(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-08
(45)【発行日】2023-05-16
(54)【発明の名称】1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロアルカン及びそれから製造される緻密有機シリカ膜
(51)【国際特許分類】
H01L 21/312 20060101AFI20230509BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L21/312 C
C23C16/42
(21)【出願番号】P 2021529866
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 US2019063264
(87)【国際公開番号】W WO2020112782
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-21
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ロバート エントレー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー リン アン アチタイル
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ニコラス バーティス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ゴードン リッジウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シンチアン レイ
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-005001(JP,A)
【文献】特表2005-524983(JP,A)
【文献】特開2007-221039(JP,A)
【文献】特開2016-042576(JP,A)
【文献】特表2008-511987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/312
C23C 16/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善された機械特性を有する緻密有機シリカ膜を製造するための方法であって、
反応チャンバー中に基材を提供する工程;
前記反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンからなる群から選択される1つ又は複数を含むガス状組成物を導入する工程;並びに
前記反応チャンバー中で前記ガス状組成物にエネルギーを適用して、前記ガス状組成物の反応を誘起して、それによって前記基材に有機シリカ膜を堆積する工程であって、前記有機シリカ膜が2.80~3.00の誘電率と、11~18GPaの弾性率とを有する適用工程
を含む方法。
【請求項2】
前記ガス状組成物が硬化添加剤を有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化学気相堆積方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プラズマ強化化学気相堆積方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス状組成物が、O
2、N
2O、NO、NO
2、CO
2、水、H
2O
2、オゾン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス状組成物がO
2を含み、かつ前記ガス状組成物の反応の間に32sccm以下の速度で導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ガス状組成物が酸化剤を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記適用工程における前記反応チャンバーが、He、Ar、N
2、Kr、Xe、CO
2及びCOからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有機シリカ膜が632nmにおいて1.44~1.49の屈折率(RI)と、XPSによって測定した場合に25at%~31at%の炭素とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記有機シリカ膜が41nm/min~80nm/minの速度で堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記有機シリカ膜が17~19のSiCH
2Si/SiO
X×10
4のIR比を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
改善された機械特性を有する緻密有機シリカ膜を製造するための方法であって、
反応チャンバー中に基材を提供する工程;
前記反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンからなる群から選択される1つ又は複数を含むガス状組成物を導入する工程;並びに
前記反応チャンバー中で前記ガス状組成物にエネルギーを適用して、前記ガス状組成物の反応を誘起して、それによって前記基材に有機シリカ膜を堆積する工程であって、前記有機シリカ膜が2.80~3.10の誘電率と、11~20GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に12~31at%の炭素とを有する適用工程
を含む方法。
【請求項13】
前記ガス状組成物が硬化添加剤を有しない、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
化学気相堆積方法である、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
プラズマ強化化学気相堆積方法である、請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
前記ガス状組成物が、O
2、N
2O、NO、NO
2、CO
2、水、H
2O
2、オゾン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
前記ガス状組成物がO
2を含み、かつ前記ガス状組成物の反応の間に32sccm以下の速度で導入される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガス状組成物が酸化剤を含まない、請求項
12に記載の方法。
【請求項19】
前記適用工程における前記反応チャンバーが、He、Ar、N
2、Kr、Xe、CO
2及びCOからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項20】
前記有機シリカ膜が632nmにおいて1.443~1.488の屈折率(RI)を有する、請求項
12に記載の方法。
【請求項21】
前記有機シリカ膜が41nm/min~80nm/minの速度で堆積される、請求項
12に記載の方法。
【請求項22】
前記有機シリカ膜が17~19のSiCH
2Si/SiO
X×10
4のIR比を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
改善された機械特性を有する緻密有機シリカ膜を製造するための方法であって、
反応チャンバー中に基材を提供する工程;
前記反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物を導入する工程;及び
前記反応チャンバー中で前記ガス状組成物にエネルギーを適用して、前記ガス状組成物の反応を誘起して、それによって前記基材に有機シリカ膜を堆積する工程であって、前記有機シリカ膜が2.70~3.20の誘電率と、11~25GPaの弾性率とを有する適用工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2018年11月27日に提出された米国仮特許出願第62/771933号及び2019年7月26日に提出された仮特許出願第62/878850号の通常の特許出願であり、それらの全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
膜に対する前駆体として1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンからなる群から選択される1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロアルカンを使用する、緻密有機シリカ誘電体膜の形成のための組成物及び方法が本明細書において説明される。より具体的には、k≧2.7の誘電率を有する緻密膜を形成するための組成物及びプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)方法が本明細書において説明されていて、膜は、従来の前駆体から製造される膜と比較した場合に、高い弾性率と、プラズマ誘起損傷に対する優れた抵抗性とを有する。
【0003】
エレクトロニクス産業は、集積回路(IC)及び関連するエレクトロニクス装置の回路と構成要素との間に、絶縁層として誘電材料を利用する。マイクロエレクトロニクス装置(例えばコンピュータチップ)の速度及びメモリ記憶容量を増加させるために、ライン寸法は減少される。ライン寸法が減少するにつれて、層間絶縁膜(ILD)のための絶縁要求が、非常に、より厳格になっている。間隔を縮めることは、RC時定数を最小化するように、より低い誘電率を必要とし、Rは導電ラインの抵抗であり、Cは絶縁誘電体中間層の静電容量である。静電容量(C)は間隔に反比例し、層間絶縁膜(ILD)の誘電率(k)に比例する。SiH4又はTEOS(Si(OCH2CH3)4、テトラエチルオルトシリケート)及びO2から製造される従来のシリカ(SiO2)CVD誘電体膜は、4.0より大きい誘電率kを有する。この産業分野において、より低い誘電率を有するシリカベースのCVD膜を製造するために試みられてきた幾つかの方法が存在し、約2.7~約3.5の誘電率を提供する有機基による、絶縁酸化ケイ素膜のドープが最も成功している。典型的には、この有機シリカガラスは、例えばメチルシラン又はシロキサンなどのケイ素前駆体と、例えばO2又はN2Oなどの酸化剤とから、緻密膜(密度~1.5g/cm3)として堆積される。本明細書において、有機シリカガラスはOSGといわれる。
【0004】
低誘電率(low-k)膜におけるプラズマ又はプロセス誘起損傷(PID)は、プラズマ照射の間の、特にエッチング及びフォトレジスト剥離プロセスの間の、膜からの炭素の除去によって引き起こされる。このことは、プラズマ損傷領域を疎水性から親水性に変える。親水性のSiO2に似た損傷層の、希釈のHFベースの湿式化学の後プラズマ処理(界面活性剤などの添加剤を伴う又は伴わない)への暴露は、この層の急速な溶解をもたらす。パターン付けされた低誘電率ウエハにおいて、このことは外形侵食を引き起こす。低誘電率膜におけるプロセス誘起損傷及び引き起こされた外形侵食は、ULSI相互接続において低誘電率材料を組み込む際に、装置製造者が克服しなければならない重大な問題である。
【0005】
向上された機械特性(より高い弾性率、より高い硬度)を有する膜は、パターン付けされた特徴におけるラインエッジ粗さを減少させ、パターン崩壊を減少させ、より大きい相互接続における内部の機械的応力を提供し、エレクトロマイグレーションによる欠陥を減少させる。従って、PIDに対する優れた抵抗と、所与の誘電率における可能な限り高い機械特性とを有する低誘電率膜のための要求が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書において説明される方法及び組成物は、上で説明される1つ又は複数の要求を満たす。1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタン前駆体を使用して、約2.70~約3.20のk値を有する緻密低誘電率膜を堆積することができ、このような膜は、予想外に高い弾性率/硬度、及びプラズマ誘起損傷に対して予想外に高い抵抗を示す。
【0007】
1つの態様において、本開示は、改善された機械特性を有する緻密有機シリカ膜を製造するための方法であって、反応チャンバー中に基材を提供する工程;反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタンを含むガス状組成物を導入する工程;及び反応チャンバー中でガス状組成物にエネルギーを適用して、ガス状組成物の反応を誘起して、それによって基材に有機ケイ素膜を堆積する工程であって、有機シリカ膜が、2.70~3.20の誘電率と、11~25GPaの弾性率とを有する適用工程を含む方法を提供する。
【0008】
別の態様において、本開示は、改善された機械特性を有する緻密有機シリカ膜を製造するための方法であって、反応チャンバー中に基材を提供する工程;反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物を導入する工程;並びに反応チャンバー中でガス状組成物にエネルギーを適用して、ガス状組成物の反応を誘起して、それによって基材に有機シリカ膜を堆積する工程であって、有機シリカ膜が2.70~3.2の誘電率と、11~25GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に12~31at%の炭素とを有する適用工程を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】前駆体として1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン(MIPSCP)を使用して堆積された緻密低誘電率膜の範囲を調査するための実験計画(DOE)方法を要約した表である。
【
図2】比較のために前駆体として1-メチル-1-エトキシ-シラシクロペンタン(MESCP)を使用して堆積された緻密低誘電率膜の範囲を調査するための実験計画(DOE)方法を要約した表である。
【
図3】前駆体としてMIPSCP及びMESCPを用いて堆積された緻密低誘電率有機シリカ膜の物理特性及び機械特性を比較した表であり、両方の膜は約2.90の誘電率kを示す。
【
図4】前駆体としてMIPSCP及びMESCPを用いて堆積された緻密低誘電率有機シリカ膜の物理特性及び機械特性を比較した表であり、両方の膜は約3.00の誘電率kを示す。
【
図5】希釈HF(300:1)における、室温での、300秒の間の厚さ損失によって測定した場合の、MIPSCP及びMESCP膜のプラズマ誘起損傷に対する抵抗を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
改善された機械特性を有する緻密有機シリカ膜を製造するための化学気相堆積方法であって、反応チャンバー中に基材を提供する工程;反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物を導入する工程;並びに反応チャンバー中で1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物にエネルギーを適用して、1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物の反応を誘起して、それによって基材に有機シリカ膜を堆積する工程であって、有機シリカ膜が2.70~3.20の誘電率と、11~25GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に12~31at%の炭素とを、好ましくは2.80~3.00の誘電率と、11~18GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に12~31at%の炭素とを有する適用工程を含む方法が、本明細書において説明されている。
【0011】
改善された機械特性を有する緻密有機シリカ膜を製造するための方法であって、反応チャンバー中に基材を提供する工程;反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物を導入する工程;並びに反応チャンバー中で1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物にエネルギーを適用して、1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物の反応を誘起して、基材に有機シリカ膜を堆積する工程であって、有機シリカ膜が2.70~3.20の誘電率と、11~25GPaの弾性率とを有する適用工程を含む方法もまた、本明細書において説明されている。
【0012】
1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンは、緻密有機シリカ膜についての比較的低い誘電率を達成することと、従来技術の構造形成前駆体、例えばジエトキシメチルシラン(DEMS(登録商標))及び1-メチル-1-エトキシ-シラシクロペンタン(MESCAP)と比較して、驚くべきことに優れた機械特性を示すこととを可能とするユニークな性質を提供する。
【0013】
低誘電率誘電体膜は、有機シリカガラス(OSG)膜又は材料である。例えば、低誘電率材料として、エレクトロニクス産業においては有機シリケートが用いられる。材料特性は、膜の化学組成及び構造に依存する。有機ケイ素前駆体の種類は膜の構造及び組成に対する強い影響を有するため、所望の誘電率を達成するために必要な量のポロシティの付加が機械的に健全でない膜を製造しないことを確実にするのに要求される膜特性を提供する前駆体を使用することは有益である。本明細書において説明される方法及び組成物は、電気的特性及び機械特性の望ましいバランス、並びに他の有益な膜特性、例えば改善された集積体プラズマ抵抗を提供する高い炭素含有量を有する低誘電率誘電体膜を生成する手段を提供する。
【0014】
本明細書において説明される方法及び組成物の特定の実施態様において、ケイ素含有誘電体材料の層は、基材の少なくとも一部に、反応チャンバーを用いる化学気相堆積(CVD)プロセスを介して堆積される。従って、方法は、反応チャンバー中に基材を提供する工程を含む。適した基材は、例えばヒ化ガリウム(GaAs)、ケイ素、及び結晶性シリコン、ポリシリコン、非晶質シリコン、エピタキシャルシリコン、二酸化ケイ素(SiO2)、シリコンガラス、窒化ケイ素、溶融シリカ、ガラス、クオーツ、ボロシリケートガラスなどのシリコンを含有する組成物などの半導体材料、並びにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。他の適した材料は、クロム、モリブデン、並びに半導体、集積回路、フラットパネルディスプレイ及びフレキシブルディスプレイ用途において通常用いられる他の金属を含む。基材は、さらなる層を、例えばケイ素、SiO2、有機シリケートガラス(OSG)、フッ素化されたシリケートガラス(FSG)、炭窒化ホウ素、炭化ケイ素、水素化された炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化された窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化された炭窒化ケイ素、窒化ホウ素、有機-無機複合材料、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔性の有機及び無機材料及び複合物、酸化アルミニウム及び酸化ゲルマニウムなどの金属酸化物を有してよい。さらに、さらなる層は、ゲルマノシリケート、アルミノシリケート、銅及びアルミニウム、並びに拡散バリア材料、例えばTiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W又はWNであってもよいが、それらに限定されない。
【0015】
典型的には、反応チャンバーは、例えば熱CVD若しくはプラズマ強化CVD反応器、又はバッチ炉式反応器である。1つの実施態様において、液体輸送システムを利用することができる。液体輸送配合物において、本明細書において説明される前駆体は、原液の形態で輸送されるか、又は代わりにそれを含む溶媒配合物若しくは組成物で用いることができる。従って、特定の実施態様において、前駆体配合物は、所与の最終使用用途において基材に膜を形成するのに望ましく、かつ有利である場合がある適した特徴の溶媒成分を含んでよい。
【0016】
本明細書において説明される方法は、反応チャンバー中に1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物を導入する工程を含む。幾つかの実施態様において、組成物は、さらなる反応体、例えば酸素含有種、例えばO2、O3及びN2O、ガス状又は液体の有機物質、CO2又はCOを含んでよい。1つの特定の実施態様において、反応チャンバー中に導入される反応混合物は、O2、N2O、NO、NO2、CO2、水、H2O2、オゾン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む。代わりの実施態様において、反応混合物は酸化剤を含まない。
【0017】
本明細書において説明される誘電体膜を堆積するための組成物は、約50~約100wt%の1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含む。
【0018】
実施態様において、1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物は、添加剤、例えば硬化添加剤を、実質的に有しないか、又は有しない。
【0019】
実施態様において、1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物は、ハロゲン化物、例えば塩化物を、実質的に有しないか、又は有しない。
【0020】
1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンに加えて、堆積反応の前、間及び/又は後に、さらなる材料を反応チャンバー中に導入することができる。このような材料は、例えば不活性ガス(例えばHe、Ar、N2、Kr、Xeなど)を含み、それらは、より低揮発性の前駆体のためのキャリアガスとして用いることができるか、及び/又は堆積ままの材料の硬化を促進することができ、より安定な最終膜を提供する。
【0021】
1-メチル-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含む用いられる任意の反応剤は、異なる供給源とは分離して、又は混合物として、反応器中に運び入れることができる。反応剤は、任意の多くの手段によって、好ましくは、適したバルブを有し、かつ反応チャンバーへの液体の輸送を可能とするのに適している加圧可能なステンレス鋼容器を使用することによって、反応器システムに輸送することができる。好ましくは、前駆体は、ガスとして反応チャンバー中に輸送される、すなわち、前駆体が反応チャンバー中に輸送される前に、液体は気化されなければならない。
【0022】
本明細書において開示される方法は、反応チャンバー中で1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物にエネルギーを適用して、1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンを含むガス状組成物の反応を誘起して、基材に有機シリカ膜を堆積する工程であって、有機シリカ膜が、幾つかの実施態様においては2.70~3.20の、他の実施態様においては2.70~3.00の、さらに好ましい実施態様においては2.80~3.00の誘電率と、11~25GPaの、好ましくは11~18GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に12~31at%の炭素とを有する適用工程を含む。1つの実施態様において、有機シリカ膜は、約3.2の誘電率と、約25GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に約14at%の炭素とを有する。ガス状反応剤にエネルギーが適用されて、1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン及び/又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタン、存在する場合には、並びに他の反応体、を誘起して、反応させて基材に膜を形成する。このようなエネルギーは、例えばプラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、リモートプラズマ、熱フィラメント及び熱的(すなわち非フィラメントの)方法によって提供することができる。二次無線周波数源を使用して、基材表面におけるプラズマ特徴を改質することができる。好ましくは、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によって膜が形成される。
【0023】
ガス状反応剤のそれぞれについての流速は、1つの300mmウエハについて、好ましくは10~5000sccm、より好ましくは30~1000sccmである。膜において所望の量の構造形成剤を提供するために、個別の速度が選択される。必要とされる実際の流速は、ウエハサイズ及びチャンバー構成に応じて変えることができ、決して、300mmウエハ又は1つのウエハチャンバーに限定されるものではない。
【0024】
特定の実施態様において、膜は、約41~80ナノメートル(nm)毎分の堆積速度で堆積される。他の実施態様において、膜は、約30~200ナノメートル(nm)毎分の堆積速度で堆積される。
【0025】
典型的には、堆積の間の反応チャンバーにおける圧力は、約0.01~約600torr又は約1~15torrである。
【0026】
好ましくは、膜は、0.05~500ミクロンの厚さに堆積されるが、厚さは要求に応じて変えることができる。パターン付けされていない表面に堆積された全体的な膜は、妥当なエッジエクスクルージョンで(例えば5mmの基材の最外部エッジは均一性の統計的計算に含めない)、基材にわたって、1標準偏差に対して3%より小さい厚さの変化である優れた均一性を有する。
【0027】
進歩的なOSG製品に加えて、本発明は、その製品が製造されるプロセス、その製品及び化合物を使用する方法、並びにその製品を調製するために有用な組成物を含む。例えば、半導体装置に対する集積回路を製造するためのプロセスは、米国特許第6583049号明細書において開示されていて、その文献は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0028】
開示される方法によって製造される緻密有機シリカ膜は、後に続く実施例においてより詳細に例示されるように、特にエッチング及びフォトレジスト剥離プロセスの間に、プラズマ誘起損傷に対する優れた抵抗を示す。
【0029】
開示される方法によって製造される緻密有機シリカ膜は、所与の誘電率について、同じ誘電率を有するが1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン又は1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロブタンではない前駆体から製造された緻密有機シリカ膜に対して、優れた機械特性を示す。典型的には、(堆積ままの)得られた有機シリカ膜は、幾つかの実施態様においては2.70~3.20の、他の実施態様においては2.80~3.10の、さらに他の実施態様においては2.70~3.00の誘電率と、11~25GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に12~31at%の炭素とを有する。他の実施態様において、得られた有機ケイ素膜は2.70~3.20の、他の実施態様において2.80~3.10の、さらに他の実施態様において2.80~3.00の誘電率と、11~25GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に12~31at%の炭素とを有する。1つの実施態様において、得られた有機シリカ膜は3.20の誘電率と、約25GPaの弾性率と、XPSによって測定した場合に約14at%の炭素とを有する。
【0030】
得られた緻密有機シリカ膜はまた、一度堆積された後に、後処理プロセスを受けることができる。従って、本明細書において使用される用語「後処理」は、エネルギー(例えば熱、プラズマ、フォトン、電子、マイクロ波など)又は化学物質を用いて膜を処理して材料特性をさらに高めることを表す。
【0031】
後処理がされる条件は、大幅に変えることができる。例えば、後処理は、高い圧力の下で、又は真空雰囲気の下で行うことができる。
【0032】
UVアニールは、以下の条件のもとで行われる好ましい方法である。
【0033】
環境は、不活性(例えば窒素、CO2、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)など)、酸化性(例えば酸素、空気、希薄酸素環境、濃化された酸素環境、オゾン、亜酸化窒素など)又は還元性(希薄の又は濃化された水素、炭化水素(飽和、不飽和、直鎖若しくは分岐鎖、芳香族)など)であってよい。好ましくは、圧力は約1Torr~約1000Torrである。しかし、真空雰囲気が、熱アニール並びに任意の他の後処理手段のために好ましい。好ましくは、温度は200~500℃であり、温度傾斜率は0.1~100℃/minである。好ましくは、合計のUVアニール時間は0.01min~12時間である。
【0034】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より詳細に例示されるが、本発明がそれらに限定されるとみなされるとは理解されるべきでない。
【実施例】
【0035】
全ての実験を、同時に2つのウエハに膜を堆積する300mm AMAT Producer SEにおいて行った。従って、
図2~6における前駆体及びガス流速は、同時に2つのウエハに膜を堆積するのに必要とされる流速に対応する。それぞれのウエハ処理ステーションがそれ自体の独立の無線周波数(RF)電力供給を有するとき、
図1~4におけるウエハ毎の無線周波数(RF)電力は妥当である。
【0036】
比較例1:実験計画(DOE)方法を使用して、前駆体として1-メチル-1-エトキシ-シラシクロペンタン(MESCAP)を使用して堆積することができた低誘電率膜の範囲を調査した。固定したプロセスパラメータは、400℃の温度;1500sccmのHeキャリア流;7.5torrの圧力;380ミルの電極間隔を含んでいた。独立変数はRF電力(13.56MHz)、O
2流速(sccm)及びMESCAP(mg/min)であった。独立変数の範囲は215~415WのRF電力;25~125sccmのO
2流;2.0~3.3g/minのMESCAP流を含んでいた。設計した従属変数は堆積速度(nm/min)、RI(632nm)、堆積ままの非均一性(%)、誘電率、機械特性(弾性率及び硬度、GPa)、XPSによって決定した炭素含有量(at%)、並びに赤外分光法によって決定したSiO
X網目構造中の様々な種の濃度を含んでいた。SiO
X網目構造中の様々な種の濃度は、合計の末端シリコンメチル濃度(Si(CH
3)
X/SiO
X×10
2)、Si(CH
3)
1に寄与するシリコンメチル濃度(Si(CH
3)
1/SiO
X×10
3)、Si(CH
3)CH
2Siに寄与するシリコンメチル濃度(Si(CH
3)CH
2Si/SiO
X×10
3)、ジシリルメチレンブリッジ濃度(SiCH
2Si/SiO
X×10
4)、及び合計の末端シリコンメチル濃度に寄与するSi(CH
3)CH
2Siの割合を含んでいた。MESCAPベースの膜についてのDOE結果の要約を
図2に与える。
【0037】
例2:実験計画(DOE)方法を使用して、前駆体として1-メチル-1-イソ-プロポキシ-シラシクロペンタン(MIPSCP)を使用して堆積することができた低誘電率膜の範囲を調査した。固定したプロセスパラメータは、400℃の温度;1500sccmのHeキャリア流;7.5torrの圧力;380ミルの電極間隔を含んでいた。独立変数はRF電力(13.56MHz)、O
2流速(sccm)及びMIPSCP(mg/min)であった。独立変数の範囲は215~415WのRF電力;25~125sccmのO
2流;2.0~3.3g/minのMIPSCP流を含んでいた。設計した従属変数は堆積速度(nm/min)、RI(632nm)、堆積ままの非均一性(%)、誘電率、機械特性(弾性率及び硬度、GPa)、XPSによって決定した炭素含有量(at%)、並びに赤外分光法によって決定したSiO
X網目構造中の様々な種の濃度を含んでいた。SiO
X網目構造中の様々な種の濃度は、合計の末端シリコンメチル濃度(Si(CH
3)
X/SiO
X×10
2)、Si(CH
3)
1に寄与するシリコンメチル濃度(Si(CH
3)
1/SiO
X×10
3)、Si(CH
3)CH
2Siに寄与するシリコンメチル濃度(Si(CH
3)CH
2Si/SiO
X×10
3)、ジシリルメチレンブリッジ濃度(SiCH
2Si/SiO
X×10
4)、及び合計の末端シリコンメチル濃度に寄与するSi(CH
3)CH
2Siの割合を含んでいた。MIPSCPベースの膜についてのDOE結果の要約を
図1に与える。
【0038】
同じ値の誘電率を有する膜についての従属変数の慎重な調査は、MIPSCPベースの膜が、相当するMESCPベースの膜よりも高い弾性率を有することを示す。例えば、
図3は、2つのk=2.9の膜の比較を示す。MIPSCPベースの膜の弾性率は、MESCPベースの膜の弾性率より3GPa高い。
図4は、k=3.00のMIPSCPベースの低誘電率膜と、k=3.0のMESCPベースの低誘電率膜との比較を示す。k=2.90の膜の比較について見られるように、k=3.00のMIPSCPベースの膜は、MESCPベースの膜よりも高い弾性率を示す。従って、同様の誘電率を有する低誘電率膜について、MIPSCPベースの膜は、MESCPベースの膜に対して、特に2つの分子の間の唯一の違いがアルコキシ基である(MIPSCPについてはイソ-プロポキシ、対して、MESCPについてはエトキシ)ときに、予想外に高い弾性率を示す。k=2.90及びk=3.00の膜の比較の両方について、MIPSCPベースの膜は、より高い屈折率(RI)、より高いXPS炭素含有量、及びより低い合計の末端シリコンメチル濃度を示す。MIPSCPベースの膜及びMESCPベースの膜の両方は、合計の末端シリコンメチル濃度に寄与する比較的大きい割合のSi(CH
3)CH
2Siを有する。
【0039】
重要なことには、データは、緻密低誘電率膜について、例えば
図1及び2に要約される膜について、膜に対する前駆体としてMIPSCPを用いるときに、誘電率の非常に小さい変化が、弾性率の大きな変化をもたらすことができることを明らかにしている。例えば、
図3及び4の2つのMIPSCP膜を考える。k=2.92の膜は14GPaの弾性率を有し、一方でk=3.05の膜は17GPaの弾性率を有する。従って、誘電率を0.13増加させることは、3GPaの弾性率の増加をもたらす。
【0040】
比較例3:ジエトキシメチルシラン(DEMS(登録商標))などの従来技術の前駆体は、低O
2流の又はO
2流がない条件の下で、炭素含有量及び種類に関する能力を調整する限定された膜特性を提供する。このことを、以下の試験条件:400ワットの電力;10torrの圧力;345℃の温度;380ミルの電極間隔;750sccmのHeキャリア流;850mg/minのDEMS(登録商標)流の下で検証した。酸素を0~50sccmで変化させた。結果を下の表1に示す。
表1:DEMS(登録商標)ベースの膜特性に対するO
2流の影響
【表1】
表1のデータは、比較的少ないO
2流における、DEMS(登録商標)をベースとした低誘電率膜における、炭素の量及び種類に対する狭い調整可能性を示す。膜中の末端メチル濃度は、O
2流が0~50で変化したとき、5%未満変化した。合計の炭素含有量は、0~50sccmのO
2流で、5%変化した。FTIRの積分ピーク比によって決定したブリッジメチレン濃度は低濃度であり、6×10
4~3×10
4で変化した。
【0041】
例4:MIPSCPが、堆積の間に使用する酸素の流速に応じて、有意に、より正確な調整能力を有することを見出した。O
2流に対する変化を、比較的低いO
2流速(32、16及び0sccm)で評価して、誘電率、機械特性、膜中に堆積された炭素の量及び種類に対する影響を決定した。プロセス条件は、275ワットの電力;7.5torrの圧力;390℃の温度;380ミルの電極間隔;750sccmのHeキャリア流;850mg/minのMIPSCP流からなっていた。酸素を32~0sccmで変化させた。結果を下の表2に示す。
表2:MIPSCPベースの膜特性に対するO
2流の影響
【表2】
表2のデータは、O
2流の比較的小さい変化に対する、MIPSCPベースの低誘電率膜の感受性を示す。RI、膜中に組み込まれた炭素の種類及び炭素含有量は、O
2流とともに有意に変化する。O
2流無しにおいて、膜におけるRI及びブリッジメチレン濃度は、FTIRスペクトルにおけるSiO
Xの吸光度に関するSi-CH
2-Si積分吸光度によって示されるように、膜の機械強度が増加するにつれて、有意に増加する。膜における末端メチル濃度は、O
2流が0~32sccmで変化したときに、85%変化した。合計の炭素含有量は、O
2流が0~32sccmで変化したときに、80%変化した。FTIR積分ピーク比によって決定したブリッジメチレン濃度は高濃度であり、9×10
4~27×10
4で変化した。メチレン濃度の増加は、膜の網目構造に添加した炭素の量に比例する誘電率の増加をもたらし、その増加はDEMS(登録商標)ベースの膜から得た増加よりも有意に大きかった。この予想外の調査結果は、膜の炭素含有量及び種類の正確な調整を可能とし、膜性能の最適化を可能とする。
【0042】
例5:プラズマ誘起損傷に対する抵抗は、低誘電率膜にとって重要な測定基準である。
図5は、選択したMIPSCPベースの膜及びMESCPベースの膜についての厚さ損失を示していて、厚さ損失は、希釈HF(300:1)に、室温で、300秒間さらした前及び後の低誘電率膜のプラズマ損傷クーポンの間の厚さの差として計算する。低誘電率膜は、容量結合のNH
3ベースのプラズマに15秒間さらすことによって、プラズマ損傷を受ける。このプラズマ損傷工程は、NH
3ベースのアッシングプラズマを使用して低誘電率ウエハからフォトレジストを除去する集積アッシング工程を模擬している。この方法を使用して、低誘電率膜のプラズマ誘起損傷に対する相対的な抵抗は、先に定めた、その測定した厚さ損失とみなす。参照のために、PECVD酸化物についてのプラズマ誘起損傷の相対深さ(すなわち厚さ損失、300秒DHF)をさらに示す。
【0043】
図5のデータは、MIPSCPベースの膜は、MESCPベースの膜と比較して、より小さいプラズマ誘起損傷の深さ(DoPID)を示すことを示す。実際には、MIPSCPベースの膜のDoPIDは、PECVD酸化物のDoPIDと同じである。注目すべきことは、k=2.92のMIPSCPベースの膜は、試験したk=3.00のMESCPベースの膜に対して、より低いDoPIDを示すことである。典型的には、誘電率が低いほどDoPIDは大きくなるため、このことは意外である。重要なことには、同じ誘電率を有する膜について、MIPSCPベースの膜は、MESCPベースの膜に対して、予想外に低いDoPIDを示す。
【0044】
具体的な実施態様及び例を特定するために、参照によって上で例示及び説明がされたが、しかし、本発明は、示された詳細に限定されることは意図されない。むしろ、特許請求の範囲の均等の領域及び範囲内で、本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細において種々の変更がされてよい。例えば、本明細書において説明される緻密MIPSCP膜の利点は、多孔性MIPSCPベースの膜にもまた適用されると認識される。例えば、この文献において広く列挙された全ての範囲は、その広い範囲内にある全てのより狭い範囲を、それらの領域内に含むことが明確に意図される。