(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】電池管理システム装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20230502BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230502BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230502BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20230502BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20230502BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/02 H
H04B5/02
G01R31/382
(21)【出願番号】P 2019063146
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】疋田 智浩
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-142083(JP,A)
【文献】国際公開第2006/080300(WO,A1)
【文献】特開2003-243015(JP,A)
【文献】特開2013-140055(JP,A)
【文献】特開2012-222913(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092562(WO,A1)
【文献】特開2019-057440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H04B5/00-5/06
H01M10/42-10/48
G01R31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの状態情報を検出する電池監視ユニットと、第1の磁界アンテナを有し、前記電池監視ユニットから前記バッテリの状態情報を受けて磁界結合を介して通信を行う無線制御ユニットとを有す
る検出ユニットと、
磁束中心軸が前記第1の磁界アンテナの磁束中心軸と一致するように設けられた第2の磁界アンテナを有し、前記磁界結合を介して前記無線制御ユニットと前記バッテリの状態情報の通信を行う電池管理ユニットと、
を備え
、
複数の前記検出ユニットは並んで設けられ、
複数の前記無線制御ユニットの複数の前記第1の磁界アンテナの磁束中心軸と前記電池管理ユニットの第2の磁界アンテナの磁束中心軸とが一致するように設けられる電池管理システム装置。
【請求項2】
前記検出ユニットの前記無線制御ユニットは、前記第1の磁界アンテナと並んで設けられた第3の磁界アンテナを更に有し、前記第1の磁界アンテナの磁束中心軸と前記第3の磁界アンテナの磁束中心軸とが一致するように設けられている請求項
1記載の電池管理システム装置。
【請求項3】
前記検出ユニットの前記無線制御ユニットは、前記バッテリの状態情報の中継通信を行う機能を有する請求項
1又は2に記載の電池管理システム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池等のバッテリの状態情報を管理する電池管理システム装置に関し、例えば電気自動車等に搭載される磁界通信の電池管理システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に設けられ直列接続された複数のセルを有するバッテリの状態情報を検出するバッテリ監視装置を開示している。バッテリ監視装置は、各々がバッテリ上に設けられバッテリの状態情報を検出する回路を有した基板及び基板上に設けられ電磁波を介して非接触通信を行う第1のアンテナを有した複数の検出ユニットと、バッテリに搭載され電磁波を介して第1のアンテナと非接触通信を行う第2のアンテナを有した搭載部材と、を有する。第1のアンテナは、バッテリの状態情報を第2のアンテナに転送し、第2のアンテナは、第1のアンテナから転送されたバッテリの状態情報を上位の機器に転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバッテリ監視装置の構成では、検出ユニット毎の第1のアンテナと、搭載部材の第2のアンテナがそれぞれ1対1で通信を行い、複数の検出ユニットのブロック数分だけ搭載部材側にアンテナ部分が必要となる。よって、ブロック数が増えると搭載部材側の面積が大きくなり、電池管理システム装置全体として小型化できないという問題があった。また、隣り合う搭載部材同士が混信しないように、搭載部材の間の距離を離さなければならなかった。
【0005】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、小型化が可能な電池管理システム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池管理システム装置は、バッテリの状態情報を検出する電池監視ユニットと、第1の磁界アンテナを有し、前記電池監視ユニットから前記バッテリの状態情報を受けて磁界結合を介して通信を行う無線制御ユニットとを有する少なくとも1つの検出ユニットと、
磁束中心軸が前記第1の磁界アンテナの磁束中心軸と一致するように設けられた第2の磁界アンテナを有し、前記磁界結合を介して前記無線制御ユニットと前記バッテリの状態情報の通信を行う電池管理ユニットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電池監視ユニットと電池管理ユニットの間で配線接続や絶縁対策が不要となり、電池システムの軽量化や小型化となる。電気自動車等では、電池システムの軽量化により航続距離の延長となるため、自動車の価値を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施例の電池管理システム装置の概略斜視図である。
【
図2】第1の実施例の電池管理システム装置を説明するためのシステム構成図である。
【
図3】第1の実施例の電池管理ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施例の無線制御ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施例の電池管理システム装置を説明するためのシステム構成図である。
【
図6】第2の実施例の電池管理システム装置の動作における通信の組み合わせを示す概略構成図である。
【
図7】第3の実施例の電池管理システム装置の動作における通信の組み合わせを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例について説明する。なお、実施例において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
(第1の実施例)
図1は、本実施例の電池管理システム装置の概略斜視図である。電池管理システム装置は、1つの電池管理ユニットECUと複数の検出ユニットDTU1、DTU2、DTU3、DTU4(4個)とから構成されている。電池管理ユニットECUは、電池システム全体を管理する電子制御ユニットであり、各電池セルの状態を管理する。検出ユニットDTU1、DTU2、DTU3は電池監視ユニット21、22、23、24と無線制御ユニット41、42、43、44のそれぞれを含み、電池監視ユニット21、22、23、24は電池ブロック31、32、33、34にそれぞれ接続されている。但し、電池ブロックのブロック数は電池監視ユニット数と同じでシステムによって増減する。検出ユニットDTUを4つのユニットにしているのは参考例であり、システムによってユニット数は増減する。
【0011】
電池監視ユニット21、22、23、24は、電池ブロック31、32、33、34に収容される各電池セルを管理し、電圧及び温度の監視や、複数電池セルの場合は電池セルのバランス調整を行う。
【0012】
電池ブロック31、32、33、34は、1つまたは複数の電池を直列に接続したブロックである。これら電池ブロックが直列または並列接続され、モーター等の他の機能ブロックの電源として供給される。
【0013】
無線制御ユニット41、42、43、44は、磁界アンテナs1、s2、s3、s4を介して電池管理ユニットECUと電池監視ユニット21、22、23、24の間のデータ送受信を制御する。
【0014】
図1に示すように、本実施例では、電池管理ユニットECUの基準面はXYZ座標系においてXY面に平行な面とし、その読取り及び書込み用のループ磁界アンテナm1の開口面となるべき面とする。当該磁界アンテナm1の開口面は、磁界アンテナm1による磁場MFが垂直方向(Z方向)に発生する面である。そして、縦長の直方体である検出ユニットDTU1、DTU2、DTU3、DTU4の各々は、基準面(XY面)に対して平行となるように、すなわち各検出ユニットの各面のうち主表面と裏面とがX方向に平行に延びるように設置される。
図1に示すように、検出ユニットDTU1、DTU2、DTU3、DTU4のそれぞれは、表面及び裏面がXY面に平行になった状態で無線制御ユニット41、42、43、44が積み重ねて置かれている。
【0015】
磁界アンテナs1、s2、s3、s4のそれぞれは、検出ユニットDTUの片端部に設けられており、電池管理ユニットECUの磁界アンテナm1からの無線信号(通信信号等)を含む電磁波を受信する。そのため、
図1に示すように、無線制御ユニット41、42、43、44と電池管理ユニットECUは、無線制御ユニットの磁界アンテナs1、s2、s3、s4の磁束Tの中心軸Aと電池管理ユニットECUの磁界アンテナm1の磁束Tの中心軸Bとが一致するように、配置されている。ここで、「磁束中心軸が一致する」とは、ループ半径の1/2の距離範囲内に該軸があることとする。本実施例の磁界アンテナm1、s1、s2、s3、s4のそれぞれは、開口面の中心に関して、点対称な対称性を有する対称形状となっている。すなわち、磁界アンテナs1、s2、s3、s4のそれぞれを構成するループ状の配線の外観形状は、例えば磁界アンテナの磁束中心軸に(Z軸まわりに)半回転させるとそれ自身と重なるようになっている。このような対称形状の磁界アンテナm1、s1、s2、s3、s4は、例えば、プリント基板上に形成された配線パターンや誘電体製の円筒にエナメル線等を巻き付けることで環状に形成され得る。また、この場合、磁界アンテナm1、s1、s2、s3、s4のそれぞれは、立体的な3次元形状となる。また、磁界アンテナとして、導電パターンとして形成される多層プリント基板として、例えば4個の配線層を有する4層プリント基板が使用されることができ、この場合、配線層毎に渦巻き状導電パターンを形成し、ランド及びスルーホールに接続してヘリカルコイルアンテナを形成してもよい。磁界アンテナを同一形状とすることにより、共振周波数にて効率の良い通信が可能となる。なお、磁界アンテナの自己共振周波数から離れた周波数帯での搬送波を用いる。
【0016】
図2は第1の実施例の電池管理システム装置を説明するためのシステム構成図である。後述するように無線制御ユニット41、42、43、44は、電源及びクロックを有する。これにより、磁界結合で電力を送ることが不要となり、また磁界の周波数からクロックを検出する必要がなくなるため、長距離通信が可能となる。無線制御ユニット41、42、43、44は、NFC通信やQi通信のように電源及びクロックを有さないアンテナで受信した磁界から電源及びクロックを生成するものではない。
【0017】
また、本実施例においては磁界発生方向が重なり互いに積極的に干渉をさせている。本実施例においては電界アンテナと比べると磁界アンテナの配置が異なる。電界アンテナでは、一般的にそれぞれの磁界発生方向が並行になるよう配置し互いに干渉しないようになされる。
【0018】
(動作の説明)
第1の実施例の動作について説明する。電池管理ユニットECUの要求により磁界アンテナm1に磁界が発生すると、磁界アンテナs1、s2、s3、s4は磁界を受けて同時に受信を開始する。電池管理ユニットECUが予めデータの中に無線制御ユニット41、42、43、44の内のどの無線制御ユニットへのデータかを示す番号情報を付与しておき、対象の無線制御ユニットのみがデータの送受信を行う。
【0019】
(効果の説明)
以上のように、第1の実施例によれば、磁界アンテナ配置を変更することで、以下の効果が期待できる。
【0020】
電池管理ユニットECUの磁界アンテナが1つで済むようになり、また特定の磁界アンテナ間の干渉を気にする必要がなくなるため、電池管理システム装置全体を小型化することができる。
【0021】
図3は、第1の実施例の電池管理ユニットECUの構成例を示すブロック図である。
【0022】
電池管理ユニットECUは磁界アンテナm1を備えている。電池管理ユニットECUは、さらに、電源回路1、記憶部2、外部インターフェイス3、マイクロプロセッサ4、デジタル信号処理部5、発振回路6と、変調回路7と、送信増幅8と、検波復調、増幅及びフィルタリングを行う受信部9と、から構成される。電源回路1は、電池管理ユニットECUの各部に電源を供給する。外部インターフェイス3は、上位装置(図示せず)と信号のやり取りを行うための通信部である。外部インターフェイス3を介して外部とやりとりされるコマンドや応答信号は、マイクロプロセッサ4との間でやり取りされる。記憶部2には、マイクロプロセッサ4が動作するための制御プログラムが記憶されており、マイクロプロセッサ4により必要に応じてデータの読み出しと書き込みとが行われる。
【0023】
電池管理ユニットECUは、無線制御ユニット41と通信するための制御プログラム及び無線制御ユニット41の相関データとが組み込まれており、予め決められた制御プログラムに従って、無線制御ユニット41に対してコマンドを送信データとして送出する。電池管理ユニットECUは、コマンドに従ったデジタル送信データを、デジタルデータをRF(Radio Frequency)信号に変換する。このRF信号は、磁界アンテナm1に給電され、空間に送信電磁波として放射される。送信電磁波が放射された空間にはRF磁界が発生する。
【0024】
予め記憶され制御プログラムによるコマンドの他、外部インターフェイス3を介して入力されたコマンドもマイクロプロセッサ4の制御動作に従って、送信データとして出力される。マイクロプロセッサ4から出力された送信データは、デジタル信号処理部5に出力され、ここでデジタル符号化されたデジタル送信データを外部へ出力する。出力されたデジタル送信データは変調回路7へ入力される。
【0025】
変調回路7は、デジタル送信データによって発振回路6で発生される搬送波を変調する。変調された搬送波は、送信増幅器20において電力増幅され、磁界アンテナm1に給電され、空間に送信電磁波として放射される。
【0026】
一方、磁界アンテナm1において受信された無線制御ユニット41からの受信電磁波は、磁界アンテナm1上に送信増幅器20から給電される増幅後の送信信号に重畳する電力として現れる。磁界アンテナm1の給電点に現れる送受信重畳電力は、受信部9に入力されて、ここでフィルタリングされ、送信増幅8から出力されて磁界アンテナm1に給電される送信データと振り分けされ、受信信号として増幅され検波復調において受信信号の搬送波から受信データを検波復調し、受信部9がデジタル受信データを生成する。このデジタル受信データは、受信部9から出力され、デジタル信号処理部5に入力される。
【0027】
デジタル信号処理部5は、デジタル受信データを復号化し、さらに受信データを生成し出力する。この受信データはマイクロプロセッサ4に入力され、制御プログラムに従った処理が行われ、外部インターフェイス3を介して応答信号が出力される。以上の手順により、無線制御ユニット41とのデータ通信が実現できる。
【0028】
図4は、代表として無線制御ユニット41の構成例を示す。無線制御ユニット41、42、43、44は同様の構成を有する。
図4に示すように、本実施例による無線制御ユニット41は、電池管理ユニットECUに送信される電磁波の電磁結合手段である磁界アンテナs1を有する。無線制御ユニット41は、端部に磁界アンテナs1を搭載しており、これにより電池管理ユニットECUの磁界アンテナm1から放射されるRF磁界を介して無線通信を行う。
【0029】
無線制御ユニット41は、更に、キャパシタ10と整合部11と、変調器12と、コマンド部13と、クロック発生回路14と、CPU15と、メモリ16と、内部インターフェイス17と、小型電源18(又は電池ブロックからの電力線)とを含んで構成される。このメモリ16は不揮発性メモリであり、これには、CPU15が動作するための制御プログラム(例えば、バッテリの状態情報の中継通信を行う機能のプログラム)が記憶されており、CPU15により必要に応じてデータの読み出しと書き込みとが行われる。内部インターフェイス17は、電池監視ユニット21と信号のやり取りを行うための通信部であり、電池ブロック31のバッテリの状態情報を取得して、該情報をメモリ16に格納する。
【0030】
本実施例による電源を搭載した無線制御ユニット41は、小型電源18(又は電池ブロックからの電力線)を内蔵している。小型電源18が消耗することによる電池交換は必要になるが、無電源のものと比較して、安定したより大きな電流供給が可能であるため、通信距離が大きく取れるという利点がある。
【0031】
電池管理ユニットECUから放射される電磁波は、無線制御ユニット41の磁界アンテナs1により受信される。この装置では、磁界アンテナs1のインダクタンスとキャパシタ10のキャパシタンスとにより並列共振回路を構成し、受信電磁波に共振するように調節される。共振回路の共振周波数と同一の周波数の搬送波を受信した場合、上記並列共振回路は、共振現象を誘起し高い誘起電圧を得る。整合部11は、磁界アンテナs1とキャパシタ10とのインピーダンスマッチングを行い、受信信号を得る。さらに受信信号は、コマンド部13にて復調復号化されて受信コマンドを生成、すなわち、受信信号の搬送波成分からのデータの復調分離を行う。
【0032】
CPU15は、クロックに同期したコマンドから、予め決められた手順により動作する。CPU15は、受信コマンドの受付を行う。メモリ16は、無線制御ユニット41固有のID(番号)等のデジタル情報も記憶されている。CPU15は、受付した受信コマンドの情報から、メモリ16に記憶されている固有IDを比較し、自分が通信対象であることを判断する。通信対象であった場合、CPU15は、メモリ16に記憶された情報(番号)を、変調器12に入力し、これより符号化変調が行われる。符号化変調された信号は、送信信号として整合部11に入力されて磁界アンテナs1に給電されて再び電磁波として放射される。以上の手順により、電池管理ユニットECUとのデータ通信が開始できる。
【0033】
自己が電池管理ユニットECUに対して通信対象であるとの条件判断処理を行った無線制御ユニット41は、電池監視ユニット21との通信処理後のメモリ16に格納されている電池ブロック31のバッテリの状態情報のデータをRF信号に変換して磁界アンテナs1から空間に受信電磁波として放射する。
【0034】
無線制御ユニット41から放射された受信電磁波は、電池管理ユニットECUの磁界アンテナm1で受信され、受信された電磁波はデジタル受信データに変換される。
【0035】
デジタル受信データは、復号化され、バッテリの状態情報の信号として予め決められた通信プロトコルに従って電池管理ユニットECUの外部へ出力される。応答信号は上位装置(図示せず)に入力され、制御ソフトに準じた処理が行われる。
【実施例2】
【0036】
(第2の実施例)
図5は第2の実施例の電池管理システム装置を説明するためのシステム構成図である。本実施例の電池管理システム装置は、第1の実施例の無線制御ユニット41、42、43、44のそれぞれに磁界アンテナs1、s2、s3、s4と同じ機能(形状)を持つ追加の磁界アンテナs11、s12、s13、s14を追加し、且つ磁界アンテナm1と同じ機能(形状)を持つ追加の磁界アンテナm11を電池管理ユニットECUに追加した以外、第1の実施例と同一である。なお、第1の実施例と比較して磁界アンテナ数が2倍となるが、第1の実施例の隙間に磁界アンテナを増やせばよいので電池システムの大きさへの影響はない。
【0037】
(動作の説明)
図6は第2の実施例の電池管理システム装置の動作における通信の組み合わせを示す概略構成図である。第2の実施例の基本的な動作は第1の実施例と同じであるが、違いとして、電池管理ユニットECUと無線制御ユニット41、42、43、44がそれぞれ2つの磁界アンテナを持つ点である。電池管理ユニットECU側の磁界アンテナm1、m11は、
図6の線分に示すように、無線制御ユニット41、42、43、44側の全ての磁界アンテナs1、s2、s3、s4、s11、s12、s13、s14と通信することができる。
【0038】
以上のように、第2の実施例によれば追加の磁界アンテナm11、s11、s12、s13、s14を追加することで、以下の効果が期待できる。
【0039】
電池管理ユニットECUと無線制御ユニット41、42、43、44がそれぞれ2つの磁界アンテナを持つことにより、電池管理システム装置全体の大きさを変えることなく、磁界通信経路の信頼性を向上させることができる。
【実施例3】
【0040】
(第3の実施例の説明)
本実施例の電池管理システム装置は、第2の実施例と、無線制御ユニット41、42、43、44において動作するための制御プログラムにおけるバッテリの状態情報の中継通信を行う機能のプログラムを起動させた以外、第2の実施例と同一である。なお、バッテリ状態情報の中継通信を行う機能のプログラムを用いる構成とする以外に、専用のハードウェアを無線制御ユニット41、42、43、44に設けてもよい。
【0041】
無線制御ユニット41、42、43、44は、自身マスター送信する機能を持つ。すなわち、無線制御ユニット41、42、43、44のいずれのユニット間でもデータ送受信が可能となる。これにより、無線制御ユニット41、42、43、44の何れかが電池管理ユニットECUと通信する際に、自身以外の他の無線制御ユニットを介した間接的な通信もすることが可能となる。
【0042】
(動作の説明)
図7は第3の実施例の電池管理システム装置の動作における通信の組み合わせを示す概略構成図である。第3の実施例によれば以下の効果が期待できる。
【0043】
第3の実施例によれば、
図7の線分に示すように、磁界通信のメッシュネットワークを形成することが可能となり、外部環境の変化や経年劣化による特性の変化により特定の磁界アンテナ間通信に問題が発生しても、別の経路で電池管理ユニットECUと無線制御ユニット41、42、43、44の通信を確立することができ、通信の信頼性を確保できる。
【0044】
いずれの実施例においても、電池ブロック及び電池監視ユニット及び無線制御ユニット及び磁界アンテナの数を変更することで、電気自動車のような大型の製品からロボット掃除機のような小型の製品まで、電池を搭載する様々な製品に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
21、22、23、24…電池監視ユニット、
31、32、33、34…電池ブロック、
41、42、43、44…無線制御ユニット、
ECU…電池管理ユニット、
DTU1、DTU2、DTU3、DTU4…検出ユニット、
m1、m11、s1、s2、s3、s4、s11、s12、s13、s14…磁界アンテナ。