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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】基板のめっき方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20230509BHJP
   C25D 17/10 20060101ALI20230509BHJP
   C25D 17/08 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H05K3/18 G
C25D17/10 A
C25D17/08 R
H05K3/18 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019102986
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020198350
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 勝也
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-231539(JP,A)
【文献】特開平06-116799(JP,A)
【文献】特開2015-086444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/18
C25D 17/10
C25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1面に、前記第1面の被めっき領域の位置に開口を有し且つ前記第1面の外縁の少なくとも一部において第1給電層を露出させる第1レジスト膜を形成する工程と、
前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に、前記第2面の外縁の少なくとも一部において第2給電層を露出させる第2レジスト膜を形成する工程と、
前記第1給電層及び前記第2給電層にクランプ部材を接触させた状態で前記クランプ部材により前記基板を保持するとともに、前記基板の第1面に対向して第1電極を配置し且つ前記基板の第2面に対向して第2電極を配置する工程と、
前記基板の第1面と前記第1電極との間に供給される電流の値よりも前記基板の第2面と前記第2電極との間に供給される電流の値が大きい条件下で、前記第1レジスト膜をマスクとして前記第1面の被めっき領域にめっき層を形成する工程と、
を有し、
前記第2レジスト膜は、前記第2面の外縁の少なくとも一部を除く全面を覆うとともに、前記第2面の外縁の少なくとも一部のみに、前記第2給電層を露出させる切欠きを有することを特徴とする基板のめっき方法。
【請求項2】
前記第1面と前記第1電極との間に供給される電流の値に対する、前記第2面と前記第2電極との間に供給される電流の値の比は、前記第2面から前記第1面への電流の回り込みが発生するように、設定されることを特徴とする請求項1に記載の基板のめっき方法。
【請求項3】
前記第1面と前記第1電極との間に供給される電流の値に対する、前記第2面と前記第2電極との間に供給される電流の値の比は、1.5~3の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の基板のめっき方法。
【請求項4】
前記第1面と前記第1電極との間に供給される電流の値は、5~10Aに設定され、
前記第2面と前記第2電極との間に供給される電流の値は、7.5~20Aに設定されることを特徴とする請求項3に記載の基板のめっき方法。
【請求項5】
基板の第1面に、前記第1面の被めっき領域の位置に開口を有し且つ前記第1面の外縁の少なくとも一部において第1給電層を露出させる第1レジスト膜を形成する工程と、
前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に、前記第2面の外縁の少なくとも一部において第2給電層を露出させる第2レジスト膜を形成する工程と、
前記第1給電層及び前記第2給電層にクランプ部材を接触させた状態で前記クランプ部材により前記基板を保持するとともに、前記基板の第1面に対向して第1電極を配置し且つ前記基板の第2面に対向して第2電極を配置する工程と、
前記基板の第1面と前記第1電極との間に供給される電流の値よりも前記基板の第2面と前記第2電極との間に供給される電流の値が大きい条件下で、前記第1レジスト膜をマスクとして前記第1面の被めっき領域にめっき層を形成する工程と、
を有し、
前記第2レジスト膜は、前記第2面の外縁の全周に対応する位置に、前記第2給電層を露出させる枠形状の切欠きを有することを特徴とする基板のめっき方法。
【請求項6】
基板の第1面に、前記第1面の被めっき領域の位置に開口を有し且つ前記第1面の外縁の少なくとも一部において第1給電層を露出させる第1レジスト膜を形成する工程と、
前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に、前記第2面の外縁の少なくとも一部において第2給電層を露出させる第2レジスト膜を形成する工程と、
前記第1給電層及び前記第2給電層にクランプ部材を接触させた状態で前記クランプ部材により前記基板を保持するとともに、前記基板の第1面に対向して第1電極を配置し且つ前記基板の第2面に対向して第2電極を配置する工程と、
前記基板の第1面と前記第1電極との間に供給される電流の値よりも前記基板の第2面と前記第2電極との間に供給される電流の値が大きい条件下で、前記第1レジスト膜をマスクとして前記第1面の被めっき領域にめっき層を形成する工程と、
を有し、
前記第2レジスト膜は、前記第2面の外縁のうち前記第2面の前記クランプ部材と交差可能な一辺と該一辺に連続する他の2辺とに沿った部分に対応する位置に、前記第2給電層を露出させる略C字形状の切欠きを有することを特徴とする基板のめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板のめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に対してめっき層を形成するためのめっき法として、電解めっき法が知られている。電解めっき法では、基板表面に、基板表面の被めっき領域の位置に開口を有し且つ基板表面の外縁において給電層を露出させるレジスト膜が形成される。そして、めっき浴槽内において給電層にクランプ部材を接触させた状態でクランプ部材により基板が保持されるとともに、基板表面に対向して電極が配置される。そして、めっき浴槽において基板表面と電極との間に電流が供給されることで、レジスト膜をマスクとして基板表面の被めっき領域にめっき層が形成される。めっき層は、例えばバンプ等の外部接続端子として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-252627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クランプ部材により基板が保持された状態でめっき浴槽において基板と電極との間に電流が供給されると、基板表面の被めっき領域だけでなく、クランプ部材にもめっき層が形成される。このため、基板表面のクランプ部材付近ではめっき層の形成が停滞する。結果として、基板表面のクランプ部材付近においてめっき層の厚さが減少し、基板面内におけるめっき層の厚さにばらつきが生じることになる。基板の面内におけるめっき層の厚さのばらつきは、例えばめっき層がバンプ等の外部接続端子として用いられる場合に、外部接続端子と外部接続端子に接続される外部部品との接続信頼性を低下させる要因となり、好ましくない。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、基板の面内におけるめっき層の厚さのばらつきを抑制することができる基板のめっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する基板のめっき方法は、一つの態様において、基板の第1面に、前記第1面の被めっき領域の位置に開口を有し且つ前記第1面の外縁の少なくとも一部において第1給電層を露出させる第1レジスト膜を形成する工程と、前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に、前記第2面の外縁の少なくとも一部において第2給電層を露出させる第2レジスト膜を形成する工程と、前記第1給電層及び前記第2給電層にクランプ部材を接触させた状態で前記クランプ部材により前記基板を保持するとともに、前記基板の第1面に対向して第1電極を配置し且つ前記基板の第2面に対向して第2電極を配置する工程と、前記基板の第1面と前記第1電極との間に供給される電流の値よりも前記基板の第2面と前記第2電極との間に供給される電流の値が大きい条件下で、前記第1レジスト膜をマスクとして前記第1面の被めっき領域にめっき層を形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する基板のめっき方法の一つの態様によれば、基板の面内におけるめっき層の厚さのばらつきを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例に係る基板のめっき方法の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、基板の前面上の構成の一例を示す平面図である。
図3図3は、基板の裏面上の構成の一例を示す平面図である。
図4図4は、基板が保持された状態の一例を示す図である。
図5図5は、基板の前面及び裏面付近の電界強度のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図6図6は、比較例の基板の成膜方法により形成されためっき層の厚さの分布の一例を示す図である。
図7図7は、実施例の基板の成膜方法により形成されためっき層の厚さの分布の一例を示す図である。
図8図8は、基板の裏面上の構成の他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する基板のめっき方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。
【0010】
[実施例]
[基板のめっき方法]
図1は、実施例に係る基板のめっき方法の一例を示すフローチャートである。
【0011】
まず、基板10(後の図2及び図3参照)が準備される(ステップS11)。基板10は、平面視で略長方形形状を有する基板である。基板10の一面には、めっき層が形成される予定の被めっき領域が形成されている。被めっき領域としては、例えば、所定のパターンに形成された配線層やシード層などが挙げられる。被めっき領域が形成された一面を、以下では「前面」と呼ぶ。前面は、第1面の一例である。基板10の前面の外縁には、めっき層の形成時に給電点となる第1給電層12(図2参照)が形成されている。また、基板の前面と反対側の裏面には、めっき層の形成時に給電点となる第2給電層14(図3参照)が形成されている。裏面は、第2面の一例である。
【0012】
次に、基板10の前面に第1レジスト膜が形成される(ステップS12)。すなわち、例えば図2に示すように、基板10の前面に、前面の被めっき領域の位置に開口を有し且つ前面の外縁の少なくとも一部において第1給電層12を露出させる第1レジスト膜21が形成される。図2は、基板10の前面上の構成の一例を示す平面図である。第1レジスト膜21は、例えば感光性のドライフィルムレジストが基板10の前面に貼付され、貼付されたドライフィルムレジストの露光及び現像が行われることにより、形成される。基板10の前面の中央部は、マトリクス状に配列される複数の基板区画10aに区分されている。図2の例では、基板10の前面の中央部は、12個の行及び5個の列からなるマトリクス状に配列される60個の基板区画10aに区分されている。第1レジスト膜21は、各基板区画10aに位置する複数の被めっき領域に対応して、複数の開口(不図示)を有する。例えば、1つの基板区画10aにおいて、外部接続端子を形成する部位に対応して略円形の複数の開口がマトリクス状に形成されている。また、第1レジスト膜21は、基板10の前面の外縁の全周に対応する位置に、第1給電層12を露出させる枠形状の切欠き21aを有している。切欠き21aは、不連続な複数の部位に分断されて形成されている。図2の例では、基板10の前面の2つの短辺側において、切欠き21aが4つの部位に分断されて形成されている。切欠き21aが分断されて得られる各部位の位置は、後述するクランプ部材52(図4参照)の位置に応じて、設定される。
【0013】
次に、基板10の裏面に第2レジスト膜が形成される(ステップS13)。すなわち、例えば図3に示すように、基板10の裏面に、裏面の外縁の少なくとも一部において第2給電層14を露出させる第2レジスト膜22が形成される。図3は、基板10の裏面上の構成の一例を示す平面図である。第2レジスト膜22は、例えば感光性のドライフィルムレジストが基板10の裏面に貼付され、貼付されたドライフィルムレジストの露光及び現像が行われることにより、形成される。第2レジスト膜22は、基板10の裏面の外縁の全周に対応する位置に、第2給電層14を露出させる枠形状の切欠き22aを有している。切欠き22aは、不連続な複数の部位に分断されて形成されている。図3の例では、基板10の裏面の2つの短辺側において、切欠き22aが4つの部位に分断されて形成されている。切欠き22aが分断されて得られる各部位の位置は、後述するクランプ部材52(図4参照)の位置に応じて、設定される。
【0014】
次に、クランプ部材52により基板10が保持される(ステップS14)。すなわち、例えば図4に示すように、めっき浴槽51内において、第1給電層12及び第2給電層14(図2及び図3参照)にクランプ部材52を接触させた状態でクランプ部材52により基板10が保持される。図4は、基板10が保持された状態の一例を示す図である。めっき浴槽51の内部には、めっき層の形成に用いられる電解めっき液が収容されている。電解めっき液としては、例えば硫酸銅めっき液などが挙げられる。クランプ部材52は、めっき浴槽51の上側及び下側の両方に配置され、基板10は、基板10の前面(又は裏面)の2つの短辺がめっき浴槽51の上側及び下側に位置するように、クランプ部材52により保持される。
【0015】
次に、クランプ部材52に保持された基板10の前面に対向して第1電極が配置され、且つ基板10の裏面に対向して第2電極が配置される(ステップS15)。すなわち、例えば図4に示すように、めっき浴槽51内において、基板10の前面10bに対向して第1電極54が配置され、且つ基板10の裏面10cに対向して第2電極55が配置される。第1電極54及び第2電極55は、陽極とされ、基板10は、陰極とされる。
【0016】
次に、基板10の前面10bと第1電極54との間に供給される電流の値よりも裏面10cと第2電極55との間に供給される電流の値が大きい条件下で、第1レジスト膜21をマスクとして前面10bの被めっき領域にめっき層が形成される(ステップS16)。めっき層は、例えばバンプ等の外部接続端子として用いられる。めっき層の金属材料としては、例えば配線層と同様に銅などが挙げられる。以下では、説明の便宜上、基板10の前面10bと第1電極54との間に供給される電流の値を適宜「前面電流値」と呼び、基板10の裏面10cと第2電極55との間に供給される電流の値を適宜「裏面電流値」と呼ぶ。前面電流値に対する裏面電流値の比は、基板10の裏面10cから前面10bへの電流の回り込みが発生するように、設定される。例えば、前面電流値に対する裏面電流値の比は、1.5~3の範囲内である。例えば、前面電流値は、5~10Aに設定され、裏面電流値は、7.5~20Aに設定される。
【0017】
ここで、図5を用いて、基板10の裏面10cから前面10bへの電流の回り込みについて説明する。図5は、基板10の前面10b及び裏面10c付近の電界強度のシミュレーション結果の一例を示す図である。図5の上側は、めっき浴槽51(図4参照)の上側に対応し、図5の下側は、めっき浴槽51の下側に対応する。図5には、前面電流値よりも裏面電流値が大きい場合のシミュレーション結果が示されている。前面電流値よりも裏面電流値が大きい場合、基板10の裏面10cから前面10bへの電流が回り込む。図5には、基板10の裏面10cから前面10bへの電流の回り込みが破線の電気力線で示されている。基板10の裏面10cから前面10bへ電流が回り込むことにより、めっき浴槽51内において、電解めっき液に含まれる金属イオンが前面10bへ安定的に供給される。これにより、基板10の前面10bの被めっき領域にめっき層が形成される際に基板10を保持するクランプ部材52にもめっき層が形成される場合でも、電解めっき液に含まれる金属イオンが前面10bのクランプ部材52付近へ補給される。結果として、基板10の前面10bのクランプ部材52付近においてめっき層の厚さの減少を抑制することができ、基板10の前面10b全体においてめっき層の厚さを均一に近づけることができる。
【0018】
次に、図6及び図7を用いて、基板10の前面10bにおけるめっき層の厚さ分布の測定結果の一例を説明する。図6は、比較例の基板のめっき方法により形成されためっき層の厚さ分布の測定結果の一例を示す図である。図6の横軸は、基板区画10a(図2参照)の行番号(1~12)を示す。行番号が「1」及び「12」に近いほど、基板区画10aが基板10の前面10bのクランプ部材52付近に位置することを表し、行番号が「6」及び「7」に近いほど、基板区画10aが基板10の前面10bの中央付近に位置することを表す。図6の縦軸は、各基板区画10aに位置する複数の被めっき層に形成されためっき層の厚さと該厚さの目標値との差[μm]を示す。比較例では、基板10の前面10bに第1レジスト膜21が形成された後に、基板10の裏面10cに裏面10c全体を被覆する第2レジスト膜22が形成される。このとき、基板10の裏面10c全体が第2レジスト膜22により被覆されるので、基板10の裏面10cの外縁において第2給電層14が露出されない。次に、第1給電層12にクランプ部材52を接触させた状態でクランプ部材52により基板10が保持されるとともに、基板10の前面10bに対向して第1電極54が配置され且つ基板10の裏面10cに対向して第2電極55が配置される。次に、基板10の前面10bと第1電極54との間にのみ電流が供給されることにより、第1レジスト膜21をマスクとして前面10bの被めっき領域にめっき層が形成される。図6に示すように、比較例では、基板10の前面10bの中央付近と、前面10bのクランプ部材52付近におけるめっき層の厚さの差は約8.5μmとなり、変動係数は12.3%となった。なお、変動係数は、めっき層の厚さの標準偏差をめっき層の厚さの平均値で除算することにより得られる値であり、めっき層の厚さのばらつきの度合いを表す。
【0019】
図7は、実施例の基板のめっき方法により形成されためっき層の厚さ分布の測定結果の一例を示す図である。図7の横軸は、基板区画10a(図2参照)の行番号(1~12)を示す。行番号が「1」及び「12」に近いほど、基板区画10aが基板10の前面10bのクランプ部材52付近に位置することを表し、行番号が「6」及び「7」に近いほど、基板区画10aが基板10の前面10bの中央付近に位置することを表す。図7の縦軸は、各基板区画10aに位置する複数の被めっき層に形成されためっき層の厚さの平均値[μm]を示す。図7に示すように、実施例では、基板10の前面10bの中央付近と、前面10bのクランプ部材52付近におけるめっき層の厚さの差は約6μmとなり、変動係数は6.7%となった。実施例では、めっき層の厚さの差が比較例と比較して約2.5μm減少し、変動係数が5.6%も減少した。したがって、実施例では、比較例と比較して、めっき層の厚さのばらつきを抑制することができる。
【0020】
以上のように、実施例に係る基板のめっき方法は、基板の第1面に、第1面の被めっき領域の位置に開口を有し且つ第1面の外縁の少なくとも一部において第1給電層を露出させる第1レジスト膜を形成する。次に、該めっき方法は、基板の第1面とは反対側の第2面に、第2面の外縁の少なくとも一部において第2給電層を露出させる第2レジスト膜を形成する。次に、該めっき方法は、第1給電層及び第2給電層にクランプ部材を接触させた状態でクランプ部材により基板を保持するとともに、基板の第1面に対向して第1電極を配置し且つ基板の第2面に対向して第2電極を配置する。次に、該めっき方法は、基板の第1面と第1電極との間に供給される電流の値よりも基板の第2面と第2電極との間に供給される電流の値が大きい条件下で、第1レジスト膜をマスクとして第1面の被めっき領域にめっき層を形成する。これにより、基板の第1面のクランプ部材付近においてめっき層の厚さの減少を抑制することができ、結果として、基板10の面内におけるめっき層の厚さのばらつきを抑制することができる。
【0021】
また、実施例に係る基板のめっき方法において、第2レジスト膜は、第2面の外縁の全周に対応する位置に、第2給電層を露出させる枠形状の切欠きを有する。これにより、基板の第1面全体においてめっき層の厚さの減少を抑制することができる。
【0022】
今回開示された実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施例は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されても良い。
【0023】
例えば、上記実施例では、第2レジスト膜22が、基板10の裏面の外縁の全周に対応する位置に、第2給電層14を露出させる枠形状の切欠き22aを有する例を示したが、開示の技術はこれに限られない。例えば、第2レジスト膜22は、図8に示すように、基板10の裏面の外縁のうち裏面のクランプ部材52と交差可能な一短辺と一短辺に連続する2つの長辺とに沿った部分に対応する位置に、第2給電層14を露出させる略C字形状の切欠き22bを有してもよい。図8は、基板10の裏面上の構成の他の一例を示す平面図である。第2レジスト膜22が略C字形状の切欠き22bを有することにより、基板10の裏面から前面への電流の回り込みが前面のクランプ部材52付近に集中する。これにより、基板10の前面のクランプ部材52付近においてめっき層の成長が促進され、結果として、基板10の面内におけるめっき層の厚さのばらつきを抑制することができる。また、例えば、第2レジスト膜22は、基板10の裏面の外縁のうち裏面のクランプ部材52と交差可能な一短辺に対応する位置に、第2給電層14を露出させる略直線形状の切欠きを有してもよい。
【0024】
また、上記実施例では、切欠き21a及び切欠き22aが、それぞれ不連続な複数の部位に分断されて形成される例を示したが、開示の技術はこれに限られない。例えば、切欠き21a及び切欠き22aが、それぞれ連続的に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 基板
10b 前面
10c 裏面
12 第1給電層
14 第2給電層
21 第1レジスト膜
21a 切欠き
22 第2レジスト膜
22a、22b 切欠き
52 クランプ部材
54 第1電極
55 第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8