(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】保護バリア層を使用して半導体構造を製造する装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20230509BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L21/316 P
H01L21/316 M
H01L21/31 B
H01L21/316 X
H01L21/316 G
(21)【出願番号】P 2020514961
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(86)【国際出願番号】 US2018050464
(87)【国際公開番号】W WO2019055415
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マンナ プラミット
(72)【発明者】
【氏名】マルリック アビジット バス
(72)【発明者】
【氏名】レスチキーズ カーティス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルハヴェルベケ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シーシー
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-347636(JP,A)
【文献】特開2003-188182(JP,A)
【文献】特表2013-533639(JP,A)
【文献】特表2013-517616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0336405(US,A1)
【文献】特開2012-231007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
基板上に半導体構造を形成することであり、前記半導体構造がシリコン(Si)含有層またはシリコンゲルマニウム(SiGe)層を含む、半導体構造を形成することと、
ライナ堆積プロセスを実行して前記半導体構造の上にライナ層を形成することと、
流動層堆積プロセスを実行して前記ライナ層の上に流動性誘電体層を堆積させること
であって、前記流動層堆積プロセスが、摂氏0度~摂氏約100度の温度で約1トル~約10トルのチャンバ圧力において、シリコン含有前駆体および酸素系ラジカル前駆体を反応させることを含み、前記シリコン含有前駆体がトリシリルアミンを含む、流動性誘電体層を堆積させることと、
前記流動性誘電体層の表面を高圧蒸気に露出させることによってアニーリングプロセスを実行することとを含み、前記ライナ層の少なくとも一部分
の厚さが、前記アニーリングプロセス中の酸化によって徐々に低減される、方法。
【請求項2】
前記ライナ層の厚さが、前記アニーリングプロセスが完了した後に残っている前記ライナ層の厚さに基づいて判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ライナ層の厚さが、前記流動性誘電体層のアニーリング時間、アニーリング温度、および厚さのうちの少なくとも1つに基づいて判定され、前記ライナ層の前記厚さが実質上ゼロになる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ライナ層が、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アニーリングプロセスが、約1バール~約60バールの圧力で摂氏約200度~摂氏約600度の温度のアニーリングチャンバ内で、約5分~約120分の時間にわたって、前記流動性誘電体層を高圧蒸気に露出させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アニーリングプロセスが、高圧乾燥蒸気アニーリングプロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基板を処理する方法であって、
基板上に半導体構造を形成することであり、前記半導体構造がシリコン(Si)含有層またはシリコンゲルマニウム(SiGe)層を含む、半導体構造を形成することと、
ライナ堆積プロセスを実行して前記半導体構造の上にライナ層を形成することと、
流動層堆積プロセスを実行して前記ライナ層の上に流動性誘電体層を堆積させること
であって、前記流動層堆積プロセスが、摂氏約0度~摂氏約100度の温度で約1トル~約10トルのチャンバ圧力において、シリコン含有前駆体および酸素系ラジカル前駆体を反応させることを含み、前記シリコン含有前駆体がトリシリルアミンを含む、流動性誘電体層を堆積させることと、
前記流動性誘電体層の表面を高圧蒸気に露出させることによってアニーリングプロセスを実行することとを含み、前記ライナ層が、前記アニーリングプロセス中の前記Si含有層またはSiGe層の酸化を防止し、前記ライナ層の少なくとも一部分
の厚さが、前記アニーリングプロセス中の酸化によって徐々に低減される、方法。
【請求項8】
前記ライナ層の厚さが、前記アニーリングプロセスが完了した後に残っている前記ライナ層の厚さに基づいて判定される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記ライナ層の厚さが、前記流動性誘電体層のアニーリング時間、アニーリング温度、および厚さのうちの少なくとも1つに基づいて判定される、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記ライナ層の厚さが、前記アニーリングプロセス後に残っている前記ライナ層の厚さが実質上ゼロに等しくなるように判定され、前記ライナ層が、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素から形成される、請求項
7に記載の方法。
【請求項11】
前記アニーリングプロセスが、約1バール~約60バールの圧力で摂氏約200度~摂氏約600度の温度のアニーリングチャンバ内で、約5分~約120分の時間にわたって、前記流動性誘電体層を高圧蒸気に露出させることを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項12】
前記アニーリングプロセスが、高圧乾燥蒸気アニーリングプロセスである、請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実装は、一般に、保護バリア(たとえば、ライナ)層を使用して半導体構造を製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス内に形成されるトレンチの幅は、トレンチを誘電体材料で充填することが困難になるほどトレンチ深さとトレンチ幅とのアスペクト比が大きくなるまで狭くなってきた。低い温度で堆積され、高圧蒸気下でアニーリングされた酸化ケイ素(SiOx)などの流動性の誘電体材料は、継ぎ目またはボイドを形成することなく、高アスペクト比のトレンチを高品質の酸化物材料で充填することができる。しかし、蒸気に露出されるシリコン(Si)などの任意の下にある材料が酸化物材料に変換されて、下層の品質に影響を及ぼす可能性がある。変換される酸化物の厚さは、数オングストローム(Å)になる可能性がある。たとえば、シリコンゲルマニウム(SiGe)材料は、高圧蒸気に露出されたとき、酸化の影響を特に受けやすい。
【0003】
したがって、上述した問題に対処する製造方法および装置が、当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実装は、一般に、保護バリア(たとえば、ライナ)層を使用して半導体を製造する方法および装置に関する。
【0005】
一実施形態では、基板を処理する方法が提供される。この方法は、基板上に半導体構造を形成することを含み、半導体構造は、シリコン(Si)含有層またはシリコンゲルマニウム(SiGe)層を含む。この方法はまた、ライナ堆積プロセスを実行して半導体構造の上にライナ層を形成することを含む。この方法はまた、流動層堆積プロセスを実行してライナ層の上に流動層を堆積させることを含む。この方法はまた、流動層の表面を高圧蒸気に露出させることによってアニーリングプロセスを実行することを含み、ライナ層は、アニーリングプロセス中の下のSi含有層またはSiGe層の酸化を防止し、ライナ層の少なくとも一部分は、アニーリングプロセス中の酸化によって徐々に低減される。
【0006】
別の実施形態では、基板を処理することが可能なクラスタシステムが提供される。クラスタシステムは、基板上に半導体構造を形成するように構成された第1の堆積チャンバを含み、半導体構造は、シリコン(Si)含有層またはシリコンゲルマニウム(SiGe)層を含む。第2の堆積チャンバが、半導体構造の上にライナ層を形成するように構成される。第3の堆積チャンバが、ライナ層の上に流動層を形成するように構成される。アニーリングチャンバが、流動性酸化物層を高圧蒸気に露出させることによってアニーリングプロセスを実行するように構成され、ライナ層は、アニーリングプロセス中の下のSi含有層またはSiGe層の酸化を防止する。ライナ層の少なくとも一部分は、アニーリングプロセス中の酸化によって徐々に低減される。
【0007】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実装を参照することによって、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を得ることができる。実装のいくつかは添付の図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実装も許容しうるため、添付の図面は本開示の典型的な実装のみを示し、したがって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態による半導体構造の上に流動性誘電体層を形成する製造プロセスを示す流れ図である。
【
図2A-2F】本開示の一実施形態による
図1の各製造動作が実行された後の半導体構造の一部分の概略断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるアニーリングプロセスが実行された後の様々な組合せの層が堆積した半導体構造の概略断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による
図1に関して説明した製造プロセスを実行するために使用することができる処理システムの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするために、可能な場合、これらの図に共通する同一の要素を指すために同一の参照番号を使用した。1つの実装に開示する要素は、特段の指示がなくても他の実装で有益に利用することができることが企図される。
【0010】
本開示の実装は、一般に、保護バリア(たとえば、ライナ)層を使用して半導体構造を製造する方法および装置に関する。特に、本明細書に提示する方法は、シリコン(Si)含有層またはシリコンゲルマニウム(SiGe)層を含む半導体構造を形成することと、半導体構造の上にライナ層を堆積させることと、ライナ層の上に流動層を形成することと、流動層を高圧蒸気に露出させることとを含み、ライナ層は、アニーリングプロセス中の下のSi含有層またはSiGe層の酸化を防止し、ライナ層の少なくとも一部分は、アニーリングプロセス中の酸化によって徐々に低減される。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態による半導体構造の上に流動性誘電体層を形成する製造プロセス100を示す流れ図を示す。製造プロセス100は、たとえば平面構造、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)構造、または水平ゲートオールアラウンド(hGAA)構造を含む半導体デバイスの複数の動作を含む製造プロセスの一部とすることができる。製造プロセス100の各動作は、指定の論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能な命令を含むコードのモジュール、セグメント、または部分を表すことができる。いくつかの実装では、製造プロセスのこれらの動作は、同時に、実質上同時に、または
図1に示したもの以外の順序で行うことができる。製造プロセス100の各動作および動作の組合せは、指定の機能もしくは動作を実行する特別目的ハードウェアに基づくシステム、または特別目的ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによって実施することができる。
【0012】
製造プロセスは、基板上に半導体構造が形成される動作102から始まる。半導体構造は、シリコン(Si)材料などのシリコン含有材料またはシリコンゲルマニウム(SiGe)含有材料の1つまたは複数の層を含む。Si含有層またはSiGe層は、基板の表面の上にエピタキシャル成長させることができる。
【0013】
基板は、シリコン基板、たとえばシリコン(ドープされたもしくはドープされていない)、結晶シリコン、酸化ケイ素、ドープされたもしくはドープされていないポリシリコンなど、ゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、ヒ化ガリウム基板、炭化ケイ素(SiC)基板、パターン付きもしくはパターンなし絶縁体上半導体(SOI)基板、炭素がドープされた酸化物、窒化ケイ素などの第III-V族化合物基板、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンス(EL)ランプディスプレイなどのディスプレイ基板、太陽電池アレイ、ソーラーパネル、発光ダイオード(LED)基板、ガラス、サファイア、または金属、金属合金、および他の導電性材料などの任意の他の材料など、材料を堆積させることが可能な任意の基板とすることができる。トランジスタ、キャパシタ、抵抗器、ダイオード、フォトダイオード、ヒューズなどの様々なN型金属酸化物半導体(NMOS)および/またはP型金属酸化物半導体(PMOS)デバイスなどの1つまたは複数の電気デバイスを、基板内に形成することができる。基板は、特定のサイズまたは形状に限定されるものではないことが企図される。たとえば、基板は、とりわけ200mmの直径、300mmの直径、または450mmなどの他の直径を有する円形の基板とすることができる。基板はまた、任意の多角形、正方形、長方形、湾曲形、またはその他の非円形の加工物とすることができる。
【0014】
動作104で、半導体構造をパターニングおよびエッチングして、基板上にトレンチまたは間隙などの特徴を形成する。たとえば、半導体構造は、リソグラフィシステムでパターニングし、エッチングチャンバでエッチングすることができる。一実施形態では、極紫外パターニングプロセスなどのフォトリソグラフィプロセスを利用して、半導体構造を処理することができる。一実施形態では、半導体構造内へエッチングされるトレンチまたは間隙のアスペクト比は、約1:1、約2:1、約3:1、約5:1、約10:1、約15:1、約20:1、約30:1、約50:1、約100:1、またはそれ以上である。
【0015】
一実施形態では、トレンチまたは間隙のアスペクト比は、約10:1~約30:1、たとえば約15:1である。「アスペクト比」という用語は、特定の特徴、たとえば基板内に形成されたトレンチまたは間隙の高さ寸法と幅寸法との比を指す。
【0016】
動作106で、基板が堆積チャンバ内に位置決めされている間に、半導体構造の側壁上に保護バリア(たとえば、ライナ)層が形成される。一実施形態では、ライナ層は、たとえば化学気相堆積、原子層堆積、またはエピタキシャル堆積によって堆積される。別の実施形態では、ライナ層は、熱酸化プロセスまたは熱窒化プロセスなどの好適なプロセスによって形成される(すなわち、成長させられる)。ライナ層は、流動性誘電体層の堆積中およびアニーリングプロセス中の半導体構造または基板の下層(たとえば、Si含有層またはSiGe層)の酸化を防止する。
【0017】
一実施形態では、ライナ層は、酸化物材料、窒化物材料、または酸素窒化物ベースの材料から形成することができる。たとえば、ライナ材料は、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4、略してSiN)、またはSiONもしくはSi2N2Oなどの酸窒化ケイ素(SiOxNy)とすることができる。一実施形態では、酸化物材料は、堆積チャンバを使用する流動性化学気相堆積(CVD)プロセスによって堆積される。好適な堆積チャンバは、高密度プラズマCVDチャンバ、プラズマCVDチャンバ、減圧CVDチャンバなどを含むことができる。流動性酸化物または窒化物層を形成するように適合することができる好適な装置の一例には、どちらもカリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能なPRODUCER(登録商標)システムまたはULTIMA HDP CVD(登録商標)システムが含まれる。他の製造者からのものを含む他の好適な堆積チャンバを利用することもできることが企図される。
【0018】
動作108で、半導体構造のライナ層の上に流動性誘電体層が形成される。本開示の流動性誘電体層は、任意の誘電体層を含むことができる。一実施形態では、誘電体層はシリコン含有層であり、それだけに限定されるものではないが、SiC、SiO、SiCN、SiO2、SiOC、SiOCN、SiON、またはSiNを含むことができる。一例では、流動性誘電体層を形成するために、シリコン含有前駆体、酸素系ラジカル前駆体、および窒素系ラジカル前駆体を堆積チャンバ内へ導入して、基板の上に流動性誘電体層を形成する。追加または別法として、流動性誘電体層は、追跡可能な量の炭素を含有しなくてもよい(すなわち、炭素を含まない、または実質上炭素を含まない)。
【0019】
流動性誘電体層は、基板の露出面上および基板に形成されたトレンチまたは間隙内へ堆積させることができる。誘電体層の流動性は、少なくとも一部には、堆積層内の短鎖ポリシラザンポリマーの存在によるものとすることができる。たとえば、堆積層は、シラザン型のSi-NH-Siバックボーン(すなわち、Si-N-H層)を有することができる。短鎖ポリマーの形成および流動性を可能にする窒素が、ラジカル前駆体またはシリコン含有前駆体から発生することができる。誘電体層の流動性により、誘電体層は、高いアスペクト比を有するトレンチまたは間隙を、トレンチ内にボイドを生じることなく充填することが可能になる。特に、流動性誘電体層は、トレンチの側壁上の堆積を最小にしながら、トレンチを下から上へ充填する。誘電体層の流動性は、流動性誘電体層の堆積が進行するにつれて減衰する。誘電体層の流動性は、後のアニーリングプロセス中に除去される。
【0020】
一実施形態では、好適なシリコン含有前駆体には、酸素原子とケイ素原子との比が約0~約6である有機ケイ素化合物が含まれる。好適な有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物、テトラクロロシラン、ジクロロジエトキシシロキサン、クロロトリエトキシシロキサン、ヘキサクロロジシロキサン、および/またはオクタクロロトリシロキサンなどの1つまたは複数のハロゲン部分(たとえば、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物)を含むハロゲン化シロキサン化合物、ならびにトリシリルアミン(TSA)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、シラトラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、およびメチルシラトランなどのアミノシランを含むことができる。シラン、ハロゲン化シラン、オルガノシラン、およびこれらの任意の組合せなどの他のシリコン含有前駆体を使用することもできる。シランは、シラン(SiH4)ならびにジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、およびテトラシラン(Si4H10)などの実験式SixH(2x+2)を有する高次シラン、またはポリクロロシランなどの他の高次シランを含むことができる。
【0021】
酸素系ラジカル前駆体は、酸素(O2)、オゾン(O3)、NO、NO2、またはN2Oなどの窒素-酸素化合物、水または過酸化物などの水素-酸素化合物、一酸化炭素または二酸化炭素などの炭素-酸素化合物、および他の酸素含有前駆体、ならびにこれらの任意の組合せから形成される酸素ラジカルを含むことができる。酸素ラジカルは、遠隔で生成し、シリコン含有前駆体によって導入することができる。酸素系ラジカル前駆体は、堆積チャンバへの導入前に、たとえば遠隔プラズマ源を使用して活性化することができ、遠隔プラズマ源は、CCP(容量結合プラズマ)またはICP(誘導結合プラズマ)構成を有することができる。
【0022】
窒素系ラジカル前駆体は、窒素(N2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、アンモニア(NH3)、およびこれらの任意の組合せから形成される窒素ラジカルを含むことができる。窒素ラジカルは、遠隔で生成し、シリコン含有前駆体および酸素系ラジカル前駆体によって導入することができる。窒素系ラジカル前駆体は、堆積チャンバへの導入前に、たとえば遠隔プラズマ源を使用して活性化することができ、遠隔プラズマ源は、CCP(容量結合プラズマ)またはICP(誘導結合プラズマ)構成を有することができる。
【0023】
いくつかの実装では、酸素系ラジカル前駆体は、第1の体積流量で堆積チャンバ内へ流され、シリコン含有前駆体は、第2の体積流量で堆積チャンバ内へ流される。一実施形態では、第1の体積流量と第2の体積流量との比は、約0.3:1~約0.9:1、約0.5:1~約0.7:1など、たとえば約0.6:1である。
【0024】
いくつかの実装では、窒素系ラジカル前駆体は、第1の体積流量で堆積チャンバ内へ流され、シリコン含有前駆体は、第2の体積流量で堆積チャンバ内へ流される。一実施形態では、第1の体積流量と第2の体積流量との比は、約0.2:1~約0.8:1、約0.4:1~約0.6:1など、たとえば約0.5:1である。
【0025】
酸素ラジカルおよび窒素ラジカルの両方を含有するラジカル前駆体が使用される場合、酸素系ラジカル前駆体または窒素系ラジカル前駆体を省略することができることが企図される。
【0026】
シリコン含有前駆体、酸素系ラジカル前駆体、および窒素系ラジカル前駆体は、堆積チャンバ内へ流し、摂氏約0度~約100度、たとえば摂氏約65度の温度で反応させることができる。流動性誘電体層の形成中、堆積チャンバの圧力は、約0.1トル~約10トル、たとえば約0.5トル~約6トルで維持することができる。
【0027】
動作110で、半導体構造は、アニーリングチャンバ内で高圧アニーリングプロセスにかけられる。アニーリングプロセス後、流動性誘電体層は、より高い密度、より良好な安定性を呈し、より高い温度に耐えることができる。一実施形態では、アニーリングプロセス前に任意選択の硬化プロセスが実行される。
【0028】
高圧アニーリングプロセス110中、基板が位置決めされたアニーリングチャンバ内へアニーリングガスが導入される。一実施形態では、アニーリングガスは酸素成分を含む。アニーリングガスはまた、水素成分を含むことができる。一実施形態では、アニーリングガスは、蒸気ならびに/または蒸気および酸素の混合物のうちの1つを含む。一実施形態では、アニーリングガスは、オゾン、酸素、水蒸気、重水、過酸化物、水酸化物含有化合物、酸素同位体(14、15、16、17、18など)、ならびに酸素および/または水の非同位体のうちの1つをさらに含む。過酸化物は、気体状態の過酸化水素とすることができる。いくつかの実施形態では、アニーリングガスは、それだけに限定されるものではないが、蒸気(vapor)状態(たとえば、蒸気(steam))の水蒸気または重水など、水酸化物イオンを含む酸化剤である。
【0029】
一例では、アニーリングガスは乾燥蒸気または過熱蒸気である。乾燥蒸気は、アニーリングチャンバに入ると過熱蒸気になることができる。半導体構造が処理されるアニーリングチャンバの内面の温度は、アニーリングガスの凝結を防止するように維持される。たとえば、アニーリングガスに露出されるアニーリングチャンバの表面の温度は、摂氏約200度~摂氏約600度で維持される。
【0030】
アニーリングプロセス中、アニーリングチャンバ内のアニーリングガスの圧力は、約1バール~約60バールで維持される。たとえば、アニーリングチャンバ内の処理ガスの圧力は、約2バールを上回るように、たとえば約10バール超などで維持される。別の例では、アニーリングチャンバ内のアニーリングガスは、約10~約60バール、約20~約50バールなどの圧力で維持される。アニーリングプロセス110の処置時間(たとえば、浸漬時間)は、約5分~約120分、約30分~約90分などとすることができる。
【0031】
図2A~
図2Fは、本開示の一実施形態による各製造動作が実行された後の半導体構造の一部分の概略断面図を示す。
【0032】
図2Aは、基板202の上に複数の層が堆積された後の半導体構造200Aの一部分の概略断面図を示す。一実施形態では、基板202は、バルク半導体基板とすることができ、基板は半導体材料を含む。バルク半導体基板は、半導体構造を形成するための任意の好適な半導電性材料および/または半導電性材料の組合せを含むことができる。一実施形態では、基板202の半導体材料はシリコン材料を含む。いくつかの実施形態では、基板202の半導体材料は、nドープされたシリコン(n-Si)またはpドープされたシリコン(p-Si)などのドープされた材料である。
【0033】
半導体構造200Aは、複数の層を含む。一実施形態では、半導体構造200Aは、第1の層204、第2の層206、および第3の層208を含む。第2の層206は、シリコンゲルマニウム(SiGe)材料などの少なくとも1つの第III-V族材料から形成することができる。一例では、第2の層206は、約10%~約50%、約20%~約40%などのゲルマニウム含有率を有する。第2の層206のシリコン含有率は、約50%~約90%、約60%~約80%などとすることができる。一実施形態では、第2の層206は、エピタキシャル化学気相堆積プロセスを使用して堆積される。
【0034】
一実施形態では、第1の層204は、シリコン含有材料から形成され、第3の層208は、二酸化ケイ素から形成される。別の実施形態では、半導体構造200AがSiGe含有材料から作製されるとき、第1の層204、第2の層206、および第3の層208はそれぞれ、SiGe含有層である。さらに別の実施形態では、第1の層204および第3の層208は、半導体構造の機能に応じて、任意の好適な材料から形成される。
【0035】
図2Bは、半導体構造200Bの一部分の概略断面図を示す。
図2Bに示す半導体構造200Bは、パターニングプロセスおよびエッチングプロセスが実行された後の
図2Aに示す半導体構造200Aに対応する。半導体構造200Bの両縁部がエッチングされている。その結果、半導体構造200Bと隣接する半導体構造との間など、隣接する半導体構造間に、トレンチまたは間隙を形成することができる。
【0036】
一実施形態では、極紫外パターニングプロセスなどのフォトリソグラフィプロセスを利用して、半導体構造200Aをエッチングすることができる。別の実施形態では、自己整合型2倍または4倍パターニングプロセスを利用して、半導体構造200Aをパターニングすることもできる。
【0037】
半導体構造200Aをエッチングするために利用される例示的なエッチングプロセスは、反応性イオンエッチング(RIE)プロセスである。類似および他のエッチングプロセスを利用することもできることが企図される。一実施形態では、塩素、臭素、またはフッ素系の化学的性質を利用してRIEプロセスを実行し、半導体構造200Aを異方性エッチングすることができる。
【0038】
図2Cは、半導体構造200Cの一部分の概略断面図を示す。半導体構造200Cは、
図2Bの半導体構造200Bに類似しているが、半導体構造200Cは、ライナ堆積プロセスを介して半導体構造200Bの上に堆積されたライナ層210を含む。ライナ層210は、窒化ケイ素(SiN)またはSiONもしくはSi
2N
2Oなどの酸窒化ケイ素(SiO
xN
y)から形成することができる。
【0039】
アニーリングプロセスがライナ層210上で実行され、ライナ層210を酸化物に徐々に変換する。ライナ層210から酸化物への変換率は、アニーリング温度、蒸気の圧力、流動性誘電体層の特性(たとえば、材料タイプおよび厚さ)、アニーリング酸化剤の特性(たとえば、酸化剤のタイプおよび濃度)、および/またはアニーリング時間などの様々な要因に依存する。ライナ層210の厚さは、アニーリングプロセス中に変えることができる。アニーリングプロセスの特性は、ライナ層210の厚さに影響を与えることができる。たとえば、アニーリング温度、蒸気の圧力、アニーリング時間、および/または流動性誘電体層の厚さを増大させるにつれて、ライナ層210の厚さを増大させることができる。さらに、アニーリング温度、蒸気の圧力、アニーリング時間、および/または流動性誘電体層の厚さを減少させるにつれて、ライナ層210の厚さを減少させることができる。
【0040】
アニーリングプロセスが完了する前にライナ層210全体が酸化した場合、下の第3の層208および第2の層206が酸化し始める可能性があり、その結果、第3の層208および第2の層206の品質が低下するおそれがある。したがって、流動性酸化物堆積プロセスおよびアニーリングプロセスなどの後のプロセス中の下の第3の層208および第2の層206の酸化からの十分な保護を提供するように、堆積させるべきライナ層210の厚さが判定される。他方では、ライナ層210の厚さは、半導体集積回路の密度を満たすのに十分なほど薄くするべきである。
【0041】
ライナ層210の厚さは、アニーリングプロセスの終わりに残っているライナ層210の厚さに基づいて判定することができる。一実施形態では、残りのライナ層210の厚さは、ゼロ(0)または実質上ゼロ(0)近くにすることができる。別の実施形態では、残りのライナ層210の厚さは、電力消費、動作速度、または密度などの半導体集積回路のサイズ要件および/または性能要件に応じて、特定の範囲内、たとえば約1Å~約30Åとすることができる。
【0042】
一実施形態では、ライナ層201の最初の幅は、約5Å~約100Å、約20Å~約30Åなど、たとえば約25Åとすることができる。ライナ層210は、後のアニーリングプロセス中の層204、206、208の酸化を防止するのに好適なものとすることができることが企図される。したがって、流動性酸化物堆積プロセスおよび/またはアニーリングプロセスなどの後のプロセス中の下のSi含有層またはSiGe層の酸化からの十分な保護を提供する厚さを有するライナ層210を堆積させるべきである。また、ライナ層210の厚さは、後のプロセス後に残っているライナ層210の厚さが半導体集積回路のサイズ要件を満たすように判定するべきである。一実施形態では、ライナ層210の厚さは、以下の
図3に関して説明するように、その結果得られるライナ層210の厚さに基づいて判定することができる。
【0043】
図2Dは、基板202および半導体構造200Dの一部分の概略断面図を示す。半導体構造200Dは、誘電体材料層212が堆積された後の
図2Cに示す半導体構造200Cである。一実施形態では、誘電体材料層212は流動性誘電体層である。流動性誘電体層は、酸化ケイ素材料などの誘電体材料から形成される。誘電体材料層212は、他のシステムの中でも、高密度プラズマCVDシステム、プラズマCVDシステム、および/または減圧CVDシステムを使用して形成することができる。誘電体材料層212を形成するように適合することができるCVDシステムの例には、どちらもカリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能なULTIMA HDP CVD(登録商標)システムおよびPRODUCER(登録商標)ETERNA CVD(登録商標)システムが含まれる。他の製造者からの他の好適なCVDシステムを利用することもできることが企図される。
【0044】
図2Eおよび
図2Fは、それぞれ半導体構造200Eおよび200Fの一部分の概略断面図を示す。半導体構造200Eおよび200Fは、アニーリングプロセスが実行された後の
図2Dに示す半導体構造200Dに対応する。アニーリングプロセスは、誘電体材料層212を標的層の組成および品質に高密度化するように実行される。アニーリングプロセス中、ライナ層210は酸化物に徐々に変換される。ライナ層210の酸化が生じると、ライナ層210の厚さおよび幅が減少する。一実施形態では、
図2Eに示すように、ライナ層210の一部分はアニーリングプロセス後も残る。別の実施形態では、
図2Fに示すように、ライナ層210全体が酸化される。
【0045】
一実施形態では、アニーリングプロセスは、乾燥蒸気アニーリングプロセスを含む。蒸気アニーリングプロセスは、摂氏約200度~摂氏約600度、摂氏約400度~摂氏約500度などの温度で実行することができる。蒸気アニーリングプロセスは、約5分~約120分、たとえば約100分の時間量にわたって実行することができる。一実施形態では、乾式アニーリングプロセスを約60分にわたって実行することができる。
【0046】
別の実施形態では、湿式蒸気アニーリングプロセスおよび乾式アニーリングプロセスをどちらも利用することができる。この実施形態では、乾式アニーリングプロセスは、湿式蒸気アニーリングプロセス後に実行することができる。
【0047】
図3は、本開示の一実施形態によるアニーリングプロセスが実行された後の層が堆積した半導体構造350、352、354、356、358、および360の断面図を示す。半導体構造350、352、354、356、358、および360上で実行されたアニーリングプロセスの結果を使用して、後のアニーリングプロセス中の下のSi含有層またはSiGe層の酸化からの十分な保護を提供するライナ層の厚さを判定することができる。
【0048】
半導体構造350、352、および354は、摂氏400度の温度、30バールの圧力、1時間の処理時間、および2.5未満の湿式エッチング速度比(WERR)で行われたアニーリングプロセスの結果を示す。半導体構造350は、上述したアニーリングプロセスに露出されたSiO層302およびSiGeOx層304を含む。アニーリングプロセス前、SiO層302は約2400Åの厚さを有し、SiGe層は約1024Åの厚さを有する。アニーリングプロセス後、SiGe層はSiGe酸化(SiGeOx)層304に変換される。
【0049】
半導体構造352は、厚さ約100Åの窒化ケイ素(SiN)層308上に配置された厚さ約2230ÅのSiO層306を含む。SiN層308は、厚さ約460ÅのSiGe層310上に配置される。アニーリングプロセス後、SiN層308のわずかな部分が酸化した。しかしSiN層308は、半導体構造350のSiGeOx層304と比較すると、SiGe層310の酸化量を実質上低減させ、したがってSiGe層310の酸化は実質上発生しなかった。
【0050】
半導体構造354は、厚さ約20ÅのSiN層314上に配置された厚さ約2230ÅのSiO層312を含む。SiN層は、厚さ約460ÅのSiGe層316上に配置される。アニーリングプロセス後、SiN層314のわずかな部分が酸化する。しかしSiN層314は、半導体構造350のSiGeOx層304と比較すると、SiGe層316の酸化量を実質上低減させ、したがってSiGe層316の酸化は実質上発生しなかった。
【0051】
半導体構造352上のSiGe層310の酸化および半導体構造354上のSiGe層316の酸化がないことは、厚さ約20Å以上のSiN層が、上述したアニーリングプロセス中に厚さ約2200ÅのSiO層を有する半導体構造の下のSiGe層の酸化を実質上低減させることを示している。
【0052】
半導体構造356、358、および340は、摂氏450度の温度、30バールの圧力、1時間の処理時間、および2.0未満のWERRで行われたアニーリングプロセスの結果を示す。半導体構造356は、厚さ約100ÅのSiN層322上に配置された厚さ約2230ÅのSiO層320を含む。SiN層322は、厚さ約479ÅのSiGe層324上に配置される。アニーリングプロセス後、SiN層322のわずかな部分が酸化した。しかし、SiGe層324は元の状態のままであり、酸化は実質上生じなかった。
【0053】
半導体構造358は、厚さ約30ÅのSiN層328上に配置された厚さ約2400ÅのSiO層326を含む。SiN層328は、厚さ約460ÅのSiGe層330上に配置される。アニーリングプロセス後、SiN層328全体が酸化した。しかし、SiGe層330は実質上元の状態のままであり、酸化は実質上生じなかった。
【0054】
半導体構造360は、厚さ約20ÅのSiN層334上に配置された厚さ約2190ÅのSiO層332を含む。SiN層334は、厚さ約620ÅのSiGe層上に配置される(アニーリングプロセス前)。アニーリングプロセス後、SiN層334の大部分が酸化した。さらに、厚さ約280ÅのSiGe層の一部分(すなわち、SiGeOx層336)が酸化した。酸化していないSiGe層338の残り部分は、約340Åの厚さを有する。
【0055】
それぞれ半導体構造356および358のSiGe層324および330に対する酸化がないこと、ならびにSiGeOx層304に対してSiGeOx層336が小さいことは、厚さ約30Å以上のSiN層が、上述したアニーリングプロセス中に厚さ約2400ÅのSiO層を含む半導体構造の下のSiGe層の酸化を実質上低減させることを示している。
【0056】
図4は、本開示の一実施形態による
図1に示す製造プロセスを実行するために使用することができる処理システム480の概略上面図である。クラスタシステム480は、基板の中心探知および配向、ガス抜き、アニーリング、堆積、エッチングなどを含む様々な機能を実行する複数のチャンバ(たとえば、プロセスチャンバ490A~490D、サービスチャンバ491A~491Bなど)を備えるモジュールシステムである。
【0057】
クラスタシステム480のプロセスチャンバ490A~490Dは、製造プロセス100の少なくともいくつかの部分を実行するように構成された堆積チャンバ、エッチングチャンバ、プラズマチャンバ、およびアニーリングチャンバを含み、イオン注入チャンバなどのチャンバをさらに含むことができる。
【0058】
チャンバ490A~490Dは、プロセス体積を形成するチャンバ壁と、プロセス体積内に基板を支持する基板支持体と、プロセス体積内の圧力を調整する圧力調整器と、プロセス体積へガスを提供するガス入口と、プロセス体積からのガスを排出するガス出口とを備える処理チャンバを含む。
【0059】
プラズマチャンバは、プラズマチャンバ筐体へ電力を提供してプラズマチャンバ筐体内でプラズマを生成および維持するための少なくとも1つの電極を含む。プラズマチャンバはまた、少なくとも1つの電極に電気的に接続された少なくとも1つのRF電源を含む。
【0060】
エッチングチャンバは、処理チャンバ内へエッチングガスを送り込むためのエッチングガス源を含む。堆積チャンバは、処理チャンバ内へ反応ガスを導入するための前駆体ガス源を含む。アニーリングチャンバは、処理チャンバ内へアニーリングガスを導入するためのアニーリングガス源を含む。イオン注入チャンバは、アークチャンバと、アークチャンバ内に位置決めされたフィラメントと、フィラメントとアークチャンバとの間に位置決めされたリペラ構造とを備える。
【0061】
本開示の実施形態を行うためのクラスタシステム480は、基板上に半導体構造を形成するように構成された第1の堆積チャンバを含み、半導体構造は、シリコン(Si)含有層またはシリコンゲルマニウム(SiGe)層を含む。クラスタシステム480はまた、パターニングされた半導体構造をエッチングするように構成されたエッチングチャンバと、ライナ堆積プロセスを実行して半導体構造の上にライナ層を形成するように構成された第2の堆積チャンバとを含む。クラスタシステム480の第3の堆積チャンバが、流動層堆積プロセスを実行してライナ層の上に流動層を形成するように構成される。クラスタシステム480のアニーリングチャンバが、流動層を高圧蒸気に露出させることによってアニーリングプロセスを実行するように構成される。クラスタシステム480は、極紫外光を使用して半導体構造をパターニングするためのリソグラフデバイスをさらに含む。
【0062】
クラスタシステム480の複数のチャンバ490A~490Dは、チャンバ490A~490D間で基板を移送するように適合されたロボット489を収容する中央真空移送チャンバ488に取り付けられる。真空移送チャンバ488は、真空状態で維持されており、基板を1つのチャンバから別のチャンバへ、および/またはクラスタシステム480の前端に位置決めされたロードロックチャンバ484へ移送する中間ステージを提供する。前端環境483が、ロードロックチャンバ484と選択的に連通するように位置決めされる。前端環境483内に配置されたポッドローダ485は、ロードロックチャンバ484と前端環境483上に取り付けられた複数のポッド487との間で基板のカセットを移送するように線形および回転運動(矢印482)が可能である。
【0063】
クラスタシステム480はまた、クラスタシステム880内で実行される様々な処理方法を実施するようにプログラムされたコントローラ481を含む。たとえば、コントローラ481は、ガス源からの様々な前駆体およびプロセスガスの流れ、ならびに材料堆積またはエッチングプロセスに関連する処理パラメータを制御するように構成することができる。コントローラ481は、メモリ477とともに動作可能であるプログラム可能な中央処理ユニット(CPU)479と、基板処理の制御を容易にするようにクラスタシステム480の様々な構成要素に結合された電源、クロック、キャッシュ、入出力(I/O)回路などの大容量ストレージデバイス、入力制御ユニット、および表示ユニット(図示せず)とを含む。コントローラ481はまた、クラスタシステム480内のセンサを介して基板処理を監視するハードウェアを含む。基板温度、チャンバ大気圧などのシステムパラメータを測定する他のセンサはまた、コントローラ481へ情報を提供することができる。
【0064】
上述したクラスタシステム480の制御を容易にするために、CPU479は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するためにプログラム可能な論理制御装置(PLC)などの産業設定で使用することができる汎用コンピュータプロセッサの任意の形態の1つとすることができる。メモリ477はCPU479に結合され、メモリ477は非一時的であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、または任意の他の形態のローカルもしくは遠隔のデジタルストレージ装置などの容易に利用可能なメモリの1つまたは複数とすることができる。CPU479には、プロセッサを従来どおり支持するための支持回路475が結合される。堆積、エッチング、アニーリング、および他のプロセスは、概して、メモリ477内に、典型的にはソフトウェアルーチンとして記憶される。ソフトウェアルーチンはまた、CPU479によって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行することができる。
【0065】
メモリ477は、CPU479によって実行されるとクラスタシステム480の動作を容易にする命令を含むコンピュータ可読ストレージ媒体の形態である。メモリ477内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形態である。プログラムコードは、複数の異なるプログラミング言語のいずれか1つに準拠することができる。一例では、本開示は、コンピュータシステムとともに使用するためにコンピュータ可読ストレージ媒体上に記憶されるプログラム製品として実施することができる。プログラム製品のプログラムは、実施形態(本明細書に記載する方法を含む)の機能を含む。例示的なコンピュータ可読ストレージ媒体には、それだけに限定されるものではないが、(i)情報が恒久的に記憶される書込み不可ストレージ媒体(たとえば、CD-ROMドライブによって可読のCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、または任意のタイプの固体状態不揮発性半導体メモリなど、コンピュータ内の読取り専用ストレージ装置)、および(ii)変更可能な情報が記憶される書込み可能ストレージ媒体(たとえば、ディスクストレージ装置もしくはハードディスクドライブ、または任意のタイプの固体状態ランダムアクセス半導体メモリ)が含まれる。そのようなコンピュータ可読ストレージ媒体は、本明細書に記載する方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を保持するとき、本開示の実施形態である。
【0066】
上記は本開示の実装を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実装を考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。