IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-温度を測定するための方法及び装置 図1
  • 特許-温度を測定するための方法及び装置 図2
  • 特許-温度を測定するための方法及び装置 図3
  • 特許-温度を測定するための方法及び装置 図4
  • 特許-温度を測定するための方法及び装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】温度を測定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/00 20220101AFI20230509BHJP
【FI】
G01J5/00 101C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020571665
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019027099
(87)【国際公開番号】W WO2020005366
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】62/689,994
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラニッシュ, ジョゼフ エム.
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-237281(JP,A)
【文献】特許第3631749(JP,B2)
【文献】特開2002-357481(JP,A)
【文献】特開2011-163825(JP,A)
【文献】特許第3192161(JP,B2)
【文献】特開平08-285692(JP,A)
【文献】特表2015-513094(JP,A)
【文献】特表2014-534424(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0131532(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0027558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00 - G01J 5/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度を推定するための装置であって、
反射面に向けて電磁放射を放出するように配置された複数の電磁放射源であって、異なる電磁放射源がそれぞれ異なる波長で同時に電磁放射を放出するように構成された、複数の電磁放射源
複数の電磁放射検出器であって、各電磁放射検出器が、前記複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された前記電磁放射をサンプリングするように配置された、複数の電磁放射検出器、
前記複数の電磁放射源から同時にじ前記反射面から反射された電磁放射を受け取るように配置された高温計、
前記異なる波長に従って前記高温計によって受け取られた前記電磁放射を分離するための、前記高温計に結合された高速フーリエ変換解析器、及び
前記高温計によって及び前記電磁放射検出器によって受け取られた前記電磁放射に基づいて、温度を推定するように構成されたプロセッサを備え
前記プロセッサが、前記温度の推定に使用される、前記反射面における反射率を決定するように構成され、前記反射率は、前記異なる波長に従って分離された前記電磁放射に基づいて決定される、装置。
【請求項2】
各電磁放射検出器が、前記対応する電磁放射源の放出要素に対して見通し線内に配置されたプローブヘッドを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各電磁放射源が、前記反射面に向けて放出コーンにおいて電磁放射を放出するように構成され、前記放出コーンにおいて第1の角度にある前記電磁放射の一部分が、前記反射面から反射され、次いで、前記高温計によって受け取られる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各電磁放射検出器のプローブヘッドが、前記放出コーンの円錐面に整列するように湾曲しており、前記放出コーンにおいて第2の角度にある前記電磁放射をサンプリングするように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記放出コーンにおいて前記第1の角度にある前記電磁放射の一部分は、前記放出コーンにおいて前記第2の角度にある電磁放射の別の一部分と実質的に同じ強度を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記高温計によって受け取られた電磁放射の強度、及び、前記電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の強度を受け取り、前記電磁放射検出器によってサンプリングされた前記電磁放射の強度から前記反射面から反射された放射の強度を特定し、前記高温計によって受け取られた前記電磁放射から前記反射された放射の強度を減算して、前記温度を推定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記反射面から反射された放射の強度は、前記電磁放射検出器によってサンプリングされた前記電磁放射の強度に、前記反射面における前記反射率を適用することによって特定される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記反射率は、前記電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の最大強度から前記電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の最小強度を減算することによって第1の量を計算すること、
前記高温計によって検出された電磁放射の最大強度から前記高温計によって検出された電磁放射の最小強度を減算することによって第2の量を計算すること、及び
前記第1の量と前記第2の量との比を計算することによって特定される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記温度は、前記高温計によって受け取られた電磁放射の強度と前記反射面から反射された電磁放射の強度との差にプランクの法則を適用することによって推定される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
温度を推定する方法であって、
複数の電磁放射源のそれぞれによって、基板に向けて電磁放射を放出することであって、前記複数の電磁放射源のそれぞれ異なる電磁放射源によって異なる波長の電磁放射が同時に放出される、電磁放射を放出すること
複数の電磁放射検出器のそれぞれによって、前記複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された前記電磁放射をサンプリングすること、
高温計によって、前記基板から反射された電磁放射及び前記基板によって放出された電磁放射を受け取ること、
高速フーリエ変換解析器によって、前記異なる波長に従って前記高温計によって受け取られた前記電磁放射を分離すること、並びに
プロセッサを使用して、前記基板によって放出された前記電磁放射に基づいて、前記基板の温度を推定することを含み、
前記プロセッサが、前記温度の推定に使用される、反射面における反射率を決定するように構成されており、前記反射率は、前記異なる波長に従って分離された前記電磁放射に基づいて決定される、方法。
【請求項11】
各電磁放射検出器は、前記対応する電磁放射源の放出要素に対して見通し線内に配置されたプローブヘッドを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各電磁放射源は、前記基板に向けて放出コーンにおいて電磁放射を放出し、前記放出コーンにおいて第1の角度にある前記電磁放射の一部分が、前記基板から反射され、次いで、前記高温計によって受け取られる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各電磁放射検出器のプローブヘッドは、前記放出コーンの円錐面に整列するように湾曲しており、前記放出コーンにおいて第2の角度にある前記電磁放射をサンプリングするように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記放出コーンにおいて前記第1の角度にある電磁放射は、前記放出コーンにおいて前記第2の角度にある電磁放射と実質的に同じ強度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記高温計によって受け取られた電磁放射から、前記基板から反射された電磁放射を減算することによって、前記基板によって放出された電磁放射を特定することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
各電磁放射源によってサンプリングされた電磁放射の強度に、前記基板の前記反射率を乗算すること、その結果を合計すること、及びその合計を前記高温計によって受け取られた電磁放射の強度から減算することによって、前記基板によって放出された電磁放射の強度を計算することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板の前記反射率が、反射された電磁放射の強度と入射電磁放射の強度との比である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記基板の前記反射率は、前記電磁放射源によって放出された電磁放射の最大強度から最小強度を減算した値を、前記電磁放射源によって放出され且つ前記基板から反射された電磁放射の最大強度から最小強度を減算した値で除算することによって計算される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記基板によって放出された前記電磁放射にプランクの法則を適用することによって、前記基板の温度を推定することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
温度を推定するための装置であって、
反射面に向けて電磁放射を放出するように配置された複数の電磁放射源であって、各電磁放射源が、放出コーンにおいて電磁放射を放出するように構成され、異なる電磁放射源が、それぞれ異なる波長で同時に電磁放射を放出するように構成された、複数の電磁放射源、
複数の電磁放射検出器であって、各電磁放射検出器が、前記複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された前記電磁放射をサンプリングするように配置された、複数の電磁放射検出器、
前記複数の電磁放射源から同時にじ前記反射面から反射された電磁放射を受け取るように配置された高温計、
前記異なる波長に従って前記高温計によって受け取られた前記電磁放射を分離するための、前記高温計に結合された高速フーリエ変換解析器、及び
前記高温計によって及び前記電磁放射検出器によって受け取られた前記電磁放射に基づいて、温度を推定するように構成されたプロセッサを備え
前記プロセッサが、前記温度の推定に使用される、前記反射面における反射率を決定するように構成され、前記反射率は、前記異なる波長に従って分離された前記電磁放射に基づいて決定される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の態様は、広くは、温度を測定するための方法及び装置に関する。更に、本開示の態様は、処理チャンバ用の非接触温度測定に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 半導体デバイスなどの製造に関連する処理中、多数の熱処理動作が基板上で実行される。熱処理は、一般的に、プロセス制御のために温度測定を利用する。不正確な温度測定は、半導体デバイスの性能及び/又は製造歩留まりに悪影響を及ぼす可能性がある不出来なプロセスをもたらし得る。
【0003】
[0003] 光高温測定(optical pyrometry)を使用して、半導体デバイス製造プロセスにおいて基板の温度を測定することがある。基板表面から放出される電磁放射の強度が、光高温測定センサによって測定され、プランク(Planck)の法則を用いて温度に関連付けられて、基板温度を特定する。典型的な熱処理チャンバでは、光高温計が、チャンバ内部のランプや高温表面などの多くの発生源からの電磁放射に曝露される。チャンバは、基板によって放出される電磁放射をマスクする。チャンバ内の電磁ノイズからの干渉は、実際の基板温度を特定することを困難にする可能性がある。その結果、誤った温度特定を招き、結果として、不出来な処理結果をもたらし得る。
【0004】
[0004] したがって、基板温度測定用の改善された装置及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 基板温度を測定するための装置及び方法が提供される。1以上の実施形態では、温度を推定するための装置が、反射面に向けて電磁放射を放出するように配置された複数の電磁放射源、及び複数の電磁放射検出器を含み、各電磁放射検出器は、複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された電磁放射をサンプリング(sampling)するように配置される。また、装置は、複数の電磁放射源から生じ、反射面から反射された電磁放射を受け取るように配置された高温計、並びに、高温計によって及び電磁放射検出器によって受け取られた電磁放射に基づいて、温度を推定するように構成されたプロセッサも含む。
【0006】
[0006] 他の実施形態では、温度を推定するための方法が、複数の電磁放射源のそれぞれによって、基板に向けて電磁放射を放出すること、及び、複数の電磁放射検出器のそれぞれによって、複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された電磁放射をサンプリングすることを含む。この方法はまた、高温計によって、基板から反射された電磁放射及び基板によって放出された電磁放射を受け取ること、プロセッサを使用して、基板によって放出された電磁放射に基づいて、基板の温度を推定することも含む。
【0007】
[0007] 上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に短く要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008] 本開示の一態様による、温度測定システムの簡略化された概略図を描く。
図2】[0009] 図2A図2B、及び図2Cは、本開示の一態様によるパルス列信号(pulse train signal)の例を示す。
図3】[0010] 図3A図3B、及び図3Cは、本開示の一態様によるパルス列信号の他の例を示す。
図4】[0011] 本開示の態様による、図1の温度測定システムが組み込まれた処理チャンバの概略断面を示す。
図5】[0012] 本開示の態様に従ってシーズニングプロセス(seasoning process)の終点を検出するための例示的な一方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013] 一実施形態の要素及び特徴は、更なる記載なしに、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。しかし、図面は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の有効な実施形態を認めることができるので、図面が本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【0010】
[0014] 1以上の実施形態では、温度を推定するための装置が提供される。装置は、反射面に向けて電磁放射を放出するように配置された複数の電磁放射源、及び複数の電磁放射検出器を含む。各電磁放射検出器は、複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された電磁放射をサンプリングするように配置されている。この装置はまた、複数の電磁放射源によって放出され、反射面に配置された基板から反射された電磁放射、及び基板によって放出された電磁放射を受け取るように配置された高温計も含む。該装置は、基板によって放出された電磁放射に基づいて、基板の温度を推定するように構成されたプロセッサを含む。温度を推定する方法も提供される。図1は、本開示の一態様による、温度測定システム100の簡略化された概略図である。温度測定システム100は、基板101に隣接して配置された、電磁放射源102及び106、電磁放射検出器103及び108、高温計(パイロメータ)110、並びにコントローラ120を含む。
【0011】
[0015] 基板101は、その上に材料を堆積させることができるウエハ又はパネル基板であってよい。1以上の実施例では、基板101が、シリコン(ドープされた又はドープされていない)、結晶シリコン、酸化ケイ素、ドープされた又はドープされていないポリシリコンなど、ゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、ヒ化ガリウム基板などの第III‐V族化合物の基板、炭化ケイ素(SiC)基板、パターニングされた又はパターニングされていない半導体オン絶縁体(SOI)基板、カーボンドープされた酸化物、窒化ケイ素、ソーラーアレイ、ソーラーパネル、発光ダイオード(LED)基板、又は金属や金属合金などの任意の他の材料、及び他の導電性材料であってよい。幾つかの実施例では、基板101が、基板ホルダ又は基板ペデスタル、チャッキングプレートなどであってもよい。また、基板101は、半絶縁性材料及び半導体材料などの複数の層を含んでもよく、半絶縁性材料は、半導体材料よりも高い抵抗を有する。基板101は、如何なる特定のサイズ又は形状にも限定されない。基板101は、基板101の表面近傍の基板材料の電気抵抗に従って、約50μmから約100cmの波長を有する入射電磁放射を反射する。
【0012】
[0016] 温度測定システム100はまた、信号生成器104及び107も含む。信号生成器104及び107は、それぞれ、電磁放射源102及び106に時変電力(time-varying power)を印加する。1以上の実施形態では、各信号生成器104、107が、異なる周期性、形状(例えば、正弦パルス又は三角パルス)、パターン、及び/又は振幅を有する様々な波形を生成し得る。幾つか場合では、信号生成器104及び107が、電磁放射源102及び106に対して電力をパルス発振させてよい。信号生成器104及び107の使用により、電磁放射の短いバーストが電磁放射源102及び106から放出されてよく、基板101からの反射率を特定することが可能になる。
【0013】
[0017] 電磁放射源102は、信号生成器104によって提供される信号に従って、基板101に向けて時変強度を有する電磁放射L1を放出する。電磁放射源106は、信号生成器107によって提供される信号に従って、基板101に向けて時変強度を有する電磁放射L2を放出する。1以上の実施形態では、電磁放射源102及び106のそれぞれが、基板101の温度を上昇させるために熱エネルギーを基板101に提供する熱源(例えば、加熱ランプ)であってよい。
【0014】
[0018] 電磁放射検出器103は、電磁放射源102に隣接して配置されたプローブヘッド(probe head)141を有し、電磁放射源102の放出コーン131の部分からの電磁放射L3を検出する。電磁放射L3は、電磁放射L1であって、基板101から反射され、電磁放射R1として高温計110によって検出される電磁放射L1に対応する。検出器103のプローブヘッド141は、電磁放射源102の放出要素(emitting element)142に対して見通し線(line-of-sight)内に配置される。放出コーン131における電磁放射は、放出コーン131内の全ての放出角において実質的に同じ強度を有する。1以上の実施形態では、検出器103のプローブヘッド141が、電磁放射源102の放出コーン131の円錐面と整列する。1以上の実施形態では、検出器103が、検出器103のサンプリングレートを決定するために、サンプリング回路105に結合される。
【0015】
[0019] 検出器108は、電磁放射源106の放出要素144に対して見通し線内に配置される。電磁放射源106は、リフレクタ146内に配置された光放出要素144を含む。検出器108は、発生源106に隣接して配置されたプローブヘッド143を含み、電磁放射L2に対応する発生源106の放出コーン132からの電磁放射L4を検出する。1以上の実施形態では、検出器108のプローブヘッド143が、電磁放射源106の放出コーン132の円錐面と整列する。1以上の実施形態では、検出器108が、検出器108のサンプリングレートを決定するために、サンプリング回路109に結合される。温度測定システム100は、より高いサンプリングレートでより高い温度分解能を得ることができる。
【0016】
[0020] 1以上の実施形態では、検出器103及び108が、光ファイバから作製される。他の実施形態では、検出器103及び108が、それぞれ、放射ビームL3及びL4と整列するようにそれぞれの角度で湾曲したプローブヘッド141、143を含む。他の実施形態では、電磁放射源102内のリフレクタ145内に開口部102aが形成される。開口部102aは、開口部102aを通して電磁放射L5を検出器103などの検出器に渡す位置に配置され、検出器は、開口部102aを通して電磁放射L5を受け取るように配置される。図示されていないが、電磁放射源106もまた、開口部102aと同様の開口部を含んでよい。
【0017】
[0021] それぞれの電磁放射源102及び106の放出要素142、144は、全ての方向において概ね同様の強度を有する電磁放射を放出する。したがって、電磁放射L3は、対応する電磁放射L1と実質的に同じ強度を有する。同様に、電磁放射L4は、電磁放射L2と実質的に同じ強度を有する。動作では、コントローラ120が、対応する電磁放射L3の強度から電磁放射L1の強度を推定する。また、コントローラ120は、対応する電磁放射L4の強度から電磁放射L2の強度も推定することができる。
【0018】
[0022] 高温計110は、基板101から放出及び/又は反射された電磁放射を検出する。高温計110で受け取られる電磁放射は、基板101から放出される電磁放射T1と、基板101から反射されるL1及びL2などの電磁放射とを含む。1以上の実施形態では、高温計110が、950nm未満の波長、すなわち、約1.1eV(約1.1μm)のシリコンバンドギャップより上の光子エネルギーで、約20nmの帯域通過(bandpass)を有する光学狭帯域フィルタ(optical narrow-band filter)を含む。帯域通過は、基板101のバンドギャップ波長未満の光子波長として交互に表すことができる。狭帯域機能を持つ高温計を使用すると、他のスペクトルバンド内の他の発生源からのノイズが低減され、それによって測定精度が向上する。
【0019】
[0023] 幾つかの実施形態では、電磁放射源102及び106が、異なる波長で動作してもよい。この実施形態では、高温計110が、個々の電磁放射源からの放射をスペクトル的に分離するために、異なる波長向けの検出要素を含み得る。このような場合、温度測定システム100は、電磁放射源を同時に動作させながら、基板101の反射率を特定することができる。このような例では、電磁放射源102及び106が、例えば、赤外線から紫外線までの複数の波長を有する放射のスペクトルを放出するように構成される。1以上の実施形態では、高速フーリエ変換(FFT)解析器111が、高温計110に結合され、波長に従って高温計110によって受け取られた反射された放射を分離する。幾つかの実施形態では、ロックイン増幅器(lock-in amplifier)を高温計110に結合して、受け取った反射された放射を分離することができる。他の実施形態では、電磁放射源102及び106が、同じ波長又は異なる波長の何れかで一度に1つずつ動作する。
【0020】
[0024] 温度測定システム100は、処理中に温度測定システム100の態様を制御するためのコントローラ120に接続される。コントローラ120は、中央処理装置(CPU)121、メモリ122、ストレージ124、及びCPU121用のサポート回路(support circuit)123を含む。コントローラ120は、温度測定システム100の構成要素、及び温度測定システム100が内部で使用される装置の潜在的に他の構成要素の制御を容易にする。コントローラ120は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するための産業環境において使用され得る汎用コンピュータであってよい。メモリ122は、本明細書で説明されるやり方で温度測定システム100の全体的な動作を制御するために実行又は呼び出され得るソフトウェア(ソース又はオブジェクトコード)を記憶する。コントローラ120は、温度測定システム100内の制御可能な構成要素のそれぞれの動作を操作する。コントローラ120は、温度測定システム100の構成要素向けの電源を含んでよい。
【0021】
[0025] コントローラ120は、複数の信号生成器104及び107に結合され、それぞれの信号生成器104及び107から電磁放射源102及び106に印加される信号を制御する。コントローラ105はまた、高温計110及び/又はそれに対応する回路、例えばFFT解析器(又はロックイン増幅器)111からも、放射データを受け取る。コントローラ105は、高温計110によって受け取られた放射データを処理して、以下で説明されるように、基板101の温度を推定する。
【0022】
[0026] 図1では、電磁放射源102及び106、検出器103及び108、並びに高温計110が、基板101の下方に位置付けられるように示されている。しかし、これらの構成要素は、基板101の上方の箇所などの任意の都合がよい箇所、又は基板101が垂直に方向付けられたときの基板101の片側に配置されてよい。また、任意の数の発生源102、106及び検出器103、108が使用されてもよい。更に、2つ以上の高温計を使用して、基板101の複数の位置又は異なる区域内の温度を測定することができる。複数の発生源、検出器、及び高温計は、信号対ノイズ比を改善することができる。
【0023】
[0027] 基板101の温度をモニタしている動作中、信号生成器104及び107は、時変信号を電磁放射源102及び106の中に入力する。電磁放射源102及び106は、時変信号を受信し、入力された時変信号に基づいて、基板101に向けてそれぞれ電磁放射L1及びL2を放出する。放射L1は、入射角Θ1で基板101を照射し、部分的に吸収され、部分的に透過され、及び/又は部分的に反射される。同様に、放射L2は、入射角Θ2で基板101を照射し、部分的に吸収され、部分的に透過され、及び/又は部分的に反射される。反射された放射R1及びR2は、高温計110に向けて進む。
【0024】
[0028] 検出器103及び108は、それぞれ、放射L1及びL2に対応する放射L3及びL4を検出する。放射L3は、対応する放射L1と実質的に同じ強度を有するか、又は2つの放射成分の強度は、規定された関連性を有するので、放射L3の強度(検出器103によって測定される)を使用して、放射L1の強度を特定することができる。放射L4及び放射L2は、同様な関係を共有し、検出器108を用いた放射L2の特定を容易にする。
【0025】
[0029] 高温計110は、放射T1、R1、及びR2を組み合わせた合計強度である、電磁放射の合計強度を検出する。したがって、高温計110によって検出される組み合わされた電磁放射の強度(I_SPで示される)は、放射T1の強度I_T1に放射R1の強度I_R1を加えたものに放射R2の強度I_R2を加えたものである。したがって、組み合わされた電磁放射の強度I_SPは、以下のように表される。すなわち、
【0026】
[0030] 基板101の反射率ρは、反射ビーム(例えば、R1)と入射ビーム(例えば、L1)との比として定義される。したがって、基板101の反射率ρは、次のように表される。すなわち、
ここで、ΔL1は、放射L1の最大強度(例えば、図2Aのピーク201)から放射L1の最小強度(例えば、図2Aの202)を減算したものである。同様に、ΔR1は、反射された放射R1の最大強度から反射された放射R1の最小強度を減算したものである。同様に、ΔL2は、放射L2の最大強度(例えば、図2Bのピーク211)から放射L2の最小強度(例えば、図2Bの212)を減算したものである。同様に、ΔRは、反射された放射Rの最大強度から反射された放射Rの最小強度を減算したものである。
【0027】
[0031] 1以上の実施形態では、反射率ρを特定するために、温度測定システム100が、電磁放射源102、106のうちの1つのみを有効にして、電磁放射を放出し、反射された放射を測定することができる。反射率ρは基板101の温度に依存し、基板101の温度の特定を容易にする。
【0028】
[0032] 放出された放射T1の強度(I_T1)は、以下の式によって表される。すなわち、
【0029】
[0033] 上述のように、電磁放射L1及びL2は、それぞれ、対応する電磁放射L3及びL4(例えば、I_L3、I_L4)(それぞれ、電磁放射検出器103、108によってサンプリングされ測定される)と実質的に同じ強度(I_L1、I_L2)を有する。したがって、この等価性により、数式3は次のように書き換えることができる。すなわち、
【0030】
[0034] サンプルの絶対温度Tは、プランクの法則(Plank’s Law)を適用することによって計算され、プランクの法則は、放出された放射T1=Bv(v,T)であり、ここで、絶対温度Tにおける本体からの周波数νのスペクトル放射は、次式によって与えられる。すなわち、
ここで、kBはボルツマン定数であり、hはプランク定数であり、cは物質内であれ真空中であれ媒体中の光速であり、Tは基板101の絶対温度である。プランクの法則の遵守は、一般的に、プランクの法則による理論出力に対する実際の熱放射出力の比として定義される物体の放射率によって媒介される。したがって、プランクの法則を使用して、基板101などの物体の温度を推定することができる。
【0031】
[0035] 上述の一連の方程式は、2つの放射サンプルに基づいて基板101の温度を推定する方法を記述している。しかし、これらの方程式は、以下で更に説明するように、高温計が任意の個数の放射サンプルを受け取る任意の実施形態に拡張することができる。
【0032】
[0036] 図2A図2B、及び図2Cは、本開示の一態様によるパルス列信号の例を示している。時変電力信号の例が、図2A及び図2Bで示されている。時変電力信号(例えば、パルス信号)を使用して、それぞれの新しい基板で実行される較正プロセス中に、図1で示されている基板101などの基板の反射率を測定することができる。内部に温度測定システム(図1に関連して記載された温度測定システムなど)を有する装置に新たな基板が導入されると、各電磁放射源が複数回(例えば、10回)パルス化されて、基板の反射率を特定する。1以上の実施形態では、温度測定システムが、反射率が基板の表面全体にわたり変動する場合に、電磁放射源をパルス化しながら基板を回転させることができる。他の実施形態では、温度測定システムが、パルス化を回転に同期させることができるので、システムは、異なる検出器103及び108を使用して反射率を二重サンプリング(double-sample)する。
【0033】
[0037] 図2Aは、電磁放射源102に印加される信号200を示しており、今度は、電子放射源102が、信号200に従って時変強度を有する電磁放射L1を放出する。図2Bは、電磁放射源106に印加される信号210を示しており、今度は、電磁放射源106が、信号210に従って時変強度を有する電磁放射L2を放出する。信号200は、時間t1の期間においてピーク電圧VL1を有するピーク201を有する時変電圧である。信号210は、それぞれが時間t2の期間においてピーク電圧VL2を有する2つのピーク211を有する時変電圧である。この実施形態では、ピーク201及び211は、時間的に重複しない。図2Cは、電磁放射源102及び106が、それぞれ、信号200及び210に従って動作するときに、高温計110によって受信される例示的な信号220を示している。高温計110は、それぞれの電磁放射源102及び106から生じた反射された放射R1及びR2並びに放出された放射T1を受け取り、T1は、基板101の熱エネルギーによって基板101から生じたものである。受信された信号220は、3つのパルス、すなわち、信号200のピーク201に対応する第1のパルス221、並びに、信号210のピーク211に対応する第2及び第3のパルス222及び223を有する。
【0034】
[0038] 時変電力信号の種々の例が、図3A及び図3Bに示されている。図3Aは、電磁放射源102に印加される信号300を示し、図3Bは、電磁放射源106に供給される信号310を示している。信号300は、時間t1の期間においてピーク電圧VL1を有するピーク301を有する時変電圧である。信号310は、それぞれが時間t2の期間においてピーク電圧VL2を有する2つのピーク311、312を有する時変電圧である。ここで、1つのピーク301は、ピーク311と時間的に重複している。
【0035】
[0039] 図3Cは、電磁放射源102及び106が、それぞれ、信号300及び310に従って動作するときに、高温計110によって受信される例示的な信号320を示している。受信された信号320は、2つのパルス、すなわち、重複したピーク301及び311に対応する第1のパルス321、並びにピーク312に対応する第2のパルス322を有する。第1のパルス321は、高温計110によって同時に受け取られる電磁放射源102及び106の両方からの反射された電磁放射によって生成される。
【0036】
[0040] 再び図1を参照すると、電磁放射源102及び106は、基板101に向けて、それぞれの放出コーン131及び132内の全ての方位角において電磁放射を放出する。電磁放射は、基板101を照射し、対応する反射コーンにおいて異なる波長で変動する量だけ、部分的に吸収され、部分的に透過され、部分的に反射される。特定の範囲の反射角で反射された電磁放射は、高温計110に向けて進み、高温計110によって検出され得る。例えば、明瞭さのために光線追跡手法を使用して、電磁放射源102及び106から対応する放出コーン131及び132において放出された放射L1及びL2は、それぞれ、入射角度Θ1及びΘ2で基板101に入射し、基板101で部分的に反射する。反射された放射R1及びR2は、図1で示されているように、反射エリア133内を高温計110に向けて進み、高温計110によって検出される。高温計110によってサンプリングされる反射エリア133は、それぞれの放出コーン131及び132から基板101によって反射される放射の帯の、高温計110によって見られる方位角によって画定される一部分を含む。入射角Θ1及びΘ2が特定の範囲内にあるとき、反射された放射は、高温計110によって見られる方位角にわたり高温計110によって検出される。
【0037】
[0041] 図4は、図1の温度測定システム100を組み込んだ処理チャンバ400の概略断面を示している。処理チャンバ400は、筐体402、筐体402内に配置された基板支持体404、筐体402に結合された処理モジュール403、複数の電磁放射源405(405‐1、405‐2、405‐3、405‐4、405‐5、及び405‐6)、複数の電磁放射源405に結合された信号生成器407(407‐1、407‐2、407‐3、407‐4、407‐5、及び407‐6)、複数の検出器406(406‐1、406‐2、406‐3、406‐4、406‐5、及び406‐6)、並びに高温計408を特徴として備えている。
【0038】
[0042] 処理モジュール403は、筐体402の中に材料を導入するための1以上の導管411(2つが示されている)を含む。導管411は、ガス又は液体を導入するために使用されてよく、図4で示されているように真っ直ぐであっても、又は任意の所望の程度に曲がりくねっていてもよい。2つの導管411が図4で示されているが、任意の個数を使用することができる。例えば、処理モジュール403は、複数の区域又は経路を有することができるシャワーヘッドを含んでよい。処理モジュール403は、適切な導管を介して、ガスボックス、蒸発器、アンプルなどの任意の所望の供給装置に連結されてよい。
【0039】
[0043] 基板支持体404は、基板支持体404内に埋め込まれた加熱ランプによって加熱される。基板支持体404はまた、基板支持体404上での基板401の静電固定(electrostatic immobilization)を提供するために、例えば、バイアス要素を使用して帯電されてもよい。回転駆動器(図示せず)を基板支持体404に連結して、処理中、処理サイクルの間、又はそれらの両方の間に、回転運動を提供してもよい。基板401が処理中に回転される実施形態では、温度均一性が制御され得るように、基板401が、基板401上の種々の箇所の温度をモニタするために、選択された間隔で精査されてよい。
【0040】
[0044] 各信号生成器407‐1から407‐6は、それぞれの電磁放射源405に結合されている。信号生成器407‐1から407‐6は、それぞれ、時変信号を生成し、その時変信号をそれぞれの電磁放射源405に印加する。電磁放射源405‐1から405‐6は、基板401に向けて電磁放射L1からL6を放出する。複数の電磁放射源405‐1から405‐6は、基板401に熱エネルギーを提供するための熱源であってよい。
【0041】
[0045] 各検出器406‐1から406‐6は、電磁放射L1からL6に対応する電磁放射L1aからL6aを検出するために、それぞれの電磁放射源405‐1から405‐6に隣接して配置され、L1からL6は、基板401で部分的に反射され、高温計408によって受け取られる。各電磁放射検出器406‐1から406‐6の一部分は、それぞれの電磁放射源405‐1から405‐6の放出要素に対して見通し線内に配置される。電磁放射検出器406‐1から406‐6は、それぞれのサンプリングレートで放射ビームL1aからL6aをサンプリングするためのサポート回路を含む。
【0042】
[0046] 処理チャンバ400は、それぞれが対応する信号生成器407及び電磁放射検出器406を有する任意の数の発生源405を含んでよい。
【0043】
[0047] 高温計408は、基板401から高温計408に向けて伝播する電磁放射を検出する。高温計408によって検出される放射は、基板401から放出された放射T1と、反射された放射R1~R6とを含む。
【0044】
[0048] 動作では、処理チャンバ400が、図1に関して上述されたのと同様のやり方で基板401の温度を推定する。ここで、処理チャンバ400は、六(6)つの電磁放射源405‐1~405‐6及び検出器406‐1~406‐6を含むが、任意の数の発生源及び検出器を使用することができる。かかる実施形態では、高温計408が、放射の強度I_SPを以下のように返す。I_SPは、任意の数の電磁放射源から生じ、基板401から反射された電磁放射、及び基板401から放出された電磁放射T1を含む。すなわち、
【0045】
[0049] 図2A図3Cに関連して上述したように特定され得る反射率ρの定義に基づいて、数式6は次のように書き換えることができる。すなわち、
【0046】
[0050] 各電磁放射L1、L2、L3、… Lnは、電磁放射検出器406によってサンプリングされる対応する電磁放射L1a、L2a、L3a、… Lnaと実質的に同じ強度を有する。したがって、数式7は、次のように書き換えることができる。すなわち、
したがって、放出された電磁放射の強度I_T1は、高温計408によって返された全放射の強度I_SPから、特定された反射率ρ及び検出器406によって検出された入射電磁放射I_Liaに基づいて、反射された放射の強度
を減算することによって計算される。次いで、基板401の温度は、図1に関連して説明されたように、放出された電磁放射T1の強度I_T1にプランクの法則を適用することによって推定される。
【0047】
[0051] 電磁放射源、検出器、及び高温計は、基板401の下方に設置されるように図4で示されている。しかし、これらの構成要素は、基板401の上方の箇所などの、処理チャンバ400内の任意の都合のよい箇所に配置することができる。
【0048】
[0052] 処理チャンバ400は、プラズマCVDチャンバ、高密度プラズマCVDチャンバ、低圧CVDチャンバ、減圧CVDチャンバ、又は大気圧CVDチャンバのような化学気相堆積(CVD)チャンバであってよい。他の実施形態では、処理チャンバ400はまた、PVDチャンバ、エッチングチャンバ(熱又はプラズマ)、エピタキシチャンバ、アニールチャンバ、又は温度モニタが有用であり得る任意の他の処理チャンバであってよい。処理チャンバ400の例としては、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているAKT(登録商標)PECVDチャンバ、PRODUCER(商標)チャンバ、及びPRECISION 5000(登録商標)チャンバなどのCVDチャンバを挙げることができる。
【0049】
[0053] コントローラ420は、図1のコントローラと実質的に同一であってよい。コントローラ420は、高温計408及びその関連回路に結合されてよく、高温計408によって受け取られたデータをモニタし、そのデータを処理して基板401の温度を推定することができる。
【0050】
[0054] 1以上の実施形態では、処理チャンバ400が、基板401の複数の位置で温度を検出するための複数の高温計408を含んでよい。複数の高温計408からの温度表示を用いることにより、基板401の温度不均一性を検出することができ、基板401の温度均一性を向上させることができる。
【0051】
[0055] 他の実施形態では、複数の基板が、処理チャンバ400内で同時に処理されるように基板支持体404上に配置され、複数の高温計が設けられて、1以上の高温計が各基板に対応してもよい。
【0052】
[0056] 図5は、本発明の態様に従って基板温度を推定する例示的な一方法のフローチャート500である。
【0053】
[0057] 動作502では、信号生成器を使用して、電磁放射源向けに時変電力のパルス信号を生成する。信号生成器は、種々の周期性、パルス形状(例えば、正弦波パルス又は三角波パルス)、パルスパターン、及び/又は振幅を有する様々な波形を生成することができる。2つ以上の電磁放射源を使用することができ、各電磁放射源は、それぞれの信号生成器を含む。
【0054】
[0058] 動作504では、電磁放射源が、信号生成器からの信号に従って基板に向けて電磁放射を放出する。複数の電磁放射源が使用される事例では、各発生源が、対応する信号生成器からの信号に従って放出する。
【0055】
[0059] 動作506では、検出器が、電磁放射源によって放出される放射を含む電磁放射を検出する。1以上の実施形態では、各検出器のプローブヘッドが、対応する電磁放射源の放出要素に対して見通し線内に配置される。放出された電磁放射は、全ての角度において実質的に一定の強度を有する。1以上の実施形態では、検出器のプローブヘッドを、電磁放射源の放出コーンの円錐面に整列させることができる。複数の電磁放射源が使用される事例では、各発生源が、対応する検出器を有する。
【0056】
[0060] 動作508では、高温計が、基板から放出及び/又は反射された電磁放射の強度を検出する。高温計で受け取られる電磁放射には、基板から放出された熱電磁放射、及び基板から反射された電磁放射が含まれる。
【0057】
[0061] 動作510では、コントローラが、高温計によって受け取られた電磁放射の全強度から、サンプリングされた電磁放射の強度の合計を減算して、放出された強度を得ることによって、放出された電磁放射(図1のT1)の強度を特定する。コントローラは、更に、上述のように特定された放出された電磁放射の強度にプランクの法則を適用することによって、基板の温度Tを推定する。
【0058】
[0062] 本開示の実施形態は、以下の段落のうちの任意の1以上に更に関する。
【0059】
[0063] 1.温度を推定するための装置であって、反射面に向けて電磁放射を放出するように配置された複数の電磁放射源、複数の電磁放射検出器であって、各電磁放射検出器が、複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された電磁放射をサンプリングするように配置された、複数の電磁放射検出器、複数の電磁放射源から生じ、反射面から反射された電磁放射を受け取るように配置された高温計、及び、高温計によって及び電磁放射検出器によって受け取られた電磁放射に基づいて、温度を推定するように構成されたプロセッサを備える、装置。
【0060】
[0064] 2.温度を推定するための装置であって、反射面に向けて電磁放射を放出するように配置された複数の電磁放射源であって、各電磁放射源が、放出コーンにおいて電磁放射を放出するように構成された、複数の電磁放射源、複数の電磁放射検出器であって、各電磁放射検出器が、複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された電磁放射をサンプリングするように配置された、複数の電磁放射検出器、複数の電磁放射源から生じ、反射面から反射された電磁放射を受け取るように配置された高温計、及び、高温計によって及び電磁放射検出器によって受け取られた電磁放射に基づいて、温度を推定するように構成されたプロセッサを備える、装置。
【0061】
[0065] 3.温度を推定する方法であって、複数の電磁放射源のそれぞれによって、基板に向けて電磁放射を放出すること、複数の電磁放射検出器のそれぞれによって、複数の電磁放射源のうちの対応する電磁放射源によって放出された電磁放射をサンプリングすること、高温計によって、基板から反射された電磁放射及び基板によって放出された電磁放射を受け取ること、並びに、プロセッサを使用して、基板によって放出された電磁放射に基づいて、基板の温度を推定することを含む、方法。
【0062】
[0066] 4.各電磁放射検出器が、対応する電磁放射源の放出要素に対して見通し線内に配置されたプローブヘッドを含む、段落1から3のいずれか1つに記載の装置又は方法。
【0063】
[0067] 5.各電磁放射源が、反射面に向けて放出コーンにおいて電磁放射を放出するように構成され、放出コーンにおいて第1の角度にある電磁放射の一部分が、反射面から反射され、次いで、高温計によって受け取られる、段落4に記載の装置又は方法。
【0064】
[0068] 6.各電磁放射検出器のプローブヘッドが、放出コーンの円錐面に整列するように湾曲しており、放出コーンにおいて第2の角度にある電磁放射をサンプリングするように構成されている、段落5に記載の装置又は方法。
【0065】
[0069] 7.放出コーンにおいて第1の角度にある電磁放射の一部分は、放出コーンにおいて第2の角度にある電磁放射の別の一部分と実質的に同じ強度を有する、段落6に記載の装置又は方法。
【0066】
[0070] 8.プロセッサは、高温計によって受け取られた電磁放射の強度、及び、電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の強度を受け取り、電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の強度から反射面から反射された放射の強度を特定し、高温計によって受け取られた電磁放射から反射された放射の強度を減算して、温度を推定するように構成されている、段落1から7のいずれか1つに記載の装置又は方法。
【0067】
[0071] 9.反射面から反射された放射の強度は、電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の強度に、反射面における既知の反射率を適用することによって特定される、段落8に記載の装置又は方法。
【0068】
[0072] 10.反射率は、電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の最大強度から電磁放射検出器によってサンプリングされた電磁放射の最小強度を減算することによって第1の量を計算すること、高温計によって検出された電磁放射の最大強度から高温計によって検出された電磁放射の最小強度を減算することによって第2の量を計算すること、及び第1の量と第2の量との比を計算することによって特定される、段落9に記載の装置又は方法。
【0069】
[0073] 11.温度は、高温計によって受け取られた電磁放射の強度と反射面から反射された電磁放射の強度との差にプランクの法則を適用することによって推定される、段落1から10のいずれか1つに記載の装置又は方法。
【0070】
[0074] 12.各電磁放射検出器は、対応する電磁放射源の放出要素に対して見通し線内に配置されたプローブヘッドを含む、段落11に記載の装置又は方法。
【0071】
[0075] 13.各電磁放射源は、基板に向けて放出コーンにおいて電磁放射を放出し、放出コーンにおいて第1の角度にある電磁放射の一部分が、反射面から反射され、次いで、高温計によって受け取られる、段落12に記載の装置又は方法。
【0072】
[0076] 14.各電磁放射検出器のプローブヘッドは、放出コーンの円錐面に整列するように湾曲しており、放出コーンにおいて第2の角度にある電磁放射をサンプリングするように構成されている、段落13に記載の装置又は方法。
【0073】
[0077] 15.放出コーンにおいて第1の角度にある電磁放射は、放出コーンにおいて第2の角度にある電磁放射と実質的に同じ強度を有する、段落14に記載の装置又は方法。
【0074】
[0078] 16.高温計によって受け取られた電磁放射から、基板から反射された電磁放射を減算することによって、基板によって放出された電磁放射を特定することを更に含む、段落15に記載の装置又は方法。
【0075】
[0079] 17.各電磁放射源によってサンプリングされた電磁放射の強度に、基板の既知の反射率を乗算すること、その結果を合計すること、及びその合計を高温計によって受け取られた電磁放射の強度から減算することによって、基板によって放出された電磁放射の強度を計算することを更に含む、段落16に記載の装置又は方法。
【0076】
[0080] 18.基板の反射率が、反射された電磁放射の強度と入射電磁放射の強度との比である、段落17に記載の装置又は方法。
【0077】
[0081] 19.基板の反射率は、電磁放射源によって放出された電磁放射の最大強度マイナス最小強度を、電磁放射源によって放出され、反射面から反射された電磁放射の最大強度マイナス最小強度で除算することによって計算される、段落17に記載の装置又は方法。
【0078】
[0082] 20.基板によって放出された電磁放射にプランクの法則を適用することによって、基板の温度を推定することを更に含む、段落1から19のいずれか1つに記載の装置又は方法。
【0079】
[0083] 前述の説明は、当業者が本明細書で説明された様々な実施形態を実施することを可能にするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の実施形態に適用されてもよい。例えば、開示の範囲から逸脱することなく、説明された要素の機能及び配置に変更を加えることができる。様々な例は、必要に応じて、様々な手順若しくは構成要素を省略、置換、又は追加することができる。また、幾つかの例に関して説明した特徴は、幾つかの他の例において組み合わせることができる。例えば、ここに述べられた態様を幾らでも使用して、装置が実装されてよく又は方法が実施されてよい。加えて、本開示の範囲は、本明細書で説明される本開示の様々な態様に加えて、又はそれ以外の、他の構造、機能、若しくは構造及び機能を使用して実施されるそのような装置又は方法をカバーすることが意図されている。本明細書で開示された開示の任意の態様は、請求項の1以上の要素によって実施され得ることを理解されたい。
【0080】
[0084] 本明細書で使用される「例示的な(exemplary)」という語は、「実施例、実例、又は例示として役立つ」ことを意味する。「例示的な」として本明細書で説明される任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0081】
[0085] 本明細書で使用されるように、「特定すること、決定すること(determining)」という用語は、多種多様な活動を包含する。例えば、「特定すること、決定すること」は、計算すること、算出すること、処理すること、導出すること、調査すること、調べること(例えば、表、データベース、又は別のデータ構造を調べること)、確認することなどを含んでよい。また、「特定すること、決定すること」は、受け取ること(例えば、情報を受け取ること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)なども含んでよい。また、「特定すること、決定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、規定することなども含んでよい。
【0082】
[0086] 本明細書で開示される方法は、方法を実現するための1以上の動作又は活動を含む。方法の動作及び/又は活動は、特許請求の範囲又は開示の範囲から逸脱することなく、相互に交換することができる。言い換えると、具体的な動作又は活動の順序が特定されない限り、特定の動作及び/又は活動の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更することができる。
【0083】
[0087] 以下の特許請求の範囲は、本明細書で示されている実施形態に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の言語と一貫する完全な範囲が与えられるべきである。請求項において、単数形の要素への言及は、具体的に言及されない限り、「1個のみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1個以上」を意味するものである。特に言及されない限り、「幾つかの(some)」という用語は、1個以上を意味する。当業者に知られている、又は後に知られるようになる、本開示全体にわたって説明される様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、参照によって本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。更に、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、一般向け専用であることを意図するものではない。
【0084】
[0088] 以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5