(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ネガ作動型超厚膜フォトレジスト
(51)【国際特許分類】
G03F 7/027 20060101AFI20230509BHJP
G03F 7/029 20060101ALI20230509BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230509BHJP
C08F 220/30 20060101ALI20230509BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20230509BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20230509BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230509BHJP
G03F 7/033 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G03F7/027 502
G03F7/029
G03F7/004 501
C08F220/30
C08F265/06
C08F2/50
G03F7/20 521
G03F7/20 501
G03F7/033
(21)【出願番号】P 2020550871
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2019056911
(87)【国際公開番号】W WO2019180058
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-04
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】菱田 有高
(72)【発明者】
【氏名】本林 央志
(72)【発明者】
【氏名】ルー・レイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チュンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルー・ピンフン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ・ウェイホン
【審査官】石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-097260(JP,A)
【文献】特開2009-003366(JP,A)
【文献】特開2008-309878(JP,A)
【文献】特開2018-151489(JP,A)
【文献】特開平04-122938(JP,A)
【文献】特開平02-275955(JP,A)
【文献】特開昭60-090204(JP,A)
【文献】特開昭60-099111(JP,A)
【文献】特開昭61-073705(JP,A)
【文献】特表2015-521752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0139507(US,A1)
【文献】韓国特許第10-2016-0118865(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/00;G03F7/004-7/18;7/26-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネガ作動型で水性塩基現像可能な感光性フォトレジスト組成物であって、
a)次の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むが、他のタイプの繰り返し単位は含まないポリマー、
【化1】
[式中、v、x、y及びzは、それぞれ、ポリマー中の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の各繰り返し単位のモル%を表し、及びvは
、20
~40モル%の範囲であり、xは
、20
~60モル%の範囲であり、yは、5~20モル%の範囲であり、zは
、3~20モル%の範囲であり、及びR
1、R
2、R
3及びR
4は、独立して、H及びCH
3からなる群から選択され、そしてR
5はC
1~C
4アルキル部分であり、更に、モル%のv、x、y及びzの合計は100モル%でなければならない]
b
)360nm
~440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含むラジカル光開始剤成分であって、ここで、前記ラジカル光開始剤成分b)の全重量に対する
以下に定義される架橋剤成分c)の全重量の重量比
は9~40である、ラジカル光開始剤成分;
c)次の構造(5)、(6)及び(7)の架橋剤の混合物または次の構造(8)の単一の架橋剤のいずれかから選択される、架橋剤成分であって、ここで、R
6、R
7、R
8、R
10は、独立して、Hまたはメチルから選択され、そしてR
9はメチルまたはエチルから選択され、更には、前記ポリマーa)の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比
が0.71
~1.2までの範囲である、架橋剤成分;
【化2】
d)少なくとも一種のラジカル抑制剤を含むラジカル抑制剤成分;
e)少なくとも一種の界面活性剤材料を含む、任意の界面活性剤成分;
f)任意の溶解促進剤成分;及び
g)溶剤;
を含み、及び
更に、前記組成物は、着色剤、顔料、レーキ顔料、有機粒子、無機粒子、金属酸化物粒子、金属粒子、複合酸化物粒子、硫化金属粒子、窒化金属粒子、酸窒化金属(metal acid nitride)粒子、無機塩粒子、有機塩粒子、コロイダル粒子、繊維、オキシラン類、オキシラン類をベースとする架橋剤、ポリシロキサンポリマーを含まない、前記感光性フォトレジスト組成物。
【請求項2】
ネガ作動型で水性塩基現像可能な感光性フォトレジスト組成物であって、
a)次の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むが、他のタイプの繰り返し単位は含まないポリマー、
【化3】
[式中、v、x、y及びzは、それぞれ、ポリマー中の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の各繰り返し単位のモル%を表し、及びvは
、20
~40モル%の範囲であり、xは
、20
~60モル%の範囲であり、yは
、5~20モル%の範囲であり、zは
、3~20モル%の範囲であり、及びR
1、R
2、R
3及びR
4は、独立して、H及びCH
3からなる群から選択され、そしてR
5はC
1~C
4アルキル部分であり、更に、モル%のv、x、y及びzの合計は100モル%でなければならない]
b
)360nm
~440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含むラジカル光開始剤成分であって、ここで、ラジカル光開始剤成分b)中
の360nm
~440nmの放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤の全重量に対する、
以下に定義される架橋剤成分c)の全重量の重量比
が9~40である、ラジカル光開始剤成分;
c)次の構造(5)、(6)及び(7)の架橋剤の混合物または次の構造(8)の単一の架橋剤のいずれかから選択される架橋剤成分であって、ここで、R
6、R
7、R
8、R
10は、独立して、Hまたはメチルから選択され、そしてR
9はメチルまたはエチルから選択され、更には、前記ポリマーa)の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比
が0.71
~1.2までの範囲である、架橋剤成分;
【化4】
d)少なくとも一種のラジカル抑制剤を含むラジカル抑制剤成分;
e)少なくとも一種の界面活性剤材料を含む、任意の界面活性剤成分;
f)任意の溶解促進剤成分;及び
g)溶剤、
から本質的になる、前記感光性フォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記ポリマーにおいて、v
が30モル%であり、x
が45モル%であり、y
が15モル%であり、及びz
が10モル%である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記架橋剤成分
c)が、(5)、(6)及び(7)の前記混合物である、請求項1~3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
前記架橋剤成分
c)が、前記単一の架橋剤(8)である、請求項1~3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーa)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の重量比が0.71~1.2の範囲である、請求項1~5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマー成分a)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の前記重量比
が0.80
~1.0である、請求項1~6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤b)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の前記重量比
が9~30である、請求項1~7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋剤成分c)が、架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記混合物であり;更にここで、(5)が、該組成物の全重量
の5重量%
~20重量%の範囲であり;(6)
が1重量%
~10重量%の範囲であり;そして(7)
が5重量%
~20重量%の範囲である、請求項1~3及び6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
前記架橋剤成分c)が、単一の架橋剤(8)であり、該組成物の全重量
の26重量%
~56重量%の範囲である、請求項1~3及び5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤が、i線(364.4nm)で少なくとも200AU*L*モル
-1*cm
-1;h線(404.7)で少なくとも100AU*L*モル
-1*cm
-1、及びg線(435.8nm)で少なくとも20AU*L*モル
-1*cm
-1のモル吸光度を有するものである、請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
前記ラジカル光開始剤成分b)において、放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤が、モノ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類、ジ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類及びトリ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類からなる群から選択されるアリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤成分であるか、またはこれらの異なるアシルホスフィンオキシド系光開始剤の混合物である、請求項1~11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
前記ラジカル光開始剤成分b)において、放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤が、構造(9)を有する単一のアリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤であるか、または構造(9)を有する異なるアリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤の混合物であり;ここでRia、Rib、Ric、Rid、及びRieは独立してH、ClまたはC1~C8アルキルから選択され、そしてRifは独立してC1~C8アルキルオキシ部分、構造(9a)を有するフェニルアシル部分、及び構造(9b)を有するアリール部分から選択され、そしてRigは、構造(9a)を有するフェニルアシル部分または構造(9b)を有するアリールであり;ここでRiaa、Riba、Rica、Rida、Riea、Riab、Ribb、Ricb、Ridb、及びRiebは独立してH、Cl及びC1~C8アルキルから選択され、そして
【化5】
構造(9)中のリンへの構造(9a)の前記フェニルアシルまたは構造(9b)の前記フェニル部分の結合手を表す、請求項1~12のいずれか一つに記載の組成物。
【化6】
【請求項14】
前記ラジカル抑制剤が、構造(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)及び(16)からなる群から選択される構造を有するニトロキシド類であり、ここでRiは、メチル、炭素原子数2~18の線状アルキル基、炭素原子数2~18の分岐鎖状アルキル基から独立して選択されるアルキル基であり、更にRiは同一かまたは異なっていることができ、及び更にこれらのアルキル基は、置換されていないことができ、またはカルボキシル(CO
2H)、アルキルカルボキシル(CO
2R)、ヒドロキシル(OH)、アルキルオキシ(OR、ここでRは、炭素原子数が1
~18の線状または分岐状アルキル置換基である)、シアノ(CN)、アミノカルボニルアルキル(NHCOR)、スクシミド(C
4H
4NO
2)、スルホ(SO
3H)、アルキルスルホネート(O-SO
2-R)及びアルキルスルホン(SO
2R)からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されていることができ、及び更に、Rは炭素原子数1
~18の線状または分岐状アルキル置換基である、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【化7】
【請求項15】
任意選択の溶解促進剤f)が存在する、請求項1~14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項16】
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そしてカルボン酸基を含む化合物である、請求項1~15のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項17】
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そして複数のフェノール基を含む化合物である、請求項1~15のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項18】
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そして化合物(18)であり、ここで連結基Xpが、-O-、-CH
2-、-C(CH
3)
2-、及び-SO
2-から選択され;Rp1は水素またはアルキル部分である、請求項1~17のいずれか一つに記載の組成物。
【化8】
【請求項19】
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そして化合物(18a)であり、ここで連結基Xpaが、-O-、-CH
2-、-C(CH
3)
2-、及び-SO
2-から選択され;Rp1が水素またはアルキル部分である、請求項1~17のいずれか一つに記載の組成物。
【化9】
【請求項20】
任意選択の溶解促進剤グループf)が存在し、そして化合物(19)であり;ここでRp2、Rp3、Rp4、Rp5は独立して水素またはアルキル部分から選択される、請求項1~17のいずれか一つに記載の組成物。
【化10】
【請求項21】
任意選択の溶解促進剤グループf)が存在し、そして化合物(18b)、(19a)、(19b)、(20)~(29)及び(30)から選択される、請求項1~17のいずれか一つに記載の組成物。
【化11】
【請求項22】
次のステップ:
a’)請求項1~21のいずれか一つに記載の組成物を半導体基材上に施与して、第一のコーティングを形成するステップ、
b’)第一のベークステップであって、前記の第一のコーティングを
、5~15分間
、100℃
~150℃の範囲の温度でベークする第一のベークステップ、
c’)ステップa)で使用された前記組成物を、前記第一のコーティングの表面に施与して、第二のコーティングを形成するステップ、
d’)第二のベークステップであって、前記の第一のコーティング及び前記の第二のコーティングを
、5~15分間
、100
~150℃の範囲の温度でベークして、複合コーティングを形成する第二のベークステップ、
e’)前記の複合コーティングを、波長
が350
~450nmの範囲の放射線にマスクに通して暴露することによって、照射された複合コーティングを形成して、水性塩基中に不溶性の該複合コーティングの暴露された部分と、水性塩基中に可溶性の該複合コーティングの未暴露の部分とを形成するステップ、及び
f’’)ステップe’)で得られた前記の照射されたコーティングを水性塩基現像剤を用いて現像し、ここで、前記の複合コーティングの暴露された部分は残存し、そして前記の複合コーティングの未暴露の部分は除去されて、前記の照射された複合コーティング中に画像が形成されるステップ、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
厚膜用途のためのネガ作動型感光性フォトレジスト組成物並びに厚膜ネガ型レリーフ画像を形成するための方法が開示される。これらの組成物及び方法から形成されるレリーフ画像は、電子的な層間接続のために有用な金属バンプ及びポストの形成に使用することができる。これらは、金属ワイヤパターンの電気化学的堆積のためのテンプレートとしても使用できる。これらのフォトファブリケーション方法は、チップスケールパッケージング、微細電気機械システム、高密度配線、液晶デバイス、有機トランジスタ、発光ダイオード、ディスプレー及び類似物などの用途に利用される。
【背景技術】
【0002】
多くの電子部品の製造は、厚膜感光性フォトレジスト材料、組成物及び方法を用いてしか簡単に達成することが多くの場合にできない。このプロセスは、所望の基材を感光性フォトレジスト組成物でコーティングしそして乾燥し、その後、ライントレース、バンプホール及び他の構造の所望のパターンを含むフォトマスクに通してフォトレジストを化学放射線に暴露することを含む。ネガ型フォトレジストの場合は、暴露された領域は硬化され、他方で、暴露されていない領域は、適当な現像溶液、一般的に水系の現像溶液によって除去される。多くのフォトファブリケーションプロセスでは、コーティング及び乾燥されたフォトレジストの厚さは30ミクロンであることが必要とされ、他方で、ライントレース、バンプホール及び他の構造は、少なくとも15ミクロンであり得る寸法を有する。ライントレース、バンプ及び他の構造が形成されたら、フォトレジストを、再び典型的には溶剤ベースの溶液を用いて剥離プロセスで除去する。
【0003】
厚膜フォトファブリケーションプロセスにおいて使用される現在のネガ作動型感光性フォトレジスト組成物は、ポリ-ヒドロキシ-スチレン-co-アクリル酸(PSA)組成物をベースとする。アクリル化モノマー及び感光性フリーラジカル開始剤も、化学放射線に暴露された時に架橋するフォトレジスト中に存在する。フォトレジストが化学放射線に暴露されると、フリーラジカルが生成し、これが、アクリレートモノマーを架橋させて、重合されたネットワークをPSAポリマーの周りに形成する。十分に架橋されたネットワークが形成されたら、化学放射線に暴露された領域は現像溶液中に不溶性となり、他方で、未暴露の領域が可溶化及び除去されて、レリーフ構造のパターンを基材上に残す。電気メッキを含むプロセスが、金、銅、ニッケル、錫及び半田などの金属を構造体中に堆積する。暴露されたフォトレジストの剥離溶液による除去は、所望の金属構造体を与える。
【0004】
ネガ作動型感光性フォトレジストの厚さが高まると、フォトレジストを完全に硬化することがより困難となり、基材に近いフォトレジストの底部の硬化がフォトレジストの頂部と比べて弱くなり、その結果、フォトレジストのアンダーカッティング及び電気メッキした時にはアンダープレーティングが生じ得る。底部硬化を改善するための試みは、3つまたはそれ超のアクリレート置換基を有するアクリレートモノマーの添加、並びにフリーラジカル開始剤の増量、及びフォトレジストの頂部を過剰硬化する虞のあるプロセスとなるフォトレジストを光硬化するための時間の延長を含む。更に、現在のPSAポリマーは、光生成されたフリーラジカルの効果を低下させるフリーラジカル抑制剤であることが知られており、これは、フォトレジストを完全に硬化するためのそれらの能力を低下させる。それ故、PSAポリマーは、これらの現在のネガ型レジスト調合物中での主要な成分であるため、これは、非常に強い抑制剤成分として働き、そしてフォトレジストにおいてリソグラフィ図形の表面を丸める虞があり、ここでラインの鋭さや、トレースまたはホールの頂部の画定が消失し、そして電気メッキした時には、これは、断面で四角または矩形でないラインを結果として与える。また、これらの現在のPSAは、この大きなラジカル抑制効果も原因として、完全に均一ではないラインを与え、その結果、波打っており、直線状ではないか、または僅かに凹んだプロフィルしか示さない金属ラインとなる。均一ではない金属ライン、ポスト及びバンプは、均一でない電気信号を与える結果となる。
【0005】
他の問題の一つは、水性塩基現像の間の暴露された領域における図形の浸食である。
【0006】
他の問題の一つは、現像の間のまたは電気メッキなどの他の加工中の接着の損失である。
【0007】
追加的に、十分に硬化されていないネガ作動型感光性フォトレジストからのレリーフ構造は、一部の有機材料は、溶液中に抽出されて、電気メッキ浴の寿命を制限する虞があるために、フォトレジストと電気メッキ溶液との非適合性を招く場合がある。
【0008】
ネガ作動型感光性フォトレジストを硬化する場合、加工後に剥離ステップでそれらを除去することがしばしば困難である。典型的には、剥離は、水性アルカリ性溶液を用いて行われる。多くの場合に、特に高アスペクト比の高密度用途では全てのフォトレジストが除去されるのではなく、除去される硬化されたフォトレジストはしばしばゼラチン質であり、それの固形片が、再堆積するかまたはライン及び他の開口部を閉塞させる虞がある。
【0009】
それ故、高速で完全に架橋され、丸められていないプロフィルを有し、水性現像の間に暴露された領域において膜減りを起こさず、リソグラフィ加工中に接着の損失を示さず、電気メッキ溶液と適合し、フリーラジカルクエンチ材料を含まず、簡単に剥離され、現像の間の図形の浸食を示さず、そしてプラズマデスカム処理の間にクラックを生じない、ネガ作動型感光性フォトレジストへの要望がある。
【0010】
ブロードバンドまたは他の長いUV放射線(別の言い方では>300nm)で画像形成可能なネガ型レジストに焦点を置いた現在の材料及び方法は、特に銅メッキ用に設計されたレジストパターンにおいて、高アスペクト比の画像、例えばピラーのための良好な解像度及びプロセス寛容度を有する画像の達成には限界がある。これらの現行の材料及び方法は、前記の高アスペクト比を達成するために必要な、パターン化厚膜の加工の後の良好な剥離性も持たず、更には、水性塩基現像中の膜減りに対する良好な耐性及びリソグラフィプロセス中の接着性の損失に対する耐性をなおも維持しながらのプラズマデスカム加工の間のクラッキングに対しては耐性がない。それ故、高いアスペクト比、良好な剥離性、膜減り、接着性の損失に対する耐性を持ち、及び電気メッキとの適合性もあり、及びプラズマデスカム加工の間のクラッキングに対する耐性を持つ、良好な解像度を有するネガ型画像形成レジストを達成するための材料及び方法が要求される。具体的には、これらの特性を維持しつつ、超厚膜として、別の言い方では20~約500ミクロン、特に約80~約300ミクロンの厚さの厚膜としてコーティングできるこのような材料を提供することはとりわけ有利であろう。本開示は、これらの要望に取り組むものである。
【発明の概要】
【0011】
現像中の画像の浸食に対する耐性を持ち、リソグラフィ加工中の粘着性の損失に対する耐性を示し、また特に高いピラーへのCuメッキ用途のための電気メッキ溶液と高い適合性も示し、簡単に剥離され、そしてプラズマデスカム加工の間のクラッキングを示さないリソグラフィ画像を、ブロードバンド画像形成の後に提供するために、新規組成物をベースとするネガ作動型感光性フォトレジストを使用できることが図らずしも見出された。これらの新規組成物は、基材上にコーティングして、画像形成可能なコーティングを生成でき、ここで、基材上のこれらのコーティングの膜厚は5~400ミクロンの範囲であることができる。更に、4よりも大きい高アスペクト比での良好な解像度によって特徴づけられる良好なネガ型リソグラフィ性能を維持しつつ、また良好な剥離性(別の言い方では、パターン化されたレジストがPBV-788C(Vision Link Corp)などの慣用のストリッパを用いて70℃で30~90分後に剥離される)を有する、超厚コーティング(例えば80~300ミクロン)を、二重または三重コーティングプロセスによってこれらの新規組成物から生成し得る。
【0012】
第一の態様では、次のものを含むネガ作動型感光性フォトレジスト組成物がここに開示及び特許請求される:
a)次の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むが、他のタイプの繰り返し単位は含まないポリマー
【0013】
【化1】
[式中、v、x、y及びzは、それぞれ、ポリマー中の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の各繰り返し単位のモル%を表し、及びvは、約20~約40モル%の範囲であり、xは、約20~約60モル%の範囲であり、yは、約5~約20モル%の範囲であり、zは、約3~約20モル%の範囲であり、及びR
1、R
2、R
3及びR
4は、独立して、H及びCH
3からなる群から選択され、そしてR
5はC
1~C
4アルキル部分であり、更に、モル%のv、x、y及びzの合計は100モル%でなければならない]
b)約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含むラジカル光開始剤成分であって、ここで、ラジカル光開始剤成分b)中の約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤成分の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比は約9~約40である、ラジカル光開始剤成分;
c)次の構造(5)、(6)及び(7)の架橋剤の混合物からなるかまたは次の構造(8)の単一の架橋剤からなる、架橋剤成分であって、ここで、R
6、R
7、R
8、R
10は、独立して、Hまたはメチルから選択され、そしてR
9はメチルまたはエチルから選択され、更には、前記ポリマーa)の全重量に対する、前記架橋剤成分c)混合物の全重量の重量比が約0.71~約1.2までの範囲である、架橋剤成分;
【0014】
【化2】
d)少なくとも一種のラジカル抑制剤を含むラジカル抑制剤成分;
e)少なくとも一種の界面活性剤材料を含む、任意の界面活性剤成分;
f)任意の溶解促進剤成分;及び
g)溶剤;
更に、前記新規組成物は、着色剤、顔料、レーキ顔料、有機粒子、無機粒子、金属酸化物粒子、金属粒子、複合酸化物粒子、硫化金属粒子、窒化金属粒子、酸窒化金属(metal acid nitride)粒子、無機塩粒子、有機塩粒子、コロイダル粒子、繊維、オキシラン類、オキシラン類をベースとする架橋剤、ポリシロキサンポリマーを含まない。
【0015】
第二の観点の態様では、前記の態様のネガ作動型感光性フォトレジスト組成物を基材に施与しそして乾燥することによってネガ作動型感光性フォトレジスト層を形成し、化学線にこの感光性層を像様暴露して潜像を形成し、そして未暴露の領域を現像剤中で現像することを含み、但し、像様暴露された感光性層は任意選択的に熱処理される、ネガ型レリーフ画像を形成する方法が開示及び特許請求される。
【0016】
第三の態様では、前記の態様の方法であるが、但し、前記ネガ作動型感光性フォトレジスト層が、この態様の最も広い観点では、約5ミクロン~約40ミクロンの範囲の厚さを有する方法が開示及び特許請求される。この態様の他の観点は、約40~約500ミクロン、特に約80~約300ミクロンの範囲の超厚用途をターゲットとするものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の双方とも例示、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を減縮するものではないと理解するべきである。本願において、他に具体的に記載がなければ、単数形の使用は複数を包含し、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、そして「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分を包含する。他に指示が無ければ、ここで使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図しており、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0018】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0019】
他に指示が無ければ、ここで使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図しており、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。
【0020】
ここで使用する「光硬化」及び「光重合」という用語は相互交換可能に使用され、フリーラジカル開始硬化または重合を指す。
【0021】
ここで使用する「ラジカル光開始剤」、「光開始剤」及び「光ラジカル開始剤」という用語は同義語であり、更に、これらの用語は、(メタ)アクリル部分、スチレン系部分及び他の反応性オレフィン系部分のラジカル誘発重合、または架橋を開始することができる反応性ラジカルを光化学的に生成する任意の他の化合物も包含し、このような他の化合物には、光(UV、可視光)を照射した時に酸部分を生成する他に、同時にこのような反応性ラジカルも生成するある種の光酸発生剤などが挙げられる。
【0022】
ここで使用する「ブロードバンド放射線」とは、約360nm~約440nmの範囲内の放射線である。
【0023】
ここで使用する「乾燥された」という用語は、乾燥工程の後に残る溶剤の割合が5%未満のフィルムを指す。
【0024】
ここで使用する「繰り返し単位」とは、モノマーから誘導されるポリマー繰り返し単位を指す。
【0025】
ここで使用する場合、ポリマー内の繰り返し単位とは、それの相当するモノマーによっても指し得ると理解されたい。例えば、アクリレートモノマー(I)は、そのポリマー繰り返し単位(II)に相当する。
【0026】
【化3】
アリールという用語は、一つの結合手を有する芳香族部分を指す(例えば、フェニル、アントラシル、ナフチル及び類似物)。結合手の他では、アリール基は、アルキル基、アルキルオキシ、トリアルキルシリル、トリアルキルシリルオキシ、アリール、アリールオキシ基またはハライド(例えばF、Cl、I、Br)で置換されていてよい。
【0027】
アルキルという用語は、一つの結合手を有する線状、分枝状もしくは環状アルカン部分を指す(例えば、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル及び類似物)。結合点の他には、アルキル基は、アルキル基、アリール基またはハライド(例えばF、Cl、I、Br)で置換されていてよい。特定のアルキル部分の炭素数は次の通りである:C1~C10線状アルキル、C3~C10分岐状アルキル、C3~C10環状アルキル、C4~C10脂環式アルキル。
【0028】
アルキレンという用語は、二つの結合手を有する線状、分岐状または環状アルカン部分を指す(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン及び類似物)。結合手の他には、アルキレン基は、アルキル基、アリール基またはハライド(例えばF、Cl、I、Br)で置換されていてよい。特定のアルキル部分の炭素数は次の通りである:C1~C10線状アルキレン、C3~C10分岐状アルキレン、C3~C10環状アルキレン、C4~C10脂環式アルキレン。
【0029】
「アルコキシ」という用語と同義語であるアルキルオキシという用語は、酸素を介した一つの結合手を有する線状、分岐状または環状アルカン部分を指す(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロヘキシルオキシ及び類似物)。結合手の他には、アルキル基は、アルキル基、アリール基またはハライド(例えばF、Cl、I、Br)で置換されていてよい。特定のアルキル部分の炭素数は次の通りである:C1~C10線状アルキルオキシ、C3~C10分岐状アルキルオキシ、C3~C10環状アルキルオキシ、C4~C10脂環式アルキルオキシ。
【0030】
アリールオキシという用語は、酸素を介して一つの結合手を有する、先に定義したようなアリール部分を指す(例えばフェニルオキシ、アントラシルオキシ及び類似物)。
【0031】
「置換された」という用語は、他に指定がなければ、アルキル、アルキルオキシ、ハライド(例えばF、Cl及びBr)、アリール、アリールオキシ、及びこれらの組み合わせなどの一価の置換基を指す。
【0032】
ここで使用する「厚膜」という用語は、厚さが5~100ミクロンのフィルムを指し、そして「超厚膜」とは、100~400ミクロンの厚さを有するフィルムを指す。
【0033】
ここで、レジスト画像プロフィルについて触れる時に、「直線状」及び「若干凹んだプロフィル」という用語は、次の加工に許容可能であるプロフィルを指し、そして許容可能なパラメータ内で本発明が作用することを指す。
【0034】
ここで、ここに記載の新規組成物のポリマー成分a)について触れる時、構造(1)、(2)、(3)及び(4)の繰り返し単位の個々のモル%範囲を記載する場合には、これらを総和すると、これらの合計は繰り返し単位の100モル%にならなければならないと理解される。
【0035】
ここで、ポリマー成分a)について触れる時、各々の繰り返し単位のモル%であるv、x、y及びzの合計は各々の場合に100%にならなければならない。
【0036】
ここで、ここに記載の新規組成物中のこれらの個々の成分a)、b)、c)、d)、e)、f)及びg)について個々の重量%範囲について触れる時、他の追加の成分または不純物がない場合には、これらを総和すると、これらは合計で100重量%にならなければならないと理解される。成分e)及びf)は任意選択の成分であるため、これらの成分が存在しない場合には、他の残りの必須成分の合計は、他の追加の成分または不純物がない場合には、この場合も100重量%にならなければならないと更に理解される。いずれの場合にも、不純物または追加の成分が存在する場合には、この不純物または他の追加の成分も含めた全ての成分の合計は100重量%にならなければならない。
【0037】
次の成分を含む、ネガ作動型で、水性塩基現像可能な感光性フォトレジスト新規組成物がここに開示される:
a)構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むが、他のタイプの繰り返し単位は含まないポリマーであって、ここでv、x、y及びzは、それぞれ、ポリマー中の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の各繰り返し単位のモル%を表し、及びvは、約20~約40モル%の範囲であり、xは、約20~約60モル%の範囲であり、yは、約5~約20モル%の範囲であり、zは、約3~約20モル%の範囲であり、及びR1、R2、R3及びR4は、独立して、H及びCH3からなる群から選択され、そしてR5はC1~C4アルキル部分であり、更に、モル%のv、x、y及びzの合計は100モル%でなければならない、ポリマー、
【0038】
【化4】
b)約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含むラジカル光開始剤成分であって、ここで、ラジカル光開始剤成分b)中の約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比が約9~約40である、ラジカル光開始剤成分;
c)次の構造(5)、(6)及び(7)の架橋剤の混合物からなるかまたは次の構造(8)の単一の架橋剤からなる、架橋剤成分であって、ここで、R
6、R
7、R
8、及びR
10は、独立して、Hまたはメチルから選択され、そしてR
9はメチルまたはエチルから選択され、更には、前記ポリマーa)の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比が約0.71~約1.2までの範囲である、架橋剤成分;
【0039】
【化5】
d)少なくとも一種のラジカル抑制剤を含むラジカル抑制剤成分;
e)少なくとも一種の界面活性剤材料を含む、任意の界面活性剤成分;
f)任意の溶解促進剤成分;
g)溶剤;
更に、前記新規組成物は、着色剤、顔料、レーキ顔料、有機粒子、無機粒子、金属酸化物粒子、金属粒子、複合酸化物粒子、硫化金属粒子、窒化金属粒子、酸窒化金属(metal acid nitride)粒子、無機塩粒子、有機塩粒子、コロイダル粒子、繊維、オキシラン類、オキシラン類をベースとする架橋剤、ポリシロキサンポリマーを含まない。
【0040】
他の観点の一つでは、ネガ作動型で水性塩基現像可能な感光性フォトレジスト新規組成物は、次の成分から本質的になるかまたは次の成分からなるものである:
a)構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むが、他のタイプの繰り返し単位は含まないポリマーであって、ここでv、x、y及びzは、それぞれ、ポリマー中の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の各繰り返し単位のモル%を表し、及びvは、約20~約40モル%の範囲であり、xは、約20~約60モル%の範囲であり、yは、約5~約20モル%の範囲であり、zは、約3~約20モル%の範囲であり、及びR1、R2、R3及びR4は、独立して、H及びCH3からなる群から選択され、そしてR5はC1~C4アルキル部分であり、更に、モル%のv、x、y及びzの合計は100モル%でなければならない、ポリマー、
【0041】
【化6】
b)約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含むラジカル光開始剤成分であって、ここで、前記ラジカル光開始剤b)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量比ラジカル光開始剤成分;
c)次の構造(5)、(6)及び(7)の架橋剤の混合物からなるかまたは次の構造(8)の単一の架橋剤からなる架橋剤成分であって、ここで、R
6、R
7、R
8、及びR
10は、独立して、Hまたはメチルから選択され、そしてR
9はメチルまたはエチルから選択され、更には、前記ポリマーa)に対する、前記架橋剤c)混合物の全重量の重量比が約0.71~約1.2までの範囲である、架橋剤成分;
【0042】
【化7】
d)少なくとも一種のラジカル開始剤を含むラジカル開始剤成分;
e)少なくとも一種の界面活性剤材料を含む、任意の界面活性剤成分;
f)任意の溶解促進剤成分;及び
g)溶剤。
【0043】
成分a)としての、構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むポリマーは、いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点では、構造(1)の前記繰り返し単位においてR1がメチルであるものである。この態様の他の観点の一つでは、R1は水素である。
【0044】
成分a)の他の態様の一つでは、構造(2)の繰り返し単位において、R2はメチルであり;この態様の他の観点の一つでは、R2はHである。
【0045】
成分a)の他の態様の一つでは、構造(3)の繰り返し単位において、R5はエチルまたはメチルである。該新規組成物のこの態様の更に別の観点の一つでは、前記構造(3)においてR5はメチルである。この態様の他の観点の一つでは、構造(4)の繰り返し単位において、R3は水素であり;他ではR3はメチルである。
【0046】
成分a)の他の態様の一つでは、構造(4)の繰り返し単位において、R4はメチルであり;この態様の他の観点の一つでは、R4はHである。
【0047】
いずれの場合も、前記新規組成物の一つの観点では、前記の四種の繰り返し単位を含むポリマーは、繰り返し単位(1)について、vが約25~約35モル%の範囲であり;他ではvが約27~約32モル%の範囲であり;更に他では、vが約28~約31モル%であり;なお更に他では、vが約30モル%であるものである。
【0048】
いずれの場合も、前記新規組成物の一つの観点では、前記の四種の繰り返し単位を含むポリマーは、繰り返し単位(2)について、xが約25~約55モル%の範囲であり;他ではxが約30~約50モル%の範囲であり;更に他では、xが約35~約48モル%であり;なお更に他では、xが約45モル%であるものである。
【0049】
いずれの場合も、前記新規組成物の一つの観点では、前記の四種の繰り返し単位を含むポリマーは、繰り返し単位(3)について、yが約10~約20モル%の範囲であり;他ではyが約12~約18モル%の範囲であり;更に他では、yが約13~約16モル%であり;なお更に他では、yが約15モル%であるものである。
【0050】
いずれの場合も、前記新規組成物の一つの観点では、前記の四種の繰り返し単位を含むポリマーは、繰り返し単位(4)について、zが約5~約15モル%の範囲であり;他ではzが約7~約13モル%の範囲であり;更に他では、zが約8~約12モル%の範囲であり;なお更に他では、zが約10モル%であるものである。
【0051】
いずれの場合も、前記新規組成物の一つの観点では、前記の四種の繰り返し単位を含むポリマー成分b)は、構造(1)、(2)、(3)及び(4)を有する繰り返し単位において、それぞれ、vが約30モル%であり、xが約45モル%であり、yが約15モル%であり、そしてzが約10モル%であるものである。
【0052】
ここで、ポリマー成分a)、光開始剤成分b)及び架橋剤成分c)の様々な重量%を有する態様について記載する時は、全ての場合において、これらの異なる態様が、比率[c)/a)]及び比率[c)/b)]についてここに記載した比率の範囲の少なくとも一つを維持すると理解される。
【0053】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点において、前記架橋剤成分c)は、該組成物の全重量の約26重量%~約56重量%で存在し、前記架橋剤成分c)は、該組成物の全重量の約26重量%~約50重量%で存在する。
【0054】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点において、前記架橋剤成分c)は、架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記混合物であり、そしてこの混合物は、(5)が、該組成物の全重量の約5重量%~約20重量%の範囲であり;(6)が約1~約10重量%の範囲であり、そして(7)が約5重量%~約20重量%の範囲であるものである。
【0055】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点において、前記架橋剤成分c)は、架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記混合物であり、そして該組成物の全重量の約26重量%~約56重量%で存在する。該新規組成物のこの態様の他の観点の一つでは、前記架橋剤混合物は、該組成物の全重量の約26重量%~約50重量%で存在する。
【0056】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点において、前記架橋剤成分c)は、単一の架橋剤(8)であり、そして該組成物の全重量の約26重量%~約56重量%で存在する。
【0057】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点において、前記架橋剤成分c)は、単一の架橋剤(8)であり、そして該組成物の全重量の約26重量%~約50重量%で存在する。
【0058】
前記の新規組成物の一つの特別な観点において、前記架橋剤成分c)は、単一の架橋剤(8)であり、その含有量は、該組成物の約26重量%~約56重量%の範囲である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、単一の架橋剤(8)の含有量は、該組成物の約26重量%~約33重量%の範囲である。
【0059】
いずれの場合も、前記の新規組成物においては、前記ラジカル光開始剤成分b)は、約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含む。この態様の一つの観点では、この成分b)中のラジカル光開始剤(複数可)の少なくとも一つは、アセトニトリル溶液中で測定して、光ラジカルを生成できるi-線(364.4nm)で少なくとも200AU*L*モル-1*cm-1;h線(404.7)で少なくとも100AU*L*モル-1*cm-1、及びg線(435.8nm)で少なくとも20AU*L*モル-1*cm-1のモル吸光度;この態様の他の観点の一つでは、h線(404.7)で少なくとも100AU*L*モル-1*cm-1及びg線(435.8nm)で少なくとも20AU*L*モル-1*cm-1のモル吸光度を有する。この態様の他の観点の一つでは、この成分b)中の少なくとも一種のラジカル光開始剤は、アセトニトリル溶液中で測定して、光ラジカルを生成できるi線(364.4nm)で少なくとも1000AU*L*モル-1*cm-1、h線(404.7)で少なくとも790AU*L*モル-1*cm-1、及びg線(435.8nm)で少なくとも130AU*L*モル-1*cm-1のモル吸光度;この態様の他の観点の一つでは、h線(404.7)で少なくとも790AU*L*モル-1*cm-1及びg線(435.8nm)で少なくとも130AU*L*モル-1*cm-1のモル吸光度を有する。これらの態様の他の観点の一つでは、約360nm~約440nmの広吸収を有するこのラジカル光開始剤は、これらの波長で光分解を起こし開裂してラジカルを生成することができ、そうして該新規組成物が厚手のレジストフィルムとしてコーティングされそしてパターン化の時に照射された際に、その中へのより長い進入深さを可能にするものでもある。この態様の他の観点の一つでは、約400nm~約440nmの広吸収を有するこのラジカル光開始剤は、これらの波長で光分解を起こし開裂してラジカルを生成することができ、そうして該新規組成物が厚手のレジストフィルムとしてコーティングされそしてパターン化の時に照射された際に、その中へのより長い進入深さを可能にするものである。
【0060】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点では、前記光開始剤成分b)は、該組成物の全重量の約0.25重量%~約3.5重量%で存在し得る。この態様の他の観点の一つでは、成分b)としての前記光開始剤は、該組成物の全重量の約0.5重量%~約2.0重量%で存在し得る。
【0061】
前記成分b)及びc)の一つのより具体的な態様では、前記ラジカル光開始剤成分b)(これは、約360nm~約440nmの放射線の広吸収により活性化される)の全重量に対する前記の架橋剤成分c)の全重量の前記比率は、元は約9~約40であると特定されているが、これは、他の態様では、以下のようにより狭い範囲に特定し得る。一つの態様では、これは、約9~約30の範囲であり得る。この態様の他の観点の一つでは、前記比率は約9.5~約30の範囲であってよい。この態様の他の観点の一つでは、前記比率は約9.5~約28の範囲であってよい。この態様の更に他の観点の一つでは、これは、約9.7~約26の範囲であってよい。
【0062】
前記ラジカル光開始剤b)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の前記比率の他のより具体的な態様の一つでは、この比率は約15~約30の範囲であってよい。この態様の更に他の観点の一つでは、前記比率は約18~約28の範囲であってよい。この態様のなお更に他の観点の一つでは、前記比率は約18~約25の範囲であってよい。なお更に具体的な態様の一つでは、これは、約19~約22であってよい。
【0063】
前記のラジカル光開始剤成分b)の一つの具体的な態様では、これは、アリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤成分である、放射線の広吸収によって活性化されるラジカル光開始剤を含む。このアリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤成分は、モノ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類、ジ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類、トリ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類、または異なるアシルホスフィンオキシド系光開始剤の混合物から選択することができる。
【0064】
任意選択的に、この態様では、追加的な他のタイプの二次添加剤、例えば、前記のアリールアシルホスフィンオキシド光開始剤(複数可)成分以外の光開始剤及び増感剤が成分c)中に存在してよい。非限定的な例は、オキシムエステル、ベンゾフェノン誘導体、ジエネオン類、キサントン類、チオキサントン類、アルキルアリールケトン類、及び類似物等である。このような二次添加剤のより具体的な非限定的な例は、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-、2-(O-ベンゾイルオキシム)-(OXE01)、エタノン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)-(OXE-02)、オキシムエステル光酸発生剤、フッ素化(OXE-03)、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン)(Irgacure(登録商標)907)、ハロゲン化-2,5-シクロヘキサジエノン、ベンゾフェノン、アルキルアリールケトンまたはジケトン種、またはこれらの混合物である。任意の様々なフリーラジカル発生光開始剤を、本発明において成分b)中に二次成分として使用し得る。ベンゾフェノン誘導体、例えばベンゾフェノン、ビス-4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、ビス-4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(エチルミヒラーケトン)、他のアルキルアミノ基でモノもしくはポリ置換されたベンゾフェノン類、塩素、メトキシ置換キサントン類、チオキサントン類、アントロン類、及びフルオレノン類、並びにアルキル、クロロ及びアルキルオキシ置換チオキサントン類が有用なラジカル開始剤である。置換されたシクロヘキサジエノン類、例えば4位にアルキル及びトリクロロメチル置換基の両方を有するシクロヘキサジエノン類も使用できる。アルキルアリールケトン誘導体には、ケタールドニルアルコール類、例えばベンゾイン、ピバロイン、及びアシロインエーテル類、例えばベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインアリールエーテル、アルファ炭化水素置換芳香族アシロイン類、ベンゾインジアルキルケタール類、ベンジル、ベンゾインエステル類、O-アシル化オキシミノケトン類、及びアルファ-アミノケトン類、例えばアルファ-アミノアセトフェノン誘導体などが挙げられる。置換されたもしくは置換されていない多核キノン類、例えば9,10-アントロキノン類、1,4-ナフトキノン類、及びフェナントレンキノン類も可能な開始剤である。電子及び/または水素供与体として適した第三級アミン類、例えば置換されたN,N-ジアルキルアミノベンゼン誘導体及びエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートも、開始成分の一部として使用することができる。有用なジケトン類には、ビアセチル、2,3-ジベンゾイル-2-ノルボルネン、ベンゾイルベンザールクロライド、2,2-ジブロモ-2(フェニルスルホニル)プロパンジオン、アルファ-ナフチル,2,3-ボルナンジオン、フェニルピルビン酸(phenylpuruvic acid )及び2,4-ペンタンジオンなどが挙げられる。使用し得る代表的なキノン類には、4-ベンゾキノン、2-ベンゾ-キノンジアジド、アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2,6-ジメトキシアントラキノン、2,4,8-トリクロロアントラキノン、アミノアントラキノン、1,4-ナフトキノン誘導体及びフェナントレンキノン類及び類似物などが挙げられる。
【0065】
主たるラジカル光開始剤成分がアリールアシルホスフィンオキシド光開始剤またはこれらの混合物である前記の態様の一つの観点では、これは、構造(9)を有するものから選択し得;ここでRia、Rib、Ric、Rid及びRieは独立してH、Cl、またはC1~C8アルキルから選択され、そしてRifは独立してC1~C8アルキルオキシ部分、構造(9a)を有するフェニルアシル部分、及び構造(9b)を有するアリールから選択され、そしてRigは、構造(9a)を有するフェニルアシル部分または構造(9b)を有するアリールであり;ここでRiaa、Riba、Rica、Rida、Riea、Riab、Ribb、Ricb、Ridb、及びRiebは、独立して、H、Cl及びC1~C8アルキルから選択され、そして
【0066】
【化8】
構造(9)におけるリンへの構造(9a)の前記フェニルアシルまたは構造(9b)の前記フェニル部分の結合手を表す。この態様では、前記のラジカル光開始剤成分b)は、これらのタイプのアシルホスフィン系開始剤のうちの一つまたはこれらの混合物を含んでよい。この態様では、任意選択的に、構造(9c)または(9ca)を有するフェニルアシル含有ケトアルドニルアルコール系またはケトアルドニルアミノ系光開始剤も、二次光開始剤成分として存在することができ、ここで(9c)では、Riac、Ribc、Ricc、Ridc、Riecは、独立して、C1~C8アルキル、水素、またはC1~C8チオアルキルから選択され、Rifc及びRigcは独立してC1~C8アルキルから選択され、更に、(9ca)では、Riad、Ribd、Ricd、Ridd、Riedは、独立して、C1~C8アルキル、水素またはC1~C8チオアルキルから選択され、そしてRifd及びRigdは、独立して、C1~C8アルキルから選択され、そしてRhd及びRidは、独立して、C1~C8アルキルから選択されるか、または互いに結合して、アミノ部分を含む5員または6員環を形成する二つのアルキル基であり、これらのアルキル基は、任意選択に、窒素に隣接していない酸素を含んでいてもよい。
【0067】
【化9】
ラジカル成分b)の前記光開始剤の一つの特定の態様では、この成分は、構造(9d)、(9e)、(9f)、(9g)を有するアシルホスフィン系光開始剤またはこれらの混合物であり、ここで、Ria’、Riaa’、Riad’、Ric’、Rica’、Ricd’、Rie’、Riea’、及びRied’は、独立して、HまたはC1~C8アルキルから選択され、そしてRifはC1~C8アルキルである。この態様の他の観点の一つでは、前記アシルホスフィン系光開始剤は、構造(9e)、(9f)、(9g)を有するものまたはこれらの混合物から選択される。更に別の態様の一つでは、前記光開始剤は、構造(9e)、(9f)を有するものまたはこれらの混合物から選択される。更に別の態様の一つでは、前記光開始剤は、構造(9e)、(9g)を有するものまたはこれらの混合物から選択される。なお更に別の態様の一つでは、前記光開始剤は構造(9e)を有するものである。任意選択的に、これらの態様では、二次ラジカル開始剤である構造(9h)を有するフェニルアシル含有ケトアルドニルアルコール系光開始剤またはケトアルドニルアミノ(9ha)も、ラジカル成分b)の前記光開始剤の一部であることができ、ここで(9h)では、Riac’、Ribc’、Ricd’は独立してC1~C4アルキルであり、更に、Ridc’及びRiec’は独立してC1~C8アルキルであり、そして(9ha)では、Riad’、Ricd’は水素またはC1~C4アルキルであり、Ribd’はC1~C4アルキルまたはC1~C4チオアルキル部分であり、Ridd’及びRied’は、独立してC1~C4アルキルから選択され、そしてXはO、SまたはCH
2である。
【0068】
【化10】
ラジカル成分b)の前記の光開始剤の一つの具体的な態様では、この成分は、構造(9i)、(9j)、(9k)を有するアシルホスフィン系光開始剤またはこれらの混合物である。この態様の他の観点の一つでは、前記アシルホスフィン系光開始剤は、構造(9i)、(9j)を有するものまたはこれらの混合物から選択される。なお更に別の態様の一つでは、前記光開始剤は、構造(9i)、(9k)を有するものまたはこれらの混合物から選択される。なお更に別の態様の一つでは、前記光開始剤は、構造(9j)、(9k)を有するものまたはこれらの混合物から選択される。なお更に別の態様の一つでは、前記光開始剤は、構造(9i)を有するものから選択され、任意選択的に、これらの態様では、二次ラジカル開始剤である構造(9l)を有するフェニルアシル含有ケトアルドニルアルコール系または構造(9la)を有するフェニルアシル含有ケトアルドニルアミノ系光開始剤もまた、ラジカル成分b)の前記光開始剤の一部であることができる。
【0069】
【化11】
ラジカル成分b)の前記光開始剤の一つの具体的な態様では、これは構造(9i)の化合物である。
【0070】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの態様では、前記ラジカル光開始剤成分b)の含有量は、該溶液の約1~4重量%の範囲である。この態様の一つの観点では、これらの光開始剤は、全溶液の約1.2~約3.5重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、該ラジカル開始剤は、約1.3~約3.4重量%で存在する。更に他では、これは、約1.35~約3.35重量%で存在する。
【0071】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点では、架橋剤成分c)については、これは架橋剤(5)、(6)及び(7)の混合物である。
【0072】
本発明による組成物の一つの観点では、成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の混合物である場合には、これは、成分(5)に関してR6がメチルであり;他ではR6がHであるものである。
【0073】
本発明による組成物の一つの観点では、架橋剤成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の混合物である場合には、これは、成分(5)に関してR6がメチルであり;他ではR6がHであるものである。
【0074】
本発明による組成物の一つの観点では、架橋剤成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の混合物である場合には、これは、成分(6)に関してR7がメチルであり;他ではR7がHであるものである。
【0075】
本発明による組成物の一つの観点では、架橋剤成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の混合物である場合には、これは、成分(7)に関してR8がメチルであり;他ではR8がHであるものである。
【0076】
本発明による組成物の一つの観点では、架橋剤成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の混合物である場合には、これは、成分(7)に関してR9がメチルであり;他ではR9がエチルであるものである。
【0077】
本発明による組成物の一つの観点では、架橋剤成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の混合物である場合には、これは、R6がメチルであり、R7がHであり、R8がHであり、そしてR9がエチルであるものである。
【0078】
本発明による組成物の一つの観点では、架橋剤成分c)は前記の単一の架橋剤(8)である。この態様の他の観点の一つでは、R10はCH3である。この態様の他の観点の一つでは、R10はHである。
【0079】
前記の通り、前記ポリマーa)に対する前記架橋剤成分c)の重量比は約0.71~約1.2であるが、他の観点では、この比率は約0.75~約1.1の範囲であってよい。この態様の他の観点の一つでは、前記ポリマーa)に対する前記架橋剤成分c)の重量比は約0.80~約1.0である。
【0080】
比率に関する前記の規定を前提として、いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点では、前記ポリマーは、該新規組成物の重量%として約20~約50重量%を有する。
【0081】
いずれの場合も、前記の新規組成物の他の観点の一つでは、前記架橋剤混合物は、(5)が、前記新規組成物の全重量の約5重量%~約20%の範囲であり;(6)が約1~約10重量%の範囲であり、そして(7)が約5重量%~約20重量%の範囲であるものである。
【0082】
いずれの場合も、前記の新規組成物の他の観点の一つでは、前記架橋剤成分c)が架橋剤の前記混合物である場合には、これは(5)が、該新規組成物の全重量の約6重量%~約18重量%であり、(6)が約1重量%~約8重量%であり、そして(7)が約7重量%~約18重量%である混合物である。
【0083】
いずれの場合も、前記の新規組成物の他の観点の一つでは、前記架橋剤混合物は、(5)が、前記新規組成物の全重量の約8重量%~約16重量%の範囲であり;(6)が約1.5重量%~約6重量%の範囲であり、そして(7)が約9.5重量%~約18重量%の範囲であるものである。
【0084】
いずれの場合も、前記架橋剤成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記架橋剤混合物である前記の新規組成物の他の観点の一つでは、これは、(5)が、前記新規組成物の全重量の約9重量%~約15重量%の範囲であり;(6)が約2.5重量%~約5重量%の範囲であり、そして(7)が約10重量%~約20重量%の範囲であるものである。
【0085】
いずれの場合も、前記架橋剤成分c)が架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記架橋剤混合物である前記の新規組成物の他の観点の一つにおいて、これは、(5)が、前記新規組成物の全重量の約10重量%~約15重量%の範囲であり、(6)が約2.5重量%~約4.5重量%の範囲であり、そして(7)が約12重量%~約18重量%の範囲であるものである。
【0086】
該新規組成物中の副次的な成分として加えられた小分子ラジカル抑制剤成分が、特にレジスト基材界面における図形のスカミングの防止に関して、有益な効果を有することが見出された。これは、上述のように、レジストポリマーが、ラジカル抑制剤であるPSAベースのレジストシステムの場合のようにラジカル抑制剤成分が主たる成分として存在して、ネガ型レジストの害のある画像形成を招く虞がある状況とは対照的である。
【0087】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つの観点では、前記ラジカル抑制剤成分d)は、該組成物の全重量の約0.01重量%~約0.7重量%で存在し得る。この態様の他の観点の一つでは、前記ラジカル抑制剤成分d)は、該組成物の全重量の約0.05重量%~約0.5重量%で存在し得る。この態様の更に別の態様の一つでは、ラジカル抑制剤成分の含有量は、該新規組成物の全重量の約0.07~約0.4重量%の範囲であってよい。
【0088】
成分d)、すなわち本発明のラジカル抑制剤成分は、安定なニトロキシドラジカルを含む5員もしくは6員ヘテロ環状構造の安定した類似体及び安定なニトロキシドラジカルを含むアルキル鎖の安定した類似体である抑制剤などが挙げられる。適当な構造の例には以下のものなどが挙げられる:
【0089】
【化12】
前記の構造(10)~(16)に示されるように、ニトロオキシドラジカルに隣接する炭素原子の完全な置換が要求される。このような置換は、抑制剤の熱的な安定性及び十分な非揮発性に求められる。環状または鎖状構造中の他の位置での置換は、スカベンジャの揮発性を更に低減すると考えられる。
【0090】
構造(10)~(16)における適当なRi置換基は、アルキル基であり、これには、メチル基(CH3)、炭素原子数2~18の線状アルキル基、及び炭素原子数3~18の分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。Riは、同じでも異なっていてもよい。これらの線状及び分岐鎖状アルキル基は更に置換されていてもよい。このような置換基の例には、カルボキシル(CO2H)、アルキルカルボキシル(CO2R)、ヒドロキシル(OH)、アルキルオキシ(OR)、シアノ(CN)、アミノカルボニルアルキル(NHCOR)、シクシミド(C4H4NO2)、スルホ(SO3H)、アルキルスルホネート(O-SO2-R)及びアルキルスルホン(SO2R)などが挙げられ、ここでRは、炭素原子数1~18の線状または分岐状アルキル置換基である。適当な置換基の他の例には、炭素原子数5~18のシクロアルキルまたはポリシクロアルキル置換基などが挙げられる。これらの環状置換基は、一つまたは二つの結合を介して1位(すなわち、スカベンジャ中のニトロキシドラジカルに隣接する炭素原子)に結合することができる。
【0091】
先に述べた通り、抑制剤は、その揮発性を更に低めるために更に置換することができる。これらの置換基の例には、前記の置換されたアルキル及びシクロアルキルなどが挙げられる。他の置換基には、アルキルカルボニル(RC=O)、カルボキシル(CO2H)、アルキルカルボキシレート(CO2R)、アルキルスルホネート(O-SO2R)、アルキルスルフィネート(O-SO-R)、アルキルスルホン(SO-R)及びアルキルエーテル(O--R)などが挙げられ、ここでアルキルは先に定義された通りである。これらの置換基は、暴露波長の強い吸収体でないことが有利である。しかし、より強いUV吸収体であるアリールバラスト基、例えばベンゼン及びナフタレンの使用が考慮され、但し、これらの置換基の量がリソグラフィ性能に悪影響を与えないことが条件である。
【0092】
適当な抑制剤の他の例には、ラジカル重合において有用な抑制剤である安定したラジカルなどが挙げられる。このようなラジカルは、当業者には既知である。このようなラジカルの例には、ジフェニルピクリルヒドラジル、トリフェニルメチル、トリフェニルベルダジル及びガルビノキシルなどが挙げられる。スカベンジャの更なる例には、クロラニル、ベンゾキノン及びアルキル置換ベンゾキノン等のキノン類などが挙げられる。
【0093】
ラジカル抑制剤成分の含有量は、該新規組成物の全重量の約0.01~約0.1重量%の範囲である。
【0094】
本発明の一つの態様では、ラジカル抑制剤は、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシである(Ligostab 1198)(17)。本発明のこの観点の一つの態様では、(17)の含有量は、該新規組成物の約0.01~約0.1重量%である。この態様の他の観点の一つでは、(16)の含有量は0.069重量%である。
【0095】
【化13】
いずれの場合も、前記の新規組成物の一つ態様では、これは、成分e)として界面活性剤成分を更に含む。この態様の一つの観点では、前記界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される。
【0096】
該組成物が界面活性剤を含む一つの具体的な態様では、この界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル;ポリオキシ脂肪酸モノエステル;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー;アセチレンアルコール;アセチレングリコール;アセチレンアルコールのポリエトキシレート;アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体;Fluorad(商品名、Sumitomo 3M Ltd.製)、MEGAFACE(商品名、DIC Corporation製)、例えばMegaface:R-2011(フッ素化ポリマー)、R-40:(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、ノニオン性、液状)、R-41(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、ノニオン性、液状)、R43:(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、ノニオン性、液状)、MFS-344:(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、ノニオン性、液状)などのフッ素含有界面活性剤である。他のノニオン性界面活性剤には、Surufuron(商品名、Asahi Glass Co.,Ltd.製);及びオルガノシロキサン系界面活性剤、例えばKP341(商品名、Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.製)などが挙げられる。前記のアセチレングリコールの例には、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール及び2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールなどが挙げられる。一つの具体的な態様では、前記界面活性剤は、フルオロシリコーンで変性されたノニオン性界面活性剤である。
【0097】
該新規組成物が界面活性剤を含みかつこの界面活性剤がアニオン性界面活性剤である一つの具体的な態様では、このアニオン性界面活性剤は、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアンモニウム塩及び有機アミン塩;アルキルジフェニルエーテルスルホン酸のアンモニウム塩及び有機アミン塩;アルキルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩及び有機アミン塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸のアンモニウム塩及び有機アミン塩;及びアルキル硫酸のアンモニウム塩及び有機アミン塩から選択し得るアニオン性界面活性剤から選択される。
【0098】
該新規組成物が界面活性剤でありかつこの界面活性剤が両性界面活性剤である一つの具体的な態様では、両性界面活性剤の例には、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン及びラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホンベタインなどが挙げられる。
【0099】
該新規組成物が界面活性剤を含む前記の態様において、これらの界面活性剤は、個々に使用し得るか、あるいはこれらの二種以上を組み合わせて使用してよく、それらのブレンド比は、該新規組成物の全重量に対して通常は0.005~0.5重量%;好ましくは0.01~0.4重量%、より好ましくは0.1~0.4重量%である。この態様の一つの観点では、界面活性剤は、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル-12-プロペン酸とα-(2-メチル-1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-ω-ヒドロキシポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジル)]とのtert-Bu2-エチルヘキサンペルオキソエート開始エステルコポリマー[Cas#1108730-36-4][Megaface R-2011]であり;この態様では、含有量は、該新規組成物全体の約0.1~約0.4重量%の範囲であってよく;他では、約0.2~約0.3重量%;他では約0.24重量%であってよい。
【0100】
前記の全ての態様において、成分g)としての溶剤には、例えば、グリコールエーテル誘導体、例えばエチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、またはジエチレングリコールジメチルエーテル;グリコールエーテルエステル誘導体、例えばエチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;カルボキシレート、例えばエチルアセテート、n-ブチルアセテート及びアミルアセテート;二塩基性酸のカルボキシレート、例えばジエチルオキシレート及びジメチルマロネート;グリコール類のジカルボキシレート、例えばエチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート;及びヒドロキシカルボキシレート、例えば乳酸メチル、乳酸エチル、グリコール酸エチル、及び3-ヒドロキシプロピオン酸エチル;ケトンエステル、例えばピルビン酸メチルまたはピルビン酸エチル;アルコキシカルボン酸エステル、例えば3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、またはエトキシプロピオン酸メチル;ケトン誘導体、例えばメチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたは2-ヘプタノン;ケトンエーテル誘導体、例えばジアセトンアルコールメチルエーテル;ケトンアルコール誘導体、例えばアセトールまたはジアセトンアルコール;ラクトン、例えばブチロラクトン;アミド誘導体、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド、アニソール及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0101】
本発明の他の観点の一つでは、任意選択の溶解促進成分f)は、存在する場合には、カルボン酸基を含む化合物、または複数のフェノール基を含む化合物から選択される。
【0102】
成分f)がカルボン酸基を含む化合物である場合は、この化合物は、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの水性塩基中にも良好な可溶性を有する、300℃超の沸点を有する非揮発性カルボン酸である必要がある。このような材料の非限定的な例は、コール酸誘導体、例えばコール酸、リトコール酸、デオキシコール酸及び類似物である。
【0103】
成分f)が複数のフェノール基を含む化合物である場合は、このような化合物も、300℃超の沸点を有し、及び0.26N TMAH中に良好な可溶性を有する必要がある。複数のフェノール基を含むこれらの化合物は、二つ(ダイマー)またはそれ超(例えばトリマー)のフェノール系化合物、テトラマーフェノール系部分、またはより高級の(例えば10つのフェノール系部分)を含むことができ、この場合、これらの化合物中のフェノール系部分は、アルキレン部分、オキシ部分、-SO2-部分及び類似物などの連結基を介して互いに結合する。このような化合物の非限定的な例は、構造(18)、(18a)、(18b)、(19)、(19a)、(19b)、(20)~(30)に示され、そこで、連結基Xp及びXpaは、独立して、-O-、-CH2-、-C(CH3)2-、-SO2-から選択され;Rp1は水素またはアルキル部分であり、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5は独立して水素またはアルキル部分から選択される。
【0104】
【化14】
任意選択の溶解促進剤f)が存在する場合の前記の本発明による組成物の一つの態様では、この溶解促進剤は、先に記載の構造(18)を有する。
【0105】
任意選択の溶解促進剤f)が存在する場合の前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、この溶解促進剤は、先に記載の構造(18a)を有する。
【0106】
任意選択の溶解促進剤f)が存在する場合の前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、この溶解促進剤は、先に記載の構造(19)を有し、ここでRp2、Rp3、Rp4、Rp5は独立して水素またはアルキル部分から選択される。
【0107】
任意選択の溶解促進剤成分f)が存在する場合の前記の態様の他の観点の一つでは、これは、該組成物の全重量の約0.1重量%~約5.0重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、これは約0.5重量%~約4重量%で存在する。更に別の観点の一つでは、これは約1重量%~約3.6重量%で存在する。
【0108】
本発明のこの態様の他の観点の一つでは、成分g)としての溶剤は、グリコールエーテル誘導体、グリコールエーテルエステル誘導体、カルボキシレート、二塩基性酸のカルボキシレート、グリコールのジカルボキシレート、ヒドロキシカルボキシレート、ケトンエステル;アルキルオキシカルボン酸エステル、ケトン誘導体、ケトンエーテル誘導体、ケトンアルコール誘導体、アミド誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0109】
本発明の更に別の態様の一つでは、成分f)としての溶剤は、2-メトキシ-1-メチルエチルアセテート(PGMEA)から選択される。
【0110】
単一のコーティングステップを用いてネガ型レジスト画像を得るための方法は、次のステップ;
a)前記の新規組成物のいずれかを半導体基材上に施与してコーティングを形成するステップ;
b)ベークステップであって、第一のベークステップにおいて、前記のコーティングを、約100~約150℃の範囲の第一のベーク温度で約5~約15分間、ベークし;その後、約100~約150℃の範囲の第二のベーク温度において5~15分間の第二のベーク時間で第二のベークを行う、ベークステップ;
c)ステップb)でベークされた前記のコーティングをマスクを介して、波長が約350~約450nmの範囲の放射線に暴露して、水性塩基現像剤中に不溶性である、コーティングの暴露された部分と、水性塩基現像剤中に可溶性の、コーティングの未暴露の部分を形成するステップ;
d)ステップc)またはd)で得られた前記コーティングを水性塩基現像剤で現像するステップ;
を含む。
【0111】
単一のコーティングステップを用いたネガ型レジスト画像を得る方法の他の態様の一つでは、これは、ベークステップb)において、前記の第一のベーク温度及び前記の第二のベーク温度が、各々約6~約10分間で、約120℃~約150℃であってよい方法であり;このステップの更に別の態様の一つでは、第一のベーク及び第二のベークは、約8分間で、約130℃であってよい。
【0112】
前記のネガ型画像形成の一つの態様では、単一のコートプロセスは、ステップb)における前記の第一のベークにおいて、第一のステップのためのベーク温度が約130℃であるプロセスである。
【0113】
前記のネガ型画像形成の単一コートプロセスの一つの態様では、ベークステップb)において、前記の第一のベーク温度時間が約8分間である。
【0114】
前記のネガ型画像形成の単一コートプロセスの一つの態様では、ベークステップb)において、前記の第一の温度が約130℃であり、そしてベーク時間が約8分間である。
【0115】
前記のネガ画像形成の単一コートプロセスの一つの態様では、ベークステップb)において、前記第二のベーク温度は約130℃である。
【0116】
前記のネガ型画像形成の単一コートプロセスの一つの態様では、ベークステップb)において、前記の第二のベーク温度時間は約8分間である。
【0117】
前記のネガ型画像形成の単一コートプロセスの一つの態様では、ベークステップb)において、前記の第二ベーク温度は約130℃であり、そして前記のベーク時間は約8分間である。
【0118】
前記のネガ型画像形成の単一のコートプロセスの一つの態様は、ステップc)で使用される放射線が約360nm~約440nmの範囲である態様である。
【0119】
前記のネガ型画像形成の単一のコートプロセスの一つの態様は、ステップc)で使用される放射線が約400nm~約440nmの範囲である態様である。
【0120】
前記のネガ型画像形成の単一のコートプロセスの一つの態様は、ステップd)で使用される放射線が約360nm~約440nmの範囲である態様である。
【0121】
前記のネガ型画像形成の単一のコートプロセスの一つの態様は、ステップd)で使用される放射線が約400nm~約440nmの範囲である態様である。
【0122】
前記のネガ型画像形成プロセスの一つの態様では、単一コートの代わりに、二重コートプロセスが使用され、このプロセスは次のステップ:
a’)前記の新規組成物のいずれかを半導体基材上に施与して、第一のコーティングを形成するステップ、
b’)第一のベークステップであって、前記の第一のコーティングを、約5~約15分間、約100~約150℃の範囲の温度でベークする第一のベークステップ、
c’)ステップa)で使用された前記新規組成物を、前記第一のコーティングの表面に施与して、第二のコーティングを形成するステップ、
b’)第二のベークであって、前記の第一のコーティング及び前記の第二のコーティングを、約5~約15分間、約100~約150℃の範囲の温度でベークして、複合コーティングを形成する第二のベーク、
e’)前記の複合コーティングを、波長が約350~約450nmの範囲の放射線にマスクに通して暴露することによって、照射された複合コーティングを形成して、水性塩基中に不溶性の該複合コーティングの暴露された部分と、水性塩基中に可溶性の該複合コーティングの未暴露の部分とを形成するステップ、
f’)ステップe’)で得られた前記の照射されたコーティングを水性塩基現像剤を用いて現像し、ここで、前記の複合コーティングの暴露された部分は残存し、そして前記の複合コーティングの未暴露の部分は除去されて、前記の照射された複合コーティング中に画像を形成するステップ、
を含む。
【0123】
二重コーティングステップを用いたネガ型レジスト画像を得る前記の方法の他の態様の一つは、前記の第一のベークステップb’)において、このベーク温度が約120℃~約150℃であってよく、更に、ベーク時間が約6~約10分間であってよい態様であり;更に別の態様の一つでは、このベーク温度は約130℃であってよく、そしてこのベーク時間は約8分間である。
【0124】
二重コーティングステップを用いたネガ型レジスト画像を得る前記の方法の他の態様の一つは、前記の第二のベークステップd’)において、このベーク温度が約120℃~約150℃であってよく、更に、ベークは各々約6~約10分間であってよい態様であり;更に別の態様の一つでは、このベーク温度は約130℃であってよく、そしてこのベーク時間は約8分間であってよい。
【0125】
単一二重コーティングステップを用いたネガ型レジスト画像を得る方法の他の態様の一つは、ベークステップb’)において、前記第一のベーク温度及び前記第二のベーク温度は約120℃~約150℃であってよく、更に、各々の場合に約6~約10分間であってよく;このステップの更に別の態様の一つでは、前記第一のベーク及び第二のベークは、約8分間で、約130℃であってよい。
【0126】
前記のネガ型画像形成の単一のコートプロセスの一つの態様は、ステップe’)で使用される放射線が約360nm~約440nmの範囲である態様である。
【0127】
前記のネガ型画像形成の単一のコートプロセスの一つの態様は、ステップe’)で使用される放射線が約400nm~約440nmの範囲である態様である。
【0128】
本開示の所望のポリマー、並びにそれから製造される新規組成物は、光硬化される前に、適当な現像剤中に可溶化されることが可能である。典型的な現像剤には、水酸化物、例えば(C1~C4アルキル)アンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウム、炭酸塩、重炭酸塩、アミン類及び他の塩基性材料を含む水性アルカリ性現像剤などが挙げられる。幾つかの場合及び一部の用途において、工業的に周知の溶剤現像剤を使用してよい。
【0129】
ここに開示された新規組成物は、更に、それらの特定の特性について有用なポリマーを更に含んでよい。例えば、現像段階及び剥離段階において補助するために高い酸価を有するポリマー、例えばスチレン-co-無水マレイン酸-半エステルを加えることができ、ここで、そのエステル基が、該新規組成物に或る特定の特性を与え得る。
【0130】
光生成されたフリーラジカルと反応できるケイ素ベースの材料も使用し得る。これらの材料には、例えば、シルセスキオキサン完全もしくは部分ケージ材料、並びにラダー型材料などが挙げられ、これらは、向上した靱性、熱安定性及び他の望ましい特性を該新規組成物及び最終のレリーフ画像に与えるために含ませることができる。硬化性を付与するためにアクリレート、メタクリレート及びビニル基をケイ素材料に結合させることができる。一例は、オクタ-アクリロ-シルセスキオキサンタイプの材料である。
【0131】
本願は、更に、ネガ型レリーフ画像を形成する方法を開示する。本開示の新規組成物は、選択された基材上にコーティングされそして乾燥される。こうして形成されたフィルムを、次いでネガ型マスクに通して、フリーラジカルを生成するのに適した波長を出力する化学線を用いて像様暴露する。放射線に暴露されたパターンは硬化する。次に、現像剤をフィルムに施与し、そして放射線に曝されなかった領域は可溶化されそして基材から除去される。
【0132】
コーティングは、一連のコーティング方法のうちの任意の方法によって成し遂げることができ、例えばスピンコート法、スロットコート法、ディップコート法、カーテンコート法、ローラコート法、ワイヤコート法、または他の既知の方法などがある。こうして施与されたコーティングは、それらの溶剤を5%溶剤未満にするように乾燥される。乾燥は、ホットプレート加熱、熱対流、赤外、またはコーティングされたフィルムから溶剤を除去するための他の既知の方法によって行うことができる。多くの厚膜用途では、300nmを超える波長、例えば365nm、405nm、436nm及びブロードバンドでの1000mW未満の像様暴露エネルギーが必要とされる。暴露後、適当な現像剤、例えば0.25Nテトラブチルアンモニウムヒドロキシドがフィルムに施与される。現像剤は、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法または浸漬コート法によって施与してよく、そしておおよそ室温であってよく、または現像剤中への未暴露の並びに暴露されたフォトレジストの溶解性によっては加熱してもよい。厚膜フォトレジストの典型的な用途は、3/1のアスペクト比を必要とし、ここで30~60ミクロン厚のフォトレジストは、15~70ミクロン幅のホール及びトレンチを形成する。
【0133】
未暴露の領域を除去した後、パターンがフィルム中に形成され、その時、基材表面は、今や、例えばレリーフ領域中への金属の電気メッキ、金属ライン、バンプ、トレンチ及び他の構造の形成などの更なる加工が可能である。今や暴露された表面は、基材上での材料のエッチングに付してよい。エッチング、電気メッキまたは他の加工の後は、ネガ型フォトレジストが永続的絶縁体などの永続的な材料であるように設計されている場合は除いて、ネガ型フォトレジストが除去または剥離される。電気メッキ及びエッチングプロセスは当技術分野において周知である。剥離溶液は、一般的に強アルカリ性溶液であり、そして一般的に約100°F超に加熱される。多くの場合に、フォトレジストは、フォトレジストが剥離溶液では溶解しないが、膨潤しそしてゲルとして除去されるように十分に硬化される。
本発明の調合物は、銅のための電気メッキ溶液と驚くべき程に高い適合性を示す。この点において、本新規組成物は、画像形成の後に、約20ミクロン~約500ミクロンの範囲の直径、約40~約400ミクロンの間、好ましくは約80~約300ミクロンの範囲の間の高さを有する銅ピラーの驚くべき程に良好な選択的電気メッキを、画像形成されたフォトレジストによって覆われた領域では電気メッキせずに、付与することができる。
【0134】
更に、該新規組成物は、これが、約5ミクロン~約400ミクロンの厚膜範囲にわたって基材上にコーティングされた場合に、画像形成、電気メッキ及び剥離することができる。これと同時に、上述のように、これらの新規組成物は、ピラーなどの図形が高いアスペクト比で形成され、ここで初期膜厚が約40ミクロン~約400ミクロン、好ましくは約80ミクロン~約300ミクロンの範囲である、超厚用途に特に有用である。パターン化された該新規フォトレジストは、パターン化された新規フォトレジストによって電気メッキから保護された領域の層間剥離を伴わず、そうして、これらの領域の望ましくない電気メッキが起こらないことを保証しつつ、コーティングされていない銅ピラーの電気メッキを受けることができることが見出された。
【0135】
これらの銅ピラーを電気メッキした後、本発明によるレジストによって保護された領域は、慣用のストリッパ、例えばTMAH及び有機溶剤、例えばDMSO、N-メチルピロリドン、2-アミノエタノール及び類似物、またはこのような有機溶剤の混合物、及び界面活性剤に基づくストリッパを用いて、慣用の条件を使用して簡単に剥離することができることが見出された。このようなストリッパ及び剥離プロセスの非限定的な例は、70℃で30~90分間使用されるRBV-788Cストリッパ(Vsion Link Corp.)を用いた剥離プロセスである。以下の実施例のセクションに記載のような我々の実験では、加工後にパターン化されたフォトレジストを剥離するためにこのようなストリッパ及び剥離プロセスを使用した。
【実施例】
【0136】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様をサポートする実験結果について説明する。しかし、以下の開示は、例示のみを目的としたものであり、それ故、請求項に記載の発明の範囲を如何様にも限定することを意図したものではない点を指摘しておく。
【0137】
例のための試験溶液の調製
表1は、例の調合物に使用した化学品及びそれらの供給業者のリストである。
【0138】
全ての溶液は、以下の調合物の表に示すように、ポリマーとしてポリ[メタクリル酸-co-ベンジルメタクリレート-co-トリシクロ(5.2.1.0/2.6)デシルメタクリレート-co-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(MIPHOTO CPR 215)(構造(31)は、それぞれの繰り返し単位のモル%組成を示す)を、他の成分(例えば、光開始剤、架橋剤など)と、スピンコート溶剤(PGMEA)(これらの溶液に使用したPGMEAの量は約16mLである)中で混合することよって調製した。この混合物を二日間混合し、次いでろ過した。
【0139】
【化15】
フォトリソグラフィー画像形成
表2は、例の画像形成に使用したフォトリソグラフィツール及びそれらの供給業者のリストである。典型的には、基材上にコーティングしそしてベークした後に、生じたレジストコーティングを、1000~4000mJ/cm
2で暴露し、そしてこの暴露されたコーティングを、スピンコータ上で、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を用いて現像した。
【0140】
表3は、露光及び現像後のメッキの際及び剥離の際のレジストの加工に使用した光画像形成用溶液及びそれらの供給業者のリストである。
【0141】
表4は、リソグラフィ実験の加工及び評価に関連した様々なツールのリストである。
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
表5~10は、生じた画像に対して行われたリソグラフィ暴露及びポスト加工を纏める。
【0147】
フォトレジストを、銅シード8インチシリコンウェハ上にコーティングし、その後、8分間、130℃でホットプレートで乾燥し、そしてこのプロセスをもう一度繰り返して、250ミクロンの膜厚を有するコーティングを得た。このフィルムコーティングを、1000~4000mJ/cm2のエネルギーでORC PPS-8300ステッパを用いて暴露した。現像を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.26N水溶液を用いて行った。現像の前及び後の膜厚を、Foothill社製KT-22膜厚測定ツールを用いて測定し、そして膜減りを計算した。メッキ溶液に対する親水性を改善するために、デスカムプロセスを、266PaのHe圧、10Paのプロセス圧、20秒のプロセス時間、100SCCMのO2ガス及び1000Wのアンテナパワーの条件下に、ULVAC NE-5000Nを用いて行った。デスカムプロセスの後にクラックが目視で観察されるか否かを確認した。電解質が、化学的及び電気化学的条件下にフォトレジストを攻撃しないことを保証するために、フォトレジストと電解質(MICROFAV(登録商標)SC-50)との間の適合性の検証を行った。メッキCuバンプを、2cm×2cmパターン化ウェハを有するビーカーから、4アンペア/デシメータ2(ASD)の電流密度で、150分間、30℃で行った。メッキされたCu構造体は、電流密度及びメッキ時間により厚さが変化した。メッキ後、フォトレジストは、RBV-788Cストリッパを用いて70℃で除去した。メッキされたCu構造体、及びレジスト側壁プロフィルの断面を、Hitachi S-4700電子顕微鏡を用いて走査電子顕微鏡写真(SEM)によって評価した。
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
表5は、ラジカル光開始剤の量と性質を様々に変えたレジスト調合物を示す。具体的には、比較例1(comp.EX.1)、例1~4は、光開始剤の量に対する架橋剤成分の全重量の比率を様々に変えたが、全て、約360nm~約440nmの間の広い吸収を示すアリールアシルホスフィン系開始剤タイプであるIrgacure(登録商標)891を使用している調合物を示す。表6に見られるように、これらの成分の低い比率を有する調合物は、許容可能な結果、すなわち直線状または僅かに凹んだプロフィルが観察されたプロフィルを含む全てのスクリーニングカテゴリについて良好な特性を図らずしも与えた。49.9の高いアスペクト比を有する比較例1は、殆どのスクリーニングカテゴリには合格するが、架橋された領域の浸食に対する良好な耐性を与えず、0.26N TMAHを用いて現像した際に膜厚の10%超の浸食を供する。比較例2及び比較例3は、g線及びi線で弱い吸収しか示さないかまたは吸収を示さないラジカル光開始剤の使用の効果、すなわちこれらの光開始剤を含む調合物は、現像中の接着性の損失という害を被ることを示す。この強い接着性の損失のために、これらの材料を、プラズマデスカミング、Cuメッキとの適合性及び剥離特性について更に評価することができなかった。同様に、表7は本発明の組成物に該当する様々な調合物(例1、例5、例6、及び例7)を示す。表8に示すこれらの調合物は、全てのスクリーン規準において同じ予期できない良好な特性を示した。
【0155】
表9は、1~0.5の範囲のポリマーに対する架橋剤の様々な比率を有する調合物(例7、例8、例9、例10、比較例4、比較例5、比較例6、比較例7、比較例8及び比較例9)、及び架橋剤成分の成分のうちの一つが省略された調合物を示す。それらの結果を纏めた表10は、0.70以下の架橋剤の比率を用いた場合、これは、プラズマデスカミングの際の過度のクラックが生じる結果となることを示している。驚くべきことに、この表中では、ポリマーの全重量に対する架橋剤の全重量の比較的高い比率を含む調合物のみ(例7、例8、例9、例10)が、全てのスクリーニング規準に合格できた。この比率から外れると、架橋剤成分の性質も、所望の特性を維持するために重要となる。例えば、単一の架橋成分として架橋剤(5)、(6)または(7)のいずれかを使用すると、特性の劇的な劣化を招く(比較例7、比較例8、比較例9)。しかし、架橋剤(8)は、いずれの有害な挙動を示すことなく、単一の架橋性成分として使用できた。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
ネガ作動型で水性塩基現像可能な感光性フォトレジスト組成物であって、
a)次の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むが、他のタイプの繰り返し単位は含まないポリマー、
【化16】
[式中、v、x、y及びzは、それぞれ、ポリマー中の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の各繰り返し単位のモル%を表し、及びvは、約20~約40モル%の範囲であり、xは、約20~約60モル%の範囲であり、yは、約5~約20モル%の範囲であり、zは、約3~約20モル%の範囲であり、及びR
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、独立して、H及びCH
3
からなる群から選択され、そしてR
5
はC
1
~C
4
アルキル部分であり、更に、モル%のv、x、y及びzの合計は100モル%でなければならない]
b)約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含むラジカル光開始剤成分であって、ここで、前記ラジカル光開始剤成分b)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の重量比は約9~約40である、ラジカル光開始剤成分;
c)次の構造(5)、(6)及び(7)の架橋剤の混合物または次の構造(8)の単一の架橋剤のいずれかから選択される、架橋剤成分であって、ここで、R
6
、R
7
、R
8
、R
10
は、独立して、Hまたはメチルから選択され、そしてR
9
はメチルまたはエチルから選択され、更には、前記ポリマーa)の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比が約0.71~約1.2までの範囲である、架橋剤成分;
【化17】
d)少なくとも一種のラジカル抑制剤を含むラジカル抑制剤成分;
e)少なくとも一種の界面活性剤材料を含む、任意の界面活性剤成分;
f)任意の溶解促進剤成分;及び
g)溶剤;
を含み、及び
更に、前記組成物は、着色剤、顔料、レーキ顔料、有機粒子、無機粒子、金属酸化物粒子、金属粒子、複合酸化物粒子、硫化金属粒子、窒化金属粒子、酸窒化金属(metal acid nitride)粒子、無機塩粒子、有機塩粒子、コロイダル粒子、繊維、オキシラン類、オキシラン類をベースとする架橋剤、ポリシロキサンポリマーを含まない、前記感光性フォトレジスト組成物。
2.
ネガ作動型で水性塩基現像可能な感光性フォトレジスト組成物であって、
a)次の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の四種の繰り返し単位を含むが、他のタイプの繰り返し単位は含まないポリマー、
【化18】
[式中、v、x、y及びzは、それぞれ、ポリマー中の構造(1)、(2)、(3)及び(4)の各繰り返し単位のモル%を表し、及びvは、約20~約40モル%の範囲であり、xは、約20~約60モル%の範囲であり、yは、約5~約20モル%の範囲であり、zは、約3~約20モル%の範囲であり、及びR
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、独立して、H及びCH
3
からなる群から選択され、そしてR
5
はC
1
~C
4
アルキル部分であり、更に、モル%のv、x、y及びzの合計は100モル%でなければならない]
b)約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される少なくとも一種のラジカル光開始剤を含むラジカル光開始剤成分であって、ここで、ラジカル光開始剤成分b)中の約360nm~約440nmの放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比が約9~約40である、ラジカル光開始剤成分;
c)次の構造(5)、(6)及び(7)の架橋剤の混合物または次の構造(8)の単一の架橋剤のいずれかから選択される架橋剤成分であって、ここで、R
6
、R
7
、R
8
、R
10
は、独立して、Hまたはメチルから選択され、そしてR
9
はメチルまたはエチルから選択され、更には、前記ポリマーa)の全重量に対する、前記架橋剤成分c)の全重量の重量比が約0.71~約1.2までの範囲である、架橋剤成分;
【化19】
d)少なくとも一種のラジカル抑制剤を含むラジカル抑制剤成分;
e)少なくとも一種の界面活性剤材料を含む、任意の界面活性剤成分;
f)任意の溶解促進剤成分;及び
g)溶剤、
から本質的になる、前記感光性フォトレジスト組成物。
3.
前記構造(3)において、R
5
がC
1
~C
3
アルキルである、前記1.または2.に記載の組成物。
4.
前記構造(3)において、R
5
がエチルまたはメチルである、前記1.~3.のいずれか一つに記載の組成物。
5.
前記構造(3)において、R
5
がメチルである、前記1.~4.のいずれか一つに記載の組成物。
6.
前記ポリマーにおいて、vが約25~約35モル%の範囲である、前記1.~5.のいずれか一つに記載の組成物。
7.
前記ポリマーにおいて、xが約25~約55モル%の範囲である、前記1.~6.のいずれか一つに記載の組成物。
8.
前記ポリマーにおいて、yが約10~約20モル%の範囲である、前記1.~7.のいずれか一つに記載の組成物。
9.
前記ポリマーにおいて、zが約5~約15モル%の範囲である、前記1.~8.のいずれか一つに記載の組成物。
10.
前記ポリマーにおいて、vが約27~約32モル%の範囲である、前記1.~9.のいずれか一つに記載の組成物。
11.
前記ポリマーにおいて、xが約30~約50モル%の範囲である、前記1.~10.のいずれか一つに記載の組成物。
12.
前記ポリマーにおいて、yが約12~約18モル%の範囲である、前記1.~11.のいずれか一つに記載の組成物。
13.
前記ポリマーにおいて、zが約7~約13モル%の範囲である、前記1.~12.のいずれか一つに記載の組成物。
14.
前記ポリマーにおいて、vが約28~約31モル%の範囲である、前記1.~13.のいずれか一つに記載の組成物。
15.
前記ポリマーにおいて、xが約35~約48モル%の範囲である、前記1.~14.のいずれか一つに記載の組成物。
16.
前記ポリマーにおいて、yが約13~約16モル%の範囲である、前記1.~15.のいずれか一つに記載の組成物。
17.
前記ポリマーにおいて、zが約8~約12モル%の範囲である、前記1.~16.のいずれか一つに記載の組成物。
18.
前記ポリマーにおいて、vが約30モル%である、前記1.~17.のいずれか一つに記載の組成物。
19.
前記ポリマーにおいて、xが約45モル%である、前記1.~18.のいずれか一つに記載の組成物。
20.
前記ポリマーにおいて、yが約15モル%である、前記1.~19.のいずれか一つに記載の組成物。
21.
前記ポリマーにおいて、zが約10モル%である、前記1.~20.のいずれか一つに記載の組成物。
22.
前記ポリマーにおいて、vが約30モル%であり、xが約45モル%であり、yが約15モル%であり、及びzが約10モル%である、前記1.~21.のいずれか一つに記載の組成物。
23.
前記架橋剤成分が、(5)、(6)及び(7)の前記混合物である、前記1.~22.のいずれか一つに記載の組成物。
24.
前記架橋剤成分が、(5)において、R
6
がメチルである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
25.
前記架橋剤成分が、(5)において、R
6
がHである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
26.
前記架橋剤成分が、(6)において、R
7
がメチルである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
27.
前記架橋剤成分が、(6)において、R
7
がHである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
28.
前記架橋剤成分が、(7)において、R
8
がメチルである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
29.
前記架橋剤成分が、(7)において、R
8
がHである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
30.
前記架橋剤成分が、(7)において、R
9
がメチルである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
31.
前記架橋剤成分が、(7)において、R
9
がエチルである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
32.
前記架橋剤成分が、(5)、(6)及び(7)において、R
6
がメチルであり、R
7
がHであり、R
8
がHであり、及びR
9
がエチルである前記混合物である、前記1.~23.のいずれか一つに記載の組成物。
33.
前記架橋剤成分が、前記単一の架橋剤(8)である、前記1.~22.のいずれか一つに記載の組成物。
34.
前記架橋剤成分が、前記単一の架橋剤(8)であり、更にここでR
10
がCH
3
である、前記1.~22.または33.のいずれか一つに記載の組成物。
35.
前記架橋剤成分が、前記単一の架橋剤(8)であり、更にここでR
10
がHである、前記1.~22.または33.のいずれか一つに記載の組成物。
36.
ポリマーa)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の重量比が約0.75~約1.1の範囲である、前記1.~35.のいずれか一つに記載の組成物。
37.
前記ポリマー成分a)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の前記重量比が約0.80~約1.0である、前記1.~36.のいずれか一つに記載の組成物。
38.
放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤b)の全重量に対する前記架橋剤成分c)の全重量の前記重量比が約9~約30である、前記1.~37.のいずれか一つに記載の組成物。
39.
前記架橋剤成分c)が、架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記混合物であり;更にここで、(5)が、該組成物の全重量の約5重量%~約20重量%の範囲であり;(6)が約1重量%~約10重量%の範囲であり;そして(7)が約5重量%~約20重量%の範囲である、前記1.~32.または36.~38.のいずれか一つに記載の組成物。
40.
前記架橋剤成分c)が、該組成物の全重量の約26重量%~約56重量%で存在する、前記1.~39.のいずれか一つに記載の組成物。
41.
前記架橋剤成分c)が、架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記混合物であり、及び該組成物の全重量の約26重量%~約56重量%で存在する、前記1.~32.または36.~38.のいずれか一つに記載の組成物。
42.
前記架橋剤成分c)が、架橋剤(5)、(6)及び(7)の前記混合物であり、及び該組成物の全重量の約26重量%~約50重量%で存在する、前記1.~32.または36.~38.または41.のいずれか一つに記載の組成物。
43.
前記架橋剤成分c)が、単一の架橋剤(8)であり、該組成物の全重量の約26重量%~約56重量%の範囲である、前記1.~22.または33.~35.のいずれか一つに記載の組成物。
44.
前記架橋剤成分c)が、単一の架橋剤(8)であり、該組成物の約26重量%~約33重量%の範囲である、前記1.~22.または33.~35.のいずれか一つに記載の組成物。
45.
放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤が、i線(364.4nm)で少なくとも200AU*L*モル
-1
*cm
-1
;h線(404.7)で少なくとも100AU*L*モル
-1
*cm
-1
、及びg線(435.8nm)で少なくとも20AU*L*モル
-1
*cm
-1
のモル吸光度を有するものである、前記1.~44.のいずれか一つに記載の組成物。
46.
前記ポリマーが、該組成物の重量%として約20~約50重量%の範囲である、前記1.~45.のいずれか一つに記載の組成物。
47.
前記ラジカル光開始剤成分b)において、放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤が、モノ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類、ジ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類及びトリ(アリールアシル)ホスフィンオキシド類からなる群から選択されるアリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤成分であるか、またはこれらの異なるアシルホスフィンオキシド系光開始剤の混合物である、前記1.~46.のいずれか一つに記載の組成物。
48.
前記ラジカル光開始剤成分b)において、放射線の広吸収によって活性化される前記ラジカル光開始剤が、構造(9)を有する単一のアリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤であるか、または構造(9)を有する異なるアリールアシルホスフィンオキシド系光開始剤の混合物であり;ここでRia、Rib、Ric、Rid、及びRieは独立してH、ClまたはC1~C8アルキルから選択され、そしてRifは独立してC1~C8アルキルオキシ部分、構造(9a)を有するフェニルアシル部分、及び構造(9b)を有するアリール部分から選択され、そしてRigは、構造(9a)を有するフェニルアシル部分または構造(9b)を有するアリールであり;ここでRiaa、Riba、Rica、Rida、Riea、Riab、Ribb、Ricb、Ridb、及びRiebは独立してH、Cl及びC1~C8アルキルから選択され、そして
【化20】
構造(9)中のリンへの構造(9a)の前記フェニルアシルまたは構造(9b)の前記フェニル部分の結合手を表す、前記1.~47.のいずれか一つに記載の組成物。
【化21】
49.
前記ラジカル抑制剤が、構造(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)及び(16)からなる群から選択される構造を有するニトロキシド類であり、ここでRiは、メチル、炭素原子数2~18の線状アルキル基、炭素原子数2~18の分岐鎖状アルキル基から独立して選択されるアルキル基であり、更にRiは同一かまたは異なっていることができ、及び更にこれらのアルキル基は、置換されていないことができ、またはカルボキシル(CO
2
H)、アルキルカルボキシル(CO
2
R)、ヒドロキシル(OH)、アルキルオキシ(OR、ここでRは、炭素原子数が1~約18の線状または分岐状アルキル置換基である)、シアノ(CN)、アミノカルボニルアルキル(NHCOR)、スクシミド(C
4
H
4
NO
2
)、スルホ(SO
3
H)、アルキルスルホネート(O-SO
2
-R)及びアルキルスルホン(SO
2
R)からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されていることができ、及び更に、Rは炭素原子数1~約18の線状または分岐状アルキル置換基である、前記1.~48.のいずれか一つに記載の組成物。
【化22】
50.
前記界面活性剤が存在し、そしてノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される、前記1.~49.のいずれか一つに記載の組成物。
51.
前記溶剤が、グリコールエーテル誘導体、グリコールエーテルエステル誘導体、カルボキシレート、二塩基性酸のカルボキシレート、グリコール類のジカルボキシレート、ヒドロキシカルボキシレート、ケトンエステル;アルキルオキシカルボン酸エステル、ケトン誘導体、ケトンエーテル誘導体、ケトンアルコール誘導体、アミド誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される、前記1.~50.のいずれか一つに記載の組成物。
52.
任意選択の溶解促進剤f)が存在する、前記1.~51.のいずれか一つに記載の組成物。
53.
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そしてカルボン酸基を含む化合物である、前記1.~52.のいずれか一つに記載の組成物。
54.
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そして複数のフェノール基を含む化合物である、前記1.~53.のいずれか一つに記載の組成物。
55.
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そして化合物(18)であり、ここで連結基Xpが、-O-、-CH
2
-、-C(CH
3
)
2
-、及び-SO
2
-から選択され;Rp1は水素またはアルキル部分である、前記1.~55.のいずれか一つに記載の組成物。
【化23】
56.
任意選択の溶解促進剤f)が存在し、そして化合物(18a)であり、ここで連結基Xpaが、-O-、-CH
2
-、-C(CH
3
)
2
-、及び-SO
2
-から選択され;Rp1が水素またはアルキル部分である、前記1.~54.のいずれか一つに記載の組成物。
【化24】
57.
任意選択の溶解促進剤グループf)が存在し、そして化合物(19)であり;ここでRp2、Rp3、Rp4、Rp5は独立して水素またはアルキル部分から選択される、前記1.~54.のいずれか一つに記載の組成物。
【化25】
58.
任意選択の溶解促進剤グループf)が存在し、そして化合物(18b)、(19a)、(19b)、(20)~(29)及び(30)から選択される、前記1.~54.のいずれか一つに記載の組成物。
【化26】
59.
任意選択の溶解促進剤成分が、該組成物の全重量の約0.1重量%~約5.0重量%で存在する、前記1.~58.のいずれか一つに記載の組成物。
60.
次のステップ:
a’)前記1.~59.のいずれか一つに記載の組成物を半導体基材上に施与して、第一のコーティングを形成するステップ、
b’)第一のベークステップであって、前記の第一のコーティングを、約5~約15分間、約100~約150℃の範囲の温度でベークする第一のベークステップ、
c’)ステップa)で使用された前記組成物を、前記第一のコーティングの表面に施与して、第二のコーティングを形成するステップ、
d’)第二のベークステップであって、前記の第一のコーティング及び前記の第二のコーティングを、約5~約15分間、約100~約150℃の範囲の温度でベークして、複合コーティングを形成する第二のベークステップ、
e’)前記の複合コーティングを、波長が約350~約450nmの範囲の放射線にマスクに通して暴露することによって、照射された複合コーティングを形成して、水性塩基中に不溶性の該複合コーティングの暴露された部分と、水性塩基中に可溶性の該複合コーティングの未暴露の部分とを形成するステップ、及び
f’’)ステップe’)で得られた前記の照射されたコーティングを水性塩基現像剤を用いて現像し、ここで、前記の複合コーティングの暴露された部分は残存し、そして前記の複合コーティングの未暴露の部分は除去されて、前記の照射された複合コーティング中に画像が形成されるステップ、
を含む、方法。