(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ポップコーン用油脂組成物
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20230509BHJP
A23L 7/161 20160101ALI20230509BHJP
【FI】
A23D9/00 506
A23L7/161
(21)【出願番号】P 2019002252
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2018004586
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(72)【発明者】
【氏名】石田 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 利佳
(72)【発明者】
【氏名】小薗 伸介
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0049362(US,A1)
【文献】特開平08-280345(JP,A)
【文献】米国特許第05362504(US,A)
【文献】特開2004-283059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 9/00
A23L 7/161
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂および、構成脂肪酸がオレイン酸である乳化剤を含有するポップコーン用油脂組成物であって、
前記乳化剤が、有機酸モノオレイン酸グリセリドであり、前記乳化剤を0.01質量%以上
2質量%以下含有する前記油脂組成物。
【請求項2】
前記乳化剤が、
クエン酸モノオレイン酸グリセリドである、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項3】
前記乳化剤のHLB値が4以上10以下である、請求項1または2に記載の油脂組成物。
【請求項4】
前記食用油脂のヨウ素価が10以上180以下である、請求項1乃至
3いずれか一項に記載の油脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至
4いずれか一項に記載の油脂組成物とコーンとを接触させる工程を含む、ポップコーンの製造方法。
【請求項6】
ポップコーンの製造において、
食用油脂および、有機酸モノオレイン酸グリセリドを0.01質量%以上5質量%以下含有するポップコーン用油脂組成物とコーンとを接触させることを特徴とする、保存後のポップコーンのサクサク感を保持する方法。
【請求項7】
ポップコーンの製造において
、有機酸モノオレイン酸グリセリ
ドを0.01質量%以上5質量%以下含有するポップコーン用油脂組成物とコーンとを接触させることを特徴とする、ポップコーンのサクサク感を向上させる方
法。
【請求項8】
ポップコーンの製造において、100質量部のコーンを、10質量部以上50質量部以下のポップコーン用油脂組成物と接触させることを特徴とする、ポップコーンのコーン皮の口残りを低減する方法であって、前記油脂組成物が有機酸モノオレイン酸グリセリドを0.3質量%以上1質量%以下含有する前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポップコーン用油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポップコーンは、乾燥させた爆裂種のトウモロコシの実を、フライパンなどで炒って、膨化させた食品であり、サクサクした食感が幅広い年代で親しまれている。中でも、映画館などで映画を見ながら、食べられる食品として人気がある。映画の上映時間は数時間であり、ポップコーンは上映中に食べきれる量が販売・提供される。また、調製したポップコーンは販売・提供されるまで、ホッター等で保温保管されることがある。しかしながら、ポップコーンは食感が経時的に変化しやすいため、時間経過とともにサクサクした食感が失われてしまう。そのため、製造後から数時間保管してもサクサクした食感が保持できる手段が切望されている。
【0003】
ポップコーン用の油脂組成物として、ポップコーンに振りかけて多様な味付けをする目的で、融点が30~50℃の油脂を含有する成形物からなることを特徴とするポップコーン用振りかけ調味料が開示されている(特許文献1)。また、電子レンジによりポップコーンを作る目的で、油脂、粉末状調味料等からなり、任意のサイズに成形したことを特徴とするポップコーン用油脂が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-303902号公報
【文献】特開2003-265106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、特許文献1および特許文献2ともポップコーンのサクサク感が保存後も保持できることや向上することについて開示も示唆もされていない。
【0006】
本発明の目的は、保存後のポップコーンのサクサク感を保持できるポップコーン用油脂組成物、ポップコーンのサクサク感を向上できるポップコーン用油脂組成物、および、ポップコーンのコーン皮の口残りを低減できるポップコーン用油脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の乳化剤を特定量含有するポップコーン用油脂組成物を用いれば、保存後のポップコーンのサクサク感を保持できること、ポップコーンのサクサク感を向上できること、およびポップコーンのコーン皮の口残りを低減できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、食用油脂および、構成脂肪酸がオレイン酸である乳化剤を含有するポップコーン用油脂組成物であって、前記油脂組成物中、前記乳化剤を0.01質量%以上5質量%以下含有する前記油脂組成物である。
【0009】
前記乳化剤は、ポリグリセリンオレイン酸エステルおよび有機酸モノオレイン酸グリセリドからなる群から選択される1種または2種であることが好ましい。
【0010】
前記乳化剤のHLB値は、4以上10以下であることが好ましい。
【0011】
前記ポリグリセリンオレイン酸エステルのポリグリセリンの平均重合度は、2以上20以下であることが好ましい。
【0012】
前記食用油脂のヨウ素価は、10以上180以下であることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、前記油脂組成物とコーンとを接触させる工程を含む、ポップコーンの製造方法である。
【0014】
また、本発明は、ポップコーンの製造において、前記油脂組成物とコーンとを接触させることを特徴とする、保存後のポップコーンのサクサク感を保持する方法である。ここでサクサク感とは、歯切れがよく軽い食感を意味する。
【0015】
また、本発明は、ポップコーンの製造において、ポリグリセリンオレイン酸エステルおよび有機酸モノオレイン酸グリセリドからなる群から選択される1種または2種である乳化剤を0.01質量%以上5質量%以下含有するポップコーン用油脂組成物とコーンとを接触させることを特徴とする、ポップコーンのサクサク感を向上させる方法であって、前記ポリグリセリンオレイン酸エステルのポリグリセリンの平均重合度が2以上8以下である、前記方法である。
【0016】
また、本発明は、ポップコーンの製造において、100質量部のコーンを、10質量部以上50質量部以下のポップコーン用油脂組成物と接触させることを特徴とする、ポップコーンのコーン皮の口残りを低減する方法であって、前記油脂組成物が有機酸モノオレイン酸グリセリドを0.3質量%以上1質量%以下含有する、前記方法である。ここでポップコーンのコーン皮の口残りとは、ポップコーンを咀嚼した際に、膨化した部分よりもコーン皮が口の中に残る状態を意味する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のポップコーン用油脂組成物を用いれば、保存後のポップコーンのサクサク感を保持することができ、ポップコーンのサクサク感を向上でき、さらにポップコーンのコーン皮の口残りを低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のポップコーン用油脂組成物は、食用油脂及び構成脂肪酸がオレイン酸である乳化剤を含有し、前記乳化剤を0.01質量%以上5質量%以下含有する。保存後のポップコーンのサクサク感を保持する観点および、ポップコーンのサクサク感を向上させる観点から、前記乳化剤の含有量は、0.1質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましく、0.4質量%以上0.7質量%以下がさらにより好ましい。また、ポップコーンのコーン皮の口残りを抑制する観点から、前記乳化剤の含有量は、0.3質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上0.7質量%以下がより好ましい。
【0019】
前記乳化剤は、構成脂肪酸がオレイン酸であればよいが、保存後のポップコーンのサクサク感を保持する観点および、ポップコーンのサクサク感を向上させる観点から、ポリグリセリンオレイン酸エステルおよび有機酸モノオレイン酸グリセリドからなる群から選択される1種または2種であることが好ましく、ポリグリセリンオレイン酸エステルおよびクエン酸モノオレイン酸グリセリドからなる群から選択される1種または2種であることがより好ましく、クエン酸モノオレイン酸グリセリドがさらに好ましい。また、ポップコーンのコーン皮の口残りを抑制する観点から、クエン酸モノオレイン酸グリセリドが好ましい。
【0020】
前記乳化剤のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値は、保存後のポップコーンのサクサク感を保持する観点から、4以上10以下であることが好ましく、5以上9以下であることがより好ましく、6以上8以下であることがさらに好ましく、6.5以上7.7以下であることがさらにより好ましい。
【0021】
前記ポリグリセリンオレイン酸エステルのポリグリセリンの平均重合度は、保存後のポップコーンのサクサク感を保持する観点から、2以上20以下が好ましく、2以上15以下がより好ましく、2以上10以下がさらに好ましく、2以上8以下がさらにより好ましく、4以上7以下が殊更好ましい。また、ポップコーンのサクサク感を向上させる観点から、2以上8以下が好ましく、4以上7以下がより好ましい。
【0022】
本発明のポップコーン用油脂組成物が含有する食用油脂は、食用として用いられている油脂であれば特に限定されない。前記食用油脂に用いられる原料油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油等の植物油脂、魚油、豚脂、牛脂、乳脂等の動物油脂、及びこれらに、エステル交換、水素添加、分別からなる群から選ばれる1または2以上の加工がなされた加工油脂等が挙げられる。前記食用油脂は、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、パーム油、パーム油の加工油脂、パーム核油、ヤシ油からなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましく、コーン油、パーム油の加工油脂、パーム核油、ヤシ油からなる群から選択される1種または2種以上を含むことがより好ましく、コーン油、パーム分別油、パーム核油、ヤシ油からなる群から選択される1種または2種以上を含むことがさらに好ましく、コーン油、パームオレイン、パーム核油からなる群から選択される1種または2種以上を含むことがさらにより好ましい。
【0023】
前記食用油脂のヨウ素価は10以上180以下であることが好ましく、13以上130以下であることがより好ましく、16以上100以下であることがさらに好ましいが、前記食用油脂が2種以上の原料油脂を混合したものであるときは、食用油脂のヨウ素価が上記範囲に入っていればよく、原料油脂は上記範囲から外れていてもよい。
【0024】
本発明のポップコーン用油脂組成物中の食用油脂の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上がさらにより好ましく、99質量%以上が殊更好ましく、99.3質量%以上が最も好ましい。上限は特にないが、本発明のポップコーン用油脂組成物中の前記食用油脂と前記乳化剤との合計量が、100質量%以下であることが好ましい。
【0025】
本発明のポップコーン用油脂組成物は、保存後のポップコーンのサクサク感を保持する観点および、ポップコーンのサクサク感を向上させる観点から、水分含有量が1質量%以下であることが好ましい。
【0026】
本発明のポップコーン用油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、通常、食用油脂に用いられる成分を含有することができる。前記成分としては、特に限定されないが、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物等の抗酸化剤;カロテン等の着色料;香料;シリコーン;レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノ脂肪酸グリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の構成脂肪酸がオレイン酸以外の乳化剤等が挙げられる。
【0027】
本発明のポップコーン用油脂組成物を製造する方法は、食用油脂に構成脂肪酸がオレイン酸である乳化剤を添加し、乳化剤添加食用油脂を得る工程を含む。さらに、前記食用油脂を加熱する工程、前記乳化剤添加食用油脂中の乳化剤を食用油脂に溶解させる工程、前記乳化剤添加食用油脂を急冷練り合わせし可塑性油脂組成物を得る工程を含んでいてもよい。
【0028】
本発明のポップコーン用油脂組成物は、ポップコーンの製造に用いられる。ポップコーンを製造するに際し、本発明のポップコーン用油脂組成物とコーンとを接触させる工程を含む。接触させる前記工程のコーンは、爆裂前、爆裂中、爆裂後のいずれのコーンでもよいが、保存後のポップコーンのサクサク感を保持する観点から爆裂前のコーンであることが好ましい。また、接触させる前記工程に用いられるポップコーン用油脂組成物の量は、コーン100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、20質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。
【0029】
ポップコーンを製造するに際し、上記工程以外に、調味料をコーンに添加する工程を含んでいてもよい。前記調味料としては、食塩、粉末醤油、砂糖、シーズニング、胡椒、ドライバジル、コンソメ、きな粉、チーズパウダー、カレーパウダー、キャラメルパウダー、シナモンパウダー等の粉末調味料;キャラメルソース、チョコレートソース、はちみつ、カレーソース、マヨネーズ等の流動性調味料;醤油、レモン汁、塩レモン等の液状調味料等が挙げられる。調味料をコーンに添加する前記工程は、ポップコーン用油脂組成物とコーンとを接触させる前記工程の前後のいずれでおこなってもよく、同時におこなってもよい。
【0030】
本発明の製造方法で得られたポップコーンは、保存後でもサクサク感を保持することができる。特に、40℃超100℃以下のホッター保存、15℃以上40℃以下の室温保存からなる群から選ばれる1または2の保存の後でもサクサク感を保持することができる。
【0031】
ポップコーンの製造において、ポリグリセリンの平均重合度が2以上7以下であるポリグリセリンオレイン酸エステルおよび有機酸モノオレイン酸グリセリドからなる群から選択される1種または2種である乳化剤を0.01質量%以上5質量%以下含有するポップコーン用油脂組成物とコーンとを接触させる工程を含むことで、ポップコーンのサクサク感を向上させることができる。
【0032】
ポップコーンの製造において、コーン100質量部と、有機酸モノオレイン酸グリセリドを0.3質量%以上1質量%以下含有するポップコーン用油脂組成物10質量部以上50質量部以下とを接触させる工程を含むことで、ポップコーンのコーン皮の口残りを低減することができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
【0034】
<原料>
ポップコーン用油脂組成物およびポップコーンの調製に際し、以下のものを使用した。
(原料油脂)
コーン油(ヨウ素価116.5、株式会社J-オイルミルズ社製)
パームオレイン(ヨウ素価69.0、株式会社J-オイルミルズ社製)
パーム核油(ヨウ素価18.0、株式会社J-オイルミルズ社製)
(乳化剤)
623M(クエン酸モノオレイン酸グリセリド、HLB値7.0、太陽化学株式会社製)
DO-100V(ジグリセリンモノオレート、HLB値7.3、理研ビタミン株式会社製)
A-173E(ペンタグリセリンオレイン酸エステル、HLB値7.0、太陽化学株式会社製)
O-50D(デカグリセリンオレイン酸エステル、HLB値7.4、三菱ケミカルフーズ株式会社製)
CRS-75(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、HLB値3、阪本薬品工業株式会社製)
DM-100(ジグリセリンモノミリステート、HLB値8.7、理研ビタミン株式会社製)
(コーン)
ポップコーン豆 マイクポップコーン バタフライタイプ(ジャパンフリトレー株式会社製)
【0035】
<ヨウ素価の測定方法>
ヨウ素価は、基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」により測定した。
【0036】
<ポップコーン用油脂組成物の調製方法>
表1乃至表3に記載の配合に従い、60℃で加熱攪拌した液状の食用油脂に乳化剤を添加、溶解させ、ポップコーン用油脂組成物を調製した。ただし、比較例1-1は表1に記載の食用油脂をポップコーン用油脂組成物とした。得られたポップコーン用油脂組成物中の水分はいずれも1%未満であった。
【0037】
<ポップコーンの調製方法>
下記の手順でポップコーンを調製した。
1. IH調理器(KZ-PH33、パナソニック株式会社製)に内径24cmのIH用フライパンを乗せて、火力を5に設定し200℃まで加熱した。
2. 1のフライパンに6gの60℃に加熱して溶解したポップコーン用油脂組成物、20gのコーン、1gの食塩の順に投入した。
3. 菜箸を使って、2で投入したコーンを、ポップコーン用油脂組成物及び食塩と15秒間混ぜ合わせた。
4. フライパンに蓋をし、蓋を手で押さえてフライパンを揺すりながら、2分30秒加熱し続け、ポップコーンを得た。
5.
【0038】
<ポップコーンの評価方法>
(調製直後のポップコーンの官能評価)
調製直後のポップコーンを専門パネラー2名で食して、下記の2項目について、下記の評価基準に従い評価し、平均点を算出した。いずれの項目も3点以上を合格とした。
(サクサク感)
5 非常にサクサクしている
4 サクサクしている
3 ややサクサクしている
2 あまりサクサクしていない
1 サクサクしてない
(コーン皮の口残り)
5 コーン皮が全く口残りしない
4 コーン皮がほとんど口残りしない
3 コーン皮があまり口残りしない
2 コーン皮がやや口残りする
1 コーン皮が口残りする
【0039】
(20℃1時間保存後のポップコーンの官能評価)
調製直後のポップコーンを広口ビンに詰め、蓋はしないで20℃で1時間保存した。調製直後のポップコーンの官能評価における「調製直後のポップコーン」を「20℃1時間保存後のポップコーン」に変えた以外は、同じ評価項目および同じ評価方法により評価した。ただし、「サクサク感」は2.5点以上を合格とした。
【0040】
(ホッター1時間保存後のポップコーンの官能評価)
調製直後のポップコーンを広口ビンに詰め、蓋はしないで60℃に設定したホッターに入れて1時間保存した。調製直後のポップコーンの官能評価の「調製直後のポップコーン」を「ホッター1時間保存後のポップコーン」に変えた以外は、同じ評価項目および同じ評価方法により評価した。
【0041】
<乳化剤による評価1>
乳化剤として有機酸モノオレイン酸グリセリドを配合したポップコーン用油脂組成物について評価した。評価した結果を表1に示す。
【0042】
【0043】
623Mを0.1質量%以上2質量%以下配合したポップコーン用油脂組成物を用いると、623Mを配合していないポップコーン用油脂組成物を用いたときよりも、調製直後のポップコーンのサクサク感が向上し、20℃1時間保存後およびホッター1時間保存後のいずれのポップコーンもサクサク感を保持していた。特に623Mを0.5質量%配合したポップコーン用油脂組成物を用いた場合は、調製直後のポップコーンのサクサク感が顕著に向上し、20℃1時間保存後およびホッター1時間保存後のいずれのポップコーンもサクサク感を保持していた。また、623Mを配合していないポップコーン用油脂組成物よりもコーン皮の口残りが低減した。
【0044】
<乳化剤による評価2>
乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを配合したポップコーン用油脂組成物について評価した。評価した結果を表2に示す。
【0045】
【0046】
ポリグリセリンオレイン酸エステルを配合したポップコーン用油脂組成物を用いると、乳化剤を配合していないポップコーン用油脂組成物と比較すると20℃1時間保存後およびホッター1時間保存後のいずれのポップコーンもサクサク感を保持していた。また、A-173E単独で配合した、もしくはA-173EとDO-100Vを併用して配合したポップコーン用油脂組成物を用いると、ポップコーンのサクサク感が向上し、A-173E単独で配合した場合は、顕著に向上した。一方、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを配合した場合、ポップコーンのサクサク感が低下し、グニグニとした不快な食感となり、20℃1時間保存後およびホッター1時間保存後のいずれのポップコーンもサクサク感を保持していなかった。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとポリグリセリンミリスチン酸エステルを併用した場合も調製直後のポップコーンのサクサク感が低下し、20℃1時間保存後およびホッター1時間保存後のいずれのポップコーンもサクサク感を保持していなかった。
【0047】
<油脂による評価>
ヨウ素価が異なる食用油脂を配合したポップコーン用組成物について評価した。評価した結果を表3に示す。
【0048】
【0049】
ヨウ素価が18.0以上83.3以下の食用油脂を配合したポップコーン用油脂組成物を用いると、20℃1時間保存後およびホッター1時間保存後のいずれのポップコーンはサクサク感を保持していた。また、調製直後のポップコーンのサクサク感は向上し、コーン皮の口残りが低減した。