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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/359 20180101AFI20230509BHJP
   G02B 30/25 20200101ALI20230509BHJP
   G03B 35/00 20210101ALI20230509BHJP
   G03B 35/18 20210101ALI20230509BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230509BHJP
   H04N 13/361 20180101ALI20230509BHJP
   H04N 13/307 20180101ALI20230509BHJP
【FI】
H04N13/359
G02B30/25
G03B35/00 A
G03B35/18
G02B5/30
H04N13/361
H04N13/307
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019128154
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021016023
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡市 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 久幸
(72)【発明者】
【氏名】河北 真宏
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086710(JP,A)
【文献】特開平05-284542(JP,A)
【文献】特開平10-123461(JP,A)
【文献】特開2012-198512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00-13/398
G02B 30/00
G03B 35/00
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体像と二次元画像とを、切り替えて、または、領域別に区分して表示する画像表示装置であって、
二次元平面上に配列した点光源の光を一方の偏光状態と他方の偏光状態とに切り替えて出射する点光源出射部と、
前記偏光状態に応じて、前記点光源の光を異なる方向に順次回折させて光軸をシフトさせる2枚の偏光回折素子と、
前記2枚の偏光回折素子の間に配置され、前記一方の偏光状態の光を透過し、前記他方の偏光状態の光を拡散させる透過・拡散板と、
前記透過・拡散板で透過または拡散され、後段の前記偏光回折素子で回折された光をバックライトとして、前記立体像を表示するためのインテグラル方式の要素画像群を前記透過・拡散板で透過した光の照射領域に表示する、または、前記二次元画像を前記透過・拡散板で拡散した光の照射領域に表示する表示パネルと、
前記要素画像群を照射対象とする前記点光源の偏光を前記一方の偏光状態とし、前記二次元画像を照射対象とする前記点光源の偏光を前記他方の偏光状態とするように、前記点光源出射部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記透過・拡散板を、前記2枚の偏光回折素子の間に複数備え、
複数の前記透過・拡散板は、前記一方の偏光状態の光が通過する領域に透過領域を有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記点光源出射部は、
発光素子を二次元平面上に配列した点光源アレイと、
前記発光素子が発光する特定の偏光の光を通過させる偏光板と、
前記偏光板を通過した光を、予め定めた照射範囲ごとに、前記一方の偏光状態または前記他方の偏光状態に切り替える偏光切替素子と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記点光源出射部は、
平行光を発光する平行光発光部と、
前記平行光発光部が発光する特定の偏光の光を通過させる偏光板と、
前記偏光板を通過した光を、予め定めた照射範囲ごとに、前記一方の偏光状態または前記他方の偏光状態に切り替える偏光切替素子と、
前記平行光発光部が発光する光路上に配置され、凸レンズを二次元平面上に配列したレンズアレイと、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記点光源出射部は、
平行光を発光する平行光発光部と、
前記平行光を、透過する領域と遮断する領域とを交互に配列した透過・遮光素子と、
前記透過・遮光素子を透過した前記平行光を偏光状態に応じて順次回折させて、前記一方の偏光状態および前記他方の偏光状態の光として、光軸を2方向にシフトさせる2枚の第2偏光回折素子と、
前記2方向のうちの前記一方の偏光状態の光の偏光方向を90度回転させるλ/2波長板と、
前記λ/2波長板で偏光方向を回転した光と、前記第2偏光回折素子でシフトされた前記他方の偏光状態の光とを平行光として入射し、点光源を生成する凸レンズを二次元平面上に配列したレンズアレイと、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記一方の偏光状態は水平偏光であり前記他方の偏光状態は垂直偏光である、または、前記一方の偏光状態は垂直偏光であり前記他方の偏光状態は水平偏光であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記一方の偏光状態は左円偏光であり前記他方の偏光状態は右円偏光である、または、前記一方の偏光状態は右円偏光であり前記他方の偏光状態は左円偏光であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体像と二次元画像とを表示可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3Dメガネを用いた二眼立体方式を始めとして、多種多様な立体像表示技術が提案されている。なかでも、インテグラル方式は、特殊なメガネが不要で、水平および垂直に視差を有する自然な立体像を再生可能であることから、将来の多様な立体アプリケーションへの応用が期待されている。一般的に、インテグラル方式は、要素レンズで構成されたレンズアレイを表示パネルの前面、または、点光源で構成された点光源アレイを表示パネルの背面に設置して、要素レンズまたは点光源に対応する表示パネルの位置に要素画像を表示することで、観察者に立体像を視認させることができる。
今後、多様な映像コンテンツを表示するためには、インテグラル方式の立体像の表示(以下、3D表示)だけでなく、高精細な二次元画像の表示(以下、2D表示)も可能であることが望ましい。
【0003】
このような背景から、点光源アレイを用いたインテグラル方式において、3D表示と2D表示とを切り替える方法が提案されている(非特許文献1,2、特許文献1参照)。
非特許文献1に記載の方法は、図13に示すように、光源201と、コリメータレンズ202と、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal;高分子分散型液晶)203と、レンズアレイ204と、表示パネル205と、を備える画像表示装置200Aで、3D表示と2D表示とを切り替える。
図13(a)に示すように、画像表示装置200Aは、3D表示を行う場合、電圧制御により光の透過/拡散を制御可能なPDLC203を光が透過するように制御し、表示パネル205に要素画像eを表示する。
これによって、画像表示装置200Aは、光源201の光をコリメータレンズ202により平行光に変換し、PDLC203を透過させる。そして、画像表示装置200Aは、レンズアレイ204ごとに、平行光を集光させて集光位置に点光源Loとなる光を生成し、表示パネル205に投射することで、観察者Mに立体像を視認させることができる。
【0004】
一方、図13(b)に示すように、画像表示装置200Aは、2D表示を行う場合、PDLC203を光が拡散するように制御し、表示パネル205に二次元画像Gを表示する。これによって、画像表示装置200Aは、拡散光を表示パネル205に照射することができ、表示パネル205に表示した二次元画像Gを観察者Mに視認させることができる。
【0005】
非特許文献2に記載の方法は、図14に示すように、2層構造のLEDアレイ211と、開口部を有する拡散板212と、レンズアレイ213と、表示パネル214と、を備える画像表示装置200Bで、3D表示と2D表示とを切り替える。
図14(a)に示すように、画像表示装置200Bは、3D表示を行う場合、LEDアレイ211の拡散板212の開口部にほぼ接する層のLEDを発光させ、表示パネル214に要素画像eを表示する。
これによって、画像表示装置200Bは、拡散板212の開口部を通過した光を、レンズアレイ213ごとに集光させて集光位置に点光源Loとなる光を生成し、表示パネル214に投射することで、観察者Mに立体像を視認させることができる。
【0006】
一方、図14(b)に示すように、画像表示装置200Bは、2D表示を行う場合、LEDアレイ211の拡散板212の拡散部に対応する層のLEDを発光させ、表示パネル214に二次元画像Gを表示する。これによって、画像表示装置200Bは、拡散光を表示パネル214に照射することができ、表示パネル214に表示した二次元画像Gを観察者Mに視認させることができる。なお、図14では、LEDアレイ211の点灯を白、消灯を黒で示している。
【0007】
特許文献1に記載の方法は、図15に示すように、点光源アレイ221と、透過・拡散板222と、表示パネル223と、を備える画像表示装置200Cで、3D表示と2D表示とを切り替える。
図15(a)に示すように、画像表示装置200Cは、3D表示を行う場合、透過・拡散板222の光を透過させる透過領域Pに対応するLEDのみを発光させ、表示パネル223に要素画像eを表示する。
これによって、画像表示装置200Cは、点光源であるLEDの光を表示パネル223に投射することで、観察者Mに立体像を視認させることができる。
【0008】
一方、図15(b)に示すように、画像表示装置200Cは、2D表示を行う場合、透過・拡散板222の光を拡散させる拡散領域Dに対応するLEDのみを発光させ、表示パネル223に二次元画像Gを表示する。
これによって、画像表示装置200Cは、拡散光を表示パネル223に照射することができ、表示パネル223に表示した二次元画像Gを観察者Mに視認させることができる。
【0009】
また、図16に示すように、画像表示装置200Cは、3D表示と2D表示とを混在させる場合、透過領域Pに対応するLEDと、拡散領域Dに対応するLEDとで、発光する領域を区分し、それぞれの領域に対応する表示パネル223に要素画像eまたは二次元画像Gを表示する。
これによって、画像表示装置200Cは、観察者Mに立体像と二次元画像とを領域を分けて視認させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-086710号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】Jae-Hyeung Park, Hak-Rin Kim, Yunhee Kim, Joohwan Kim, Jisoo Hong, Sin-Doo Lee, and Byoungho Lee, “Depth-enhanced three-dimensional-two-dimensional convertible display based on modified integral imaging”, OPTICS LETTERS, vol.29, No.23, pp.2734-2736, December 1, 2004.
【文献】Seong-Woo Cho, Jae-Hyeung Park, Yunhee Kim, Heejin Choi, Joohwan Kim, and Byoungho Lee, “Convertible two-dimensional-three-dimensional display using an LED array based on modified integral imaging”, OPTICS LETTERS, Vol.31, No.19, pp.2852-2854, October 1, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非特許文献1に記載の方法は、PDLCによって入力光全体を透過/拡散することしか制御できない。また、非特許文献2に記載の方法は、1つのLEDの光をレンズアレイの複数のレンズに投射している。
そのため、非特許文献1,2に記載の方法は、3D表示と2D表示とを画面全体で切り替えることしかできない。
【0013】
一方、特許文献1に記載の方法は、3D表示と2D表示との領域を分けて、立体像と二次元画像とを混在して画面に表示することができる。
しかし、特許文献1に記載の方法は、3D表示のために使用するLEDと、2D表示のために使用するLEDとが分けられているため、3D表示時に使用しないLEDや2D表示時に使用しないLEDが存在することになる。
そのため、高精細な画像を表示するためには、さらなる工夫が求められていた。
【0014】
本発明は、このような問題や要望に鑑みてなされたものであり、3D表示と2D表示とを部分的に混在させて表示することができ、従来よりも表示の解像度を高めることが可能な画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像表示装置は、立体像と二次元画像とを、切り替えて、または、領域別に区分して表示する画像表示装置であって、点光源出射部と、2枚の偏光回折素子と、透過・拡散板と、表示パネルと、制御部と、を備える構成とした。
【0016】
かかる構成において、画像表示装置は、点光源出射部によって、二次元平面上に配列した点光源の光を一方の偏光状態と他方の偏光状態とに切り替えて出射する。
この偏光状態が異なる点光源は、例えば、発光素子を二次元平面上に配列した点光源アレイが発光する光を、特定の偏光の光を通過させる偏光板と、偏光板を通過した光を異なる偏光状態に切り替える偏光切替素子とを通過させることで生成することができる。
【0017】
そして、画像表示装置は、2枚の偏光回折素子によって、偏光状態に応じて、点光源の光を異なる方向に順次回折させて光軸をシフトさせる。このとき、画像表示装置は、2枚の偏光回折素子の間に配置された透過・拡散板によって、一方の偏光状態の光は透過させ、他方の偏光状態の光は拡散させる。
そして、画像表示装置は、表示パネルによって、立体像を表示するためのインテグラル方式の要素画像群を透過・拡散板で透過した光の照射領域に表示する、または、二次元画像を透過・拡散板で拡散した光の照射領域に表示する。
【0018】
このとき、画像表示装置は、制御部によって、要素画像群を表示する場合、要素画像群の表示領域を照射対象とする点光源の偏光を一方の偏光状態とし、二次元画像を表示する場合、二次元画像の表示領域を照射対象とする点光源の偏光を他方の偏光状態とするように、点光源出射部を制御する。
これによって、画像表示装置は、要素画像群を表示する領域に点光源の光を照射して、観察者に立体像を視認させることができ、二次元画像を表示する領域に拡散光を照射して、観察者に二次元画像を視認させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
本発明によれば、立体像表示と二次元画像表示とを部分的に混在させて表示することができる。また、本発明によれば、点光源の光を立体像表示と二次元画像表示とで共用することができるため、従来よりも点光源の密度を高め、解像度の高い画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置の概要を説明するための装置外観の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成を示す上面図である。
図3】偏光回折素子の作用を説明するための説明図であって、(a)は水平偏光の光を入射した状態、(b)は垂直偏光の光を入射した状態を示す図である。
図4】透過・拡散板の透過領域と拡散領域の例を示すパターン図である。
図5】本発明の実施形態に係る画像表示装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る画像表示装置における3D表示の動作を説明するための説明図である。
図7】本発明の実施形態に係る画像表示装置における2D表示の動作を説明するための説明図である。
図8】本発明の実施形態に係る画像表示装置における3D表示と2D表示とを混在する動作を説明するための説明図である。
図9】点光源出射部の変形例(その1)の構成を示す上面図である。
図10】点光源出射部の変形例(その2)の構成を示す上面図であって、(a)は水平偏光の点光源の光を出射する処理、(b)は垂直偏光の点光源の光を出射する処理を示す図である。
図11】表示部の変形例(その1)の構成を示す上面図である。
図12】表示部の変形例(その2)の構成を示す上面図である。
図13】従来の画像表示装置の例(その1)を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
図14】従来の画像表示装置の例(その2)を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
図15】従来の画像表示装置の例(その3)を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
図16】従来の画像表示装置の3D表示と2D表示とを混在する動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〔画像表示装置の概要〕
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像表示装置1の概要について説明する。
画像表示装置1は、立体像I3Dと二次元画像I2Dとを切り替えて表示するものである。図1に示すように、画像表示装置1は、表示部10と、制御部20と、を備える。
【0022】
表示部10は、画像(立体像I3D、二次元画像I2D)を表示するものである。なお、表示部10は、立体像I3Dについては、インテグラル方式の要素画像群を表示することで、観察者Mに立体像I3Dを視認させる。一方、表示部10は、二次元画像I2Dについては、画面上に二次元画像そのものを表示する。
制御部20は、表示部10における立体像I3Dの表示と、二次元画像I2Dの表示とを切り替える制御を行うものである。
【0023】
なお、画像表示装置1は、立体像I3Dと二次元画像I2Dとの切り替えを画面全体で行うことも可能であるし、画面の領域別に立体像I3Dと二次元画像I2Dとを混在させることも可能である。
以下、画像表示装置1の構成について詳細に説明する。
【0024】
〔画像表示装置の構成〕
まず、図2を参照して、画像表示装置1の表示部10の構成について説明する。図2は、図1に示した画像表示装置1の符号Aで示す領域を透視した表示部10の構成を示す上面図である。
図2に示すように、表示部10は、点光源出射部11と、偏光回折素子12A,12Bと、透過・拡散板13と、表示パネル14と、を備える。
【0025】
点光源出射部11は、二次元平面上に配列した点光源(疑似点光源)の光を一方の偏光状態と他方の偏光状態とに切り替えて出射するものである。ここでは、一方の偏光状態を水平偏光、他方の偏光状態を垂直偏光とする。
図2に示すように、点光源出射部11は、点光源アレイ111と、偏光板112と、偏光切替素子113と、を備える。
【0026】
点光源アレイ111は、点光源となる微小な発光素子Lを二次元平面上に1mm程度のピッチで配列したものである。ここでは、1つの発光素子Lを点光源とみなす。
発光素子Lは、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。
この発光素子Lは、立体像を表示する際に、後記する表示パネル14に表示される個々の要素画像を照射する範囲の配光角を有する。なお、発光素子Lの発光面積は、表示パネル14の画素サイズ程度であることが好ましい。
発光素子Lは、偏光板112に光を照射する。
【0027】
偏光板112は、点光源アレイ111の発光素子Lから照射されるランダム偏光の光のうち、特定の偏光の光のみを通過させるものである。ここでは、偏光板112は、水平偏光のみを通過させるものとする。
偏光板112を通過した光は、偏光切替素子113に照射される。
【0028】
偏光切替素子113は、偏光板112で特定の偏光状態(ここでは、水平偏光)のみとなった光の偏光状態を切り替えるものである。偏光切替素子113は、例えば、強誘電性液晶等の液晶素子を用いることができる。
ここでは、偏光切替素子113は、制御部20の制御によって、水平偏光(一方の偏光状態)の光を水平偏光のまま通過させる状態と、水平偏光の光を垂直偏光(他方の偏光状態)の光に変換する状態とを切り替える。なお、偏光切替素子113の偏光切替の単位は、点光源(発光素子L)に対応する照射範囲ごととする。
偏光切替素子113を通過した光(水平偏光または垂直偏光)は、偏光回折素子12Aに照射される。
【0029】
偏光回折素子12A,12Bは、2枚1組で、点光源出射部11(偏光切替素子113)から照射される入射光を偏光状態に応じて回折し、光軸をシフトさせるものである。
それぞれの偏光回折素子12A,12Bは、水平偏光または垂直偏光の入射光を、偏光状態に応じて、異なる方向に±1次光として回折させるものである。
この偏光回折素子12A,12Bは、水平偏光または垂直偏光の入射光の偏光状態に応じて、回折格子の溝方向を上下方向としたとき、左右方向に入射光を回折させる。
ここでは、偏光回折素子12A,12Bは、射出光線の位相を180度ずらして対向するように予め定めた距離だけ離間して配置する。
なお、偏光状態に応じて、回折方向を変える偏光回折素子12A,12Bには、公知の素子を用いればよい。例えば、特開2008-233539号公報、特開2016-136165号公報、特開2006-106726号公報等で開示されている偏光回折素子を用いることができる。
【0030】
ここで、図3を参照して、偏光回折素子12A,12Bの作用について説明する。
偏光回折素子12A,12Bによる光軸のシフト量は、偏光回折素子12A,12Bの回折格子溝のピッチ(回折ピッチ)と、偏光回折素子12A,12Bの距離とによって特定することができる。なお、ここでは、偏光回折素子12A,12Bに物理的に形成された溝のピッチを回折ピッチとして説明するが、回折に周期性を有する素子であれば、その周期が回折ピッチである。
偏光回折素子12A、12Bの回折ピッチをp、入射光の波長をλとしたとき、図3に示すように、1次光の回折角φは、以下の式(1)で表すことができる。
【0031】
【数1】
【0032】
また、図3に示すように、偏光回折素子12A,12Bの距離をL1としたとき、回折のシフト量dは、以下の式(2)で表すことができる。
【0033】
【数2】
【0034】
すなわち、偏光回折素子12A,12Bの距離をL1としたとき、図3(a)に示すように、偏光回折素子12Aに入射した水平偏光の光は、垂直偏光に変換され、-1次光として進行方向を変えて、シフト量dだけシフトした後、偏光回折素子12Bに照射される。また、偏光回折素子12Bに入射した垂直偏光の光は、水平偏光に変換され、+1次光として、偏光回折素子12Aに入射した進行方向と同じ方向に回折される。
ここで、光軸のシフト量は、点光源(ここでは、発光素子L)間の距離の半分とする。
【0035】
また、図3(b)に示すように、偏光回折素子12Aに入射した垂直偏光は、水平偏光に変換され、+1次光として進行方向を変えて、シフト量dだけシフトした後、偏光回折素子12Bに照射される。また、偏光回折素子12Bに入射した水平偏光は、垂直偏光に変換され、-1次光として、偏光回折素子12Aに入射した進行方向と同じ方向に回折される。
図2に戻って、表示部10の構成について説明を続ける。
【0036】
透過・拡散板13は、偏光回折素子12A,12Bの間に配置され、偏光回折素子12Aで回折された入射光を、部分的に透過、拡散させるものである。この透過・拡散板13は、光を透過させる透過領域Pと、光を拡散させる拡散領域Dとを予め定めたパターンで配置している。
この透過・拡散板13のパターンは、偏光回折素子12Aで回折された±1次光のうちの一方を透過させ、他方を拡散させるパターンとする。
【0037】
例えば、透過・拡散板13は、図4に示すように、二次元平面上に配列した発光素子Lに対して、透過領域Pと拡散領域Dとの垂直方向の境界が発光素子Lの中心を通るように、透過領域Pと拡散領域Dとを交互に配置する。
これによって、偏光回折素子12Aで回折された-1次光は、透過領域Pを通過して、偏光回折素子12Bに照射される。一方、偏光回折素子12Aで回折された+1次光は、拡散領域Dで拡散されて、偏光回折素子12Bに照射される。
なお、透過・拡散板13のパターンは、図4に限定されるものではない。透過領域Pは、少なくとも偏光回折素子12Aで回折された一方の光(ここでは、-1次光)を通過させる大きさであればよく、それ以外の領域を拡散領域Dとしてもよい。
【0038】
この透過・拡散板13は、ガラス板等の光学素子に拡散加工処理を施したものを使用することができる。拡散加工処理としては、マイクロブラスト加工法、エッチング法、印刷法等を適用できる。この透過・拡散板13の拡散度は高い方が望ましく、例えば、ヘイズが70%以上であることが望ましい。また、透過・拡散板13は、光の反射や映り込みを防ぐため、AR(Anti Reflection)コートを施すことが望ましい。
また、透過・拡散板13には、拡散板や拡散フィルムに対して切り抜き加工を行ったものを使用してもよい。
【0039】
表示パネル14は、透過・拡散板13で透過または拡散され、偏光回折素子12Bで回折された光をバックライトとして、画像を表示するものである。この表示パネル14には、空間光変調器(例えば、透過型液晶パネル、MEMS〔Micro Electro Mechanical Systems〕シャッタ等)を用いることができる。
この表示パネル14は、立体像を表示する場合、制御部20を介して、インテグラル方式の要素画像群を表示する。また、表示パネル14は、二次元画像を表示する場合、制御部20を介して、二次元画像そのものを表示する。この表示パネル14が表示する画像は、静止画像であってもよいし、複数の画像が連続する動画像であってもよい。
【0040】
次に、図5を参照して、制御部20の構成について説明する。
図5に示すように、制御部20は、3D/2D画像入力手段21と、3D/2D画像表示手段22と、表示切替指示入力手段23と、偏光切替制御手段24と、を備える。
【0041】
3D/2D画像入力手段21は、インテグラル方式の要素画像群または二次元画像を入力するものである。この3D/2D画像入力手段21は、入力した要素画像群または二次元画像を、3D/2D画像表示手段22に出力する。
3D/2D画像入力手段21は、図示を省略した外部のディスク装置や、通信回線を介して画像を入力する。
なお、3D/2D画像入力手段21は、要素画像群または二次元画像のいずれか一方を入力する場合と、表示する領域を分けて要素画像群と二次元画像とが混在した画像を入力する場合がある。
【0042】
3D/2D画像表示手段22は、3D/2D画像入力手段21で入力された画像(要素画像群,二次元画像)を入力し、表示パネル14に表示するものである。この3D/2D画像表示手段22は、図示を省略した信号線を介して、表示パネル14と接続されている。
【0043】
表示切替指示入力手段23は、図示を省略したスイッチや、通信回線を介して、3D表示と2D表示との表示方式の切替指示を入力するものである。
具体的には、切替指示は、点光源(発光素子L)ごとに偏光切替素子113の偏光状態を切り替えるか否かを指示する信号である。この切替指示は、予め3D/2D画像入力手段21に入力される画像に対応し、要素画像群の画像領域と二次元画像の画像領域とで、異なる偏光状態を示す指示とする。
ここでは、切替指示は、3D表示(要素画像群の表示)を行う場合、偏光切替素子113の偏光状態を切り替えない旨を示す指示で、2D表示(二次元画像の表示)を行う場合、偏光切替素子113の偏光状態を切り替える旨を示す指示とする。
表示切替指示入力手段23は、入力した切替指示を、偏光切替制御手段24に出力する。
【0044】
偏光切替制御手段24は、表示切替指示入力手段23で入力された切替指示に応じて、点光源出射部11の偏光切替素子113の偏光状態を、点光源(発光素子L)に対応する照射範囲ごとに切り替える。
この偏光切替制御手段24は、図示を省略した信号線を介して、偏光切替素子113に接続され、電圧制御により、偏光状態を切り替える。
ここでは、偏光切替制御手段24は、切替指示により、点光源(発光素子L)に対応する光の偏光状態を切り替えない場合、その点光源の照射範囲に対応する偏光切替素子113への電圧の印可を行わないこととする。
また、偏光切替制御手段24は、切替指示により、点光源(発光素子L)に対応する光の偏光状態を切り替える場合、その点光源の照射範囲に対応する偏光切替素子113に電圧の印可を行う。
【0045】
以上説明したように画像表示装置1を構成することで、画像表示装置1は、点光源の偏光を切り替えて、透過・拡散板13の透過領域Pまたは拡散領域Dのいずれかに点光源の光を回折して照射して、3D表示と2D表示とを切り替えることができる。
これによって、画像表示装置1は、同じ点光源(発光素子L)を、3D表示と2D表示とで使用することができる。
【0046】
〔画像表示装置の動作〕
次に、図6図8を参照(適宜図1図5参照)して、本発明の実施形態に係る画像表示装置1における3D表示、2D表示、3D/2D混在表示を行う動作について説明する。
【0047】
(3D表示)
まず、図6を参照して、画像表示装置1の3D表示を行う動作について説明する。
画像表示装置1は、制御部20の表示切替指示入力手段23によって、3D表示を行う切替指示として、偏光切替素子113の偏光状態を切り替えない旨を示す指示を入力する。
そして、画像表示装置1は、偏光切替制御手段24によって、偏光板112を通過した水平偏光の点光源の光を、そのまま通過させるように偏光切替素子113を電圧制御する。具体的には、偏光切替制御手段24は、偏光切替素子113への電圧の印可を行わない、あるいは、印可状態である場合には電圧の印可を停止する。
これによって、偏光切替素子113に入射した水平偏光の光は、水平偏光のままで偏光切替素子113を通過する。
【0048】
そして、偏光切替素子113を通過した水平偏光の光は、偏光回折素子12Aによって、垂直偏光に変換され、-1次光として進行方向を変えて、透過・拡散板13の透過領域Pに照射される。
その後、透過領域Pを通過した垂直偏光の光は、偏光回折素子12Bによって、水平偏光に変換され、+1次光として進行方向を変えて、表示パネル14に照射される。
そして、画像表示装置1は、制御部20の3D/2D画像入力手段21によって、要素画像群を入力し、3D/2D画像表示手段22によって、要素画像群を表示パネル14に表示する。
これによって、点光源(発光素子L)が出射した光が要素画像eに対応する領域を背面から照射することになり、正面から表示パネル14を観察する観察者は、インテグラル方式の立体像を視認することができる。
【0049】
(2D表示)
次に、図7を参照して、画像表示装置1の2D表示を行う動作について説明する。
画像表示装置1は、制御部20の表示切替指示入力手段23によって、2D表示を行う切替指示として、偏光切替素子113の偏光状態を切り替える旨を示す指示を入力する。
そして、画像表示装置1は、偏光切替制御手段24によって、偏光板112を通過した水平偏光の点光源の光を、垂直偏光の光に変換するように偏光切替素子113を電圧制御する。具体的には、偏光切替制御手段24は、偏光切替素子113に電圧を印可する。
これによって、偏光切替素子113に入射した水平偏光の光は、垂直偏光に変換されて偏光切替素子113から出射される。
【0050】
そして、偏光切替素子113で垂直偏光に変換された光は、偏光回折素子12Aによって、水平偏光に変換され、+1次光として進行方向を変えて、透過・拡散板13の拡散領域Dに照射される。
その後、拡散領域Dで拡散されたランダム偏光の拡散光は、偏光回折素子12Bによって、±1次光としてさらに拡散し、表示パネル14に照射される。
そして、画像表示装置1は、制御部20の3D/2D画像入力手段21によって、二次元画像を入力し、3D/2D画像表示手段22によって、二次元画像を表示パネル14に表示する。
これによって、点光源(発光素子L)が出射した光が拡散光となって、二次元画像Gの表示領域全体を背面から照射することになり、正面から表示パネル14を観察する観察者は、二次元画像を視認することができる。
【0051】
(3D/2D混在表示)
次に、図8を参照して、画像表示装置1の3D/2D混在表示を行う動作について説明する。
画像表示装置1は、制御部20の表示切替指示入力手段23によって、3D/2D混在表示を行う切替指示として、偏光切替素子113の偏光状態を切り替えない旨を示す指示、または、偏光切替素子113の偏光状態を切り替える旨を示す指示を、点光源(発光素子L)に対応する領域ごとに入力する。
ここでは、3D表示を行う領域の点光源(発光素子L)に対応する偏光切替素子113には、偏光状態を切り替えない旨を指示し、2D表示を行う領域の点光源(発光素子L)に対応する偏光切替素子113には、偏光状態を切り替える旨を指示する。
【0052】
そして、画像表示装置1は、偏光切替制御手段24によって、切替指示で指示された領域ごとに、偏光切替素子113の電圧を制御する。
具体的には、偏光切替制御手段24は、偏光状態を切り替えない旨を指示された偏光切替素子113については電圧を印可せず、偏光状態を切り替える旨を指示された偏光切替素子113については電圧を印可する。
【0053】
これによって、3D表示を行う領域の点光源(発光素子L)が出射した光は、水平偏光のままで偏光切替素子113を通過する。
そして、偏光切替素子113を通過した水平偏光の光は、偏光回折素子12Aによって、垂直偏光に変換され、-1次光として進行方向を変えて、透過・拡散板13の透過領域Pに照射される。
その後、透過領域Pを通過した垂直偏光の光は、偏光回折素子12Bによって、水平偏光に変換され、+1次光として進行方向を変えて、表示パネル14に照射される。
【0054】
一方、2D表示を行う領域の点光源(発光素子L)が出射した光は、垂直偏光に変換されて偏光切替素子113から出射される。
そして、偏光切替素子113で垂直偏光に変換された光は、偏光回折素子12Aによって、水平偏光に変換され、+1次光として進行方向を変えて、透過・拡散板13の拡散領域Dに照射される。
その後、拡散領域Dで拡散されたランダム偏光の拡散光は、偏光回折素子12Bによって、±1次光として拡散し、表示パネル14に照射される。
【0055】
そして、画像表示装置1は、制御部20の3D/2D画像入力手段21によって、要素画像群と二次元画像とが混在した画像を入力し、3D/2D画像表示手段22によって、画像を表示パネル14に表示する。
これによって、要素画像eを表示した表示パネル14の領域には、点光源(発光素子L)が出射した光が背面照射され、正面から表示パネル14を観察する観察者は、インテグラル方式の立体像を視認することができる。
また、二次元画像Gを表示した表示パネル14の領域には、点光源(発光素子L)が出射した光が拡散光として背面照射され、正面から表示パネル14を観察する観察者は、二次元画像を視認することができる。
【0056】
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態に係る画像表示装置1の構成および動作について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0057】
(点光源出射部の変形〔その1〕)
ここでは、点光源出射部11は、点光源アレイ111を二次元平面上に配列した発光素子Lで構成した。
しかし、図9に示すように、点光源アレイ111を、平行光発光部111aとレンズアレイ111bとを対向するように配置して構成し、点光源出射部11Bとしてもよい。なお、偏光板112および偏光切替素子113は、レンズアレイ111bの光の出射側にあっても構わない。
【0058】
平行光発光部111aは、平行光(疑似平行光)を発光する面照明装置である。
レンズアレイ111bは、凸レンズを二次元平面上に配列したものである。
平行光発光部111aが出射する平行光は、レンズアレイ111bを構成するそれぞれの凸レンズの焦点距離に集光し、点光源Loとなる。
このように、点光源出射部11Bを構成することで、点光源出射部11のように微小な発光素子Lを用いずに点光源を生成することができ、高輝度な画像を表示することができる。
なお、平行光発光部111aは、図13に示したように、プロジェクタ(光源201)と、コリメータレンズ202とを用いて構成してもよい。
【0059】
(点光源出射部の変形〔その2〕)
また、点光源出射部11は、図10(a)に示す点光源出射部11Cの構成としてもよい。
図10(a)に示すように、点光源出射部11Cは、平行光発光部111aと、透過・遮光素子114と、偏光回折素子115A,115Bと、λ/2波長板116と、レンズアレイ111bと、を備える。
【0060】
平行光発光部111aおよびレンズアレイ111bは、図9で説明した点光源出射部11Bの構成と同じものであるため説明を省略する。
透過・遮光素子114は、平行光発光部111aが出射する平行光の一部を遮光するものである。透過・遮光素子114が光を透過する透過領域の幅W1と光を遮光する遮光領域の幅W2は同じとし、後記するλ/2波長板116と同じ幅とする。この透過・遮光素子114は、例えば、液晶パネルで構成することで、部分的に透過領域を形成したり、遮光領域を形成したりすることができる。
透過・遮光素子114の透過領域を透過した光は、偏光回折素子115Aに照射される。
【0061】
偏光回折素子(第2偏光回折素子)115A,115Bは、図2で説明した偏光回折素子12A,12Bと同様、水平偏光または垂直偏光の入射光を、偏光状態に応じて、異なる方向に±1次光として回折させるものである。偏光回折素子115A,115Bは、射出光線の位相を180度ずらして対向するように予め定めた距離だけ離間して配置する。
ここでは、偏光回折素子115Aは、入射した平行光のうち、垂直偏光の光を水平偏光に変換し、-1次光として、偏光回折素子115Bに照射する。
また、偏光回折素子115Aは、入射した平行光のうち、水平偏光の光を垂直偏光に変換し、+1次光として、偏光回折素子115Bに照射する。
偏光回折素子115Bは、偏光回折素子115Aから照射される水平偏光の光を垂直偏光の光に変換し、+1次光として、λ/2波長板116に照射する。
また、偏光回折素子115Bは、偏光回折素子115Aから照射される垂直偏光の光を水平偏光の光に変換し、-1次光として、レンズアレイ111bに照射する。
【0062】
λ/2波長板116は、入射光に対して1/2波長の位相差を生じさせて、偏光方向を90度回転させるものである。
ここでは、λ/2波長板116は、透過・遮光素子114の透過領域の幅W1と同じ幅で、透過・遮光素子114の透過領域に対して幅W1の1/2だけ水平方向(x方向)にずらして配置する。
λ/2波長板116は、偏光回折素子115Bから照射される垂直偏光の光を水平偏光の光に変換し、レンズアレイ111bに照射する。
これによって、レンズアレイ111bに照射される光は、すべて水平偏光の光となり、点光源出射部11Cは、水平偏光の点光源を生成することができる。
【0063】
なお、点光源出射部11Cは、垂直偏光の点光源を生成する場合、図10(b)に示すように、透過・遮光素子114の透過領域と遮断領域とを切り替えればよい。
この透過・遮光素子114の切り替えは、図5で説明した制御部20の偏光切替制御手段24で行えばよい。
【0064】
すなわち、画像表示装置1が3D表示を行う場合、偏光切替制御手段24は、図10(a)に示すような透過領域と遮光領域となるように透過・遮光素子114を制御する。
また、画像表示装置1が2D表示を行う場合、偏光切替制御手段24は、図10(b)に示すような透過領域と遮光領域となるように透過・遮光素子114を制御する。
また、画像表示装置1が3D表示と2D表示とを混在して表示する場合、偏光切替制御手段24は、3D表示を行う領域に対しては、図10(a)に示すような透過領域と遮光領域となるように透過・遮光素子114を制御する。また、偏光切替制御手段24は、2D表示を行う領域に対しては、図10(b)に示すような透過領域と遮光領域となるように透過・遮光素子114を制御する。
このように、点光源出射部11Cは、点光源出射部11(図2)、11B(図9)で示した偏光板112がなく、光効率のロスが少ないため、高輝度な画像を表示することができる。
なお、ここでは、レンズアレイ111bの凸レンズを、透過・遮光素子114の透過領域の幅W1に対して複数(ここでは2つ)備える構成としているが、3つ以上または1つの凸レンズで構成してもよい。
【0065】
(表示部の変形〔その1〕)
ここでは、画像表示装置1は、表示部10の偏光回折素子12A,12Bの間に、透過・拡散板13を1つ配置した構成とした。
しかし、偏光回折素子12A,12Bの間に、透過・拡散板13を多段に複数配置してもよい。例えば、図11に示すように、表示部10Bは、偏光回折素子12A,12Bの間に、透過・拡散板13A,13Bを配置する。
ここで、透過・拡散板13A,13Bは、3D表示を行う際に、偏光回折素子12Aが回折する光が照射する範囲のみを透過領域Pとし、他の領域を拡散領域Dとする。また、透過・拡散板13A,13Bは、正面視で、透過領域Pが重ならないようにすることが好ましい。
これによって、2D表示を行う際、偏光回折素子12Aが回折する光は、複数の拡散領域Dで拡散されることになり、より均一な拡散光を生成することができる。
【0066】
(表示部の変形〔その2〕)
図11に示した表示部10Bの点光源出射部11は、図9で説明した点光源出射部11Bとして構成してもよい。
その場合、図12に示すように、表示部10Cは、点光源出射部11Bが発光する点光源Loの位置の前後方向に、透過・拡散板13A,13Bを配置することが好ましい。
これによって、透過・拡散板13A,13Bの透過領域Pの面積を小さくすることが可能になり、2D表示を行う際に、多くの面積で、より均一な拡散光を生成することができる
【0067】
(その他)
以上説明した実施形態において、一方の偏光状態を垂直偏光、他方の偏光状態を水平偏光としても構わない。
また、ここでは、偏光回折素子12A,12Bの回折方向を水平方向(x方向)としたが、垂直方向(y方向)としてもよい。その場合、図4に示した透過・拡散板13のパターンを90度回転させればよい。
また、ここでは、水平偏光および垂直偏光で光の回折方向を制御したが、一方の偏光状態を左円偏光、他方の偏光状態を右円偏光、または、一方の偏光状態を右円偏光、他方の偏光状態を左円偏光として、回折方向を制御してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 画像表示装置
10,10B,10C 表示部
11,11B,11C 点光源出射部
111 点光源アレイ
111a 平行光発光部
111b レンズアレイ
112 偏光板
113 偏光切替素子
114 透過・遮光素子
115A,115B 偏光回折素子(第2偏光回折素子)
116 λ/2波長板
12A,12B 偏光回折素子
13,13A,13B 透過・拡散板
14 表示パネル
20 制御部
21 3D/2D画像入力手段
22 3D/2D画像表示手段
23 表示切替指示入力手段
24 偏光切替制御手段
L 発光素子
Lo 点光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16