【国際公開番号】W WO2022138417
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2020212259
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】久保田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 浩之
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-237509(JP,A)
【文献】特開2020-192699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-65/46
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバリア性積層体であって、基材の少なくとも一面に、金属アルコキシド(A)の塗工層と、金属化合物(B)の塗工層を有し、基材の一面に前記(A)の塗工層、前記(B)の塗工層が順次形成されており、
金属アルコキシド(A)の塗工層の厚みが0.1~1.0μmの範囲であり、
金属アルコキシド(A)の塗工層がポリビニルアルコールを含有し、
金属アルコキシド(A)とポリビニルアルコールの固形分質量比が金属アルコキシド(A):ポリビニルアルコール=70:30であり、
金属化合物(B)の塗工層がポリエステル樹脂を含有し、
金属化合物(B)とポリエステル樹脂の固形分質量比が、金属化合物(B):ポリエステル樹脂=7.5:1.23~1:1であり、
前記金属化合物(B)が亜鉛、カルシウム、マグネシウム、チタンから選択される一種以上を含む化合物であり、
金属化合物(B)の塗工層の厚みが0.1~1.0μmの範囲であることを特徴とするガスバリア性積層体。
【請求項2】
前記金属化合物(B)が金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
【請求項3】
前記金属アルコキシド(A)がアルコキシシランから選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
【請求項4】
前記基材が、蒸着処理された基材であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
【請求項5】
請求項1に記載のガスバリア性積層体を用いてなる包装体。
【請求項6】
請求項1に記載のガスバリア性積層体の製造方法であって、基材の少なくとも一面に、金属アルコキシド(A)の塗工層を塗工により形成する工程と、金属化合物(B)の塗工層を塗工により形成する工程とを、この順に有することを特徴とするガスバリア性積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性積層体であって、基材の少なくとも一面に金属アルコキシド(A)含有層と、金属化合物(B)含有層が形成されていることを特徴とするガスバリア性積層体、およびそれを用いた包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や医薬品等を包装するのに用いられる包装材料用積層体、あるいは電子機器関連部材等を包装するために用いられる積層体などには、その内容物や積層された部材等の変質・酸化を防止するガスバリア性積層体が使用されている。
【0003】
このようなガスバリア性積層体としては、酸素や水分の透過を遮断し内容物の変質を防止することが求められている。これら要求に対し、従来は酸素バリア性が高い重合体で構成されるバリア性フィルムや、前記バリア性フィルムを基材としコーティング層を積層した積層フィルムなどが用いられてきた。
【0004】
前記従来のバリア性を有する積層フィルムとして、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、(1)水溶性高分子と、(2)I)1種類以上の金属アルコキシドまたは金属アルコキシド加水分解物、あるいはII)塩化錫を含む、水溶液、または水アルコール混合溶液とを主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱、乾燥してなるガスバリア被覆層を第2層として順次積層したガスバリア性積層フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながらこのガスバリア性積層フィルムは、高いガスバリア性を示し、かつ耐水性、耐湿性を有するが、ガスバリア性フィルムの被膜第2層が金属アルコキシド加水分解物と水酸基を有する水溶性高分子との水素結合により形成されるため、水熱処理により被膜層が膨潤し、ボイル及びレトルト殺菌のような処理が必要な包材として使用すると、被膜層が膨潤し、ガスバリア性が劣化するという問題があった。
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れたガスバリア性と優れた耐レトルト処理性(以下、耐レトルト性という)を有するガスバリア性積層体、および該ガスバリア性積層体を用いてなる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガスバリア性積層体であって、基材の少なくとも一面に金属アルコキシド(A)含有層と、金属化合物(B)含有層が形成されていることを特徴とするガスバリア性積層体、および該積層体を用いた包装体により優れたガスバリア性と優れた耐レトルト性が得られ、前記課題を解決することができる。
【0008】
[1]本発明は、ガスバリア性積層体であって、基材の少なくとも一面に、金属アルコキシド(A)含有層と、金属化合物(B)含有層が形成されていることを特徴とするガスバリア性積層体に関するものである。
【0009】
[2]さらに本発明は、前記金属化合物(B)が亜鉛、カルシウム、マグネシウム、チタンから選択される一種以上を含む化合物であることを特徴とする[1]に記載のガスバリア性積層体に関するものである。
【0010】
[3]くわえて本発明は、前記金属化合物(B)が金属酸化物であることを特徴とする[1]または[2]に記載のガスバリア性積層体に関するものである。
【0011】
[4]また本発明は、前記金属アルコキシド(A)がアルコキシシランから選択される一種以上であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のガスバリア性積層体に関するものである。
【0012】
[5]さらに本発明は、前記金属化合物(B)の平均粒子径が0.2μm以下であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載のガスバリア性積層体に関するものである。
【0013】
[6]また本発明は、前記基材が、蒸着処理された基材であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載のガスバリア性積層体に関する。
【0014】
[7]さらに本発明は、ガスバリア性積層体であって、基材の少なくとも一面に、金属アルコキシド(A)含有層と、金属化合物(B)含有層が順次形成されていることを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載のガスバリア性積層体に関する。
[8]くわえて本発明は、[1]~[7]のいずれかに記載のガスバリア性積層体を用いてなる包装体に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガスバリア性積層体および包装体によれば、優れたガスバリア性と優れた耐レトルト性が得られることから、各種包装材料用途や、電子機器関連部材等の包装用途に用いられる積層体として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のガスバリア性積層体は基材の少なくとも一面に金属アルコキシド(A)含有層と、金属化合物(B)含有層が形成されていることを特徴とするものである。また、本明細書において「~」は「~」という記載の前の値以上、「~」という記載の後の値以下を意味するものである。
【0017】
本発明において用いられる金属アルコキシド(A)とは、一般式R1
nM(OR)m(MはSi、Al、Tiなどの金属から選ばれる原子、Rはアルキル基)で表される化合物であり、ゾルゲル法により塗膜層を形成するものであれば特に限定されるものではなく、前記金属アルコキシドの加水分解物であってもよい。前記金属アルコキシド(A)としては本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないが、MとしてSi、Al、Ti、Zrを有するものが好ましく用いられ、中でも好適なバリア性が得られることからSi、Alを有するものが特に好ましい。また金属アルコキシドに含まれるアルキル基としてはCnH2n+1で表されるアルキル基であれば良く、本発明の効果が得られる範囲において限定されるものではないが、特にn=1~5のアルキル基を用いた場合にバリア性が向上することから好ましい。
【0018】
本発明において用いられる金属アルコキシド(A)としては、例えばテトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)、テトラエトキシシラン(以下、TEOSとする)(Si(OC2H5)4)、テトラプロポキシシラン(Si(OC3H7)4)、テトラブトキシシラン(Si(OC4H9)4)、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、トリイソプロポキシアルミニウムなどのアルコキドを用いることができる。
【0019】
金属アルコキシド(A)を積層するためには各種公知の方法により基材上または後述する(B)層上に塗工すればよい。本発明の(A)および(B)の塗工方法としては特に限定されず、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンス法、ダイコート(ダイコーティング)法、ダイレクトグラビア法、リバースグラビア法、フレキソ法、ナイフコート法、ドットコート法等公知の塗工方法を用いることができる。
【0020】
前記したように、本発明で用いる金属アルコキシド(A)は、水や有機溶媒等の各種溶媒存在下でゾルゲル法により加水分解および重縮合反応させることでガスバリア性塗膜層を形成することができる。本発明における金属アルコキシド(A)層の厚みとしては0.03~1.0μmの範囲が好ましく、バリア性と機械特性が優れることから0.1~0.5μmの範囲が特に好ましい。
【0021】
本発明においては、安定な金属アルコキシド(A)含有層を形成することを目的として、金属アルコキシド(A)と共にシランカップリング剤を用いてもよい。このようなシランカップリング剤としては公知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができるが、塗膜の形成が良好となることからエポキシ基含有オルガノアルコキシシランが好ましい。このようなエポキシ基含有オルガノアルコキシシランとしては、例えば、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
前記シランカップリング剤は、本発明の効果が得られる範囲において1種又は2種以上を使用してもよく、シランカップリング剤は金属アルコキシド(A)の合計量100質量部に対して、1~20質量部程度の範囲内で使用することが好ましい。
【0023】
本発明において用いられる金属化合物(B)としては、熱水処理時にイオン化可能な金属であれば特に制限されるものではなく、亜鉛、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、スズなどの遷移金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属;アルミニウム、ケイ素などから選ばれる金属の単体、酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、酢酸塩、カルボン酸塩やキレート体等を用いることができる。本発明において用いる金属化合物としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタンから選択される化合物が好ましく、優れたガスバリア性と優れた耐レトルト性が良好となることから亜鉛、カルシウム、マグネシウムから選択される化合物が特に好ましい。
【0024】
本発明において用いる金属化合物(B)としては前記のように金属の単体、酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、酢酸塩、カルボン酸塩やキレート体等を用いることができる。この中でも特に酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、酢酸塩を用いると良好なコーティング膜が形成できることから好ましく、酸化物、水酸化物を用いることが最も好ましい。
【0025】
本発明において用いる金属化合物(B)としては酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、チタンアルコキシドが更に好ましく、優れたガスバリア性が得られることから酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムが最も好ましい。
【0026】
本発明において用いられる金属化合物(B)としては、その形状は特に限定されるものではないが、粒子状であることが好ましい。金属化合物(B)として粒子状のものを使用する場合、その平均粒子径は本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないがレーザー回折散乱法や走査型電子顕微鏡による観察等により測定した平均粒子径のいずれかが0.2μm以下であることが好ましく、好適なガスバリア性と好適な透明性が得られることから0.1μm以下であることが更に好ましく、金属のイオン化が速くゾルゲル形成が迅速に行われることから0.07μm以下であることが最も好ましい。
【0027】
本発明の金属化合物(B)を用いて層を形成する方法としては特に限定されるものではないが、例えば金属化合物(B)を含有するコーティング液を調整し、コーティング液を塗工、乾燥することにより形成することができる。
【0028】
前記金属化合物(B)を含有するコーティング液は、本発明の効果が得られる範囲において水や有機溶媒などの各種溶媒、分散剤、界面活性剤、安定剤、増粘剤、樹脂、消泡剤、濡れ剤、硬化剤、ブロッキング防止剤、滑剤、防腐剤、無機充填剤などの添加剤を含有して良い。
【0029】
本発明のガスバリア性積層体に用いられる基材としては、本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではなく、所望の用途に応じて樹脂製フィルムや紙や金属箔、木等を適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:リニア低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:未延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム、シクロオレフィンコポリマフィルム等の樹脂製フィルムを用いることができる。また、本発明に用いる基材としては、前記各種基材に下記の蒸着処理を行ったものを用いてもよい。
【0030】
前記基材として樹脂製フィルムを用いる場合は延伸処理を施されたものであってもよく、未延伸フィルムを用いても良い。前記延伸処理を施しているフィルム類は寸法安定性、剛性に優れることからコーティング操作が容易で使いやすい利点があり、未延伸フィルムを用いる場合にも本発明の構成により、バリア機能の強化に大きな効果が得られる。
【0031】
前記延伸処理方法としては、押出製膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的には、ロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
【0032】
前記基材の表面に施される蒸着処理としては、アルミニウム等を用いた金属蒸着処理、二酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム(AlOx)等の無機酸化物を用いた蒸着処理を行うことができる。中でも好適なバリア性能が得られ、ボイル・レトルト耐性に優れ、基材の風合い、質感を損なわない点から二酸化ケイ素、酸化アルミニウムを用いた蒸着処理が好ましい。
【0033】
前記基材の表面に蒸着層を形成する方法としては、本発明の効果が得られる範囲において特に制限されるものではなく、前記無機酸化物をPVD法などの真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)、により基材表面に成膜する方法を選択することができ、蒸着法により処理された基材を用いるとバリア性が向上することから好ましい。
【0034】
前記樹脂製フィルムにアルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルム、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを積層し併用してもよい。このようなフィルムを用いることで、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対するバリア性を備えた積層体とすることができる。
【0035】
前記基材の表面に形成される塗膜の膜厚としては本発明の効果を損なわない範囲において適宜設定することができるが、可撓性と堅牢性を両立できることから5~500nmの範囲であることが好ましく、10~300nmの範囲であることが更に好ましい。
【0036】
本発明のガスバリア性積層体は基材の少なくとも一面に金属アルコキシド(A)含有層と、金属化合物(B)含有層が形成されていることを特徴とするものであり、本発明の効果が得られる範囲において基材上に(A)層と(B)層を順不同で形成してよく、(A)層および(B)層をそれぞれ複数層形成してもよい。前記のように基材上に(A)層と(B)層を形成する順序は特に限定されるものではないが、基材の一面に(A)層、(B)層が順次形成されると特に良好なバリア効果が得られると共に堅牢な積層体が得られることから好ましい。
【0037】
本発明のガスバリア性積層体は、本発明の効果が損なわれない範囲において積層体の最外面に(A)層、(B)層以外の付加的コーティング層を設けてもよい。このような付加的コーティング層としては、更に高いバリア機能を付与することを目的としてポリビニルアルコールや、エチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムや、各種蒸着フィルムの他、アルミ箔などの金属箔による層を用いることができる。付加的コーティング層としては、アルミニウムなどの金属蒸着フィルム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物蒸着フィルムなどが例示できる。またフィルムの種類としては延伸フィルムでも、未延伸フィルムでもよい。
【0038】
本発明の積層体は、上述した構成に加えて、更に他のフィルムや基材を含んでいてもよい。他の基材としては、上述した延伸フィルム、未延伸フィルム、透明蒸着フィルムに加え、後述の紙、木材、皮革等の多孔質の基材を使用することもできる。
【0039】
紙としては、特に限定なく公知の紙基材を使用することができる。具体的には、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。
【0040】
また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。また紙層の外表面または内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。
【0041】
本発明のガスバリア性積層体のより具体的な構成例としては、PETフィルム/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド(A)含有層/金属化合物(B)含有層/CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、PETフィルム/酸化アルミナ蒸着層/金属化合物(B)含有層/金属アルコキシド(A)含有層/CPPフィルムが上げられ、必要に応じてこれらの層間にさらに蒸着層、アンカー層、接着剤層、印刷層等を設けてもよい。また、耐突き刺し性など、より強度が必要な場合にはアルミ蒸着PETフィルム、透明蒸着PETフィルム等に代えて透明蒸着Nyフィルムを用いてもよい。
【0042】
本発明のガスバリア性積層体は、前記のように基材の少なくとも一面に金属アルコキシド(A)含有層と、金属化合物(B)含有層が形成されていることを特徴とするものである。これら(A)含有層と(B)含有層は積層後、層間でイオン架橋等の反応が進行し、より強固なバリア性能を発揮するものである。
【0043】
本発明の積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装体として使用することができる。多層包装体として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
【0044】
本発明の包装体は、前記した構成の積層体を使用し、積層体のシーラントフィルムの面を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして袋状にして得られる。製袋方法としては、本発明の積層体を折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。本発明の包装体としては本発明の効果が好適に発揮されることから、レトルト処理を行う包装体であることが好ましい。
【0045】
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。充填される内容物として、例えば食品としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。
【0046】
また非食品としては、タバコ、使い捨てカイロ、輸液パック等の医薬品、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、化粧水や乳液等の化粧品、真空断熱材等の断熱材、電池等、様々な包装材料としても使用され得る。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0048】
(金属アルコキシド含有コーティング液a-1の調製)
重合度2400のPVA(PVA60-98、クラレ製、完全ケン化PVA)を固形分濃度が5%となるように水/IPA(イソプロピルアルコール)=98/2(質量比)の混合溶媒にて溶解し、PVA溶液を調製した。 次に、テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4、以下「TEOS」と称す。KBE-04、信越化学製)に0.1N塩酸を加え、30分間攪拌し加水分解させて固形分3%(SiO2換算)のTEOS加水分解溶液を調製した。PVA溶液とTEOS加水分解溶液とを、固形分質量比でPVA/TEOS(SiO2換算)が30/70となるように混合し、コーティング液(a-1)を調製した。
【0049】
(金属アルコキシド含有コーティング液a-2の調製)
金属化合物含有コーティング剤a-1におけるTEOSに代えて、アルミニウムトリイソプロポキシド(Al(OC3H7)3、ナカライテスク製)を用いた以外は、同様にコーティング液を調整した。
【0050】
(金属アルコキシド含有コーティング液a-3の調製)
金属化合物含有コーティング剤a-1におけるTEOSに代えて、TEOS/テトライソプロピルチタネート(Ti(OC3H7)4、以下TPTと示す、オルガチックスTA-8、マツモトファインケミカル製)=9/1の混合液を用いた以外は、同様にコーティング液を調整した。
【0051】
(金属アルコキシド非含有コーティング液a-4の調製)
重合度2400のPVA(PVA60-98)を固形分濃度が5%となるように水/IPA=98/2(質量比)の混合溶媒にて溶解し、コーティング液(a-4)を調整した。
【0052】
(金属化合物含有コーティング剤b-1の調製)
蒸留水67.0gに、酸化亜鉛超微粒子(FINEX50、堺化学工業製、平均一次粒子径20nm)を30.0g、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(アロンT-50、東亜合成株式会社製。、固形分濃度40%)を3.0g加えて、高速撹拌機(T.K.フィルミックス、プライミクス株式会社製)を用いて十分に分散させて、100.0gの酸化亜鉛超微粒子水分散液を得た。この酸化亜鉛超微粒子水分散液25.0gに、蒸留水55.1gとポリエステル樹脂水性分散体(エリーテルKT-8803、ユニチカ株式会社製、固形分濃度30重量%、ポリエステル樹脂の数平均分子量:13,000、Tg:65℃、酸価:7mgKOH/g)4.1gと、水分散イソシアネート化合物(デュラネートWB40-100、旭化成製。、固形分濃度100%)0.45gを加えて撹拌した後、IPAを10.3g加えて撹拌し、金属化合物含有コーティング液(b-1)(固形分濃度10重量%)を得た。平均粒径は0.1μmであった。
【0053】
(金属化合物含有コーティング剤b-2の調製)
金属化合物含有コーティング剤b-1においての微粒子酸化亜鉛に代えて、微粒子酸化マグネシウム(MgO)を用いた以外は、同様にコーティング液を調整した。微粒子酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製、平均粒径:0.01μm)を用い、エタノール中に超音波ホモジナイザーを用いて分散させ、MgO含有量30%のサスペンジョンを調製して用いた。平均粒径は0.1μmであった。
【0054】
(金属化合物含有コーティング剤b-3の調製)
金属化合物含有コーティング剤b-1の微粒子酸化亜鉛に代えて、炭酸カルシウム(CaCO3)を用いた以外は、同様にコーティング液を調整した。炭酸カルシウムは、和光純薬工業(株)製試薬を用い、メノウ製のすり鉢で微粉化し、エタノール中に超音波ホモジナイザーを用いて分散させ、CaCO3含有量30%のサスペンジョンを調製して用いた。平均粒径は0.1μmであった。
【0055】
(金属化合物含有コーティング剤b-4の調製)
MEK(メチルエチルケトン)45部及び酢酸エチル45部に対し、ポリエステル樹脂(バイロンGK-360、東洋紡製、数平均分子量:16,000、Tg:56℃)を5部加え加温溶解させた後に、テトラブトキシドチタン(Ti(OC4H9)4、オルガチックス TA-21、マツモトファインケミカル製)を5部加え撹拌し、固形分濃度10%の金属化合物含有コーティング液(b-4)を得た。
【0056】
(金属化合物含有コーティング剤b-5の調製)
金属化合物含有コーティング剤b-1の微粒子酸化亜鉛に代えて、酢酸亜鉛(Zn(AcO)2)を用いた以外は、同様にコーティング液を調整した。酢酸亜鉛は和光純薬工業(株)製を用いた。
【0057】
(金属化合物含有コーティング剤b-6の調製)
金属化合物含有コーティング剤b-1の微粒子酸化亜鉛に代えて、粒径の異なる微粒子酸化亜鉛(FINEX50、堺化学工業製、平均一次粒子径60nm)を用いた以外は、同様にコーティング液を調整した。平均粒径は0.6μmであった。
【0058】
(金属化合物非含有コーティング剤b-7の調製)
ポリエステル樹脂水性分散体(エリーテルKT-8803、ユニチカ株式会社製)30gを蒸留水50.0gとIPA10.0gを加えて撹拌し、金属化合物非含有コーティング液(b-5)(固形分濃度10%)を得た。
【0059】
(実施例1)
酸化アルミナ蒸着PETフィルム(バリアロックス1011HG、東レフィルム加工株式会社製)の蒸着層の上にバーコーターで金属アルコキシド含有コーティング剤a-1を塗工し、120℃にセットした熱風乾燥機中で1分間乾燥させ乾燥膜厚約0.3μmの金属アルコキシド含有層A-1を形成した。その後、金属化合物含有コーティング液b-1を層A-1の上にバーコーターで塗工し、80℃設定の乾燥機中で1分間乾燥させ乾燥膜厚約0.3μmの金属化合物含有層B―1を形成した。続いてディックドライLX-703VLとKR-90(いずれもDIC製)を15/1の配合比で配合し、不揮発分が25%となるように酢酸エチルを配合して得た接着剤を、乾燥膜厚が2.5μmになるように金属化合物含有層B―1の上に塗工し、温度50℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させた後、CPPフィルム(ZK207、東レフィルム加工製)と貼り合わせた。40℃で3日間エージングを行い評価用の積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を得た。
【0060】
(実施例2~6)
金属化合物含有コーティング液b-1の代わりに、金属化合物含有コーティング液b-2~6を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-2~6/接着剤/CPP]を製造した。
【0061】
(実施例7~8)
金属アルコキシド含有コーティング液a-1の代わりに、金属アルコキシド含有コーティング液a-2~3を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A-2~3/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0062】
(実施例9)
酸化アルミナ蒸着PETフィルムの代わりに、酸化アルミナ蒸着OPPフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして積層体[OPP/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。酸化アルミナ蒸着OPPフィルムは、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(FOR、フタムラ化学製、厚さ20μm)の上にアクリル系コート剤(GAC-013S、DIC製)とポリイソシアネート系硬化剤(KR-90、DIC製)を混合比が5:1になるように配合し得たアンカーコーティング液を乾燥膜厚が約0.05μmになるようにグラビアコート法によって塗布乾燥した後に、電子線加熱方式による真空蒸着装置において、金属アルミニウムを蒸着させると共に酸素ガスを導入して、アンカーコート層の上に厚さ20nmの酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層を形成することで作成した。
【0063】
(実施例10)
酸化アルミナ蒸着PETフィルムの代わりに、アルミ蒸着PETフィルム(VM-PET1310、東レフィルム加工製)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/アルミ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0064】
(実施例11)
酸化アルミナ蒸着PETフィルムの代わりに、シリカ蒸着PETフィルム(テックバリアL、三菱ケミカル製)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/シリカ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0065】
(実施例12)
酸化アルミナ蒸着PETフィルムの代わりに、PETフィルム(E5102、東洋紡製)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0066】
(実施例13)
金属化合物含有コーティング液b-1と金属アルコキシド含有コーティング液a-1の塗装順を逆にした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属化合物含有層B-1/金属アルコキシド含有層A―1/接着剤/CPP]を製造した。
【0067】
(実施例14)
金属アルコキシド含有コーティング液a-1の塗装において、乾燥膜厚を0.1μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0068】
(実施例15)
金属アルコキシド含有コーティング液a-1の塗装において、乾燥膜厚を1.0μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0069】
(実施例16)
金属化合物含有コーティング液b-1の塗装において、乾燥膜厚を0.1μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0070】
(実施例17)
金属化合物含有コーティング液b-1の塗装において、乾燥膜厚を1.0μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0071】
(比較例1)
金属化合物含有層Bを省略した以外は実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0072】
(比較例2)
金属化合物含有コーティング剤b-1の代わりに金属化合物非含有コーティング剤b-7を用い、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物非含有層B-7/接着剤/CPP]を得た。
【0073】
(比較例3)
金属アルコキシド含有層Aを省略した以外は実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属化合物含有層B―1/接着剤/CPP]を製造した。
【0074】
(比較例4)
金属アルコキシド含有コーティング液a-1の代わりに、金属アルコキシド非含有コーティング液а―4を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド非含有層A―4/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0075】
(比較例5)
金属アルコキシド含有コーティング液a-1の塗装において、乾燥膜厚を0.05μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0076】
(比較例6)
金属アルコキシド含有コーティング液a-1の塗装において、乾燥膜厚を2.0μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0077】
(比較例7)
金属化合物含有コーティング液b-1の塗装において、乾燥膜厚を0.05μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0078】
(比較例8)
金属化合物含有コーティング液b-1の塗装において、乾燥膜厚を2.0μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/酸化アルミナ蒸着層/金属アルコキシド含有層A―1/金属化合物含有層B-1/接着剤/CPP]を製造した。
【0079】
(比較例9)
酸化アルミナ蒸着PETフィルムの代わりに、PETフィルムを用い、また金属化合物含有層B-1を省略した以外は、実施例1と同様にして積層体[PET/金属アルコキシド含有層A―1/接着剤/CPP]を製造した。
【0080】
<評価>
(酸素バリア性)
エージングが終了した積層体を10cm×10cmのサイズに調整し、OX-TRAN2/21(モコン社製:酸素透過率測定装置)を用い、JIS-K7126(等圧法)に準じ、23℃0%RHの雰囲気下で酸素透過率を測定した(単位はcc/m2・day・atm)。なおRHとは、湿度を表す。
【0081】
<評価>
(レトルト処理後酸素バリア性)
エージングが終了した積層体を用いて、3辺をシール部とする縦210mm×横150mmの大きさのパウチを作製し、内容物として水を充填した。その後、121℃、30分間レトルト殺菌処理を行い、上記酸素バリア性の測定方法に従いレトルト殺菌処理後の酸素透過率を測定した。
【0082】
<評価>
(フィルム透明性)
エージングが終了した積層体を10cm×10cmのサイズに調整し、ヘーズメーターNDH5000(日本電色製)を用い、JIS-K7136に準じ、ヘイズを測定した(単位は%)。結果を以下の3段階で評価した。
〇:6未満
△:6以上10未満
×:10以上
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
表1~5より明らかなように、金属アルコキシド含有層と金属化合物含有層の組み合わせによってレトルト処理後のバリア性の劣化の少ないバリア積層体を得ることができた。